JP2015000378A - エアフィルタ濾材、その製造方法およびエアフィルタ - Google Patents

エアフィルタ濾材、その製造方法およびエアフィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】低圧力損失かつダスト捕集容量が大きく、剛性が高く、プリーツ性の高いエアフィルタ濾材、その製造方法およびエアフィルタの提供。
【解決手段】(I)〜(III)の連続工程からなることを特徴とするエアフィルタ濾材の製造方法など。
工程(I):短繊維カード機によって、PE単一短繊維またはPP/PE芯鞘型短繊維からなる繊維ウェブを紡出し、続いて、繊維ウェブを、ポリオレフィン製ネットの片面または両面上に、積層して、繊維ウェブとネットの複合積層シートを形成する工程。
工程(II):複合積層シートを加熱炉内に導入し、熱風を複合積層シートに直交するように通過させて、繊維ウェブの短繊維を、ネットの格子内部に収納するとともに、繊維同士の交点を溶着して、ネットの格子内に不織布を形成する工程。
工程(III):複合積層シートを加圧ロールに導入して、ネットの格子内の不織布を圧着せずに、ネットとネット上の繊維ウェブとを圧着し、一体化する工程。
【選択図】図1

Description

本発明は、エアフィルタ濾材、その製造方法およびエアフィルタに関し、より詳しくは、業務用事務機器や家庭用空気清浄器などに使用され、特に、低圧力損失かつダスト捕集容量の大きい高寿命のエアフィルタに用いられるエアフィルタ濾材、その製造方法およびエアフィルタに関する。
本発明のエアフィルタとは、例えば、コピー機などの業務用事務機器、プロジェクター、電気掃除機、家庭用空気清浄器、事務所及び工場内空調設備、車両などに敷設する除塵用エアフィルタをいう。
近年、このような用途においては、送風量の増大、開口面積の小型化などの要求により、エアフィルタの通風抵抗が小さいことが求められている。その結果、求められるエアフィルタ濾材(以下、フィルタ濾材ともいう。)は、それ自体が低圧力損失であるとともに、これをプリーツして使用する場合、プリーツ賦形性が良好、且つ、通風時にヘタらない保形性の高いものでなければならない。併せて、経済性、環境対応の面で、使用寿命の長い、すなわちダストの捕集容量の大きいフィルタ濾材が要望されている。
このような、背景から、従来から、様々なフィルタ濾材が提案されている。例えば、除塵機能を主に受け持つポリプロピレン(PP)製のメルトブロー不織布やスパンボンド不織布と、剛性(腰)の大きい乾式不織布などを支持体として、貼り合わせたフィルタ濾材が、または、その支持体に、ネットを用いるフィルタ濾材が、提案されている(例えば、特許文献1〜4等参照。)。
しかしながら、上記メルトブロー不織布やスパンボンド不織布は、繊維構造が緻密であり、ダストの除塵効率は高いものであるが、これらの不織布を使用すると、ダストがその不織布の表面に堆積されて、早期に目詰まりし、圧力損失が上昇し、その結果、寿命が短いという傾向が、共通して認められている。
そのため、エアフィルタ濾材として、上記の問題点を解消し、特に、低圧力損失かつダスト捕集容量の大きい高寿命のエアフィルタに用いられるエアフィルタ濾材の開発が要望されている。
特開2004−181354号公報 特開2009−136735号公報 特開2009−136736号公報 特開2012−055869号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、従来技術では達成し得ない低圧力損失かつダスト捕集容量の大きいエアフィルタ濾材であって、しかも、剛性が高く、プリーツ性の高いエアフィルタ濾材、その製造方法およびエアフィルタを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来技術にみられるメルトブロー不織布やスパンボンド不織布を使用するものではなく、短繊維をネットの格子上に直接紡出し、該ネット格子内に空隙率の高い短繊維を収納して、これを熱風処理に付すことにより、ネット格子内に、かさ高な不織布を形成し、同時にネットと一体化して、剛性の高いプリーツ保形性に優れ、かつ低圧力損失、高ダスト捕集容量のエアフィルタ濾材が得られることを見出し、これらの知見により、本発明を完成するに至った。
つまり、本発明者らは、(I)ポリオレフィン製のモノフィラメントが編込まれたネットの片面または両面に、ポリエチレン(PE)単一短繊維またはポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)芯鞘型短繊維からなる短繊維ウェブ(以下、繊維ウェブともいう)を紡出し、次に、(II)繊維ウェブを熱風によって、繊維同士の交点を溶着させることにより、ネットの格子空隙内に、かさ高な不織布を形成させ、次いで、(III)ネットに重なる繊維ウェブを、ネットの厚みでゲージをあけた加圧ロールにより、圧接して、ネットと繊維ウェブとを強固に一体化させることで、低圧力損失かつ内部空隙の大きい(したがって、ダスト捕集容量の大きい)エアフィルタ濾材を、連続した工程で得られることを、見出し、本発明を、完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、次の(I)〜(III)の連続工程からなることを特徴とするエアフィルタ濾材の製造方法が提供される。
工程(I):短繊維カード機によって、ポリエチレン(PE)単一短繊維またはポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)芯鞘型短繊維からなる繊維ウェブを紡出し、続いて、該繊維ウェブを、ポリオレフィン製ネットの片面または両面上に、積層して、繊維ウェブとネットの複合積層シートを形成する工程。
工程(II):次いで、該複合積層シートを加熱炉内に導入し、熱風を該複合積層シートに直交するように通過させて、該繊維ウェブの短繊維を、ネットの格子内部に収納するとともに、繊維同士の交点を溶着して、ネットの格子内に不織布を形成する工程。
工程(III):次いで、該ネットの格子内に不織布を形成した複合積層シートを加圧ロールに導入して、ネットの格子内の不織布を圧着せずに、ネットとネット上の繊維ウェブとを圧着し、一体化する工程。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記工程(III)では、ネットと繊維ウェブが加熱された状態で、ネットの厚みにゲージ間隔を設けた加圧ロールにより、ネットと繊維ウェブの短繊維を一体化することを特徴とするエアフィルタ濾材の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記PE単一短繊維またはPP/PE芯鞘型短繊維の表面には、予め繊維油剤が付加または付着され、該繊維油剤は、その主成分がポリエチレングリコール(PEG)と炭素数が10〜20の高級脂肪酸とのエステル化合物であり、かつ、前記工程(II)の熱風を通過させる処理により、該繊維油剤の60重量%以上が減少する繊維油剤であることを特徴とするエアフィルタ濾材の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明に係るエアフィルタ濾材の製造方法から得られるエアフィルタ濾材に、エレクトレット処理を施してなることを特徴とするエアフィルタ濾材が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第4の発明に係るエアフィルタ濾材を用いてなることを特徴とするエアフィルタが提供される。
本発明のエアフィルタ濾材の製造方法から得られたエアフィルタ濾材は、ネット内格子空間に繊維ウェブが圧密されることなく、不織布化されて、空隙が大きく、従って、低圧力損失で、ダスト捕集容量が高いという効果を奏する。また、エアフィルタ濾材に用いられているネットは、剛性の高い支持体(補強体)として機能し、プリーツのピッチや山高さが自在に取れること、且つ通風時のプリーツの変形による圧力損失の上昇や変形により捕集ダストが偏在してしまうといったエアフィルタ特有の問題を解消できる。
また、本発明のエアフィルタ濾材の製造方法から得られたエアフィルタ濾材は、エレクトレット処理を施すと、ダスト捕集効率が向上し、その性能が長期にわたり持続させることができる。
さらに、本発明のエアフィルタ濾材の製造方法は、短繊維不織布の形成とともに、ネットとの複合一体化が、連続工程にて実施されるので、生産方法としても合理的で、省力省エネルギー化を達成することができる。
本発明のエアフィルタ濾材の製造方法の一態様(ネットの両面上に繊維ウェブを積層して複合積層シートを形成する工程を含む)を説明する模式図である。 本発明のエアフィルタ濾材の製造方法の別の一態様(ネットの両面上に繊維ウェブを積層して複合積層シートを形成する工程を含む)を説明する模式図である。 本発明のエアフィルタ濾材の製造方法の別の一態様(ネットの片面上に繊維ウェブを積層して複合積層シートを形成する工程を含む)を説明する模式図である。 本発明のエアフィルタ濾材の製造方法から得られたエアフィルタ濾材の一例を説明する図である。 本発明のエアフィルタ濾材の製造方法から得られたエアフィルタ濾材の他の一例を説明する図である。 比較例1で得られたエアフィルタ濾材を説明する図である。 比較例2で得られたエアフィルタ濾材を説明する図である。
以下に、本発明について、詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではない。
本発明のエアフィルタ濾材の製造方法は、次の(I)〜(III)の連続工程からなることを特徴とする。
工程(I):短繊維カード機によって、ポリエチレン(PE)単一短繊維またはポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)芯鞘型短繊維からなる繊維ウェブを紡出し、続いて、該繊維ウェブを、ポリオレフィン製ネットの片面または両面上に、積層して、繊維ウェブとネットの複合積層シートを形成する工程。
工程(II):次いで、該複合積層シートを加熱炉内に導入し、熱風を該複合積層シートに直交するように通過させて、該繊維ウェブの短繊維を、ネットの格子内部に収納するとともに、繊維同士の交点を溶着して、ネットの格子内に不織布を形成する工程。
工程(III):次いで、該ネットの格子内に不織布を形成した複合積層シートを加圧ロールに導入して、ネットの格子内の不織布を圧着せずに、ネットとネット上の繊維ウェブとを圧着し、一体化する工程。
本発明のエアフィルタ濾材の製造方法の概要を、図1〜3を用いて、説明する。
1.工程(I)
工程(I)は、短繊維カード機によって、ポリエチレン(PE)単一短繊維またはポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)芯鞘型短繊維からなる繊維ウェブを紡出し、続いて、該繊維ウェブを、ポリオレフィン製ネットの片面または両面上に、積層して、繊維ウェブとネットの複合積層シートを形成する工程である。
図1及び図2は、ネットの両面上に、繊維ウェブを積層して、複合積層シートを形成する工程を説明する図であるが、図1及び図2において、繊維原綿となる短繊維は、カード機1により所定の目付重量にて、連続的に紡出され、シート状の繊維ウェブを形成して、前方に搬送され、同じく後方から繰り出されるネット2を挟み込むようにして、繊維ウェブとネットの複合積層シートを形成する。
2.工程(II)
工程(II)は、工程(I)で得られた複合積層シートを加熱炉内に導入し、熱風を該複合積層シートに直交するように通過させて、該繊維ウェブの短繊維を、ネットの格子内部に収納するとともに、繊維同士の交点を溶着して、ネットの格子内に不織布を形成する工程である。
図1及び図2において、工程(I)で形成された複合積層シートは、搬送コンベア3により、加熱炉内4に導入される。
加熱炉内4においては、所定の温度に設定された熱風を、該複合積層シートを貫通するように、すなわち、該複合積層シートに直交するように、送り込み、繊維ウェブを構成する短繊維の表面を溶融しつつ各繊維の交点を融着し、これにより、ネットの格子内に不織布を形成する。
3.工程(III)
工程(III)は、工程(II)で得られたネットの格子内に不織布を形成した複合積層シートを、加圧ロールに導入して、ネットの格子内の不織布を圧着せずに、ネットとネット上の繊維ウェブとを圧着し、一体化する工程である。
図1及び図2において、工程(II)で得られたネットの格子内に不織布を形成した複合積層シートが加熱されたままの状態で、ネットの厚みにゲージ間隔を設定した加圧ロール5に、導入されることにより、ネットの上に載っている繊維ウェブを圧着する。
上記のような加圧ロール処理においては、繊維ウェブは、ネットの格子間隙に潜りこむため、ロール圧力が直接加わることがないので、繊維ウェブが押し潰されることなく、不織布を形成することになる。
上記の機構により、かさ高で空隙率が大きく、従って、低圧力損失でダスト捕集容量が高い不織布化したフィルタ濾材を、ネットの格子内に形成することができる。
また、加圧ロール5は、ネットとそのフィラメントに載っている繊維ウェブとを、加圧し、一体化する。これにより、腰のある保形性に優れたエアフィルタ濾材6を製造することができる。
また、図3は、ネットの片面に、繊維ウェブを積層した場合を示すが、その操作は、上記の工程と同じである。
4.構成材料
(1)短繊維
本発明において、使用される繊維原綿となる短繊維は、ポリエチレン(PE)単一短繊維またはポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)芯鞘型短繊維であり、その繊維径が1〜20dtexの範囲から選択される。また、繊維径の異なる短繊維を、混合して用いてもよい。
(2)ネット
本発明において、ネットは、PP(芯)/PE(鞘)またはPP(芯)/低融点PP(鞘)構造のモノフィラメントが織り込まれたり、融着されたものである。
また、本発明で用いられるネットについては、エアフィルタ濾材の支持体としての機能から、以下の仕様の中から選ばれるのが好ましい。
(i)ネットの種類:
ネットの種類には、平織り、絡み織り、成形ネットなどがあるが、特に限定されない。
(ii)ネットの材質:
ネットに融着させる繊維ウェブがポリエチレンなどのポリオレフィンであることから、ネットの材質は、樹脂の親和性および融点の近さから、ポリオレフィンが好ましく、特にPE(鞘)/PP(芯)または低融点PP(鞘)/PP(芯)構造のモノフィラメントが格子状に織り込まれたり、融着成形されたものが、より好ましく用いられる。
(iii)ネットの繊維径:
ネットの繊維径は、0.1〜2mmの範囲が好ましく用いられる。
(iv)ネットの格子間隔:
ネットの格子間隔は、1〜10mmの範囲が好ましく用いられる。
(v)ネットの開口率:
ネットの開口率は、40〜95%の範囲が好ましく用いられる。
5.エアフィルタ濾材の特徴
上記のようにして得られたエアフィルタ濾材の特徴ある構造を、図4及び図5により、説明する。
図4(a)は、繊維ウェブをネットの両面から挟んだ構造の積層複合シートの断面の模式図であり、前記図1及び図2の製造方法に対応するものである。
図4(a)では、ネットのフィラメント10〜10’が構成する格子空間内に短繊維が収納され、繊維交点が熱風により、溶着結合して不織布を形成していることを表す模式図である。
また、図4(b)は、実施例1で得た試料を平面からみたSEM写真である。
図4(a)、(b)に示すように、ネットのモノフィラメントと、その上に重なる繊維ウェブが融着、結合していることがわかる。
これは、ネットの厚みに、好ましくはネットの厚みの±5%の範囲に、例えば、ネットの厚みが0.5mmであれば、0.475〜0.525mmの範囲に設定した、ゲージを開けた加圧ロールにより、圧着されて、繊維ウェブがネットに融着し、一体化した様態を示すものである。
ここで重要なことは、ネット格子内空間に形成された繊維は、加圧ロールにより、圧着されることは無く、高い空隙を保持している。これは、加圧ロールの圧力が、専らネットのモノフィラメント10,10’にかかり、一方、繊維ウェブは、加圧を免れるためである。
このようにして、低圧力損失かつ高いダスト捕集容量を有するエアフィルタ濾材がネット内に形成される。
また、図5(a)、(b)は、前記図3に示す工程により繊維ウェブがネットの片面に積層された例であり、得られた繊維ウェブとネットが一体化したフィルタ濾材構造を示すものである。
本発明では、さらに、下記に示す工程や処理などにより、ダストの捕集効率を向上させることができる。
すなわち、上記の製造方法よって得られたエアフィルタ濾材を、特定の繊維油剤処理を施した後に、エレクトレット処理を施すことにより、ダストの捕集効率を向上する方法である。
その作動原理について説明する。
通常、短繊維原綿には、カード機1での摩擦帯電を防ぐために、親水性油剤が付与されている。この繊維油剤がエレクトレット処理の実効性を低める原因になっている。
そのため、この親水性油剤をエアフィルタ濾材から除去する手段としては、水で洗浄することが挙げられるが、水洗と乾燥の工程が増加し、実用的な処理とはいえない。
そこで、本発明では、エレクトレット処理の実効性を高めるために、以下に述べる特定の親水性繊維油剤を、繊維表面に付着または付与し、熱風加熱炉内で、繊維表面に付着した繊維油剤を、揮発(蒸発や気化)または繊維内に侵入することなどにより、消失せしめることによって、実効性のあるエレクトレット処理を可能にしたものである。
そのような繊維油剤としては、原綿のカード機内では不具合を起こさない程度(繊維重量100重量%に対して、0.2〜0.6重量%)で繊維表面に付与されているが、熱風加熱炉内では、繊維表面に0.01〜0.1重量%に、存在するように、減少するものを選択する。
例えば、当初の付着量が0.4重量%であれば、熱風加熱炉内で、100×(0.4−0.01)/0.4〜100×(0.4−0.1)/0.4=97.5〜75重量%が消失するように、また、当初0.2重量%であれば、100×(0.2−0.01)/0.2〜100×(0.2−0.1)/0.2=95〜50重量%が、消失するように、減少するものを選択する。60重量%以上が減少する繊維油剤が好ましく、80重量%以上が減少する繊維油剤がより好ましく、90重量%以上が減少する繊維油剤がさらに好ましいい。
すなわち、本発明に適する具体的な繊維油剤は、分子量が400〜800の範囲で、主成分はポリエチレングリコールと炭素数10〜20の脂肪酸とのエステル化合物が好適である。脂肪酸は、飽和、不飽和のいずれでもよく、また、直鎖、分岐鎖のいずれでもよい。例えば、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、オレイン酸などである。この種の繊維油剤は、熱風で揮散する若しくは加熱により、その親水基がポリエチレン内部に潜り込むため、エレクトレット効果が高まるものと、考察される。
本発明では、この現象を利用し、特定の繊維油剤処理を施した後に、エレクトレット処理を施すことにより、繊維表面に、高レベルの荷電帯電状態を長期にわたり維持することができる。
本発明を以下の実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの例によって、何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例でのフィルタ性能は、以下の方法により、計測されたものである。
1.ダスト捕集効率及び圧力損失:
フィルタ試験機(TSI−8130、NaCl/0.3μm粒子、5.3cm/sec)を用いて、圧力損失(Pa)とダスト捕集効率(%)を計測した。
2.ダスト捕集量:
各フィルタ濾材で、10cm×10cm×5mm(高さ)×40山(山数)で作製したユニットに、JIS 15種粉塵を70mg/minの割合で供給し、圧力上昇が初期から150Pa上昇するまでのダスト捕集量を計測した。これを単位面積m当りの保持量に換算した。
3.不織布またはネットの目付け重量:
300×300mmの試験片を採取し、水分平衡状態の重さを測定し、1m当たりに換算して求めた。
4.通気度:
JIS L−1096A法(フラジール形法)に準じて測定した。
5.難燃性:
JACA法(空気清浄装置用ろ材燃焼性試験方法)に準じて測定した。
[実施例1]
実施例1は、前記の図1に示す製造方法により、短繊維ウェブ(目付け重量12g/m)をネットの両面から挟み込み、熱風加熱炉に導入して、ネットの格子内に不織布を形成し、その後、加熱炉外に設置された加圧ロールにおいて、ネットと繊維ウェブを加圧し一体化した。
この不織布/ネット複合積層シートに、エレクトレット処理を施し、最終製品としてのエアフィルタ濾材とした。
そのエアフィルタとしての性能(通気度、圧力損失、捕集効率)を表1に示した。
なお、本実施例1で使用したネットは、鞘部ポリエチレン(PE)、芯部がポリプロピレン(PP)でできた芯鞘構造のモノフィラメントを編み込んだもので、ネットとしての目付重量は35g/m、厚みは、0.44mm、格子間隔4mmのものを用いた。
また、短繊維としては、鞘部がポリエチレン(PE)、芯部がポリプロピレン(PP)の芯鞘構造の物の表面に、分子量600のポリエチレングリコールとラウリン酸とのモノエステルからなる油剤を付着させて、加熱乾燥処理し、太さが2.2デシテックス(dtex)、長さ51mmのものを作製し、使用した。この短繊維の油剤付着量は、繊維重量100重量%に対して、0.31重量%であり、加工後の不織布/ネット複合積層シートでの短繊維表面の油剤付着量は、0.04重量%であり、原綿の油剤付着量に比べ、大幅な油剤付着量の減少が確認された。
また、加工条件(加熱炉の熱風温度、加圧ロールのゲージ間隔など)も表1に、また、これらの条件により得られたフィルタ濾材の性能も併せて、表1に示した。
[比較例1]
上記実施例1の対比として、2枚のスパンボンド不織布(ポリプロピレン製、1枚当りの目付け重量18g/m)をネットの両面から挟み込み、熱ロールにより貼り合わせたものを比較例1とした。尚、比較のため、不織布の目付重量を、実施例1とほぼ同程度とした。
その結果、実施例1は、比較例1との対比において、低圧力損失、高ダスト捕集量であることが明らかとなった。
その理由として、比較例1で得たフィルタ濾材の構造を、図7に示すが、図7(b)に示すように、スパンボンド不織布が、ネット上でフィルム化し、また、スパンボンド不織布特有のエンボス部分がフィルム化し、その結果、圧力損失とダストの目詰まりが起きやすい繊維組織になっていることが、観察される。
[実施例2]
短繊維ウェブを片面から供給した場合の例(図3に示す方法)を実施例2とした。
実施例1において、短繊維は、繊度が6.6dtexのものを使用し、短繊維ウェブの目付重量は15g/mとする以外は、実施例1の条件に準拠した。
[比較例2]
上記実施例2の対比として、1枚のスパンボンド不織布(ポリプロピレン製、目付け重量12g/m2)をネットの片側に積層し、熱ロールにより貼り合わせたものを比較例2とした。また、図6に該スパンボンド不織布をネットの貼り合わせ状態を示した。
その結果、実施例2は、比較例2との対比において、低圧力損失、高ダスト捕集量であることが明らかである。
実施例1、2及び比較例1、2の概要と、評価結果を表1に示す。
Figure 2015000378
本発明のエアフィルタ濾材の製造方法から得られたエアフィルタ濾材は、繊維ウェブとネットを特定の条件で複合することで、かさの高い繊維構成となり、その結果、低圧力損失かつ高ダスト捕集容量(すなわち、長寿命)の性能を有する。このため、業務用事務機器や家庭用空気清浄器、車両などに使用するエアフィルタ濾材に好適である。
1 カード機(カーディング紡出機またはカーディング機)
2 ネット
3 搬送コンベア
4 加熱炉
5 加圧ロール
6 エアフィルタ濾材
10 ネットのフィラメント
10’ ネットのフィラメント

Claims (5)

  1. 次の(I)〜(III)の連続工程からなることを特徴とするエアフィルタ濾材の製造方法。
    工程(I):短繊維カード機によって、ポリエチレン(PE)単一短繊維またはポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)芯鞘型短繊維からなる繊維ウェブを紡出し、続いて、該繊維ウェブを、ポリオレフィン製ネットの片面または両面上に、積層して、繊維ウェブとネットの複合積層シートを形成する工程。
    工程(II):次いで、該複合積層シートを加熱炉内に導入し、熱風を該複合積層シートに直交するように通過させて、該繊維ウェブの短繊維を、ネットの格子内部に収納するとともに、繊維同士の交点を溶着して、ネットの格子内に不織布を形成する工程。
    工程(III):次いで、該ネットの格子内に不織布を形成した複合積層シートを加圧ロールに導入して、ネットの格子内の不織布を圧着せずに、ネットとネット上の繊維ウェブとを圧着し、一体化する工程。
  2. 前記工程(III)では、ネットと繊維ウェブが加熱された状態で、ネットの厚みにゲージ間隔を設けた加圧ロールにより、ネットと繊維ウェブの短繊維を一体化することを特徴とする請求項1に記載のエアフィルタ濾材の製造方法。
  3. 前記PE単一短繊維またはPP/PE芯鞘型短繊維の表面には、予め繊維油剤が付加または付着され、該繊維油剤は、その主成分がポリエチレングリコール(PEG)と炭素数が10〜20の高級脂肪酸とのエステル化合物であり、かつ、前記工程(II)の熱風を通過させる処理により、該繊維油剤の60重量%以上が減少する繊維油剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアフィルタ濾材の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアフィルタ濾材の製造方法から得られるエアフィルタ濾材に、エレクトレット処理を施してなることを特徴とするエアフィルタ濾材。
  5. 請求項4に記載のエアフィルタ濾材を用いてなることを特徴とするエアフィルタ。
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