JP6333436B2 - 静電フィルター - Google Patents

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本発明は異形断面複合繊維を用いた静電フィルターに関する。
近年、空気清浄機やマスクなどで使用する不織布には気体中の微粒子(特に0.5μm以下の粉塵、煙塵や埃、花粉、ウイルスなどの微粒子)を高効率で捕集して取り除く性能が求められている。かかる微粒子を効率的に捕集し得るフィルターとして静電力を利用した静電フィルター(いわゆる「エレクトレットフィルター」)が知られている。かかる静電フィルターとしては、例えば、ポリプロピレン不織布にコロナ放電処理などで帯電処理加工を施したものや、羊毛繊維を含む不織布にフェノール樹脂加工を施したものになめし工程で帯電処理を施したものなどがある(特許文献1、2)。なお、特許文献1、2に開示の発明では羊毛繊維に合成繊維を混入して静電フィルターの捕集効率を向上させている。
特開昭60−44015号公報 特開2001−269520号公報
一般にコロナ放電処理などの帯電処理を施すことのできる不織布としてはポリプロピレン(単一成分)からなるメルトブローン不織布がよく知られているが、最近ではポリプロピレンに他のポリマー成分を組み合わせた複合繊維からなる不織布を用いた静電フィルターの製造が求められている。かかる複合繊維は、加熱により融点の低い成分が溶融または軟化して繊維同士が接着した熱接着不織布を形成することが比較的容易であり、その生産性および経済性に優れている。
しかし、本発明者の研究の結果、このような複合繊維を用いて作製した熱接着不織布では帯電処理を施しても自然放電により帯電性が低下して時間の経過とともに捕集効率が著しく低下することが判明した。
そこで、本発明では、複合繊維を用いて作製した不織布に帯電処理を施した場合であっても、捕集効率が短期間で著しく低下することなく、より長期間にわたって持続する静電フィルターの提供を課題とする。
本発明者は鋭意検討の結果、凹凸を有する異形断面複合繊維を使用して熱接着不織布を作製して帯電処理したところ、自然放電を有意に防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は、帯電した不織布を含む静電フィルターであって、該不織布は、熱可塑性樹脂からなる第1成分と、該第1成分の紡糸後の融点よりも高い紡糸後の融点を有する熱可塑性樹脂からなる第2成分とを含み、かつ該第1成分が該第2成分の表面の少なくとも一部を被覆してなる異形断面複合繊維を含む、静電フィルターを提供する。
本発明の静電フィルターは、繊維の断面が異形であり、円形ではないため、その表面(特に凹部)に電荷をより安定的に滞留させることができ、その結果、自然放電による捕集効率の経時低下を防止することができ、静電力による微粒子、特に0.5μm以下の大きさの粒子(例えば、粉塵、煙塵などの塵や埃、花粉、ウイルスなど)の捕集効率が長期間にわたって高いまま持続する。従って、本発明は捕集効率がより長期間にわたって持続する寿命(ライフサイクル)の長い静電フィルターを提供することができる。
本発明の静電フィルターに用いられる、異形断面複合繊維の一例の断面図である。 本発明の静電フィルターに用いられる、異形断面複合繊維の一例の断面図である。 本発明の静電フィルターに用いられる、異形断面複合繊維の一例の断面図である。 本発明の静電フィルターに用いられる、異形断面複合繊維の一例の断面図である。 (a)は本発明の静電フィルターに用いられる、異形断面複合繊維のL、L2、L3、L4の求め方を説明する模式図であり、(b)は凸部を有する複合繊維の中心の求め方を説明する模式図である。 本発明の静電フィルターに用いられる、異形断面複合繊維の凹部の角度の求め方を説明する模式図である。 本発明の実施例および比較例で作製した静電フィルターの捕集効率(%)を示すグラフである。 実施例1の静電フィルターにおける異形断面複合繊維の断面を示す電子顕微鏡写真(500倍)である。 比較例1の静電フィルターにおける円形断面複合繊維の断面を示す電子顕微鏡写真(500倍)である。
本発明の静電フィルター(以下、単に「フィルター」と呼ぶ場合もある)は、気体中の微細な粒子を静電力を利用して捕捉し得るものである。かかる静電フィルターは、熱可塑性樹脂からなる第1成分と、該第1成分の紡糸後の融点よりも高い紡糸後の融点を有する熱可塑性樹脂からなる第2成分とを含み、かつ第1成分が第2成分の表面の少なくとも一部を被覆してなる異形断面複合繊維(以下、単に「異形断面複合繊維」と呼ぶ場合もある)を含む不織布を帯電させて得ることができるものである。そこでまず、この異形断面複合繊維の構成およびその作用効果について説明する。
[異形断面複合繊維]
本発明で使用する異形断面複合繊維は、熱可塑性樹脂からなる第1成分の紡糸後の融点よりも高い紡糸後の融点を有する熱可塑性樹脂からなる第2成分の表面の少なくとも一部を第1成分が被覆してなる繊維であり、その断面形状は異形である。従って、繊維全体の断面形状が円形であるものは、ここでいう異形断面複合繊維ではない。
本発明でいう異形断面複合繊維は、繊維断面からみて、繊維断面周長Aが、繊維断面積を面積の等しい円に換算した円の円周長Bの1.05倍以上であることが好ましく、1.1倍以上であることがより好ましい。かかる構成であると、繊維表面積が円形状繊維と比較して大きくなるので、静電気の帯電量が大きくなり、又、粒子が繊維に付着する面積も大きくなる。
本発明で使用する異形断面複合繊維は、融点の低い第1成分が第2成分の表面を少なくとも部分的に被覆しているものであり、第2成分が第1成分で少なくとも部分的に被覆されていて、第2成分が第1成分で被覆されていない部分があってもよいものである。かかる異形断面複合繊維は、第1成分の融点よりも高い温度でなおかつ第2成分の融点よりも低い温度で加熱すると、融点の低い第1成分が溶融または軟化して繊維同士を熱接着させることができる。かかる異形断面複合繊維を使用することにより本発明では静電フィルターとなり得る不織布をより簡便に作製することができる。
異形断面複合繊維は、第1成分が繊維表面の全部を占める鞘部を構成していて、第2成分が芯部を構成している芯鞘型の複合繊維であることが好ましい。使用する繊維が芯鞘型であると、第2成分を被覆する第1成分の面積が増え、繊維同士がさらに熱接着しやすくなるからである。
上記芯鞘型の繊維の断面形状において、第1成分の輪郭と第2成分の輪郭とが略相似形であることが好ましい。なかでも、第1成分の凸部の数が第2成分の凸部の数と同一であることがより好ましい。断面を略相似形とすることで第1成分は第2成分の全体をほぼ均一に被覆し、第1成分による熱接着が均質に行えるからである。
また、本発明で使用する異形断面複合繊維は、上述の通り断面形状が円形ではなく、繊維表面の少なくとも一部に好ましくは3個以上8個以下の凸部を有し、さらに好ましくは繊維表面の少なくとも一部に凸部と凸部との間に形成された繊維の長さ方向に沿って延びる凹部を有する。
異形断面複合繊維の凸部とは、繊維の長さ方向に垂直な面で切断した横断面の断面形状において、繊維の中心から突出している部分を指す。凸部が3個以上存在することにより、断面形状の輪郭は全体として、凹凸の繰り返しを有するものとなる。凸部の数が3個以上であると、繊維の表面積が大きくなり、静電フィルターの捕集効率の経時低下をより効果的に防止することができる。また、凸部の数が8個を超える断面形状の複合繊維を得ることは難しい場合がある。凸部の数は好ましくは3個以上6個以下であり、より好ましくは3個または4個である。
この異形断面複合繊維は、繊維間において突出した凸部同士が接触することとなるので、繊維間に空隙が形成されやすい。即ち、この異形断面複合繊維は、熱接着処理に付された場合でも、2本以上の繊維が束状となって一本の太い繊維束を形成しにくく、繊維間の空隙が維持されやすい。また、繊維同士が密に接触しても、凸部と凸部の間に存在する凹部が空隙を与えやすい。これは、繊維断面において凹部には、他の繊維の凸部が入り込みにくく、したがって、凹部の空隙が埋められることが少ないためであると考えられる。また、これらの空隙は第1成分が熱処理により溶融または軟化しても維持されやすい。これらのことが静電フィルターの捕集効果を長く持続させる一因であると考えられる。
また、異形断面複合繊維は、熱処理後に、熱処理前よりも凹部が浅くなる、又は第2成分の凸部の数と同数の頂点数を有する多角形状に近づく場合があり得る。例えば、図1に模式的に示す四葉型の断面形状を有する複合繊維に熱処理を施した場合には、略四角形状になる場合があり得る。これは、熱処理によって溶融または軟化した第1成分が、第2成分の凹部を埋めるように移動するためである。この場合、凹部の深さに起因する空隙は小さくなるものの、繊維交点を形成するための第1成分の一部が凹部へ移動するため、繊維同士の接着交点が小さくなる。この結果、繊維同士の交点付近の空隙(ポケット)は、帯電状態を維持しやすく、0.5μm以下の粒子を捕捉しやすい形状となる。上述ように、本発明では、熱処理後の異形断面複合繊維の断面形状と、熱処理前の異形断面複合繊維の断面形状とが異なっていてもよい。
凸部を3以上有することにより、凸部と凸部との間には凹部が存在し、この凹部は溝のように、繊維表面において、繊維の長さ方向に沿って延びる。そのような凹部は異形断面複合繊維全体にわたって延びる必要はなく、少なくとも一部にあればよい。即ち、異形断面複合繊維は、一部において異形でなくてもよく、部分的に円形となっていてもよい。
異形断面複合繊維は、湾曲している2つの凸部に挟まれて形成された「く」の字形状の凹部を有することが好ましい。少なくとも1つの凹部は、繊維の横断面において鋭角を形成することがより好ましい。また、凹部は、その底面が線状である急峻な谷状であることがより好ましい。ここで、凹部の角度は、図6(a)に示すように、凹部の底面が線状であるときは、底面における凹部の両側面に対する接線がなす角度(α)を指す。凹部の角度は、図6(b)に示すように、凹部の底面が線状でなく、二次元的な広がりを有する場合には、底面と、底面における凹部のいずれか一方の側面(正確には、側面に対する接線)とがなす角度をいう。この場合、底面における凹部の2つの側面と、底面とがなす角度が互いに異なる場合(β、β’)、より小さい角度(β)を凹部の角度とする。鋭角を形成する凹部の数は、1つの異形断面複合繊維において、1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。最も好ましくは、全ての凹部が鋭角を形成している。
鋭角を形成している凹部内には、電荷が保持されやすく、粒子が捕捉されやすい。そのため、少なくとも1つの凹部が鋭角を形成している異形断面複合繊維を使用することにより、フィルターの捕集効率が向上すると考えられる。また、凹部が鋭角を形成していると、凹部を挟む凸部は根元において細くなる形状となり、凸部が根元から分離(一部において割れている場合も含む)しやすくなる。その結果、分離した部分で微細な空隙が形成され、この空隙においても粒子が捕捉されて、捕集効率がさらに向上すると考えられる。また、この空隙は、閉塞されにくいため、フィルターの寿命の向上にも寄与していると考えられる。さらに、このような鋭角に蓄えられた電荷は放出されにくく、帯電効果も長く持続すると考えられる。
凹部が形成する鋭角は、90°より小さい角度であってよく、好ましくは15°〜89°であり、より好ましくは20°〜85°であり、最も好ましくは30°〜80°である。凹部が形成する鋭角が15°以上であると、粒子が凹部に侵入し易く、捕捉されやすい。また、加熱処理などにより第1成分が溶融しても凹部を埋め潰すことがない。凹部が形成する鋭角が89°以下であると、繊維間空隙で捕捉しきれない比較的小さい粒子を凹部で捕捉することができる。また、捕捉した粒子を放出しにくい。鋭角は、凸部の数または凸部の形状によって、調節することができる。
本発明で使用する異形断面複合繊維は、第1成分が鞘成分であり、第2成分が芯成分であり、2つの成分の輪郭がともに相似形で3個以上8個以下の凸部を有し、その繊維表面の少なくとも一部に、前記凸部と凸部との間に形成された、繊維の長さ方向に沿って延びる凹部を1または複数有する、芯鞘型複合繊維であることが特に好ましい。このような繊維の凹部には後述する帯電処理によって電荷が集中しやすくなるからである。また、第1成分または第2成分においては、凹部のうち少なくとも1つが、繊維の横断面において鋭角を形成していることがさらにより好ましい。このように、異形断面複合繊維の凹部が鋭角を形成することによって、電荷が鋭角部分に蓄積されてより長く安定して滞在するからである。また、このような異形断面複合繊維は、熱接着処理後も繊維全体として異形断面を維持しやすく、繊維間空隙(特に、凹部によって形成される空隙)が不織布において保持されやすい。また、このような異形断面複合繊維は、例えば、芯成分と鞘成分の容積比が同じである丸断面の複合繊維と比較して、熱接着成分である第1成分を肉厚のより小さい鞘成分として有する。鞘成分の肉厚が小さいと、繊維同士が熱接着したときに、繊維間の空隙が過度に塞がれないため、静電フィルターの捕集効率の低下が抑制されると考えられる。
あるいは、異形断面複合繊維は、第1成分と第2成分とからなり、異形断面複合繊維の横断面において、第2成分の断面形状が、3個以上8個以下の凸部を有する異形断面であり、第2成分の少なくとも一部が、凸部と凸部との間に形成された、繊維の長さ方向に沿って延びる凹部を1または複数有し、第1成分が前記第2成分の凸部の先端を被覆しているものであってよい。すなわち、異形断面複合繊維は、第1成分と第2成分とからなり、第2成分が異形断面を有していて、繊維全体の断面形状を決定し、第1成分が第2成分の周囲全部を被覆せず一部のみを覆っているものであってよい。第1または第2成分においては、凹部のうち少なくとも1つが、繊維の横断面において鋭角を形成していることがより好ましい。上述の通り、このような鋭角部分には帯電処理後に電荷が集中して滞在する傾向にあるからである。第2成分の断面形状が異形である異形断面複合繊維においては、熱接着処理後も(即ち、第1成分が溶融して変形したとしても)、異形断面及び凹部の鋭角がより維持されやすい。よって、そのような異形断面複合繊維を使用すれば、鋭角を形成する凹部がもたらす効果をより顕著に得ることができる。
異形断面複合繊維の断面形状の例を図1〜図4に示す。これらの図はいずれも第1成分と第2成分とからなる複合繊維の横断面を示している。図1は、凸部を4つ有する4葉形の断面形状を有する。図1の複合繊維100は、第1成分1が第2成分2の全体を被覆するいわゆる芯鞘型複合繊維であり、第1成分1の輪郭と第2成分2の輪郭は略相似形となっている。図2は、凸部を8つ有する8葉形の断面形状を有する。図2の複合繊維100は、第1成分1が第2成分2の全体を被覆するいわゆる芯鞘型複合繊維であり、第1成分の輪郭と第2成分の輪郭は略相似形となっている。図3は、凸部を4つ有する4葉形の断面形状を有する。図3の複合繊維100は、第1成分1が凸部の先端にのみ位置するものである。すなわち、図3の複合繊維は、第2成分2が異形断面を有していて繊維の断面形状をほぼ決定し、第1成分1が第2成分2の凸部の一部を覆い、かつ第2成分が凸部を4つ有し、凸部と凸部との間の凹部が鋭角を形成している複合繊維である。図4の複合繊維100は、凸部を4つ有する4葉形の断面形状(十字断面)を有する。図4の複合繊維100は、第2成分2の断面が略円形であり、第2成分2の外周を覆う第1成分1が4つの凸部を構成しているものである。図1〜4では凸部と凸部の間の凹部を鋭角で記載しているが、本発明において90°以上の鈍角であってもよいことは上記の通りである。
図示した断面形状はいずれも例示であり、異形断面複合繊維の断面形状は他の形状であってよい。例えば、図4に示す複合繊維の変形例において、凸部は6つ又は8つ形成されていてもよく、凸部の数が3つであってもよい。あるいは、図示した複合繊維において、第3成分がさらに含まれていてよい。その場合、円形の繊維断面を有する第3成分が、第2成分の中心部に配置されていてよく、あるいは第2成分の輪郭と略相似形である輪郭を有する第3成分が第2成分の内部に配置されていてよい。
あるいは、異形断面複合繊維は、その断面形状が全体として、第2成分が2個以上に分割した形態で存在していてもよい。例えば、図1に示す異形断面複合繊維において、第1成分が繊維断面の輪郭を規定する途切れのない膜を形成し、その膜で囲まれた空間に第2成分が配置されている場合には、第2成分の凸部(葉部)の一部が分離した形態で、存在していてよい。その場合、第2成分の分離した凸部と他の第2成分との間に空隙が形成されることとなる。そのような空隙には、熱接着処理のときに溶融または軟化した第1成分が入り込みやすくなることがある。第1成分がそのような狭い空隙に入り込むことによって、異形断面複合繊維間で形成される広い繊維間空隙(この広い繊維間空隙はフィルターの寿命に影響を及ぼすと考えられる)が第1成分によって過度に塞がれることが抑えられ、フィルターの寿命に良い影響を与えることがある。
もしくは、第2成分が2個以上に分割した他の例として、異形断面複合繊維は、異形断面複合繊維の長さ方向の一部において、第1成分及び第2成分の凸部(葉部)の一部が分離した細繊度部を形成した、見かけ上、フィブリル化した形態であってもよい。このような形態は、異形断面複合繊維の長さ方向の端部で形成されていることが好ましい。その場合、あたかも細繊度部が極細繊維のように機能して、端部の細繊度部の間に形成される空隙は、極細繊維間に形成されるような微細な空隙となる。そのような細繊度部を有する異形断面複合繊維を含むフィルターは、異形断面複合繊維間の空隙と、細繊度部間の微細な空隙とを有するので、目詰まりし難く、種々の大きさの粒子を捕捉できるので、ろ過精度とフィルターの寿命とが特に優れたフィルターとなる。
異形断面複合繊維が、図1〜4および図5に示ように、第1成分と第2成分とからなる場合、その横方向の断面において、凸部先端から繊維の中心に直線を引いたとき、繊維中心から凸部先端までの長さをLとし、第2成分の凸部先端から繊維の中心に直線を引いたときの、繊維中心から第2成分の凸部先端までの長さをLとしたとき、L/Lは0.25以上であることが好ましい。Lは、凸部の見かけの長さに相当し、Lは、第2成分(高融点成分)の凸部の長さに相当する。L/Lが大きいほど、第2成分の突出長さが大きく、凸部の先端付近まで第2成分が存在している。そのため、熱接着などの熱加工を施しても凸部が大きく変形することがなく、また、凸部の形状が失われにくい。したがって、そのような繊維を用いると、繊維間を熱接着するために熱加工を行っても、凸部形状が維持されやすい、すなわち異形断面複合繊維の表面積が大きい状態が維持されるため、構成繊維間の空隙が塞がれにくく、フィルターの寿命に優れる。その結果、熱接着後の不織布、即ち、フィルターの機械的特性がより向上する。
また、L/Lは、第1成分の肉厚を示す指標であり、これが小さいほど、第1成分の肉厚がより大きくなる。第1成分は溶融または軟化すると、表面張力的に安定な構造、即ち、繊維の外周がより円形に近づくように移動する傾向にある。熱接着処理時に第1成分がそのように移動すると、異形断面複合繊維の凹凸を均し、その結果、凹部が存在することによる効果が損なわれることがある。L/Lが0.25以上であると、軟化または溶融した第1成分が凹凸を均す度合いを小さくして、凹部が維持されやすい。
/Lは0.5以上であることがより好ましく、0.75以上であることが特に好ましく、0.8以上であることが最も好ましい。L/Lの上限は特に限定されないが、溶融紡糸時の生産性、繊維断面形状の明瞭性、また異形断面複合繊維の熱接着性を考慮すると0.98以下が好ましく、0.95以下がより好ましい。
異形断面複合繊維の横方向の断面において、異形断面複合繊維の凸部先端と繊維の中心を結ぶ直線と、隣り合う凹部の底部同士を結ぶ線分との交点を求め、前記交点から凸部先端までの長さをLとしたとき、L/Lは0.25以上であることが好ましい。Lは、異形断面複合繊維の凸部の真の長さに相当する。L/Lが大きいほど、異形断面複合繊維の表面積が広くなるため、粒子捕捉性能が高くなり、また、電荷を安定的に滞留させることができると考えられる。L/Lは0.4以上であることがより好ましく、0.45以上であることが特に好ましく、0.5以上であると最も好ましい。L/Lの上限は特に限定されないが、溶融紡糸時の生産性、繊維断面形状の明瞭性を考慮すると0.95以下が好ましく、0.9以下がより好ましく、0.8以下が特に好ましく、0.75以下が最も好ましい。
異形断面複合繊維の横方向の断面において、第2成分の凸部は、その幅方向の寸法(突出している方向と直交する方向)が一定でなく、第2成分の凸部の先端から根元までの間に幅方向の寸法が最大となるような形状を有していることが好ましい。即ち、第2成分の凸部はその先端と根元の両端で幅方向の寸法が小さくなるような形状(例えば、つぼみのような形状、マッシュルームのような形状)を有することが好ましい。第2成分の凸部がそのような形状を有していると、凸部先端に近づくにつれて凸部の幅が細くなる形状のものよりも繊維の断面形状が(最終的に不織布になった後にも)より明瞭なものに維持されやすい。そのため、熱加工後も、凸部と凸部との間の凹部が消滅しにくくなり、良好なろ過精度が確保される。また、第2成分の断面形状がそのような形状の凸部を有する異形断面複合繊維は、不織布化工程、熱処理工程、巻回工程などにより異形断面複合繊維に外力が加えられた際に、上述した第2成分が2個以上に分割した形態をとりやすく、フィルターの性能を向上させる。第2成分の断面形状がそのような形状の凸部を有する異形断面複合繊維の横方向の断面において、第2成分の凸部の幅が最大になる部分から、異形断面複合繊維の中心部までの距離をLとしたとき、L/Lは好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.25以上であり、特に好ましくは0.3以上であり、最も好ましくは0.4以上である。L/Lの上限は特に限定されないが、溶融紡糸時の生産性、繊維断面形状の明瞭性、及び、得られる熱接着不織布の捕集効率を考慮すると0.8以下が好ましく、0.75以下がより好ましく、0.7以下が特に好ましく、0.6以下が最も好ましい。
、L、LおよびLの求め方を説明する模式図を図5(a)に示し、繊維の中心の求め方を説明する模式図を図5(b)に示す。図5(a)は、図1に示す異形断面複合繊維である。異形断面複合繊維の横断面において、図5(a)に示すように、繊維の凸部の寸法および形状が略同じであり、かつ断面形状が上下左右において対称である場合に、それぞれの凸部において、凸部の根元を結ぶ線分の中点と、凸部の先端とを結ぶ直線を引くと、当該直線は一点で交わるので、その交点を繊維の中心とする。それ以外の場合には、図5(b)に示すように、それぞれの凸部において、凸部の根元を結ぶ線分の中点と、凸部の先端とを結ぶ直線を引いたときに、当該直線によって形成される三角形のうち、最も面積の大きい三角形に内接する円の中心を、繊維の中心Cとする。
異形断面複合繊維は、図1〜図4に示すように、低融点の熱可塑性樹脂からなる第1成分と、高融点の熱可塑性樹脂からなる第2成分とから構成してよく、2つの成分で構成することが溶融紡糸の点からも好ましい。そこで、以下の説明においては、第1成分と第2成分とからなる異形断面複合繊維を主に説明する。但し、本発明のフィルターを構成する異形断面複合繊維は2成分から成るものに限定されず、3以上の成分で構成されてよい。異形断面複合繊維が3以上の成分からなる場合、以下の説明において、第1成分とあるのは、最も融点の低い熱可塑性樹脂からなる成分であって、熱処理により溶融または軟化して、熱接着成分として繊維同士を接合する成分を指し、第2成分とあるのは、熱接着成分以外の成分をまとめて指すものとする。
異形断面複合繊維の複合比(第2成分/第1成分)は、容積比で30/70〜70/30であることが好ましく、35/65〜65/35であることがより好ましい。第1成分が30容積%以上であると、繊維同士の接着力が高い不織布を得ることができ、第1成分が70容積%以下であると、繊維同士の接着交点が小さく、交点部分に粒子を捕捉できる空隙が形成されやすい不織布を得ることができる。
また、複合比(第2成分/第1成分)が30/70〜50/50(即ち、第1成分の容積が第2成分の容積以上)であると、繊維同士の接着力が高い不織布を得ることができ、プリーツ加工等の成型加工性に優れたフィルターを得ることができる。ただし、第1成分の容積比が70%を超える場合、溶融または軟化した第1成分が、表面張力的に安定な構造、即ち、繊維の外周がより円形に近づくように移動する傾向にある。熱接着処理時に第1成分がそのように移動すると、異形断面複合繊維の凹凸を均し、その結果、凹部が存在することによる効果が損なわれることがある。
また、複合比(第2成分/第1成分)が50/50〜70/30(即ち、第1成分の容積が第2成分の容積以下)であると、繊維同士の接着交点が小さい不織布を得ることができる。このような不織布を用いると、繊維交点部分にポケットが形成されやすく、繊維交点部分で粒子を捕捉しやすいフィルターを得ることができる。ただし、第2成分の容積比が70%を超えると、フィルターの構成繊維間が十分に熱接着されないことがある。その結果、フィルターの機械的特性が低下する、あるいは繊維の脱落が生じるといった不都合が生じることがある。
前記異形断面複合繊維は、熱可塑性樹脂からなる第1成分と、第1成分の紡糸後の融点よりも高い紡糸後の融点を有する熱可塑性樹脂からなる第2成分とを含む。第1成分は、低融点成分ということもでき、熱接着成分として機能する。第2成分は、高融点成分ともいうことができ、熱接着処理後の不織布において繊維形態を保持して、不織布の機械的特性を確保する。第2成分の紡糸後の融点は、第1成分の紡糸後の融点よりも10℃以上高いことが好ましく、20℃以上高いことがより好ましく、25℃以上高いことがさらに好ましい。第1成分および第2成分の融点は、DSCにより得た融解熱量曲線から求めることができる。融解熱量曲線においては、二以上のピークが出現することがある。その場合には、最大のピークを示す温度を、融解ピーク温度、即ち融点とする。一般に、紡糸前の熱可塑性樹脂の融点の関係は、紡糸後の熱可塑性樹脂の融点の関係とほぼ同じである。即ち、第2成分の紡糸前の融点が、第1成分のそれよりも高い場合に、一般には、第2成分の紡糸後の融点は、第1成分のそれよりも高い。したがって、第1成分および第2成分を構成する熱可塑性樹脂は、紡糸前の融点を考慮して選択すればよい。
前記異形断面複合繊維に使用する熱可塑性樹脂は、前記の通り、第2成分の紡糸後の融点が第1成分の紡糸後の融点よりも高いものであれば特に限定はなく、例えば、公知の熱可塑性樹脂を任意に組み合わせて使用することができる。本発明で使用することのできる熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどのポリエステル系樹脂;低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなど、通常のチーグラ・ナッタ触媒やメタロセン触媒を使用して重合される各種ポリエチレン系樹脂、通常のチーグラ・ナッタ触媒やメタロセン触媒を使用して重合されるアイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックなどの各種ポリプロピレン系樹脂、各種ポリメチルペンテン系樹脂、各種ポリブテン−1系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂などの各種ポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチックなどである。異形断面複合繊維は、これらの樹脂から選択される1または2以上の樹脂を含む第1成分と、これらの樹脂から選択される1または2以上の樹脂を含む第2成分とからなる。
不織布には後述のコロナ放電処理やプラズマ放電処理などの帯電処理により帯電させる(正および負の任意の極性の電荷を付与する)が、その場合には、異形断面複合繊維の第1成分および第2成分はともに同じ種類の材料から選択した樹脂で構成されることが好ましい。第1成分および第2成分をともに同じ種類の材料から選択することによって、第1成分の第2成分からの剥離を防ぐことができる。なお、この記載は、本発明において、異形断面複合繊維の第1成分および第2成分がそれぞれ別の異なる種類の材料で構成されることを排除するものではない。本発明では、特に異形断面複合繊維の第1成分および第2成分をそれぞれポリオレフィン系樹脂から選択される樹脂で構成することが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂として、各種α−オレフィンの単独重合体や共重合体、三元共重合体(ターポリマーとも称す)を挙げることができる。具体的なポリオレフィン系樹脂の例として、ポリ(4−メチルペンテン−1)、および4−メチルペンテン−1と他のオレフィンとの共重合体等のポリメチルペンテン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂(チーグラ・ナッタ触媒で重合したポリプロピレン、およびメタロセン触媒で重合したポリプロピレンを含む)、ポリエチレン系樹脂(高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含み、チーグラ・ナッタ触媒で重合したポリエチレンのほか、メタロセン触媒で重合したポリエチレンも含む)、ポリブテン−1、エチレン−プロピレン共重合樹脂、エチレン−プロピレン−ブテン共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂が挙げられる。
前述のとおり、第1成分および第2成分はともに、ポリオレフィン系樹脂(前記したもののほか、公知となっているポリオレフィン系樹脂を含む)を使用して構成することが好ましい。ポリオレフィン系樹脂を第1成分として使用する場合、融点が低く、熱接着しやすいことから、ポリエチレン系樹脂を使用することが好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂を第2成分として使用する場合、繊維化しやすく、引張強度などに優れることから、ポリプロピレン系樹脂を使用することが好ましい。また、異形断面複合繊維の生産性や単繊維強度といった機械的特性や帯電性を考慮すると、前記異形断面複合繊維を構成するポリオレフィン系樹脂の組み合わせとしては、第2成分/第1成分が、ポリプロピレン系樹脂/ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂/エチレン−プロピレン共重合樹脂、ポリプロピレン系樹脂/エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂/ポリエチレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂/ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂/エチレン−プロピレン共重合樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂/エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂/ポリエチレン系樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂/エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、で表されるポリオレフィン系樹脂である組み合わせが好ましく、ポリプロピレン系樹脂/ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂/エチレン−プロピレン共重合樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂/ポリエチレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂/ポリプロピレン系樹脂の組み合わせが特に好ましく、ポリプロピレン系樹脂/ポリエチレン系樹脂が最も好ましい。第2成分/第1成分をポリプロピレン系樹脂/ポリエチレン系樹脂とすることで、コストが安く経済性に優れ、プリーツ加工などの成型加工性にも優れたフィルターが得られる。
なお、従来から知られる静電フィルターは、その繊維表面がポリプロピレン樹脂で構成されている。これは、ポリプロピレン樹脂が帯電処理により帯電されやすく、電荷を放出しにくいためである。しかし、ポリプロピレン樹脂は、融点が高く、接着成分として用いることは困難であった。また、ポリエチレン系樹脂は、融点が低く、接着成分として好適に利用できるものの、その分子中に分枝構造を有しないため、帯電処理により帯電されにくく、電荷を放出しやすいため、静電フィルターを構成する樹脂としては不適であった。このような事情から、繊維同士の交点が接着された不織布を用いた静電フィルターは、これまで得られていなかった。
従って、本発明では、異形断面を有する複合繊維を用いることにより、電荷をより安定的に滞留させることができるので、繊維表面を構成する樹脂の種類にかかわらず、自然放電による捕集効率の経時低下を防止することができる。すなわち、本発明の構成を採用することにより、分枝構造を有しないポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂)を繊維表面に用いた静電フィルターを得ることができる。なお、本発明でいう分枝構造とは、重合前に二重結合を形成していた炭素からなる主鎖から分岐した官能基をいう。例えば、ポリα−オレフィンの場合には、分枝構造はβ位炭素から分岐してγ位炭素から連なる官能基を指し、例えばより具体的には、ポリプロピレンの分枝構造はメチル基である。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンのホモポリマー、プロピレンと炭素数2〜20のα−オレフィンの1種または2種との共重合体、及びプロピレンのホモポリマーと他の熱可塑性樹脂との混合物などが挙げられる。共重合体および混合物の場合には、樹脂成分中にプロピレンを85モル%以上含んでいるものをポリプロピレン系樹脂と称す。前記ポリプロピレン系樹脂の物性は特に限定されない。ポリプロピレン系樹脂が溶融紡糸可能であれば、そのQ値(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)や融点、メルトフローレートは特に限定されない。
ポリエチレン系樹脂としては、エチレンのホモポリマー、エチレンと炭素数2〜20のα−オレフィンの1種または2種との共重合体、及びエチレンのホモポリマーと他の熱可塑性樹脂との混合物などが挙げられる。共重合体および混合物の場合、樹脂成分中にエチレンを85モル%以上含んでいるものをポリエチレン系樹脂と称す。前記ポリエチレン系樹脂の物性は特に限定されない。ポリエチレン系樹脂が溶融紡糸可能であれば、そのQ値(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)や融点、メルトフローレートは特に限定されない。
前記異形断面複合繊維の繊度は特に限定されないが、繊度が0.1dtex以上100dtex以下であることが好ましい。異形断面複合繊維の繊度が前記範囲を満たすことで、通気性と捕集効率のバランスが良好なフィルターが得られるためである。また、繊度が0.1dtexより小さいと、繊維断面からみた繊維の直径が粒子よりも小さくなり、捕捉した粒子を放出しやすくなる場合がある。繊度が100dtexより大きいと、繊維間空隙が大きくなり、小さい粒子を捕捉できない場合がある。異形断面複合繊維の繊度は0.3dtex以上70tex以下であることがより好ましく、0.5dtex以上30dtex以下であることが特に好ましく、1dtex以上8dtex以下であることが最も好ましい。
前記異形断面複合繊維の繊維長は特に限定されないが、3mm以上200mm以下であってよい。例えば、カード機を用いて繊維ウェブを作製する方法で不織布を製造する場合、繊維長は10mm以上150mm以下であることが好ましい。繊維長が10mm以上であると、繊維の脱落が発生しにくい。繊維長が150mm以下であると、カード機によって繊維ウェブを形成することが容易である。異形断面複合繊維の繊維長は15mm以上120mm以下であることがより好ましく、20mm以上100mm以下であることが特に好ましい。
前記異形断面複合繊維は、以下の方法で製造することができる。まず複数成分の異なる熱可塑性樹脂、好ましくは2成分のポリオレフィン系樹脂を用意し、公知の溶融紡糸機で、異形断面を与える所定の複合ノズルを用いて溶融紡糸する。このとき異形断面複合繊維の繊維断面形状を考慮し、それぞれの樹脂の溶融粘度を、押出機のせん断力や紡糸温度などを調整することによって調整することが好ましい。溶融させた熱可塑性樹脂から紡糸フィラメント(未延伸糸)を得る。紡糸フィラメントの繊度は、1dtex以上100dtex以下であってよく、2dtex以上10dtex以下が好ましい。
次いで、紡糸フィラメントは、必要に応じて延伸される。紡糸フィラメントは、第1成分のガラス転移温度及び第2成分のガラス転移温度のうち低い温度以上かつ第1成分の融点未満の温度(ポリプロピレン系樹脂/ポリエチレン系樹脂(第2成分/第1成分)からなる複合繊維の場合は、例えば、延伸温度80℃以上125℃以下)で、延伸倍率1.5倍以上8倍以下の条件で延伸される。延伸方法は特に限定されない。高温の熱水などの高温の液体で加熱しながら延伸を行う湿式延伸、高温の気体中又は高温の金属ロールなどで加熱しながら延伸を行う乾式延伸、100℃以上の水蒸気を常圧にて若しくは加圧状態にして繊維を加熱しながら延伸を行う水蒸気延伸などの公知の延伸処理を行うこともできる。得られた延伸フィラメントには、必要に応じて繊維処理剤(「油剤」と呼ぶ場合もある)が付与され、必要があれば捲縮付与処理が施される。その後、所定の繊維長に切断して異形断面複合繊維として用いられる。
[その他の繊維]
フィルターを構成する不織布は、前記所定の異形断面複合繊維を含む(好ましくは、当該異形断面複合繊維の第1成分によって繊維同士の少なくとも一部が熱接着されている)限りにおいて、他の繊維を含んでよい(以下、前記所定の異形断面複合繊維以外の他の繊維を便宜的に混合繊維とも称す)を含んでいてもよい。前記混合繊維はその種類が特に限定されず、ラミー(苧麻)、リネン(亜麻)、ケナフ(洋麻)、アバカ(マニラ麻)、ヘネケン(サイザル麻)、ジュート(黄麻)、ヘンプ(大麻)、ヤシ、パーム、コウゾ、ミツマタ、バガス等の天然繊維やビスコースレーヨン、テンセル(登録商標)、リヨセル(登録商標)、キュプラなどの半合成繊維(再生繊維ともいう)であってもよい。混合繊維は、合成樹脂からなる繊維であることが好ましい。
混合繊維に使用できる合成樹脂からなる繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどの公知のポリエステルからなる単一繊維、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどの公知のポリエチレン系樹脂からなる単一繊維、通常のチーグラ・ナッタ触媒やメタロセン触媒を使用して重合されるアイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックなど公知のポリプロピレン系樹脂からなる単一繊維、若しくはこれらのポリオレフィンのモノマー同士の共重合樹脂、又はこれらのポリオレフィンを重合する際にメタロセン触媒(カミンスキー触媒ともいう)を使用したポリオレフィンなど公知のポリオレフィン系樹脂からなる単一繊維、ナイロン6、ナイロン66,ナイロン11、ナイロン12などの公知のポリアミドからなる単一繊維、アクリルニトリルからなる(ポリ)アクリルの単一繊維、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチックの単一繊維、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、エンジニアリング・プラスチックの単一繊維、または異なる種類の樹脂同士、もしくは同一の種類の異なるポリマー成分からなる樹脂(例えばポリエチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレート)同士を複合した複合繊維などが挙げられる。
前記混合繊維が合成樹脂からなる複合繊維である場合、その複合状態は特に限定されない。例えば、複合繊維は、芯鞘型複合繊維、偏心芯鞘型複合繊維、並列型複合繊維、柑橘類の房状の樹脂成分が交互に配置されている分割型複合繊維や海島型複合繊維であってもよい。また、合成繊維の断面は丸断面でなくてよく、前記所定の異形断面複合繊維とは異なる異形断面を有してよい。
前記混合繊維は、その断面形状、素材(例えば、合成樹脂の種類、数)、あるいは複数の樹脂成分からなる複合繊維である場合は、合成樹脂の組み合わせや構成樹脂の複合形態が特に限定されないことは前記の通りである。また、混合繊維の繊度、繊維長、断面形状、および混合繊維が複合繊維である場合の複合比も、特に限定されるものではない。しかし、前記混合繊維が、異形断面複合繊維の好ましい繊度の範囲や好ましい繊維長の範囲と大きく異なると、カード機によってウェブを作製する際に生産性が低下することがあるだけでなく、本発明の効果が損なわれることがある。そのため、前記混合繊維の繊度も0.1dtex以上100dtex以下であることが好ましく、0.3dtex以上70dtex以下であることがより好ましい。また、前記混合繊維の繊維長は、3mm以上200mm以下であってよく、カード機によりウェブを作製して不織布を製造する場合、前記混合繊維の繊維長は、10mm以上150mm以下であることが好ましく、15mm以上120mm以下であることがより好ましく、20mm以上100mm以下であることが特に好ましい。
静電フィルターの不織布は、前記異形断面複合繊維のみから構成してよく、または前記異形断面複合繊維と、前記混合繊維とから構成してよい。以下に、不織布について説明する。
[不織布]
本発明の静電フィルターに含まれる不織布は、上記第1成分と第2成分とからなる異形断面複合繊維の第1成分によって構成繊維間の少なくとも一部が熱接着されてなる不織布であることが好ましい。不織布は、前記異形断面複合繊維を好ましくは30質量%以上含むことが好ましい。前記異形断面複合繊維をこの割合で含む静電フィルターは、高い捕集効率と長い寿命を実現しやすい。不織布は、前記異形断面複合繊維を、より好ましくは50質量%以上含み、特に好ましくは70質量%以上含み、最も好ましくは異形断面複合繊維のみからなる。
不織布の種類は特に限定されず、長繊維からなるスパンボンド不織布、またはメルトブロー法により得られるメルトブローン不織布であってよい。あるいは、不織布は、短繊維から、湿式抄紙法、カード機を用いてパラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブもしくはクリスクロスウェブを作製するカード法、またはエアレイ法によりウェブを作製し、さらにウェブを熱接着処理(熱加工)により一体化させることにより得られるものであってよい。熱接着処理は、異形断面複合繊維の第1成分および場合により含まれる他の複合繊維(混合繊維)の第1成分(低融点成分)を熱により溶融または軟化させて、繊維同士を第1成分により熱接着させるために実施することが好ましい。
熱接着処理は、例えば、熱風処理機(エアスルー式熱加工機を含む)、赤外線式熱処理機等、または熱ロール加工機等を用いて実施してよい。なかでも、熱接着処理は、不織布の厚さ方向に熱風を通過させて行うことが好ましい。例えば、熱風を不織布の一方の面側に吹き付け、不織布の他方の面側から熱風を吸引することで、不織布の厚さ方向に熱風を通過させることができる。かかる工程を採用すると、不織布の厚さ方向において、均一に繊維が接着された不織布を得ることができる。熱接着処理は、第1成分の溶融または軟化により、繊維間の空隙が過度に塞がれることのないように実施すること、例えば、熱風貫通式熱処理機や熱風吹き付け式熱処理機を用いて熱風を吹き付けることにより実施するのが好ましい。したがって、熱接着処理は、第1成分の紡糸後の融点よりも0℃〜50℃程度高い温度で実施することが好ましい。また、熱接着処理は、熱接着点の面積が広くならないように実施することが好ましい。
ウェブの一体化は、ニードルパンチおよび/または高圧水流処理から選択される1または複数の方法により実施してよい。これらの処理は、熱接着処理に加えて行ってよく、例えば、熱接着処理の前に、ウェブをニードルパンチおよび/または高圧水流処理に付してよい。
不織布の目付に特に限定はないが、通常のエアフィルター(例えば、空気清浄機、エアコン、換気扇などのエアフィルター)として使用する場合には、通常10g/m〜300g/m、好ましくは30g/m〜200g/m、より好ましくは50g/m〜150g/mである。目付が10g/m以上であると、目付が均一な不織布を得ることができ、捕集ムラが少なくなる。300g/m以下であると、帯電処理によって厚み方向へ均一に帯電させることができる。
また、マスク(防塵マスク、花粉防止マスク、医療用マスクなど)として使用する場合、目付けは、通常5g/m〜100g/m、好ましくは10g/m〜80g/m、より好ましくは15g/m〜70g/mである。目付が5g/m以上であると、目付が均一な不織布を得ることができ、埃や花粉なども捕捉しやすくなる。100g/m以下であると、通気性が高くなり、マスクとして着用した場合に息苦しくなくなる傾向にある。
前記所定の異形断面複合繊維を含む不織布は2以上積層された状態で用いられてよい。積層された不織布は、一部において又は全体にわたって、一体化されていてよく、あるいは一体化されていなくてもよい。一体化は第1成分の熱接着によってなされていてよく、あるいは、縫合、繊維同士の交絡、または接着剤によりなされていてもよい。また、不織布にはプリーツ加工と呼ばれるひだ折加工を施してもよく、その場合には2以上の不織布を積層した後に積層体をひだ折加工してもよいし、ひだ折加工したものを積層してもよい。
[静電フィルター]
本発明の静電フィルターは、上記異形断面複合繊維を含む不織布を直流高電圧の電界中に通し、電界中で冷却する、又は、不織布の表面にコロナ放電処理やプラズマ放電処理などの帯電処理を施してその繊維表面を分極荷電させたものである。すなわち、このように帯電処理が施された繊維は、一方の面が正の電荷に帯電しており、他方の面が負の電荷に帯電した状態にある。より詳しくは、本発明の静電フィルターは、上記不織布に含まれる繊維の表面、特に異形断面複合繊維の第1成分の表面をコロナ放電やプラズマ放電で改質して繊維表面の電気極性を分極することによって不織布全体を帯電させたものである。なお、本発明では帯電処理の際の条件に特に限定はなく、当業者に公知の手法で適宜条件を決定すればよい。
このように不織布を帯電させることによって、電荷は繊維の交点、特に異形断面複合繊維の第1成分の少なくとも一部が溶融または軟化することによって形成され得る熱接着交点や異形断面複合繊維の表面の凹部、特に鋭角の凹部に電荷が集中して捕捉され、電荷が安定的に滞留する。そのため本発明の静電フィルターでは、自然放電、すなわち時間の経過とともに静電捕集能が低下することを防止することができ、長期間にわたって不織布の帯電性を維持することができると推察される。また、本発明の静電フィルターでは、熱接着交点や凹部内に保持された電荷は、フィルターが他の物体と接触した場合であっても失われにくく、長期にわたって不織布の帯電性を維持することができる。
本発明の静電フィルターは、例えば、0.01μm〜1000μm、好ましくは0.1μm〜100μm、より好ましくは0.3μm〜5μmの大きさの粒子を主に捕捉することができる。また、本発明では、静電捕集能により0.5μm以下の大きさの微粒子を捕捉することができ、0.5μmより大きく10μm未満の粒子は繊維交点部分で物理的に捕捉することができ、さらに10μm以上の粒子については繊維間の空隙により物理的に捕捉することができると考えられる。また、その捕集効率は、より長期間にわたって、例えば2週間以上にわたって顕著に低下することがなく、捕集効率は持続する。
本発明の静電フィルターは、気体の通過を実質的に妨げないものであればよく、例えば、50cc/cm/秒以上、好ましくは80cc/cm/秒以上の通気度を有する。
また、本発明では、驚くべきことに、異形断面複合繊維に繊維処理剤を付着させることによっても不織布の帯電性および捕集効率を高めることができる。本発明において、繊維処理剤とは合成繊維用の繊維処理剤(すなわち通常の油剤)を意味し、親油性部位と親水性部位(極性部位)とを含む両親媒性のものを使用することができる。繊維処理剤を異形断面複合繊維に付着させることで不織布の帯電性や捕集効率が向上する理由は明らかでないが、熱処理時に当該繊維処理剤の親水性部位が繊維の内部に潜り込み又は組成変化して、親油性部位のみが繊維表面に顕在化するため、その後の帯電処理によって電気分極しやすくなるからであると考えられる。
従って、繊維処理剤による繊維の処理は、異形断面複合繊維の第1成分に熱を付与して第1成分を溶融または軟化させて熱接着不織布を形成する前であれば特に限定はなく、例えば、異形断面複合繊維の紡糸後、異形断面複合繊維の延伸前、異形断面複合繊維の延伸後などの少なくとも1つの段階で異形断面複合繊維に当該繊維処理剤を付与すればよい。繊維処理剤による異形断面複合繊維の処理方法としては、例えば、繊維処理剤を含む溶液への繊維の浸漬、繊維への繊維処理剤を含む溶液のスプレー塗布、刷毛塗りなどが挙げられるが、繊維に繊維処理剤を付着させることができるものであれば、特にこれらに限定されることはない。従って、繊維処理剤を含む溶液に熱接着処理前のウェブを浸漬させてもよいし、熱接着処理前のウェブに繊維処理剤を含む溶液をスプレー塗布、刷毛塗りなどして繊維処理剤をウェブに含浸させてもよい。
異形断面複合繊維に付与する繊維処理剤の量に特に限定はなく、例えば、0.01質量%〜15質量%であってよく、好ましくは0.05質量%〜10質量%、より好ましくは0.1質量%〜3質量%である。
本発明において使用することのできる繊維処理剤には特に限定はないが、なかでも特にポリエチレングリコール系の繊維処理剤を使用することが好ましい。ポリエチレングリコール系の繊維処理剤としては、分子量が400〜800のポリエチレングリコールと炭素数8〜20の脂肪酸とのエステルを主成分として含むものが好ましい。例えば、ポリエチレングリコールオレイン酸モノエステルやポリエチレングリコールラウリン酸モノエステルなどが挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(異形断面複合繊維1の準備)
第2成分がポリプロピレン(融点165℃)、第1成分が高密度ポリエチレン(融点125℃)からなり、第2成分と第1成分が、図1に示す断面形状になるように配置された四葉型の異形断面を有する芯鞘型複合繊維を用意した(繊度2.2dtex、繊維長51mm)(以下、「異形断面複合繊維1」)。なお、異形断面複合繊維1は、溶融紡糸の際の複合比(容積比)は50/50(第2/第1)であり、延伸倍率は4.5倍であった。また、この繊維には、リン酸エステル系の繊維処理剤を付与した。
異形断面複合繊維1において、Lは12μm、Lは10μm、Lは8.6μm、Lは5.3μm、L/Lは0.83、L/Lは0.72、L/Lは0.44であった。
(異形断面複合繊維2の準備)
第2成分がポリプロピレン(融点165℃)、第1成分が高密度ポリエチレン(融点125℃)からなり、第2成分と第1成分が、図1に示す断面形状になるように配置された四葉型の異形断面を有する芯鞘型複合繊維を用意した(繊度2.2dtex、繊維長51mm)。なお、この繊維の溶融紡糸の際の複合比(容積比)は50/50(第2/第1)であった(延伸倍率4.5倍)。また、この繊維には、分子量600のポリエチレングリコールとオレイン酸とのモノエステルからなるポリエチレングリコール系の繊維処理剤を付与した(以下、「異形断面複合繊維2」)。
異形断面複合繊維2において、Lは12μm、Lは10μm、Lは8.6μm、Lは5.3μm、L/Lは0.83、L/Lは0.72、L/Lは0.44であった。
(比較用の円形断面複合繊維の準備)
第2成分がポリプロピレン(融点165℃)、第1成分が高密度ポリエチレン(融点125℃)からなり、第2成分と第1成分が、同心でともに円形断面となるように配置された芯鞘型複合繊維を用意した(繊度2.2dtex、繊維長51mm)(以下、「円形断面複合繊維」)。なお、この円形断面複合繊維の溶融紡糸の際の複合比(容積比)は50/50(第2/第1)であり、延伸倍率は4.5倍であった。
(静電フィルターの製造)
(実施例1)
異形断面複合繊維1をパラレルカード機で開繊してウェブを作製し、このウェブに熱風貫通式熱処理機(140℃)で熱処理を施し、繊維同士を第1成分で熱接着させて熱接着不織布(不織布1)を作製した。
次に、この熱接着不織布をステンレス製のメッシュコンベアで搬送しながら、100℃の雰囲気下、針を一定間隔で埋め込んだ印加電極によって、7〜20Kvの直流高電界を発生させて、繊維表面を分極荷電させた。
(実施例2)
異形断面複合繊維2を用いて、実施例1で採用した手順と同じ手順に従って熱接着不織布(「不織布2」)を作製し、同様に帯電処理を施して静電フィルターを得た。
(比較例1)
上記円形断面複合繊維を用いて、実施例1で採用した手順と同じ手順に従って熱接着不織布(「不織布3」)を作製し、同様に帯電処理を施して静電フィルターを得た。
[捕集効率]
実施例1、2および比較例1で作製した静電フィルターの各サンプル(120mm×120mm×厚さ1.3mm)を上記の帯電処理を施してから1日、8日、18日、20日または30日間が経過した時点で、JIS B 9908に準じて、ろ過面を100mmφとして、測定速度23.8リットル/分で大気塵を静電面に通して、ろ過した。ろ過前後で0.3μm、0.5μm、1.0μmおよび2.0μmの粒子をそれぞれ分画し、粒子の個数を測定して下記式により捕集効率(%)を算出した。
捕集効率(%)=(1−C2/C1)×100
なお、上記式において、C1は濾過前の粒子の個数であり、C2は濾過後の粒子の個数である。
各フィルターで得られた捕集効率(%)を以下の表1および図7のグラフに示す。なお、図7の符号「1d」、「8d」、「18d」、「20d」、「30d」を付した棒グラフはそれぞれ「1日」、「8日」、「18日」、「20日」、「30日」が経過した後の静電フィルターの捕集効率(%)を示す。なお、静電フィルターによる粒子の捕集については、重量の軽い大きさが0.5μm以下の粒子の捕集は、主に静電引力(フィルターと粒子との間の電気的吸引力)によるものと理解され、0.5μmを超える粒子の捕集は、主に物理的吸着によるものと理解され得る。
なお、不織布1〜3(すなわち実施例1、2および比較例1の各静電フィルターにおいて帯電処理を施していないもの)についてもそれぞれ捕集効率(%)を測定した。その結果を以下の表2および図7のグラフに示す。なお、図7のグラフにおいて、符号「f1」、「f2」、「f3」は、それぞれ「不織布1」、「不織布2」、「不織布3」を示す。
表中の通気圧損の値は、捕集効率の測定の際のフィルターの入口側と出口側の圧力差(圧損(Pa))を測定したものである。なお、通気圧損は値が小さいほど通気性が良いことを示す。また、表中の目付の値は、不織布の製造後にそれぞれ実際に秤量した値である。
表1および図7のグラフに示す通り、比較例1の円形断面複合繊維を使用して静電フィルターを作製して捕集効率を測定した場合、0.5μm以下の大きさの粒子の捕集効率は日数が経過するごとに10%以下にまで低下する。このことは、図7のグラフ(0.3μmおよび0.5μm)の「比較例1」の30日が経過した後のグラフ(30d)の値から明らかである。特に、比較例1の静電フィルターでは、0.5μmの大きさの粒子の捕集効率が1日後(1d)では26.4%であったが30日が経過した後(30d)には7.8%にまで著しく低下する。
対して、本発明の実施例1の静電フィルターでは、異形断面複合繊維を使用することによって、30日が経過しても0.5μm以下の大きさの粒子の捕集効率は実質的に低下することがなく、20%前後の高い捕集効率を維持することができる。このことは、図7のグラフ(0.3μmおよび0.5μm)の「実施例1」の30日が経過した後のグラフ(30d)の値から明らかである。特に、本発明の実施例1の静電フィルターでは、0.5μmの大きさの粒子の捕集効率は30日が経過した後であっても20%以上で維持することができる。
このように、本発明では異形断面複合繊維を使用して静電フィルターを作製することによって、粒子の大きさが0.5μm以下の重量の軽い微細な粒子の捕集効率の低下を顕著に防止することができる。
なお、本発明の実施例1の静電フィルターでは、表1、2および図7のグラフに示す通り、静電処理を施していない不織布(f1)と比べて、0.5μmの大きさの粒子を静電引力により捕集する能力が2倍以上に向上する。
このことは、図8の電子顕微鏡写真に示すように、本発明の実施例1では断面形状が四葉型をした異形断面複合繊維の外側の第1成分の熱接着により形成された交点や異形断面複合繊維の表面の凹部あるいは繊維が分離したり枝分かれした部分において電荷が集中して安定的に滞留するので、電荷の自然放電が抑制されたと考えられる。また、本発明の静電フィルターでは、このような繊維表面の微細な凹部や繊維が分離したり枝分かれした部分においても微粒子を物理的に吸着させる能力に長けるので、相乗的に上記の静電吸着効果が向上したと考えられる。なお、比較例1の円形断面複合繊維では、図9の電子顕微鏡写真に示されるように、繊維表面は非常に滑らかで電荷が滞留し得る凹部や繊維が分離した部分はほとんど観察されないので、電荷をその表面に滞留させることは難しく、自然放電により電荷が放出され、捕集効率が著しく低下したものと考えられる。
さらに驚くべきことに、表1、図7のグラフの「実施例2」にて実証する通り、本発明では異形断面複合繊維にポリエチレングリコール系の繊維処理剤を付与すると、0.5μm以下の大きさの粒子の捕集効率が約2倍にまで向上し、しかも40%程度の高い捕集効率を20日が経過しても維持することができる。これは、繊維の熱接着時にポリエチレングリコール系の繊維処理剤の親水性部位が繊維の内部に潜り込み、親油性部位のみが繊維表面に顕在化したため、その後の帯電処理によって電気分極しやすくなったからであると考えられる。
また、本発明では、1.0μm以上の大きさの粒子も高い捕集効率で捕集することができる。このことは、表1、図7のグラフ(1.0μmおよび2.0μm)の「比較例1」と「実施例1、2」との比較から明らかである。このような高い捕集効率はフィルターの物理的な捕捉力だけでなく、フィルターの静電力も影響しているものと考えられる。なお、実施例2の静電フィルターでは、1.0μm以上の大きさの粒子を捕集する能力は、帯電処理を施していない不織布(f2)と比べて、約3〜4倍向上する。
このように、本発明では、不織布に異形断面複合繊維を使用することにより、融点の低い第1成分が繊維同士を熱接着させることにより形成される交点および繊維表面の凹部に電荷が集中して滞留し、自然放電を防止することができる。その結果、静電力による0.5μm以下の大きさの微細な粒子の捕集効率が向上し、長期間にわたってその効果が持続する。
また、驚くべきことに、本発明では繊維の表面にポリエチレングリコール系の繊維処理剤が付着していると、不織布形成時の加熱および帯電処理によって、不織布の帯電能が飛躍的に高まり、捕集効率を2倍以上に向上させることもできる。そして、この場合においても捕集効率は高いまま長期間にわたって持続する。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
帯電した不織布を含む静電フィルターであって、該不織布は、熱可塑性樹脂からなる第1成分と、該第1成分の紡糸後の融点よりも高い紡糸後の融点を有する熱可塑性樹脂からなる第2成分とを含み、かつ該第1成分が該第2成分の表面の少なくとも一部を被覆してなる異形断面複合繊維を含む、静電フィルター。
(態様2)
前記不織布の構成繊維の少なくとも一部が前記第1成分によって熱接着されている、態様1に記載の静電フィルター。
(態様3)
前記異形断面複合繊維は、前記第1成分が繊維表面の全部を占める鞘部を構成しており、前記第2成分が芯部を構成している芯鞘型の繊維である、態様1または2に記載の静電フィルター。
(態様4)
前記異形断面複合繊維の少なくとも一部は、繊維の長さ方向に垂直な面で切断した横断面の断面形状において、3個以上8個以下の凸部を有する、態様1〜3のいずれか1項に記載の静電フィルター。
(態様5)
前記異形断面複合繊維の少なくとも一部が、その繊維表面の少なくとも一部に、前記凸部と凸部との間に形成された、繊維の長さ方向に沿って延びる凹部を1または複数有し、前記凹部のうち少なくとも1つが、繊維の横断面において鋭角を形成している、態様4に記載の静電フィルター。
(態様6)
前記異形断面複合繊維にポリエチレングリコール系の繊維処理剤が付着している、態様1〜5のいずれか1項に記載の静電フィルター。
(態様7)
熱可塑性樹脂からなる第1成分と、該第1成分の紡糸後の融点よりも高い紡糸後の融点を有する熱可塑性樹脂からなる第2成分とを含み、かつ該第1成分が該第2成分の表面の少なくとも一部を被覆してなる異形断面複合繊維を用いた不織布に帯電処理を施して前記不織布を帯電させる工程を含む、静電フィルターの製造方法。
(態様8)
前記帯電処理を施す工程の前に、前記異形断面複合繊維を含むウェブに熱を付与して該ウェブの構成繊維の少なくとも一部を前記第1成分によって熱接着させることによって前記不織布を得る工程をさらに含む、態様7に記載の製造方法。
(態様9)
前記熱接着させる工程の前に、前記異形断面複合繊維にポリエチレングリコール系の繊維処理剤を付与する工程をさらに含む、態様に記載の製造方法。
(態様10)
態様1〜6のいずれか1項に記載の静電フィルターに空気を通してその中に含まれる粒子を捕集する工程を含む空気清浄方法。
本発明の静電フィルターは、気体中の微細な粒子(特に0.5μm以下の微細な粒子、例えば、粉塵、煙塵、花粉、ウイルスなど)の捕捉が求められる分野での使用、特に空気清浄機用、エアコン用、換気扇用のエアフィルター、複写機や印刷機などのトナー除去フィルター、掃除機用排気フィルター、ポーレンフィルター、マスク(防塵用マスク、花粉防止用マスク、医療用マスクなど)などにおける使用に適している。
1 第1成分
2 第2成分
100 異形断面複合繊維

Claims (7)

  1. 帯電した不織布を含む静電フィルターであって、該不織布は、熱可塑性樹脂からなる第1成分と、該第1成分の紡糸後の融点よりも高い紡糸後の融点を有する熱可塑性樹脂からなる第2成分とを含み、かつ該第1成分が該第2成分の表面の少なくとも一部を被覆してなる異形断面複合繊維を含み、
    該異形断面複合繊維の少なくとも一部は、該第1成分が繊維表面の全部を占める鞘部を構成しており、該第2成分が芯部を構成している芯鞘型の繊維であり、かつ繊維の長さ方向に垂直な面で切断した横断面の断面形状において、3個以上8個以下の凸部を有し、
    該異形断面複合繊維の少なくとも一部が、その繊維表面の少なくとも一部に、該凸部と凸部との間に形成された、繊維の長さ方向に沿って延びる凹部を1または複数有し、該凹部のうち少なくとも1つが、繊維の横断面において鋭角を形成していて、
    前記異形断面複合繊維は、前記横断面において、凸部先端から繊維の中心に直線を引いたとき、繊維中心から凸部先端までの長さをLとし、第2成分の凸部先端から繊維の中心に直線を引いたときの、繊維中心から第2成分の凸部先端までの長さをLとしたとき、前記Lに対するLの比(L/L)が0.25以上であり、
    前記異形断面複合繊維の凸部先端と繊維の中心を結ぶ直線と、隣り合う凹部の底部同士を結ぶ線分との交点を求め、前記交点から凸部先端までの長さをLとしたとき、前記Lに対するLの比(L/L)が0.25以上である、
    静電フィルター。
  2. 前記不織布の構成繊維の少なくとも一部が前記第1成分によって熱接着されている、請求項1に記載の静電フィルター。
  3. 前記異形断面複合繊維にポリエチレングリコール系の繊維処理剤が付着している、請求項1または2に記載の静電フィルター。
  4. 熱可塑性樹脂からなる第1成分と、該第1成分の紡糸後の融点よりも高い紡糸後の融点を有する熱可塑性樹脂からなる第2成分とを含み、かつ該第1成分が該第2成分の表面の少なくとも一部を被覆してなる異形断面複合繊維を用いた不織布に帯電処理を施して前記不織布を帯電させる工程を含み、
    該異形断面複合繊維の少なくとも一部は、該第1成分が繊維表面の全部を占める鞘部を構成しており、該第2成分が芯部を構成している芯鞘型の繊維であり、かつ繊維の長さ方向に垂直な面で切断した横断面の断面形状において、3個以上8個以下の凸部を有し、
    該異形断面複合繊維の少なくとも一部が、その繊維表面の少なくとも一部に、該凸部と凸部との間に形成された、繊維の長さ方向に沿って延びる凹部を1または複数有し、該凹部のうち少なくとも1つが、繊維の横断面において鋭角を形成していて、
    前記異形断面複合繊維は、前記横断面において、凸部先端から繊維の中心に直線を引いたとき、繊維中心から凸部先端までの長さをLとし、第2成分の凸部先端から繊維の中心に直線を引いたときの、繊維中心から第2成分の凸部先端までの長さをLとしたとき、前記Lに対するLの比(L/L)が0.25以上であり、
    前記異形断面複合繊維の凸部先端と繊維の中心を結ぶ直線と、隣り合う凹部の底部同士を結ぶ線分との交点を求め、前記交点から凸部先端までの長さをLとしたとき、前記Lに対するLの比(L/L)が0.25以上である、
    静電フィルターの製造方法。
  5. 前記帯電処理を施す工程の前に、前記異形断面複合繊維を含むウェブに熱を付与して該ウェブの構成繊維の少なくとも一部を前記第1成分によって熱接着させることによって前記不織布を得る工程をさらに含む、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記熱接着させる工程の前に、前記異形断面複合繊維にポリエチレングリコール系の繊維処理剤を付与する工程をさらに含む、請求項に記載の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電フィルターに空気を通してその中に含まれる粒子を捕集する工程を含む空気清浄方法。
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