JP4014853B2 - 防汚性被膜を有する物品およびその製造方法 - Google Patents

防汚性被膜を有する物品およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、凹凸が形成された基材表面に有機材料系薄膜が形成された防汚性物品およびその製造方法に関するものである。より詳しくは基材表面には10マイクロメートル以上の凹凸があり、かつ厚さ0.1マイクロメートル未満の有機材料系薄膜の構成からなる防汚性を発現する撥水性且つ撥油性物品、および防汚性且つ親油性物品に関するものである。本発明は、家庭電化製品、美装製品、建物、および車両等に応用できる。
【0002】
【従来の技術】
従来から、基材表面を撥水撥油性に改質する技術はあった。最も簡単な手法はフッ素樹脂をスプレーにより塗布する手法である。市販のスプレー商品も販売されており、様々な用途に使用されている。しかし、この方法で形成された撥水撥油膜は基材表面に載っているだけで基材表面との結合性は全くなく、スプレー塗布した時点では良好な撥水撥油表面が形成されるが、その性能持続は全く期待できないものである。また、そのスプレー塗布された撥水撥油膜の膜厚も制御することが難しく、ほとんどの場合、透明な塗布膜を形成することはできず、ガラスのような透明性が必要な基材表面に形成することはできなかった。
【0003】
透明な基材上に透明な膜を形成するためには可視光の波長以下の膜厚の膜を形成することで解決できる。過去の論文においてラングミュアブロジェット膜を用いた方法が示されている。表面のエネルギー測定をするとフッ素樹脂を基材表面にスプレー塗布したと同じような撥水撥油性を形成でき、且つ2ナノメートルという非常に薄い膜が形成され、透明性も保持することができ、ガラスのような透明な基材の撥水撥油処理に有効であると考えられた。しかしながら、この方法で形成された撥水撥油膜もスプレー塗布で形成された撥水撥油膜と同様に基材表面に載っているだけで基材表面との結合性は全くなく、形成された時点では良好な撥水撥油表面が形成されるが、その性能持続は全く期待できないものであった。
【0004】
ラングミュアブロジェット膜のような超薄膜であり、かつ性能持続のために基材との結合性を考慮した手法として化学吸着法という方法を本発明者らは提案した。この手法はフッ化炭素系クロロシラン、炭化水素系クロロシラン、フッ化炭素系アルコキシシラン、炭化水素系アルコキシシランなどを用いて脱塩化水素反応経て、または脱アルコール反応を経てシロキサン結合形成した有機薄膜を基材表面に設けるもので、撥水撥油効果を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際にこの膜を形成し、実用に足りる期間の撥水撥油性が維持されるか検討したところ、他物体との接触摩擦により表面が摩耗される物品においてはその性質を維持することは困難であることがわかった。
【0006】
撥水撥油膜はその応用の大半は防汚膜として使用される。本発明者らが行った実用試験はセラミックヒーターの表面に化学吸着法により撥水撥油膜を形成し、そのヒーター上におよそ1kgの鉄製の鍋を置き、セラミックヒーターを200℃に設定し、鍋の中に入れた水1リットルを加熱した。その際、実用試験として5分間に一度の割で鍋の位置をずらした。このずらす作業は鍋の底とセラミックヒーターの表面が接触した状態で行った。また、鍋の中の水の温度が80℃になった時点で鍋をセラミックヒーターから外し、セラミックヒーターが室温に戻った時点でセラミックヒーターの表面を軽く台所たわしで擦り、その表面の汚れを取り去る作業を行った。以上の一連の操作を繰り返したところ、数回の繰り返しから徐々にセラミックヒーターの表面に形成された撥水撥油膜の性能が低下し、30回を越える時点では明らかにセラミックヒーターの撥水撥油性は部分的になった。
【0007】
この時点で着色した油を染みこませたタオルでセラミックヒーターの表面を拭いたところ、撥水撥油性が劣化した部分には明白に油分が付着し、その後、新しいタオルで油分を擦り取ろうとしたところ、撥水撥油性能が維持されている部分の油滴は簡単にふき取れたが、撥水撥油性が劣化した部分に付着した油分は擦り取っても油分を広げるだけでふき取ることは困難であった。
【0008】
本発明は、前記従来技術の問題を解決するため、耐久性の高い撥水性被膜を有する防汚性製品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の防汚性被膜を有する物品は、他物体との接触摩擦により表面が摩耗される物品であって、前記物品の基材を構成する物質もしくは他の物質により表面が10μm以上の凹凸が形成され、前記凹凸表面は共有結合したフッ化炭素基または炭化水素基を含む分子が防汚性被膜を形成し、前記防汚性被膜の厚さが0.5ナノメートル以上50ナノメートル未満であることを特徴とする。
【0010】
次に本発明方法は、他物体との接触摩擦により表面が摩耗される物品の製造方法であって、前記物品の基材を構成する物質もしくは他の物質により表面に10μm以上の凹凸を形成し、前記凹凸表面には活性水素を存在させ、前記活性水素との間の低分子脱離反応によりフッ化炭素基または炭素水素基を含む分子を共有結合させて厚さが0.5ナノメートル以上50ナノメートル未満である防汚性被膜を形成することを特徴とする。
本発明の別の防汚性被膜を有する物品の製造方法は、他物体との接触摩擦により表面が摩耗される物品の製造方法であって、前記物品の基材を構成する物質もしくは他の物質により表面に10μm以上の凹凸を形成し、前記凹凸表面には活性水素を存在させ、前記凹凸表面をフッ化炭素基または炭素水素基を含む分子を含む溶液を含ませた布で前記凹凸表面を擦ることにより、前記活性水素との間の低分子脱離反応によりフッ化炭素基または炭素水素基を含む分子を共有結合させて厚さが0.5ナノメートル以上50ナノメートル未満である防汚性被膜を形成することを特徴とする。
本発明の別の防汚性被膜を有する物品の製造方法は、他物体との接触摩擦により表面が摩耗される物品の製造方法であって、前記物品の基材を構成する物質もしくは他の物質により表面に10μm以上の凹凸を形成し、前記凹凸表面には活性水素を存在させ、前記凹凸表面をフッ化炭素基または炭素水素基を含む分子を含む溶液に浸漬させた後、前記凹凸表面の溶媒を取り除くことにより、前記活性水素との間の低分子脱離反応によりフッ化炭素基または炭素水素基を含む分子を共有結合させて厚さが0.5ナノメートル以上50ナノメートル未満である防汚性被膜を形成することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、基材表面がガラス、セラミックス、金属および前記物質の複合体からなる物品の表面にフッ化炭素系基を主とするからなる厚さ0.1マイクロメートル未満の有機材料系薄膜が形成された構成において、基材表面に基材表面を構成する少なくとも一物質もしくは他のガラス、セラミックス、金属から選ばれた物質もしくはその複合体による10マイクロメートル以上の凹凸が形成された防汚性且つ撥油性物品を提供する。
【0012】
また、基材表面がガラス、セラミックス、金属および前記物質の複合体からなる物品の表面にフッ化炭素系基を主とするからなる厚さ0.1マイクロメートル未満の有機材料系薄膜が形成された構成において、基材表面にフッ化炭素系樹脂微粒子による10マイクロメートル以上の凹凸が形成された防汚性且つ撥油性物品を提供する。この場合は基材の表面に凹凸を設ける工程を行うことなく、目的とする防汚性且つ撥油性物品を構成することができる。
【0013】
また、基材表面が樹脂および樹脂を含む複合体からなる物品の表面にフッ化炭素系基を主とするからなる厚さ0.1マイクロメートル未満の有機材料系薄膜が形成された構成において、基材表面に基材表面を構成する少なくとも一物質もしくは他のガラス、セラミックス、金属から選ばれた物質もしくはその複合体による10マイクロメートル以上の凹凸が形成された防汚性且つ撥油性物品とする。この場合は基材がガラスやセラミックスや金属でなく、樹脂においても防汚性且つ撥油性物品を形成することができる。ただし、有機材料系薄膜形成の前に少なくとも一工程が必要となる場合が多い。
【0014】
また、基材表面が樹脂および樹脂を含む複合体からなる物品の表面にフッ化炭素系基を主とするからなる厚さ0.1マイクロメートル未満の有機材料系薄膜が形成された構成において、基材表面にフッ化炭素系樹脂微粒子による10マイクロメートル以上の凹凸が形成された防汚性且つ撥油性物品とする。この場合は樹脂表面に凹凸を設ける工程を行うことなく、防汚性且つ撥油性物品を形成することができる。
【0015】
また、基材表面がガラス、セラミックス、金属および前記物質の複合体からなる物品の表面に炭化水素系基を主とするからなる厚さ0.1マイクロメートル未満の有機材料系薄膜が形成された構成において、基材表面に基材表面を構成する少なくとも一物質もしくは他のガラス、セラミックス、金属から選ばれた物質もしくはその複合体による10マイクロメートル以上の凹凸が形成された防汚性且つ親油性物品を提供する。この場合は、炭化水素系基を主とする材料により有機材料系薄膜を形成することで、これまでの防汚性且つ撥油性物品ではなく、防汚性でありながら親油性を有する物品とすることができる。
【0016】
また、放熱性パネル表面がガラスもしくはセラミックスで形成された物品において、その表面に10マイクロメートル以上10ミリメートル以下の複数の凹凸が形成され、かつフッ化炭素系クロロシラン化合物もしくはフッ化炭素系アルコキシルシラン化合物からなる脱塩化水素反応もしくは脱アルコール反応を経て形成された厚さ50ナノメートル未満でかつ0.5ナノメートル以上の有機薄膜が形成された家庭電化製品とすることもできる。
【0017】
また、透光性箇所がガラスで形成された物品において、その表面に10マイクロメートル以上10ミリメートル以下の複数の凹凸が形成され、かつフッ化炭素系クロロシラン化合物もしくはフッ化炭素系アルコキシルシラン化合物からなる脱塩化水素反応もしくは脱アルコール反応を経て形成された厚さ100ナノメートル未満でかつ0.5ナノメートル以上の有機薄膜が形成された家庭電化製品とすることもできる。
【0018】
また、有機物や無機物により汚染される可能性のある表面がガラスもしくはセラミックスで形成された物品において、その表面に10マイクロメートル以上10ミリメートル以下の複数の凹凸が形成され、かつフッ化炭素系クロロシラン化合物もしくはフッ化炭素系アルコキシルシラン化合物からなる脱塩化水素反応もしくは脱アルコール反応を経て形成された厚さ50ナノメートル未満でかつ0.5ナノメートル以上の有機薄膜が形成された美装製品とすることもできる。
【0019】
さらには、有機物や無機物により汚染される可能性のある表面がガラスもしくはセラミックスおよび樹脂を部材として少なくとも含む建物において、その表面に10マイクロメートル以上10ミリメートル以下の複数の凹凸が形成され、かつフッ化炭素系クロロシラン化合物もしくはフッ化炭素系アルコキシルシラン化合物からなる脱塩化水素反応もしくは脱アルコール反応を経て形成された厚さ50ナノメートル未満でかつ0.5ナノメートル以上の有機薄膜が形成された部材を少なくとも含んで構成される建物とすることもできる。
【0020】
さらには、有機物や無機物により汚染される可能性のある表面がガラスもしくはセラミックスおよび樹脂を部材として少なくとも含む車両において、その表面に10マイクロメートル以上10ミリメートル以下の複数の凹凸が形成され、かつフッ化炭素系クロロシラン化合物もしくはフッ化炭素系アルコキシルシラン化合物からなる脱塩化水素反応もしくは脱アルコール反応を経て形成された厚さ50ナノメートル未満でかつ0.5ナノメートル以上の有機薄膜が形成された部材を少なくとも含んで構成される車両とすることもできる。
【0021】
なお、フッ化炭素系基を主とするからなる厚さ0.1マイクロメートル未満の有機材料系薄膜が少なくとも一部において基材表面とシロキサン結合を形成していることでより良い防汚性且つ撥油性物品とすることができる。シロキサン結合を形成することで基材との結合性が格段に向上され、結果として薄膜の防汚性、撥油性などの基本性能および耐久性が向上されるため好ましい。
【0022】
同じく、炭化水素系基を主とする厚さ0.1マイクロメートル未満の有機材料系薄膜が少なくとも一部において基材表面とシロキサン結合を形成していることでより良い防汚性且つ親油性物品を構成することができる。シロキサン結合を形成することで基材との結合性が格段に向上され、結果として薄膜の防汚性、親油性などの基本性能および耐久性が向上されるため好ましい。
【0023】
なお、フッ化炭素系基を主とするからなる厚さ0.1マイクロメートル未満の有機材料系薄膜がフッ化炭素系クロロシラン化合物もしくはフッ化炭素系アルコキシルシラン化合物からなる脱塩化水素反応もしくは脱アルコール反応を経て形成されることでより良い防汚性且つ撥油性物品を構成することができる。脱塩化水素反応または脱アルコール反応を経ることによりシロキサン結合が形成されるので好ましい。
【0024】
同じく、炭化水素系基を主とするからなる厚さ0.1マイクロメートル未満の有機材料系薄膜が炭化水素系クロロシラン化合物もしくは炭化水素系アルコキシルシラン化合物からなる脱塩化水素反応もしくは脱アルコール反応を経て形成されることでより良い防汚性且つ親油性物品を構成することができる。脱塩化水素反応または脱アルコール反応を経ることによりシロキサン結合が形成されるので好ましい。
【0025】
なお、樹脂からなる基材の場合、その表面に酸化処理を施した後にフッ化炭素系基を主とするからなる厚さ0.1マイクロメートル未満の有機材料系薄膜が形成されることでより良い防汚性且つ撥油性物品を構成することができる。酸化処理を行うことにより樹脂の表面に活性な水素を形成することができ、その後の膜形成にとって有益であるので好ましい。
【0026】
さらに、樹脂からなる基材の場合、上記酸化処理が酸素存在下のプラズマ処理、酸素存在下のコロナ放電処理、オゾン酸化処理、酸素存在下の紫外線照射処理であることが望ましい。火炎処理などもあるが、より好ましい手法は上記の手法である。
【0027】
なお、有機材料系薄膜の厚さが50ナノメートル未満でかつ0.5ナノメートル以上であることが好ましい。基材の質感、光沢、色合いなどを損なわないためには有機材料系薄膜が透明であることが好ましい。したがって、透明な有機材料系薄膜を構成するには厚さが可視光域の波長以下でなければならず、より好ましくは上記の範囲の膜厚であることがより良い。
【0028】
なお、放熱性パネル表面がガラスもしくはセラミックスで形成された家庭電化製品の場合、その家庭電化製品が加熱調理器具、ホットプレート、インダクションヒーター(IH)プレートであることが好ましい。放熱性パネルなどを用いた家庭電化製品としては上記の製品群が列挙される。しかし、将来においてこれら製品群以外の製品や組み合わせ製品なども出現する可能性がある。
【0029】
なお、透光性箇所がガラスで形成された家庭電化製品の場合、電子レンジ、オーブンレンジ、オーブントースター、フィッシュロースターおよび上記調理機能を一部に含む家庭電化製品、および照明、撮像製品、ディスプレイおよび上記機能を一部に含む家庭電化製品であることが好ましい。透光性箇所がガラスである家庭電化製品群として上記の製品が列挙される。しかし、将来においてこれら製品群以外の製品や組み合わせ製品なども出現する可能性がある。また、透光性としてガラスを挙げたが、樹脂により透光性を維持する手法もあり、将来において樹脂製の透光性部が形成された家庭電化成品も出現する可能性があり、その場合にも適用することができる。
【0030】
なお、美装製品が外装材、内装材、化粧板、表示板、看板、外壁材、内壁材、ショーケース、ウインドウケース、隔壁材、防御板、補強材、仮設建築材、安全対策部材、防汚対策部材および上記製品群の少なくとも一つ含んで構成されていることが好ましい。美装製品群として上記商品を列挙したが、保護をするための部材が用いられた商品群も全て本発明の範疇に入る。
【0031】
なお、車両が電車車両、列車車両、動力車両、公共自動車、自家用自動車奈とに応用できる。
【0032】
前記本発明によれば、基材表面に凹凸を設けることと有機材料系薄膜を用いることにより、スプレー塗布した時点では良好な撥水撥油表面が形成されるが、その性能持続は全く期待できないという問題を有機材料系薄膜がシロキサン結合を基材との間で形成する作用により著しく改善することができる。
【0033】
また、スプレー塗布された撥水撥油膜の膜厚も制御することが難しく、ほとんどの場合、透明な塗布膜を形成することはできず、ガラスのような透明性が必要な基材表面に形成することはできなかった問題についても有機材料系薄膜が厚さ50ナノメートル未満でかつ0.5ナノメートル以上である作用から透明性を確保することができ、完全に問題を解決することができる。
【0034】
また、ラングミュアブロジェット膜を用いた方法で、撥水撥油性を形成でき、且つ透明性も保持することができ、ガラスのような透明な基材の撥水撥油処理に有効であるが、この方法で形成された撥水撥油膜は基材表面に載っているだけで基材表面との結合性は全くなく、その性能持続は全く期待できないものであったという問題点も有機材料系薄膜がシロキサン結合を基材との間で形成する作用により著しく改善することができる。
【0035】
化学吸着法というフッ化炭素系クロロシラン、炭化水素系クロロシラン、フッ化炭素系アルコキシシラン、炭化水素系アルコキシシランなどを用いて脱塩化水素反応経て、または脱アルコール反応を経てシロキサン結合形成した有機薄膜を基材表面に設けるもので、撥水撥油効果を維持するに足る基材との結合性を有るが、実用に足りる期間の撥水撥油性が維持されないという問題点について、10マイクロメートル以上の凹凸が形成された基材による作用により、実用耐久期間の摩耗に関して凸部分が摩耗されるだけで、大半の有機材料系薄膜が形成された部分は摩耗されることはなく、撥水撥油性を維持することができる。また有機材料薄膜の種類によっては防汚性且つ親油性を維持することができる。
【0036】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。説明を行うために図面を構成する各部分の大きさが実際に則さない場合がある。特に分子レベルまで拡大した模式図面に実際に則さない場合が存在する。
【0037】
(実施例1)
セラミックス製耐熱性ヒータの天板を例にして示す。天板1の表面に高さ100ミクロンメートルで直径2ミリメートルの円柱状の突起2を10個加工成形した(図1)。上記天板を中性洗剤を含む水溶液で洗浄し、成形加工時の汚れを除去し、天板表面を清浄化した。ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランを1重量%含み、溶媒として環状シリコーンオイルを用いた溶液を調整し、この液を含ませた布3で上記天板1を万遍なく擦り(図2)、天板1上にヘプタデカフルオロトリクロロシランを出発原料とする有機材料系薄膜4を形成した(図3)。すなわち、天板1の表面に存在する−OH基とヘプタデカフルオロトリクロロシラン[CF3(CF27(CH22SiCl3]のシリル基(−SiCl3)との間で脱塩化水素反応が起こり、シロキサン結合(−SiO−)により共有結合した。
【0038】
この有機材料系薄膜4が形成された天板1の状況を水による接触角測定で評価したところ、有機材料系薄膜が形成される前の測定では10度前後であったのに対し、有機材料系薄膜を形成したあとでは120度程度の接触角が測定され、ヘプタデカフルオロトリクロロシランを出発原料とする有機材料系薄膜4が形成されていることが確認された。
【0039】
また、この有機材料系薄膜4が形成されてはいるが、天板1に形成されている模様や色合いなどは有機材料系薄膜を形成する前と全く変わらず、この薄膜が透明であることが確認された。
【0040】
次に、この天板を用いて電熱ヒータを組み立て、料理を行うために鍋ややかんなどを天板上に設置した時を想定した天板表面の耐久性試験を行った。耐久性試験は鍋、釜、やかんなどの代表として約1kgの鉄板を天板に接触させながら左右に1cm移動させ、1000回後、10000回後の天板表面の濡れ性を変化を一定量の水を滴下したときの天板上に残った水の面積の割合で表示した。なお、有機材料系薄膜を形成した直後の場合、天板上に残る水の面積は5%未満である。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0004014853
【0042】
(比較例1)
実施例1の比較事例として、実施例1とは異なり、天板の表面に円柱状の突起を設ける加工成形せずに、平坦のままとした。上記天板を中性洗剤を含む水溶液で洗浄し、天板表面の汚れを除去し、天板表面を清浄化した。つぎに、実施例1と同様にヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランを1重量%含む環状シリコーンオイル溶液を調整し、この液を含ませた布で上記天板を万遍なく擦り、天板上にヘプタデカフルオロトリクロロシランを出発原料とする有機材料系薄膜を形成した。
【0043】
この有機材料系薄膜が形成された天板の状況を実施例1と同様に水による接触角測定で評価した。有機材料系薄膜が形成される前の測定では10度前後であったのに対し、有機材料系薄膜を形成したあとでは120度程度の接触角が測定され、ヘプタデカフルオロトリクロロシランを出発原料とする有機材料系薄膜が形成されていることが確認された。この結果は実施例1と同じであった。
【0044】
また実施例1と同様に、この有機材料系薄膜が形成されてはいるが、天板1に形成されている模様や色合いなどは有機材料系薄膜を形成する前と全く変わらず、この薄膜が透明であることが確認された。
【0045】
つぎに、実施例1に示した同じ耐久性試験を実施した。実施例1で使用したと同じ約1kgの鉄板を天板に接触させながら左右に1cm移動させ、1000回後、10000回後の天板表面の濡れ性を変化を一定量の水(水汚れを想定)を滴下したときの天板上に残った水の面積の割合で表示した。結果を前記の表1に示す。
【0046】
(比較実験結果)
実施例1で作成した天板、比較例1で作成した天板の耐久性試験の結果、比較例1では10000回の摺動により水が天板上に残る割合が30%を越える状態となった。一方、実施例1で作成した天板には10000回の摺動後においても水は殆ど天板上に残らず、初期値と同じ5%未満であった。
【0047】
以上のことから、本発明の一つであるセラミックスによる10マイクロメートル以上の凹凸が形成された防汚性且つ撥油性物品の防汚性に関して有効であることが確かめられた。
【0048】
(比較実験2)
比較実験1を終えた実施例1で作成し天板と比較例1で作成した天板に有機染料で着色したオイル(油汚れを想定)を滴下し、その濡れ性を確認し、さらに乾いた布によりオイルのふき取り試験を実施した。
【0049】
その結果、オイルの付着面積において、比較例1で作成した天板の方が50%程度となる試作品が多数あり、一方、実施例1で作成した天板の場合はいずれの試作品も20%未満となった。
【0050】
またふき取り試験を行った結果、比較例1で作成した天板の場合、着色したオイルが付着したと思われる着色部分がさらに拡大し、ふき取りが完全にできていると考えがたい結果となった。一方、実施例1で作成した天板の場合は明らかに布にオイルが吸い取られ、天板上には比較例1で見られたような着色部分の残余は確認されなかった。
【0051】
以上のことからも、本発明の一つであるセラミックスによる10マイクロメートル以上の凹凸が形成された防汚性且つ撥油性物品の撥油性に関して有効であることが確かめられた。
【0052】
(実施例2)
アクリル板11を基材に用意し、直径約100マイクロメートルのフッ素樹脂微粒子12を含む熱硬化型樹脂を表面に塗布し、表面層13を形成した。表面層の厚みは約50マイクロメートルであり、表面層から約50マイクロメートルの高さにフッ素樹脂粒子が突出していると想定される(図4)。
【0053】
当該基板に対し、酸素プラズマ処理を行い表面の酸化をおこなった。その結果、当該基板14上には活性な水素を持つ基として水酸基15が多数形成された(図5)。
【0054】
つぎに、ヘプタデカフルオロテトラハイドロデシルトリクロロシランの1%濃度のフッ化炭素溶液16(具体的には住友スリーエム製のPF5080を使用)を調製し、”テフロン”(デュポン社商標)製のシャーレ17に当該溶液を入れ、酸素プラズマ処理を終えた基板14を浸漬した(図6)。浸漬時間は1時間で、その間、反応は乾燥窒素雰囲気に保った。反応後、同じく上記PF5080をシャーレに満たした中で上記基板を洗浄した。洗浄はスターラーによる撹拌によって行い、同操作を2度繰り返した。この工程も乾燥窒素雰囲気内で行った。その後、基板を取り出し、乾燥雰囲気内で溶媒を完全に取り除き、一連の工程を終え、ヘプタデカフルオロテトラハイドロデシルトリクロロシランを出発原料とする有機材料系薄膜18が形成された(図7)。
【0055】
有機材料系薄膜が形成された基板表面の水による接触角を測定したところ、130度あり、フッ化炭素系の材料によりアクリル基板がコートされていることが確認された。この130度の値はトリフルオロ炭素基が形成しうる接触角を越えるものであり、微粒子による凹凸の効果が加味されているものと推測される。
また、同基板に金属蒸着を施し、電子顕微鏡観察を行ったところ、フッ素樹脂微粒子と思われる突起が基板表面に存在することが確認された。
【0056】
以上の結果、本実施例により防汚性且つ撥油性物品が形成された。
【0057】
この基板の場合、フッ素樹脂微粒子表面に形成されたヘプタデカフルオロテトラハイドロデシルトリクロロシランを出発材料とする有機材料系薄膜が、実施例1に示すような実用実験の結果により、無くなったとしても本実施例の場合突起物がフッ素樹脂であり、ヘプタデカフルオロテトラハイドロデシルトリクロロシランを出発材料とする有機材料系薄膜の表面エネルギーよりは程度が落ちるものの防汚性且つ撥油性の性質を維持することができる。
【0058】
なお、フッ素樹脂微粒子を用いた実施例を示したが、無機材料微粒子を用いることも可能である。例えばガラスビーズを用いると実施例1と同じような工程によって有機材料系薄膜が形成される。
【0059】
また、アクリル材のような樹脂基板でなくセラミック材やガラス材を基板とする場合にも微粒子をコートして凹凸を設けることができ、その結果、防汚性且つ撥油性を有する物品を提供できる。
【0060】
(実施例3)
表面に波形状を有するガラス基板21(厚さ1mm、波の高低差100ナノメートルに準備した。当該ガラス基板を酸素存在下で紫外線ランプ照射を行い、オゾンを発生させてガラス基板表面をクリーニングした。
【0061】
乾燥空気を送風したグローブボックス中にて、オクタデシルトリクロロシランのシリコーンオイルを溶媒とした1重量%溶液を作成し、”テフロン”(デュポン社商標)製シャーレに注いだ。上記クリーニングを終えたガラス基板を上記溶液に浸漬し、1時間静置した。その後、クロロホルムを洗浄液として当該ガラス基板を洗浄した。洗浄工程において、洗浄液のクロロホルムをはじくことからオクタデシルトリクロロシランを出発材料にする有機材料系薄膜が形成されているものと推測された。ガラス基板表面が乾燥した後、グローブボックスより当該ガラス基板を取り出し、ガラス基板を水洗した。水洗時に当該ガラス基板は完全に水をはじき、先と同じくオクタデシルトリクロロシランを出発材料にする有機材料系薄膜22が形成されているものと推測された(図8)。
【0062】
このガラス基板にヘキサデカンを滴下し、その接触角を測定したところ30度以下(基板に凹凸があるため接触角を正確に測定することは不可能であった)となり、当該ガラス基板表面は防汚性且つ親油性の物品を形成していると確認された。
【0063】
(実施例4)
家庭電化製品の代表として電磁誘導加熱型ヒーターのトッププレートの表面処理を行った。
【0064】
トッププレート31の表面には日本古来の火鉢の灰の中に据えて、鉄瓶や釜などをのせる、三本脚の輪形の台で総称される五徳のようにトッププレートの中心から等距離に且つ等間隔に三角形を形成するように高さ1ミリメートルの突起32を形成してある。当該形状のトッププレートを用いて実施例1と同じ手法によりトッププレート上にフッ化炭素系材料による有機材料系薄膜33を形成した(図9)。このトッププレート用いて鉄鍋を設置し水を湧かしたところ、支障なく湯を沸かすことができた。鉄鍋は上記突起により支えられ、フッ化炭素系材料からなる有機材料系薄膜が形成されたトッププレート表面には設置しておらず、鍋底のこすれによる薄膜の劣化は抑えられる。
【0065】
なお、電磁誘導加熱は渦電流を鍋底に発生させて加熱を行う方法であり、トッププレートに下に設けられた磁力発生コイルと被加熱体との距離が空くことによりその効率が落ちる。本発明の実施例4では試作段階の1ミリメートル突起を3点設けたが、効率を落とさない限度の間隔を形成する突起高さが最も良いことが自明であり、本実施例がそのベストであるとは限らない。
【0066】
また、本実施例では加熱された鍋底がトッププレートと接触しないためトッププレート上に設けられた有機材料系薄膜が直接加熱されることが無くなり、一般に耐熱性が劣ると言われている有機材料系薄膜の耐熱性にとっても間隔を空けることは有効に働くと考えられる。よって、異常過熱状態になった場合にも有機材料系薄膜への熱の伝わりが遅くなるので、その分だけでも製品耐久性に効果がある。
【0067】
以上のように、電磁誘導加熱型ヒーターを例にして放熱性パネルが組み込まれた家庭電化製品の応用事例を説明した。
【0068】
(実施例5)
実施例4で説明した基材41および手法を用いて、ペンタデカフルオロテトラハイドロデシルトリクロロシランを出発原料とする有機材料系薄膜42を形成した。このガラスをフロントパネルとして組み込んだフィッシュロースター43を組み立てた(図10)。ここでフィッシュロースターとは、電気やガスを加熱源とする魚焼き器のことである。
【0069】
フィッシュロースターのフロントパネルは下開きになっており、フロントパネルに組み込まれたガラス上に皿や網を置いて調理の準備をする人が多くおり、フロントパネルに組み込んだガラスを防汚性且つ撥油性の有機材料系薄膜で被覆して内部を観察でき、且つ防汚性を持たせることが望まれていたが、皿や網による擦りによりすぐに防汚性が劣化していたが、本発明の実施例によりガラス板の波の上部で皿などが支えられるため、従来のような著しい防汚性の劣化は認められなかった。
【0070】
以上のように、フィッシュロースターを事例に透光性箇所がガラスで形成された家庭電化製品を提供することができた。
【0071】
なお、本実施例とは異なる製品群であるが、カメラ、ビデオのカバーガラス(カバーガラスをかねたレンズ)において、表面に突起を設け、且つ有機材料系薄膜を形成することにより耐久性を増すことが可能となる。
【0072】
(実施例6)
住宅用外壁パネル板に凹凸を設け、そのパネル板に実施例1に示すと同じ材料と手法によりフッ化炭素系材料からなる有機材料系薄膜を形成した外壁パネルを形成した。
【0073】
このパネルを用いて小屋を組み立てたところ日常の洗浄に耐えうる美装製品を形成することができた。
【0074】
(実施例7)
自家用車のサイドミラー用の鏡51に高さ0.1ミリメートルの突起52を多数設けた。この鏡に実施例1に示すと同じ手法、材料を用いて有機材料系薄膜53を形成した(図11)。鏡表面は防汚性かつ撥油性に改質された。このサイドミラー用鏡に通常の清浄作業で行われる布やスポンジによる清掃作業を行ったところ、初期防汚性114度を50000回の清掃後も測定誤差の範囲内で保持することができた。
【0075】
本実施例は車載用のサイドミラーに関するものであるが、フロントガラス、サイドガラスなどにも適用することが可能であり、またボディーにも加工して応用することが可能である。さらに、自家用車だけでなく一般的な乗り物全般に共通して本技術を適用することができる。
【0076】
なお、本実施例では最も有効であると考えているクロロシラン材料の事例を紹介した。他にも、ヘキサデカフルオロテトラハイドロデシルトリエトキシシランやオクタデシルトリエトキシシランなどで代表されるアルコキシシラン材料、またヘプタデカフルオロテトラハイドロデシルイソシアネートシランなどで代表されるイソシアネートシラン材料を用いても本実施例と同様の有機材料系薄膜を形成することができるので、クロロシラン材料に限定されない。
【0077】
【発明の効果】
以上の説明の通り、本発明は凹凸が形成された基材表面に有機材料系薄膜が形成された防汚性物品において、基材表面には10マイクロメートル以上の凹凸があり、かつ厚さ0.1マイクロメートル未満の有機材料系薄膜の構成からなる防汚性物品とすることができ、防汚性且つ撥油性もしくは防汚性且つ親油性を実用の使用において耐久性に富み、かつ防汚性能を長期間維持できることが可能となった。
【0078】
また、上記構成からなる部材からなる、もしくは少なくとも上記部材を少なくとも一つ含んで構成される家庭電化製品、美装製品、建物、および車両に応用すると効果が発揮され、性能に優れた各種商品を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を説明するセラミックス製耐熱性ヒーターの天板の模式断面図。
【図2】本発明の第1の実施例を説明するセラミックス製耐熱性ヒーター上に有機材料系薄膜を形成する工程を説明する模式断面図。
【図3】本発明の第1の実施例を説明するセラミックス製耐熱性ヒーターの天板上に有機材料系薄膜が形成された分子レベルまで拡大した模式断面図。
【図4】本発明の第2の実施例を説明するアクリル基板の分子レベルまで拡大した模式断面図。
【図5】本発明の第2の実施例を説明する酸素プラズマ処理を終えたアクリル基板の分子レベルまで拡大した断面模式図。
【図6】本発明の第2の実施例を説明する途中工程の模式図。
【図7】本発明の第2の実施例を説明する有機材料系薄膜が形成されたアクリル板の分子レベルまで拡大した断面模式図。
【図8】本発明の第3の実施例を説明する有機材料系薄膜が形成された分子レベルまで拡大したガラス基板の断面模式図。
【図9】本発明の第4の実施例を説明するトッププレート上に有機材料系薄膜が形成された電磁誘導型ヒーターの模式図。
【図10】本発明の第5の実施例を説明するフロントパネルを構成するガラス基板に有機材料系薄膜が形成されたフィッシュロースターの模式図
【図11】本発明の第7の実施例を説明する車載用サイドミラーの表面に有機材料系薄膜が形成された当該サイドミラーの模式図
【符号の説明】
1 天板
2 突起
3 布
4 有機材料系薄膜
11 アクリル板
12 フッ素樹脂微粒子
13 表面層
14 基板
15 水酸基
16 フッ化炭素溶液
17 シャーレ
18 有機材料系薄膜
21 ガラス基板
22 有機材料系薄膜
31 トッププレート
32 突起
33 有機材料系薄膜
41 基材
42 有機材料系薄膜
43 フィッシュロースター
51 鏡
52 突起
53 有機材料系薄膜

Claims (11)

  1. 他物体との接触摩擦により表面が摩耗される物品であって、
    前記物品の基材を構成する物質もしくは他の物質により表面が10μm以上の凹凸が形成され、
    前記凹凸表面は共有結合したフッ化炭素基または炭化水素基を含む分子が防汚性被膜を形成し、
    前記防汚性被膜の厚さが0.5ナノメートル以上50ナノメートル未満である防汚性被膜を有する物品。
  2. 基材表面がガラス、セラミックス、金属、樹脂および前記物質の複合体から選ばれる少なくとも一つの物品である請求項1に記載の防汚性被膜を有する物品。
  3. 10μm以上の凹凸を形成する材料がフッ化炭素系樹脂微粒子または無機微粒子である請求項1に記載の防汚性被膜を有する物品。
  4. 共有結合がシロキサン結合である請求項1に記載の防汚性被膜を有する物品。
  5. 防汚性被膜を有する物品が、加熱調理器具、ホットプレート、電磁誘導断熱プレート、電子レンジ、オープンレンジ、オープントースター、フィッシュロースターおよび上記調理機能を一部に含む家庭電化製品、照明、撮像製品、ディスプレイおよび放熱性パネルを有する家庭電化製品、ならびに美装製品、建物、および車両から選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載の防汚性被膜を有する物品。
  6. 他物体との接触摩擦により表面が摩耗される物品の製造方法であって、
    前記物品の基材を構成する物質もしくは他の物質により表面に10μm以上の凹凸を形成し、前記凹凸表面には活性水素を存在させ、
    前記活性水素との間の低分子脱離反応によりフッ化炭素基または炭素水素基を含む分子を共有結合させて厚さが0.5ナノメートル以上50ナノメートル未満である防汚性被膜を形成することを特徴とする防汚性被膜を有する物品の製造方法。
  7. 前記防汚性被膜、クロロシラン化合物を用いた脱塩化水素反応、またはアルコキシルシラン化合物を用いた脱アルコール反応により形成する請求項に記載の防汚性被膜を有する物品の製造方法。
  8. 前記樹脂からなる基材表面に酸化処理を施した後にフッ化炭素系基を主とするからなる厚さ0.1マイクロメートル未満の防汚性被膜を形成する請求項に記載の防汚性被膜を有する物品の製造方法。
  9. 前記酸化処理が酸素存在下のプラズマ処理、酸素存在下のコロナ放電処理、オゾン酸化処理及び酸素存在下の紫外線照射処理から選ばれる少なくとも一つの処理である請求項に記載の訪汚性被膜を有する物品の製造方法。
  10. 他物体との接触摩擦により表面が摩耗される物品の製造方法であって、
    前記物品の基材を構成する物質もしくは他の物質により表面に10μm以上の凹凸を形成し、前記凹凸表面には活性水素を存在させ、
    前記凹凸表面をフッ化炭素基または炭素水素基を含む分子を含む溶液を含ませた布で前記凹凸表面を擦ることにより、前記活性水素との間の低分子脱離反応によりフッ化炭素基または炭素水素基を含む分子を共有結合させて厚さが0.5ナノメートル以上50ナノメートル未満である防汚性被膜を形成することを特徴とする防汚性被膜を有する物品の製造 方法。
  11. 他物体との接触摩擦により表面が摩耗される物品の製造方法であって、
    前記物品の基材を構成する物質もしくは他の物質により表面に10μm以上の凹凸を形成し、前記凹凸表面には活性水素を存在させ、
    前記凹凸表面をフッ化炭素基または炭素水素基を含む分子を含む溶液に浸漬させた後、前記凹凸表面の溶媒を取り除くことにより、前記活性水素との間の低分子脱離反応によりフッ化炭素基または炭素水素基を含む分子を共有結合させて厚さが0.5ナノメートル以上50ナノメートル未満である防汚性被膜を形成することを特徴とする防汚性被膜を有する物品の製造方法。
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