JP6039897B2 - エレクトレット化合成繊維シートの製造方法 - Google Patents

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本発明は、エレクトレット化合成繊維シートの製造方法に関する。
さらに詳しくは、高品質のエレクトレット化合成繊維シートを、従来のコロナ放電法等の電極を使用した方法に比較して低コストで生産可能にするエレクトレット化合成繊維シートの製造方法に関し、特に、比較的小寸法の繊維シートなどをエレクトレット化するのに好適なエレクトレット化合成繊維シートの製造方法に関する。
従来、低圧損のエアフィルター用材料やマスク用材料などとして、エレクトレット化された繊維シートが優れた性能を有するため使用されている。
このエレクトレット化繊維シートの製造方法としては、合成繊維不織布等の繊維シートに高電圧を印加し、コロナ放電によりエレクトレット化する方法(特許文献1−2)や、フィルムシートにワイヤ電極により高電圧を印加し、同じくコロナ放電によりエレクトレット化した後、そのフィルムシートを繊維化して不織布にする方法(特許文献3)などが知られている。
しかし、これらの従来のエレクトレット化方法は、いずれもアース電極の上に高分子材料シートを裁置するかまたは移動させながら、その表面に直流高電圧発生装置の高電圧を針状あるいはワイヤ電極から印加し、コロナ放電によりエレクトレット化するものである。そのため、高電圧印加電極とアース電極の間隙精度等によりムラを生じやすく、エレクトレット化シートに荷電ムラができたり、また火花放電によりシートが損傷するという問題があった。さらに、高電圧設備は一般に高価である上に、安全維持管理のために費用がかかるため、コスト高になるという問題があった。
そうしたことを技術背景に、近年、繊維シートに水を噴射したりあるいは水を含浸・浸透させ、その後にその水を乾燥させることによってエレクトレット化した繊維シートを製造するという画期的な方法が提案されている(特許文献4−8)。
しかし、これらの方法は、水を浸透させて乾燥させるという簡単な方法であるものの、繊維シートの全幅にわたり水を十分にかつ均斉に浸透させるために、装置面では高圧噴射装置、吸引装置、浴槽等を必要とするなど比較的大がかりなものになる方法であり、安定して高精度なエレクトレット化加工をするためには、装置や被加工原反などは比較的ラージスケール化されていることが有効な手法であり、小寸法のものの小回りを効かせた加工をしたいときなどには不向きと言わざるを得ないものだった。
特開昭61−102476号公報 特開昭61−282471号公報 特公昭57−14467号公報 特表平9−501604号公報 特開2004−74149号公報 特開2002−115177号公報 特開2002−115178号公報 特開2004−60110号公報
本発明の目的は、上述した従来技術の諸問題を解消し、高品質、高性能のエレクトレット化合成繊維シートを、従来のコロナ放電法等の電極を使用した方法に比較して低コストで生産でき、かつ、比較的小寸法の被加工シートなどでも加工の安定性が良く、かつコスト面やエレクトレット化製品のエレクトレット性能面でも不利になることなく、エレクトレットシートの製造を可能になさしめる新規なエレクトレット化合成繊維シートの製造方法を提供することにある。
上述した目的を達成する本発明のエレクトレット加工品の製造方法は、下記(1)の構成を有する。
(1)平均繊維径が2.0μm以上の合成繊維からなる非導電性合成繊維シートに水を付与して浸透させた後、凍結減圧乾燥して前記非導電性合成繊維シートをエレクトレット化すると共に、その圧力損失を前記非導電性合成繊維シートの圧力損失よりも小さくすることを特徴とするエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
また、かかる本発明のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法は、以下の(2)〜(13)のいずれかの構成を有することが好ましい。
(2)前記非導電性合成繊維シートが、目付5〜200g/m2 、見かけ密度0.03〜1.20g/cm3 であることを特徴とする上記(1)記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
(3)前記非導電性合成繊維シートに対して、水の含浸率100〜1000%で前記凍結減圧乾燥を行うことを特徴とする上記(1)または(2)記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
(4)前記非導電性合成繊維シートが、メルトブロー不織布であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
(5)前記非導電性合成繊維シートを1枚の状態で、前記凍結減圧乾燥に供することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
(6)前記非導電性合成繊維シートを複数枚重ねた状態で、前記凍結減圧乾燥に供し、しかる後、該重ねられた複数枚の合成繊維シートを、より小単位の枚数の合成繊維シートに分けることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
(7)前記非導電性シートが、ポリオレフィンを主体に構成されていることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
(8)前記非導電性シートが、ヒンダードアミン系添加剤あるいはトリアジン系添加剤を0.5〜5重量%含有していることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
(9)前記水が、イオン交換水、蒸留水または逆浸透膜による濾過水であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
(10)前記水が、水溶性有機溶剤を含有することを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
(11)前記水溶性有機溶剤が、水よりも低い沸点を有することを特徴とする上記(10)に記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
(12)前記水溶性有機溶剤が、アルコール類またはケトン類を主成分に構成されていることを特徴とする上記(10)または(11)に記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
(13)前記水溶性有機溶剤が、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、アセトンのうちの少なくとも1種であることを特徴とする上記(12)に記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
請求項1にかかる本発明のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法によれば、高品質、高性能のエレクトレット化合成繊維シートを、従来のコロナ放電法等の電極を使用した方法に比較して低コストで製造でき、かつ、比較的小寸法の被加工繊維シートなどでも、加工の安定性が良くかつコスト面やエレクトレット化繊維シートのエレクトレット性能面でも不利になることなく、エレクトレット化合成繊維シートの製造を可能になさしめる新規なエレクトレット化合成繊維シートの製造方法が提供される。
特に、請求項2〜13のいずれかにかかる本発明のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法によれば、上述した請求項1にかかる本発明の効果を有する他、さらに該効果をより高くかつ確実に得ることができるエレクトレット化合成繊維シートの製造方法が提供される。
本発明の実施例でエレクトレット化合成繊維シートの評価をするために用いた捕集性能測定装置を示す概略図である。
以下、更に詳しく本発明のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法について、説明する。
本発明のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法は、非導電性合成繊維シートに水を付与して浸透させた後、凍結減圧乾燥して前記非導電性合成繊維シートをエレクトレット化することを特徴とする。
凍結減圧乾燥をするとは、いわゆる「フリーズドライ法」により乾燥することをいい、本発明では、非導電性合成シートに水を付与して浸透させた後、フリーズドライ法により、すなわち、代表的にはマイナス30℃〜マイナス60℃程度の温度で急速に凍結させ、さらに減圧して真空状態で該水分を昇華させることにより該シートを乾燥させるものである。
本発明の方法によれば、合成繊維シートに水分を付与して浸透させた後、その水分を昇華乾燥させるというプロセスを経ることだけにより、該シートのエレクトレット化ができる。フリーズドライの後は、そのフリーズドライをさせたままの状態で、その後に特別なことをしなくとも、高性能なエレクトレット化合成繊維シートとなっているものであり、従来のエレクトレット化合成繊維シートと同様に使用できるものである。
更に、本発明の方法によれば、合成繊維シートに水分を付与して浸透させた後、その水分が冷凍されことによって、合成繊維シートを構成する繊維間の水が氷結膨張し、合成繊維シート製造工程で潰された繊維構造が復元する傾向にあり、従来方法に比べて、より低圧力損失の高性能なエレクトレット化合成繊維シートが得られる。
本発明に使用する非導電性合成繊維シートは、非導電性を有する材料であって、シートの繊維間の空間に水を含むことができる構造であればよく、特に限定されない。例えば、合成繊維の織物、編物、不織布等の繊維シートなどを使用することができる。上記の「シートの繊維間の空間に水を含むことができる構造」であるとは、言い変えると「通気性を有する構造であること」を指すものであり、本発明に好ましく使用される非導電性合成繊維シートは、通気性が、フラジール法で測定したときに通気量10〜600cc/cm2 であるものである。
上記した合成繊維シートの中でも、特にエアフィルター用の場合には、合成繊維不織布が好ましく、中でも高性能フィルター用や、花粉対策用マスク用、防塵ヘアキャップ用などには、メルトブロー不織布を使用することが好ましい。
また、非導電性合成繊維シートは、目付5〜200g/m2 、見かけ密度0.03〜1.20g/cm3 であることが、フリーズドライ前に水を付与、浸透させることが容易であり好ましい。より好ましくは、目付10〜400g/m2 、見かけ密度0.06〜1.10g/cm3 であり、かかる範囲内のものを用いれば、水を付与、浸透がより均等になされ、かつシートのハンドリングも容易であるので、フリーズドライ(凍結減圧乾燥)で最適なエレクトレット化合成繊維シートを得ることができる。なお、繊維の比重が高めのもの(例えば、フッ素繊維など)を使用する場合や、非導電性合成繊維シートを複数枚積層してフリーズドライをする場合等には、目付が200g/m2 を超える場合も多く考えられるが、水の付与と浸透さえ均一にできるようであれば、本発明方法によるフリーズドライとエレクトレット化加工は可能である。
非導電性合成繊維シートに対して凍結減圧乾燥を行うに際しては、好ましくは、水の含浸率110〜1000%で前記凍結減圧乾燥を行うことが性能の高いエレクトレット効果を発現する点で好ましい。水の含浸率は、マングルであればゲージを調整するなどの絞り装置で絞る率を適宜に設定することにより調整することができ、また、真空脱水機を使用して、真空度を調整して含浸率を所望どおりに調節することができる。水の含浸率は、より好ましくは200〜500%である。
繊維シートを凍結減圧乾燥するに際しては、該非導電性合成繊維シートを1枚の状態で、凍結減圧乾燥に供することもでき、あるいは、該非導電性合成繊維シートを複数枚重ねて積層させた状態で、凍結減圧乾燥に供し、しかる後、該重ねられた複数枚の合成繊維シートを、より小単位の枚数の合成繊維シートに分けて、所望の厚さ(所望の積層枚数)のエレクトレット化合成繊維シートを得るようにしてもよい。積層した状態で凍結減圧乾燥に供する場合、その枚数に特に制限はなく、シートに水が付与、浸透していればよい。ただし、水が極力均一に浸透した状態を維持したままで凍結減圧乾燥に供するために、上述した目付、見かけ密度の範囲程度の合成繊維シートを用いる場合には、本発明者らの知見によれば、積層する場合は2〜50枚とすることが好ましく、より好ましくは5〜30枚である。
また、合成繊維シートを紙管などの筒状物に巻き付けた状態であっても、該シートに水が付与、透浸されていればよく、本発明方法によるフリーズドライとエレクトレット化を行うことができる。シートの巻数が多い場合は、巻き付ける筒状物に、メッシュ状等の水が通過できる孔を多数有するものであれば、水の付与、浸透が容易である。
非導電性合成繊維シートの素材は、非導電性を有する材料であればよく、特に限定されるものではない。好ましくは、体積抵抗率が1012・Ω・cm以上、更に好ましくは1014・Ω・cm以上の素材を主体とするものを使用するとよい。体積抵抗率の上限は、特に限定されるものではないが、一般に、1018・Ω・cmまでである。
該素材として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイト、フッ素系樹脂、およびこれらの混合物などを挙げることができる。これらの中でも、ポリオレフィンまたはポリ乳酸を主体とするものはエレクトレット性能の点から好ましく、さらにポリプロピレンを主体とするものは一層好ましい。
また、本発明に使用する非導電性合成繊維シートには、ヒンダードアミン系添加剤またはトリアジン系添加剤を少なくとも1種配合することが好ましい。この添加剤を非導電性合成繊維シートに含有させることにより、特に高いエレクトレット性能を保持させることが可能になるからである。
上記2種類の添加剤のうちヒンダードアミン系添加剤としては、ポリ〔((6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))(チバガイギー製、キマソープ944LD)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(チバガイギー製、チヌピン622LD)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(チバガイギー製、チヌピン144)などが挙げられる。
また、トリアジン系添加剤としては、前述のポリ〔((6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))(チバガイギー製、キマソープ944LD)、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((ヘキシル)オキシ)−フェノール(チバガイギー製、チヌピン1577FF)などを挙げることができる。これらのなかでも特にヒンダードアミン系添加剤を使用することが好ましい。
非導電性合成繊維シートには、上記添加剤の他に、熱安定剤、耐候剤、重合禁止剤等の一般にエレクトレット加工品の非導電性合成繊維シートに従来から使用されている添加剤を添加するようにしてもよい。
上記ヒンダードアミン系添加剤またはトリアジン系添加剤の添加量としては、特に限定されないが、好ましくは0.5〜5重量%の範囲にするとよく、更に好ましくは0.7〜3重量%の範囲にするとよい。添加量が0.5重量%未満では、目的とする高レベルのエレクトレット性能を得ることが難しくなる。また、5重量%を超えるほど多く配合すると製糸性や製膜性を悪くし、かつコスト的にも不利になるので好ましくない。
本発明において、非導電性合成繊維シートに対する浸透処理に用いる水は、液体フィルター等で汚れを除去したものであって、できるだけ清浄なものを使用することが好ましい。特にイオン交換水、蒸留水、逆浸透膜で透過した濾過水等の純水が好ましい。また、純水としてのレベルは、導電率で103 μS/m以下が好ましく、さらに好ましくは102 μS/m以下であるものがよい。
また、上記水には、水溶性有機溶剤を混合することで非導電性シートに対する水の浸透性を一層向上することができる。この場合、水溶性有機溶剤の濃度としては通常20重量%以下のものを用いるのがよい。水に混合する水溶性有機溶剤としては、沸点が水の沸点より低いものが好ましい。すなわち、水溶性有機溶剤は、水のシートへの浸透性を向上させるためのものであるので、一度シートに浸透したら、なるべく早く気化して乾燥することが好ましいからである。より好ましくは、水との沸点差が10℃以上低いものがよい。
水溶性有機溶剤の種類は、混合溶液の非導電性シートへの浸透性が良ければよく、特に限定されない。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン類のケトン類、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、その他アルデヒド類、カルボン酸類、ジメチルスルオキシド等を挙げることができる。特に、浸透性の点からアルコール類またはケトン類が好ましく、特にアセトン、イソプロピルアルコール、エタノールのうちの少なくとも1種を用いるのが好ましい。さらに好ましくは、イソプロピルアルコールを主成分とするものが好ましい。
以下に説明する実施例において使用する特性値は、次の測定法により測定したものである。
1.捕集性能
以下に説明する捕集性能測定装置を用いて、捕集性能(%)を測定した。
〔捕集性能(直径0.3μm〜0.5μmのダスト収納性能)〕
図1に示したように、捕集性能測定装置は、測定サンプルをセットするサンプルホルダー11の上流側にダスト収納箱12を連結し、下流側に流量計13、流量調整バルブ14、ブロワ15を連結している。また、サンプルホルダー11にパーテクルカウンタ16が設けられ、このパーテクルカウンタ16を使用し、切替コック17を介して、測定サンプル上流側のダスト個数と下流側のダスト個数をそれぞれ測定するものである。
捕集性能の測定に当たっては、直径0.3μm〜0.5μmの大気塵をダスト収納箱12に充填し、サンプルMをホルダー11にセットし、風量をフィルター通過速度が3.0m/分になるように流量調整バルブ14で調整し、ダスト濃度を1万〜4万個/2.83×10-43 (0.01ft3 )の範囲で安定させ、サンプルMの上流のダスト個数Dおよび下流のダスト個数dをパーテクルカウンタ16(リオン社製、KC−01D)で5回測定し、JIS K−0901に基づいて、下記計算式にて捕集性能(%)を求めた。
捕集性能(%)=〔(上流ダスト数D−下流ダスト数d)/上流ダスト数D)〕×100
2.平均繊維径
SEM写真により拡大した200本の繊維の径を測定し、その平均値を求めた。
3.水の含浸率
以下の(a)式により求めた値である。サンプルサイズは、各実施例で記載のサイズである。
水の含浸率(%)=(含浸後質量/含浸前質量)×100…………………(a)式
含浸前質量とは、サンプルを温度23℃、湿度50%の雰囲気中に8時間置いて測定したものである。
実施例1、2
耐候剤としてトリアジン系添加剤(BASF社製、キマソープ944)を1%含む、MI=700のポリプロピレンを原料として、通常のメルトブロー法により、目付20g/m2 、平均繊維径2.0μm、見かけ密度0.11g/cm3 のメルトブロー不織布を作製した。
次いで、このメルトブロー不織布を、試験サンプルサイズ(20cm×20cm)に裁断し、RO水(逆浸透膜濾過水)を張ったバットに浸し、手で揉んでRO水を十分に浸透させた。該サンプルを0.2MPaで真空脱水し、RO水の含浸率を440%として、フリーズドライ用試料を得た(実施例1)。
また、脱水を特に行わずに、RO水の含浸率が997%のフリーズドライ用試料を得た(実施例2)。
実施例1と同2のRO水を含浸させた各メルトブロー不織布を、それぞれ1枚ずつ乾燥凍結機(共和真空(株)製、型式:RLEII-103)を用いて、表1に記載した温度−真空度条件により凍結減圧乾燥(フリーズドライ処理)を行った。得られた不織布は、いずれもエレクトレット化されているものであった。
Figure 0006039897
得られたエレクトレット化メルトブロー不織布を、エアフィルター性能として、捕集性能と圧力損失を測定したところ、実施例1品で、捕集性能が99.4%、圧力損失が25.8Paであった。実施例2品で、捕集性能が94.1%、圧力損失が24.5Paであった。
実施例1品と実施例2品を比較すると、脱水処理をせずに含水率の高い条件でフリーズドライ処理をした場合(実施例2)は、低圧力損失の特徴が強いものとなり、脱水処理をして含水率の小さい条件でフリーズドライ処理をした場合(実施例1)は、高捕集性能の特徴が強いものとなる。
比較例1
実施例1と実施例2で使用したのと同一のメルトブロー不織布を用いて、エレクトレット化加工を何らせずに、エアフィルター性能として、捕集性能と圧力損失を測定したところ、表1に示したように、捕集性能が37.4%、圧力損失が26.0Paであった。
比較例2
実施例1と実施例2で使用したのと同一のメルトブロー不織布を用いて、RO水浴中に含浸させ、該不織布の下方からRO水を吸引させて、該不織布に浸透させRO水の含浸率を989%とした。しかる後、熱風によって乾燥させてエレクトレット化メルトブロー不織布を得た。
このエレクトレット化メルトブロー不織布のエアフィルター性能として、捕集性能と圧力損失を測定したところ、表1に示したように、捕集性能が99.2%、圧力損失が27.4Paであった。
比較例3
実施例1と実施例2で使用したのと同一のメルトブロー不織布を用いて、RO水浴中に含浸させ、該不織布の下方からRO水を吸引させて、該不織布に浸透させ、RO水の含浸率を448%とし、しかる後、自然乾燥させてエレクトレット化メルトブロー不織布を得た。このエレクトレット化メルトブロー不織布のエアフィルター性能として、捕集性能と圧力損失を測定したところ、捕集性能が99.3%、圧力損失が26.3Paであった。
参照例1,2
耐候剤としてトリアジン系添加剤(BASF社製、キマソープ944)を0.05%含む、MI=110のポリプロピレンを原料として、通常のメルトブロー法により、目付20g/m2 、平均繊維径1.5μm、見かけ密度0.10g/cm3のメルトブロー不織布を作製した。
次いで、このメルトブロー不織布を、試験サンプルサイズ(20cm×20cm)に裁断し、RO水浴中に含浸させ、該不織布の下方からRO水を吸引させて、該不織布に浸透させた。しかる後、0.2MPaでマングル及び真空脱水し、RO水の含浸率を440%として、フリーズドライ用試料を得た。表1に示す通り、得られたエレクトレット化メルトブロー不織布を、エアフィルター性能として、捕集性能と圧力損失を測定したところ、表1に示したように、参照例1品で、捕集性能が98.5%、圧力損失が33.0Paであった(参照例1)。
また、同様に試験サンプルサイズ(20cm×20cm)に裁断し、RO水浴中に含浸させ、該不織布の下方からRO水を吸引させて該不織布に浸透させた後、0.2MPaでマングル及び真空脱水し、10枚積層し、RO水の含浸率の10枚の平均値が446%として、フリーズドライ用試料を得た。(参照例2)。
積層体から1枚1枚の不織布に分離して確認したところ、得られた不織布は、いずれもエレクトレット化されているものであった。
なお、各層(下から、1〜10層)のエレクトレット化メルトブロー不織布のエアフィルター性能として、捕集性能と圧力損失を測定したところ、表2に示したとおりであり、それぞれの不織布にほぼ均一にエレクトレットが掛かっており、10枚の平均で、表1、表2に示したように、捕集性能が97.8%、圧力損失が32.3Paであった(参照例2)。
Figure 0006039897
比較例4
参照例1と同一のメルトブロー不織布を用いて、エレクトレット化加工を何らせずに、エアフィルター性能として、捕集性能と圧力損失を測定したところ、表1に示したように、捕集性能が53.0%、圧力損失が31.9Paであった。
比較例5
参照例1と同一のメルトブロー不織布を用いて、RO水浴中に含浸させ、該不織布の下方からRO水を吸引させて、しかる後、0.2MPaでマングル及び真空脱水し、RO水の含浸率を450%とした。しかる後、熱風によって乾燥させてエレクトレット化メルトブロー不織布を得た。このエレクトレット化メルトブロー不織布のエアフィルター性能として、捕集性能と圧力損失を測定したところ、表1に示したように、捕集性能が98.6%、圧力損失が35.8Paであった。
比較例6
参照例1と同一のメルトブロー不織布を用いて、特開昭61−282471号公報に記載されているコロナ放電法により、エレクトレット化メルトブロー不織布を得た。このエレクトレット化メルトブロー不織布のエアフィルター性能として、捕集性能と圧力損失を測定したところ、表1に示したように、捕集性能が94.3%、圧力損失が36.3Paであった。
11:サンプルホルダー
12:ダスト収納箱
13:流量計
14:流量調整バルブ
15:ブロア
16:パーテクルカウンタ
17:切替コック
M:サンプル

Claims (13)

  1. 平均繊維径が2.0μm以上の合成繊維からなる非導電性合成繊維シートに水を付与して浸透させた後、凍結減圧乾燥して前記非導電性合成繊維シートをエレクトレット化すると共に、その圧力損失を前記非導電性合成繊維シートの圧力損失よりも小さくすることを特徴とするエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
  2. 前記非導電性合成繊維シートが、目付5〜200g/m2 、見かけ密度0.03〜1.20g/cm3 であることを特徴とする請求項1記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
  3. 前記非導電性合成繊維シートに対して、水の含浸率100〜1000%で前記凍結減圧乾燥を行うことを特徴とする請求項1または2記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法造方法。
  4. 前記非導電性合成繊維シートが、メルトブロー不織布であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
  5. 前記非導電性合成繊維シートを1枚の状態で、前記凍結減圧乾燥に供することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
  6. 前記非導電性合成繊維シートを複数枚重ねた状態で、前記凍結減圧乾燥に供し、しかる後、該重ねられた複数枚の合成繊維シートを、より小単位の枚数の合成繊維シートに分けることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
  7. 前記非導電性合成繊維シートが、ポリオレフィンを主体に構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
  8. 前記非導電性合成シートが、ヒンダードアミン系添加剤あるいはトリアジン系添加剤を0.5〜5重量%含有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
  9. 前記水が、イオン交換水、蒸留水または逆浸透膜による濾過水であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
  10. 前記水が、水溶性有機溶剤を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
  11. 前記水溶性有機溶剤が、水よりも低い沸点を有することを特徴とする請求項10に記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
  12. 前記水溶性有機溶剤が、アルコール類またはケトン類を主成分に構成されていることを特徴とする請求項10または11に記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
  13. 前記水溶性有機溶剤がイソプロピルアルコール、エチルアルコール、アセトンのうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項12に記載のエレクトレット化合成繊維シートの製造方法。
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