JP7359327B1 - エレクトレットメルトブロー不織布の製造方法および製造装置 - Google Patents

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Abstract

少量の水を幅方向にわたって高精度に噴霧することで、乾燥負荷を低減しつつ、広幅であってもより均質にエレクトレット加工を施すため、幅方向に複数の紡糸孔を備えた口金から非導電性重合体を溶融紡出し、その紡出糸を下方の捕集装置で捕集してメルトブロー不織布にする際、前記口金から前記捕集装置までの間の紡出糸に、スプレーノズルによって水を噴霧して、前記メルトブロー不織布をエレクトレット化するエレクトレットメルトブロー不織布の製造方法であって、前記スプレーノズルは、前記幅方向に配列された複数の水吐出口と、前記幅方向に亘って連続または間欠で開口するとともに、前記複数の水吐出口を挟むように対向配置された一対のエア吐出口と、を備え、前記複数の水吐出口から吐出された水に前記エア吐出口から吐出されたエアを衝突させることにより、前記紡出糸に水を噴霧する、エレクトレットメルトブロー不織布の製造方法とする。

Description

本発明は、高品質のエレクトレット加工品を低コストで生産可能にするエレクトレットメルトブロー不織布の製造方法および製造装置に関する。
従来、低圧力損失のエアフィルター用材料などとして、エレクトレット加工されたメルトブロー不織布が多用されている。エレクトレット加工されたメルトブロー不織布を製造する手法としては、幅方向に複数の紡糸孔を備えた口金から溶融した非導電性ポリマーを吐出し、それと同時に熱風を噴射して溶融ポリマーを引き伸ばす、いわゆるメルトブロー法により極細繊維を紡出し、その紡出糸を下方の捕集装置で捕集してメルトブロー不織布とした後、コロナ放電を用いてエレクトレット化する手法や、特許文献1、2のように、製作したメルトブロー不織布に水を噴射して満遍なく水を接触させた後、脱水、乾燥させることでエレクトレット加工を施す手法が開示されている。水を接触させてエレクトレット加工を施す手法は、コロナ放電を用いる手法と比べ高電圧設備を用いないため、設備の安全維持管理が容易である。一方、目の細かいメルトブロー不織布の中まで万遍なく水をしみこませて接触させるためには、メルトブロー不織布に高水圧を与える必要があり、実質的に浸漬状態となってしまうため、メルトブロー不織布の含水量が多く、脱水後の乾燥に多大なエネルギーを要する問題があった。
このような問題に対し、乾燥負荷を軽減する手法として、特許文献3、4のように、メルトブロー不織布が形成される前の紡出糸に、2流体型のスプレーノズルを用いて微細水滴を噴霧するエレクトレット加工の手法が開示されている。この手法はメルトブロー不織布になる前の開繊状態の紡出糸に対して微細水滴を噴霧するため、少量の水であっても満遍なく糸に水を接触させることができる。また、溶融ポリマーを紡出するために用いた熱風がそのまま紡出糸に付着した水の乾燥に転用されるため、メルトブロー不織布を形成した後の乾燥負荷を大幅に低減、あるいは特許文献3によれば乾燥工程自体を不要とすることが可能であるということである。
特開2002-166114号公報 特許第3476804号公報 国際公開第2003/060216号 特開2002-161467号公報
しかしながら、特許文献3に開示されるように、水の噴霧に円錐状に水滴を射出する単孔型スプレーノズル(円錐型ノズル)を用いる場合、円錐型ノズルは紡出糸の幅方向に対して山なりの吐出分布を持つため、幅方向に亘って等量の水滴を付与することができず、エレクトレット性能を幅方向均一に発現させることは困難である。また一般的な単孔型ノズルが噴霧できる噴霧幅は、せいぜい300mm程度であるため、これよりも幅の広い広幅メルトブロー不織布を製作するにあたっては、かかる手法を適用することはできない。なお、このような広幅メルトブロー不織布に適用する場合は、単孔型ノズルを幅方向に一定間隔で複数個並べる方法が考えられるが、各ノズル間の噴霧がオーバーラップする箇所では飛翔する水滴や気流が干渉して、付与される水量の均一性が幅方向で大幅に悪化したり、気流の乱れによって製作されるメルトブロー不織布の地合いが悪化するため、広幅に渡って乾燥工程が不要且つ均質なエレクトレット加工を施すことは困難である。
一方、特許文献4では、スプレーノズルとして、水滴噴射口が幅方向に延在したスリット状のノズル(スリット型ノズル)を開示している。このようなスリット型ノズルは、幅方向で連続帯状に無数の水滴を射出するため、単孔型ノズルよりも幅方向の水滴量のバラつきを小さくでき、且つ気流が干渉しないのでメルトブロー不織布の地合いが悪化するのも防止できる。しかしながら、スリット状の開口部は、単孔型のノズルと比較して噴霧幅当たりの総吐出口断面積が大きくなるため、幅方向に均一に水滴を噴霧するためには、噴霧する水量を大きくする必要があり、結局、乾燥負荷の低減を実現することが困難である。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、少量の水を幅方向にわたって高精度に噴霧することで、乾燥負荷を低減しつつ、広幅であってもより均質にエレクトレット加工を施すことができる、エレクトレットメルトブロー不織布の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題について鋭意検討を行った結果、スプレーノズルからエアと水をそれぞれ異なる吐出口から吐出し、ノズルの外部で微細水滴を生成することで、低水量でも幅方向に亘ってより均一に水を噴霧できることを見出した。
本発明は、これら知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 幅方向に複数の紡糸孔を備えた口金から非導電性重合体を溶融紡出し、その紡出糸を下方の捕集装置で捕集してメルトブロー不織布にする際、前記口金から前記捕集装置までの間の紡出糸に、スプレーノズルによって水を噴霧して、前記メルトブロー不織布をエレクトレット化するエレクトレットメルトブロー不織布の製造方法であって、前記スプレーノズルは、前記幅方向に配列された複数の水吐出口と、前記幅方向に亘って連続または間欠で開口するとともに、前記複数の水吐出口を挟むように対向配置された一対のエア吐出口と、を備え、前記複数の水吐出口から吐出された水に前記エア吐出口から吐出されたエアを衝突させることにより、前記紡出糸に水を噴霧する、エレクトレットメルトブロー不織布の製造方法。
[2] 式:(Wp/Wf)×100
(式中、Wpは、単位幅あたりの単位時間における前記スプレーノズルの水吐出質量であり、Wfは、単位幅あたりの単位時間における前記非導電性重合体の吐出質量である)
で表される水/重合体百分率[%]が、300%以上500%未満である、前記[1]に記載のエレクトレットメルトブロー不織布の製造方法。
[3] 前記スプレーノズルから前記紡出糸までの水平方向の距離が50mm以上、150mm以下である、前記[1]または[2]に記載のエレクトレットメルトブロー不織布の製造方法。
[4] 前記スプレーノズルは、前記紡出糸から見て、前記捕集装置に捕集された前記エレクトレットメルトブロー不織布の搬送方向側にのみ備える、前記[1]~[3]のいずれかに記載のエレクトレットメルトブロー不織布の製造方法。
[5] 幅方向に複数の紡糸孔を備えた非導電性重合体の紡出手段、前記紡出手段から吐出される紡出糸への水噴霧手段、および前記紡出糸を捕集するシート化手段、を備えたエレクトレットメルトブロー不織布の製造装置であって、前記水噴霧手段は、前記幅方向に配列された複数の水吐出口と、前記幅方向に亘って連続または間欠で開口するとともに、前記水吐出口を挟むように配置された一対のエア吐出口と、を備え、前記複数の水吐出口から吐出された水に前記エア吐出口から吐出されたエアを衝突させるスプレーノズルである、エレクトレットメルトブロー不織布の製造装置。
本発明によれば、紡出糸に対して水を幅方向に亘ってより均一に噴霧することができるため、メルトブロー不織布が例えば幅1m以上の広幅であっても、均質なエレクトレットメルトブロー不織布を製作できる。またポリマー吐出量が少ない紡出条件であっても、該吐出量に合わせて水の噴霧量を少量化することができるため、乾燥工程にかかるエネルギーを低減することができる。そして、これにより、広幅エレクトレットメルトブロー不織布の品質の向上と、生産効率の向上(広幅化、省エネルギー化)を両立でき、全幅に亘って圧力損失が低いうえに捕集効率に優れたメルトブロー不織布を安定して得ることができる。そのため、特にエアフィルター等に好適な濾材を容易かつ安価に提供することができる。
また、本発明においては、スプレーノズルからの水の噴霧によって紡出糸が口金から捕集装置までの間で急冷されることになる。それ故、紡出糸には非晶部ができ、引っ張った際に応力が分散しやすく、伸度が高く、破れにくいメルトブロー不織布とすることができる。
図1は、本発明のエレクトレットメルトブロー不織布の製造方法を実施する装置を例示した、断面概念図である。 図2は、本発明に係るスプレーノズルの概略構造を例示・説明する、幅方向中央における断面図である。 図3は、本発明に係るスプレーノズルの先端の構成を例示・説明する、前面図である。 図4は、本発明に係るスプレーノズルの構成を例示・説明する、分解斜視図である。 図5は、本発明に係るエレクトレットメルトブロー不織布の捕集効率、圧力損失を測定するための捕集効率測定装置を説明する、断面概念図である。
本発明において、エレクトレットメルトブロー不織布は、非導電性重合体を口金から溶融紡糸し、その紡出糸を、捕集ネットなどを備えたコンベアやドラムなどの捕集装置上に直接製布することで製造する。
非導電性重合体は、非導電性の特性を有すれば特に限定されるものではない。好ましくは体積抵抗率が1012・Ω・cm以上、さらに好ましくは1014・Ω・cm以上の重合体を主体にするのがよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイト、フッ素系樹脂、およびこれらの混合物などを挙げることができる。これらの中でも、ポリオレフィンまたはポリ乳酸を主体とするものはエレクトレット性能の点から好ましく、さらにポリプロピレンを主体とするものは一層好ましい。なお、ここで主体とは、構成成分全体の50質量%以上を占めるということである。
本発明において、非導電性重合体から得られる不織布には、ヒンダードアミン系添加剤又はトリアジン系添加剤を少なくとも1種配合することが好ましい。この添加剤を不織布に含有させることにより、特に高いエレクトレット性能を保持させることが可能になるからである。この添加剤は溶融紡糸前の非導電性重合体中に配合しておくことが好ましい。
上記2種類の添加剤のうちヒンダードアミン系化合物としては、例えば、ポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)](BASF・ジャパン株式会社製、“キマソーブ”(登録商標)944LD)、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物(BASFジャパン株式会社製、“チヌビン”(登録商標)622LD)、および2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)(BASFジャパン株式会社製、“チヌビン”(登録商標)144)などが挙げられる。
また、トリアジン系添加剤としては、例えば、ポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)](BASFジャパン株式会社製、“キマソーブ”(登録商標)944LD)、および2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-((ヘキシル)オキシ)-フェノール(BASFジャパン株式会社製、“チヌビン”(登録商標)1577FF)などを挙げることができる。
これらのなかでも特にヒンダードアミン系添加剤を使用することが好ましい。
非導電性重合体から得られる不織布には、上記添加剤の他に、熱安定剤、耐候剤、重合禁止剤等の、一般にエレクトレット加工品の非導電性不織布に使用されている公知の添加剤を添加するようにしてもよい。
上記ヒンダードアミン系添加剤又はトリアジン系添加剤の添加量としては、特に限定されないが、好ましくは不織布質量の0.5~5質量%の範囲にするとよく、更に好ましくは0.7~3質量%の範囲にするとよい。添加量を0.5質量%以上とすることで、目的とする高レベルのエレクトレット性能を容易に得ることができる。また、5質量%以下とすることで、紡糸性や製布性を優れたものとし、かつ、コスト的にもより有利なものとすることができる。
以上のようなエレクトレットメルトブロー不織布を製造するための本発明の方法について、図面に基づいて詳細を説明する。なお、以下の説明は本発明の理解を容易にするために記載したものであり、本発明を何ら限定するものではない。本発明の権利範囲は、以下の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
図1は、本発明のエレクトレットメルトブロー不織布の製造方法を実施する装置を例示したものである。図1の装置において、符号1は溶融紡糸用の口金であり、口金1の下面には複数の紡糸孔1aが幅方向、すなわち紙面に直交する方向に列状に並ぶように設けられており、紡糸孔1aから非導電性重合体である溶融ポリマーが鉛直下向きに吐出される。紡糸孔1aの両側には、前記幅方向を長手方向とするスリット孔(図示されない)が備えられており、該スリット孔から熱風を噴射することで、吐出された溶融ポリマーが引き伸ばされ、紡出糸Fとして紡出されている。この口金1の下方には紡出糸Fを捕集するための捕集ネット2が配置され、ロール3,3に無端状に巻回されて矢印方向に移動するように、搬送コンベアを構成している。さらに、口金1と捕集ネット2との間には、幅方向を長手方向としたスプレーノズル4が紡出糸Fに対して一定の距離を設けて備えられており、スプレーノズル4の先端4aから紡出糸に水を噴霧している。このとき水の噴霧方向が、紡出糸に対して直交方向、すなわち水平方向となるようにノズルを設置することが好ましい。そのようにノズルを設置することで、噴霧される水滴の慣性力が熱風に負けにくくなり、効率的に多くの水を紡出糸に付着させることができる。
そして、スプレーノズル4の先端4aは、口金1の下面から下方への距離(鉛直方向の距離)Lが30mm以上、250mm以下の位置になるように設定されていることが好ましい。口金から30mm以上離れた位置に水を噴霧することで、エレクトレット時の熱失活を抑えることができる。また、口金からの距離が250mm以下の範囲に水を噴霧することで、紡糸時のポリマー熱を利用して水を乾燥させることができ、後の工程で水を強制的に乾燥させる加熱手段を削減あるいは軽減させることができる。距離Lについて、より好ましくは40mm以上200mm以下の範囲内、さらに好ましくは50mm以上150mm以下の範囲内である。
また、スプレーノズル4の先端4aから紡出糸(紡糸孔から鉛直下向きに引いた線)までの距離Dは、50mm以上、150mm以下の範囲が望ましい。先端4aを紡出糸から水平方向に50mm以上離すことで、複数の水吐出口から吐出された水滴が十分に拡散して、連続的な分布となるので、紡出糸に対して幅方向均一に水を噴霧できる。また先端4aを紡出糸から水平方向に150mm以下の範囲に設置することで、エア吐出口から吐出されたエアが紡出糸に随伴する熱風に負けることを抑制し、紡糸後の繊維に十分に水を付着させることができる。距離Dについて、より好ましくは60mm以上、140mm以下、さらに好ましくは70mm以上、130mm以下である。
そしてスプレーノズル4は、図1において紡出糸Fの左側、右側の両方に、もしくはどちらか片方のみに備えていても良いが、右側、すなわち捕集ネット2によって捕集されたエレクトレットメルトブロー不織布が搬送される方向側のみに設けることが好ましい。搬送方向側のみに設置することで、繊維に付着せず糸条を突き抜けた水滴が捕集コンベア上に落下し、捕集後の不織布に付着することを防ぐことができるため、乾燥性が増す。
なお、スプレーノズル4の設置台数は2台以上としても良いが、1台とすることが好ましい。スプレーノズルを2台以上設置した場合、各スプレーノズルから吐出されたエア同士が干渉して気流が乱れ、メルトブロー不織布の品質が悪化する恐れがあるが、1台であればそのような気流の干渉が起こらず、高品位なメルトブロー不織布とすることができる。
さらに水の噴霧量については以下の式:
(Wp/Wf)X100
(式中、Wpは、単位幅あたりの単位時間におけるスプレーノズルの水吐出質量であり、Wfは、単位幅あたりの単位時間における非導電性重合体の吐出質量である)
で表される水/重合体百分率[%]が、300%以上500%未満であることが望ましい。水/重合体百分率が500%未満であれば、紡糸ポリマーの熱量によって十分に水分が蒸発し、ポリマー吐出量が少ない場合であっても乾燥工程なしに高品質のエレクトレットメルトブロー不織布を得ることができる。一方、水/重合体百分率が300%以上であれば、不織布の帯電量が十分となり、高い捕集効率を発現するエレクトレットメルトブロー不織布を得ることができる。
次に、スプレーノズルについて詳細を説明する。本発明において、スプレーノズルは、溶融紡糸用の口金の幅方向と同じ方向に配列された複数の水吐出口と、該幅方向に亘って連続または間欠で開口するとともに、複数の水吐出口を挟むように対向配置された一対のエア吐出口を有するが、具体的には例えば図2~図4に示すような構成を有するものとすることができる。
図2は、スプレーノズルの概略構造を説明する幅方向中央における断面図である。図2に示すスプレーノズル4において、水は、水供給口16から供給され、水マニホールド18で幅方向に拡幅され、スプレーノズル4の先端4aに設けられた水吐出口31から吐出される。また、エアは、エア供給口15a、15bからそれぞれ供給され、エアマニホールド17a、17bで幅方向に拡幅され、エア吐出口33a、33bから吐出される。このような構成により、水吐出口31から吐出された水にエア吐出口33a、33bから吐出されたエアが衝突し、当該エアの打力で水が微細水滴化する。
次に図3(a)は、スプレーノズル4の先端の構成を示す前面図である。なお、図の理解を容易にするため、ノズルの長手方向を短くしている。図3(a)に示すスプレーノズル4の先端において、水吐出口31は矩形の開口端を有しており、全体で溶融紡糸用の口金から吐出される溶融ポリマーの吐出幅よりも広くなるように、スプレーノズルの幅方向に等間隔で複数並んでいる。なお水吐出口31の配列ピッチPは、水滴の幅方向均一性の観点から10mm以下であることが好ましい。
また、スプレーノズル4には、それら複数の水吐出口31の近傍で、該複数の水吐出口31を挟み込むように一対のスリット形状のエア吐出口33a、33bが対向配置されている。このとき各水吐出口31から吐出されるすべての水を均等にエアの打力で微細化するために、エア吐出口の幅は、水吐出口の全体の幅よりも広くなっている。なお、エア吐出口33a、33bは、図3(a)のように幅方向に亘って連続する1つのスリットで開口してもよいし、図3(b)に示すように水吐出口31に対応して、間欠状に開口してもよい。また、間欠状に開口する場合は、円形、楕円形等であってもよい。間欠状に開口させる場合は、開口幅が水吐出口の開口幅より大きくすることが好ましい。
このように本発明においては、水の吐出を、幅方向に延在する1つのスリット状の吐出口ではなく、幅方向に断続的に配置された複数の水吐出口を用いて行うため、水吐出流量が小さい場合であっても幅方向に亘ってより均一に吐出することができる。また、エアの吐出は、幅方向に亘って連続してまたは間欠したエア吐出口を用いて、実質的に幅方向に連続帯状のエアを吐出するため、メルトブロー不織布の地合いを悪化させるような気流の干渉を防ぐことができる。そして、このような水とエアの吐出構造の組み合わせにより、水の吐出流量を低減しつつも、シート幅方向に亘って、紡出糸に水をより均一に噴霧することができる。
次に、図4はスプレーノズル4の構成を説明する分解斜視図である。なお、図の理解を容易にするため、ノズルの長手方向を短くしている。図4において、スプレーノズル4の本体筐体11は、符号12、13a、13b、14aおよび14bの部品から構成されている。符号13a、13bは、水マニホールドと水吐出口を形成するための内側ブロックである。片方の内側ブロック13aは、水を受け入れる水供給口16と水を幅方向に拡幅する水マニホールド18を有しており、水供給口16は水マニホールド18まで連通している。次に符号12は内側ブロック13a、13bに挟まれる櫛形状のシムであり、内側ブロック13a、13b、およびシム12が合わさったとき、シム12の櫛歯間の隙間によって幅方向に複数の吐出口が形成される。符号14a、14bは外側ブロックであり、内側ブロック13a、13bとそれぞれ合わさることでエアを吐出するエア吐出口を形成する。なお、図4に示す態様におけるエア吐出口の形状は、幅方向に渡って連続する1つのスリットである。また、それぞれの外側ブロック14a、14bは、エアを受け入れるエア供給口15a、15bと、外側ブロック14a、14bとの合わせ面側にエアを幅方向に拡幅するエアマニホールド17a、17bを有しており、エア供給口15a、15bはエアマニホールド17a、17bまで連通している。
上記のようなスプレーノズル4は、図1に示すように口金1と搬送コンベアを構成する捕集ネット2の間に配され、口金から溶融紡出された紡出糸に水を噴霧する。そして、水が噴霧された紡出糸Fは、捕集ネット2に捕集されて不織布Sに形成される。
なお、噴霧に用いる水は、液体フィルター等で汚れを除去したものであって、出来るだけ清浄なものを使用することが好ましい。特にイオン交換水、蒸留水、逆浸透膜の濾過水等の純水の使用が好ましい。また、純水としてのレベルは、導電率で10μS/m以下が好ましく、さらに好ましくは、10μS/m以下であるものがよい。
そして、不織布Sは、送りローラ5によりニップされて余剰の水を除去したのち、乾燥装置6に搬送される。なお、この工程は、必要に応じて実施すればよく、省略することもできる。
乾燥装置6においては、加熱空気が供給口6aから供給され、排気口6bから排出されることにより内部が加熱される。不織布Sはこの乾燥装置6に進入し、必要に応じて加熱乾燥されることにより、エレクトレット化シートになって搬出される。
このようにして得られたエレクトレットメルトブロー不織布は、高い電荷を幅方向に亘って均一分布した高品質、高性能のエレクトレット加工品になっている。
なお、上記した水/重合体百分率が500%未満となるようにノズル4から水Wを噴霧する場合には、紡糸ポリマーの熱量によって水分が十分に蒸発するため、ポリマー吐出量が少ない場合であっても乾燥工程なしに高品質のエレクトレットメルトブロー不織布を得ることができる。そのため、乾燥装置6を備えていない製造装置とすることも可能である。
そして、エレクトレットメルトブロー不織布を構成する繊維は、平均単繊維径が0.1μm以上8.0μm以下であることが好ましい。平均単繊維径を好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上とすることで、繊維シートの強度を向上させることができる。一方、8.0μm以下、より好ましくは7.0μm以下、さらに好ましくは5.0μm以下とすることで、エレクトレットメルトブロー不織布の捕集効率を向上させることができる。
なお、平均単繊維径は、次のように算出する。まず、繊維シートの幅方向3点(側端部2点と中央1点)、それを長手方向5cmおきに5点、合計15点から、3mm×3mmの測定サンプルを15個採取し、走査型電子顕微鏡(例えば、株式会社キーエンス製「VHX-D500」など)で倍率を3000倍に調節して、採取した測定サンプルから繊維表面写真を各1枚ずつ、計15枚を撮影する。そして、写真の中の繊維直径(単繊維径)がはっきり確認できる繊維すべてについて単繊維径を測定し、それらの算術平均値の小数点以下第2位を四捨五入して得られる値を平均単繊維径とする。
また、エレクトレットメルトブロー不織布を構成する繊維の平均繊維屈曲率が1.10以上1.50以下であることが好ましい。平均繊維屈曲率を好ましくは1.10以上、より好ましくは1.30以上とすることで、繊維間の空隙が広くなり嵩高で低圧損、しかも引張伸度の高いエレクトレットメルトブロー不織布とすることができる。一方、1.50以下、より好ましくは1.40以下とすることで、繊維の剛直性が増え、形態安定性が高いエレクトレットメルトブロー不織布とすることができる。
なお、平均繊維屈曲率は、次のように算出する。まず、不織布の幅方向3点(側端部2点と中央1点)、それを長手方向5cmおきに5点、合計15点から、3mm×3mmの測定サンプルを15個採取し、走査型電子顕微鏡(例えば、株式会社キーエンス製「VHX-D500」など)で倍率200倍に調節して、採取した測定サンプルから繊維表面写真を各1枚ずつ、計15枚を撮影する。そして、写真の中で繊維長さが750μm以上あることがはっきりと確認できる繊維すべてについて、繊維の両端間の直線距離(L1)と実際の繊維長(L2)を測定し、それぞれの屈曲率(L2/L1)を計算し、それらの算術平均値の小数点以下第3位を四捨五入して得られる値を平均繊維屈曲率とする。
本発明において、エレクトレットメルトブロー不織布におけるポリオレフィン系樹脂繊維の平均繊維屈曲率は、ポリオレフィン系樹脂繊維の紡糸直後に一方向から適切な急冷処理を行うことで制御することができる。具体的には、紡糸直後に一方向から水や冷風を吹きかけたり、紡糸中に一方向から水を噴霧したりするなどして制御することができる。中でも、水を噴霧する手法はエレクトレット処理も合わせて実施できることから、最も望ましい。
水の噴霧量については紡出される糸条に水が当たっていれば特に限定されず、目標の繊維屈曲率になるよう噴霧量を適宜調整すれば良いが、エレクトレト加工時の乾燥工程が不要になることから水/重合体百分率[%]が300%以上500%未満であることがより望ましい。
次に、実施例を挙げてより具体的に本発明を説明する。実施例において使用する物性値は、次の測定法により測定したものである。
(1)目付(g/m
タテ×ヨコ=15cm×15cmの不織布の質量を3点測定し、それぞれ得られた値を1m当たりの値に換算し、その平均値をとって目付(g/m)とした。
(2)平均単繊維径(μm)
不織布の幅方向3点(側端部2点と中央1点)、それを長手方向5cmおきに5点、合計15点から、3mm×3mmの測定サンプルを15個採取し、株式会社キーエンス製「VHX-D500」で倍率を3000倍に調節して、採取した測定サンプルから繊維表面写真を各1枚ずつ、計15枚を撮影した。写真の中の繊維直径(単繊維径)がはっきり確認できる繊維全てについて単繊維径を測定し、それらの算術平均値の小数点以下第2位を四捨五入して得られる値を平均単繊維径(μm)とした。
(3)捕集効率(%)および圧力損失(Pa)
不織布の任意の5カ所でタテ×ヨコ=15cm×15cmの測定用サンプルを採取し、それぞれのサンプルについて、図5に示す捕集効率測定装置で測定した。この捕集効率測定装置は、測定サンプルMをセットするサンプルホルダー100の上流側にダスト収納箱200を連結し、下流側に流量計300、流量調整バルブ400、およびブロワ500を連結している。また、サンプルホルダー100にパーティクルカウンター600を設置しており、切替コック700を介して、測定サンプルMの上流側のダスト個数と下流側のダスト個数とをそれぞれ測定することができる。さらに、サンプルホルダー100は圧力計800を備え、測定サンプルMの上流側と下流側の静圧差を読み取ることができる。
捕集効率の測定にあたっては、ポリスチレン0.309U 10%溶液(メーカー:ナカライテスク株式会社)を蒸留水で200倍まで希釈し、ダスト収納箱200に充填した。次に、測定サンプルMをサンプルホルダー100にセットし、風量をフィルター通過速度が4.5m/minになるように流量調整バルブ400で調整し、ダスト濃度を1万~4万個/2.83×10-4(0.01ft)の範囲で安定させ、測定サンプルMの上流側ダスト個数Dおよび下流側ダスト個数dをパーティクルカウンター600(リオン株式会社製、KC-01B)で1個の測定サンプル当り3回測定し、JIS K 0901:1991「気体中のダスト試料捕集用ろ過材の形状、寸法並びに性能試験方法」に基づいて下記計算式を用いて0.3~0.5μm粒子の捕集効率(%)を求めた。5個の測定サンプルの平均値(%)を小数点以下第4位で四捨五入し、最終的な捕集効率とした
捕集効率(%)=〔1-(Σd/ΣD)〕×100
ただし、
Σd:下流側ダスト個数dの3回測定トータル個数
ΣD:上流側ダスト個数Dの3回測定トータル個数
高捕集の不織布ほど、下流のダスト個数が少なくなるため、捕集効率の値は高くなる。
また、圧力損失(Pa)は、捕集効率測定時の測定サンプルMの上流側と下流側の静圧差を圧力計800で読み取り求めた。5個の測定サンプルの平均値(Pa)を小数点以下第2位で四捨五入し、最終的な圧力損失とした。
(4)QF値(Pa-1
濾過性能の指標となるQF値(Pa-1)は、前記捕集効率(%)および圧力損失(Pa)を用いて以下の式により計算される。低圧力損失かつ高捕集効率であるほどQF値は高くなり、濾過性能が良好であることを示す
QF値=-[ln(1-捕集効率(%)/100)]/圧力損失(Pa)。
(5)平均繊維屈曲率(-)
平均繊維屈曲率は、不織布の幅方向3点(側端部2点と中央1点)、それを長手方向5cmおきに5点、合計15点から、3mm×3mmの測定サンプルを15個採取し、株式会社キーエンス製「VHX-D500」で倍率200倍に調節して、採取した測定サンプルから繊維表面写真を各1枚ずつ、計15枚を撮影した。写真の中で繊維長さが750μm以上あることがはっきりと確認できる繊維全てについて、繊維の両端間の直線距離(L1)と実際の繊維長(L2)をそれぞれ測定してそれぞれの屈曲率(L2/L1)を計算し、それらの算術平均値の小数点以下第3位を四捨五入して得られる値を平均繊維屈曲率(単位なし)とした。繊維が直線的であるほど平均繊維屈曲率は1.00に近くなり、繊維が大きく曲がっているほど平均繊維屈曲率は1より大きくなる。
(6)外観品位
得られた不織布を目視観察し、水を噴霧しなかった以外は同様にして製作した不織布(非エレクトレット加工品)と比較して、ムラの増減が判断できないものを「良好」、明らかにムラが増加しているものを「不良」とした。
[実施例1]
“キマソーブ”(登録商標)944(BASF・ジャパン株式会社製)を1質量%添加したポリプロピレン(MFR=850)を押出機に投入し、図1のようなメルトブロー装置において、紡出糸から水平方向に100mm、口金下120mmの位置に、図2、図3(a)、図4に示す形態のスプレーノズルを設け、水/重合体百分率が657%となるように紡出糸に水を付与し、幅1.2mのメルトブロー不織布を製造した。製造した不織布は水分を含んでいたため、さらに図1に示す乾燥装置6により熱風乾燥させた。
[実施例2]
水/重合体百分率を328%に変更した以外は実施例1と同様にしてメルトブロー不織布を製造した。得られた不織布は、紡出糸を捕集ネットで捕集した段階で乾燥していたため、乾燥装置6を用いなかった。
[実施例3]
水/重合体百分率を468%に変更した以外は実施例2と同様にしてメルトブロー不織布を製造した。得られた不織布は、紡出糸を捕集ネットで捕集した段階で乾燥していたため、乾燥装置を用いなかった。
[比較例1]
スプレーノズル4に代えて、円錐型ノズル(“AKIMist”(登録商標)株式会社いけうち製)を130mm間隔で均等に8本並べた以外は実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を製造した。製造した不織布は水分を含んでいたため、さらに図1に示す乾燥装置6により熱風乾燥させた。
[比較例2]
スプレーノズル4に代えて、1200mm×0.05mmの水吐出口を単一で有するスリット状のノズル(株式会社いけうち製「スリットノズルPSN」、SUS304製)に変更した以外は実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を製造した。しかし、この条件ではスリットノズルが正常に噴霧できる下限水量よりも噴霧する水量が少ないため、水の噴霧が幅方向に不均一であり、幅方向の一部で明らかにノズルから水が噴霧されてない箇所があり、物性の測定は実施できなかった。
[比較例3]
スプレーノズル4に代えて、扇状に水を噴霧する単孔型スプレーノズル(スプレーイングシステムスジャパン合同会社製「SU13A-SS」)を130mm間隔で均等に8本並べた以外は実施例1と同様にして、メルトブロー不織布を製造した。製造した不織布は水分を含んでいたため、さらに図1に示す乾燥装置により熱風乾燥させた。
[比較例4]
水/重合体百分率を468%に変更した以外は比較例1と同様にしてメルトブロー不織布を製造した。製造した不織布は幅方向で部分的に水分を含んでいる箇所があったため、さらに図1に示す乾燥装置により熱風乾燥させた。
各実施例、比較例で製作した不織布の物性値、外観品位、乾燥工程の有無についての評価結果を表1にまとめて示す。
Figure 0007359327000001
表1から明らかなように、実施例1~3では、複数の水吐出口から吐出された水にエア吐出口からエアを吐出・衝突させて紡出糸に水を噴霧するスプレーノズルを用いることにより、均一に水が噴霧され、その結果外観品位良好で、平均繊維屈曲率が1.15~1.33とほどよく繊維が屈曲し、かつ均一にシートが帯電している、QF値が0.190以上の濾過性能が高いエレクトレットメルトブロー不織布を製造できた。また、実施例2、3では、水/重合体百分率を300%以上、500%未満とすることにより、乾燥装置を用いない省エネルギーな製造方法で、QF値が0.190以上の濾過性能が高いエレクトレットメルトブロー不織布を製造できた。
一方で、比較例1、3では、十分な水量を噴霧したにも関わらず、QF値が0.102以下と性能が低く、十分な性能を有するエレクトレットメルトブロー不織布を得ることができなかった。いずれも、製造した不織布に、搬送方向に延びる縞状のムラが確認されたことから、単孔型ノズル間で水滴や気流が干渉し、幅方向の帯電状態のムラや、圧力損失のムラが生じ、その結果、濾過性能がサンプルの面内でばらついてしまい、サンプルサイズにおける平均的なQF値が小さくなってしまったと考えられる。次に比較例2では、不織布の幅方向で部分的に水が噴霧されていない箇所があったため、詳細な評価を行わずして、不良であると判断した。次に比較例4では、噴霧する水量を実施例3と同じにしたにも関わらず、ノズル間の水滴の干渉により噴霧ムラが大きいため部分的に不織布が濡れており、乾燥工程を不要とすることができなかった。また、比較例1、3と同様の理由により、QF値が0.050と性能が低く、十分な性能を有する広幅エレクトレットメルトブロー不織布を得ることができなかった。
本発明によって得られる高品質の広幅エレクトレットメルトブロー不織布は、シート状のまま枠材に組み込んでフィルターユニットとして使用することができる。また、エアフィルター濾材として、エアフィルター全般、中でも空調用フィルター、空気清浄機用フィルターおよび自動車キャビンフィルターの高性能用途に特に好適である。その際には、山折と谷折を繰り返すプリーツ加工を施し、枠材にセットすることで、フィルターユニットとして使用することもできる。
1 溶融紡糸用の口金
1a 紡糸孔
2 捕集ネット
3 ロール
4 スプレーノズル
4a スプレーノズル先端
5 ローラ
6 乾燥装置
6a 供給口
6b 排気口
11 本体筐体
12 シム
13a、13b 内側ブロック
14a、14b 外側ブロック
15a、15b エア供給口
16 水供給口
17a、17b エアマニホールド
18 水マニホールド
31 水吐出口
33a、33b エア吐出口
100 サンプルホルダー
200 ダスト収納箱
300 流量計
400 流量調整バルブ
500 ブロワ
600 パーティクルカウンター
700 切替コック
800 圧力計
F 紡出糸
W 水
S 不織布
M 測定サンプル

Claims (5)

  1. 幅方向に複数の紡糸孔を備えた口金から非導電性重合体を溶融紡出し、その紡出糸を下方の捕集装置で捕集してメルトブロー不織布にする際、前記口金から前記捕集装置までの間の紡出糸に、スプレーノズルによって水を噴霧して、前記メルトブロー不織布をエレクトレット化するエレクトレットメルトブロー不織布の製造方法であって、前記スプレーノズルは、前記幅方向に配列された複数の水吐出口と、前記幅方向に亘って連続または間欠で開口するとともに、前記複数の水吐出口を挟むように対向配置された一対のエア吐出口と、を備え、前記複数の水吐出口から吐出された水に前記エア吐出口から吐出されたエアを衝突させることにより、前記紡出糸に水を噴霧する、エレクトレットメルトブロー不織布の製造方法。
  2. 式:(Wp/Wf)×100
    (式中、Wpは、単位幅あたりの単位時間における前記スプレーノズルの水吐出質量であり、Wfは、単位幅あたりの単位時間における前記非導電性重合体の吐出質量である)
    で表される水/重合体百分率[%]が、300%以上500%未満である、請求項1に記載のエレクトレットメルトブロー不織布の製造方法。
  3. 前記スプレーノズルから前記紡出糸までの水平方向の距離が50mm以上、150mm以下である、請求項1または2に記載のエレクトレットメルトブロー不織布の製造方法。
  4. 前記スプレーノズルは、前記紡出糸から見て、前記捕集装置に捕集された前記エレクトレットメルトブロー不織布の搬送方向側にのみ備える、請求項1または2に記載のエレクトレットメルトブロー不織布の製造方法。
  5. 幅方向に複数の紡糸孔を備えた非導電性重合体の紡出手段、前記紡出手段から吐出される紡出糸への水噴霧手段、および前記紡出糸を捕集するシート化手段、を備えたエレクトレットメルトブロー不織布の製造装置であって、前記水噴霧手段は、前記幅方向に配列された複数の水吐出口と、前記幅方向に亘って連続または間欠で開口するとともに、前記水吐出口を挟むように配置された一対のエア吐出口と、を備え、前記複数の水吐出口から吐出された水に前記エア吐出口から吐出されたエアを衝突させるスプレーノズルである、エレクトレットメルトブロー不織布の製造装置。
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