JP7009738B2 - エレクトレット濾材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、気体中の微粒子の捕捉に用いられるエレクトレット濾材の製造方法に関する。
多孔性誘電体シートをエレクトレット化する従来の技術として、水流噴霧荷電法等が挙げられる。
例えば特許文献1には、水の噴流または水滴流を多孔性誘電体シートに衝突させることによりエレクトレット化する方法が開示されている。多孔性誘電体シートに衝突させる水としては、蒸留水やイオン交換水といったより純度の高い水を使用するのが好ましいとされている。
また、例えば特許文献2には、非導電性シートに水と水溶性有機溶剤との混合溶液を付与し、次いで該非導電性シートを乾燥するエレクトレット加工品の製造方法について開示されている。水と水溶性有機溶剤との混合溶液において、水としては、蒸留水やイオン交換水といったより純度の高い水を使用するのが好ましいとの記載がある。
さらに、例えば特許文献3には、コロナ荷電処理を行った非導電性多孔性誘電体シートにpH7を超える水溶液を噴射し、次いで、乾燥するエレクトレット濾過材の製造方法が開示されている。シートに水を噴射する前にコロナ荷電処理を行い、表面に電荷を蓄積させるのが好ましいとの記載がある。
また、例えば特許文献4には、帯電されるポリマー物品のゼータ電位が-7.5mV以下の場合、pH7を超え、かつ、約5~9000μS/cmの電気伝導度を有する水性液と接触させ、また、帯電されるポリマー物品のゼータ電位が-7.5mVを超える場合、pH7以下、かつ、約5~5500μS/cmの電気伝導度を有する水性液体と接触させ、前記物品を乾燥させることによるエレクトレット物品の製造方法が開示されている。また、水性液体のpH、および、電気伝導度を調整するために、酢酸、アセトン、エタノール、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、塩化銅等を添加することが開示されている。
特表平9-501604号公報 特開2002-115177号公報 特開2004-66027号公報 特表2011-522137号公報
しかしながら、高純度の水と多孔性誘電体シートとの接触による荷電効果は低く、多孔性誘電体シートを高度にエレクトレット化することはできない。また、高純度の水と水溶性有機溶剤との混合溶液を非導電性シートに付与しても、非導電性シートと混合溶液との接触による荷電効果は低い。これは、非導電性シートへの浸透性を高める目的で水溶性有機溶剤を混合しているため、非導電性シートと混合溶液との接触角が小さくなり、シート上の蓄積電荷が混合溶液中に流出しやすくなるからである。その結果、非導電性シートを高度にエレクトレット化できないという欠点を有する。
また、pH7を超える水溶液を噴射しても非導電性多孔性誘電体シートを高度にエレクトレット化することができず、また、水性液体のpH、および、電気伝導度を調整しても、高度にエレクトレット化することはできない。
上述の通り、高度にエレクトレット化されたエレクトレット濾材の製造方法は見当たらないのが現状である。
本発明は、上記の問題点を鑑み成され、その目的は、高度にエレクトレット化されたエレクトレット濾材の製造方法を提供することである。なお、本明細書中で、高度にエレクトレット化されたとは、帯電量が多くなるようにエレクトレット化されたという意味で用いる。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到った。すなわち本発明は、以下の通りである。
(1)本発明に係るエレクトレット濾材の製造方法は、多孔性誘電体シートに、金属酸化物ゾルを1~10000ppm含有する水溶液を、該水溶液が多孔性誘電体シート内を通過するのに十分な圧力で接触させ、次いで前記多孔性誘電体シートを乾燥することを特徴とする。
(2)また、本発明に係るエレクトレット濾材の製造方法は、上記方法に加え、前記水溶液中の金属酸化物ゾルが少なくともシリカゾル、アルミナゾルを含有することを特徴とする。
(3)また、本発明に係るエレクトレット濾材の製造方法は、上記方法に加え、前記多孔性誘電体シートが体積抵抗率1014Ωcm以上の材料を少なくとも一種類以上含むことを特徴とする。
(4)また、上記(1)~(3)のいずれか1つの製造方法で製造されたエレクトレット濾材も本発明の範囲に含まれる。
上記構成による製造方法により、多孔質誘電体シートが高度にエレクトレット化でき、低圧損ながら高い粒子捕集効率を有するエレクトレット濾材を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態のエレクトレット濾材の製造方法は、多孔性誘電体シートに、金属酸化物ゾルを含有する水溶液を、該水溶液が多孔性誘電体シート内を通過するのに十分な圧力で接触させ、次いで乾燥する。
本実施形態の多孔性誘電体シートは、被荷電処理体として用いられるものであり、例えば、繊維シート(例えば、織物、編み物、不織布、及び、これらの複合体)、多孔フィルム(例えば、穴開きフィルム)、発泡体、またはこれらの複合体などが挙げられるが、これらに限定されない。多孔性誘電体シートとして、好ましくは、スパンボンド法、メルトブロー法により作製された不織布である。それは、これら不織布は繊維表面積が大きいため、粒子捕集効率が向上するからである。
本実施形態の多孔性誘電体シートは、一枚であっても、複数枚積層した構成であってもよい。また、シート強度を高めるために、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、ネット等の補強材を積層してもよい。
本実施形態の多孔性誘電体シートは、一種類、あるいは、複数の種類の材料から構成されてもよいが、電荷保持の点から体積抵抗率1014Ωcm以上の材料を少なくとも一種類以上含むことが好ましい。もし、該多孔性誘電体シートが体積抵抗率1014Ωcm未満の材料のみで構成されていれば、電荷が蓄積しにくく、高度にエレクトレット化することはできない。また、電荷寿命が極端に短くなってしまうという問題が生じる。
本実施形態の多孔性誘電体シートの具体的な材料としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。これらのうち、ポリオレフィンが好ましく、中でもポリプロピレンが特に好ましい。
本実施形態の多孔性誘電体シートが、ポリプロピレンからなるスパンボンドまたはメルトブロー不織布の場合、目付は、好ましくは5~200g/mであり、より好ましくは10~100g/mである。平均繊維径は、好ましくは1~30μmである。
本実施形態の多孔性誘電体シートには、特に定めないが、一般的なポリマー添加剤を含有することが好ましく、例えば、ヒンダードアミン系もしくはトリアジン系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤、硫黄系安定剤、リン系安定剤、脂肪酸金属塩、結晶核剤のうち少なくとも一種類の添加剤が含有されることが好ましい。これらの添加剤を含有することにより、多孔性誘電体シートのエレクトレット性が向上する。
前記ヒンダードアミン系もしくはトリアジン系安定剤としては、特に限定するわけではないが、具体的には、ポリ〔((6-(1,1,3,3,-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)((2,2,6,6,-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6,-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)〕(BASF社製、キマソーブ(登録商標)944)、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン,N,N‘-1,2-エタンジルビス[N-[3-[[4,6-ビス[ブチル(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)アミノ]-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]プロピル]-N’,N’-ジブチル-N‘,N’-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル(BASF社製、キマソーブ(登録商標)119)、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物(BASF社製、チヌビン(登録商標)622)、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)(BASF社製、チヌビン(登録商標)144)、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6ーテトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミン・N-(2,2,6,6ーテトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(BASF社製、キマソーブ(登録商標)2020)、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-((ヘキシル)オキシ)-フェノール(BASF社製、チヌビン(登録商標)1577)
などが挙げられる。
前記ヒンダードフェノール系安定剤として、特に限定するわけではないが、具体的には、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製、Irganox(登録商標)1010)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製、Irganox(登録商標)1076)、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト(BASF社製、Irganox(登録商標)3114)、3,9-ビス-{2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ-[5,5]ウンデカン(住友化学社製、スミライザー(登録商標)GA-80)等が挙げられる。
前記硫黄系安定剤として、特に限定するわけではないが、具体的には、ジ-ラウリル-3,3-チオジプロピオン酸エステル(DLTDP)、ジ-ステアリル-3,3-チオジプロピオン酸エステル(DSTDP)等が挙げられる。
前記リン系安定剤として、特に限定するわけではないが、具体的には、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト(BASF社製、Irgafos(登録商標)168)、ジ(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)-ペンタエリストール-ジフォスファイト(アデカ社製、PEP-36)、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナントレン-10-オキサイド(三光社製、HCA)等が挙げられる。
前記脂肪酸金属塩として、特に限定するわけではないが、直鎖状脂肪酸基を有するものが好ましい。また脂肪酸基は炭素数10~20のものが好ましい。具体的には、ラウリル酸アルミニウム、ミリスチン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、ラウリル酸マグムシウム、ミリスチン酸マグムシウム、パルミチン酸マグムシウム、ステアリン酸マグムシウム等が挙げられる。
前記結晶核剤として、特に限定するわけではないが、具体的にはリン酸ビス(4-t-ブチルフェニル)ナトリウム(アデカ社製、NA-10)、リン酸2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ナトリウム(アデカ社製、NA-11)、ロジン系結晶核剤パインクリスタルKM-1500(荒川化学社製)等が挙げられる。
前記添加剤の含有量は、多孔性誘電体シート100重量部に対して、0.01~5重量部であり、好ましくは0.025~4重量部、さらに好ましくは0.05~2重量部である。含有量が少ないとエレクトレット化効果が十分ではなく、逆に含有量が多くても効果は飽和し、コストが上昇するため好ましくない。
本実施形態のエレクトレット濾材の製造において、エレクトレット化に際し、多孔性誘電体シートに接触させる水溶液は、金属酸化物ゾルを含有する。金属酸化物ゾルを含有しない水を使用した場合は、水溶液中の金属酸化物ゾルが電子的な相互作用を起こさないため、多孔性誘電体シートを高度にエレクトレット化することができない。
前記金属酸化物ゾルとしては、ケイ素、アルミニウム、チタン、セリウム、ジルコニウム、鉄、錫、ニオブ等の酸化物のゾルが挙げられるが、環境面より、シリカゾルまたはアルミナゾルが好ましい。
本実施形態のエレクトレット濾材の製造において、接触させる水溶液に含有する金属酸化物ゾルの濃度は1~10000ppmであることが好ましい。当該範囲であれば、多孔性誘電体シートを高度にエレクトレット化することができる。
本実施形態において多孔性誘電体シートに前記水溶液を接触させる場合、シートを通気度50~400cm/cm/秒の網状支持体に載せ、この上方より水溶液を噴射するとともに、該網状支持体の下方を減圧状態とすることが好ましい。通気度はJIS?L1096に記載のフランジール形試験機を用いて測定される。
なお、前記水溶液の多孔性誘電体シートへの接触について、水溶液が多孔性誘電体シート内を通過するのに十分な圧力で接触させることができれば、噴射以外の方法を用いてもよい。例えば、水溶液と接触させた多孔性誘電体シートについて、多孔性誘電体シートの水溶液と接触している面の反対側を減圧状態にし、水溶液を多孔性誘電体シートと接触させるという方法でもよい。
網状支持体とは具体的には金属ヤーンやプラスチックヤーンの織物からなる多孔構造物であり、平織り、綾織り、朱子織りなどの織り形状が挙げられる。金属素材としてはステンレス、ブロンズ等、またプラスチック素材としてはポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン、ポリフェニレンサルファイドなどがある。
前記水溶液の噴射は多孔性誘電体シートの数cm上方に設置した、シートの幅方向に沿って多数のオリフィスを有するノズルより、前記水溶液が該シートを通過するのに十分な圧力で噴射する。通過するのに十分な圧力は、特に定めないが、多孔性誘電体シートの目付によって異なる。例えば、目付が5~50g/mのシートに対しては、0.3~3MPa、50~200g/mのシートに対しては、1~4MPaであることが好ましい。噴射の圧力が高すぎると、多孔性誘電体シートにピンホールが開き、濾過性能が低下してしまう。また圧力が低すぎることが原因で多孔性誘電体シート内を水が十分に通過することができなければ、多孔性誘電体シートを高度にエレクトレット化することができない。
ノズルは直径0.05~0.2mmのオリフィスを、ピッチ0.5~3mmで1列あるいは複数列配置したものが好ましい。また、例えば網状支持体を可動とし、多孔性誘電体シートをその長手方向に搬送させることにより噴射処理を連続的に行うことができるものが好ましい。その搬送速度は特に限定されないが、好ましい範囲を挙げると、1~100m/分である。また最適な噴射回数や処理面(片面か両面か)は多孔性誘電体シートの目付や平均繊維径に依存するため、特に限定されない。
また水溶液の噴射と同時に、網状支持体の下方を、排気ブロアー等を用いて減圧状態とすることが好ましい。吸引負圧は特に限定されないが、0.1~10mAqが好適である。減圧状態にすると、多孔性誘電体シート内を水が十分に通過でき、多孔性誘電体シートを高度にエレクトレット化することができる。
前記多孔性誘電体シートに前記水溶液の噴射処理後の乾燥方法については、従来公知の方法がいずれも使用可能である。例えば、熱風乾燥法、真空乾燥法、自然乾燥法等の方法が適用可能である。これらのうちでも熱風乾燥法は、連続処理が可能であるため好ましい。熱風乾燥法の場合、乾燥温度としてはエレクトレットを消失させない程度の温度にする必要がある。好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下にするのがよい。また、熱風乾燥前に、予備乾燥として、吸水ロール、サクション吸引等によって過剰な水分を取り除いておくと、より好ましい。
水溶液との接触処理を施す前に行う多孔性誘電体シートの前処理として、直流コロナ処理を行うことが好ましい。直流コロナ処理を行うことによってシート表層部分が親水性に変化し、多孔性誘電体シートと水溶液との接触性が向上し、高度にエレクトレット化することができる。
以下、実施例によって本発明の作用効果をより具体的に示す。下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に沿って設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
まず、実施例中で行った特性値の測定方法、および処理方法を以下に示す。
(直流コロナ処理)
多孔性誘電体シートを、アルミ平板の接地極上に敷いた厚み0.5mmのシリコンシート上に置き、多孔性誘電体シート上方1cmに設置した針状電極を用いて+15kVの直流高電圧を10秒間印加した。
(接触処理(エレクトレット化処理))
多孔性誘電体シートを通気度120cm/cm/秒の網状支持体(96メッシュ)に載せ、多孔性誘電体シートの上方2cmに位置する直径0.1mmφ、ピッチ0.6mmのノズルから、1MPaの圧力で水溶液の噴射処理を行った。なおベースとなる水は、一般的な水道水を逆浸透膜処理、次いでイオン交換膜処理を施した高純度の水とし、その水に金属酸化物ゾルを添加し、所望の水溶液を得た。網状支持体の搬送速度を4m/分とし、ノズル直下の網状支持体の下方を2mAqの減圧状態とした。この処理をシートの表裏について各2回ずつ行った。その後このシートを80℃の熱風オーブン中に1分間滞留させて乾燥した。
(濾過特性の評価)
圧力損失(PD)は、エレクトレット濾材試料をダクト内に設置し、濾材通過線速度が10cm/秒になるようコントロールし、エレクトレット濾材上流と下流との静圧差を圧力計で読み取ることで、求めた。
また粒子捕集効率E(%)の評価は、粒子径0.3μmの大気塵粒子を用い、10cm/秒にて行った。濾材品質係数QFは、圧力損失PD(Pa)と粒子捕集効率E(%)とを用いて、下記式より算出した。
QF=-LN((100-E)/100)/PD
(平均繊維径の評価)
平均繊維径の評価として、SEM写真により拡大した繊維100本について繊維径を測定し、その相加平均値Dfs[μm]を求めた。
(ゼータ電位の評価)
二酸化ケイ素粉末をイオン交換水に分散させたものに、希塩酸を添加してpHを6に調製して、トレーサー懸濁液を作製した。4mm×5mmのサンプルを平板ゼータ電位測定用セルのサンプルホルダー(マルバーン社製)にセットし、前記トレーサー懸濁液を使用して、ゼータサイザーナノZS(マルバーン社製)にてゼータ電位(mV)の測定を行った。
以下の実施例および比較例では、多孔性誘電体シートとして従来公知の方法で製造されるメルトブロー不織布を使用したが、これに限定されるものではない。
(実施例1)
メルトフローインデックス1000のポリプロピレン樹脂100重量部に対してIrganox1010(BASF社製)を0.05重量部配合した樹脂(体積抵抗率1016Ωcm)を使用して、目付20g/m2、平均繊維径(Dfs)1.7μmのメルトブロー不織布を作製した。さらに、直流コロナ処理を施すことにより多孔性誘電体シートを作製した。ゼータ電位は-50mvであった。シリカゾル溶液(日産化学製スノーテックスST-S)を使用し、シリカゾル3ppm含有する水溶液を調製し、噴射処理を行い、乾燥させ、エレクトレット濾材を得た。この濾材の濾過特性を表1に示す。
(実施例2)
メルトフローインデックス1000のポリプロピレン樹脂100重量部に対してIrganox1010(BASF社製)を0.05重量部配合した樹脂(体積抵抗率1016Ωcm)を使用して、目付20g/m2、平均繊維径(Dfs)1.7μmのメルトブロー不織布を作製した。さらに、直流コロナ処理を施すことにより多孔性誘電体シートを作製した。ゼータ電位は-50mvであった。シリカゾル溶液(日産化学製スノーテックスST-S)を使用し、シリカゾル30ppm含有する水溶液を調製し、噴射処理を行い、乾燥させ、エレクトレット濾材を得た。この濾材の濾過特性を表1に示す。
(実施例3)
メルトフローインデックス1000のポリプロピレン樹脂100重量部に対してIrganox1010(BASF社製)を0.05重量部配合した樹脂(体積抵抗率1016Ωcm)を使用して、目付20g/m2、平均繊維径(Dfs)1.7μmのメルトブロー不織布を作製した。さらに、直流コロナ処理を施すことにより多孔性誘電体シートを作製した。ゼータ電位は、-50mvであった。シリカゾル溶液(日産化学製スノーテックスST-S)を使用し、シリカゾル300ppm含有する水溶液を調製し、噴射処理を行い、乾燥させ、エレクトレット濾材を得た。この濾材の濾過特性を表1に示す。
(実施例4)
メルトフローインデックス1000のポリプロピレン樹脂100重量部に対してIrganox1010(BASF社製)を0.05重量部配合した樹脂(体積抵抗率1016Ωcm)を使用して、目付20g/m2、平均繊維径(Dfs)1.7μmのメルトブロー不織布を作製した。さらに、直流コロナ処理を施すことにより多孔性誘電体シートを作製した。ゼータ電位は-50mvであった。シリカゾル溶液(日産化学製スノーテックスST-S)を使用し、シリカゾル3000ppm含有する水溶液を調製し、噴射処理を行い、乾燥させ、エレクトレット濾材を得た。この濾材の濾過特性を表1に示す。
(実施例5)
メルトフローインデックス1000のポリプロピレン樹脂100重量部に対してキマソーブ944(BASF社製)を0.3重量部配合した樹脂(体積抵抗率1016Ωcm)を使用して、目付20g/m2、平均繊維径(Dfs)1.8μmのメルトブロー不織布を作製することにより多孔性誘電体シートを作製した。ゼータ電位は-50mvであった。アルミナゾル溶液(日産化学製スノーテックスAS-200)を使用し、アルミナゾル100ppm含有する水溶液を調製し、噴射処理を行い、乾燥させ、エレクトレット濾材を得た。この濾材の濾過特性を表1に示す。
(実施例6)
メルトフローインデックス1000のポリプロピレン樹脂100重量部に対してキマソーブ944(BASF社製)を0.5重量部配合した樹脂(体積抵抗率1016Ωcm)を使用して、目付20g/m2、平均繊維径(Dfs)1.8μmのメルトブロー不織布を作製することにより多孔性誘電体シートを作製した。ゼータ電位は、-50mvであった。アルミナゾル溶液(日産化学製スノーテックスAS-200)を使用し、アルミナゾル100ppm含有する水溶液を調製し、噴射処理を行い、乾燥させ、エレクトレット濾材を得た。この濾材の濾過特性を表1に示す。
(実施例7)
メルトフローインデックス1000のポリプロピレン樹脂100重量部に対してキマソーブ944(BASF社製)を1.0重量部配合した樹脂(体積抵抗率1016Ωcm)を使用して、目付20g/m2、平均繊維径(Dfs)1.9μmのメルトブロー不織布を作製することにより多孔性誘電体シートを作製した。ゼータ電位は、-50mvであった。アルミナゾル溶液(日産化学製スノーテックスAS-200)を使用し、アルミナゾル100ppm含有する水溶液を調製し、噴射処理を行い、乾燥させ、エレクトレット濾材を得た。この濾材の濾過特性を表1に示す。
(実施例8)
メルトフローインデックス1000のポリプロピレン樹脂100重量部に対してキマソーブ944(BASF社製)を1.0重量部配合した樹脂(体積抵抗率1016Ωcm)を使用して、目付20g/m2、平均繊維径(Dfs)4.1μmのメルトブロー不織布を作製することにより多孔性誘電体シートを作製した。ゼータ電位は、-50mvであった。アルミナゾル溶液(日産化学製スノーテックスAS-200)を使用し、アルミナゾル100ppm含有する水溶液を調製し、噴射処理を行い、乾燥させ、エレクトレット濾材を得た。この濾材の濾過特性を表1に示す。
(実施例9)
メルトフローインデックス1000のポリプロピレン樹脂100重量部に対してキマソーブ944(BASF社製)を1.0重量部配合した樹脂(体積抵抗率1016Ωcm)を使用して、目付20g/m2、平均繊維径(Dfs)5.8μmのメルトブロー不織布を作製することにより多孔性誘電体シートを作製した。ゼータ電位は、-50mvであった。アルミナゾル溶液(日産化学製スノーテックスAS-200)を使用し、アルミナゾル100ppm含有する水溶液を調製し、噴射処理を行い、乾燥させ、エレクトレット濾材を得た。この濾材の濾過特性を表1に示す。
(比較例1)
メルトフローインデックス1000のポリプロピレン樹脂100重量部に対してIrganox1010(BASF社製)を0.05重量部配合した樹脂(体積抵抗率1016Ωcm)を使用して、目付20g/m2、平均繊維径(Dfs)1.7μmのメルトブロー不織布を作製した。さらに、直流コロナ処理を施すことにより多孔性誘電体シートを作製した。ゼータ電位は、-50mvであった。シリカゾル溶液(日産化学製スノーテックスST-S)を使用し、シリカゾル0.3ppm含有する水溶液を調製し、噴射処理を行い、乾燥させ、エレクトレット濾材を得た。この濾材の濾過特性を表1に示す。
(比較例2)
メルトフローインデックス1000のポリプロピレン樹脂100重量部に対してIrganox1010(BASF社製)を0.05重量部配合した樹脂(体積抵抗率1016Ωcm)を使用して、目付20g/m2、平均繊維径(Dfs)1.7μmのメルトブロー不織布を作製した。さらに、直流コロナ処理を施すことにより多孔性誘電体シートを作製した。ゼータ電位は、-50mvであった。シリカゾル溶液(日産化学製スノーテックスST-S)を使用し、シリカゾル30000ppm含有する水溶液を調製し、噴射処理を行い、乾燥させ、エレクトレット濾材を得た。この濾材の濾過特性を表1に示す。
(比較例3)
メルトフローインデックス1000のポリプロピレン樹脂100重量部に対してキマソーブ944(BASF社製)を0.3重量部配合した樹脂(体積抵抗率1016Ωcm)を使用して、目付20g/m2、平均繊維径(Dfs)1.8μmのメルトブロー不織布を作製することにより多孔性誘電体シートを作製した。ゼータ電位は、-50mvであった。アルミナゾル溶液(日産化学製スノーテックスAS-200)を使用し、アルミナゾル50000ppm含有する水溶液を調製し、噴射処理を行い、乾燥させ、エレクトレット濾材を得た。この濾材の濾過特性を表1に示す。
Figure 0007009738000001
表1から明らかなように、実施例1~9では何れも粒子捕集効率が高く、高度にエレクトレット化されていることがわかる。これに対して金属酸化物ゾルの濃度が1ppm未満の水溶液を使用した場合(比較例1)、および、10000ppm以上の水溶液を使用した場合(比較例2、3)では捕集効率が低く、高度にエレクトレット化されていないことがわかる。
本発明に係る製造方法により製造されたエレクトレット濾材は、低圧損ながら高い粒子捕集効率を有し、様々なフィルター用途で幅広く利用することができ、産業上大きく貢献できる。

Claims (4)

  1. 多孔性誘電体シートに、金属酸化物ゾルを1~10000ppm含有する水溶液を、該水溶液が多孔性誘電体シート内を通過するのに十分な圧力で接触させ、次いで前記多孔性誘電体シートを乾燥して、前記多孔性誘電体シートをエレクトレット化することを特徴とする気体中の微粒子の捕捉に用いられるエレクトレット濾材の製造方法。
  2. 前記多孔性誘電体シートを網状支持体に載せて、前記水溶液の前記接触を噴射で行い、当該噴射と同時に前記網状支持体の下方を減圧状態にする、ことを特徴とする請求項1に記載のエレクトレット濾材の製造方法。
  3. 前記水溶液中の金属酸化物ゾルが少なくともシリカゾルまたはアルミナゾルを含有することを特徴とする請求項1または2に記載のエレクトレット濾材の製造方法。
  4. 前記多孔性誘電体シートが体積抵抗率10 14 Ωcm以上の材料を少なくとも一種類以上含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のエレクトレット濾材の製造方法。
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