JP2002339256A - エレクトレット不織布用ポリオレフィン系熱接着繊維およびエレクトレット不織布 - Google Patents
エレクトレット不織布用ポリオレフィン系熱接着繊維およびエレクトレット不織布Info
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Abstract
のエレクトレット化処理を効率よく行うことができ、良
好なエレクトレット性能を長期間維持し得る不織布を与
えるポリオレフィン系熱接着繊維、およびエレクトレッ
ト不織布を提供する。 【解決手段】 油剤0.2〜0.6重量%が付着され、
かつ加熱処理による不織布化時や不織布化後の加熱処理
で不織布の油剤付着量が0.001〜0.2重量%に減
少すると共に、油剤付着量の減少率が60%以上となり
得るエレクトレット不織布用ポリオレフィン系熱接着繊
維、およびこの熱接着繊維からなる原綿を不織布化時や
不織布化後、エレクトレット化処理してなる不織布であ
る。
Description
織布用ポリオレフィン系熱接着性繊維およびそれを用い
たエレクトレット不織布に関する。さらに詳しくは、本
発明は、油剤付着量が不織布化時や不織布化後の加熱処
理により著しく減少し、不織布化時あるいは不織布化後
のエレクトレット化処理を容易に行うことができ、良好
なエレクトレット性能をもつ不織布を与え得るポリオレ
フィン系熱接着繊維、およびこれを用いてなる各種フィ
ルター用途などに好適なエレクトレット不織布に関する
ものである。
ウスダストなどによるアレルギー症状などの増加に伴
い、家庭内での空気清浄化意識が向上し、エアフィルタ
ーなどの需要が増加してきている。このようなフィルタ
ーには、一般にポリオレフィン系樹脂などを用い、静電
気的な捕集機能を利用したエレクトレット不織布が利用
されている。
ープルファイバーを原綿として用いたものが知られてお
り、そして、このステープルファイバーから不織布を形
成するには、一般に、該ステープルファイバーをカード
機に通過させて開繊し、ウェブ化したのち、融着または
交絡などの手段が用いられる。かかる不織布は、熱エレ
クトレットやエレクトロエレクトレットなどの方法でエ
レクトレット化され、エレクトレット不織布となる。
布の製造においては、カード工程において静電気の発生
を抑制することが必要であり、そのため、通常静電気防
止能を有する界面活性剤などの油剤が原綿上に付着され
ている。しかしながら、このような油剤は、不織布のエ
レクトレット化の妨げとなる上、たとえエレクトレット
化されたとしても、比較的短時間で粉塵ろ過効率などの
性能を低下させる原因となる。そのため、原綿の油剤付
着量を減らそうとすると、カード工程で静電気が発生し
やすくなり、操業性に悪影響を及ぼし、不織布化が困難
となったり、あるいは歩留まりが低下するなどの問題が
生じる。
に、付着している油剤を洗浄除去したり、ウォータージ
ェット法により交絡と同時に油剤成分を除去したりする
などの手法がとられることもあるが、この場合、工程の
増加や新たな設備が必要で、製造コストが高くつくなど
の問題が生じる。
事情のもとで、カード工程において、静電気の発生など
を防止し得る程度の量の油剤が付着され、かつその油剤
付着量が不織布化時や不織布化後の加熱処理により著し
く減少し、不織布化時あるいは不織布化後のエレクトレ
ット化処理を、高いエレクトレット化効率で行うことが
でき、良好なエレクトレット性能を長期間維持可能な不
織布を与え得るポリオレフィン系熱接着繊維、およびこ
れを用いてなる各種フィルター用途などに好適なエレク
トレット不織布を提供することを目的とするものであ
る。
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の量の油
剤が付着され、加熱処理による不織布化時や不織布化後
の加熱処理で該油剤付着量が特定の範囲に減少し、かつ
その減少率がある値以上であるポリオレフィン系熱接着
繊維により、その目的を達成し得ることを見出し、この
知見に基づいて本発明を完成するに至った。
0.6重量%が付着してなるポリオレフィン系熱接着繊
維からなり、加熱処理による不織布化時および/または
不織布化後の加熱処理で、不織布の油剤付着量が0.0
01〜0.2重量%に減少し、かつ式(I) 油剤付着量の減少率(%)=[(A−B)/A]×100 …(I) [ただし、Aは熱接着繊維の油剤付着量(重量%)、B
は加熱処理後の不織布の油剤付着量(重量%)であ
る。]で表される油剤付着量の減少率が60%以上とな
り得ることを特徴とするエレクトレット不織布用ポリオ
レフィン系熱接着繊維、
らなる原綿を不織布化時および/または不織布化後エレ
クトレット化処理してなることを特徴とするエレクトレ
ット不織布、(3)上記エレクトレット不織布を用いて
得られたエアーフィルターおよびワイピングクロス、を
提供するものである。
ポリオレフィン系熱接着性繊維は、熱接着性を有するポ
リオレフィン系複合繊維と、該繊維に付着した油剤とか
らなるものであって、上記ポリオレフィン系複合繊維
は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状
低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレンランダム共
重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等を
低融点成分とし、ポリプロピレン、ポリエステル(PE
T、PBT、PPT)、ポリアミド(ナイロン6、ナイ
ロン66)等を高融点成分とする鞘芯型あるいは並列型
の複合繊維で、熱接着が可能なものである。また、単一
繊維でも熱接着可能なものであれば実施できる。上記の
うち、ポリエチレン、特に高密度ポリエチレンを低融点
成分とし、ポリプロピレンを高融点成分とした鞘芯型繊
維が特に好ましい。
着繊維に対し、0.2〜0.6重量%の割合で付着して
いることが必要である。この付着量が0.2重量%未満
ではカード工程において静電気発生のトラブルが生じや
すいし、0.6重量%を超えると加熱処理後における不
織布の油剤付着量が、所定の範囲まで減少しにくい。
化時および/または不織布化後の加熱処理で、不織布の
油剤付着量は0.001〜0.2重量%の範囲に減少す
ることが必要である。この油剤付着量が0.2重量%を
超えると不織布のエレクトレット化が阻害され、高いエ
レクトレット効率が得られず、かつ良好なエレクトレッ
ト性能を長期間維持することが困難となる。加熱処理後
における不織布の好ましい油剤付着量は0.001〜
0.1重量%であり、特に0.001〜0.06重量%
の範囲が好ましい。
は加熱処理後の不織布の油剤付着量(重量%)であ
る。]で表される油剤付着量の減少率は、60%以上で
あり、好ましくは80%以上である。
前記要件を満たすものであればよく、特に制限はない
が、好ましいものとして、分子量400〜800のポリ
エチレングリコールと炭素数10〜20の脂肪酸とのエ
ステルを主成分とするものを挙げることができる。上記
エステルにおいて、ポリエチレングリコール成分の分子
量が400未満では油剤が水に溶解しにくく使用上の問
題が生じるおそれがあるし、800を超えると絶縁抵抗
が大きくなり、カード工程で静電気発生などの問題が生
じやすくなり、好ましくない。一方、上記エステルにお
ける脂肪酸成分としては、本発明の効果の点から全炭素
数10〜20の範囲のものが好ましく、またこの脂肪酸
は飽和、不飽和のいずれであってもよいし、直鎖状、分
岐鎖状のいずれであってもよい。このような脂肪酸の例
としては、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン
酸などが挙げられる。さらに、エステルの形態はジエス
テル、モノエステルのいずれであってもよいが、本発明
の効果の点から、モノエステルが好適である。
によりその親水性基が繊維内部に潜り込み、その疎水基
が繊維表面に顕在するものと思われる現象が観察され
る。本発明においては、油剤として、前記のポリエチレ
ングリコール脂肪酸エステルを1種含むものを用いても
よいし、2種以上含むものを用いてもよく、あるいは該
ポリエチレングリコール脂肪酸エステルと共に、本発明
の効果が損われない範囲で、他の公知の油剤を含むもの
を用いてもよい。本発明のエレクトレット不織布は、前
述のように特定の要件を満たす油剤が付着されたポリオ
レフィン系熱接着繊維からなる原綿を不織布化時および
/または不織布化後エレクトレット化処理したものであ
る。
布化手段としては、例えば熱風融着、熱ローラ融着(エ
ンボスローラー融着を含む)などの加熱融着法による不
織布化が、融着と同時に油剤付着量を減少させることが
できるので、好ましい。その他、ニードルパンチなどの
非加熱方式の不織布化処理であっても、その後に加熱処
理することにより、加熱融着と同様に油剤付着量を減少
させることができる。
ィン系熱接着繊維の繊度は特に限定されるものではない
が、得られるエレクトレット不織布の主用途であるフィ
ルターやウエスなどを考慮すると、0.5〜50.0d
Tex程度で、好ましくは1.0〜30.0dTexで
あり、繊維長は30〜130mm程度である。
に制限はなく、従来公知のコロナ放電、電界荷電、電子
線照射などの方法を適用することができる。なお、不織
布化手段として、前述の熱風融着法を用いる場合、融着
機内にエレクトレット化装置を組み込むことにより、繊
維の融着、油剤付着量の減少およびエレクトレット化を
同時に行い得るので、本発明を効率よく実施することが
できる。
エアーフィルターを作製するには、本発明のポリオレフ
ィン系熱接着繊維を用いて、前述の要領でろ過性能に応
じた適宜目付の不織布化とエレクトレット化を行いエレ
クトレット不織布を得て、これをフィルター装置に取付
ければ良い。ワイピングクロスは、本発明のエレクトレ
ット不織布を、適宜のサイズに裁断し製品化するか、柄
つきのモップの如くエレクトレット不織布を細紐状にす
るなどしてこれを収束固定しモップあるいははたきとす
ることができる。
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。なお、熱接着繊維および不織布の
油剤付着量は、下記の方法により測定した。 〈油剤付着量の測定〉迅速残脂抽出装置(東海計器製:
R−II型)を用い、試料2gに対し、エチルアルコール
とメチルアルコールの重量混合率が2:1である溶剤1
0ミリリットルで2回、付着油剤を抽出させ、抽出油剤
量を測定した後、次式に従って油剤付着量を算出した。
(g)/試料重量(g)]×100 実施例1 高密度ポリエチレン(PE)を鞘成分とし、ポリプロピ
レン(PP)を芯成分とする鞘芯型複合繊維を常法によ
り紡糸したのち、延伸処理し、スタッフィングボックス
により捲縮数6個/cmの捲縮を付与し、分子量600
のポリエチレングリコールとオレイン酸とのモノエステ
ルからなる油剤を付着させて加熱乾燥処理し、繊度2.
2dTex、長さ51mmのPE/PP系熱接着繊維を
作製した。この熱接着繊維の油剤付着量は0.3重量%
であった。
E/PP系熱接着繊維(原綿)を用い、カード機により
開繊してウエブとしたのち、135℃の熱風融着機を通
過させてエアスルー不織布を得た。この不織布の油剤付
着量は0.04重量%であり、原綿の油剤付着量に比
べ、大幅な油剤付着量の減少が確認された。結果を表1
に示す。上記不織布を110℃の雰囲気下で、10kV
の直流電圧を印加してエレクトレット化処理し、エレク
トレット不織布を作製した。このエレクトレット不織布
は、粉塵ろ過性能および性能維持能共に良好であること
を確認した。
レングリコールとラウリン酸とのモノエステルを用いた
以外は、実施例1と同様にして、油剤0.3重量%を付
着させた繊度2.2dTex、長さ51mmのPE/P
P系熱接着繊維を作製した。
E/PP系熱接着繊維を用い、実施例1と同様にしてエ
アスルー不織布を作製した。この不織布の油剤付着量は
0.03重量%であり、実施例1と同様に、原綿の油剤
付着量に比べ、大幅な油剤付着量の減少が確認された。
結果を表1に示す。この不織布を、実施例1と同様にし
てエレクトレット化処理し、エレクトレット不織布を作
製したところ、粉塵ろ過性能および性能維持能共に良好
であることを確認した。
レングリコールとオレイン酸とのモノエステルを用い、
油剤1.0重量%を付着させた繊度2.2dTex、長
さ51mmのPE/PP系熱接着繊維を作製した。
E/PP系熱接着繊維を用い、実施例1と同様にしてエ
アスルー不織布を作製した。この不織布の油剤付着量は
0.42重量%であり、不織布にした場合の油剤付着量
の減少が十分ではなかった。この結果を表1に示す。こ
の不織布を、実施例1と同様にしてエレクトレット化処
理し、エレクトレット不織布を作製したところ、粉塵ろ
過効率が小さく、かつ性能維持能も低かった。
のリン酸エステルカリウム塩(C8ホスフェートK塩)
を用いた以外は、実施例1と同様にして、油剤0.3重
量%を付着させた繊度2.2dTex、長さ51mmの
PE/PP系熱接着繊維を作製した。
E/PP系熱接着繊維を用い、実施例1と同様にしてエ
アスルー不織布を作製した。この不織布の油剤付着量は
0.28重量%であり、不織布にした場合の油剤付着量
の減少はほとんどなかった。この結果を表1に示す。こ
の不織布を、実施例1と同様にしてエレクトレット化処
理し、エレクトレット不織布を作製したところ、粉塵ろ
過効率が小さく、かつ性能維持能も低かった。
レフィン系熱接着繊維は、カード工程において、静電気
の発生などを防止し得る程度の量の油剤が付着され、か
つその油剤付着量が不織布化時や不織布化後の加熱処理
により著しく減少し、不織布化時あるいは不織布化後の
エレクトレット化処理を、高いエレクトレット化効率で
行うことができ、良好なエレクトレット性能を長期間維
持可能な不織布を与えることができる。また、上記ポリ
オレフィン系熱接着繊維を用いた本発明のエレクトレッ
ト不織布は、良好なエレクトレット性能を長期間維持可
能であって、各種フィルター用途などに好適に用いられ
る。
Claims (6)
- 【請求項1】 油剤0.2〜0.6重量%が付着してな
るポリオレフィン系熱接着繊維からなり、加熱処理によ
る不織布化時および/または不織布化後の加熱処理で、
不織布の油剤付着量が0.001〜0.2重量%に減少
し、かつ式(I) 油剤付着量の減少率(%)=[(A−B)/A]×100 …(I) [ただし、Aは熱接着繊維の油剤付着量(重量%)、B
は加熱処理後の不織布の油剤付着量(重量%)であ
る。]で表される油剤付着量の減少率が60%以上とな
り得ることを特徴とするエレクトレット不織布用ポリオ
レフィン系熱接着繊維。 - 【請求項2】 油剤が、分子量400〜800のポリエ
チレングリコールと炭素数10〜20の脂肪酸とのエス
テルを主成分とするものである請求項1に記載のエレク
トレット不織布用ポリオレフィン系熱接着繊維。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載のポリオレフィ
ン系熱接着繊維からなる原綿を不織布化時および/また
は不織布化後エレクトレット化処理してなることを特徴
とするエレクトレット不織布。 - 【請求項4】 エレクトレット化処理が、原綿の加熱処
理による不織布化時および/または不織布化後、加熱雰
囲気下で施されてなる請求項3に記載のエレクトレット
不織布。 - 【請求項5】 請求項3または4に記載のエレクトレッ
ト不織布を用いて得られたエアーフィルター。 - 【請求項6】 請求項3または4に記載のエレクトレッ
ト不織布を用いて得られたワイピングクロス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002029449A JP2002339256A (ja) | 2001-02-08 | 2002-02-06 | エレクトレット不織布用ポリオレフィン系熱接着繊維およびエレクトレット不織布 |
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JP2001032101 | 2001-02-08 | ||
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Publication Number | Publication Date |
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JP2002339256A true JP2002339256A (ja) | 2002-11-27 |
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-
2002
- 2002-02-06 JP JP2002029449A patent/JP2002339256A/ja active Pending
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