JP2016169459A - エレクトレット繊維シート - Google Patents

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Yohei Nakano
洋平 中野
裕二 井山
Yuji Iyama
裕二 井山
拓史 小林
Takushi Kobayashi
拓史 小林
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【課題】
本発明は、繊維シートに高密度に電荷を帯電させ、塵埃捕集特性に優れたエレクトレット繊維シートを提供することにある。
【解決手段】
本発明のエレクトレット繊維シートは、赤色の正帯電性トナーと青色の負帯電性トナーを付着させた際の分光測色計により測定されるa値とb値の色調の標準偏差が少なくとも一方で2.5〜8.0の範囲にあり、そして前記のa値の最大値が20〜30の範囲にあり、前記のb値の最小値が−30〜−20の範囲にあるエレクトレット繊維シートである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エレクトレット化された繊維シートに関するものである。さらに詳しくは、本発明は、従来とは異なる電荷分布を発現し、優れた塵埃捕集特性を有するエレクトレット繊維シートに関するものである。
エレクトレット化された繊維シートは、エアフィルターとして使用すると、低圧損で高い塵埃捕集性を示すため広く使用されている。このようなエレクトレット繊維シートを製造する方法としては、合成繊維からなる不織布等の繊維シートに高電圧を印加し、コロナ放電によりエレクトレット化する方法が提案されている(特許文献1参照。)。
このコロナ放電法により製造されたエレクトレット繊維シートは、エレクトレット化されていない繊維シートに比べて、高い塵埃捕集性を示す。しかしながら、コロナ放電法によるエレクトレット繊維シートの製造方法については、その製法上、帯電するのは主に繊維シートの表面のみであり、内部まで電荷を帯電させることが難しく、十分にエレクトレット化できる方法とは言い難いものであった。
そこでこのような課題を解決するエレクトレット化の方法として、水を繊維に接触させて帯電させる方法が提案されている。例えば、使用した繊維シートに対し、狭いピッチで孔が一列に配置された、いわゆるウォータージェットパンチ(WJP)の口金から噴出する高圧水流により繊維シート全面に水を衝突させてエレクトレット化し、正極性と負極性の電荷を均一に混在させる方法(特許文献2参照。)や、繊維シートをスリット状のノズル上を通過させ、ノズルで水を吸引することにより繊維シートに水を浸透させて、正極性と負極性の電荷を均一に混在させる方法(特許文献3参照。)のような、いわゆるハイドロチャージ法が提案されている。
特開昭61−102476号公報 US6119691 特開2003−3367号公報
確かにハイドロチャージ法で得られる繊維シートは、水が繊維シート内部の繊維にまで接触することにより、繊維シート全体に帯電させることが可能である。しかしながら、ハイドロチャージ法を用いたとしても、繊維シートに対し、正極性と負極性の電荷を高密度に帯電させることができていないのが現状である。
そこで本発明の目的は、従来のエレクトレット技術の課題に鑑み、繊維シートに対して、電荷を高密度に帯電させてなる塵埃捕集特性に優れたエレクトレット繊維シートを提供することにある。
発明者等は、この問題について鋭意検討した結果、従来のハイドロチャージ法で得られる繊維シートは、正極性と負極性の電荷が、繊維シート表面で均一に混在しているため、電荷の中和が起こりやすく、高密度に電荷を帯電させることができていないことを突き止め、本発明に至った。
上記の課題を解決する本発明のエレクトレット繊維シートは、赤色の正帯電性トナーと青色の負帯電性トナーを付着させた際の分光測色計により測定されるa値とb値の標準偏差が少なくとも一方で2.5〜8.0の範囲であることを特徴とするエレクトレット繊維シートである。
本発明のエレクトレット繊維シートの好ましい態様によれば、前記の赤色の正帯電性トナーと前記の青色の負帯電性トナーを付着させた際の前記のa値の最大値は20〜30の範囲にあり、前記のb値の最小値は−30〜−20の範囲にあることである。
本発明によれば、従来では得られなかった電荷がスジ状に高密度に帯電した特異な帯電分布を有しているため、特にエアフィルターとして利用した場合に塵埃捕集特性に優れた効果を発現することができるエレクトレット繊維シートが得られる。
図1は、従来のエレクトレット繊維シートのトナー分布(a)と本発明のエレクトレット繊維シートのトナー分布(b)を例示説明するための図面代用写真である。 図2は、捕集効率および圧力損失の測定装置を示す概略側面図である。
本発明のエレクトレット繊維シートは、赤色の正帯電性トナーと青色の負帯電性トナーを付着させた際の分光測色計により測定されるa値とb値の標準偏差が少なくとも一方で2.5〜8.0の範囲、好ましくはa値とb値の標準偏差が両方とも2.5〜8.0の範囲であることを特徴とするエレクトレット繊維シートである。
尚、本発明でいうa値とb値とは、国際照明委員会(CIE)で規格化されている「L表色系」のa値とb値を指す。
本発明のエレクトレット繊維シートは、非導電性を有する繊維材料からなる繊維シートである。このような繊維シートとしては、例えば、合成繊維製の織物、編物および不織布などを挙げることができる。特に、エアフィルター用の場合には、合成繊維からなる不織布が好ましく、中でもメルトブロー繊維不織布が好ましく用いられる。
ここでいう非導電性とは、体積抵抗率が1012・Ω・cm以上であることが好ましく、1014・Ω・cm以上であることがより好ましい態様である。
このような材料としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ四フッ化エチレン等の熱可塑性樹脂、およびこれらの混合物などを挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、エレクトレット性能の観点から、ポリオレフィンを主体とする材料が好ましく、特にポリプロピレンを主体とする材料が好ましく用いられる。
本発明で用いられる非導電性の繊維材料からなる繊維シートにおいては、前記の繊維材料にヒンダードアミン系添加剤または/およびトリアジン系添加剤を少なくとも1種類配合することが好ましい態様である。
この添加剤を非導電性の繊維シートを構成する繊維材料に含有させることにより、特に高いエレクトレット性能を保持させることが可能になるからである。
上記2種類の添加剤のうち、ヒンダードアミン系化合物としては、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)](BASF・ジャパン(株)製、“キマソーブ”(登録商標)944LD)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物(BASF・ジャパン(株)製、“チヌビン”(登録商標)622LD)、および2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(BASF・ジャパン(株)製、“チヌビン”(登録商標)144)などが挙げられる。
また、トリアジン系添加剤としては、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)](BASF・ジャパン(株)製、“キマソーブ”(登録商標)944LD)、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−((ヘキシル)オキシ)−フェノール(BASF・ジャパン(株)製、“チヌビン”(登録商標)1577FF)などを挙げることができる。
これらの中でも、ヒンダードアミン系添加剤を使用することが好ましく、特にポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)](BASF・ジャパン(株)製、“キマソーブ”(登録商標)944LD)が好ましい。
上記のヒンダードアミン系添加剤またはトリアジン系添加剤の添加量は、好ましくは0.5〜5質量%であり、より好ましくは0.7〜3質量%である。添加量をこの範囲とすることにより、エレクトレット化した際に優れた塵埃捕集特性を得ることができる。
本発明で用いられる非導電性の繊維シートには、上記の添加剤の他に、熱安定剤、耐候剤および重合禁止剤等の、一般にエレクトレット加工品の非導電性の繊維シートに使用されている添加剤を添加することができる。
本発明のエレクトレット繊維シートの製造に用いられるエレクトレット方法は、非導電性の繊維シートに、ノズルから噴射する水噴流または水滴流を衝突させることによって行われる。ただし、本発明においては、従来技術のように繊維シート全面を均一に水噴流または水滴流を衝突させるものではなく、繊維シートの幅方向で意図的に水噴流または水滴流を衝突させない領域を存在させることが好ましい態様である。例えば、ノズル間のピッチを噴射範囲が重ならないように設定し、積極的に水噴流または水滴流を衝突させない領域を設けることにより、機械進行方向に対して正極性、または負極性の電荷がスジ状に高密度に帯電した特異な電荷分布を発現させることができる。このように、水噴流または水滴流を衝突させることによって電荷がスジ状に帯電する理由は定かではないが、ノズルで噴霧した箇所の補償電荷として電荷が移動し、スジ状の電荷分布を形成していることが考えられる。
本発明のエレクトレット繊維シートにおける帯電分布の可視化は、赤色の正帯電性トナーと青色の負帯電性トナーを繊維シートに付着させることにより行われる。赤色の正帯電性トナーと青色の負帯電性トナーを繊維シートに付着させる方法としては、次の(1)〜(5)の手順で行われる。一連の作業は、好ましくは湿度50%以下の環境下で行われる。
(1)カラー複写機で使用されている、次の赤色の正帯電性トナーと青色の負帯電性トナーを等量で混合した粉末トナー(紫色)を作製する。
・赤色トナー:IKT−821−2M(アイケーケー商事(株))
・青色トナー:ART CYAN TONER((株)アイメックス製)
(2)粉末トナーを100メッシュの平織金網におき、繊維シートの上から平織金網に振動を与えながら、繊維シート上に素地が見えなくなるまで粉末トナーを振りかける。この際、トナーを手や物(鉄板等)で圧力を与えて繊維シートに押し付けたり、擦ったりする等の行為は行わないものとする。
(3)繊維シートの角を持ち、20回程度上下に振って滞留している余分な粉末トナーを落とす。
(4)上記の(2)と(3)の作業を繰り返して、計3回行う。
(5)繊維シートを、ラミネートパウチフィルム(品番FCP10216303(フジプラ(株)製)にセットし、パウチラミネーター(品番DS320P(日本ジービーシー(株)製)を用いて接着する。
上記の方法で実施されるトナー分布は、繊維シートの持つ電荷に応じて、仮に繊維が負極性の電荷を有している場合は赤色のトナーが付着し、また、繊維が正極性の電荷であれば青色のトナーがそれぞれ付着する。また、電荷量が大きいほど、その極性に応じたトナーがより多く付着し、色合いも濃くなっていく。
図1は、従来のエレクトレット繊維シートのトナー分布(a)と本発明のエレクトレット繊維シートのトナー分布(b)を例示説明するための図面代用写真である。
従来のエレクトレット繊維シートのトナー分布(a)と本発明のエレクトレット繊維シートのトナー(電荷)分布(b)を、図1に例示する。図1に例示されるように、従来のエレクトレット繊維シートのトナー(電荷)分布は、トナーが均一に付着しているが、本発明のエレクトレット繊維シートの場合は、トナーがスジ状に付着していることがわかる。
本発明のエレクトレット繊維シートは、図1に示されるように正極性または負極性の電荷をスジ状に帯電させることにより、優れた捕集特性を発現させることができる。
本発明のエレクトレット繊維シートは、赤色の正帯電性トナーと青色の負帯電性トナーを付着させて、分光測色計により測定されるa値(正側:赤味)と、b値(負側:青味)の標準偏差が、少なくとも一方で2.5〜8.0の範囲とすることが重要である。
本発明のエレクトレット繊維シートは、正極性または負極性の電荷またはその両方の電荷がスジ状に高密度に帯電するため、分光測色計による測定で得られるa値とb値の少なくとも一方の標準偏差が大きくなり、好ましくは両方の標準偏差が大きくなる。
本発明において、赤色の正帯電性トナーと青色の負帯電性トナーを付着させたエレクトレット繊維シートの分光測色計で測定されるa値とb値の少なくとも一方の標準偏差は、2.5以上、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上である。標準偏差をこのようにすることにより、高密度に電荷が帯電し、優れた塵埃捕集特性を得ることができる。一方、標準偏差の上限については8.0以下、好ましくは7.0以下、より好ましくは6.0以下とする。
本発明のエレクトレット繊維シートは、赤色の正帯電性トナーと青色の負帯電性トナーを付着させた際の分光測色計で測定されるa値の最大値は20〜30の範囲であり、b値の最小値は−30〜−20の範囲にあることが好ましい態様である。
本発明においては、上記の分光測色計で測定されるa値の最大値はより好ましくは22〜30で、b値の最小値は−30〜−22であり、さらに好ましくはa値の最大値は24〜30で、b値の最小値は−30〜−24である。このようにすることにより、正極性と負極性の電荷が両方とも高密度に帯電し、優れた塵埃捕集特性を得ることができる。
本発明のエレクトレット繊維シートを構成する繊維の平均単繊維径は、0.1〜8.0μmの範囲であることが好ましい。平均単繊維径を好ましくは0.1〜8.0μm、より好ましくは0.3〜7.0μm、さらに好ましくは0.5〜5.0μmとすることにより、通気性と塵埃捕集特性に優れたエレクトレット繊維シートを得ることができる。
また、本発明のエレクトレット繊維シートの目付は、3〜100g/mの範囲であることが好ましい。目付を3〜100g/m、好ましくは5〜70g/m、より好ましくは10〜50g/mとすることにより、通気性と塵埃捕集特性に優れたエレクトレット繊維シートを得ることができる。
次に、本発明のエレクトレット繊維シートの製造に用いられる、好ましいエレクトレット方法について説明する。
本発明で用いられるエレクトレット方法は、非導電性の繊維シートに水噴流または水滴流を、正極性と負極性の電荷を付与する上で十分な圧力で衝突させる噴霧工程、脱水工程および乾燥工程で行われる。
本発明において、噴霧工程で用いられる水噴流または水滴流に用いる水としては、液体フィルター等で汚れを除去したものであって、できるだけ清浄なものを使用することが好ましい。特に、イオン交換水、蒸留水および逆浸透膜で透過した濾過水等の純水が好ましく用いられる。また、純水としてのレベルは、導電率で103 μS/m以下であることが好ましく、さらに好ましくは102 μS/m以下の純水である。また、上記の水には、捕集特性に影響を与えない範囲で水溶性有機溶剤を混合させることができる。
本発明の水噴流または水滴流を噴射するノズルについては、特に制限されるものではない。また、噴射ノズルの形状としては、円状、中空円状および楕円状という様々な形状のノズルを適用することができる。噴射ノズルについては、WJP口金のような柱状の水流となる場合は、水が連続した状態で拡散せずにシートへダイレクトに噴射されるため、繊維にダメージを与えやすく品位の面で好ましくない。
噴射する圧力は、非導電性の繊維シートに、正極性と負極性の電荷を付与するために十分な圧力であることが好ましく、好ましい圧力は0.1〜5.0MPaであり、より好ましくは0.5〜4.0MPaであり、さらに好ましくは1.0〜3.0MPaである。噴射の圧力を0.1〜5.0MPaとすることにより、水噴流または水滴流によるシートへのダメージを抑えながら、優れた捕集特性のエレクトレット繊維シートが得られる。
本発明において、機械幅方向に設置されたノズル間で積極的に水噴流または水滴流を衝突させない領域を設けることが好ましい態様である。ノズル間で積極的に水噴流または水滴流を衝突させない幅は、1箇所あたり1〜300mmであることが好ましく、より好ましくは3〜100mmであり、さらに好ましくは5〜50mmである。1箇所あたりの幅を1〜300mmとすることにより、正極性あるいは負極性がスジ状の帯電を付与することができる。上記の領域を設定方法としては、ノズル単体の噴霧範囲を計測し、ノズルピッチを調整することによって設定することが可能である。
本発明において、非導電性の繊維シートに水噴流または水滴流を噴射した後に、脱水工程として脱水処理を施すことが好ましい。脱水手段としては、例えば、ニップロール、吸水ロールおよび吸引ノズルによるサクション吸引等で行うことができる。脱水することにより、次の乾燥工程での乾燥効率を向上することができ有益である。
本発明の乾燥工程における乾燥方法は、従来公知の乾燥方法がいずれも使用可能である。例えば、熱風乾燥法、真空乾燥法および自然乾燥法等を適用することができる。中でも熱風乾燥法は、連続処理を可能にするため好ましい態様である。熱風乾燥法を採用する場合には、乾燥温度としてエレクトレットを失活させない程度の温度にする必要がある。
非導電性の繊維シートの乾燥は、非導電性の繊維シートに含まれる水分が公定水分率に達するまで行うことが好ましい。また、乾燥温度は,好ましくは130℃以下であり、より好ましくは120℃以下で、さらに好ましくは100℃以下である。乾燥された繊維シートは、乾燥後はエレクトレット効果を失活させないように、速やかに乾燥機内から排出させるのが好ましく、例えば、乾燥温度100℃以上では30分以内に排出させることが好ましい態様である。
本発明のエレクトレット繊維シートは、フィルターの濾材として好適に用いることができる。濾材は、エアフィルター全般、なかでも空調用フィルター、空気清浄機用フィルター、および自動車キャビンフィルターの高性能用途に好適であるが、その応用範囲はこれらに限られるものではない。
(1)平均単繊維径:
平均単繊維径については、不織布の任意の場所から、1cm×1cmの測定サンプルを10個採取し、走査型電子顕微鏡で倍率を1000〜3000倍に調節して、採取したサンプルから繊維表面写真を各1枚ずつ、計10枚を撮影した。写真の中の繊維直径がはっきり確認できるものについてすべて(200点)測定し、平均した値を平均繊維径とした。
(2)帯電分布の形状:
帯電分布の形状については、前述の方法でトナーを付着させた試料(サイズ:長さ8cm×幅25cm)を作製し、目視で図1に示すスジ状の帯電有無を確認した。
(3)a値の標準偏差と最大値、およびb値の標準偏差と最小値:
上記の(2)で作製された試料について、分光測色計(スペクトロフォトメーターCM3700D(MINOLTA製))を用いて、試料中央の幅20cmを幅方向に5mmおきに連続してa値とb値を測定した。測定した40点のデータからa値の標準偏差と最大値およびとb値の標準偏差と最小値を求めた。
[分光測色計測定条件]
・視野 :10°
・光源 :D65
・測定 :反射
・正反射光処理:SCE
・測定径 :SAV(3mm×5mm)
・UV条件 :100%FULL。
(4)捕集性能(効率):
不織布の幅方向5カ所で、タテ×ヨコ=15cm×15cmの測定用サンプルを採取し、それぞれのサンプルについて、図2に示す捕集効率測定装置で測定した。この図2の捕集効率測定装置は、測定サンプルMをセットするサンプルホルダー1の上流側に、ダスト収納箱2を連結し、下流側に流量計3、流量調整バルブ4、およびブロワ5を連結している。また、サンプルホルダー1にパーティクルカウンター6を使用し、切替コック7を介して、測定サンプルMの上流側のダスト個数と下流側のダスト個数とをそれぞれ測定することができる。さらに、サンプルホルダー1は圧力計8を備え、測定サンプルMの上流と下流での静圧差を読み取ることができる。捕集効率の測定にあたっては、ポリスチレン0.309U 10%溶液(メーカー:ナカライテスク(株))を蒸留水で200倍まで希釈し、ダスト収納箱2に充填する。次に、測定サンプルMを、サンプルホルダー1にセットし、風量をフィルター通過速度が4.5m/分になるように、流量調整バルブ4で調整し、ダスト濃度を1万〜4万個/2.83×10−4(0.01ft)の範囲で安定させ、測定サンプルMの上流のダスト個数Dおよび下流のダスト個数dをパーティクルカウンター6(リオン社製、KC−01B)で1個の測定サンプル当り3回測定し、JIS K 0901(1991)「気体中のダスト試料捕集用ろ過材の形状、寸法並びに性能試験方法」に基づいて、下記計算式を用いて、0.3〜0.5μm粒子の捕集効率(%)を求めた。5個の測定サンプルの平均値を、最終的な捕集効率とした。
・捕集効率(%)=〔1−(d/D)〕×100
(ただし、dは下流ダストの3回測定トータル個数を表し、Dは上流のダストの3回測定トータル個数を表す。)。
[実施例1]
耐候剤としてヒンダードアミン系化合物“キマソーブ”(登録商標)944(BASF・ジャパン(株)製)を1%含む、メルトフローレートが800g/10分のポリプロピレンを原料として、メルトブロー法により目付が25g/m2 で、平均繊維径が1.7μmのメルトブロー不織布を製造した。続いて、円状の噴霧形態となるノズル(スプレーイングシステムスジャパン製、型番B1/8 GG−SS−1)を、ノズル間で10mmの非噴霧領域が生じるように設置した装置を用いて、メルトブロー不織布に各ノズルから圧力1MPaとした純水の噴流を衝突させた。次いで、水切り後に100℃の温度で5分間熱風乾燥することにより、エレクトレット化されたメルトブロー不織布を得た。得られたエレクトレットメルトブロー不織布について、捕集性能の測定およびトナーを付着させて、a値とb値の測定を行った。a値の標準偏差と最大値、b値の標準偏差と最小値および捕集効率を、表1に示す。
[実施例2]
ノズル間で15mmの非噴霧領域が生じるようにノズルを設置したこと以外は実施例1と同じ条件で、エレクトレット化されたメルトブロー不織布を作製した。得られたエレクトレットメルトブロー不織布について、捕集性能の測定およびトナーを付着させてa値とb値の測定を行った。a値の標準偏差と最大値、b値の標準偏差と最小値および捕集効率を、表1に示す。
[比較例1]
実施例1で製造されたメルトブロー不織布を、純水が供給される水槽の水面に沿って走行させながら、その表面にスリット状の吸引ノズルを当接させて水を吸引することにより、繊維シート全面に水を浸透させ、次いで、水切り後に100℃の温度で5分間熱風乾燥することにより、エレクトレット化されたメルトブロー不織布を得た。得られたエレクトレットメルトブロー不織布について、捕集性能の測定およびトナーを付着させて、a値の標準偏差と最大値、b値の標準偏差と最小値および捕集効率を、表1に示す。
[比較例2]
実施例1で製造されたメルトブロー不織布を、φ0.13でピッチが0.6mmである口金から圧力1MPaで純水をシート全面に衝突させ、次いで水切り後に100℃の温度で5分間熱風乾燥することにより、エレクトレット化されたメルトブロー不織布を得た。得られたエレクトレットメルトブロー不織布について、捕集性能の測定およびトナーを付着させて、a値とb値の測定を行った。a値の標準偏差と最大値、b値の標準偏差と最小値および捕集効率を、表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の実施例1と2は、いずれもスジ状の帯電形状が確認され、a値とb値の標準偏差が共に2.5以上を示し、またa値の最大値は大きく、b値の最小値は小さくなり、高い捕集効率を示した。
これに対し、比較例1と2は、スジ状の帯電形状は見られず、実施例1と2に比べてa値とb値の標準偏差が小さく、またa値の最大値は小さく、b値の最小値は大きくなり、捕集効率も低い結果であった。
a:従来のエレクトレット繊維シートのトナー分布
b:本発明のエレクトレット繊維シートのトナー分布
1:サンプルホルダー
2:ダスト収納箱
3:流量計
4:流量調整バルブ
5:ブロワ
6:パーティクルカウンター
7:切替コック
8:圧力計
M:測定サンプル

Claims (2)

  1. エレクトレット繊維シートであって、赤色の正帯電性トナーと青色の負帯電性トナーを付着させた際の分光測色計により測定されるa値とb値の色調の標準偏差が少なくとも一方で2.5〜8.0の範囲にあることを特徴とするエレクトレット繊維シート。
  2. 前記赤色の正帯電性トナーと前記青色の負帯電性トナーを付着させた際の分光測色計により測定されるa値の最大値が20〜30の範囲にあり、b値の最小値が−30〜−20の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のエレクトレット繊維シート。
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