JP2020050965A - エレクトレット加工用の繊維、それを含む不織布、およびそれらを含むエアフィルター - Google Patents

エレクトレット加工用の繊維、それを含む不織布、およびそれらを含むエアフィルター Download PDF

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Abstract

【課題】初期帯電性、捕集効率などの性能に優れ、好ましくは高温環境下に曝された場合であっても、初期帯電性、捕集効率などの性能をより維持することができるエアフィルター、そのための不織布および繊維の提供。【解決手段】熱可塑性樹脂を含む繊維に、下記式(1):HO−(A1O)n−H (1)[式中、A1Oは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成されるオキシアルキレン基であり、nは、前記A1Oの平均付加モル数を表し、96〜1135である]で表され、数平均分子量(Mn)が5000以上50000以下であるポリアルキレングリコールを特定の量で含む繊維処理剤が特定の量で付着したエレクトレット加工用の繊維、それを含む不織布およびエアフィルターである。【選択図】なし

Description

本開示は、エレクトレット加工用の繊維、当該繊維を含む不織布、当該不織布を含むエアフィルターに関する。
気体中の微細な浮遊物、例えば、大きさが0.5μm以下の粉塵、煙塵、花粉、ウイルスなどの微細な浮遊物を捕集することを目的として、帯電した不織布を利用したエアフィルターの開発が行われている。帯電した不織布(このような不織布は、帯電不織布、静電不織布とも呼ばれている)は、ポリプロピレン繊維やポリエステル繊維を主体とした各種不織布に対し、異なる材質の部材、例えばナイロン樹脂製のブラシで不織布の表面を擦り、摩擦により帯電させる摩擦帯電のほか、上記不織布を融点以下に加熱しながら、不織布表面にコロナ放電やプラズマ放電を施すことで不織布を帯電させるエレクトレット加工などにより製造することができる。
例えば、エレクトレット加工によって帯電させたエレクトレット不織布は、不織布を構成する繊維の直径や不織布の目付、厚さを適宜選択することで、微細な浮遊物を捕集する性能に優れるエアフィルターが得られるため、空気清浄機用フィルター、エアコン用フィルター、換気扇用フィルター、複写機や印刷機などで使用されるトナー除去フィルター、掃除機用フィルター、精密機器用フィルター、ポーレンフィルター、防塵用マスク、花粉防止用マスク、医療用マスクなどの各種マスクといった用途で使用されており、その改良も進められている(例えば、特許文献1)。
また、エアフィルター用の不織布を構成する繊維に特定の分子構造を有するソルビタン脂肪酸エステルやポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む繊維処理剤を付着させることで、不織布の帯電性や捕集効率が向上することが知られている(例えば、特許文献2)。
特開2014−73443号公報 特開2006− 2329号公報
上記の各種エアフィルターとしてエレクトレット不織布を使用する場合、帯電処理を行った直後における帯電圧を始めとする帯電性能(帯電処理直後の帯電性能を「初期帯電性」と称す)に優れ、さらに捕集効率に優れることが求められている。
また、エアフィルターには高温環境下で使用するものがある。例えば、車両用、特に自動車用のエアフィルター(エアコン用フィルター、ポーレンフィルターなど)では、エンジンルームからの熱や、直射日光による熱によって、エアフィルターが80℃以上の環境に曝される場合がある。このような高温の状態では、エレクトレット不織布の帯電状態が知られていて、その改良が求められている。
そこで、本開示は、上記の問題に鑑み、初期帯電性、捕集効率などの性能に優れ、好ましくは高温環境下に曝された場合であっても、初期帯電性、捕集効率などの性能をより維持することができるエアフィルター、そのための不織布および繊維の提供を目的とする。
本開示は、以下の「エレクトレット加工用の繊維」を提供する。
熱可塑性樹脂を含む繊維と、前記繊維に付着した繊維処理剤とを含む、エレクトレット加工用の繊維であり、
前記繊維処理剤は、前記繊維100質量部あたり、0.01質量部以上3質量部以下の割合で前記繊維に付着されていて、
前記繊維処理剤は、下記式(1):
HO−(AO)−H (1)
[式中、
Oは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成されるオキシアルキレン基であり、
nは、前記AOの平均付加モル数を表し、96〜1135である]
で表されるポリアルキレングリコールを含み、
前記ポリアルキレングリコールの数平均分子量(Mn)は、5000以上50000以下であり、
前記ポリアルキレングリコールは、前記繊維処理剤100質量部あたり、20質量部以上の割合で前記繊維処理剤に含まれる、
エレクトレット加工用の繊維である。
また、本開示は、上記繊維を含む「不織布」を提供する。さらに、本開示は、上記不織布を含む「エアフィルター」を提供する。
本開示によれば、初期帯電性、捕集効率などの性能に優れるエアフィルターが得られ、好ましくは高温環境下に曝された場合であっても、初期帯電性、捕集効率などの性能をより維持することができるエアフィルター、そのための不織布および繊維が得られる。
異形断面複合繊維の例示的な概略断面図である。 他の異形断面複合繊維の例示的な概略断面図である。 別の異形断面複合繊維の例示的な概略断面図である。 さらに別の異形断面複合繊維の例示的な概略断面図である。
(エレクトレット加工用の繊維)
本開示は、以下にて詳しく説明する熱可塑性樹脂を含む繊維と、この繊維に付着した繊維処理剤とを含む、エレクトレット加工用の繊維に関する。本開示において、「エレクトレット加工用の繊維」とは、従来公知のエレクトレット加工によって帯電することのできる繊維または従来公知のエレクトレット加工によって帯電した状態の繊維を意味する(以下、略して「エレクトレット用繊維」または単に「繊維」とよぶ場合もある)。
一般に、従来のエアフィルターには、メルトブローン不織布を始めとする長繊維不織布が使用され、さらに、繊維長が10〜120mmの繊維を使用した短繊維不織布も使用されている。短繊維不織布は、例えば、カード法やエアレイ法で繊維をシート状の繊維ウェブにして製造するが、繊維同士が擦れて静電気が発生すると、生産性が悪化するため、原料となる繊維には静電気が発生しにくいことが求められる。そのため、短繊維不織布に使用する繊維には静電気の発生を抑えるため、繊維の表面に界面活性剤を含む繊維処理剤が付着している。
しかし、従来のアニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤など各種界面活性剤を含む繊維処理剤が繊維の表面に残っている状態でエレクトレット加工などの帯電処理を行った場合、帯電処理の効果が阻害され、即ち、処理後の繊維が十分に帯電せず、初期帯電性の良好な不織布が得られにくいことがある。帯電処理の効果を高めるため、帯電処理を行う前に不織布もしくは繊維ウェブを水洗する、あるいは水流交絡不織布とすることで繊維処理剤を脱落させてから帯電処理を行うこともできるが、生産コストが増加する。
また、ニードルパンチ不織布やエアスルー不織布といった、嵩高性や柔軟性が求められる不織布は、上述した水洗処理や水流交絡処理を行うと、不織布の嵩が減少し、柔軟性も低下する。また、これらの不織布に対してエレクトレット加工を行う場合、繊維に使用されている繊維処理剤は、繊維ウェブを製造する工程で静電気の発生を抑えることに加え、エレクトレット加工を行うときは、その効果を阻害せず、十分な初期帯電性が得られることが求められる。
そこで、本発明のエレクトレット用繊維は、繊維処理剤として、特定の数平均分子量を有するポリアルキレングリコールを繊維に付着させることを特徴の一つとして含む。これにより、例えば、当該繊維から繊維ウェブを製造する際、静電気の発生を抑えることができる。また、エレクトレット加工を行う直前、あるいはエレクトレット加工中に当該繊維を含む繊維集合物を加熱することで、上記ポリアルキレングリコールが繊維の内部に浸透し得るため、繊維表面に存在する繊維処理剤の量が減少し、その後のエレクトレット加工によって、当該繊維集合物に対して十分な初期帯電性を付与することができる。
加えて、このようなポリアルキレングリコールは、繊維の内部に浸透した場合、熱などの影響により再溶出しにくいため、エレクトレット加工を行った繊維集合物を高温環境下にさらしても、帯電性能が低下しにくいものとなる。
繊維処理剤は、繊維100質量部あたり、例えば0.01質量部以上3質量部以下、好ましくは0.03質量部以上2質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上1質量部以下の割合で繊維に付着されている(ここで、繊維処理剤中に含まれる溶媒の質量部は考慮しない)。繊維の付着量が上記の範囲内であると、得られた繊維を、カード機を使用して繊維ウェブとする際の工程性(繊維のカード通過性)に優れるだけでなく、繊維から脱落した繊維処理剤によって、生産ラインが汚染されにくいなどの利点が得られる。また、繊維に対する繊維処理剤の付着量をより適切にすることができ、帯電処理の効率が、より維持され、初期帯電性が、より維持され得る。
本開示において、繊維に対する繊維処理剤の付着量は、以下にて詳細に記載する実施例に記載の測定方法で測定することができる付着量の値を意味する。
なお、本開示のエレクトレット用繊維は、以下にて詳しく説明する通り、繊維集合物、なかでも特に不織布とすることができ、かかる不織布を含むエアフィルターは、エレクトレット加工による帯電直後に優れた帯電性、捕集効率などの性能を示し、さらに帯電後に高温環境下(例えば、80℃以上)に曝された場合であっても、その帯電直後の優れた帯電性、捕集効率などの性質を十分に維持することができることを特徴とする(以下、「エレクトレット不織布」とよぶ場合もある)。
・繊維処理剤
本開示において、繊維処理剤は、主成分として、例えば、下記式(1):
HO−(AO)−H (1)
[式中、
Oは、オキシエチレン基(EO)、オキシプロピレン基(PO)およびオキシブチレン基(BO)からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成されるオキシアルキレン基であり、
nは、前記AOの平均付加モル数を表し、例えば96〜1135、好ましくは190〜900、より好ましくは280〜790、特に好ましくは375〜725、最も好ましくは465〜720である。]
で表されるポリアルキレングリコールを含む。
上記ポリアルキレングリコールは、市販品を使用してもよいし、当業者に周知のポリアルキレングリコールの合成方法に従って別途に合成してもよい。
上記ポリアルキレングリコールを含む繊維処理剤を使用することで、本発明のエレクトレット用繊維は、当該繊維を含む繊維集合物に対し、エレクトレット加工を行うことで初期帯電性の高い繊維集合物が得られるだけでなく、特に高温環境下(例えば、80℃以上)に当該繊維集合物が曝された際の帯電性の低下を抑制することができる。
ここで、従来のアニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤など各種界面活性剤を使用した一般的な繊維処理剤は、帯電処理に対し、その効果を阻害する傾向がある。すなわち、一般的な繊維処理剤が繊維表面に残存した状態で帯電処理を行っても、帯電処理後の繊維集合物では、その初期帯電性は良好でないことが多い。
しかし、本開示の繊維には、上記式(1)で表されるポリアルキレングリコールを主成分とする繊維処理剤が付着している。上記ポリアルキレングリコールがオキシアルキレン基(AO)を含むことから、繊維に付着した状態で加熱されると、繊維を構成する熱可塑性樹脂に当該ポリアルキレングリコールが浸透する傾向がある。
本開示の繊維を繊維ウェブあるいは不織布などの繊維集合物として、熱処理を行うと、上記ポリアルキレングリコールの大部分が熱可塑性樹脂の内部に浸透し得るため、繊維表面に存在する繊維処理剤の量が大幅に低下し得る。すなわち、本開示の繊維は、当該繊維を含む繊維集合物に対し、帯電処理を行う前、もしくは帯電処理と同時に熱処理を行うと、ポリアルキレングリコールの熱可塑性樹脂の内部への浸透により、繊維表面に残存する繊維処理剤の量が大幅に低下し得る。この状態でエレクトレット加工など帯電処理を行うと、繊維表面に残存する繊維処理剤(ポリアルキレングリコール)の量が少ないため、帯電処理が効率よく行われ、初期帯電性の高い繊維集合物が得られる。
また、本開示の繊維の表面に付着しているポリアルキレングリコールは、オキシアルキレン基(AO)の平均付加モル数(n)が96〜1135であるため、比較的分子量が大きく、分子鎖の長いポリアルキレングリコールである。このようなポリアルキレングリコールは、液体状になったときの粘度が高く、流動性が低いと考えられる。加えて、分子量が大きいことから、熱可塑性樹脂との親和性が高いと推測され、一度、熱可塑性樹脂の内部に浸透したポリアルキレングリコールは、外部の温度が高温になっても繊維表面への再溶出(繊維表面への再溶出は、一般には「ブリードアウト」と称される)が発生しにくくなり、帯電性不織布の帯電性能が、高温環境下の繊維集合物においても低下しにくくなる、と考えられる。このような理由から、本開示の繊維は、上述の優れた効果を奏すると考えられるが、このような理由によって、本発明は何ら制限されることはない。
上記ポリアルキレングリコールは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのホモポリマー(単独重合体)であっても、コポリマー(共重合体)であってもよい。コポリマーの場合、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドの共重合体であってもよい。また、ポリアルキレングリコールが共重合体であるとき、当該ポリアルキレングリコールは、ランダム重合体またはブロック重合体のいずれであってもよい。従って、上記式(1)のAOにおいて、オキシエチレン基、オキシプロピレン基および/またはオキシブチレン基の付加形式は、それぞれランダム状であっても、ブロック状であってもよい。また、AOの繰り返しの様式に特に制限はなく、あらゆる付加形式が含まれる。
「オキシエチレン基」の「エチレン基」は、−CH−CH−を表す。
オキシエチレン基は、繰り返し単位の総数(上記平均付加モル数n)に対して、例えば50%以上100%以下、好ましくは60%以上95%以下、より好ましくは70%以上90%以下、特に好ましくは75%以上85%以下、最も好ましくは77%以上83%以下の割合で含まれる。本発明のエレクトレット加工用の繊維において、繊維に付着している繊維処理剤に含まれるポリアルキレングリコールには、オキシエチレン基が存在することが好ましい。
「オキシプロピレン基」の「プロピレン基」は、直鎖または分岐であってよく、−CH−CH−CH−、−CH(CH)−CH−、−CH−CH(CH)−および−CH(CHCH)−を含む。
オキシプロピレン基は、存在していても、存在していなくてもよく、繰り返し単位の総数(上記平均付加モル数n)に対して、例えば0%以上50%以下、好ましくは5%以上40%以下、より好ましくは10%以上30%以下、特に好ましくは15%以上25%以下、最も好ましくは17%以上23%以下の割合で含まれる。本発明のエレクトレット加工用の繊維において、繊維に付着している繊維処理剤に含まれるポリアルキレングリコールには、オキシプロピレン基が存在していることが好ましく、上記オキシエチレン基とともに存在していることが特に好ましい。
「オキシブチレン基」は、直鎖または分岐であってよく、−CH−CH−CH−CH−、−CH(CH)−CH−CH−、−CH−CH(CH)−CH−、−CH−CH−CH(CH)−、−CH(CHCH)−CH−、−CH−CH(CHCH)−、−CH(CH)−CH(CH)−、−C(CH−CH−および−CH−C(CH−、−CH(CH(CH)−を含む。
オキシブチレン基は、存在していても、存在していなくてもよく、繰り返し単位の総数(上記平均付加モル数n)に対して、例えば0%以上10%以下、好ましくは0%以上8%以下、より好ましくは0%以上5%以下、特に好ましくは0%以上3%以下の割合で含まれる。本発明のエレクトレット加工用の繊維において、繊維に付着している繊維処理剤に含まれるポリアルキレングリコールには、オキシブチレン基が存在していないことが好ましい。
ここで、上記式(1)のAOにおいて、オキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基の総数は、繰り返し単位の総数(上記平均付加モル数n)に対して、100%を超えない。
上記式(1)において、AOは、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成されるオキシアルキレン基であることが好ましく、AOは、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基の両方を含むことがより好ましい。AOは、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基からなることが特に好ましい。これらの場合、nは、例えば100〜1135、好ましくは100〜1120、より好ましくは200〜895、さらにより好ましくは300〜785、特に好ましくは400〜715、最も好ましくは500〜710である。
上記AOが、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基の両方を含む場合、オキシエチレン基は、繰り返し単位の総数(上記平均付加モル数n)に対して、例えば50%以上100%未満、好ましくは60%以上95%以下、より好ましくは70%以上90%以下、特に好ましくは75%以上85%以下、最も好ましくは77%以上83%以下の割合で含まれる。
また、オキシプロピレン基は、繰り返し単位の総数(上記平均付加モル数n)に対して、0%超50%以下、好ましくは5%以上40%以下、より好ましくは10%以上30%以下、特に好ましくは15%以上25%以下、最も好ましくは17%以上23%以下の割合で含まれる。上記AOが、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基の両方を含む場合において、繰り返し単位の総数に対するオキシエチレン基の割合や、繰り返し単位の総数に対するオキシプロピレン基の割合が上記の範囲内であると、上記AOで表されるポリアルキレングリコールの繰り返し部分において、親水性、疎水性のバランスが取れることで、かかるポリアルキレングリコールが付着した繊維のカード通過性が良好になるだけでなく、上記ポリアルキレングリコールを付着させた繊維に対し、帯電処理を行った時の初期帯電性や、帯電性能の高温耐久性などが向上しやすくなる、などの効果が得られる。
上記AOが、オキシエチレン基(EO)およびオキシプロピレン基(PO)の両方を含む場合、EO/POの比(質量/質量)は、例えば44/56〜98/2、好ましくは54/46〜93/7、より好ましくは64/36〜88/12、特に好ましくは70/30〜81/19、最も好ましくは71/29〜78.5/21.5である。
また、EO/POの比(モル/モル)は、例えば50/50〜99/1、好ましくは60/40〜95/5、より好ましくは70/30〜90/10、特に好ましくは75/25〜85/15、最も好ましくは77/23〜83/17である。上記の範囲内であると、上記AOが、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基の両方を含む場合において、オキシエチレン基とオキシプロピレン基のバランスが取れる、すなわち、親水性の傾向が比較的強いオキシエチレン基と、このオキシエチレン基よりも疎水性の傾向が強いオキシプロピレン基のバランスが取れることで、かかるポリアルキレングリコールが付着した繊維のカード通過性が良好になるだけでなく、繊維表面に付着したポリアルキレングリコールの繊維内部への潜り込み(繊維内部へのポリアルキレングリコールの浸透)が発生しやすくなり、帯電処理の効率や、初期帯電性などが向上しやすくなる。
加えて、上記ポリアルキレングリコールが、オキシエチレン基と比べて疎水性の傾向が強いと考えられるオキシプロピレン基を有することで、繊維を構成する熱可塑性樹脂の分子(例えばポリプロピレン分子)との結びつきが強められ、繊維内部に浸透したポリアルキレングリコールが、熱によって繊維表面に再溶出(ブリードアウト)しにくくなり、帯電性能の高温耐久性が向上しやすくなる、などの効果が得られる。
上記式(1)のポリアルキレングリコールは、例えば、下記式(2)で表すこともでき、ランダム重合体またはブロック重合体のいずれであってもよい、ポリアルキレングリコールが含まれる。
HO−(EO)−(PO)−(BO)−H (2)
[式中、
EOは、上記定義のオキシエチレン基を表し、
POは、上記定義のオキシプロピレン基を表し、
BOは、上記定義のオキシブチレン基を表し、
xは、48〜1135、好ましくは120〜845、より好ましくは215〜690、特に好ましくは315〜615、最も好ましくは410〜585を表し、
yは、0〜490、好ましくは12〜320、より好ましくは30〜215、特に好ましくは60〜170、最も好ましくは90〜155を表し、
zは、0〜106、好ましくは0〜65、より好ましくは0〜35、特に好ましくは0〜20を表し、
x、yおよびzの合計が、例えば96〜1135、好ましくは190〜900、より好ましくは280〜790、特に好ましくは375〜725、最も好ましくは465〜720である]
上記式(2)のポリアルキレングリコールにおいても、BO(オキシブチレン基)は、存在しないことが好ましく、EOおよびPOの両方が存在することがより好ましく、EOおよびPOからなることが特に好ましい。その場合、EO/POの比(質量/質量)およびEO/POの比(モル/モル)は、いずれも、上記の通りである。
尚、本開示では、上記のEO/POの比は、H−NMR(プロトン核磁気共鳴とも称される)での測定により、ポリアルキレングリコール中に含まれる直鎖および/または分岐のアルキレン部分の水素のピーク積分比から計算して求めることができる。計算の例については、以下の実施例にて示す。
本開示のポリアルキレングリコールの数平均分子量(Mn)は、例えば5000以上50000以下、好ましくは10000以上40000以下、より好ましくは15000以上35000以下、特に好ましくは20000以上32000以下、最も好ましくは25000以上32000以下である。Mnが、上記範囲内であると、ポリアルキレングリコールの粘度が適度なものになり、本開示の繊維の生産性が向上する。加えてポリアルキレングリコールの分子サイズが比較的大きなものとなるため、このようなポリアルキレングリコールが繊維内部に取り込まれた場合、容易には樹脂内部からブリードアウトしにくいため、結果的に高温雰囲気下で耐久性が向上する、などの効果が得られる。
本開示のポリアルキレングリコールの重量平均分子量(Mw)は、例えば6000以上60000以下、好ましくは12000以上48000以下、より好ましくは18000以上42000以下、特に好ましくは24000以上38500以下、最も好ましくは30000以上38500以下である。Mwが、上記範囲内であると、上記数平均分子量の好ましい範囲で得られた効果と同様の効果が得られる。
本開示において、Mn、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した値(標準ポリスチレン換算分子量)を意味する。Mn、Mwの測定方法の詳細については、実施例にて示す。
本開示のポリアルキレングリコールは、繊維処理剤100質量部あたり、例えば20質量部以上、好ましくは40質量部以上、より好ましくは50質量部以上、特に好ましくは70質量部以上、最も好ましくは80質量部以上の割合で繊維処理剤に含まれる(ここで、繊維処理剤中に含まれ得る溶媒の質量部は考慮しない)。上記の範囲内であると、繊維表面に付着、またはその一部が繊維内部に浸透する繊維処理剤の主成分であるポリアルキレングリコールが、適度な流動性を有し、繊維内部に浸透した場合、加熱されてもブリードアウトしにくい高分子量のポリアルキレングルコールとなるため、この繊維処理剤が付着している繊維の初期帯電性および高温雰囲気下に曝された際の帯電性能が維持されやすくなる。繊維処理剤に含まれるポリアルキレングリコールの上限は、特に限定されないため、繊維処理剤100質量部あたり90質量部以下でもよいし、95質量部以下でもよいし、100質量部、すなわち繊維処理剤の有効成分(水などの溶媒以外の成分)が、実質的に全て当該ポリアルキレングリコールからなる繊維処理剤であってもよい。このとき、繊維処理剤は、実質的に当該ポリアルキレングリコールである。
繊維処理剤の他の成分および溶媒などについては特に制限はなく、一般の熱可塑性樹脂を含む繊維用の繊維処理剤に通常配合され得る成分および溶媒などを適宜使用することができる。
一般的な繊維処理剤に含まれ得る、当該ポリアルキレングリコール以外の他の成分としては、界面活性剤、例えば、サルフェート型(例えば、アルキルサルフェート)、スルホネート型(例えば、パラフィン(アルカン)スルホネート)、カルボン酸型(例えば、脂肪酸塩)、およびホスフェート型(例えば、POEアルキル(C〜C24)ホスフェート、アルキルホスフェート)などのアニオン系界面活性剤;アンモニウム型(例えば、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド(C〜C24))、ベンザルコニウム型(例えば、アルキルジメチルベンザルコニウムクロライド(C〜C24))、およびアルキルアミン型(例えば、モノメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、トリメチルアミン塩酸塩)などのカチオン系界面活性剤;ベタイン型(例えば、ジアルキル(C〜C24)ジアミノエチルベタイン、アルキル(C〜C24)ジメチルベンジルベタイン)、アルキルアミンオキサイド型(例えば、アルキル(C〜C24)ジメチルアミンNオキシド)、脂肪酸アミドプロピルベタイン型、アミノ酸型(例えば、アルキル(C〜C24)グルタミン酸塩)、およびグリシン型(例えば、ジアルキル(C〜C24)ジアミノエチルグリシン、アルキル(C〜C24)ジメチルベンジルグリシン)などの両性界面活性剤;糖エステル型(「多価アルコールエステル型」とも呼ばれる)(例えば、ソルビタン脂肪酸エステル(C12〜C18))、脂肪酸エステル型(例えば、POE脂肪酸エステル(C12〜C18))、アルコール型(例えば、POEアルキルエーテル)、アルキルフェノール型(例えば、POEアルキル(C〜C12)フェニルエーテル)、アルキルアミン型(例えば、POEアルキルアミン(C12〜C18))、ビスフェノール型(POE脂肪酸ビスフェニルエーテル)、多芳香環型(POAベンジルフェニル(またはフェニルフェニル)エーテル)、シリコーン系、フッ素系、および植物油型(例えば、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油)などのノニオン系界面活性剤(非イオン系界面活性剤)などが挙げられる。これらの各種界面活性剤のほか、芳香性機能剤、消臭剤、抗菌剤、アレルゲン不活性剤、吸熱剤、発熱剤、難燃剤などの各種機能剤を含んでいてもよい。
・繊維
本開示において、上記繊維処理剤が付着され得る繊維は、熱可塑性樹脂を含み、本開示が目的とする繊維を得ることができる限り、特に制限されることはない。熱可塑性樹脂を含むことによって、例えば、不織布を作製する際、例えば、加熱により繊維同士を互いに融着により結合させることなどができる。
上記繊維の繊度は、特に限定されないが、繊度が0.1dtex以上100dtex以下であることが好ましい。繊維の繊度が前記範囲を満たすことで、通気性と捕集効率のバランスが良好な不織布が得られるためである。繊度は、0.3dtex以上70tex以下であることがより好ましく、0.5dtex以上30dtex以下であることが特に好ましく、0.8dtex以上8dtex以下であることが最も好ましい。
上記繊維の繊維長は、特に限定されないが、3mm以上120mm以下であってよい。例えば、カード機を用いて繊維ウェブを作製する方法で不織布を製造する場合、繊維長は、20mm以上120mm以下であることが好ましい。繊維長が20mm以上であると、繊維の脱落が発生しにくい。繊維長が120mm以下であると、カード機によって繊維ウェブを形成することが容易である。繊維ウェブをカード機によって形成する場合、上記繊維の繊維長は26mm以上80mm以下であることがより好ましく、28mm以上65mm以下であることが特に好ましい。一方、繊維ウェブをエアレイ法(エアーレイド法とも称される)や湿式法で作製する場合、上記繊維の繊維長は、3mm以上45mm以下であることが好ましく、3mm以上35mm以下であることがより好ましく、5mm以上30mm以下であることが特に好ましく、10mm以上25mm以下であることが最も好ましい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどの各種ポリエステル系樹脂;酸変性ポリエステル系樹脂などの各種変性ポリエステル系樹脂;低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなど、通常のチーグラ・ナッタ触媒やメタロセン触媒を使用して重合される各種ポリエチレン系樹脂、通常のチーグラ・ナッタ触媒やメタロセン触媒を使用して重合されるアイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックなどの各種ポリプロピレン系樹脂、各種ポリメチルペンテン系樹脂、各種ポリブテン−1系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂などの各種ポリオレフィン系樹脂;酸変性ポリオレフィン系樹脂などの各種変性ポリオレフィン系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド系樹脂;ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチック;などが挙げられる。
上記繊維は、熱可塑性樹脂として、酸変性ポリオレフィン系樹脂および酸変性ポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの酸変性樹脂を含むことが好ましい。酸変性ポリオレフィン系樹脂は、各種ポリオレフィン系樹脂に対し、不飽和カルボン酸またはその無水物を共重合(例えばグラフト共重合)させることで変性(グラフト共重合であればグラフト変性)したポリオレフィン系樹脂であり、酸変性ポリエステル系樹脂は、各種ポリエステル系樹脂に対し、不飽和カルボン酸またはその無水物を共重合させることで変性したポリエステル系樹脂である。これらに例示される酸変性樹脂を繊維に配合することによって、例えば、この繊維を各種不織布にした後、エレクトレット加工によって帯電処理を行うと、酸変性樹脂に電荷が捕捉されやすく、かつ安定して電荷が保持されると推定される。加えて酸変性樹脂は、極性基を有し、相溶化作用の強い樹脂であることから、繊維表面から繊維内部に浸透したポリアルキレングリコールを保持しようとする作用が強いと推定される。その結果、エレクトレット加工した後、不織布を加熱しても繊維内部に取り込まれたポリアルキレングリコールが再溶出しにくくなり、高温環境での耐減衰性が向上すると推定される。
上記酸変性ポリオレフィン系樹脂は、各種ポリオレフィン系樹脂、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどの各種ポリエチレン樹脂、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックなどの各種ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブテン−1樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン樹脂が酸で変性されたポリオレフィン樹脂であればよく、特に限定されない。ポリオレフィン樹脂を変性する酸としては不飽和カルボン酸を用いることが好ましい。上記不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられるが、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸を用いてポリオレフィン樹脂を酸変性させる、例えば、各種ポリオレフィン系樹脂を押出機等で溶融させ、グラフトモノマーを添加して共重合させる方法、あるいは各種ポリオレフィン系樹脂を溶媒に溶解させてグラフトモノマーを添加して共重合させる方法、各種ポリオレフィン系樹脂を水懸濁液とした後グラフトモノマーを添加して共重合させる、といった方法で各種ポリオレフィン系樹脂に対し、不飽和カルボン酸またはその無水物をグラフト重合することが好ましい。市販されている酸変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、三菱ケミカル株式会社より販売されているモディック(登録商標)、レクスパール(登録商標)、三井化学株式会社より販売されているアドマー(登録商標)、三洋化成株式会社より販売されているユーメックス(登録商標)、三井・デュポン ポリケミカル株式会社より販売されているニュクレル(登録商標)などが挙げられる。
これらの酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価は、特に限定されないが、3mg(KOH)/L以上150mg(KOH)/L以下であることが好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価が上記範囲内であると、これらの酸変性樹脂を含む繊維は、帯電処理を行った際、繊維の内部に電荷が捕捉され、得られる繊維集合物を用いたエアフィルターの初期帯電性が向上し、その性能が長期間にわたって保持されやすくなる。酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価は、5mg(KOH)/L以上125mg(KOH)/L以下であることがより好ましく、5mg(KOH)/L以上100mg(KOH)/L以下であることが特に好ましく、8mg(KOH)/L以上60mg(KOH)/L以下であることが最も好ましい。
本発明において、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価は、JIS K 0070 3.1 中和滴定法に従って、測定することができる。
上記繊維は、上記熱可塑性樹脂から選択される1または2以上の樹脂を含む単一繊維であっても、上記熱可塑性樹脂から選択される1または2以上の樹脂を含む第1成分と、上記熱可塑性樹脂から選択される1または2以上の樹脂を含む第2成分とを含む複合繊維であってもよい。さらに、上記の熱可塑性樹脂から選択される1または2以上の樹脂を含む第3、第4、第5・・・の成分を必要に応じて含んでいてもよい。
上記繊維が複合繊維である場合、その複合状態は特に限定されない。例えば、複合繊維は、芯鞘型複合繊維、偏心芯鞘型複合繊維、並列型複合繊維、分割型複合繊維や海島型複合繊維であってもよい。
上記繊維が複合繊維である場合、第1成分が鞘部分を形成し、第2成分が芯部分を形成する芯鞘型複合繊維であることが好ましい。
上記繊維が芯鞘型複合繊維である場合、上記酸変性樹脂は、第1成分(鞘成分)、第2成分(芯成分)のいずれか一方、あるいは両方に含まれていてもよいが、少なくとも第1成分(鞘成分)に含まれていることが好ましい。第1成分を構成する熱可塑性樹脂が酸変性樹脂を含むことで、繊維の表面に付着している繊維処理剤が繊維内部に浸透しやすくなり、帯電処理の効果を高め、初期帯電性の高い繊維集合物が得られやすくなる。また、例えば、この繊維を不織布にした後、帯電処理を行うと、酸変性樹脂に電荷が捕捉されやすく、かつ安定して電荷が保持されるため、この繊維を使用したエアフィルターの初期帯電性が長期間にわたって維持されやすくなると推測される。加えて、酸変性樹脂は、熱可塑性樹脂や、熱可塑性樹脂以外の材料(例えば金属材料)との接着性に優れる傾向があり、少なくとも第1成分が酸変性樹脂を含むことで、例えば、当該繊維を含む繊維ウェブに対して熱接着処理を行ったとき、短時間で接着できるだけでなく、繊維同士が強固に接着され得るため、不織布の機械的強度(例えば、引っ張り強度や剛軟度など)が向上する、などの効果が得られる。
上記繊維の断面形状に特に制限はなく、例えば、円形断面であってよく、楕円形、Y形、X形、井形、多角形、星形、2葉〜8葉などの葉形等の異形断面であってもよい。
ここで、図1〜図4において、異形断面を有する複合繊維(または異形断面複合繊維)の断面形状をより具体的に例示する。これらの図は、いずれも第1成分と第2成分とからなる複合繊維の横断面を例示している。
図1は、凸部を4つ有する4葉形の断面形状を有する。図1の複合繊維100は、第1成分1が第2成分2の全体を被覆するいわゆる芯鞘型複合繊維であり、第1成分1の輪郭と第2成分2の輪郭は略相似形となっている。
図2は、凸部を8つ有する8葉形の断面形状を有する。図2の複合繊維100は、第1成分1が第2成分2の全体を被覆するいわゆる芯鞘型複合繊維であり、第1成分の輪郭と第2成分の輪郭は略相似形となっている。
図3は、凸部を4つ有する4葉形の断面形状を有する。図3の複合繊維100は、第1成分1が凸部の先端にのみ位置するものである。すなわち、図3の複合繊維は、第2成分2が異形断面を有していて繊維の断面形状をほぼ決定し、第1成分1が第2成分2の凸部の一部を覆い、かつ第2成分2が凸部を4つ有し、凸部と凸部との間の凹部が鋭角を形成している複合繊維である。
図4の複合繊維100は、凸部を4つ有する4葉形の断面形状(十字断面)を有する。図4の複合繊維100は、第2成分2の断面が略円形であり、第2成分2の外周を覆う第1成分1が4つの凸部を構成しているものである。
図1〜4では、凸部と凸部の間の凹部を鋭角で記載しているが、本開示において90°以上の鈍角であってもよい。
図示した断面形状はいずれも例示であり、異形断面複合繊維の断面形状は他の形状であってよい。例えば、図4に示す複合繊維の変形例において、凸部は6つまたは8つ形成されていてもよく、凸部の数が3つであってもよい。あるいは、図示した複合繊維において、第3成分がさらに含まれていてもよい。その場合、円形の繊維断面を有する第3成分が、第2成分の中心部に配置されていてよく、あるいは第2成分の輪郭と略相似形である輪郭を有する第3成分が第2成分の内部に配置されていてよい。
あるいは、異形断面複合繊維は、その断面形状が全体として、例えば、第2成分が2個以上に分割した形態で存在していてもよい。
本開示の繊維は、繊維内部に空洞を有さない、いわゆる中実繊維であってもよく、少なくとも1つの長さ方向に連続した空洞部分を有する中空繊維であってもよく、または繊維の内部に繊維の長さ方向に対して非連続の空洞を有する中空繊維であってもよい。
・繊維処理剤の付着
上記繊維に繊維処理剤を付着させる方法は、本開示が目的とする繊維が得られる限り、特に制限されることはないが、例えば、上記繊維への上記繊維処理剤のスプレー塗布または刷毛塗り、上記繊維処理剤への上記繊維の浸漬などが挙げられる。具体的には、繊維の紡糸後、繊維の延伸前、繊維の延伸後などの少なくとも1つの段階において、繊維に当該繊維処理剤を付与すればよい。また、繊維処理剤に上記繊維のウェブを浸漬させてもよいし、上記繊維のウェブに繊維処理剤をスプレー塗布、刷毛塗りなどして、繊維処理剤をウェブに含浸させてもよい。
上記繊維に上記繊維処理剤を付着させることによって得られる本開示の繊維は、繊維自体あるいは以下にて詳しく説明するウェブまたは不織布とした後に、公知の帯電処理、具体的には、コロナ放電処理やプラズマ放電処理などの帯電処理を施して、その繊維表面を分極荷電させるエレクトレット加工を施すことにより、繊維、ウェブまたは不織布に帯電性を付与することができる。ここで、「帯電性」とは、電気または静電気を帯びた状態または電荷が滞留した状態などを意味する。なお、本開示が目的とする繊維が得られる限り、帯電処理の際の条件は、特に限定されることはない。例えば、当業者に公知の手法で適宜条件を決定すればよい。
(不織布)
本開示の不織布は、少なくとも上記エレクトレット用繊維を含み、必要に応じて、以下にて説明する「その他の繊維」を含んでいてもよい。
不織布は、エレクトレット用繊維を30質量%以上含むことが好ましい。エレクトレット用繊維をこの割合で含む不織布(またはエアフィルター)は、高い捕集効率と長い寿命を実現しやすい。不織布は、エレクトレット用繊維を、より好ましくは50質量%以上含み、特に好ましくは70質量%以上含み、最も好ましくはエレクトレット用繊維のみからなる。
不織布の種類は特に限定されず、上記繊維を繊維ウェブにして得られる不織布、具体的には、上記繊維を、湿式抄紙法、カード機を用いてパラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブもしくはクリスクロスウェブを作製するカード法、またはエアレイ法によりウェブを作製し、さらにウェブを熱接着処理(熱加工)により一体化させることにより得られるものであってよい。熱接着処理は、上記繊維に含まれる熱可塑性樹脂を熱により溶融または軟化させて、繊維同士を熱接着させるために実施することが好ましい。
熱接着処理は、例えば、熱風処理機(エアスルー式熱加工機を含む)、赤外線式熱処理機等、または熱ロール加工機等を用いて実施してよい。なかでも、熱接着処理は、不織布の厚さ方向に熱風を通過させて行うことが好ましい。例えば、熱風を不織布の一方の面側に吹き付け、不織布の他方の面側から熱風を吸引することで、不織布の厚さ方向に熱風を通過させることができる。かかる工程を採用すると、不織布の厚さ方向において、均一に繊維が接着された不織布を得ることができる。熱接着処理は、例えば、熱風貫通式熱処理機や熱風吹き付け式熱処理機を用いて熱風を吹き付けることにより実施するのが好ましい。したがって、熱接着処理は、熱可塑性樹脂の紡糸後の融点よりも0℃〜50℃程度高い温度で実施することが好ましい。
ウェブの一体化は、ニードルパンチおよび/または高圧水流処理から選択される1または複数の方法により実施してよい。これらの処理は、熱接着処理に加えて行ってよく、例えば、熱接着処理の前に、ウェブをニードルパンチおよび/または高圧水流処理に付してよい。
不織布の目付に特に限定はないが、例えば、通常のエアフィルター(例えば、空気清浄機、エアコン、換気扇などのエアフィルターや、ポーレンフィルター)として使用する場合には、通常10g/m〜300g/m、好ましくは15g/m〜200g/m、より好ましくは20g/m〜150g/mである。目付が10g/m以上であると、目付がより均一な不織布を得ることができ、捕集ムラが少なくなる。300g/m以下であると、帯電処理によって厚み方向へより均一に帯電させることができる。
また、マスク(防塵用マスク、花粉防止用マスク、医療用マスクなど)として使用する場合、目付けは、通常5g/m〜100g/m、好ましくは10g/m〜80g/m、より好ましくは15g/m〜70g/mである。目付が5g/m以上であると、目付がより均一な不織布を得ることができ、埃や花粉など空気中の微細な浮遊物を捕集しやすくなる。100g/m以下であると、通気性が高くなり、マスクとして着用した場合により呼吸しやすくなる傾向にある。
上記所定のエレクトレット用繊維を含む不織布は、2以上積層された状態で用いられてよい。積層された不織布は、一部において、または全体にわたって、一体化されていてよく、あるいは一体化されていなくてもよい。一体化は、上記熱可塑性樹脂の熱接着によってなされていてよく、あるいは、縫合、繊維同士の交絡、または接着剤によりなされていてもよい。また、不織布にはプリーツ加工と呼ばれるひだ折加工を施してもよく、その場合には2以上の不織布を積層した後に積層体をひだ折加工してもよいし、ひだ折加工したものを積層してもよい。
本開示の不織布は、例えば、上記の帯電処理が施されることにより、一方の面が正の電荷に帯電し、他方の面が負の電荷に帯電した状態にあってもよい。より詳しくは、上記不織布に含まれるエレクトレット用繊維の表面を上記帯電処理で改質して繊維表面の電気極性を分極することによって不織布全体を帯電させることができる。このように不織布を帯電させることによって、電荷は、繊維の交点や、繊維の表面の凹部、特に鋭角の凹部などに集中して捕捉され、安定的に電荷を滞留させることができる。
・その他の繊維
不織布は、上記所定のエレクトレット用繊維を含む限りにおいて、他の繊維を含んでよい(以下、上記所定のエレクトレット用繊維以外の他の繊維を便宜的に「混合繊維」とも称す)。混合繊維は、その種類が特に限定されず、ラミー(苧麻)、リネン(亜麻)、ケナフ(洋麻)、アバカ(マニラ麻)、ヘネケン(サイザル麻)、ジュート(黄麻)、ヘンプ(大麻)、ヤシ、パーム、コウゾ、ミツマタ、バガス等の天然繊維や、ビスコースレーヨン、テンセル(登録商標)、リヨセル(登録商標)、キュプラなどの半合成繊維(再生繊維ともいう)であってもよい。混合繊維は、合成樹脂からなる繊維であることが好ましい。
混合繊維に使用できる合成樹脂からなる繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどの公知のポリエステル系樹脂からなる単一繊維、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなど、通常のチーグラ・ナッタ触媒やメタロセン触媒を使用して重合される公知のポリエチレン系樹脂からなる単一繊維、通常のチーグラ・ナッタ触媒やメタロセン触媒を使用して重合されるアイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチックなどの公知のポリプロピレン系樹脂からなる単一繊維、若しくはこれらのポリオレフィンのモノマー同士の共重合樹脂、またはこれらのポリオレフィンを重合する際にメタロセン触媒(カミンスキー触媒ともいう)を使用したポリオレフィンなど公知のポリオレフィン系樹脂からなる単一繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などの公知のポリアミド系樹脂からなる単一繊維、アクリルニトリルからなる(ポリ)アクリルの単一繊維、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチックの単一繊維、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、エンジニアリング・プラスチックの単一繊維、または異なる種類の樹脂同士、もしくは同一の種類の異なるポリマー成分からなる樹脂(例えばポリエチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレート)同士を複合した複合繊維などが挙げられる。
上記混合繊維が合成樹脂からなる複合繊維である場合、その複合状態は特に限定されない。例えば、複合繊維は、芯鞘型複合繊維、偏心芯鞘型複合繊維、並列型複合繊維、分割型複合繊維や海島型複合繊維であってもよい。また、合成繊維の断面は、丸断面であっても、丸断面でなくてもよく、上述の異形断面を有してよい。
上記混合繊維は、その断面形状、素材(例えば、合成樹脂の種類、数)、あるいは複数の樹脂成分からなる複合繊維である場合は、合成樹脂の組み合わせや構成樹脂の複合形態が特に限定されないことは前記の通りである。また、混合繊維の繊度、繊維長、断面形状、および混合繊維が複合繊維である場合の複合比も、特に限定されるものではない。
上記混合繊維の繊度は、0.1dtex以上100dtex以下であることが好ましく、0.3dtex以上70dtex以下であることがより好ましい。また、上記混合繊維の繊維長は、上記エレクトレット用繊維の繊維長と同様、繊維ウェブを製造する方法によって選択され、繊維ウェブをカード機によって形成する場合、混合繊維の繊維長は、26mm以上80mm以下であることが好ましく、28mm以上65mm以下であることがより好ましい。一方、繊維ウェブをエアレイ法(エアーレイド法とも称される)や湿式法で作製する場合、上記混合繊維の繊維長は、3mm以上45mm以下であることが好ましく、3mm以上35mm以下であることがより好ましく、5mm以上30mm以下であることが特に好ましく、10mm以上25mm以下であることが最も好ましい。
本開示の不織布は、上記エレクトレット用繊維のみから構成してよく、または上記エレクトレット用繊維と上記混合繊維とから構成してもよい。
(エアフィルター)
本開示のエアフィルターは、上記繊維の集合物、なかでも特に上記不織布、特にエレクトレット加工により帯電したエレクトレット不織布を含み、例えば、0.1μm〜1000μm、好ましくは0.2μm〜100μm、より好ましくは0.25μm〜5μmの大きさの浮遊物、特に粒子を捕集することができる。また、本開示のエアフィルターが、エレクトレット不織布である場合、その静電捕集能により、例えば0.5μm以下の大きさの浮遊物(例えば、粉塵、煙塵、花粉、ウイルスなど)を捕集することができ、0.5μmより大きく10μm未満の浮遊物は、繊維交点部分で物理的に捕集することができ、さらに10μm以上の浮遊物については、繊維間の空隙により物理的に捕集することができると考えられる。従って、エアフィルターとして良好に機能し得る。
本開示のエアフィルターは、気体の通過を実質的に妨げないものであればよく、例えば、50cc/cm/秒以上、好ましくは80cc/cm/秒以上の通気度を有する。本発明の一実施形態において、エアフィルターの通気度は、JIS L 1913:2010 6.8.1 フラジール形法 に準じて測定した、試験片を通過する空気量をいう。
本開示のエアフィルターは、気体中に浮遊している浮遊物を捕集するためのエアフィルターとして利用できる限り、その利用分野は特に制限されることはない。本開示のエアフィルターは、例えば、防塵用フィルター、空気清浄機用フィルター、エアコン用フィルター、換気扇用フィルター、複写機や印刷機などで使用されるトナー除去フィルター、掃除機用フィルター、精密機器用フィルター、ポーレンフィルター、マスク(例えば、防塵用マスク、花粉防止用マスク、医療用マスク)などとして利用することができる。
以下、本発明の実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例で使用する材料について説明する。
・樹脂
ポリプロピレン樹脂(PP):日本ポリプロ株式会社製 ノバテック(登録商標) SA03(品番) (融点:160℃、MFR:30g/10分)
酸変性ポリプロピレン樹脂(変性PP):三菱ケミカル株式会社製 モディック(登録商標) P908(品番) (融点:150℃、酸価:12.8)
ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET):融点:250℃、極限粘度値(IV値):0.64)
・繊維処理剤
繊維処理剤A:上記式(1)で表されるポリアルキレングリコールであって、数平均分子量(Mn)が約29000、重量平均分子量(Mw)が約36000であり、式中の−AO−が、オキシエチレン基(EO)とオキシプロピレン基(PO)とから構成され、EO/POのモル比が、80/20(モル/モル)であり、質量比が、75/25(質量/質量)であるポリアルキレングリコールが、繊維処理剤(繊維処理剤水溶液)の有効成分として、すなわち、溶媒である水以外の成分100質量部に対して、100質量部の割合で含まれる(すなわち、繊維処理剤の有効成分が全て上記ポリアルキレングリコールである)繊維処理剤。
繊維処理剤B:上記式(1)で表されるポリアルキレングリコールであって、数平均分子量(Mn)が約30000、重量平均分子量(Mw)が約38000であり、式中の−AO−が、オキシエチレン基(EO)とオキシプロピレン基(PO)とから構成され、EO/POのモル比が、88/12(モル/モル)であり、質量比が、85/15(質量/質量)であるポリアルキレングリコールが、繊維処理剤(繊維処理剤水溶液)の有効成分として、すなわち、溶媒である水以外の成分100質量部に対して、100質量部の割合で含まれる(すなわち、繊維処理剤の有効成分が全て上記ポリアルキレングリコールである)繊維処理剤。
繊維処理剤C:上記式(1)で表されるポリアルキレングリコールであって、数平均分子量(Mn)が約2100、重量平均分子量(Mw)が約2200であり、式中の−AO−が、オキシエチレン基(EO)とオキシプロピレン基(PO)とから構成され、EO/POのモル比が、80/20(モル/モル)であり、質量比が、75/25(質量/質量)であるポリアルキレングリコールが、繊維処理剤(繊維処理剤水溶液)の有効成分として、すなわち、溶媒である水以外の成分100質量部に対して、100質量部の割合で含まれる(すなわち、繊維処理剤の有効成分が全て上記ポリアルキレングリコールである)繊維処理剤。
繊維処理剤D:分子量600のポリエチレングリコールとオレイン酸とのモノエステル(ポリエチレングリコールオレイン酸モノエステル)が、繊維処理剤(繊維処理剤水溶液)の有効成分として、すなわち、溶媒である水以外の成分100質量部に対して、100質量部の割合で含まれる(すなわち、繊維処理剤の有効成分が全て上記モノエステルである)繊維処理剤。
上記ポリアルキレングリコールの分子量(MnおよびMw)は、下記のようにして測定することができる。
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリアルキレングリコールの分子量(MnおよびMw)の測定
以下のGPC装置を使用して、上記ポリアルキレングリコール(Nガス流通下での乾燥後)の溶出曲線および分子量分布曲線を作成することで分子量(MnおよびMw)を決定する。

・GPC
装置:東ソー株式会社製 HLC−8320GPC
カラム:昭和電工株式会社製 Shodex(登録商標) K−G+K−805L×2本+K−800D
溶離液:クロロホルム
温度:40℃
濃度:0.1wt/vol%
流速:1.0mL/min
溶解性:完全溶解
注入量:100μL
前処理:ろ過(0.45μmフィルター)
検出器:示差屈折計(RI)

なお、ポリアルキレングリコールの分子量(MnおよびMw)は、標準ポリスチレン(標準PS)の検量線を使用して、標準ポリスチレン換算分子量として算出した。
上記ポリアルキレングリコールのEO/POの比(質量比およびモル比)は、下記のように測定することができる。
H−NMR(プロトン核磁気共鳴)によるポリアルキレングリコールのEO/POの比(質量比およびモル比)の測定
以下のH−NMR装置を使用して、上記ポリアルキレングリコール(Nガス流通下での乾燥後)のH−NMRチャートから、EOおよびPOに含まれる水素原子のピーク面積から、EO/POの比(質量比およびモル比)を決定する。

H−NMR
装置:日本電子株式会社製 AL−400型
観測核:
溶媒:CDCl

・計算式
H−NMRチャートから、例えば、以下の化学構造に示すEO、POに含まれる水素原子a、bのピーク面積比から、以下の計算式に従って、EO/POの比(質量比およびモル比)を算出することができる。
Figure 2020050965
EO(モル比)=100×[(b−a)/4]/{[(b−a)/4]+(a/3)}
PO(モル比)=100×(a/3)/{[(b−a)/4]+(a/3)}
EO(質量比)=100×44×[(b−a)/4]/{44×[(b−a)/4]+58×(a/3)}
PO(質量比)=100×58×(a/3)/{44×[(b−a)/4]+58×(a/3)}

必要に応じて、13C−NMRを用いて、EO/POの比(質量比およびモル比)を算出してもよい。
(繊度および繊維長)
JIS L 1015:2010に準じて繊度および繊維長を測定した。
(繊維処理剤の付着量)
繊維への繊維処理剤の付着量は、東海計器株式会社製のR−II型迅速残脂抽出装置を用いて、迅速抽出法により測定した。
まず、繊維処理剤の付着量を測定する以下の実施例および比較例の繊維を約4g採取し、カード機にかけて繊維ウェブとし、得られた繊維ウェブ(試料)の質量(W(g))を測定した。質量を測定した繊維ウェブを金属製の筒(内径16mm、長さ130mm、底部がすり鉢状で最底部には直径1mmの孔があるもの)に充填した後、上部よりメタノール10mLを投入した。
繊維の表面に付着していた繊維処理剤が、投入したメタノールに溶解し、前記金属製の筒の底部の孔より滴下するので、底部の穴から滴下してくるメタノールを、アルミニウム製の皿に加熱しながら受け、メタノールを蒸発させた。
このとき、滴下してくるメタノールを集めるアルミニウム製の皿は、予めきれいに洗浄した後、乾燥機で充分に乾燥させたものを使用するが、メタノールを受ける前にその質量(アルミニウム製の皿のみの質量:W(g))を測定しておく。
金属製の筒内のメタノールを全てアルミニウム製の皿に移し、メタノールを完全に蒸発させることで、アルミニウム製の皿には、繊維から抽出した繊維処理剤が残る。
繊維処理剤が残留しているアルミニウム製の皿の質量(W(g))を測定し、繊維への繊維処理剤の付着量を以下の式から算出した。
繊維100質量部あたりの繊維処理剤の付着量(質量部)={[W−W]/[W−(W−W)]}×100
[式中、
は、アルミニウム製の皿の質量を示し、
は、アルミニウム製の皿および繊維処理剤の合計質量を示し、
は、試料の質量を示す。]
実施例1
・同心円複合繊維の準備
第1成分(鞘成分)が、上記のポリプロピレン樹脂(PP)(樹脂1a:96質量%)と、上記の酸変性ポリプロピレン樹脂(変性PP)(樹脂1b:4質量%)とから構成され、第2成分(芯成分)が上記のポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)(樹脂2a:100質量%)から構成され、この第2成分上に第1成分が同心で、ともに円形断面となるように配置されてなる、未延伸状態の同心円複合繊維(紡糸フィラメント 繊度:10dtex)を溶融紡糸により準備した。なお、この同心円複合繊維の溶融紡糸の際の複合比(容積比)は、50/50(第2成分/第1成分)である。次に、前記未延伸状態の紡糸フィラメントに延伸処理を行った。延伸は、熱水を用い湿式延伸にて行い、80℃の熱水を満たした水槽中で、未延伸状態の紡糸フィラメントを延伸倍率2.5倍で延伸することで行い、4.4dtexの延伸フィラメントとした。
・繊維処理剤の付着
繊維処理剤Aを水で希釈し、上記ポリアルキレングリコールの濃度が3質量%となる繊維処理剤Aの水溶液(希釈液)を準備する。次に、前記延伸フィラメントを、用意した繊維処理剤Aの希釈液に含浸させ、余分な繊維処理剤Aの水溶液をニップロールにて脱水した後、スタッフィングボックス型クリンパーにて機械捲縮に付し、15個/25mmの捲縮を付与した。そして、機械捲縮を付与した延伸フィラメントを110℃に設定した熱風吹き付け装置にて約15分間、弛緩した状態でアニーリング処理および乾燥処理に同時に付した。十分に乾燥した延伸フィラメントを51mmの繊維長に切断し、実施例1の繊維とした。この繊維の表面には、繊維のみの質量を100質量部としたとき、0.28質量部となる割合で繊維処理剤A(すなわちポリアルキレングリコール)が付着している。
・不織布の作製
上記繊維を開繊してウェブを作製した後、このウェブに熱風貫通式熱処理機(170℃)で熱処理を施し、繊維同士を第1成分で熱接着させて、熱接着不織布(厚さ1.0mm、目付100g/m)を作製した(エアスルー方式)。
・帯電処理
次に、上記不織布をステンレス製のメッシュコンベアで搬送しながら、100℃の雰囲気下、針を一定間隔で埋め込んだ印加電極によって、7〜20Kvの直流高電界を発生させて、繊維表面を分極荷電させるエレクトレット加工により、帯電したエレクトレット不織布を得た。
実施例2
繊維処理剤として、「繊維処理剤B」を用いて、繊維処理剤の付着量を「0.33質量部」としたこと以外は、実施例1と同様にして、エレクトレット不織布を作製した。
実施例3
繊維処理剤の付着量を「0.35質量部」としたこと以外は、実施例1と同様にして、エレクトレット不織布を作製した。
実施例4
繊維の第1成分(鞘成分)が、上記のポリプロピレン樹脂(PP)(樹脂1a:93質量%)と、上記の酸変性ポリプロピレン樹脂(変性PP)(樹脂1b:7質量%)とから構成され、繊維処理剤の付着量を「0.23質量部」としたこと以外は、実施例1と同様にして、エレクトレット不織布を作製した。
実施例5
繊維の第1成分(鞘成分)が、上記のポリプロピレン樹脂(PP)(樹脂1a:100質量%)から構成され、繊維処理剤の付着量を「0.32質量部」としたこと以外は、実施例1と同様にして、エレクトレット不織布を作製した。
実施例6
繊維の繊度を「2.2dtex」とし、エアスルー方式を以下の「ニードルパンチ方式」に変更し、ニードルパンチ前の不織布の厚さを1.4mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、エレクトレット不織布を作製した。
・ニードルパンチ方式
繊維(すなわち繊維処理剤Aが0.28質量部付着している繊維)100質量%をパラレルカードに掛け、クロスレイヤーを用いてクロスレイウェブを作製した。このクロスレイウェブに、フォスターニードル社製円錐ブレードを用いて、針深度7mm、ペネ数(表:6N/cm 裏:6N/cm)でニードルパンチ処理を施した。ニードルパンチ処理を行ったウェブを140℃に設定した熱風循環式の熱処理機を用い、上記加工温度にて20秒間熱処理して、不織布(厚さ1mm、目付100g/cm)を得た。
実施例7
繊維の第1成分および第2成分がともに、上記のポリプロピレン樹脂(PP)(96質量%)と、上記の酸変性ポリプロピレン樹脂(変性PP)(4質量%)とから構成される、いわゆる単一樹脂の断面形状が4葉の単一繊維を準備し、繊維処理剤の付着量を「0.3質量部」としたこと以外は、実施例6と同様にして、エレクトレット不織布を作製した。
実施例8
繊維の第1成分(鞘成分)が、上記のポリプロピレン樹脂(PP)(樹脂1a:100質量%)から構成され、第2成分(芯成分)が、上記のポリプロピレン樹脂(PP)(樹脂2a:96質量%)と、上記の酸変性ポリプロピレン樹脂(変性PP)(樹脂2b:4質量%)とから構成され、その断面形状が第1成分、第2成分ともに4葉の複合繊維(図1)を準備したこと以外は、実施例6と同様にして、エレクトレット不織布を作製した。
実施例9
繊維の第1成分および第2成分がともに、上記のポリプロピレン樹脂(PP)(100質量%)とから構成される、いわゆる単一樹脂で構成され、繊維の断面形状が4葉の単一繊維を準備し、繊維処理剤の付着量を「0.29質量部」としたこと以外は、実施例6と同様にして、エレクトレット不織布を作製した。
比較例1
繊維処理剤として、「繊維処理剤C」を用いて、その付着量を「0.33質量部」としたこと以外は、実施例1と同様にして、エレクトレット不織布を作製した。
比較例2
繊維処理剤として、「繊維処理剤D」を用いて、その付着量を「0.25質量部」としたこと以外は、実施例1と同様にして、エレクトレット不織布を作製した。
比較例3
繊維の第1成分(鞘成分)が、上記のポリプロピレン樹脂(PP)(樹脂1a:100質量%)から構成され、繊維処理剤として、「繊維処理剤C」を用いて、その付着量を「0.33質量部」としたこと以外は、実施例1と同様にして、エレクトレット不織布を作製した。
捕集効率
実施例および比較例で作製したエレクトレット不織布をエアフィルターとして使用する場合を想定して、(i)帯電処理の直後、(ii)80℃での加熱処理後120分、(iii)120℃での加熱処理後30分のそれぞれにおいて、以下の測定方法に従って、エアフィルターの捕集効率(%)を測定した。
・熱処理
上記の条件で帯電処理を行ったエレクトレット不織布を用意する。次に、恒温乾燥器(ヤマト科学株式会社製 送風定温恒温器 品番DKM600)を用意し、80℃または120℃に設定する。恒温乾燥器が設定温度に達した後、用意した帯電処理済のエレクトレット不織布を恒温乾燥器内に入れて所定時間保持する。熱処理温度が80℃のときは120分間にわたって上記不織布を恒温乾燥器内にて保持し、熱処理温度が120℃のときは30分間にわたって上記不織布を恒温乾燥器内にて保持した。
・測定方法
実施例および比較例で作製したエレクトレット不織布の各サンプル(120mm×120mm)をJIS B 9908に準じて、濾過面を直径100mmの円形の面として、測定速度23.8L/分で大気塵を静電面に通して濾過した。濾過前後で0.3μm以下の粒子について、粒子の個数を測定して下記式により捕集効率(%)を算出した。結果を以下の表に示す。
捕集効率(%)=(1−C2/C1)×100
式中、C1は、濾過前の粒子の個数であり、C2は、濾過後の粒子の個数である。
Figure 2020050965
Figure 2020050965
Figure 2020050965
Figure 2020050965
・評価
実施例1〜9のエレクトレット不織布は、すべて初期帯電性に優れ、なおかつ帯電処理直後の捕集効率は、いずれも30%以上であることが分かった。対して、比較例1〜3のエレクトレット不織布では、初期帯電性が十分ではなく、帯電処理直後の捕集効率が、いずれも30%未満、より具体的には25%前後であることがわかった。
また、例えば、実施例3、4で示される通り、本発明によると、80℃での加熱処理後であっても、約90%の捕集効率を維持することができることが分かった。さらに、驚くべきことに、実施例7では、120℃での加熱処理後であっても、約80%の捕集効率を維持することができた。対して、比較例3のエレクトレット不織布では、帯電処理直後の捕集効率が25%未満であり、80℃での加熱処理後において、捕集効率を直後の33%しか維持することができず、高温環境下に曝された場合、捕集効率が著しく低下することが分かった。
本開示は、実施形態として以下の態様を含む。
(態様1)
熱可塑性樹脂を含む繊維と、前記繊維に付着した繊維処理剤とを含む、エレクトレット加工用の繊維であり、
前記繊維処理剤は、前記繊維100質量部あたり、0.01質量部以上3質量部以下の割合で前記繊維に付着されていて、
前記繊維処理剤は、下記式(1):
HO−(AO)−H (1)
[式中、
Oは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成されるオキシアルキレン基であり、
nは、前記AOの平均付加モル数を表し、96〜1135である]
で表されるポリアルキレングリコールを含み、
前記ポリアルキレングリコールの数平均分子量(Mn)は、5000以上50000以下であり、
前記ポリアルキレングリコールは、前記繊維処理剤100質量部あたり、20質量部以上の割合で前記繊維処理剤に含まれる、
エレクトレット加工用の繊維。
(態様2)
前記ポリアルキレングリコールの重量平均分子量(Mw)は、6000以上60000以下である、態様1のエレクトレット加工用の繊維。
(態様3)
前記オキシエチレン基は、繰り返し単位の総数に対して、50%以上100%以下の割合で含まれ、
前記オキシプロピレン基は、繰り返し単位の総数に対して、0%以上50%以下の割合で含まれ、
前記オキシブチレン基は、繰り返し単位の総数に対して、0%以上10%以下の割合で含まれる、
態様1または2のエレクトレット加工用の繊維。
(態様4)
前記AOが、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成されるオキシアルキレン基であり、nが、100〜1135である、態様1または2のエレクトレット加工用の繊維。
(態様5)
前記AOが、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基からなり、
前記ポリアルキレングリコールにおいて、前記オキシエチレン基は、繰り返し単位の総数に対して、50%以上100%未満の割合で含まれ、
前記オキシプロピレン基は、繰り返し単位の総数に対して、0%超50%以下の割合で含まれている、
態様4のエレクトレット加工用の繊維。
(態様6)
前記ポリアルキレングリコールは、ランダム重合体またはブロック重合体のいずれかである、態様1〜5のいずれかのエレクトレット加工用の繊維。
(態様7)
前記熱可塑性樹脂を含む繊維は、前記熱可塑性樹脂として、酸変性ポリオレフィン系樹脂および酸変性ポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの酸変性樹脂を含む、態様1〜6のいずれかのエレクトレット加工用の繊維。
(態様8)
前記熱可塑性樹脂を含む繊維は、芯鞘型の複合繊維であり、鞘部分を形成する第1成分と、芯部分を形成する第2成分とを含み、前記第1成分が、前記酸変性樹脂を含む、態様7のエレクトレット加工用の繊維。
(態様9)
態様1〜8のいずれかのエレクトレット加工用の繊維を含む、不織布。
(態様10)
態様9の不織布を含む、エアフィルター。
本開示のエレクトレット加工用の繊維は、その帯電性能に優れることから、かかる繊維を含む不織布は、例えば、エレクトレット不織布として利用することができる。また、本開示のエレクトレット不織布は、微細な浮遊物、例えば、大きさが0.5μm以下の浮遊物(粉塵、煙塵、花粉、ウイルスなど)を捕集するためのエアフィルターとして利用することができる。また、このようなエアフィルターは、帯電直後の帯電性、捕集効率などの性能に優れ、しかも、好ましくは高温環境下(例えば80℃以上の温度)に曝された後であっても、かかる性能を維持することができるので、高温環境下で使用され得るエアフィルター、例えば、車両用フィルター、特に自動車用フィルター(例えば、エアコン用フィルター、ポーレンフィルター)などのエアフィルターとして利用することができる。
1 第1成分
2 第2成分
100 異形断面複合繊維

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂を含む繊維と、前記繊維に付着した繊維処理剤とを含む、エレクトレット加工用の繊維であり、
    前記繊維処理剤は、前記繊維100質量部あたり、0.01質量部以上3質量部以下の割合で前記繊維に付着されていて、
    前記繊維処理剤は、下記式(1):
    HO−(AO)−H (1)
    [式中、
    Oは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成されるオキシアルキレン基であり、
    nは、前記AOの平均付加モル数を表し、96〜1135である]
    で表されるポリアルキレングリコールを含み、
    前記ポリアルキレングリコールの数平均分子量(Mn)は、5000以上50000以下であり、
    前記ポリアルキレングリコールは、前記繊維処理剤100質量部あたり、20質量部以上の割合で前記繊維処理剤に含まれる、
    エレクトレット加工用の繊維。
  2. 前記ポリアルキレングリコールの重量平均分子量(Mw)は、6000以上60000以下である、請求項1に記載のエレクトレット加工用の繊維。
  3. 前記オキシエチレン基は、繰り返し単位の総数に対して、50%以上100%以下の割合で含まれ、
    前記オキシプロピレン基は、繰り返し単位の総数に対して、0%以上50%以下の割合で含まれ、
    前記オキシブチレン基は、繰り返し単位の総数に対して、0%以上10%以下の割合で含まれる、
    請求項1または2に記載のエレクトレット加工用の繊維。
  4. 前記AOが、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種から構成されるオキシアルキレン基であり、nが、100〜1135である、請求項1または2に記載のエレクトレット加工用の繊維。
  5. 前記AOが、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基からなり、
    前記ポリアルキレングリコールにおいて、前記オキシエチレン基は、繰り返し単位の総数に対して、50%以上100%未満の割合で含まれ、
    前記オキシプロピレン基は、繰り返し単位の総数に対して、0%超50%以下の割合で含まれている、
    請求項4に記載のエレクトレット加工用の繊維。
  6. 前記ポリアルキレングリコールは、ランダム重合体またはブロック重合体のいずれかである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエレクトレット加工用の繊維。
  7. 前記熱可塑性樹脂を含む繊維は、前記熱可塑性樹脂として、酸変性ポリオレフィン系樹脂および酸変性ポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの酸変性樹脂を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエレクトレット加工用の繊維。
  8. 前記熱可塑性樹脂を含む繊維は、芯鞘型の複合繊維であり、鞘部分を形成する第1成分と、芯部分を形成する第2成分とを含み、前記第1成分が、前記酸変性樹脂を含む、請求項7に記載のエレクトレット加工用の繊維。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のエレクトレット加工用の繊維を含む、不織布。
  10. 請求項9に記載の不織布を含む、エアフィルター。
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