JP2003171825A - 熱接着性複合繊維と、これを用いた不織布および合繊紙 - Google Patents
熱接着性複合繊維と、これを用いた不織布および合繊紙Info
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Abstract
過性など不織布生産性に優れ、低温熱接着性に優れると
ともに、触感がべたつき感の少ない柔軟な不織布あるい
は合繊紙を得るのに好適な熱接着性複合繊維を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 エチレン含有量が5〜15wt%であり、
TREFにより測定される温度40℃における溶出成分
の溶出量が14wt%以上、前記溶出成分に占めるエチレ
ン成分の割合が10wt%以上、前記溶出成分の重量平均
分子量(Mw)が10万以上であるエチレン−プロピレ
ン共重合体を含む繊維形成性樹脂を一成分とし、前記成
分が繊維表面の少なくとも一部に露出するように複合紡
糸して熱接着性複合繊維を得、これを少なくとも10ma
ss%含有する繊維ウェブに熱処理を施すことにより、不
織布および合繊紙を得る。
Description
これを用いた不織布および合繊紙に関する。更に詳しく
は、熱処理時の低温での熱接着性を有し、熱接着加工温
度の範囲が広く、熱接着強力やヒートシール強力に優
れ、また柔軟な触感を有する不織布、合繊紙を提供し得
る熱接着性複合繊維、並びに不織布および合繊紙に関す
る。
ウェットティッシュ、ワイパー、電池セパレーター、ヒ
ートシール合繊紙等の様々な用途において、低融点成分
の少なくとも一部が繊維表面に露出した熱接着性複合繊
維で繊維間を熱接着させた熱接着不織布が使用されてい
る。熱接着性複合繊維としては、低融点(鞘)成分/高
融点(芯)成分(以下この組合せで示す)の組合せがポ
リエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエス
テルが代表的であるが、両者の相溶性が必ずしも良好で
ないために、成分間剥離(鞘芯型複合繊維の場合は鞘芯
間剥離)が生じ接着強力が必ずしも十分でないという欠
点があり、また、エンボスロールによる熱圧着処理の場
合、生産速度を上げると接着強度が低く、高温高圧とす
ると風合いが硬くなるという欠点もあるため、エチレン
−プロピレン共重合体(以下EP、またはEP共重合体
と示すことがある)/ポリプロピレン(以下PPと示す
ことがある)、エチレン−ブテン−プロピレン三元共重
合体(以下EBP、またはEBP共重合体と示すことが
ある)/ポリプロピレンの組合せからなる複合繊維が種
々提案され、実用に供されている。この組み合わせの場
合、両成分の相溶性が良いため、成分間剥離の問題が生
じにくく優れた熱接着能を示す。また、上記共重合体は
若干のゴム的性質を有するため比較的柔軟な不織布が得
られる。
は、プロピレン系共重合体を鞘成分とし、結晶性ポリプ
ロピレンを芯成分とし、鞘成分/芯成分のメルトフロー
レート比を2〜10の範囲とした熱接着性繊維が提案さ
れている。特開平5−9810号公報では、プロピレン
系共重合体を鞘成分とし、結晶性ポリプロピレンを芯成
分とし、DSC曲線でダブルピークを示すように低融点
プロピレン系共重合体を選択することが提案されてい
る。特開平6−108310号公報および特表2001
−502388号公報では、鞘成分を低融点プロピレン
共重合体とし、芯成分を結晶性ポリプロピレンとし、延
伸倍率を低くして樹脂の配向結晶性を抑制した熱接着性
複合繊維が提案されている。
クチックペンタッド分率が0.950〜0.995、シ
ンジオタクチックペンタッド分率が0〜0.004であ
り、重量平均分子量(Mw)が5万〜100万、重量平
均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw
/Mn)が1.5〜3.8であるポリプロピレンを一成
分とした複合繊維が提案されている。特開平10−29
8824号公報では、エチレン含有量が0.01〜15
mol%であり、所望の範囲の共重合体主鎖中の3個のモ
ノマー連鎖単位の割合を有する重量平均分子量(Mw)
が5万〜100万、Mw/Mnが1.5〜3.8である
エチレン−プロピレン共重合体を一成分とした複合繊維
が提案されている。さらに、特開2001−25425
6号公報では、鞘成分をMw/Mnが4.5以下、融点
が130℃以下、平均溶出温度が60〜90℃、溶出分
散度が20以下であるエチレン−プロピレン共重合体と
し、芯成分をMw/Mnが1.5〜4.5のホモポリプ
ロピレンとした熱接着性複合繊維が提案されている。
る提案がいくつかなされている。例えば、特開平6−1
84822号公報では、鞘成分に高密度ポリエチレンと
少量のエチレン−プロピレン共重合体とを混合した熱接
着性複合繊維を提案している。特開平6−116815
号公報では、鞘成分をプロピレン系2元または三元共重
合体と融点または軟化点が125〜60℃の少量の飽和
炭化水素ワックスとを混合した熱接着性複合繊維を提案
している。本出願人においても、特開2000−451
25号公報では、鞘成分にエチレン含有量が7.0重量
%以上のエチレン−プロピレン共重合体を20〜50重
量%と、エチレン含有量3.0〜5.0重量%のエチレ
ン−プロピレン共重合体を80〜50重量%との混合体
からなる複合繊維を提案している。特開2000−11
0024号公報では、MFR4〜100のエチレン-プ
ロピレン共重合体100重量部に対し、MFR4〜10
0のポリエチレンを0.5〜20重量部配合したポリプ
ロピレン繊維を提案している。
合繊維には以下の問題点が挙げられる。例えば、特開平
4−73214号公報記載の複合繊維は、鞘成分/芯成
分のMFR比を2〜10と大きくすることにより欠点を
解消しようと試みているが、紡糸性、延伸性が悪く、製
造工程中、特に紡糸工程時に繊維間融着を引き起こした
りする。特開平5−9810号公報では、芯成分と鞘成
分の間に融点差を設けているため、145℃以上の熱風
処理など高温加工には適しているが、145℃未満の熱
処理において検討がなされておらず、選択されるプロピ
レン系共重合体は、エチレン含有量の比較的少ない樹脂
を用いており、しかも紡糸ドラフトや延伸ドラフトが加
わることで、結晶化が進み高結晶となり、低温接着性に
有利である低結晶成分が少なく、低温接着性は十分とは
いえない。特開平6−108310号公報および特表2
001−502388号公報では、融点の低い樹脂を採
用し、延伸倍率を低く抑えて芯成分と鞘成分に温度差を
設けようと試みているが、融点の低いプロピレン系共重
合体は繊維間融着を引き起こし易く、延伸倍率を低く抑
えるため、伸度が大きくなり繊維にコシがなく、カード
通過性に劣る。
298824号公報、および特開2001−25425
6号公報で用いられているエチレン−プロピレン共重合
体は、いずれもメタロセン触媒を用いて重合されたもの
であり、紡糸安定性に優れ、低融点であるので、低温で
の熱接着性に優れるものの、低結晶成分が極端に少ない
ため、チーグラー−ナッタ触媒を用いて重合されたエチ
レン−プロピレン共重合体独特のゴム的性質が失われ、
得られる不織布の触感が柔軟とはいえない。
は、高密度ポリエチレンに少量のエチレン−プロピレン
共重合体を混合することにより、鞘の融点を上昇させ、
圧着時の樹脂の広がりを抑制して、熱ロール時の穴開き
現象の発生を抑制することができるが、高密度ポリエチ
レンが主体であるため、鞘成分と芯成分との相溶性は良
好とはいえず、鞘芯間剥離が生じて接着強力は十分とは
いえない。特開平6−116815号公報では、分子量
が8000以下の飽和炭化水素ワックスを混合するた
め、低温接着性に優れるものの、紡糸時の発煙し、作業
環境面で悪影響を及ぼすだけでなく、熱劣化によりノズ
ル口金へ分解物が付着し、長期生産性に劣るという問題
を含んでいる。さらに、繊維形成後も経時的にワックス
成分がブリードアウトする恐れがあり、最終製品に悪影
響を及ぼす恐れがある。特開2000−45125号公
報では、面反発性やクッション性には効果があるが、低
温での熱接着性、柔軟性においては十分とはいえなかっ
た。特開2000−110024号公報では、ポリエチ
レンを少量配合することにより低温でのヒートシール性
を向上させているが、エチレン−プロピレン共重合体と
ポリエチレンとは、相溶性が悪く、安定した紡糸性が得
られない。さらに、相溶性が悪いため、熱接着強力がば
らつき安定した不織布強力が得られない。
の融着など繊維生産性、ならびにカード通過性など不織
布生産性に優れ、低温熱接着性に優れるとともに、触感
がべたつき感の少ない柔軟な不織布あるいは合繊紙を得
るのに好適な熱接着性複合繊維と、これを用いた不織布
および合繊紙を提供するものである。
つき鋭意検討した結果、エチレン成分を多く含み、比較
的高分子量である低結晶成分を多く含有するエチレン−
プロピレン共重合体を少なくとも繊維表面の一部に露出
するように配置させることにより、上記課題を解決した
ものである。すなわち、本発明の熱接着性複合繊維は、
エチレン含有量が5wt%以上、15wt%以下であり、温
度上昇溶離分別(TREF)により測定される温度40
℃における溶出成分の溶出量が14wt%以上であり、前
記溶出成分に占めるエチレン成分の割合が10wt%以
上、前記溶出成分の重量平均分子量(Mw)が10万以
上であるエチレン−プロピレン共重合体を含む繊維形成
性樹脂を第一成分とし、融点が前記エチレン−プロピレ
ン共重合体の融点より10℃以上高いオレフィン系重合
体またはその共重合体を第二成分とし、第一成分が繊維
表面の少なくとも一部に露出してなる熱接着性複合繊維
である。
は、130℃を超え、140℃以下であることが好まし
い。また、前記エチレン−プロピレン共重合体における
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比
(Mw/Mn)は、3以下であることが好ましい。
晶性ポリプロピレンであると、第一成分と同質の樹脂で
構成され、鞘芯間剥離を抑えることができ、好ましい。
有量が5wt%以上、15wt%以下であり、温度上昇溶離
分別(TREF)により測定される温度40℃における
溶出成分の溶出量が14wt%以上であり、前記溶出成分
に占めるエチレン成分の割合が10wt%以上、前記溶出
成分の重量平均分子量(Mw)が10万以上であるエチ
レン−プロピレン共重合体を含む繊維形成性樹脂を第一
成分とし、融点が前記エチレン−プロピレン共重合体の
融点より10℃以上高いオレフィン系重合体またはその
共重合体を第二成分とし、第一成分が繊維表面の少なく
とも一部に露出するように複合紡糸されてなる。
を少なくとも10mass%含有し、熱接着性複合繊維の少
なくとも一部が溶融し、熱接着されており、熱接着強力
に優れるとともに、柔軟な触感を有する。
を少なくとも10mass%含有し、熱接着性複合繊維の少
なくとも一部が溶融し、熱接着されており、熱接着強力
および低温ヒートシール強力に優れる。
な強力および柔軟な触感を有するので、衛生材料、包装
材、フィルター、ウェットティッシュ、ワイパー、電池
セパレーター、ヒートシール紙等に好適である。
て、第一成分に含まれるエチレン−プロピレン共重合体
は、エチレン含有量5wt%以上、15wt%以下の範囲の
ものを用いる。好ましいエチレン含有量の下限は6wt%
以上である。好ましいエチレン含有量の上限は10wt%
以下である。エチレン含有量が5wt%未満であると、融
点が高くなる傾向であり、低温での熱接着性に劣り、不
織布製造時の熱接着加工温度の範囲が狭くなる恐れがあ
る。エチレン含有量が15wt%を超えると、繊維製造時
に繊維間融着が生じる恐れがあり、また軟化点や融点が
低くなりすぎて、不織布製造時に繊維ウェブを集積する
ネットへ溶融した樹脂が付着したり、あるいは熱ロール
処理においては、ロールへの粘着が発生するなど工程性
が低下する傾向にある。
て、温度上昇溶離分別(TREF)により測定される温
度40℃における溶出成分の溶出量は、14wt%以上と
する必要がある。好ましい溶出量の下限は、16wt%以
上である。好ましい溶出量の上限は、20wt%以下であ
る。TREFによる40℃での溶出成分は、エチレン−
プロピレン共重合体の結晶性を示すパラメーターであ
り、低結晶成分であるほど低温で溶出される。そして、
前記溶出量は、値が大きいほど低結晶成分がポリマーに
占める割合が多いことを示す。溶出量が14wt%未満で
あると、低結晶成分が少なく、紡糸ドラフトや延伸ドラ
フトが加わることで、結晶化が進み高結晶となり、低温
での熱接着性に劣る傾向にある。溶出量があまり大きす
ぎると、低結晶成分が多くなりすぎて、繊維自体のコシ
がなくなるため、不織布製造時のカード通過性などに劣
る傾向にある。
perature RisingElution Fr
action)は、下記により測定することができる。
[温度上昇溶離分別(TREF)]カラムを装着したク
ロス分別装置に、ポリマーを下記の溶媒に完全に溶解さ
せて供給した後に、所定の冷却速度で0℃まで冷却し、
不活性坦体表面に薄いポリマー層を生成させる。次に、
所定の温度で連続的に40℃まで昇温し、40℃までに
溶出した成分(溶出成分)を回収し、溶出成分の重量を
測定し、溶出量とした。 (測定条件) (1)装置:三菱化学株式会社製 CFC T150A
型 (2)溶媒:O−ジクロロベンゼン (3)測定濃度:4mg/ml (4)カラム:昭和電工株式会社製 AD80M/S カラムサイズ 0.46mmφ×15cm 不活性坦体 ガラスビーズ(0.1mm径) (5)冷却速度:100℃/120分 なお、温度上昇溶離分別(TREF)の詳細について
は、Journal of Applied Poly
mer Science 第26巻、第4217〜42
31頁(1981年)に記載されている。
(溶出エチレン含有量)は、10wt%以上とする必要が
ある。好ましい溶出エチレン含有量の下限は、11wt%
以上である。好ましい溶出エチレン含有量の上限は、1
6wt%以下である。溶出エチレン含有量は、値が大きい
ほど、低温での熱接着性に寄与するエチレン成分を多く
含み、ゴム的性質が強くなる傾向であり、柔軟性も高く
なる傾向である。溶出エチレン含有量が10wt%未満で
あると、低温での熱接着性に劣る傾向にある。溶出エチ
レン含有量があまり大きすぎると、ゴム的性質が強くな
りすぎて、紡糸時に融着を引き起こすなどの繊維生産性
や、繊維自体のコシがなくなりカード通過性など不織布
生産性にも影響を及ぼし、触感もべたつき感が強くなる
傾向にある。
占めるエチレン成分の割合は、エチレン−プロピレン共
重合体および溶出成分のIRスペクトルにおける730
cm-1のエチレンピークから算出することができる。
w)は、10万以上とする必要がある。好ましいMwの
下限は、10.5万以上である。好ましいMwの上限
は、15万以下である。溶出成分における重量平均分子
量(Mw)は、値が大きいほど、低結晶成分の重合度が
大きいことを示し、エチレン−プロピレン共重合体特有
のゴム的性質や紡糸時の融着が抑制される傾向にある。
Mwが10万未満であると、紡糸時に融着を引き起こす
などの繊維生産性やカード通過性など不織布生産性に劣
り、触感もべたつき感が強くなる傾向にある。Mwがあ
まりに大きすぎると、低温での熱接着性や不織布の柔軟
性に劣る傾向にある。
w)は、溶出成分のゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー(GPC)により求めることができる。
チレン−プロピレン共重合体は、TREFによる前記溶
出成分において溶出量、エチレン含有量、重量平均分子
量(Mw)をすべて満足するものが、紡糸時の融着など
繊維生産性、ならびにカード通過性など不織布生産性に
優れ、低温での熱接着性に優れるとともに、触感がべた
つき感の少ない柔軟な不織布あるいは合繊紙を得るのに
好適な熱接着性複合繊維となる。上記を満たすエチレン
−プロピレン共重合体としては、例えば、サンアロマ−
(株)製のPM940M(溶出量約18wt%、エチレン
含有量約14wt%、Mw約12万)等がある。
は、130℃を超え、140℃以下であることが好まし
い。より好ましい融点の下限は、132℃以上である。
なお、融点は、JIS−K−7122に準じてDSC法
により測定される。融点が130℃を下回ると、軟化点
が低くなりすぎて紡糸時に融着が生じる恐れがあり、ま
た得られる繊維自体もコシがなく、ゴム的性質が強くな
りすぎるため、不織布製造時のカード通過性に劣る傾向
にある。融点が140℃を超えると、低温での熱接着性
に劣り、第二成分をプロピレン系重合体としたとき、融
点差が小さく、不織布製造時の熱接着加工温度の範囲が
狭くなり、加工温度の管理が困難となるだけでなく、第
二成分も熱の影響を受けて風合いが硬くなる恐れがあ
る。
るASTM−D−1238に準ずるメルトフローレート
(MFR、温度230℃、荷重21.2N(2.16kg
f))は、1g/10min以上、100g/10min以下の範囲で
あることが好ましい。より好ましいMFRの下限は、1
0g/10min以上である。より好ましいMFRの上限は、
50g/10min以上である。MFRが1g/10min未満である
と、エチレン−プロピレン共重合体の分子量が大きすぎ
るため溶融粘度が低くなり、紡糸時の糸切れなどの問題
を発生しやすい。一方、MFRが100g/10minを超え
ると、エチレン−プロピレン共重合体の分子量が小さす
ぎるため、紡糸時の融着が生じる恐れがあり、また繊維
自体のコシのなくなり、不織布製造時のカード通過性が
劣る傾向にある。
る重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との
比(Mw/Mn)は、3以下であることが好ましい。M
w/Mnを3以下とすることにより、紡糸性が良好とな
る傾向にあり、好ましい。
成分は前記エチレン−プロピレン共重合体主体で構成す
ることが好ましく、第一成分に少なくとも70wt%含有
することがより好ましい。さらに好ましくは、80wt%
以上含有することである。そして、前記エチレン−プロ
ピレン共重合体による低温での熱接着性や触感を阻害し
ない範囲で、他の樹脂、例えば、前記溶出成分を含有し
ないエチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン、
高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密
度ポリエチレンなどのオレフィン系重合体またはその共
重合体を混合することができる。
不織布生産性、および低温での熱接着性、触感を阻害し
ない範囲であれば、無機物(例えば、炭酸カルシウム、
タルク等)等の公知の結晶核剤を10mass%以下で混合
してもよい。結晶核剤を混合すると、繊維製造時の繊維
間融着を防止する効果をさらに向上させることができ、
また、触感の柔らかい不織布を得ることができるという
利点がもたらされる。また、第一成分には、必要に応じ
てその他の添加剤、例えば、帯電防止剤、顔料、艶消し
剤、熱安定剤、光安定剤、難燃材、抗菌剤、滑剤、可塑
剤、柔軟剤等を用途等に応じて混合することができる。
第二成分は、第一成分における前記エチレン−プロピレ
ン共重合体の融点よりも10℃以上高い融点を有するオ
レフィン系重合体またはその共重合体が用いられる。好
ましくは、エチレン−プロピレン共重合体の融点よりも
20℃以上高い融点を有するオレフィン系重合体または
その共重合体である。第二成分が第一成分におけるエチ
レン−プロピレン共重合体の融点との差が10℃未満で
あると、不織布製造時の熱接着加工温度の範囲が狭くな
り、加工温度の管理が困難となるだけでなく、第二成分
も熱の影響を受けて風合いが硬くなる恐れがある。
はその共重合体としては、ポリプロピレン、ポリメチル
ペンテン、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが
挙げられ、なかでも、結晶性ポリプロピレンは、第一成
分に含まれるエチレン−プロピレン共重合体と同質であ
り相溶性がよく、成分間で剥離が生じにくく、熱接着性
に優れ、好ましい。
添加剤を含んでよい。具体的には、帯電防止剤、顔料、
艶消し剤、熱安定剤、光安定剤、難燃材、抗菌剤、滑
剤、可塑剤、柔軟剤等を含んでよい。
第一成分および第二成分で構成され、第一成分が繊維表
面の少なくとも一部に露出するように配置される。ここ
で、「第一成分が繊維表面の少なくとも一部に露出す
る」とは、繊維断面の周の少なくとも一部を第一成分が
占めていることをいう。本発明の熱接着性複合繊維にお
いて、第一成分は、好ましくは繊維断面の周の20%以
上、100%以下、より好ましくは、50%以上、10
0%以下を占め、もっとも好ましくは、100%を占め
る。
ば、同心円状あるいは偏心状に配置された鞘芯型複合繊
維、並列型複合繊維、分割型複合繊維、海島型複合繊維
等がある。本発明の熱接着性複合繊維の繊維断面形状
は、円状、異形状、中空状のいずれであってもよい。特
に、同心円状に配置された鞘芯型複合繊維は、熱接着加
工したときの熱接着点が多く、熱接着能を十分に発揮す
ることができるので都合がよい。
積比)は、8/2〜2/8であることが好ましい。より
好ましくは7/3〜3/7である。複合比が8/2を超
えると、熱収縮が大きくなる恐れがある。複合比が2/
8未満であると、この繊維を用いて熱接着不織布を製造
した場合、十分な不織布強力を有する不織布を得ること
ができない恐れがある。
限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。例え
ば、衛生材料、ウェットティッシュ等の低目付の不織布
(約10〜80g/m2)を製造する場合であれば、触感の
よい不織布が得られるよう熱接着性複合繊維の繊度は、
0.5dtex以上、4dtex以下の範囲であることが好まし
い。
法について説明する。まず、第一成分として、エチレン
含有量が5wt%以上、15wt%以下であり、温度上昇溶
離分別(TREF)により測定される温度40℃におけ
る溶出成分の溶出量が14wt%以上であり、前記溶出成
分に占めるエチレン成分の割合が10wt%以上、前記溶
出成分の重量平均分子量(Mw)が10万以上であるエ
チレン−プロピレン共重合体を一種または複数種用意
し、必要に応じて他の樹脂あるいは結晶核剤や添加剤を
混合して第一成分の原料樹脂とする。第二成分として、
融点が前記エチレン−プロピレン共重合体の融点より1
0℃以上高いオレフィン系重合体またはその共重合体を
用意する。
紡糸機を用いて溶融紡糸し、繊度1dtex以上、75dtex
の範囲の紡糸フィラメントを作製する。例えば、紡糸温
度200℃以上、350℃以下の範囲で押し出し、引取
速度100m/min以上、1500m/min以下の範囲で溶融
紡糸するとよい。第一成分の紡糸温度が200℃未満で
あると、溶融した樹脂の溶融粘度が高いために糸切れが
発生しやすい。第一成分の紡糸温度が350℃を超える
と、溶融粘度が低いために紡糸フィラメント同士が融着
しやすく、また樹脂の熱分解により紡糸性が低下する。
第一成分の好ましい紡糸温度は、230℃以上、300
℃以下の範囲である。一方、第二成分として結晶性ポリ
プロピレンを用いた場合、好ましい紡糸温度は、230
℃以上、300℃以下の範囲である。
は、1dtex以上、75dtexの範囲であることが好まし
い。紡糸フィラメントの引取繊度が1dtex未満である
と、糸切れ等が生じて繊維生産性が低下する。紡糸フィ
ラメントの引取繊度が75dtexを超えると、繊度の小さ
い熱接着性複合繊維を得ることが困難となる。本発明の
熱接着性複合繊維で不織布を形成する場合、不織布の風
合いを良好なものとするためには、紡糸フィラメントの
引取繊度を3dtex以上、20dtex以下の範囲とすること
が好ましい。
理機を用いて延伸処理して、延伸フィラメントを得る。
延伸処理は、延伸温度を30℃以上、95℃以下の範囲
とし、延伸倍率を2.5倍以上、5倍以下の範囲で実施
することが好ましい。より好ましい延伸倍率の下限は、
3倍以上である。より好ましい延伸倍率の上限は、4.
5倍以下である。前記エチレン-プロピレン共重合体
は、重量平均分子量の比較的大きい低結晶成分を多く含
有するので、延伸倍率を2.5倍未満の低延伸処理によ
り結晶化を抑制させずとも、低温での熱接着性に寄与す
る低結晶成分を含有させることができる。延伸倍率が
2.5倍未満であると、得られる繊維自体にコシがな
く、低強度高伸度の繊維となる傾向であり、カード通過
性が不十分となる恐れがあるだけでなく、不織布強力が
低下することがある。延伸倍率が5倍を超えると、エチ
レン−プロピレン共重合体の結晶化が進み、低温での熱
接着性が低下する恐れがある。延伸方法は、温水または
熱水中で実施する湿式延伸法、または乾式延伸法のいず
れであってもよい。
いては、延伸処理の前、延伸処理の間、または延伸処理
の後のいずれかの段階で、60℃以上、120℃以下の
範囲の温度でアニーリング処理を施すことが好ましい。
アニーリング処理は、乾熱、湿熱、または蒸熱を用い
て、緊張状態あるいは弛緩状態で実施される。アニーリ
ング処理は、繊維の結晶性を高めて繊維にコシを付与
し、不織布製造時のカード通過性等の向上に寄与する。
ここでも前記エチレン−プロピレン共重合体であれば、
重量平均分子量の比較的大きい低結晶成分を多く含有す
るので、低温熱接着性が阻害されない程度の結晶化が可
能となる。また、アニーリング処理の条件によって、不
織布の風合いを調整することが可能である。
テープル繊維、あるいはエアレイ用短繊維の形態で得よ
うとする場合、得られた延伸フィラメントには、必要に
応じて、所定量の繊維処理剤を付着させ、クリンパー
(捲縮付与装置)で捲縮を与える。捲縮付与後のフィラ
メントに60℃以上、120℃以下の範囲の温度で数秒
から約30分間、アニーリング処理を施す。繊維処理剤
を付着させた後でアニーリング処理を実施する場合、ア
ニーリング処理温度を80℃以上、115℃以下の範囲
とし、処理時間を5分以上として、アニーリング処理を
実施すると同時に繊維処理剤を乾燥させることがより好
ましい。アニーリング処理の温度を低く設定することに
より、不織布強力の高い不織布を得ることができ、アニ
ーリング処理の温度を高く設定することにより、風合い
が柔軟な不織布を得ることができる。アニーリング処理
終了後、フィラメントは用途等に応じて所定の長さにカ
ットされる。ステープル繊維であれば、30mm以上、1
00mm以下の範囲であることが好ましい。エアレイ用短
繊維であれば、1mm以上、50mm以下の範囲であること
が好ましい。
維として用いる場合、所定量の繊維処理剤を付着させ、
用途等に応じて2mm以上、20mm以下の長さにカット
し、水分率を0〜50mass%に調整するとよい。合繊紙
用短繊維は、合繊紙の紙強力およびヒートシール強力を
高くするために、延伸処理後にアニーリング処理を施さ
ずに製造することが好ましい。したがって、合繊紙用短
繊維の水分率を小さくするまたは0%とする場合には、
できるだけ低温で乾燥処理を実施することが好ましい。
このようにして得られる本発明の熱接着性複合繊維は、
例えば、本発明の不織布または合繊紙を製造するために
用いることができる。
とともに説明する。本発明の不織布は、前記熱接着性複
合繊維を少なくとも10mass%含有するように繊維ウェ
ブを作製し、繊維ウェブを熱処理し、熱接着性複合繊維
の表面の少なくとも一部(すなわち第一成分)を溶融さ
せて繊維間を熱接着させることにより得ることができ
る。本発明の不織布は、前記熱接着性複合繊維を熱接着
成分として前記エチレン−プロピレン共重合体を使用し
ているので、低温での熱接着性に優れており、熱接着加
工温度の範囲が広く、低温で熱処理を行っても優れた熱
接着強力を有している。さらに、第二成分(芯成分)の
融点よりも十分に低い温度で繊維間を熱接着し得るか
ら、第二成分の溶融または軟化に起因する不織布の柔軟
性の低下が生じないので、柔軟性を維持しつつ、べたつ
き感が低減された触感を有し、実用的な強力と柔軟な触
感を両立するさせることができる。
維以外に他の繊維を混綿、積層してもよく、例えば、コ
ットン、シルク、ウール、麻、パルプなどの天然繊維、
レーヨン、キュプラなどの再生繊維、アクリル系、ポリ
エステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ポリウ
レタン系などの合成繊維から1種または複数種の繊維を
用途などに応じて選択するとよい。なかでも、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合
体、あるいはエチレン−ブテン−プロピレン三元共重合
体等からなるポリオレフィン系繊維と組み合わせて不織
布を製造するのに適しており、特に、ポリプロピレン、
エチレン−プロピレン共重合体、あるいはエチレン−ブ
テン−プロピレン三元共重合体等からなるポリプロピレ
ン系繊維と良好に接着する。本発明の不織布を前記熱接
着性複合繊維のみで構成してもよいことはいうまでもな
い。
ウェブの形態は特に限定されず、ステープル繊維からな
るパラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェ
ブ、クロスウェブ、クリスクロスウェブなどのカードウ
ェブ、短繊維を湿式抄紙した湿式ウェブ、短繊維からな
るエアレイウェブ、長繊維からなるスパンボンドウェ
ブ、あるいはメルトブローウェブなどから目的に応じて
任意に選択することができる。繊維ウェブは、異なる種
類の繊維ウェブを2種類以上積層してもよい。不織布の
柔軟性をより重視する場合には、ステープル繊維からな
るカードウェブを用いて不織布を製造することが好まし
い。また、繊維間を絡合させるために、繊維ウェブに
は、必要に応じて熱処理前および/または熱処理後にニ
ードルパンチ処理や水流交絡処理等の二次加工を施して
もよい。
知の熱処理手段により熱処理を施し、熱接着性複合繊維
の少なくとも一部を溶融させて熱接着する。熱処理手段
としては、熱風吹き付け法および熱圧着法から選ばれた
少なくとも1種の熱処理方法を用いることが好ましい。
特に、エンボスロールを用いた熱圧着法は、より低温で
熱接着でき、また圧接面積が小さいので、不織布の柔軟
性を重視する場合には好ましい熱処理手段である。
処理条件は、採用する熱処理方法に応じて適宜設定され
る。例えば、熱風吹き付け法(エアースルー法)を採用
する場合、熱処理温度は、第一成分におけるエチレン−
プロピレン共重合体の融点以上であり、第二成分の融点
未満、好ましくは第二成分の融点より10℃低い温度以
下の範囲に設定するとよい。熱処理温度は、エチレン−
プロピレン共重合体の融点未満であると、十分な熱接着
強力が得られず、第二成分の融点を超えると、不織布の
柔軟性を損なうからである。
ス法)を採用する場合、ロール間の圧力(線圧)は、1
50N/cm以上、1500N/cm以下の範囲であることが好
ましい。線圧が150N/cm未満であると、熱接着が不十
分となり、不織布強力が低下する恐れがある。線圧が1
500N/cmを超えると、エンボス部分において穴開き
(ピンホール)が発生し、不織布の外観を損なう恐れが
ある。
けるロール温度(T℃)は、第一成分におけるエチレン
−プロピレン共重合体の融点−20(℃)≦T(℃)<
第二成分の融点−15(℃)であることが好ましい。よ
り好ましくは、エチレン−プロピレン共重合体の融点−
15(℃)≦T(℃)<第二成分の融点−25(℃)の
範囲である。ロール温度がエチレン−プロピレン共重合
体の融点−20(℃)未満であると、十分な熱接着強力
が得られず、第二成分の融点−15(℃)を超えると、
不織布の柔軟性を損なうからである。
を少なくとも10mass%含有する湿式ウェブを熱処理
し、熱接着性複合繊維の表面の少なくとも一部(すなわ
ち第一成分)を溶融させて繊維間を熱接着させることに
より得ることができる。熱処理は、第一成分におけるエ
チレン−プロピレン共重合体の融点以上、第二成分の融
点−10(℃)未満の範囲で実施される。
維以外に他の繊維を混綿、積層してもよく、例えば、
麻、パルプなどの天然繊維、レーヨン、キュプラなどの
再生繊維、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド
系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系などの合成繊維
から1種または複数種の繊維を用途などに応じて選択す
るとよい。本発明の合繊紙は、前記熱接着性複合繊維の
みからなるものであってもよい。
を有するから、ヒートシール紙として用いることができ
る。ヒートシール紙を用いれば、接合部を有する製品
(例えば、ティーバッグや水切りパックなど)をヒート
シール処理によって接合部を形成することにより製造で
きる。そのような製品(例えばティーバッグ)は、上記
の方法で得た合繊紙を所望の形状(例えば袋状)に整え
た後、ヒートシール機でヒートシール処理を施して接合
部を形成することにより製造される。ヒートシール機
は、公知のものであってよく、例えば熱ロールタイプ、
スタンプタイプなどが使用される。ヒートシール温度
は、第一成分におけるエチレン−プロピレン共重合体の
融点−20(℃)以上、第二成分の融点+40(℃)未
満の範囲とすることが好ましい。
強力及び柔軟でべたつき感の少ない触感を有するから、
衛生材料、包装材、フィルター、ウェットティッシュ、
ワイパー、電池セパレーター、ヒートシール紙等の用途
に好適である。
具体的に説明する。なお、単繊維強伸度、不織布の比容
積、引張強力、破断伸度、ドレープ係数は、以下のよう
に測定した。
準じ、引張試験機を用いて、試料のつかみ間隔を20mm
としたときの繊維切断時の荷重値および伸びを測定し、
それぞれ単繊維強力、単繊維伸度とした。
栄科学精機製作所製、THICKNESS GAUGE
モデルCR−60A)を用い、試料1cm2あたり29.
4mNの荷重を加えた状態で、不織布の厚みを測定し、不
織布の厚みと不織布の目付から比容積を算出した。
L−1096に準じ、幅5cm、長さ15cmの試料片をつ
かみ間隔10cmで把持し、定速伸長型引張試験機を用い
て引張速度30cm/minで伸長し、切断時の荷重値および
伸長率をそれぞれ引張強力、破断伸度とした。なお、試
料片は不織布の幅方向(CD方向)が試料片の長さ方向
になるよう作製した。
096−6.19.7法(ドレープ係数)に準じて測定
した。
用いて、鞘成分(第1成分)として融点が138℃、エ
チレン含有量が7wt%、温度上昇溶離分別(TREF)
により測定される温度40℃における溶出成分の溶出量
が17.8wt%、前記溶出成分に占めるエチレン成分の
割合が14wt%、前記溶出成分における重量平均分子量
(Mw)が118000、MFRが35g/10min、Mw
/Mnが2.8のエチレン−プロピレン共重合体(サン
アロマ−(株)製、PM940M)を用い、芯成分(第
2成分)として融点165℃の結晶性ポリプロピレン
(日本ポリケム(株)製、SA03A)を用い、第1成
分/第2成分の複合比(容積比)を5/5として、鞘成
分の紡糸温度を250℃、芯成分の紡糸温度を270℃
で溶融押出し、5.6dtexの紡糸フィラメントを得た。
これを90℃の温水中で3.3倍に延伸し、2dtexの延
伸フィラメントとし、繊維処理剤を付与した。次いで、
このフィラメントにスタッフィングボックス型クリンパ
ーにて機械的捲縮を施した後、100℃に設定した熱風
貫通型乾燥機にて約15分間、弛緩した状態でアニーリ
ング処理と乾燥処理を同時に施し、それからフィラメン
トを38mmの繊維長に切断して本発明の熱接着性複合ス
テープル繊維を得た。
カードにて目付約25g/m2の繊維ウェブを作製した。次
いで、このウェブに熱圧着処理を施して不織布を得た。
熱圧着処理は、エンボスパターンを円形、エンボス面積
を20%、エンボスロール/フラットロール間の線圧を
500N/cmに設定して実施した。本実施例では、加工温
度を、126℃、128℃、130℃、および引張強力
が7.8N/5cmである不織布を得るのに必要な温度(1
33℃)に設定して、4種類の本発明の不織布を得た。
(容積比)=4/6とした以外は、実施例1と同様の方
法で本発明の熱接着性複合ステープル繊維および不織布
を得た。引張強力が7.8N/5cmである不織布を得るの
に必要な加工温度は131℃であった。
℃、エチレン含有量が4.4wt%、温度上昇溶離分別
(TREF)により測定される温度40℃における溶出
成分の溶出量が11.9wt%、前記溶出成分に占めるエ
チレン成分の割合が11.1wt%、前記溶出成分におけ
る重量平均分子量(Mw)が97000、MFRが25
g/10min、Mw/Mnが3.9のエチレン−プロピレン
共重合体(出光石油化学(株)製、Y2045GP)を
用いた以外は、実施例1と同様の方法で熱接着性複合繊
維および不織布を得た。引張強力が7.8N/5cmである
不織布を得るのに必要な加工温度は139℃であった。
℃、エチレン含有量が4.3wt%、温度上昇溶離分別
(TREF)により測定される温度40℃における溶出
成分の溶出量が14.5wt%、前記溶出成分に占めるエ
チレン成分の割合が9.1wt%、前記溶出成分における
重量平均分子量(Mw)が126000、MFRが18
g/10min、Mw/Mnが3.5のエチレン−プロピレン
共重合体(日本ポリケム(株)製、SX02R)を用い
た以外は、実施例1と同様の方法で熱接着性複合繊維お
よび不織布を得た。引張強力が7.8N/5cmである不織
布を得るのに必要な加工温度は141℃であった。
着性複合繊維、ならびこれを用いた不織布の性能を表1
に示す。なお、不織布のドレープ係数は、引張強力が
7.8N/5cmである不織布について測定した。
例1および2のステープル繊維は、繊維製造時に紡糸で
の融着や糸切れなどもなく生産性に優れていた。本発明
の不織布に相当する実施例1および2の不織布は、不織
布製造時のカード通過性も問題なく、生産性に優れてい
た。また、実施例1および2の不織布は、いずれも同じ
加工温度で得た比較例1および2の不織布に比べ、高い
引張強力を有していた。引張強力が同一となるように不
織布を作製したところ、各実施例は、各比較例に比べ低
い加工温度で所定の引張強力を有する不織布を得ること
ができた。さらに、上記低温で接着できたことと、適度
なゴム的性質を有するため、比較例の不織布よりも柔軟
(すなわち、ドレープ係数が小さい)なものであった。
ィラメントを作製し、延伸した後、繊維処理剤を付着さ
せて5mmにカットして本発明の熱接着性複合短繊維を得
た。この短繊維とNBKP(パルプ)とを質量比5:5
で混抄して湿式ウェブを作製し、シリンダードライヤー
で145℃で30秒間熱処理を施して、目付30g/m2の
本発明の合繊紙を得た。
ィラメントを作製し、延伸した後、繊維処理剤を付着さ
せて5mmにカットして熱接着性複合短繊維を得た。この
短繊維を用いた以外は、実施例3と同様の方法で目付3
0g/m2の合繊紙を得た。
ィラメントを作製し、延伸した後、繊維処理剤を付着さ
せて5mmにカットして熱接着性複合短繊維を得た。この
短繊維を用いた以外は、実施例3と同様の方法で目付3
0g/m2の合繊紙を得た。
ヒートシール性を以下の方法で評価した。 [ヒートシール条件]幅30mm、長さ70mmの合繊紙を
2枚準備し、2枚の合繊紙を重ね合わせ、幅5mmのスタ
ンプタイプのヒートシール機(テスター産業(株)製、
TP701−13 ヒートシールテスター)を用いて、
合繊紙の一端から50mmの位置を温度130℃、圧力1
kg/cm2、1秒間処理して、ヒートシール処理を施し、ヒ
ートシール部を形成した。
部から50mm離れた側の端部を開き、幅30mm、つかみ
間隔100mmで把持し、定速伸長型引張試験機を用い、
引張速度100mm/minで伸長し、切断時の荷重値を剥離
強力とした。
する実施例3は、ヒートシール部の剥離強力が大きく、
優れたヒートシール性を有していた。
シール部の強度を調べるために、以下の試験を行った。
まず、実施例3および比較例3で得た合繊紙をたて50
mm、よこ50mmの正方形に切断した。正方形に切断した
合繊紙を2枚重ね合わせ、3辺を前記ヒートシール機を
用いて、温度130℃、圧力1kg/cm2、1秒間処理し
て、ヒートシール処理を施し、袋状とした。次いで、茶
葉を約3gをこの袋に投入した後、残りの1辺を前記条
件でヒートシール処理を施して、ティーバッグを作製し
た。
投入し、約10分間煮詰めた。その結果、実施例3で得
た合繊紙で作製したティーバッグは何ら変化が認められ
なかったものの、比較例3で得た合繊紙で作製したティ
ーバッグは、ヒートシール部が破れて袋から茶葉が漏出
した。
チレン−プロピレン共重合体を少なくとも繊維表面の一
部に露出するように配置することにより、広い温度範囲
で熱接着能を発揮し、従来の熱接着性複合繊維を使用す
る場合よりも低い熱接着加工温度で不織布を製造するこ
とができる。また、前記エチレン−プロピレン共重合体
の持つべたつき感が少なく柔軟な触感と、低温での熱接
着性とが相俟って、従来の熱接着不織布と比較して、同
程度の強力であってもより柔軟な触感を有する不織布が
得られる。また、この性質を利用すれば、低温ヒートシ
ール性に優れた合繊紙を得ることができる。
を少なくとも10mass%含有し、熱接着性複合繊維の少
なくとも一部が溶融し、熱接着されており、熱接着強力
に優れるとともに、柔軟な触感を有する。本発明の合繊
紙は、前記熱接着性複合繊維を少なくとも10mass%含
有し、熱接着性複合繊維の少なくとも一部が溶融し、熱
接着されており、熱接着強力および低温ヒートシール強
力に優れる。前記不織布および合繊紙は、衛生材料、包
装材、フィルター、ウェットティッシュ、ワイパー、電
池セパレーター、ヒートシール紙等に好適である。
Claims (7)
- 【請求項1】 下記に示すエチレン−プロピレン共重合
体を含む繊維形成性樹脂を第一成分とし、融点が前記エ
チレン−プロピレン共重合体の融点より10℃以上高い
オレフィン系重合体またはその共重合体を第二成分と
し、第一成分が繊維表面の少なくとも一部に露出してな
る熱接着性複合繊維。 (1)エチレン含有量が5wt%以上、15wt%以下。 (2)温度上昇溶離分別(TREF)により測定される
温度40℃における溶出成分の溶出量が14wt%以上。 (3)前記溶出成分に占めるエチレン成分の割合が10
wt%以上。 (4)前記溶出成分の重量平均分子量(Mw)が10万
以上。 - 【請求項2】 エチレン−プロピレン共重合体の融点が
130℃を超え、140℃以下である請求項1記載の熱
接着性複合繊維。 - 【請求項3】 エチレン−プロピレン共重合体における
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比
(Mw/Mn)が3以下である請求項1または2に記載
の熱接着性複合繊維。 - 【請求項4】 第二成分のオレフィン系重合体が結晶性
ポリプロピレンである請求項1〜3のいずれかに記載の
熱接着性複合繊維。 - 【請求項5】 下記に示すエチレン−プロピレン共重合
体を含む繊維形成性樹脂を第一成分とし、融点が前記エ
チレン−プロピレン共重合体の融点より10℃以上高い
オレフィン系重合体またはその共重合体を第二成分と
し、第一成分が繊維表面の少なくとも一部に露出するよ
うに複合紡糸されてなる熱接着性複合繊維。 (1)エチレン含有量が5wt%以上、15wt%以下。 (2)温度上昇溶離分別(TREF)により測定される
温度40℃における溶出成分の溶出量が14wt%以上。 (3)前記溶出成分に占めるエチレン成分の割合が10
wt%以上。 (4)前記溶出成分の重量平均分子量(Mw)が10万
以上。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の熱接着
性複合繊維を少なくとも10mass%含有し、熱接着性複
合繊維の少なくとも一部が溶融し、熱接着されてなる不
織布。 - 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の熱接着
性複合繊維を少なくとも10mass%含有し、熱接着性複
合繊維の少なくとも一部が溶融し、熱接着されてなる合
繊紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001374930A JP3790459B2 (ja) | 2001-12-07 | 2001-12-07 | 熱接着性複合繊維とその製造方法、及びこれを用いた不織布および合繊紙 |
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-
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- 2001-12-07 JP JP2001374930A patent/JP3790459B2/ja not_active Expired - Lifetime
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