JP2005015990A - 熱接着性複合繊維及びそれを用いた不織布 - Google Patents

熱接着性複合繊維及びそれを用いた不織布 Download PDF

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康志 松田
Masuo Iwata
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Abstract

【課題】他のセルロース系繊維または炭素系繊維、もしくは無機性繊維との接着性が良好であり、かつ良好な低温加工性を有する熱接着性複合繊維及びそれを用いた不織布、複合不織布、及びそれらを用いたワイパーを提供する。
【解決手段】エチレンと反応性官能基を有したビニルモノマーまたはスチレン類との共重合体であり、密度が0.850〜0.945g/cm3である変性ポリエチレン樹脂(A)と、メタロセン触媒を用いて重合された密度0.850〜0.945g/cm3、Q値(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)3.0以下のポリエチレン樹脂(B)を含む熱可塑性樹脂組成物(I)を第1成分とし、該第1成分の熱可塑性樹脂組成物(I)より融点の高い熱可塑性樹脂(II)を第2成分として、第1成分と第2成分を複合に配し、該第1成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して形成した熱接着性複合繊維及びそれを用いた不織布等の繊維製品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱接着性が良好な熱接着性複合繊維、それを用いた不織布、複合不織布及びそれらを用いたワイパー、吸収体物品に関する。
従来、熱接着性複合繊維としては、低融点成分例えばポリエチレン、エチレン−プロピレン−ブテン等の共重合体、結晶性ポリプロピレン等を繊維表面に配し、高融点成分例えばエチレン−プロピレン−ブテン共重合体、結晶性ポリプロピレン、ポリエステル等を繊維中央部に複合形状に配して溶融複合紡糸により得られたものが知られている。このような熱接着性複合繊維は、通常、ウェッブに形成されたのち、低融点成分の融点以上、高融点成分の融点未満で加熱することによってウェッブの各繊維間接触部が融着した不織布とすることができる。
これらの熱接着性複合繊維を単独で使用した不織布は、得られた不織布中の繊維同士が強固に接着されているので、十分な不織布保形性および優れた不織布強力を得ることができる。しかし、他素材、例えばセルロース系繊維、炭素系繊維、無機系繊維、その他の合成繊維等と前記熱接着性複合繊維とを組み合わせて使用した混綿不織布は、その中の熱接着性複合繊維と他素材との接着性が極端に低いため、十分な不織布保形性および不織布強力を有していない。
この様な接着性の低さを補うための一般的手法として、例えばポリビニルアルコール等のバインダーが用いられているが、バインダーを使用することにより熱接着性複合繊維および他の材料の表面がコーティングされて、素材が有する柔軟性、吸水性、吸着性等の他素材が有する性能を低下させてしまうという問題がある。また、バインダーの塗布は、一般的にウェッブや混綿不織布の表面上に施されることより、厚みのあるウェッブや混綿不織布の場合には、バインダーが内部まで浸透せず層間剥離が起こるという問題がある。
さらには、熱接着性複合繊維または熱接着性複合繊維を含む不織布と他の布帛(他の不織布、織物、編物、ネット、フィルム)とを積層して複合不織布とする際、他の布帛と熱接着性複合繊維または熱接着性複合繊維を含む不織布との接着性が低いため、十分な不織布保形性および不織布強力を得ることができなくなるという欠点を有している。また、他の布帛を積層した複合不織布は、積層する布帛の特性をできる限り保つことが求められるが、積層するときの温度が熱接着性複合繊維の低融点成分の融点以上、高融点成分の融点未満であっても、積層する布帛の素材によっては、積層時の熱により素材の特性を損なってしまうことがある。具体的には、熱接着性複合繊維からなるウェッブもしくは不織布と他の不織布としてスパンボンド法またはスパンレース法により得られた不織布とを積層して複合不織布とする場合、加熱温度が低いと十分な接着性が得られなく積層不織布の相関剥離が生じ、複合不織布としての十分な保形性と強度を得ることができない。一方、充分な保形性と強度を得るために加熱温度を上げると、スパンボンド不織布やスパンレース不織布が融着、硬化して、得られる複合不織布の柔らかさが低下するという問題が起こるので、低温加工においても他素材や他の布帛との接着性に優れると共に、混綿不織布や積層不織布の強度に優れる熱接着性複合繊維が望まれている。
近年、これらの問題点を改善するために接着性の改善を目的としたいくつかの方法が開示されており、不飽和カルボン酸等で変成されたポリオレフィンを第1成分とし、第1成分より融点の高い樹脂を第2成分とした熱接着性複合繊維、およびそれを用いた不織布(例えば特許文献1参照)、不飽和ジカルボン酸等でグラフト化されたポリオレフィン成分と他のポリオレフィンを含む低融点ポリオレフィン成分とポリエステル樹脂からなる熱接着性複合繊維(例えば特許文献2参照)、不飽和ジカルボン酸等でグラフト化されたポリオレフィン成分と他のポリオレフィンを含む低融点ポリオレフィン成分と高融点ポリオレフィン成分からなる熱接着性複合繊維(例えば特許文献3参照)が開示されている。しかし、これらに開示された熱接着性複合繊維は低温加工時における他素材や他の布帛との十分な接着性を有するには至っていない。また、混綿不織布や積層不織布の強度も十分ではない。
特開2000−212866号公報 US4950541号公報 US5981410号公報
本発明の課題は、かかる問題点がない低温加工時においても優れた他の材料や他の布帛との接着性を示し、併せて充分な繊維強度、不織布強度を有する新規な熱接着性複合繊維を提供することにある。すなわち、他素材(例えばセルロース系繊維、炭素系繊維、無機系繊維、その他の合成繊維)を混綿して用いる際には、他素材と強固に接着し、剥離または脱落を防止し、かつ不織布強度が高く破れにくく、他の布帛と積層する際には、低温加工時にも他の布帛と強固に接着し、布帛の風合いや特性を保つ低温加工性に優れた熱接着性複合繊維を提供することにある。さらには、上述の熱接着性複合繊維からなる不織布、複合不織布、及びそれらを用いたワイパー、吸収性物品を提供することにある。
本発明者らは、他素材を混綿または他の布帛を積層した不織布が不織布強度に優れながら、素材や布帛の特性を維持できるような熱接着性複合繊維の開発について鋭意研究を重ねた結果、反応性官能基を有するビニルモノマーまたはスチレン類を含む変性ポリエチレンとメタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレンを低融点成分として含む熱接着性複合繊維が、セルロース系繊維、炭素系繊維、無機系繊維、その他の合成繊維などの他素材と低温加工時においても優れた接着性を示し、十分な繊維強度、不織布強度も有すると共に、更に製糸性にも優れるものであることを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下の構成を有する。
1)エチレンと反応性官能基を有したビニルモノマーまたはスチレン類との共重合体であり、密度が0.850〜0.945g/cm3である変性ポリエチレン樹脂(A)と、メタロセン触媒を用いて重合された密度0.850〜0.945g/cm3、Q値(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)3.0以下のポリエチレン樹脂(B)を含む熱可塑性樹脂組成物(I)を第1成分とし、該第1成分の熱可塑性樹脂組成物(I)より融点の高い熱可塑性樹脂(II)を第2成分として、第1成分と第2成分とを複合に配し、該第1成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して形成した熱接着性複合繊維。
2)変性ポリエチレン樹脂(A)がエチレンと反応性官能基を有したビニルモノマーとの共重合体である前記1)項記載の熱接着性複合繊維。
3)反応性官能基を有したビニルモノマーが、カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびエポキシ基の少なくとも1つを有する化合物またはその誘導体である前記2)項記載の熱接着性複合繊維。
4)反応性官能基を有したビニルモノマーが、不飽和カルボン酸またはその誘導体である前記2)項記載の熱接着性複合繊維。
5)変性ポリエチレン樹脂(A)がグラフト変性された変性ポリエチレンである前記1)〜4)のいずれか1項に記載の熱接着性複合繊維。
6)熱可塑性樹脂(II)がポリプロピレン樹脂である前記1)〜5)のいずれか1項に記載の熱接着性複合繊維。
7)熱可塑性樹脂(II)がポリエステル樹脂である前記1)〜5)のいずれか1項に記載の熱接着性複合繊維。
8)前記1)〜7)のいずれか1項に記載の熱接着性複合繊維を含む不織布。
9)前記1)〜7)のいずれか1項に記載の熱接着性複合繊維と、セルロース系繊維、炭素系繊維、無機系繊維、およびその他の合成繊維から選ばれた少なくとも1種を含む混綿不織布。
10)エアレイド法により製造された前記8)又は9)項に記載の不織布。
11)前記8)〜10)のいずれか1項に記載の不織布と、他の不織布、織物、編物、ネット、およびフィルムから選ばれた少なくとも1種を積層した複合不織布。
12)前記11)項に記載の他の不織布が、スパンボンド法により製造された不織布である複合不織布。
13)前記11)項に記載の他の不織布が、スパンレース法により製造された不織布である複合不織布。
14)前記8)〜10)のいずれか1項に記載の不織布又は前記11)〜13)のいずれか1項に記載の複合不織布を用いたワイパー。
15)前記8)〜10)のいずれか1項に記載の不織布又は前記11)〜13)のいずれか1項に記載の複合不織布を用いた吸収性物品。
本発明にかかる熱接着性複合繊維は、セルロース系繊維、炭素系繊維、無機系繊維およびその他の合成繊維との接着性が良好であり、かつ良好な低温加工性を有する。このため、本発明の熱接着性複合繊維を用いて得られた不織布や複合不織布は、本発明に係る熱接着性複合繊維とセルロース系繊維、炭素系繊維、無機系繊維およびその他の合成繊維との剥離やこれらの繊維の脱落がほとんどなく、充分な強度を維持し、かつ触感が良好である。例えば、ワイパー、吸収性物品等の吸収体として使用した場合、吸収性と拭き取り性に極めて優れ、肌触りが良好である。
本発明の熱接着性複合繊維に用いられる第1成分の熱可塑性樹脂組成物(I)に含まれる変性ポリエチレン樹脂(A)は、多種の他素材と親和性を有し特に水酸基を有する他素材、例えば水酸基を有するセルロース系繊維との接着性が良好である。変性ポリエチレン樹脂(A)は、エチレンと反応性官能基を有したビニルモノマーまたはスチレン類との共重合体であり、ブロック、ランダム、ラダー等の共重合体、グラフト重合体のいずれも使用することができる。
反応性官能基を有したビニルモノマーとしては、まず不飽和カルボン酸またはその誘導体を挙げることができる。不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、又はそのエステル、若しくはその無水物が好ましい。これらの具体例として、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸エチル、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル類、同様なクロトン酸エステル類、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物類が挙げられる。また、上記カルボン酸誘導体として、アミドや対応するニトリルを使用してもよい。α,β−不飽和カルボン酸以外にも、ビニル酢酸誘導体等の不飽和カルボン酸系コモノマーを使用してもよい。
不飽和カルボン酸系コモノマー以外の反応性官能基を有したビニルモノマーとして、カルボキシル基以外の反応性官能基を持ったビニルモノマーを使用してもよい。このようなビニルモノマーとしては、水酸基、アミノ基、エポキシ基等の反応性官能基を持ったビニルモノマーが挙げられる。ビニルアルコールやビニルアミンが共重合した構造の変性ポリエチレンを得たい場合は、酢酸ビニルやN−ビニルアセトアミドのようにカルボン酸のビニルエステルやビニルアミドとして導入することができる。また、エポキシ基は反応性官能基として有用なものであり、上記に例示の不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとしてビニルモノマーに導入して用いる他、不飽和アルコールのグリシジルエーテルやジエン化合物のモノオキシドとして導入することができる。エポキシ基を持つビニルモノマーの具体例として、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシブテン、5,6−エポキシ−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシド等を挙げることができる。
上述の反応性官能基を有したビニルモノマーとの共重合体以外に、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類との共重合体も低温加工時の接着性や高い不織布強力を達成することができる。
変性ポリエチレン樹脂(A)に含まれる不飽和カルボン酸またはその誘導体は他素材との接着性に直接寄与する成分である。また、他のビニルモノマーは、接着成分を樹脂中に均一に分散させる効果と極性の少ないポリエチレンに極性を付与し他素材との親和性を向上させる効果があり接着性に間接的に寄与する成分である。
変性ポリエチレン樹脂(A)の密度は、低温加工性を有する点から密度0.850〜0.945g/cm3である。
更に変性ポリエチレン樹脂(A)は、繊維加工性が良好であり、ポリマー強度が高く繊維強度を高く出来ることからグラフト変性の変性ポリエチレン樹脂がより好ましい。
変性ポリエチレン樹脂(A)が不飽和カルボン酸またはその誘導体とのグラフト重合体である場合、グラフト変性される前の主成分ポリマーであるポリエチレンは、低融点成分として利用しやすい点から直鎖状低密度、低密度ポリエチレンが特に好ましい。さらにポリエチレンは密度が0.850〜0.945g/cm3で、融点が100〜125℃のエチレン重合体若しくはエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体が好ましい。
次に、第1成分の熱可塑性樹脂組成物(I)に含まれるメタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレン樹脂(B)とは、エチレンをメタロセン触媒を用いて重合させた重合体であるが、エチレンのみを重合させたホモポリマーを指すだけでなく、実質的な長分岐鎖を持たないC〜C11のアルケンをコモノマーとして含むエチレン共重合体であっても良い。コモノマーの含有量は、通常15重量%以下である。該ポリエチレン樹脂(B)は、一般に密度0.850〜0.945g/cm3、融点125℃未満、Q値(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)3.0以下、メルトフローレート(JIS-K-7210)5〜45g/10min、好ましくは25〜40g/10minの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を含む成分である。
上記のポリエチレン樹脂(B)は、メタロセン触媒を用いる事で容易に得る事が出来る。このようなメタロセン触媒として代表的な化合物は、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライドなどがある。
これらの触媒を用いて製造されたメタロセンポリエチレン樹脂は、商業的に販売されているものも多く、それらの中から上記に規定した範囲の密度、融点、Q値、メルトフローレートを持つポリエチレン樹脂を適宜選んで使用する事が可能である。
一般にポリオレフィン樹脂の融点は、その樹脂の密度に関係し、密度が低い樹脂ほど低融点となり、ポリエチレン樹脂も例外ではない。しかし密度の低いポリエチレン樹脂は一般的にQ値が大きく(分子量分布が広く)なり、低分子量成分が増加する。通常、ツィーグラー・ナッタ触媒により重合された密度の低いポリエチレン樹脂は、溶融開始温度は低下するものの、Q値が大きく、繊維表面のべたつき、繊維強力の低下がおこり、繊維加工性と不織布強力の低下が問題となる。このような点から本発明の熱接着性複合繊維に用いられる第1成分の熱可塑性樹脂(I)は低温加工性を有し、かつQ値を小さくするのに好適なメタロセン触媒を用いて重合された密度0.850〜0.945g/cm3、融点125℃未満、Q値3.0以下のポリエチレン樹脂(B)を主成分とすることが有効である。
変性ポリエチレン樹脂(A)は変性される前のポリエチレン樹脂と比較した場合、一般的にポリマー強度が低下する傾向がある。このため、本発明において、低温加工性と繊維強度を高く維持するためには、熱可塑性樹脂組成物(I)は低融点の高変性率の変性ポリエチレン樹脂(A)を使用する事で他素材との低温加工時からの接着性向上を図ると共に、繊維強度の低下を補い低温加工性を保つためにメタロセン触媒を用いて重合された低融点のポリエチレン樹脂(B)との混合物を用いることが有効である。
なお、変性ポリエチレン樹脂(A)としても、メタロセン触媒で重合させたポリエチレンを変性した変性ポリエチレンや、エチレンを反応性官能基を有したビニルモノマーまたはスチレン類等のコモノマーと共にメタロセン触媒で共重合させた変性ポリエチレンを使用することができ、これらは本発明の好ましい態様である。もちろん、通常のツィーグラー・ナッタ触媒を用いて同様に調製した変性ポリエチレン樹脂を用いても良い。
また、第1成分の熱可塑性樹脂組成物(I)は、上記変性ポリエチレン樹脂(A)と上記メタロセン触媒を用いて重合された密度0.850〜0.945g/cm3、Q値3.0以下のポリエチレン樹脂(B)を含むものであれば特に限定されるものではなく、発明の効果を妨げない範囲において、2種以上の変性ポリエチレン樹脂を混合物とすることも、他の熱可塑性樹脂を混合する事も制限されないが、変性ポリエチレン樹脂(A)とメタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレン(B)の第1成分中の含有量は、合わせて50重量%程度以上の場合が効果的であり、70%以上ならばさらに好ましい。
第1成分の熱可塑性樹脂組成物(I)に含まれる変性ポリエチレン樹脂(A)とメタロセン触媒を用いて重合された密度0.850〜0.945g/cm3、Q値3.0以下のポリエチレン樹脂(B)の混合比は特に制限されないが、(A)/(B)の重量比で3/97〜95/5の範囲が望ましい。(A)/(B)の重量比をこの範囲内に設定することにより、熱接着性複合繊維の接着性をより向上させ、かつ熱接着性複合繊維自身の強度も向上させ、十分に良好な繊維加工性を与えることができる。変性ポリエチレン樹脂(A)とメタロセン触媒を用いて重合された密度0.850〜0.945g/cm3、Q値3.0以下のポリエチレン樹脂(B)の更に好ましい混合比は、(A)/(B)の重量比で5/95〜60/40である。
次に、第2成分の熱可塑性樹脂(II)として用いられる、熱可塑性樹脂としては、熱可塑性樹脂組成物(I)よりも融点の高い例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂や、エチレン、プロピレン、ブテン−1などのα−オレフィンの共重合体樹脂、或いはポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性または非晶性のポリマーを好ましく使用することができる。更には、第1成分より融点が高ければ、1種類のみならずいくつかの熱可塑性樹脂(II)の群の中からその混合物を使用することもできる。これらの熱可塑性樹脂の中では耐薬品性、変性ポリエチレン樹脂(A)との相溶性を考慮してポリオレフィン樹脂が好ましく、より好ましくは融点差を大きく得る事が出来るポリプロピレン樹脂が好ましい。また、不織布及び複合不織布とする際の加工性を向上させるために、融点差をより大きく取れる点からはポリエステル樹脂の使用が好ましい。
また本発明に関わる第1成分及び第2成分に使用される熱可塑性樹脂には、本発明の効果を妨げない範囲内でさらに必要に応じて種々の性能を発揮させるための添加剤、例えば酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、エポキシ安定剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、可塑剤などを適宜添加してもよい。
本発明の熱接着性複合繊維の断面は、第1成分が繊維表面の少なくとも一部を形成するように並列型、または第1成分を鞘成分とし第2成分が芯成分する鞘芯型、若しくは偏心鞘芯型とする事ができる。また、第1成分と第2成分が川状多層型または放射状に交互に配置された多分割型、断面中心部が空洞である中空多分割型とする事もできる。更には、繊維断面形状は円及び楕円の丸型、四角及び三角などの角型、鍵型及び八葉型などの異型のいずれを用いることも出来る。
ここで第1成分の繊維表面形成割合が小さくてもそれなりに接着力を示すが、通常繊維断面円周率で50%以上を有する場合に十分な接着力を発揮し、特に50〜100%の場合極めて強力な接着力を発揮する。
次に、第1成分と第2成分の断面複合比は特に制限されないが、10/90〜90/10の範囲が望ましい。第1成分の断面複合比を10%以上とすることにより、接着性を十分に向上させることができ、また第2成分の断面複合比を10%以上とすることにより、熱接着性複合繊維自身の強度を十分に向上させ良好な繊維加工性を与えることができる。更に好ましい第1成分と第2成分の断面複合比は30/70〜70/30である。
本発明の熱接着性複合繊維は、上記条件範囲において通常用いられている溶融紡糸機により紡糸することができる。紡糸温度は、使用する熱可塑性樹脂ごとにより異なるが、通常180〜350℃の範囲で行うことが出来る。更には、第1成分の熱可塑性樹脂(I)には、変性ポリエチレン樹脂(A)が含まれるため、変成ポリエチレン樹脂(A)の分解、劣化等を抑えるため、できるだけ低温で紡糸する事が好ましい。紡糸時に得る未延伸糸は、その繊度を必要に応じて適宜設定される。
延伸工程は、紡糸工程で得られた未延伸糸を第1成分の融点より低い温度、通常40〜120℃で、任意の延伸倍率、通常2〜6倍で延伸する事ができる。延伸工程後、捲縮加工の有無については特に限定されるものではなく、不織布加工に適した形状とすれば何ら問題はない。例えば、エアレイド法では捲縮の有無は加工上なんら問題はないが、カーディング法とする場合は捲縮が必要である。エアレイド法では通常0〜20山/2.54cmの捲縮、またカーディング法では通常5〜30山/2.54cmの捲縮を付与することが好ましい。捲縮加工工程は、機械を用いた機械捲縮でも、複合繊維自身の顕在及び潜在捲縮、更には機械捲縮と顕在及び潜在捲縮を組合わせた捲縮でも良い。
カット工程は、延伸工程若しくは捲縮加工工程後に行う。カット方法及び繊維長は、不織布加工に適した長さとすればよく特に限定されるものではない。エアレイド法に用いる場合には3〜10mmの繊維長にカットするのが好ましい。
本発明の熱接着性複合繊維は、通常、繊度0.5〜100デシテックスであるが、特に限定されるものではない。不織布強度を高くするには一般的に単糸繊度が細いものの方が好ましく、単糸繊度0.5〜10デシテックスが望ましい。
本発明の不織布は、前記条件により得られた本発明の熱接着性複合繊維を含む不織布であり、この他に本発明の効果を妨げない範囲において、他の熱接着性複合繊維を混合させることも可能である。不織布加工方法は、カーディング法、抄造法、エアレイド法など特に限定されるものではなく、ウェッブ形成後、循環式熱風乾燥機や加熱式カレンダー加工、加熱式エンボス加工等の熱処理を行う事によって得ることが出来る。
さらに本発明は、本発明の熱接着性複合繊維と、第1成分の熱可塑性樹脂組成物(I)に含まれる変性ポリエチレン樹脂(A)との接着性が良好なセルロース系繊維、炭素系繊維、無機系繊維、およびそれ以外の合成繊維から選ばれた少なくとも1種を含む混綿不織布とする事も出来る。不織布加工方法は、上記不織布と同様に行う事が出来るが、地合、風合が良好となるように均一に分散させ、混綿するためにはエアレイド法が好ましい。混綿する際の混率は特に限定されるものではないが、本発明の熱接着性複合繊維(a)が10〜90重量%、セルロース系繊維(b)、炭素系繊維(c)、または無機系繊維(d)もしくはその他の合成繊維(e)が10〜90重量%で構成されていることが好ましい。第1成分の熱可塑性樹脂組成物(I)に含まれる変性ポリエチレン樹脂(A)との接着性が良好なセルロース系繊維としては綿、麻、竹、パルプ、ケナフ、レーヨンなどを挙げることができ、炭素系繊維としては炭素繊維、活性炭素繊維などを挙げる事ができ、無機系繊維としてはガラス繊維、アルミナ繊維、スチール繊維などを挙げる事ができ、その他の合成繊維としてはナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタンなどを挙げることができる。この他、フィラー、高吸水性樹脂等を混合させることは何等妨げとはならず、適宜必要に応じて混合しても良い。熱接着性複合繊維(a)が少なすぎると、不織布の強度が低下する。また、熱接着性複合繊維(a)が多くなるに従って、接着性は向上する傾向はあるが、熱接着性複合繊維(a)が過剰になるとセルロース系繊維(b)、炭素系繊維(c)、または無機系繊維(d)もしくはその他の合成繊維(e)の特性が明確に発現されない。従って、熱接着性複合繊維(a)の混合比率は、前記範囲が好ましい。
本発明でいうエアレイド法とは、短繊維を用いて以下の手順で繊維集合体とする方法である。まず、本発明の熱接着性複合繊維を3〜10mm程度の短繊維とした後、開繊機に投入し、機械的に開繊させ、送綿循環ダクトへ送る。セルロース系繊維や炭素系繊維、無機繊維を本発明の熱接着性複合繊維と混綿する場合には短繊維化した繊維を同様に送綿循環ダクトへ送る。送綿循環ダクト内で、熱接着性複合繊維と該繊維が混綿され、エアレイド機に送られ、ネット上にウェッブが形成され繊維集合体となる。エアレイド機には種々の形態のものが有るが、代表的には高速で回転するドラムのスクリーン部位より混綿された繊維集合体を降らし、サクション装置で吸引させ、積層させ、繊維集合体とする。ここで言うスクリーン部位とは、丸や四角のような形状の孔を有するメッシュのことである。積層された繊維集合体中における熱接着性繊維は何れの方向にも均一分散されている。従って繊維状物は降下積層することによって従来の混綿不織布より地合、風合が良好で、更には、熱接着性複合繊維が均一分散されていることによって、接合点が均一に存在し、その結果、不織布強度が向上する。
本発明の熱接着性複合繊維からなるウェッブから、本発明の不織布を得るための熱処理方法としては、熱風ドライヤー、サクションバンドドライヤー等の方法が挙げられる。加熱処理を施すことによって、熱接着性複合繊維の第1成分が溶融し、熱接着性複合繊維(a)同士若しくは熱接着性複合繊維(a)と、セルロース系繊維(b)、炭素系繊維(c)、または無機系繊維(d)もしくはその他の合成繊維(e)との交点とが熱接着され、不織布となる。該熱処理温度は、熱接着性複合繊維の第1成分の融点以上、第2成分の融点以下の温度で処理を行う。目付及び熱融着させる方法にあわせて熱処理時間は任意の処理時間で行う。
本発明の複合不織布は、本発明の熱接着性複合繊維ウェッブまたは本発明の不織布と他の不織布、織物、編物、ネット、フィルムのいずれかの内、少なくとも1種と積層して得られたものである。複合不織布加工方法は、特に限定されるものではないが、他の不織布、織物、編物、ネットの上に直接本発明の熱接着性複合繊維ウェッブまたは熱接着性繊維とセルロース系繊維または、炭素系繊維、無機系繊維を地合、風合が良好となるように均一に分散させ積層するにはエアレイド法が好ましい。
本発明の熱接着性複合繊維を用いて複合不織布を得る場合において、積層されるその他の不織布として、エンボス加工により得られたポイントボンド不織布やスパンボンド不織布等のようにサーマルボンドにより部分的に繊維を接着させた不織布、さらには水流交絡により得られたスパンレース不織布等のように機械的交絡により得られた不織布等を用いる場合には、本発明の熱接着性複合繊維が低温接着性に優れながらも高い不織布強力を有する事から、熱処理により複合不織布とした場合にも積層させたその他の不織布のやわらかな風合いを維持することができるので好適に用いることができる。また、本発明の効果を妨げない範囲において他の物をラミネートすることは何等妨げるものではない。
また上記不織布または複合不織布を得た後に、熱プレス機またはコンベアー式熱プレス機等を用いて熱処理することにより、所望の厚さの不織布を得る事もできる。また、必要に応じて熱処理時および熱処理後に二次加工することもでき、平板だけではなく任意形状の繊維形成体も可能となる。
上述した本発明の不織布または複合不織布は、種々の用途に使用することが可能であるが、不織布強度が高く且つ、セルロース系繊維、炭素系繊維、又は無機系繊維、もしくはその他の合成繊維との接着も良好であるため、ワイパー、衛生用物品などの吸収性物品に使用することが出来る。
前記に示した本発明の複合不織布は、種々の用途において使用することが可能であるが、スパンボンド不織布または、スパンレース不織布との接着性が高く、柔軟性が良好であるため、スパンボンド不織布または、スパンレース不織布の特徴を引き出す用途としてワイパー、衛生用物品などの吸収性物品に使用することが出来る。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中に示された物性値の測定法を以下に示す。
捲縮数:JIS−L−1015に準じて測定した。
単糸繊度:JIS−L−1015に準じて測定した。
目付:50cm×50cmに切った成形体の重量を秤量し、単位面積当たりの重量(g/m2)で表わした。
脱落率:10cm×10cmに切った成形体の重量(W1)を測定し、次にカード機のフライコム部に取り付け、振幅4cm、振幅回数600rpmの条件で3分間振動させた後の重量(W2)を測定し、次式より算出した。この脱落率が少ないほど接着性は良好である。
{(W1)−(W2)}÷(W1)×100=脱落率(%)
比容積:以下の式によって求めた。
比容積(cm3/g)=厚み(mm)÷目付(g/m2)×1000
メルトマスフローレイト(MFR):JIS−K−7210(1999年版)に準じて測定した。試験条件はポリエチレン樹脂(変性樹脂含む)の場合同JIS「附属書A表1」に示される「条件D」(公称荷重2.16kgf(21.18N)、試験温度190℃)、ポリプロピレン樹脂の場合同JIS「附属書A表1」に示される「条件M」(公称加重2.16kgf(21.18N)、試験温度230℃)で測定した。
不織布強度:不織布および混綿不織布から、CDが5cm、MDが15cmとなるように試験片を3枚採取する。この試験片を島津製作所(株)製オートグラフAGS500Dを用いて、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/分の条件で破断強度(N/5cm)を測定し、3枚の平均値を不織布強力とした。なお、不織布および混綿不織布の機械の流れ方向(長さ方向)をMD、機械の流れ方向に直角な方向(横方向)をCDとした。
(実施例1〜9、比較例1〜7)
表1に示す組み合わせで第1成分と第2成分を使用し鞘芯型複合紡糸口金を用いて、、第1成分側の押し出し機シリンダー温度が240℃、第2成分側の押し出し機シリンダー温度が250℃にて、複合繊維を紡糸した。その後、60℃に加熱された多段ロール延伸機を用いて、3.5倍に延伸し熱接着性複合繊維を得た。なお、第2成分がPETである実施例8および比較例6においては、第2成分側の押し出し機シリンダー温度を305℃、多段ロール延伸機の温度は90℃、延伸倍率は2.5倍とした。表1に実施例、比較例の熱接着性複合繊維の糸物性を示した。
実施例および比較例に用いた略号については、以下に示す。
変性PE1:Q値2.6、融点116℃、密度0.920g/cm3のメタロセン直鎖状低密度ポリエチレンを幹ポリマーとした無水マレイン酸グラフト率0.2モル/Kgのポリマーであり、MFR(条件D)は0.7g/10min。
変性PE2:Q値2.5、融点121℃、密度0.930g/cm3のメタロセン直鎖状低密度ポリエチレンを幹ポリマーとした無水マレイン酸グラフト率0.2モル/Kgのポリマーであり、MFR(条件D)は21g/10min。
メタロセンLLDPE:Q値2.0、融点100℃、密度0.910g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレンであり、MFR(条件D)は30g/10min。
LDPE:ツィーグラー・ナッタ触媒を用いて重合した融点107℃、密度0.920g/cm3の低密度ポリエチレンであり、MFR(条件D)は16g/10min。
HDPE:ツィーグラー・ナッタ触媒を用いて重合した融点132℃、密度0.960g/cm3の高密度ポリエチレンであり、MFR(条件D)は17g/10min。
PP:融点160℃の結晶性ホモポリプロピレンで、MFR(条件M)は17g/10min。
PET:融点250℃のポリエチレンテレフタレート。
なお、上記変性ポリエチレン中のグラフト重合された変性剤の量は、以下の操作によって赤外吸収スペクトルを測定することで算出することができる。変性ポリエチレンを沸騰キシレンに溶解させ、その溶解液を3倍量の常温のアセトンに注ぎ、充分に冷却する。この液の濾過物を、さらにアセトンで洗浄し、真空乾燥することで、未反応の無水マレイン酸が除去された粉末状の変性ポリエチレンが得られる。この粉末をフィルム成形し、それを用いてフーリエ変換赤外吸収スペクトルを測定する。同様に未反応無水マレイン酸除去前の試料の赤外吸収スペクトルを測定し、それらの特性吸収帯(無水マレイン酸の場合はカルボニル基のピーク)のピーク強度の比を求めることにより、無水マレイン酸のグラフト量が算出できる。
(表1)熱接着性複合繊維
Figure 2005015990
表1に示した熱接着性複合繊維を繊維長5mmにカットした。カットした熱接着性複合繊維は、エアレイド法を用いて繊維集合体とし、スルーエアーで熱処理を行い、表2に示した目付、比容積のエアレイド不織布とした。得られた不織布を用いて不織布強度を測定し、その結果を表2に示した。
(表2)熱接着性複合繊維によるエアレイド不織布
Figure 2005015990
表2に示した実施例1〜9により、変性ポリエチレン樹脂(A)とメタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレン樹脂(B)を第1成分に含む本発明の熱接着性複合繊維は低温接着性に優れ、それを用いた不織布は高い不織布強力を有している事がわかる。比較例1〜4及び比較例6と7は110℃での低温加工性を有しているが、エアレイド不織布の強力が低く、非常に弱い不織布である。また、比較例5は第1成分に高密度ポリエチレンを多量に含んでいるため、不織布の強力は高いが、低温での加工ができなかった。
表1に示した熱接着性複合繊維を繊維長5mmにカットした。カットした熱接着性複合繊維(a)と、セルロース系繊維(b)であるパルプ、または炭素系繊維(c)である活性炭素繊維、あるいは無機系繊維(d)であるガラス繊維、その他の合成繊維(e)であるナイロンを、エアレイド法を用いて繊維集合体とし、スルーエアーで熱処理を行って表3に示した混綿率、目付、比容積の不織布とした。得られた不織布を用いて、セルロース系繊維(b)、炭素系繊維(c)、または無機系繊維(d)、もしくはその他の合成繊維(e)の混綿繊維脱落率と不織布強度を測定し、その結果を表3に示した。
(表3)混綿エアレイド不織布
Figure 2005015990
b:セルロース系繊維.c:炭素系繊維、d:無機系繊維、e:その他の合成繊維
表3に示した実施例1〜9により、変性ポリエチレン樹脂(A)とメタロセン触媒を用いて重合されたポリエチレン樹脂(B)を第1成分に含む本発明の熱接着性複合繊維は低温接着性に優れ、それを用いた不織布は高い不織布強力を有すると共に、他のセルロース系繊維、炭素系繊維、無機系繊維、その他の合成繊維との混綿不織布の場合も、これら繊維の混綿不織布からの脱落を抑えている事がわかる。比較例1〜4及び比較例6と7は110℃での低温接着性を有しているが、エアレイド不織布の強力が低く、他のセルロース系繊維、炭素系繊維、無機系繊維、その他の合成繊維との混綿不織布の場合も、これら繊維の混綿不織布からの脱落も多く、非常に弱い不織布である。また、比較例5は多量の高密度ポリエチレンを第1成分に含むため、不織布の強力は高いが、110℃、120℃の低温での加工が出来ない事がわかる。
(実施例10)
表3の実施例4に記載した120℃でスルーエアー加工したセルロース系繊維混綿エアレイド不織布を30cm×20cmのサイズにカットし、同サイズのポリエチレンフィルムと積層し、125℃でエンボス処理を施して床拭き掃除用ワイパーとした。
(比較例8)
表3の比較例2に記載した120℃でスルーエアー加工したセルロース系繊維混綿エアレイド不織布を30cm×20cmのサイズにカットし、同サイズのポリエチレンフィルムと積層し、125℃でエンボス熱処理を施して床拭き掃除用ワイパーとした。
(実施例11)
表3の実施例1に記載した110℃でスルーエアー加工したセルロース系繊維混綿エアレイド不織布を10cm×25cmのサイズにカットし、カットした不織布全体をティッシュで包んで紙おむつ用吸収体とした。
(比較例9)
表3の比較例1に記載した110℃でスルーエアー加工したセルロース系繊維混綿エアレイド不織布を10cm×25cmのサイズにカットし、カットした不織布全体をティッシュで包んで紙おむつ用吸収体とした。
(実施例12)
表1における実施例1に記載した熱接着性複合繊維を5mmにカットし、エアレイド法を用いて、スパンボンド不織布との複合不織布を得た。その際に目付20g/mのスパンボンド不織布をキャリアとしてエアレイド機のコンベアネット上に配置し、その上に本発明の上記熱接着性複合繊維とセルロース系繊維であるパルプをそれぞれ80重量%/20重量%の割合で混合した繊維集合体を30g/mの目付で積層し、118℃でのスルーエアー熱処理を経て複合不織布を得た。得られた複合不織布は15cm×15cmのサイズにカットし、テーブル拭き掃除用ワイパーとした。
(比較例10)
表1における比較例5に記載した、第1成分が変性ポリエチレン1と高密度ポリエチレンからなる熱接着性複合繊維を5mmにカットし、エアレイド法を用いてスパンボンド不織布との複合不織布を得た。その際に目付20g/mのスパンボンド不織布をキャリアとしてエアレイド機のコンベアネット上に配置し、その上に本発明の上記熱接着性複合繊維とセルロース系繊維であるパルプをそれぞれ80重量%/20重量%の割合で混合した繊維集合体を30g/mの目付で積層し、138℃でのスルーエアー熱処理を経て複合不織布を得た。得られた複合不織布は15cm×15cmのサイズにカットし、テーブル拭き掃除用ワイパーとした。
(実施例13)
実施例12に準拠して複合不織布を得た。ただし、エアレイド機のキャリアとしてスパンボンド不織布の代わりにポリエチレンとポリプロピレンからなる熱接着性複合分割繊維を水流交絡により不織布化した分割スパンレース不織布を用いた。得られた不織布は5cm×10cmのサイズにカットし、化粧用ワイピング材とした。
(比較例11)
比較例10に準拠して複合不織布を得た。ただし、エアレイド機のキャリアとしてスパンボンド不織布の代わりにポリエチレンとポリプロピレンからなる熱接着性複合分割繊維を水流交絡により不織布化した分割スパンレース不織布を用いた。得られた不織布は5cm×10cmのサイズにカットし、化粧用ワイピング材とした。
実施例10と比較例8の床拭き掃除用ワイパーを比較すると、実施例10のワイパーは不織布強度が比較例8のワイパーより高いため、ワイパーとして使用した場合、破断しにくく、拭き取り時の作業性が著しく向上し、払拭性に優れたものであった。また、積層に用いたシートとの接着性が良好であるため、ワイパー使用時の層間剥離もなく作業性が向上した。
実施例11と比較例9の紙おむつ用吸収体を比較すると、実施例11は不織布強度が比較例9より高いため、吸収体とした際の保形性が良好となり、水分等を吸収した後、吸収体が崩れるのを防止する効果が高い。更には、セルロース系繊維であるパルプとの接着性が良好である事から吸収体としても充分な吸水性を発揮できる。
実施例12と比較例10のテーブル拭き掃除用ワイパーを比較すると、実施例12は熱処理温度が低くスパンボンド法により得られた不織布が比較例10より柔軟であるため、ワイパーとして使用した場合、触感が良好で、拭取り時の作業性が著しく向上した。
実施例13と比較例11の化粧用ワイピング材を比較すると、実施例13は熱処理温度が低くスパンレース法により得られた不織布が比較例11より柔軟であるため、ワイピング材として使用した場合、触感が良好で、化粧時の肌触りが著しく向上した。

Claims (15)

  1. エチレンと反応性官能基を有したビニルモノマーまたはスチレン類との共重合体であり、密度が0.850〜0.945g/cm3である変性ポリエチレン樹脂(A)と、メタロセン触媒を用いて重合された密度0.850〜0.945g/cm3、Q値(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)3.0以下のポリエチレン樹脂(B)を含む熱可塑性樹脂組成物(I)を第1成分とし、該第1成分の熱可塑性樹脂組成物(I)より融点の高い熱可塑性樹脂(II)を第2成分として、第1成分と第2成分とを複合に配し、該第1成分が繊維表面の少なくとも一部を長さ方向に連続して形成した熱接着性複合繊維。
  2. 変性ポリエチレン樹脂(A)がエチレンと反応性官能基を有したビニルモノマーとの共重合体である請求項1記載の熱接着性複合繊維。
  3. 反応性官能基を有したビニルモノマーが、カルボキシル基、水酸基、アミノ基およびエポキシ基の少なくとも1つを有する化合物またはその誘導体である請求項2記載の熱接着性複合繊維。
  4. 反応性官能基を有したビニルモノマーが、不飽和カルボン酸またはその誘導体である請求項2記載の熱接着性複合繊維。
  5. 変性ポリエチレン樹脂(A)がグラフト変性された変性ポリエチレンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱接着性複合繊維。
  6. 熱可塑性樹脂(II)がポリプロピレン樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱接着性複合繊維。
  7. 熱可塑性樹脂(II)がポリエステル樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱接着性複合繊維。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱接着性複合繊維を含む不織布。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱接着性複合繊維と、セルロース系繊維、炭素系繊維、無機系繊維、およびその他の合成繊維から選ばれた少なくとも1種を含む混綿不織布。
  10. エアレイド法により製造された請求項8又は9に記載の不織布。
  11. 請求項8〜10のいずれか1項に記載の不織布と、他の不織布、織物、編物、ネット、およびフィルムから選ばれた少なくとも1種を積層した複合不織布。
  12. 請求項11に記載の他の不織布が、スパンボンド法により製造された不織布である複合不織布。
  13. 請求項11に記載の他の不織布が、スパンレース法により製造された不織布である複合不織布。
  14. 請求項8〜10項のいずれか1項に記載の不織布又は請求項11〜13項のいずれか1項に記載の複合不織布を用いたワイパー。
  15. 請求項8〜10項のいずれか1項に記載の不織布又は請求項11〜13項のいずれか1項に記載の複合不織布を用いた吸収性物品。
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