JP2002249978A - エレクトレット加工品の製造方法 - Google Patents
エレクトレット加工品の製造方法Info
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Abstract
コストで生産可能にするエレクトレット加工品の製造方
法を提供することにある。 【解決手段】 非導電性シートSに水Wを付与した後又
は水Wを付与しながらシート片面から吸引を行って該非
導電性シートSに水Wを浸透させ、次いで該非導電性シ
ートSを乾燥することによりエレクトレット化すること
を特徴とする。
Description
品の製造方法に関し、さらに詳しくは、高品質のエレク
トレット加工品を低コストで生産可能にするエレクトレ
ット加工品の製造方法に関する。
して、エレクトレット加工された繊維シートが優れた性
能を有するため使用されている。このエレクトレット化
繊維シートの製造方法としては、合成繊維不織布等の繊
維シートに高電圧を印加し、コロナ放電によりエレクト
レット化する方法(特開昭61−102476号公報等
参照)や、フィルムシートにワイヤ電極により高電圧を
印加し、同じくコロナ放電によりエレクトレット化した
後、そのフィルムシートを繊維化して不織布にする方法
(特公昭57−14467号公報等参照)などが知られ
ている。
トレット化方法は、いずれもアース電極31の上に高分
子材料シートSを裁置するか又は移動させながら、その
表面に直流高電圧発生装置33の高電圧を針状或いはワ
イヤー電極32から印加し、コロナ放電によりエレクト
レット化するものである。そのため、高電圧印加電極3
2とアース電極31の間隙精度等によりムラを生じやす
く、エレクトレット化シートに荷電ムラが出来たり、ま
た火花放電によりシートが損傷するという問題があっ
た。
に、安全維持管理のために費用がかかるため、コスト高
になるという問題があった。
従来技術の諸問題を解消し、高品質、高性能のエレクト
レット加工品を低コストで生産可能にするエレクトレッ
ト加工品の製造方法を提供することにある。
明のエレクトレット加工品の製造方法は、非導電性シー
トに水を付与した後又は水を付与しながら、シート片面
から吸引を行って該非導電性シートに水を浸透させ、次
いで該非導電性シートを乾燥してエレクトレット化シー
トにすることを特徴とするものである。
後又は水を付与しながら、シート片面から吸引すること
により水をシート全体に満遍なく浸透させることができ
るので、これを乾燥するだけで、高品質、高性能のエレ
クトレット化シートにすることができる。しかも、製造
設備としては、水付与設備、吸引設備、乾燥設備などで
あるので、従来の高電圧発生設備に比べて低廉であり、
かつ安全維持管理を低コストで行うことができる。
は、非導電性を有する材料であれば特に限定されない。
例えば、合成繊維或いは天然繊維の織物、編み物、不織
布等の繊維シートやプラスチックフィルムシートなどを
挙げることができる。これらの中でも特に合成繊維シー
トが好ましい。また、エアフィルター用の場合には、合
成繊維不織布が好ましく、中でも高性能フィルター用に
は、メルトブロー不織布を使用することが好ましい。
る材料であれば特に限定されるものではない。好ましく
は、体積抵抗率が1012・Ω・cm以上、さらに好まし
くは1014・Ω・cm以上の素材を主体とするものを使
用するとよい。
のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
乳酸等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレ
ン、ポリフェニレンサルファイト、フッ素系樹脂、およ
びこれらの混合物などを挙げることができる。これらの
中でも、ポリオレフィンまたはポリ乳酸を主体とするも
のはエレクトレット性能の点から好ましく、さらにポリ
プロピレンを主体とするものは一層好ましい。
ンダードアミン系添加剤又はトリアジン系添加剤を少な
くとも1種配合することが好ましい。この添加剤を非導
電性シートに含有させることにより、特に高いエレクト
レット性能を保持させることが可能になるからである。
ン系添加剤としては、ポリ〔((6−(1,1,3,
3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリ
アジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6,−テト
ラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン
((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)イミノ)〕(チバガイギー製、キマソープ944L
D)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチ
ル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン重縮合物(チバガイギー製、チヌピン622
LD)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,
2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(チバガ
イギー製、チヌピン144)などが挙げられる。
のポリ〔((6−(1,1,3,3,−テトラメチルブ
チル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイ
ル)((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリ
ジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6,−
テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)〕(チバガイ
ギー製、キマソープ944LD)、2−(4,6−ジフ
ェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−
((ヘキシル)オキシ)−フェノール(チバガイギー
製、チヌピン1577FF)などを挙げることができ
る。これらのなかでも特にヒンダードアミン系添加剤を
使用することが好ましい。
熱安定剤、耐候剤、重合禁止剤等の一般にエレクトレッ
ト加工品の非導電性シートに使用されている公知の添加
剤を添加するようにしてもよい。
ジン系添加剤の添加量としては、特に限定されないが、
好ましくは0.5〜5重量%の範囲にするとよく、更に
好ましくは0.7〜3重量%の範囲にするとよい。添加
量が0.5重量%未満では、目的とする高レベルのエレ
クトレット性能を得ることが難しくなる。また、5重量
%を超えるほど多く配合すると製糸性や製膜性を悪く
し、かつコスト的にも不利になるので好ましくない。
は、上述した非導電性シートに水を付与して十分な浸透
状態にし、この浸透状態のシートを乾燥する。水は非導
電性シート全体に満遍なく十分に浸透した状態にする必
要があり、そのため非導電性シートに水を付与した後又
は水を付与しながら、シート片面に吸引を与えることに
より反対側面の水を吸引側に透過させることが重要であ
る。
通し、シート全体に満遍なく浸透状態になるので、以後
この非導電性シートを乾燥するだけで、均一でかつ高密
度に電荷が帯電した高品質のエレクトレット化シートに
することができる。特に水を付与しながら吸引する場合
は、水を付与後に吸引する場合よりも水の浸透効果を大
きくすることができる。これら一連の水付与、吸引、乾
燥の各工程は、連続的に行ってもよく、バッチ式で行っ
てもよい。
水槽に浸漬させる方法でもよく、或いはノズル等を使用
して塗布する方法でもよい。
ては、シートを水中に走行させながら吸引する方法、水
面を走行するシートの上面から吸引する方法、シート上
面からノズル等で水を供給しつつ、下面から吸引する方
法などを好ましく使用することができる。これらのうち
でも、特に水面を走行するシートの水面から吸引する方
法が好ましい。
くは0.2g/cm2 以上がよく、さらに好ましくは
0.3g/cm2 以上であるのがよい。0.2g/cm
2 未満では十分な帯電効果を得ることができない。
電性シートは、次いで乾燥処理する前に、この非導電性
シートの片面からサクションノズルにより真空吸引処理
をするとよい。この真空吸引処理により、一層帯電性能
を向上することができる。
aから−0.05MPaの範囲が好ましく、さらに好ま
しくは、−0.006MPaから−0.04MPaの範
囲にするとよい。最も好ましくは、−0.01MPaか
ら−0.03MPaの範囲である。真空吸引圧力が−
0.005MPa未満であっては吸引が不十分になり、
また−0.05MPaより大きくては、吸引が強くなり
すぎてシートが破れることがある。
方法は、従来公知の方法がいずれも使用可能である。例
えば、熱風乾燥法、真空乾燥法、自然乾燥法等の方法を
適用することができる。なかでも熱風乾燥法は、連続処
理が可能であるため好ましい。熱風乾燥法の場合、乾燥
温度としてはエレクトレットを失活させない程度の温度
にする必要がある。好ましくは120℃以下、より好ま
しくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下にす
るのがよい。また、熱風乾燥前に、予備乾燥として、ニ
ップロール、吸水ロール、サクション吸引等によって余
剰の水分を取り除くようにすると尚良い。
浸透処理に用いる水は、液体フィルター等で汚れを除去
したものであって、出来るだけ清浄なものを使用するこ
とが好ましい。特にイオン交換水、蒸留水、逆浸透膜で
透過した濾過水等の純水が好ましい。また、純水として
のレベルは、導電率で103 μS/m以下が好ましく、
さらに好ましくは102 μS/m以下であるものがよ
い。
することで非導電性シートに対する水の浸透性を一層向
上することができる。この場合、水溶性有機溶剤の濃度
としては通常20重量%以下が用いられる。水に混合す
る水溶性有機溶剤としては、沸点が水の沸点より低いも
のが好ましい。すなわち、水溶性有機溶剤は、水のシー
トへの浸透性を向上させるためのものであるので、一度
シートに浸透したら、なるべく早く気化して乾燥するこ
とが好ましいからである。より好ましくは、水との沸点
差が10℃以上低いものがよい。
電性シートへの浸透性が良ければ特に限定されない。例
えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロ
ピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエ
チルケトン類のケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル等
のエステル類、その他アルデヒド類、カルボン酸類等を
挙げることができる。特に、浸透性の点からアルコール
類またはケトン類が好ましく、特にアセトン、イソプロ
ピルアルコール、エタノールのうちの少なくとも1種を
用いるのが好ましい。さらに好ましくは、イソプロピル
アルコールを主成分とするものが好ましい。
製造方法を実施する装置を例示したものである。
引器、3は乾燥装置である。浸漬槽1の槽内には、水W
が充填されている。被処理材の非導電性シートSは、浸
漬槽1内に送りローラ4と浸漬ローラ5を介して導入さ
れ、水Wの中に浸漬させられた後、次の吸引器2へ移送
される。浸漬槽1から出た非導電性シートSは、吸引器
2の吸引口2aの上を通過しながら、その下面側を吸引
される。吸引器2は負圧源(図示せず)に連結され、そ
の負圧を非導電性シートSの下面に作用させることによ
り、シート上面側の水が下面側へ透過し、非導電性シー
トSの表裏全体を浸透状態にする。この吸引器2は、図
示のように1台に限定されず、複数台を非導電性シート
Sの移送方向に連続して配置するようにしてあってもよ
い。
は、予め一対のニップローラ6,6で余剰の水を絞り出
された後、乾燥装置3に移送される。乾燥装置3には複
数のガイドローラ7がジグザグ状に内設され、供給口3
aから加熱空気を供給し、排気口3bから排出すること
により内部を加熱状態にしている。この乾燥装置3に移
送された非導電性シートSは、ガイドローラ7をジグザ
グ状に走行する間に乾燥され、エレクトレット化された
シートになって搬出される。
シートは、吸引器の吸引作用により水をシート全体に満
遍なく浸透させているので、高電荷がシート全体に均一
分布した高品質、高性能のエレクトレット加工品にな
る。
製造方法を実施する他の装置を例示する。
1に代えて、スリット状吐出口8aを有するノズル8を
設けている。そのノズル8は、スリット状吐出口8aか
ら水Wをフィルム状に吐出し、矢印方向に走行する非導
電性シートSの表面に膜状に塗布するようにしている。
その水Wは、非導電性シートSが吸引器2の上面を通過
するとき、下面側を吸引されることにより下面側へ透過
し、非導電性シートSの表裏全体に浸透状態になる。以
後は、図1の装置と同様に、ニップロール6で余剰の水
を除去されたのち乾燥装置3に送られて乾燥され、エレ
クトレット化されたシートになる。
シートも、図1の装置で得られたエレクトレット化シー
トと同様に、吸引器の作用により水をシート全体に満遍
なく含浸させるので、高品質、高性能のエレクトレット
加工品にすることができる。
製造方法を実施する更に他の態様を例示する。
吸引ノズル、12は真空吸引ノズルである。水浸漬処理
槽9は下面から水が常に供給され、オーバフロー槽10
にオーバフローさせることによって常に水面を一定に維
持するようにしている。被処理材の非導電性シートSは
水浸漬処理槽9の水面に、送りローラ4と浸漬ローラ5
を介して導入され、そこで負圧源(図示せず)に連結さ
れた吸引ノズル11によりシート上面から吸引すること
により、水がシート下面から上面に透過し、非導電性シ
ートSの表裏全体を浸透状態にする。吸引ノズル11は
図示の例のように1台だけでもよく、複数台を連続配置
するようにしてもよい。
は、必要により真空吸引ノズル12によって真空吸引処
理され、次いで図1の場合と同様に乾燥装置3に送られ
て乾燥処理され、エレクトレット化されたシートになっ
て搬出される。
製造方法を実施する更に他の態様を例示する。
処理槽9の代わりに水槽1を設け、この水槽1の中で吸
引ノズル11によって非導電性シートSに水を浸透させ
るようにしたものである。水を浸透させた後の工程は、
図3の装置と同様である。
も、高品質、高性能のエレクトレット加工品にすること
ができる。
値は、次の測定法により測定したものである。
で測定した。この捕集性能測定装置は、測定サンプルM
をセットするサンプルホルダー21の上流側にダスト収
納箱22を連結し、下流側に流量計23、流量調整バル
ブ24、ブロワ25を連結している。また、サンプルホ
ルダー21にパーテクルカウンター26が設けられ、こ
のパーテクルカウンター26を使用し、切替コック27
を介して、測定サンプルMの上流側のダスト個数と下流
側のダスト個数をそれぞれ測定することができる。
mのポリスチレン標準ラテックスパウダーをダスト収納
箱22に充填し、サンプルMをホルダー21にセット
し、風量をフィルター通過速度が1.5m/分になるよ
うに流量調整バルブ24で調整し、ダスト濃度を1万〜
4万個/2.83×10-4m3 (0.01ft3 )の範囲で安定さ
せ、サンプルMの上流のダスト個数Dおよび下流のダス
ト個数dをパーティクルカウンター26(リオン社製、
KC−01B)で5回測定し、JIS K−0901に
基づいて下記計算式にて捕集性能(%)を求めた。
の繊維の径を測定し、その平均値を求めた。
キマソープ944)を1%含む、MI=700のポリプ
ロピレンを原料として、通常のメルトブロー法により、
目付40g/m2 、平均繊維径2.0μmのメルトブロ
ー不織布を作製した。次いで、このメルトブロー不織布
を、図2のように、片面に純水を供給しながら、反対の
面からサクションで吸引して水を浸透させた後、水切り
して乾燥した。
布の捕集性能を測定したところ、98.58%であっ
た。
を浸透させた後、水切り乾燥した。
布の捕集効率は、真空吸引を行わなかった場合は99.
994%、行った場合は99.9995%であった。
を浸透させた後、水切り乾燥した。
布の捕集効率は、真空吸引を行わなかった場合は99.
8%、行った場合は99.992%であった。
間浸漬後、水切りした後乾燥した。処理後の不織布の捕
集性能を測定したところ、56.3%と低いものであっ
た。
たところ、57.5%と低いものであった。
ートに水を付与した後又は水を付与しながら、シート片
面から吸引することにより水をシート全体に満遍なく浸
透させることができるので、これを乾燥するだけで、高
品質、高性能のエレクトレット化シートにすることがで
きる。しかも、製造設備としては、水付与設備、吸引設
備、乾燥設備などであるので、従来の高電圧発生設備に
比べて低廉であり、かつ安全維持管理を低コストで行う
ことができる。
施する装置の一例を示す概略図である。
施する装置の他の例を示す概略図である。
施する装置の更に他の例を示す概略図である。
施する装置の更に他の例を示す概略図である。
す概略図である。
を示す概略図である。
Claims (12)
- 【請求項1】 非導電性シートに水を付与した後又は水
を付与しながら、シート片面から吸引を行って該非導電
性シートに前記水を浸透させ、次いで該非導電性シート
を乾燥してエレクトレット化シートにするエレクトレッ
ト加工品の製造方法。 - 【請求項2】 前記水を浸透後の非導電性シートを乾燥
処理する前に、該非導電性シートの片面から真空吸引処
理を行う請求項1に記載のエレクトレット加工品の製造
方法。 - 【請求項3】 前記非導電性シートがヒンダードアミン
系添加剤或いはトリアジン系添加剤を0.5〜5重量%
含有している請求項1または2に記載のエレクトレット
加工品の製造方法。 - 【請求項4】 前記非導電性シートが合成繊維からなる
シートである請求項1,2又は3に記載のエレクトレッ
ト加工品の製造方法。 - 【請求項5】 前記合成繊維からなるシートがメルトブ
ロー不織布である請求項4に記載のエレクトレット加工
品の製造方法。 - 【請求項6】 前記非導電性シートがポリオレフィンを
主体に構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の
エレクトレット加工品の製造方法。 - 【請求項7】 前記ポリオレフィンがポリプロピレンを
主体に構成されている請求項6に記載のエレクトレット
加工品の製造方法。 - 【請求項8】 前記水がイオン交換水、蒸留水又は逆浸
透膜による濾過水である請求項1〜7のいずれかに記載
のエレクトレット加工品の製造方法。 - 【請求項9】 前記水が水溶性有機溶剤を含有する請求
項1〜8のいずれかに記載のエレクトレット加工品の製
造方法。 - 【請求項10】 前記水溶性有機溶剤が水よりも低い沸
点を有する請求項9に記載のエレクトレット加工品の製
造方法。 - 【請求項11】 前記水溶性有機溶剤がアルコール類又
はケトン類を主成分に構成されている請求項9又は10
に記載のエレクトレット加工品の製造方法。 - 【請求項12】 前記水溶性有機溶剤がイソプロピルア
ルコール、エチルアルコール、アセトンのうちの少なく
とも1種である請求項11に記載のエレクトレット加工
品の製造方法。
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