JP4084558B2 - コーティング膜の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材表面上に有機化合物からなるコーティング膜を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック、金属、セラミックス、繊維、木材、コンクリート、塗装面などの基材の表面を目的に応じて改質することは、様々な分野で要請されている。
【0003】
プラスチックを例にあげると、プラスチックの表面を改質する方法としては、例えば撥水性・撥油性を付与するために例えば含フッ素シランカップリング剤等をコーティングする方法、潤滑性を付与するためにはワックスをコーティングする方法、親水性を付与するためにはポリビニルアルコールをコーティングする方法、防汚性を付与するためにフロロカーボン系ポリマーの懸濁液をコーティングする方法などのコーティング方法が一般によく知られている。
【0004】
しかしながら従来の方法で得られるコーティング膜は、プラスチックとの結合力が弱く、布で表面を拭いたり水による洗浄を繰り返すと、コーティング膜が基体から剥離して表面処理効果がなくなってしまうという課題があった。また、従来のコーティング膜は分子がランダムな方向を向いているため、コーティング膜にピンホールが多く、十分な特性が発揮されないという課題があった。さらに例えば透明性が強く要求される透明プラスチック光学材料等には、フロロカーボン系ポリマーのコーティング膜では透明性に欠如するため使用できないという課題もあった。
【0005】
そこで、耐剥離性が高く、ピンホールフリーでナノメーターオーダーの膜厚、即ち透明性が高く基材表面の光沢や基材の透明性を損なわない化学吸着単分子膜の製造方法が、本発明者らによって複数提案されている(特開平4−132637号公報、特開平4−221630号公報、特開平4−367721号公報、特開平8−337654号公報等)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の提案の製造方法は、クロロシラン系の界面活性剤と基材表面の活性水素との脱塩酸反応で被膜を形成していたため、膜製造時に塩酸ガスが発生するという問題があった。また、アルコキシシラン界面活性剤を脱アルコール反応して分子膜を形成することの試みもあるが、反応速度が遅く膜形成を手軽に行えないという問題があった。また、脱アルコール触媒の使用も考えられるが、単に脱アルコール触媒を添加するだけでは、空気中の水分により界面活性剤が自ら架橋してしまい失活するという問題がある。すなわち、界面活性剤に水が含まれるようになると、基材表面と反応する前に界面活性剤が自ら架橋してしまい、基材表面の固液界面での反応が阻害されて化学吸着膜ができにくくなるという問題がある。
【0007】
この欠点に対して特開平8−337654号公報の提案では、少なくともアルコキシシラン系界面活性剤と、活性水素を含まない非水系溶媒と、シラノール縮合触媒を含む混合溶液を、前記基材表面に接触させて、前記基材表面にシロキサン結合を介して共有結合した化学吸着膜を形成する方法が挙げられている。
【0008】
しかし、この方法で確かに材料調製直後の反応において化学吸着膜は形成できるが、工業的な見地において材料調合し混合した後、一定の時間経過後に膜形成を行う場合、混合した時点から反応が進行するため、その材料調製と膜形成が連携した作業が必要となり、同じ性質の膜を大量に形成することが困難であった。また、材料調製地と材料消費地が離れている場合には材料運搬中に反応が進行し、その反応時間に応じて膜の性質が異なることが予期され、実使用できる場面は限られていた。また前記の特開平8−337654号公報の提案では水の存在が膜形成に問題となっており、乾燥した雰囲気での操作が要求されており、膜形成上障害となっていた。
【0009】
本発明は、前記従来技術の課題を解決するため、脱離反応によってコーティング膜を形成するまでの間、化学吸着分子の加水分解を抑制できるコーティング膜の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成する本発明のコーティング膜の製造方法は、
表面に活性水素を有する基材または表面に活性水素を付与した基材表面に、下記の少なくともA液及びB液を、A液の次にB液を塗布し、溶液全体を脱水した状態で、前記B液に含まれる化学吸着分子を前記基材表面に共有結合させるか、または
表面に活性水素を有する基材または表面に活性水素を付与した基材表面に、下記の少なくともA液及びB液を予め混合して混合液を作製することなく、A液の次にB液を塗布するかまたはA液及びB液を同時に塗布し、溶液全体を脱水した状態で、前記B液に含まれる化学吸着分子を前記基材表面に共有結合させる。
A液:活性水素を含まない非水系溶媒と脱水酸化物反応を生じさせる金属化合物からなるシラノール縮合触媒を混合した溶液
B液:分子末端に前記基材表面の活性水素と脱離反応する反応基を含む有機シランモノマーからなる化学吸着分子を、活性水素を含まない非水系溶媒に溶解させたコーティング溶液
但し、前記基材の活性な水素は、M−OH基であり、
前記有機シランモノマーは、
CF 3 −(CF 2 ) n −(R) m −SiX p (OA) 3-p (ここで、nは0または1〜16の整数、Rはアルキレン基、ビニレン基、エチニレン基、アリーレン基、シリコンもしくは酸素原子を含む置換基、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)、
CH 3 −(CH 2 ) r −SiX p (OA) 3-p (ここで、rは1〜25、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)、
CH 3 −(CH 2 ) s −O−(CH 2 ) t −SiX p (OA) 3-p (ここで、sは0〜12、tは1〜20、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)
CH 3 −(CH 2 ) u −Si(CH 3 ) 2 −(CH 2 ) v −SiX p (OA) 3-p (ここで、uは0〜12、vは1〜20、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)、または
CF 3 COO−(CH 2 ) w −SiX p (OA) 3-p (ここで、wは1〜25を示す。XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)
のいずれかである。
【0043】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。まず、本発明は下記の様な用途に広く適用できるものである。
(a)基材の例;基材が金属、セラミックス、ガラス、またはプラスチック、木材、石材からなる材料に適用できる。表面は塗料などで塗装されていても良い。
(b)刃物の例:包丁、鋏、ナイフ、カッター、彫刻刀、剃刀、バリカン、鋸、カンナ、ノミ、錐、千枚通し、バイト、ドリルの刃、ミキサーの刃、ジュ−サ−の刃、製粉機の刃、芝刈り機の刃、パンチ、押切り、ホッチキスの刃、缶切りの刃、または手術用メス等。
(c)針の例:鍼術用の針、縫い針、ミシン針、畳針、注射針、手術用針、安全ピン等。
(d)窯業製品の例:陶磁器製、ガラス製、セラミックス製またはほうろうを含む製品等。例えば衛生陶磁器(例えば便器、洗面器、風呂等)、食器(例えば、茶碗、皿、どんぶり、湯呑、コップ、瓶、コーヒー沸かし容器、鍋、すり鉢、カップ等)、花器(水盤、植木鉢、一輪差し等)、水槽(養殖用水槽、鑑賞用水槽等)、化学実験器具(ビーカー、反応容器、試験管、フラスコ、シャーレ、冷却管、撹拌棒、スターラー、乳鉢、バット、注射器)、瓦、タイル、ほうろう製食器、ほうろう製洗面器、ほうろう製鍋。
(e)鏡の例:手鏡、姿見鏡、浴室用鏡、洗面所用鏡、自動車用鏡(バックミラー、サイドミラー)、ハーフミラー、ショーウィンドー用鏡、デパートの商品売り場の鏡等。
(f)成形用部材の例:プレス成形用金型、注型成形用金型、射出成形用金型、トランスファー成形用金型、真空成形用金型、吹き込み成形用金型、押し出し成形用ダイ、インフレーション成形用口金、繊維紡糸用口金、カレンダー加工用ロールなど。
(g)装飾品の例:時計、宝石、真珠、サファイア、ルビー、エメラルド、ガーネット、キャッツアイ、ダイヤモンド、トパーズ、ブラッドストーン、アクアマリン、サードニックス、トルコ石、瑪瑙、大理石、アメジスト、カメオ、オパール、水晶、ガラス、指輪、腕輪、ブローチ、ネクタイピン、イヤリング、ネックレス、貴金属装飾製品、白金、金、銀、銅、アルミ、チタン、錫あるいはそれらの合金やステンレス製、メガネフレーム等。
(h)食品成形用型の例:ケーキ焼成用型、クッキー焼成用型、パン焼成用型、チョコレート成形用型、ゼリー成形用型、アイスクリーム成形用型、オーブン皿、製氷皿等。
(i)調理器具の例:鍋、釜、やかん、ポット、フライパン、ホットプレート、焼き物調理用網、油切り、タコ焼きプレート等。
(j)紙の例:グラビア紙、撥水撥油紙、ポスター紙、高級パンフレット紙等
(k)樹脂の例:ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、アラミド、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、フェノール樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ケイ素樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ポリアセタール、ポリフェンレンオキサイド等
(l)家庭電化製品の例:テレビジョン、ラジオ、テープレコーダー、オーディオ、CD、冷凍関係機器の冷蔵庫、冷凍庫、エアコン、ジューサー、ミキサー、扇風機の羽根、照明器具、文字盤、パーマ用ドライヤー等。
(m)スポーツ用品の例:スキー、釣竿、棒高跳び用のポール、ボート、ヨット、ジェットスキー、サーフボード、ゴルフボール、ボーリングのボール、釣糸、魚網、釣り浮き等。
(n)乗り物部品に適用する例:
(1)ABS樹脂:ランプカバー、インストルメントパネル、内装部品、オートバイのプロテクター
(2)セルロースプラスチック:自動車のマーク、ハンドル
(3)FRP(繊維強化樹脂):外板バンパー、エンジンカバー
(4)フェノール樹脂:ブレーキ
(5)ポリアセタール:ワイパーギヤ、ガスバルブ、キャブレター部品
(6)ポリアミド:ラジエータファン
(7)ポリアリレート:方向指示レンズ、計器板レンズ、リレーハウジング
(8)ポリブチレンテレフタレート:リヤエンド、フロントフェンダ
(9)ポリアミノビスマレイミド:エンジン部品、ギヤボックス、ホイール、サスペンジョンドライブシステム
(10)メタクリル樹脂はランプカバーレンズ、計器板とカバー、センターマーク
(11)ポリプロピレンはバンパー
(12)ポリフェニレンオキシド:ラジエーターグリル、ホイールキャップ
(13)ポリウレタン:バンパー、フェンダー、インストルメントパネル、ファン
(14)不飽和ポリエステル樹脂:ボディ、燃料タンク、ヒーターハウジング、計器板
(o)事務用品の例:万年筆、ボールペン、シャ−プペンシル、筆入れ、バインダー、机、椅子、本棚、ラック、電話台、物差し、製図用具等。
(p)建材の例:屋根材、外壁材、内装材。屋根材として窯瓦、スレート瓦、トタン(亜鉛メッキ鉄板)など。外壁材としては木材(加工木材を含む)、モルタル、コンクリート、窯業系サイジング、金属系サイジング、レンガ、石材、プラスチック材料、アルミ等の金属材料など。内装材としては木材(加工木材を含む)、アルミ等の金属材料、プラスチック材料、紙、繊維など。
(q)石材の例:花コウ岩、大理石、みかげ石等。たとえば建築物、建築材、芸術品、置物、風呂、墓石、記念碑、門柱、石垣、歩道の敷石など。
(r)楽器および音響機器の例:打楽器、弦楽器、鍵盤楽器、木管楽器、金管楽器などの楽器、およびマイクロホン、スピーカなどの音響機器等。具体的には、ドラム、シンバル、バイオリン、チェロ、ギター、琴、ピアノ、フルート、クラリネット、尺八、ホルンなどの打楽器、弦楽器、鍵盤楽器、木管楽器、金管楽器などの楽器、およびマイクロホン、スピーカ、イヤホーンなどの音響機器。
(s)その他、魔法瓶、真空系機器、電力送電用碍子またはスパークプラグ等の撥水撥油防汚効果の高い高耐電圧性絶縁碍子等、半導体装置およびその製造部材、光磁気記録デバイスおよびその製造部材、磁気記録デバイスおよびその製造部材、光回路およびその製造部材、精密流路およびその製造部材、精密成形加工型およびその製造部材、積層電子部品およびその製造部材、半導体製造装置およびその部材。
【0044】
以下、具体的実施例と模式図を用いて本発明を詳細に説明する。なお以下の実施例においては、とくに記載していない限り%は重量%を意味する。
【0045】
(参考例1)
表面に活性な水素が露出した基材として、例えば自動車用フロントガラス板1を準備した。表面を適切な方法で洗浄を施し、活性な水素2が露出した状態にした(図1)。ついで、脱水酸化物反応を生じさせる金属化合物としてジブチル錫ジアセテートを0.1%含むクロロホルム溶液を調製し、上記ガラス板1上に滴下し、表面が溶液3で濡れる状態にした(図2)。なお、図2は活性な水素2を略図として層として表し、その上に上記溶液3が付着していることを明らかにしたものであり、現状と異なる場合がある。つぎにアルコキシシラン系界面活性剤としてフッ化炭素基を含む(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラハイドロデシル)トリエトキシシラン1%を含むノルマルデカン溶液を調製し、その溶液に前記基板を1時間浸漬した。浸漬する時点でクロロホルム溶液はほぼ乾燥した状態であった。1時間の浸漬後、クロロホルムで洗浄を十分行い、水洗を施した後、窒素ガスで乾燥させた。その結果、ガラス板1表面に共有結合で結合した(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラハイドロデシル)トリエトキシシランからなるコーティング膜4が形成された(図3)。
【0046】
コーティング膜表面の水の接触角で評価したところフッ化炭素基が表面に露出しているため、112度の接触角が得られた。またコーティング膜を形成していないガラス表面の接触角は10度以下(計測器の測定限界以下)となり、明らかにガラス表面にコーティング膜が形成されていることが示された。
【0047】
この実験で重要な要素は、脱水酸化物反応を生じさせる金属化合物としてジブチル錫ジアセテートがガラス基板表面に分布した状態でアルコキシシラン系界面活性剤がガラス基板に接触する過程である。脱水酸化物反応を生じさせるジブチル錫ジアセテートはアルコキシシラン系界面活性剤と基板表面の活性な水素との間で反応を起こすようにしなければならない。水分の完全にない状態であれば表面の活性水素とのみ反応は進行するが、少しでも水が存在すると基材表面の活性水素がない状態でも反応が進行する。それを防ぐために基材表面にジブチル錫ジアセテートを前もって配置しておく必要がある。
【0048】
参考例1ではヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラハイドロデシル)トリエトキシシランをコーティング膜材料として用いたが、CF3−(CF2)n−(R)m−SiXp(OA)3-p(nは0または1〜16の整数、Rはアルキレン基、ビニレン基、エチニレン基、アリーレン基、シリコンもしくは酸素原子を含む置換基、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)で表される物質である有機化合物でも良い。
【0049】
さらにより具体的には、これ以外にも、CH3−(CH2)r−SiXp(OA)3-pやCH3−(CH2)s−O−(CH2)t−SiXp(OA3-p,CH3−(CH2)u−Si(CH3)2−(CH2)v-SiXp(OA)3-p,CF3COO−(CH2)w−SiXp(OA)3-p(ここで、好ましい範囲してrは1〜25、sは0〜12、tは1〜20、uは0〜12、vは1〜20、wは1〜25を示す。XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)等が使用可能である。具体的な分子を挙げると、以下のものがある。
CH3CH2O(CH2)15Si(OCH3)3
CF3CH2O(CH2)15Si(OCH3)3
CH3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)15Si(OCH3)3
CH3(CH2)6Si(CH3)2(CH2)9Si(OCH3)3
CH3COO(CH2)15Si(OCH3)3
CF3(CF2)5(CH2)2Si(OCH3)3
CF3(CF2)7−C6H4−Si(OCH3)3
CH3CH2O(CH2)15Si(OC2H5)3
CH3(CH2)2Si(CH3)2(CH2)15Si(OC2H5)3
CH3(CH2)6Si(CH3)2(CH2)9Si(OC2H5)3
CF3(CH2)6Si(CH3)2(CH2)9Si(OC2H5)3
CH3COO(CH2)15Si(OC2H5)3
CF3COO(CH2)15Si(OC2H5)3
CF3COO(CH2)15Si(OCH3)3
CF3(CF2)9(CH2)2Si(OC2H5)3
CF3(CF2)7(CH2)2Si(OC2H5)3
CF3(CF2)5(CH2)2Si(OC2H5)3
CF3(CF2)7C6H4Si(OC2H5)3
CF3(CF2)9(CH2)2Si(OCH3)3
CF3(CF2)5(CH2)2Si(OCH3)3
CF3(CF2)7(CH2)2SiCH3(OC2H5)2
CF3(CF2)7(CH2)2SiCH3(OCH3)2
CF3(CF2)7(CH2)2Si(CH3)2OC2H5
CF3(CF2)7(CH2)2Si(CH3)2OCH3
なお、この発明のコーティング膜の製造方法におけるアルコキシシラン界面活性剤の好ましい含有量は、0.1〜30%である。
【0050】
また、本発明の方法における脱水酸化物反応を生じさせる金属化合物としては、シラノール縮合触媒を利用できるが、特に、酢酸第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタンサン第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄等のカルボン酸金属塩、ジオクチル錫ビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチル錫マレイン酸エステル塩等のカルボン酸エステル金属塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマー等のカルボン酸金属塩ポリマー、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート等のカルボン酸金属塩キレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート等のチタン酸エステル、またはビス(アセチルアセトニル)ジープロピルチタネート等のチタン酸エステルキレート類を用いることがより好ましい。
【0051】
特に、カルボン酸金属塩およびカルボン酸金属塩キレート類を用いれば、安定した化学吸着膜が得られた。なお、脱水酸化物反応を生じさせる金属化合物の好ましい添加量は、界面活性剤に対して0.1〜25%である。
【0052】
活性水素を含まない非水系溶媒としては、水分を含まない炭化水素系溶媒あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒を用いることが可能であるが、特に沸点が50〜200℃のものが使用し易い。なお、石油系の溶剤の他に具体的に使用可能なものは、石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、灯油、リグロイン、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、環状シリコーン等を挙げることができる。また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、必要であるならば2種以上を組み合わせてもよい。
【0054】
また、本発明に使用できる基材としては、表面に活性水素を含む、即ち水酸基(−OH)を持つ基材、例えばAl、Cu若しくはステンレス等の金属、ガラス、セラミックス、紙、天然繊維、皮革その他親水性基材が挙げられる。なお、プラスチックや合成繊維のような表面に水酸基を持たない物質であれば、予め表面に酸素を含むプラズマ雰囲気中で、例えば100Wで20分程度処理、もしくはコロナ処理すると表面に高濃度の水酸基を設けることができる。
【0055】
(参考例2)
表面に活性な水素が露出した基材として、スライドガラス11上にアルミ蒸着膜12を形成し、さらに酸化ケイ素被膜13を形成した基板14を準備した。紫外線−オゾン処理を行い、当該基板表面を洗浄し、活性な水素が露出した状態にした(図4)。ついで、脱水酸化物反応を生じさせる金属化合物としてジブチル錫ジアセテートを0.1%含むクロロホルム溶液を調製し、上記基板14上に滴下し、表面が溶液で濡れる状態にした。つぎにアルコキシシラン系界面活性剤としてフッ化炭素基を含むオクタデシルトリエトキシシラン1%を含むノルマルヘキサデカン溶液を調製し、その溶液に前記基板を2時間浸漬した。浸漬する時点でクロロホルム溶液はほぼ乾燥した状態であった。2時間の浸漬後、クロロホルムで洗浄を十分行い、水洗を施した後、窒素ガスで乾燥させた。その結果、基板14表面に共有結合で結合したオクタデシルトリエトキシシランからなるコーティング膜16が形成された(図5)。
【0056】
当該基板をフーリエ赤外分光光度計を用い、反射測定法にてコーティング膜の赤外吸収スペクトルを測定した。図6にそのスペクトルを示す。2900波数から3000波数においてメチル基、メチレン基の対称伸縮振動、逆対称伸縮振動に関わる吸収が観測された。このことから当該基板上にコーティング膜16が形成されていることが確認された。
【0057】
(比較例1)
従来の技術として、特開平4−132637号公報、特開平4−221630号公報、特開平4−367721号公報等に記載されている化学吸着膜もしくは化学吸着単分子膜を作成し、比較した。
【0058】
実施例2に使用した基板を使用し、実施例2と同様の紫外線−オゾン処理を行い、当該基板表面を洗浄し。活性な水素を露出した状態にした。ついで、乾燥窒素ガスにより乾燥した雰囲気中にてオクタデシルトリクロロシランの1%ノルマルヘキサデカン−クロロホルム混合溶液を作成し、その溶液中に上記基板を浸漬した。2時間の浸漬後にクロロホルムにて基板を洗浄し、乾燥窒素ガス雰囲気中から基板を取り出した。その後、実施例2に示す方法により赤外吸収スペクトルを測定した。図7に示すように、2900波数から3000波数においてメチル基、メチレン基の対称伸縮振動、逆対称伸縮振動に関わる吸収が観測され、化学吸着膜の形成が確認された。
【0059】
実施例2の図6に示す赤外吸収スペクトルと比較例1の図7に示す赤外吸収スペクトルを比較するとほぼ同じ波数にメチレン逆対象伸縮振動、メチレン対象伸縮振動、メチル逆対称伸縮振動、メチル対称伸縮振動の各々の吸収スペクトルが観測され、その各強度もほぼ同じであった。実施例2に用いたオクタデシルトリエトキシシランの赤外吸収スペクトルは図7及び図8に示すスペクトルとは異なっているため、明らかにバルク形状のコーティング膜が形成されているのではなく、また、比較例1は単分子膜を形成する方法として公知であるので、その日かクレイ1のスペクトルにほぼ近いスペクトルが実施例2で得られたことから、本発明のコーティング膜も単分子膜または単分子膜に近い状態を形成しているものと推測した。
【0060】
(実施例1)
参考例1に示す方法に従い、ジブチル錫ジアセテートを0.1%含むクロロホルム溶液を調製した。また、別途にヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリメトキシシラン[CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3]を1%含むノルマルデカン溶液を調製した。上記のそれぞれの溶液を70℃の温浴中で5日間放置した。その後、実施例2で使用したガラス板上に上記クロロホルム溶液を滴下し、表面が溶液で濡れる状態にし、次いで、上記ガラス基板をノルマルデカン溶液に1時間浸漬した。その後、基板をクロロホルムで2度洗浄し、乾燥させてコーティング膜を形成した。
【0061】
(比較例2)
従来の実施例として特開平8−337654号公報にある方法により、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリメトキシシラン[CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3]を5%と、n−ジブチル錫ジアセテートを0.1%と、活性水素を含まない非水系溶媒としてn−デカンを94.9%とを混合した溶液を作成した。当該溶液を70℃の温浴中にて5日間放置した。その溶液に実施例2で使用したガラス基板を1時間浸漬した。その後、基板をクロロホルムで2度洗浄し、乾燥させてコーティング膜を形成した。
【0062】
実施例1および比較例2で作成したガラス基板に水滴を滴下し、その水滴の接触角を測定した。結果、比較例2の方法で作成したガラス基板の接触角は70度前後であるのに対し、実施例1の方法で作成したガラス基板の接触角は110度前後であった。また、実施例1および比較例2の溶液を調製した直後にガラス基板にコーティング膜を形成した場合の水滴の為す接触角はいずれも115度程度であった。表1に比較例を含めて数値を表に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
(参考例3)
金属化合物材料にジオクチル錫ジラウレートのアセトニトリル溶液を調製し、有機化合物材料としてノナデシルトリエトキシシランのアセトニトリル溶液を調製した。前洗浄を終えた活性な水素が露出されたガラス基板上に上記2つの溶液を同時に液量を調整して滴下し、ガラス基板全面に溶液が拡がるようにした。室温下で1時間放置後に純粋なアセトニトリルでガラス基板を洗浄し、乾燥させた。結果、ガラス基板表面にオクタデシルトリエトキシシランを出発原料とするコーティング膜が形成された。このコーティング膜の水に対する接触角を測定したところ107度であった。活性な水素が露出したガラス基板表面の水が為す接触角は測定限界以下(10度以下)となっているので、明らかにコーティング膜が形成されていると確認された。
【0065】
(参考例4)
透明なアクリル板へのコーティング膜形成を実施した。アクリル板を酸素プラズマ処理装置にてアクリル板表面を酸化、清浄し、活性な水素をアクリル板表面に形成させた。次に、ジオクチル錫ジアセテートの2%エチルアルコール溶液を調整し、ノナフルオロへキシルトリエトキシシラン[CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH2CH3)3]のフッ化炭素系溶媒(商品名HFE7200:住友スリーエム(株)製)による2%溶液を調製し、上記アクリル基板上に基板全体に溶液が拡がるように滴下した。溶液が乾燥した後に再度純粋なHFE7200でアクリル板を洗浄し、乾燥させた。
【0066】
このアクリル板に対して水の接触角を測定し、コーティング膜の形成を確認した。アクリル板の接触角は75〜80度であり、酸素プラズマ処理後は25〜40度であったのに対し、コーティング膜形成後の接触角は120度前後になり、明らかにフッ化炭素系のコーティング膜の形成が確認された。
【0067】
(参考例5)
基材としてステンレス板を用意し、前洗浄を行って表面の清浄化と活性水素露出をおこなった。次にテトラブチルチタネートの0.1%のフッ化炭素溶液(溶媒:PF5080、住友スリーエム製)を調整した。また、ペンタデカフルオロエチルトリエトキシシランの2%フッ化炭素溶液(溶媒:PF5080、住友スリーエム製)を調整した。
【0068】
上記ステンレス基板をテトラブチルチタネート溶液に10分間浸漬し、その後基板を取り出し、乾燥させた。次にペンタデカフルオロエチルトリエトキシシラン溶液に上記基板を浸漬し、30分後に取り出し、乾燥させた。この操作においてペンタデカフルオロエチルトリエトキシシランを出発材料とするコーティング膜が形成された。
【0069】
次にこのステンレス基材表面上に汚れの事例として油性マジックにより書き込みを行った。油性マジックは細かな油滴を形成し、油滴が乾いていない状態の場合は乾いた布でこすり取ることができた。油滴が乾燥した場合でも中性洗剤を薄めた水を浸した布を油滴に押し当てこすり取ることにより簡単に汚れを取り除くことができた。このことからコーティング膜を形成したステンレス基板は防汚性の効果が付与されたことを確認した。
【0070】
(参考例6)
耐熱性セラミック板に参考例5に示すと同様のコーティング膜を形成し、コーティング膜が形成された砂糖と醤油を50%ずつ混ぜた溶液を滴下し、ドライヤーにより上記溶液を加熱固化した。加熱固化した物体は固着した状態になったが、水を含む濡れたふきんを用いて数回擦りあてることにより汚れを除去することができた。以上よりコーティング膜を形成したセラミック板には防汚性が付与されたことが確認された。
【0071】
(比較例3)
参考例6に用いたセラミック板にコーティング膜を形成せずに砂糖と醤油からなる固着物を形成し、濡れたふきんにより汚れを取り除く操作を行ったが、参考例6で完全に取り除けた時のふき取り回数では全く汚れを拭き取ることができず、その5倍程度のふき取り回数においてもその汚れをセラミック板上に拡げ伸ばすだけであった。以上の比較検討により、防汚性の効果がさらに確かめられた。
【0072】
(参考例7)
参考例1に用いたコーティング膜が形成された車載ガラスに人為的な油膜を形成し、そのふき取り性能を確かめた。油膜が形成された上記ガラス板上を中性洗剤の薄い水溶液を含むスポンジタオルで擦り、さらにガラス表面を水洗いすることで非常に簡単に油膜を取り除くことができた。なお、比較としてコーティングされていないガラス板上に同様の操作を行ったところ油膜は若干減ったが、完全に取り除くことはできず、さらに、油膜が形成されていない箇所のガラスまで油膜で汚染する結果となり、コーティング膜が形成されたガラスは防汚性として有効であることが確認された。
【0073】
さらに、油膜が取り除かれたガラス表面はコーティング膜の効果で撥水性が復活し、撥水性ガラスとしての効果が確認された。
【0074】
(参考例8)
二重構造になっているチューブ21の一方に脱水酸化物反応を生じさせる金属化合物からなる溶液22を封入し、他方にコーティング膜となる脱離反応を起こしうる有機化合物からなる溶液23を封入し、コーティング時にチューブを押すことで両方の溶液が同時に吐出できるようにした(図8)。この材料により上記実施例に示すようなコーティング膜を比較的容易に形成できることが可能となった。
【0075】
なお、いずれの実施例でも水分の制御については言及しなかったが、単分子膜レベルの膜を形成する場合は反応雰囲気の水分をできるだけ少なくすることが必要となり、必要に応じてはグローブボックスの中に乾燥窒素または乾燥空気を循環させてできるだけ乾燥した条件で反応を行わせる方が良い。
【0076】
なお、本実施例ではガラス、金属、セラミックスには洗浄を行うことでコーティング膜形成を行うに必要な活性な水素が露出するように記述したが、さらに下地処理として、テトラアルコキシシラン、テトラクロロシランなどを用いた下地層を形成することにより、より活性な水素を数多くすることができるので、必要に応じてこれらの下地層を用いてもよい。
【0077】
なお、参考例8では二重構造になっているチューブの例を紹介したが、同時に二液を供給できる構造であれば二重構造である必要がない。例えばマイクロカプセルなどの中にどちらかの溶液を封入することができれば二重構造にする必要はない。
【0078】
なお、本実施例では撥水性、撥油性に関する具体的な実施例を記載したが、その他にナノメートルレベルまでのデバイスおよびデバイスプロセス用部材、デバイス成形加工用部材にも使用することが可能である。
【0079】
【発明の効果】
以上の説明の通り、本発明は基材表面上に脱離反応によってコーティング膜を製造方法するに際して、脱水酸化物反応を生じさせる金属化合物を存在させることにより、コーティング膜形成までに化学吸着分子の加水分解を抑制できる。これにより、材料の性能を向上した結果、膜質を著しく向上することができる。また、従来のクロロシラン系材料を用いた膜では実用耐久性のある膜が形成できたが、その形成過程で発生していた塩化水素ガスを本発明では完全になくすことができ、かつ従来のクロロシラン材料により形成された膜と同等の実用性あるコーティング膜が形成可能となった。またその結果として優れたコーティング膜形成材料および実用性のある防汚性ガラスおよび防汚性金属および防汚性セラミクスおよび撥水性ガラスを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の参考例を説明する活性な水素が露出された自動車用フロントガラス板の分子レベルまで拡大した模式断面図である。
【図2】本発明の第1の参考例を説明する活性な水素が露出された自動車用フロントガラス板上に脱水酸化物反応を生じさせる金属化合物の溶液を塗布した段階での分子レベルまで拡大した模式断面図である。
【図3】本発明の第1の参考例を説明する自動車用フロントガラス板上にコーティング膜か形成された状態を示す分子レベルまで拡大した模式断面図である。
【図4】本発明の第2の参考例を説明するスライドガラス上にアルミ蒸着膜と酸化ケイ素皮膜が形成され、さらにその表面に活性な水素が露出された状態を示す分子レベルまで拡大した模式断面図である。
【図5】本発明の第2の参考例を説明する基板上にコーティング膜が形成された状態を示す分子レベルまで拡大した模式断面図である。
【図6】本発明の第2の参考例を説明する基板上にコーティング膜が形成された状態の赤外吸収スペクトル図面である。
【図7】本発明の第2の参考例と比較するために行った比較例1に関する基板上に化学吸着膜が形成された状態の赤外吸収スペクトル図面である。
【図8】本発明の第8の参考例を説明するための材料供給用のチューブの模式図である。
Claims (9)
- 表面に活性水素を有する基材または表面に活性水素を付与した基材表面に、下記の少なくともA液及びB液を、A液の次にB液を塗布し、溶液全体を脱水した状態で、前記B液に含まれる化学吸着分子を前記基材表面に共有結合させることを特徴とするコーティング膜の製造方法。
A液:活性水素を含まない非水系溶媒と脱水酸化物反応を生じさせる金属化合物からなるシラノール縮合触媒を混合した溶液
B液:分子末端に前記基材表面の活性水素と脱離反応する反応基を含む有機シランモノマーからなる化学吸着分子を、活性水素を含まない非水系溶媒に溶解させたコーティング溶液
但し、前記基材の活性な水素は、M−OH基であり、
前記有機シランモノマーは、
CF 3 −(CF 2 ) n −(R) m −SiX p (OA) 3-p (ここで、nは0または1〜16の整数、Rはアルキレン基、ビニレン基、エチニレン基、アリーレン基、シリコンもしくは酸素原子を含む置換基、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)、
CH 3 −(CH 2 ) r −SiX p (OA) 3-p (ここで、rは1〜25、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)、
CH 3 −(CH 2 ) s −O−(CH 2 ) t −SiX p (OA) 3-p (ここで、sは0〜12、tは1〜20、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)
CH 3 −(CH 2 ) u −Si(CH 3 ) 2 −(CH 2 ) v −SiX p (OA) 3-p (ここで、uは0〜12、vは1〜20、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)、または
CF 3 COO−(CH 2 ) w −SiX p (OA) 3-p (ここで、wは1〜25を示す。XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)
のいずれかである、製造方法。 - 表面に活性水素を有する基材または表面に活性水素を付与した基材表面に、下記の少なくともA液及びB液を予め混合して混合液を作製することなく、A液の次にB液を塗布するかまたはA液及びB液を同時に塗布し、溶液全体を脱水した状態で、前記B液に含まれる化学吸着分子を前記基材表面に共有結合させることを特徴とするコーティング膜の製造方法。
A液:活性水素を含まない非水系溶媒と脱水酸化物反応を生じさせる金属化合物からなるシラノール縮合触媒を混合した溶液
B液:分子末端に前記基材表面の活性水素と脱離反応する反応基を含む有機シランモノマーからなる化学吸着分子を、活性水素を含まない非水系溶媒に溶解させたコーティング溶液
但し、前記基材の活性な水素は、M−OH基であり、
前記有機シランモノマーは、
CF 3 −(CF 2 ) n −(R) m −SiX p (OA) 3-p (ここで、nは0または1〜16の整数、Rはアルキレン基、ビニレン基、エチニレン基、アリーレン基、シリコンもしくは酸素原子を含む置換基、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)、
CH 3 −(CH 2 ) r −SiX p (OA) 3-p (ここで、rは1〜25、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)、
CH 3 −(CH 2 ) s −O−(CH 2 ) t −SiX p (OA) 3-p (ここで、sは0〜12、tは1〜20、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)
CH 3 −(CH 2 ) u −Si(CH 3 ) 2 −(CH 2 ) v −SiX p (OA) 3-p (ここで、uは0〜12、vは1〜20、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)、または
CF 3 COO−(CH 2 ) w −SiX p (OA) 3-p (ここで、wは1〜25を示す。XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)
のいずれかである、製造方法。 - 前記基材が樹脂、セラミクス、ガラス、金属、金属酸化物、繊維、紙及びプラスチックから選ばれる少なくとも一つである請求項1又は2に記載のコーティング膜の製造方法。
- 前記基材の形状が板状、フィルム状、三次元成型物及び糸状から選ばれる少なくとも一つである請求項1又は2に記載のコーティング膜の製造方法。
- 前記A液中の脱水酸化物反応を生じさせる金属化合物からなるシラノール縮合触媒が、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類から選ばれる少なくとも一つの物質である請求項1又は2に記載のコーティング膜の製造方法。
- 前記A液中の脱水酸化物反応を生じさせる金属化合物からなるシラノール縮合触媒が、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタン酸第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ビスオクチルチオグリコール酸エステル塩、ジオクチル錫マレイン酸エステル塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート、酢酸第1錫、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジープロピルチタネート、及びジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマーから選ばれる少なくとも一つである請求項5に記載のコーティング膜の製造方法。
- 前記A液中の脱水酸化物反応を生じさせる金属化合物からなるシラノール縮合触媒の濃度が0.0001重量%以上20重量%以下であり、前記有機シランモノマーからなる化学吸着分子の濃度が0.1重量%以上30重量%以下である請求項1又は2に記載のコーティング膜の製造方法。
- 前記基材表面に活性な水素を付与する手段が、酸素プラズマ、コロナ放電または酸素ガス中紫外線照射による処理である請求項1又は2に記載のコーティング膜の製造方法。
- 前記脱離反応を起こしうる化学吸着分子が、カプセル内に封入されている請求項1又は2に記載のコーティング膜の製造方法。
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