JP3597100B2 - 有機薄膜の製造方法、この有機薄膜を用いた液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents

有機薄膜の製造方法、この有機薄膜を用いた液晶表示装置及びその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスやセラミックス等の基材表面に形成する有機薄膜、その製造方法及びその製造装置に関するものである。又、液晶に対する配向能を備えた液晶配向膜、その製造方法及びその製造装置と、該液晶配向膜を備えた液晶表示装置及びその製造方法とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より有機薄膜を製造する方法としては、例えばクロロシラン系界面活性剤等を基材表面に化学吸着させる方法が知られている。この方法の詳細については、例えば特開平3−7913号公報、特開平3−230156号公報、特開平4−330925号公報、日本国特許第2,028,662号、第2,598,867号及び第2,638,446号等に開示されている。
【0003】
上記公報に記載されている方法では、膜形成分子を基材表面上に吸着固定させた後、未吸着分子を除去する洗浄工程を行っているが、この洗浄工程に於ける洗浄の程度を適正に行うことにより超薄膜である単分子膜を形成することが可能となる。
【0004】
そしてこのような洗浄には従来より、上記した何れの公報に記載された洗浄工程においても、その洗浄剤にクロロホルムが使用されている。その理由は、クロロホルムが以下に述べる、2つの大きな特徴を有しているからである。即ち、
1.有機化合物に対する溶解能が大きい。
2.沸点が61℃と低いので、蒸発させることにより簡単に除去できる。
【0005】
しかしながら、上記クロロホルムは毒性が高いことで知られている。又、オゾン層を破壊する原因としても知られており、環境負荷の非常に大きな物質である。
【0006】
他方、例えば特開平6−45142号公報、特開平6−187692号公報、特開平6−312477号公報等では、クロロホルムの代替洗浄剤として、エーテル類、ラクトン類、エステル類、ニトリル類、アミド類等が開示されているが、これらの洗浄剤では洗浄力の点で疑問が残る。実際においてもこれらの代替洗浄剤は使用されておらず、洗浄剤として優れていなかった。
【0007】
以上のことから、環境に対する負荷がなく、塩素系溶剤と同等の洗浄力を有する代替洗浄剤を用いた有機薄膜の製造プロセスの確立が嘱望されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一群の本発明は、このような従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、その第1の目的は、塩素系溶剤以外の洗浄剤にて洗浄する洗浄工程を含む有機薄膜の製造方法と、この方法により成膜された有機薄膜と、この方法に於いて使用する製造装置とを提供することにある。
【0009】
又、一群の本発明は、このような従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、その第2の目的は、塩素系溶剤以外の洗浄剤にて洗浄する洗浄工程を含む液晶配向膜の製造方法と、この方法により成膜された液晶配向膜と、この方法に於いて使用する製造装置とを提供することにある。
【0010】
更に、第3の目的は、前記液晶配向膜を備えた液晶表示装置と、その製造方法とを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
[有機薄膜、その製造方法及びその製造装置]
本願発明者等は、上記従来の問題点を解決すべく、有機薄膜の製造方法について鋭意検討した。その結果、基材表面に分子群が結合されてなる有機薄膜に対して、ケトン類、アルキレングリコール類又はアルコキシアルコール類を含む洗浄剤にて洗浄等すると、上記基材に結合されない上記分子を除去することができ、塩素系溶剤の洗浄剤にて洗浄した場合と同様の効果を有することを見出して、本発明を完成するに至った。
【0012】
(1)有機薄膜
上記の課題を解決する為に、本発明に係る有機薄膜は、基材上に結合された分子群からなる有機薄膜であって、上記有機薄膜は、活性水素を備えた官能基に対して反応性を示す官能基を有する分子群を、該基材面に接触させて結合させた後、上記基材に結合されない上記分子群を、ケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤で除去して得られたものであることを特徴とする。
【0013】
上記構成の有機薄膜は、一端が基材面に結合し、他端が基材面から離れる方向に突出した状態で基材面に沿って配列した分子群からなる。そして、上記洗浄剤により、基材に結合されない分子(以下、未固定分子と称することもある)が除去されてなる有機薄膜は、分子群が基材面に乱れた状態となることなく、均一な膜構造とすることができる。
【0014】
又、上記活性水素を備えた官能基に対して反応性を示す官能基は、下記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基とすることができる。
【化9】
Figure 0003597100
(式中、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種の原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシアネート基から選ばれる1種の官能基を表している。)
尚、上記「基材上に」とは、上記分子群が基材表面に直接固定される場合に限定されるものではなく、他の物質層を介して固定される場合も含む意味である。
【0015】
(2)有機薄膜の製造方法
上記の課題を解決する為に、本発明に係る有機薄膜の製造方法は、活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を基材に接触させることにより、該基材上に結合させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成工程と、上記基材に結合されない上記分子を、ケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤で除去する除去工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
上記分子は、下記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有するものとすることができる。
【化10】
Figure 0003597100
(式中、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種の原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシアネート基から選ばれる1種の官能基を表している。)
【0017】
上記被膜形成工程にて上記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有する分子群を、基材表面に固定させて被膜を形成すると、該被膜の表面には基材に結合されない分子(未固定分子)が残存する。この未固定分子は、除去工程にてケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤を用いることにより、容易に除去することができる。これは、ケトン類等が未固定分子に対する溶解能に優れていることによる。これにより、基材表面には少なくとも該基材に固定した上記分子群からなる有機薄膜が形成され、一様な膜厚を有する有機薄膜の製造が可能となる。
【0018】
上記ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びアセチルアセトンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を使用できる。
【0019】
これらの化合物群は、前記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有する分子群に対する溶解能に優れている。従って、洗浄力に優れた上記化合物群を用いた上記の方法によれば、上記分子の種類や洗浄条件等を勘案して、最適なケトン類を必要に応じて選択することにより、未固定分子を除去した膜厚の均一な有機薄膜を形成することができる。
【0020】
又、上記アルキレングリコール類としてポリエチレングリコールを用いることができる。
【0021】
上記ポリエチレングリコールは、前記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有する化合物に対する溶解能に優れている。従って、洗浄力に優れているポリエチレングリコールを用いた上記の方法によれば、未固定分子の除去が一層容易になり、該未固定分子を除去した有機薄膜を形成することができる。
【0022】
更に、上記ポリエチレングリコールの分子量は100以上、300以下の範囲内とすることができる。
【0023】
これにより、低分子量のポリエチレングリコールを洗浄剤成分として使用するので、粘性が小さく取り扱い性に優れた洗浄剤とすることができる。
【0024】
又、上記洗浄剤として、塩素系溶剤を含まないものを使用することができる。
【0025】
上記の様に、除去工程において、ケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤であって、塩素系溶剤が含まれない洗浄剤を使用すると、環境に対する負荷を抑制することができる。しかも、この洗浄剤は、従来の塩素系溶剤からなる洗浄剤と比較して同程度の洗浄作用を被洗浄物、即ち未固定分子に対して発揮するので、均一な膜厚を有する有機薄膜の形成が可能である。よって、塩素系溶剤を使用しなくとも一様な膜厚を有する有機薄膜を形成することができ、環境に対する負荷を抑制した有機薄膜の製造プロセスを提供することができる。
【0026】
更に、上記除去工程の後に、上記基材に付着した上記洗浄剤を除去する洗浄剤除去工程を行うことができる。
【0027】
これにより、形成された有機薄膜に洗浄剤が残留することによって膜の品質に悪影響が及ぶのを防止することができる。特に、撥水作用や親水性等の機能を有した機能膜として形成する場合に、上記洗浄剤除去工程を行えば、種々の機能の劣化を防止できる。
【0028】
上記洗浄剤除去工程は、上記基材に付着した上記洗浄剤を水で洗い流すリンス工程と、上記基材に付着した上記水を乾燥させる乾燥工程とを有していてもよい。
【0029】
上記方法であると、基材表面に形成された被膜に付着している上記洗浄剤を水により洗浄して除去することができる。この結果、例えば分子がAX基を備えている場合には、該被膜に残存しているAX基と水との間で縮合反応が引き起こされ、被膜を構成する分子にヒドロキシル基を導入することができる。更に、乾燥工程にて基材を乾燥させることにより、該基材に付着した水を除去することができる。一方で、この乾燥工程を行うことにより、基材表面に結合した分子間で脱水反応を促進させる面もあり、この結果架橋構造とすることができ、耐摩耗性や耐擦傷性等に優れた有機薄膜を製造することができる。
【0030】
上記基材として、その表面に活性水素を有する官能基が存在するものを使用することができる。
【0031】
上記の方法によれば、分子が前記一般式(1)で表される官能基を有する場合に、この官能基と、基材表面に於ける活性水素を有する官能基との間で、HX分子が脱離して縮合反応を引き起こすことができる。これにより、該一般式(1)で表される官能基を有する分子を基材表面に結合させることができる。
【0032】
更に、上記被膜形成工程及び除去工程は、乾燥雰囲気中で行うことができる。
【0033】
上記被膜形成工程を乾燥雰囲気中にて行うことにより、基材表面には単分子膜を形成し、更にこの単分子膜の上に単分子膜状の分子層が何層にも累積した累積膜が形成される。これは乾燥雰囲気中である為に、雰囲気中の水分と上記一般式(1)で表される官能基とが反応して架橋することを防ぐことによる。このようにして形成された被膜に対して、除去工程も乾燥雰囲気中で行うので、上記累積膜の全て、或いは該累積膜のうち何層かの分子層を容易に除去することができる。これは、除去工程に於いてもやはり乾燥雰囲気中で行う為に、累積膜を形成する分子に於ける前記一般式(1)で表される官能基と雰囲気中の水分との間で、HX分子の脱離による縮合反応が起こるのを防ぐことができるからである。よって、基材表面に固定している分子や固定されていない分子が架橋することを防ぐことができ、単分子膜状又は単分子膜状の分子層が複数累積した有機薄膜を形成することができる。
【0034】
更に、上記基材の表面に、上記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有する分子群を、単分子膜状となるように固定させた、そのような有機薄膜を形成することができる。
【0035】
上記の方法によれば、単分子膜状の有機薄膜を形成することできるので、前記一般式(1)で表される官能基を有する分子の分子設計を制御することにより、分子レベルでの膜厚の制御が容易に可能となる。この結果、非常に薄い有機薄膜を所望の膜厚で製造することができる。
【0036】
(3)有機薄膜の製造装置
上記の課題を解決する為に、本発明に係る有機薄膜の製造装置は、活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を基材に接触させることにより該基材表面に結合させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成手段と、上記基材に結合されない上記分子を、ケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤で除去する除去手段と、を有することを特徴とする。
【0037】
上記分子は、下記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有するものとすることができる。
【化11】
Figure 0003597100
(式中、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種の原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシアネート基から選ばれる1種の官能基を表している。)
【0038】
[液晶配向膜、その製造方法及びその製造装置]
(1)液晶配向膜
上記の課題を解決する為に、本発明に係る液晶配向膜は、基板上に結合された分子群からなり、液晶分子を特定の方向に配向させる液晶配向膜であって、上記液晶配向膜は、活性水素を備えた官能基に対して反応性を示す官能基を有する分子群を、該基板面に接触させて結合させた後、上記基板に結合されない上記分子を、ケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤で除去して得られたものであることを特徴とする。
【0039】
上記構成の液晶配向膜は、一端が基板側に結合し、他端が基板から離れる方向に突出した状態で基板面に沿って配列した分子群からなる。そして、上記洗浄剤を用いて洗浄された薄膜であるので、基板に結合されない未固定分子が除去され均一な膜厚を有している。
【0040】
又、従来、塩素系溶剤からなる洗浄剤(塩素系洗浄剤)にて分子群が固定した基板を洗浄すると、これらの分子群は乱れた状態で固定した膜構造となる場合があった。これに対して、上記構成であると、液晶配向膜は、塩素系溶剤からなる洗浄剤で洗浄された薄膜ではないので、分子群が基板面に乱れた状態で固定した膜構造となるのが防止され、分子群が均一に配列し整った膜構造の有機薄膜とすることができる。
【0041】
ここで、上記構成の液晶配向膜が単分子膜である場合、近傍の液晶分子は膜構成分子との相互作用により、基板に対しある傾き及び/又は配向方位に規制される。
【0042】
従って、上述のように、個々の分子が均一に配列した整った膜構造であると優れた配向能を有し、具体的には配列状態を乱すことなく液晶分子を配向させることが可能となる。
【0043】
尚、上記「基板上に」とは、分子が基板表面に直接結合される場合に限定されるものではなく、電極等の他の物質層を介して結合される場合も含む意味である。
【0044】
又、上記活性水素を備えた官能基に対して反応性を示す官能基は、下記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基とすることができる。
【化12】
Figure 0003597100
(式中、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種の原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシアネート基から選ばれる1種の官能基を表している。)
【0045】
(2)液晶配向膜の製造方法
上記の課題を解決する為に、本発明に係る液晶配向膜の製造方法は、活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を基材に接触させることにより、該基材上に結合させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成工程と、上記基材に結合されない上記分子を、ケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤で除去する除去工程と、を含むことを特徴とする。
【0046】
上記分子は、下記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有するものとすることができる。
【化13】
Figure 0003597100
(式中、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種の原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシアネート基から選ばれる1種の官能基を表している。)
【0047】
上記被膜形成工程にて上記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有する分子群を、基板表面に固定させて被膜を形成すると、該被膜の表面には、未固定分子が残存する。ケトン類等はこの未固定分子に対して優れた溶解能を発揮する為、上記洗浄剤を用いて洗浄することにより、容易に除去することができる。よって、基板表面には少なくとも該基板に固定した上記分子群からなる液晶配向膜を環境に対する負荷を抑制しつつ形成することができる。更に、上記方法により形成される液晶配向膜は、均一な膜厚を有し、かつ分子群が乱れることなく固定して均一な膜構造とすることができる。
【0048】
(3)液晶配向膜の製造装置
上記の課題を解決する為に、本発明に係る液晶配向膜の製造装置は、活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を基板に接触させることにより該基板表面に結合させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成手段と、上記基材に結合されない上記分子を、ケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤で除去する除去手段と、を有することを特徴とする。
【0049】
上記分子は、下記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有するものとすることができる。
【化14】
Figure 0003597100
(式中、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種の原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシアネート基から選ばれる1種の官能基を表している。)
【0050】
[液晶表示装置及びその製造方法]
(1)液晶表示装置
上記の課題を解決する為に、本発明に係る液晶表示装置は、基板上に液晶分子を所定の方向に配向させる液晶配向膜を備えた液晶表示装置であって、上記液晶配向膜は、活性水素を備えた官能基に対して反応性を示す官能基を有する分子群が、上記基板上に結合されてなる薄膜であり、かつ、上記分子からなる群を上記基板に接触させて結合させた後、該基板に結合されない上記分子を、ケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤で除去して得られたものであることを特徴とする。
【0051】
上記構成の液晶表示装置が有している液晶配向膜は、上記洗浄剤を用いて洗浄された薄膜であるので、基板に結合されない分子は除去され、均一な膜厚を有している。又、上記液晶配向膜は、従来の塩素系溶剤からなる洗浄剤で洗浄された薄膜ではないので、分子群が均一に配列し整った膜構造を有している。よって、配列状態を乱すことなく液晶分子を配向させることが可能である。即ち、上記の様な液晶配向膜を具備させることにより、上記構成の液晶表示装置は、液晶の配向欠陥等が視認されず表示品位に優れたものとすることができる。
【0052】
(2)液晶表示装置の製造方法
上記の課題を解決する為に、本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、基板上に結合された分子群からなり、液晶分子を特定の方向に配向させる液晶配向膜を備えた液晶表示装置の製造方法であって、上記基板に、活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を接触させ、該基板表面に結合させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成工程と、上記基材に結合されない上記分子を、ケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤で除去する除去工程と、を含むことを特徴とする。
【0053】
上記の方法によれば、膜厚が均一で配向能に優れた液晶配向膜を備えた液晶表示装置を製造することができる。即ち、塩素系洗浄剤の代替洗浄剤として上記洗浄剤を使用することにより、環境に対する負荷を抑制しつつ、表示品位に優れた液晶表示装置の製造が可能となる。
【0054】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態について、図1ないし図8に基づいて説明すれば以下の通りである。但し、説明に不要な部分は省略し、又、説明を容易にする為に拡大或いは縮小等して図示した部分がある。以上のことは以下の図面に対しても同様である。
【0055】
本発明に係る有機薄膜の製造方法は、活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を基材に接触させることにより該基材表面に固定させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成工程と、上記基材に固定しない上記分子を、ケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤で除去する除去工程とを含む点に特徴がある。
【0056】
ここで、上記分子は、下記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有する分子とすることができる。
【化15】
Figure 0003597100
(式中、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種の原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシアネート基から選ばれる1種の官能基を表している。)
【0057】
又、上記ハロゲンとは、F、Cl、Br又はI等が挙げられるが、基材との反応性の観点からClが好ましい。
【0058】
上記一般式(1)で表される官能基を有する分子としては、以下に列挙する官能基が該一般式(1)で表される官能基と連結して構成される。
【0059】
(a)メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、フェニル基等の炭化水素基。
【0060】
(b)上記(a)の炭化水素基の一部に炭素−炭素二重結合若しくは炭素−炭素三重結合を含む炭化水素基。
【0061】
(c)上記(a)及び(b)の炭化水素基に於ける水素が他の官能基(例えば、メチル基、ハロゲン化メチル基、水酸基、シアノ基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、エステル基、チオール基、アルデヒド基等)及び/又は原子(例えば、F、Cl、Br、I等)に置換された官能基。
【0062】
(d)上記(a)及び(b)の炭化水素基に於けるC−C結合の一部がC−O−C(エーテル)結合、C−CO−C−(カルボニル)結合又はC=N結合に置換された官能基。
尚、本発明に於いて、上記一般式(1)で表される官能基と連結する官能基としては、上記したものに限定されることはない。
【0063】
以下に、本発明に係る有機薄膜の製造方法について、図1を参照しながら詳述する。先ず、非水系有機溶媒に前記一般式(1)で表される官能基を有する分子(以下、単に吸着分子又は分子と称することもある。)群が溶解した吸着溶液を作製する(吸着溶液作製工程、S1)。この吸着溶液の作製に際しては、相対湿度が35%以下の範囲内になるような乾燥雰囲気、例えば乾燥空気、乾燥窒素又は乾燥ヘリウム中で行われるのが好ましい。
【0064】
次に、上記吸着溶液作製工程にて作製した吸着溶液を、予めよく洗浄することにより脱脂した基材1に接触させると(被膜形成工程、S2)、前記一般式(1)で表される官能基を有する分子群が該基材1表面に化学吸着して固定される(図4参照)。より詳細には、前記一般式(1)で表される官能基を有する分子と、上記基材表面に存在する活性水素を有する官能基との間で縮合反応が起こる。例えば、吸着分子が−AX基を有する分子であり、活性水素を有する官能基がヒドロキシル基である場合、下記化学反応式(2)に示す反応が起こる。
【化16】
Figure 0003597100
(式中、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及びジルコニウムから選ばれる1種の原子を表しており、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシアネート基から選ばれる1種の官能基を表している。)
この縮合反応の結果、HXが脱離して前記一般式(1)で表される官能基を有する分子群が基材1表面に吸着する。尚、上記脱脂は、吸着溶液の基材1表面に対する付着性能を向上させる為に行うものであり、その他にも従来公知の方法にて表面処理を行ってもよい。
【0065】
ここで、上記被膜形成工程を通常の湿度の雰囲気中(即ち、大気中)で行うと、図5(a)に示すような薄膜3が基材1表面に形成される。より詳細には、基材1表面に吸着した吸着分子と、該基材1に吸着しない未吸着分子とが結合し、更にこの未吸着分子に他の未吸着分子が結合する等して鎖が形成され、ポリマーライクな構造となっている。そして、この鎖が基材1の表面から上方に(大気中に)向かって長く延びる程屈曲し、他の屈曲した鎖と3次元的に絡み合った状態で上記薄膜3が形成されている。このような膜構造を有する薄膜3が形成されるのは、以下に述べる理由による。即ち、基材1表面に吸着しない未吸着分子は雰囲気中の水分と反応し、HX分子が脱離される。この結果、該未吸着分子にはOH基が導入される。そして、このOH基が他の未吸着分子に於ける上記一般式(1)で表される官能基(吸着部位)と反応する等して架橋結合する。よって、上記したような構造の薄膜が形成される。ここで、同図に示す薄膜は膜厚としては、吸着分子からなる単分子膜が3層に積層した程度の厚みがあり、この場合には本明細書では便宜的に3分子層と呼ぶ。一方、乾燥雰囲気中(例えば、相対湿度35%以下)で行うと、図5(b)に示すように、基材1表面には、単分子膜2が形成され、更にこの単分子膜2表面に未吸着分子4が付着した構造の薄膜が形成される。これは、乾燥雰囲気中である為、未吸着分子4に於ける吸着部位が水分と反応せず、前記一般式(1)で表される官能基を有した状態で付着していることによる。
【0066】
尚、前記一般式(1)で表される官能基を有する分子を基材1表面に接触させる方法としては特に限定されるものではなく、例えば予め作製しておいた吸着溶液に基材1を浸漬させる方法や、該吸着溶液を基材1に塗布する方法等が挙げられる。
【0067】
又、上記基材1表面に存在する活性水素を有する官能基としては、上記ヒドロキシル基の他に、例えばカルボキシル基、スルフィン酸基、スルフォン酸基、リン酸基、亜リン酸基、チオール基、アミノ基等が挙げられる。更に、上記官能基の活性水素が、それぞれアルカリ金属又はアルカリ土類金属で置換された官能基であってもよい。又、上記基材1表面に活性水素を有する官能基が存在しないか、或いはそれが少ない場合には、UV/オゾン処理、酸素プラズマ処理、過マンガン酸カリウム溶液等の化合物酸化剤処理を行うことにより、該基材1表面を改質して上記官能基を導入し、或いはその数を増やすことが好ましい。
【0068】
続いて、少なくともケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤にて除去工程を行う(S3)。この工程にて洗浄する主な対象は、上記一般式(1)で表される官能基を有する分子のうち、基材1表面に化学結合により固定せずに残存している未吸着分子群である。より詳細には、図5(a)に於いては、基材1ではなく、この基材1上に形成された網目状分子層3に於ける構成分子としての吸着分子に結合した未吸着分子が洗浄の対象となる。又、図5(b)に於いては、単分子膜2表面に付着した未吸着分子4からなる累積膜5が洗浄の対象となる。これらの未吸着分子群を上記洗浄剤にて溶解させて除去することにより、均一な膜厚を有する単分子膜状の有機薄膜を形成することができる。
【0069】
上記洗浄剤に含まれる洗浄成分としてのケトン類は、上記一般式(1)で表される官能基を有する分子に対する溶解能に優れている。上記ケトン類としては、具体的には、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン等が挙げられる。
【0070】
又、上記洗浄剤に含まれる洗浄成分としてのアルキレングリコール類としては、具体的には、例えばエチレングリコール類、プロピレングリコール類、ブチレングリコール類等が挙げられ、これらのうちエチレングリコール類が最適である。上記エチレングリコール類は、臭いが少なく無色であり、多くの各種有機溶剤、水及び界面活性剤等と容易に混和する特徴を有しているからである。従って、洗浄剤設計には都合がよい。上記エチレングリコール類としては、具体的には、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等が好適に使用できる。
【0071】
更に、上記アルキレングリコール類としては、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリブチレングリコール類等のポリマーであってもよい。上記ポリエチレングリコール類としては、具体的には、例えばポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ポリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ポリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノフェニルエーテル等が好適に使用できる。
【0072】
上記アルキレングリコール類がポリマーの場合、その分子量としては、2,000以下程度であることが好ましく、100〜300の範囲内であることがより好ましい。分子量が2,000より大きい場合、粘性が大きくなり過ぎて取り扱い性が低下する。但し、分子量が約300以上のポリマーを使用する場合、水や、アルコール等に溶解させて溶液として用いる方が洗浄剤としては最適である。例えば、ポリマーとしてポリエチレングリコールを使用し、これを水に溶解させる場合には、ポリエチレングリコールの濃度としては10〜50wt%程度であることが好ましく、一方アルコールに溶解させる場合には10〜50wt%程度であることが好ましい。
【0073】
一方、上記アルコキシアルコール類としては、特に限定されるものではなく、具体的には、例えばメトキシアルコール、エトキシエタノール等が挙げられる。
【0074】
ここで、本発明に係る洗浄剤は、上記ケトン類、アルキレングリコール類又はアルコキシアルコール類の何れか一種を単独で用いた非水系の洗浄剤であってもよい。
【0075】
尚、上記除去工程は乾燥雰囲気中(相対湿度35%以下)で行ってもよい。例えば、図5(a)に示すような単分子膜2上に累積膜5が形成された被膜を洗浄する場合、乾燥雰囲気中である為、雰囲気中の水分と未吸着分子4に於ける上記一般式(1)で表される官能基との間で、HX分子の脱離反応が生じる等して架橋することを防ぐ。従って、洗浄剤の洗浄作用により累積膜5を除去することができ、単分子膜状の有機薄膜を形成することができる。又、上記除去工程を乾燥雰囲気中で行う場合、洗浄剤も含水率の低いものを使用するのが好ましい。具体的には、含水率が1.0%未満であれば実用上問題のない場合が多いが、好ましくは0.1%未満程度であればよく、より好ましくは、0.01%未満程度がよい。含水率が上記数値範囲を越えると、未吸着分子や吸着分子に於けるAX基が洗浄剤に含まれる水と反応して架橋構造を形成するので、この場合にも単分子膜を形成することができない。
【0076】
上記除去工程にて行う具体的な洗浄方法としては、例えば洗浄剤が満たされた洗浄槽に基材1を静かに浸漬させる方法の他に、該洗浄剤中に基材1を浸漬させた状態で超音波を照射する等機械力を付与する方法や、該洗浄剤自体の洗浄力を向上させる為に洗浄剤を加熱する方法等が挙げられる。尚、超音波等の応力が基材1にかかる場合には、応力が基材1に悪影響を与えない様にする必要がある。
【0077】
又、上記除去工程に於ける洗浄条件としては特に限定されるものではなく、未吸着分子の被洗浄物に対する付着の程度、被洗浄物の材質、形状、後工程への影響等を考慮して、適宜必要に応じて設定すればよい。更に、洗浄剤の濃度や洗浄時間、洗浄回数等を変えることにより、例えば単分子膜状の有機薄膜だけでなく2分子層に相当する膜厚を有する有機薄膜を形成することができる等、膜厚の制御が可能となる。つまり、未吸着分子の残存の程度を制御することにより、膜厚を制御する。例えば、所定濃度の洗浄剤が入っている洗浄槽を3槽程度設け、各洗浄槽にて所定時間洗浄する等して洗浄の程度を高めることにより、未吸着分子が殆ど取り除かれ、単分子膜状の有機薄膜を得ることができる。その一方、洗浄槽を1槽程度にして上記所定時間よりも短い時間洗浄する等軽く洗浄するに留めた場合には、多くの未吸着分子が残存している。このような状態で大気中に曝すと、該未吸着分子が大気中の水分と反応して固定され、例えば、2分子層など数分子層に相当する膜厚の有機薄膜が形成される。
【0078】
更に、単分子膜状に形成された有機薄膜の膜厚を制御する為には、基材1に吸着させる吸着分子の分子設計を変更することにより、精度良く制御することも可能である。
【0079】
次に、上記除去工程後、洗浄剤を除去する洗浄剤除去工程を行ってもよい(S4)。この洗浄剤除去工程は、主に洗浄剤をリンス剤で洗い流す第1洗浄剤除去方法と、洗浄剤を乾燥して蒸発させる第2洗浄剤除去方法とに分けられる。そして、第1洗浄剤除去方法は、洗浄剤にケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種が含まれる場合に採用できる。その一方、第2洗浄剤除去方法は、洗浄剤にケトン類が含まれる場合に主に採用できる。
【0080】
上記第1洗浄剤除去方法は、洗浄剤をリンス剤にてリンスするリンス工程(S5)と、このリンス剤を蒸発させることにより除去するリンス剤乾燥工程(S6)とからなる(図2参照)。この第1洗浄剤除去方法はAX基の残存している分子群が基材1表面に吸着している場合、或いは安全上等の観点から洗浄剤として比較的沸点の高い溶剤を使用する場合に行うのが好ましい。前者の場合、残留した洗浄剤を除去すると共に、未反応のAX基と水との間でHXの脱離反応を起こさせ、吸着分子にOH基を導入することを目的としてリンス工程は行われる(図6(a)参照)。従って、リンス剤としては水を使用するのが好ましい。更に、リンス剤乾燥工程(S6)を行うことにより、OH基同士が脱水反応して図6(b)に示す架橋構造を有する有機薄膜を形成することができる。一方、後者の場合、被洗浄物に付着している高沸点溶剤(洗浄剤)は常温にて乾燥蒸発が困難な為、この高沸点溶剤を低沸点のリンス剤に置換させることを主目的としている。この場合に使用する低沸点のリンス剤としては、アセトンやアルコール等を用いることができる。尚、上記リンス工程は上記除去工程と同様に、超音波等の機械力を与えるとリンス効果を向上させることができる。
【0081】
又、上記第2洗浄剤除去方法は、洗浄剤を蒸発させることにより除去する洗浄剤乾燥工程(S7)と、基材1を水分に接触させる接触工程(S8)と、水分を乾燥させる乾燥工程(S9)とからなる(図3参照)。この第2洗浄剤除去方法は、例えばアセトンやメチルエチルケトンなど常温に於いて蒸発するような低沸点の洗浄剤を使用する場合に行うのが好ましい。上記接触工程は、基材1表面に吸着している分子群に残存しているAX基と水分とを反応させて、吸着分子にOH基を導入する為に行われる。従って、水分と接触させる方法としては、例えば空気中に放置して該空気中の水分と反応させたり、直接水と反応させる方法が採用される。この後、乾燥工程(S9)を行うことにより、OH基同士が脱水反応して架橋構造を有する有機薄膜を形成することができる。
【0082】
又、以上に説明した洗浄剤除去方法の他に、基材1に吸着した吸着分子にはAX基が存在せず、かつ常温に於いて蒸発するような低沸点の洗浄剤を使用している場合には、除去工程の後単に洗浄剤を乾燥させるだけでよい。
【0083】
尚、前記基材1としては、ガラス、金属、金属酸化物、セラミックス、プラスチック、木材、石材、繊維、紙及び高分子樹脂等からなる群より選ばれる何れか1種の材料からなるものを適用できる。又、基材1表面は、塗料等で塗装されていても構わない。これらの材料からなる基材はその表面に活性水素を有する官能基が存在するという点で類似の物性を有する。尚、基材1の材料として特にプラスチック等を用いる場合は、プラスチックの種類によっては基材1を変質させたり、溶解等による損傷を与えたりする場合が考えられる。従って、予め洗浄剤がプラスチックからなる基材1に上記のような作用を与えないことを確認したうえで使用する必要がある。
【0084】
以下に、本発明が適用可能な用途について具体例を列挙するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0085】
(a)刃物の例:包丁、鋏、ナイフ、カッター、彫刻刀、剃刀、バリカン、鋸、カンナ、ノミ、錐、千枚通し、バイト、ドリルの刃、ミキサーの刃、ジューサーの刃、製粉機の刃、芝刈り機の刃、パンチ、押し切り、ホッチキスの刃、缶切りの刃又は手術用メス等。
【0086】
(b)針の例:鍼術用の針、縫い針、ミシン針、フトン針、畳針、注射針、手術用針、安全ピン、押しピン等。
【0087】
(c)窯業製品の例:陶磁器製、ガラス製、セラミックス製又はほうろうを含む製品等。例えば、衛生陶器(例えば、便器、洗面器、浴槽等)、食器(例えば、茶碗、皿、どんぶり、湯呑み、コップ、瓶、コーヒー沸かし容器、鍋、すり鉢、カップ等)、花器(例えば、水盤、植木鉢、一輪差し等)、水槽(例えば、養殖用水槽、鑑賞用水槽等)、化学実験器具(例えば、ビーカー、反応容器、試験管、フラスコ、シャーレ、冷却管、撹拌棒、スターラー、乳鉢、バット、注射器等)、瓦、タイル、ほうろう製食器、ほうろう製洗面器、ほうろう製鍋等。
【0088】
(d)鏡の例:手鏡、化粧用コンパクト付属鏡、姿見、浴室用鏡、洗面所用鏡、自動車用鏡(例えば、バックミラー、サイドミラー等)、交通用鏡(例えば、カーブミラー、反射鏡等)、ハーフミラー、ショーウィンドー用鏡、デパートの商品売り場の鏡等。
【0089】
(e)成形用部材の例:プレス成型用金型、鋳型成形用金型、射出成型用金型、トランスファー成型用金型、真空成型用金型、吹き込み成型用金型、押し出し成型用ダイ、インフレーション成型用口金、繊維紡糸用口金、カレンダー加工用ロール等。
【0090】
(f)装飾品の例:時計、宝石、真珠、サファイア、ルビー、エメラルド、ガーネット、キャッツアイ、ダイアモンド、トパーズ、ブラッドストーン、アクアマリン、サードニックス、トルコ石、翡翠、大理石、アメジスト、カメオ、オパール、水晶、ガラス、指輪、腕輪、ネックレス、アンクレット、ブローチ、タイピン、イヤリング、ピアス、貴金属装飾製品、白金、金、銀、銅、アルミ、チタン、錫あるいはそれらの合金やステンレス製、メガネフレーム等。
【0091】
(g)食品成形用型の例:ケーキ焼成用型、クッキー焼成用型、パン焼成用型、チョコレート焼成用型、ゼリー成形用型、アイスクリーム成形用型、オーブン皿、製氷皿等。
【0092】
(h)調理器具の例:鍋、釜、やかん、ポット、ボール、フライパン、ホットプレート、焼き物調理用網、油切り、タコ焼きプレート、パン焼き機用釜、餅つき機用釜、炊飯器釜、お玉杓子、泡たて器等。
【0093】
(i)紙の例:グラビア紙、撥水撥油紙、ポスター紙、高級パンフレット紙等。
【0094】
(j)樹脂の例:ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、アラミド、ポリスチレン、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、フェノール樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ケイ素樹脂、ABS樹脂、メタクリル酸樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、アクリル酸樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンオキサイド等。
【0095】
(k)家庭電化製品の例:テレビジョン、ラジオ、テープレコーダー、オーディオ、パーソナルコンピュータ、コンパクトディスク(CD)、ミニディスク(MD)、デジタルビデオディスク(DVD)、冷凍関係機器の冷蔵庫、冷凍庫、エアーコンディショナー、ジューサー、ミキサー、ミルサー、洗濯機、掃除機、照明器具、乾燥機、食器洗い機、ひげ剃り機、アンテナ、扇風機の羽、文字盤、パーマ用ドライヤー等。
【0096】
(l)スポーツ用品の例:スキー板、スノーボード板、スケートボード板、釣り竿、釣り糸、漁網、釣り浮き、棒高跳び用ポール、ボール、ヨット、ジェットスキー、サーフボード、ゴルフボール、ボーリングのボール等。
【0097】
(m)乗り物部品に適用する例:
(1)ABS樹脂:ランプカバー、インストルメントパネル、内装部品、オートバイのプロテクター
(2)セルロースプラスチック:自動車のマーク、ハンドル
(3)FRP(繊維強化樹脂):外板バンパー、エンジンカバー
(4)フェノール樹脂:ブレーキ
(5)ポリアセタール:ワイパーギア、ガスバルブ、キャブレター部品
(6)ポリアミド:ラジエーターファン
(7)ポリアクリレート:方向指示レンズ、計器板レンズ、リレーハウジング
(8)ポリブチレンテレフタレート:リヤエンド、フロントフェンダー
(9)ポリアミノビスマレイミド:エンジン部品、ギヤボックス、ホイール、サスペンションドライブシステム
(10)メタクリル樹脂:ランプカバーレンズ、計器板、計器板カバー、センターマーク
(11)ポリプロピレン:バンパー
(12)ポリフェニレンオキサイド:ラジエーターグリル、ホイールキャップ(13)ポリウレタン:バンパー、フェンダー、インストルメントパネル、ファン
(14)不飽和ポリエステル樹脂:ボディー、燃料タンク、ヒーターハウジング、計器板等。
【0098】
(n)事務用品の例:万年筆、ボールペン、シャープペンシル、筆入れ、バインダー、机、椅子、本棚、ラック、レターケース、電話台、物差し、製図用具等。
【0099】
(o)建材の例:屋根材、外壁材、内装材。屋根材として、窯瓦、スレート瓦、トタン(亜鉛メッキ鉄板)等。外壁材としては、木材(加工木材を含む)、モルタル、コンクリート、窯業系サイジング、金属系サイジング、レンガ、石材、プラスチック材料、アルミ等の金属材料等。内装材としては、木材(加工木材を含む)、アルミ等の金属材料、プラスチック材料、紙、繊維等。
【0100】
(p)石材の例:カコウ岩、大理石、御影石等。例えば、建築物、建築材、芸術品、置物、風呂、墓石、記念碑、門柱、石垣、敷石等。
【0101】
(q)楽器及び音響機器の例:打楽器、弦楽器、鍵盤楽器、管楽器等の楽器、及びマイクロフォン、スピーカー等の音響機器等。例えば、ドラム、シンバル、パーカッション、バイオリン、チェロ、ギター、琴、ピアノ、オルガン、アコーディオン、ハーモニカ、フルート、尺八、ホルン等。
【0102】
(r)その他、魔法瓶、真空系機器、電力送電用碍子又はスパークプラグ等の撥水撥油防汚効果の高い高耐電圧性絶縁碍子等。
【0103】
尚、本願発明者等は日本国特許第2,598,867号に於いて、膜密度を向上させた化学吸着膜及びその製造方法について開示している。この公報にて開示されている化学吸着膜の製造方法は、吸着反応と、未反応吸着分子を除去する為の洗浄とを交互に繰り返すことにより化学吸着剤を基体及び化学吸着膜に固定させ、膜密度の高い化学吸着膜を形成するというものである。又、洗浄には非水系溶液を用いているが、形成される化学吸着膜は以下に述べる点で本願発明の有機薄膜と膜構造が異なる。
【0104】
即ち、上記方法にて形成される化学吸着膜は、基材表面の活性水素を有する官能基が存在しない部分でも、基材に最初に吸着した化学吸着幹分子に化学吸着グラフト分子を結合させる為、化学吸着膜の構成分子間距離が短くなり膜密度の高い構造となっている。しかも、化学吸着グラフト分子には、化学吸着幹分子等との結合に用いられなかった水酸基が結合したままであり、よって化学吸着膜の膜中には多数の水酸基が取り残されている。
【0105】
一方、本願発明の有機薄膜は、ほとんどの膜形成分子が基材表面に吸着しているので、膜密度は上記化学吸着膜と比較して低い。又、製造プロセスに於いて乾燥工程を行い、膜中に存在する水酸基同士を脱水反応させて架橋結合させているので、上記化学吸着膜と比較して水酸基の存在確率は低い。
【0106】
以上のことから本願発明は、上記公報に記載されている化学吸着膜とは本質的に膜構造の異なる有機薄膜に関して、製造プロセスを確立したものである。
【0107】
又、本発明に係る有機薄膜の製造装置は、被膜形成手段と、除去手段とを備えて構成されている(図7参照)。更に、被膜形成手段と除去手段との間には、例えば従来公知の搬送装置等からなる基材の受け渡し手段52を設けることも可能である。
【0108】
上記被膜形成手段は、吸着溶液を基材上に塗布する等して、該吸着溶液に含まれている吸着分子群を基材上に吸着固定させて被膜を形成する機能を有している。該被膜形成手段としては、具体的には、例えばスピン式又はローラ式等の塗布装置等が挙げられる。
【0109】
上記除去手段は、ケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤にて被洗浄物を洗浄する機能を有する。ここで、洗浄の対象となるのは、基材上に付着して残存している未吸着の吸着分子(未固定分子)である。
【0110】
又、上記被膜形成手段と除去手段とは同一の密閉系に含み構成されていてもよく、或いは個々に独立して設けられていてもよい。
【0111】
上記構成の様に、被膜形成手段と除去手段とを同一の密閉系とすると、外気と遮断することができる。この結果、例えば乾燥雰囲気中で被膜形成工程及び除去工程を行うことが可能となる(図7(a))。ここで、被膜形成手段と除去手段とを同一の密閉系に含み構成されるとは、例えば被膜形成手段及び除去手段を内部に設置可能な外気遮蔽手段51が有機薄膜の製造装置に具備されている場合等を意味する。上記外気遮蔽手段51としては、その内部から外気を遮蔽できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば温度や湿度等の制御が可能なチャンバーや処理室等が例示できる。尚、上記外気遮蔽手段51としては、常温常圧に於いて湿度の制御は勿論、内部の対流の制御も可能な対流制御手段を設けることもできる。これにより、内部の湿度や対流状態を制御することができ、作業の安全性が確保できる。安全性の確保が必要なのは、上記ケトン類、アルキレングリコール類又はアルコキシアルコール類のうち分子量の小さい化合物の使用に際しては、これらを含有した洗浄剤は引火性を有する為注意を要するからである。
【0112】
又、被膜形成手段と除去手段とは、上記した様に、相互に分離・独立した処理単位として構成することもできる(図7(b))。又、被膜形成工程及び除去工程を乾燥雰囲気中で行いたい場合には、外気との隔離と湿度等の制御とができる様に、各処理単位毎に外気遮蔽手段が設けられている構成であってもよい。
【0113】
尚、上記除去手段は、バッチ処理式でもよく、或いは流れ処理式でもよい。
バッチ処理式としては、被洗浄物としての基材を浸漬する浸漬法等が挙げられる。この浸漬法は、具体的には図8(a)に示すように、上記洗浄剤32を洗浄槽31に満たすと共に、基材34…をカセット33に載置し、このカセット33を洗浄槽31に所定時間浸漬して洗浄するものである。
【0114】
流れ処理式としては、例えば図8(b)に示す様に、基材34…を搬送する搬送部41と、洗浄剤を噴射する複数の噴射装置42…とからなる洗浄装置が挙げられる。更に、上記噴射装置42は、門形アーチ状の本体部43と、洗浄剤を霧状に又は液滴状に噴射するノズル43…とが設けられて構成されている。又、ノズル43は、洗浄剤の噴射方向が直下方向と同様の方向となる様に設けられている。その一方、搬送部41は門形アーチ状の本体部43の内側となる様に設置されている。上記構成の洗浄装置に於いては、搬送部41上に載置された基材34…は矢印Aで示す方向に搬送されると共に、ノズル44…から洗浄剤が噴射されることにより洗浄される。ここで、上記したパッチ処理式及び流れ処理式はあくまでも例示であって上記の手段に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものも本発明の技術的範囲に包含される。
【0115】
又、本発明に係る有機薄膜の製造装置は、必要に応じて、基材に付着した洗浄剤を除去する為の洗浄剤除去工程を行うべく、洗浄剤除去手段を設けることも可能である(図7(a)及び図7(b))。更に、上記洗浄剤除去手段としては、図7(c)に示すように、リンス手段と乾燥手段とを有する構成であってもよい。上記リンス手段としては、特に限定されるものではなく、従来公知の種々のリンス装置を用いることができる。又、上記乾燥手段としては、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の乾燥装置を用いることができる。中でも上記乾燥手段としては、常温風又は温風によるブローが好適に採用できる。
【0116】
又、基材として紙や繊維等からなるものを使用し、これに有機薄膜を形成する場合には、適宜必要に応じて洗浄剤の種類や洗浄方法等を選択する必要がある。
【0117】
(実施の形態2)
また、本発明の有機薄膜を液晶配向膜として液晶表示装置に適用する場合には、該有機薄膜は以下の方法で製造することができる。
【0118】
先ず、上記したのと同様の手順にて、例えばITO(インジウム錫酸化物)からなる電極等が形成された基板を、上記吸着溶液に接触させて吸着分子を吸着させる(S2、図1参照)。吸着分子がITO表面に吸着できるのは、該ITO表面にはOH基が存在しており、かつ吸着分子はOH基等の活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を具備するからである。これにより、耐剥離性等に優れた薄膜の形成が可能となる。
【0119】
又、ITO表面にOH基等が少ない場合には、エキシマUV処理、プラズマ処理等の処理を施すことにより、ITO表面を改質してOH基等を増やしたり、或いは他の物質層(例えば、蒸着したSiO層等)を基板上に形成し、この物質層を介して液晶配向膜を形成するのが好ましい。
【0120】
続いて、S3に於いて基板表面に残存する未吸着分子を洗浄・除去する。これにより、残存する未吸着分子(御子低分子)が除去され、膜厚の均一な薄膜形成が可能になる。よって、残存する未吸着分子に起因して生じる液晶の配列状態の乱れ、即ち配向欠陥を抑制することができる。又、従来の例えばクロロホルム等の洗浄剤による洗浄を行った場合には、この洗浄に起因して吸着分子の吸着状態の乱れが発生する問題が生じていた。しかし、上記除去工程に於いては、ケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤にて洗浄するので、吸着分子の吸着状態の乱れが発生し難く、吸着分子群が均一に配列し整った膜構造することができる。
【0121】
次いで、上述の有機薄膜の製造方法に於ける場合と同様に、S4に於いて洗浄剤の除去等を行い、これにより本発明に係る液晶配向膜を製膜することができる。尚、更に必要に応じて液晶配向膜に、ラビング処理等の配向処理を施してもよい。
【0122】
以上のことから、本発明に係る液晶配向膜の製造方法は、塩素系洗浄剤を使用せずに一様な膜厚を有する液晶配向膜を、環境に対する負荷を抑制しつつ形成することができる。
【0123】
上記の様にして得られた液晶配向膜は、例えば図9に示す態様の如く液晶表示装置に適用することができる。即ち、本発明に係る液晶表示装置は、第1基板61と、これと対をなす第2基板62と、第1基板61及び第2基板62の間に介在する液晶層63とを有する構成とすることができる。第1基板61の内側面には、TFT(薄膜トランジスタ)群64…及び第1電極65が形成され、該第1電極65上には液晶配向膜66が形成されている。上記第2基板62の内側面には、カラーフィルター67が形成され、更に第2基板62及びカラーフィルター67上には第2電極68が設けられている。該第2電極68上には、液晶配向膜69が形成されている。又、上記第1基板61及び第2基板62は、シール材70により接着貼り合わせされ、液晶をパネル内に封止保持されている。上記第1基板61の外側には偏光板71が設けられ、第2基板62の外側には偏光板72が設けられている。
【0124】
上記第1基板61及び第2基板62は、例えばガラス等からなる透明基板である。又、上記第1電極65及び第2電極68は、例えばITOからなる透明導電膜である。上記液晶層63は、例えばネマティック液晶を含み構成されている。上記カラーフィルター67は、R(赤)・G(緑)・B(青)の各ドットを含み構成されている。
【0125】
以上の様な構成の液晶表示装置であると、液晶の配向欠陥等が視認されず表示品位に優れたものとすることができる。これは、上述の様に、液晶配向膜の膜厚が均一であり、かつ吸着分子群も均一に整って吸着した膜構造である結果、優れた配向能を発揮し、配列状態を乱すことなく液晶分子を配向させることができるからである。
【0126】
又、上記構成の液晶表示装置は、液晶配向膜66・69を上述の方法にて製膜する以外は、従来公知の方法を採用することにより作製することができる。
【0127】
尚、本発明に係る液晶配向膜の製造装置は、上述した有機薄膜の製造装置と同様の構成とすることができる。よって、その詳細な説明は省略する。
【0128】
【実施例】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。ここで、この実施例に記載されている構成要素の材質、製造条件等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0129】
[第1実施例]
(実施例1−1)
先ず、ヘキサデカンにn−オクタデシルトリクロロシランを約1重量%となるように溶解させ、吸着溶液Aを調製した。
【0130】
次に、十分に脱脂洗浄を施したガラス基板11(2cm×5cm、厚み1.1mm)を、吸着溶液Aに1時間浸漬させた。これにより、ガラス基板11表面に存在するヒドロキシル基と、トリクロロシリル基とが、下記化学反応式に示す脱塩酸反応を起こし、シロキサン結合を介して該ガラス基板11上に化学吸着した。
【化17】
Figure 0003597100
【0131】
続いて、相対湿度35%程度の空気中で、洗浄剤としてのアセトンを十分な量(50ml〜100ml)となるように洗浄槽に入れ、約45℃で加熱した。この洗浄槽の中でガラス基板11を十分に洗浄した。更に、ガラス基板11表面に付着したポリエチレングリコールを洗い流す為に、充分に水洗を行った。これにより、洗浄剤を洗い流すと共に、ガラス基板11上に化学吸着した分子に於ける未反応のCl基がOH基に置換される。続いて、ガラス基板11を乾燥させた。これにより、OH基同士が脱水反応を起こして架橋し、図10に示す単分子膜12がガラス基板11上に形成された。
【0132】
ここで、フーリエ変換赤外分光法(以下、FT−IRと略す。)にて単分子膜12を測定すると、図11に示すように、2930〜2840cm−1(帰属:CH及び−CH−)、1470cm−1(帰属:−CH−)、1080cm−1(帰属:−Si−O−)に特徴的なシグナルが得られた。これにより、図10に示す単分子膜12が形成されていることが確認された。
【0133】
尚、本実施例に於ける除去工程は、相対湿度5%以下のドライエアー中又は窒素中で行う方が良いが、相対湿度35%以下の空気中であれば、良好な結果が得られた。
【0134】
(比較例1−1)
本比較例1−1に於いては、洗浄剤としてクロロホルムを用いた他は、前記実施例1−1と同様の工程を行うことによりガラス基板11上に単分子膜12を成膜した。この単分子膜12についてFT−IR測定を行ったところ、図12に示されるように、前記図11に示す吸収スペクトルとほぼ同じ吸収位置にほぼ同じ吸収強度のシグナルを得られた。
【0135】
更に、実施例1−1と比較例1−1とについて詳細に比較検討した結果、両者には膜構造に於いて以下に述べる相違点が見出された。即ち、図11及び図12に示す吸収スペクトルに於いて、2920cm−1のCHに逆対称伸縮振動に由来する吸収と、2860cm−1のCHに対称伸縮振動に由来する吸収とを比較すると、その吸収比は、実施例1−1に係る図11に於いては2.2:1であり、比較例1−1に係る図12に於いては2.0:1であった。このことは、実施例1−1に係る単分子膜が、比較例1−1に係る単分子膜よりも均一で整った膜構造であることを示している。なぜならば、FT−IR測定方法に於いては、CHの吸収比が1:1に近づく程、膜形成分子(吸着分子)の吸着状態が乱れた状態にあると判断され得るからである(T.Ohtake et al.,Langmuir,2081,8,1992)。
【0136】
(実施例1−2)
本実施例1−2に於いては、洗浄剤としてメチルエチルケトン(50ml〜100ml)を用いた他は、前記実施例1−1と同様の工程を行うことによりガラス基板11上に単分子膜12を成膜した。この単分子膜12についてFT−IR測定を行ったところ、前記図11とほぼ同じ位置にほぼ同じ吸収強度のシグナルを得られた。
【0137】
(実施例1−3)
先ず、シロキサン系溶媒(商品名:KF96L、信越化学(株)製)/トルエン(=10/1)に下記化学式(4)で表される化合物を約1重量%となるように溶解させて、吸着溶液Bを調製した。
【化18】
Figure 0003597100
【0138】
次に、十分に脱脂洗浄を施したガラス基板11を窒素雰囲気中で、吸着溶液Bに1時間浸漬させた。これにより、上記化学式(4)で表される分子が、下記化学式(5)に示すように、ガラス基板11上に化学吸着した。
【化19】
Figure 0003597100
【0139】
次に、湿度35%の空気中、洗浄剤としてのアセトンを十分な量(50ml〜100ml)となるように洗浄槽に入れ、この洗浄槽の中でガラス基板11を十分に洗浄した。更に、ガラス基板11表面に付着したアセトンを洗い流す為に、充分に水洗を行った。これにより、洗浄剤を洗い流すと共に、ガラス基板11上に化学吸着した分子に於ける未反応のCl基がOH基に置換される。続いて、ガラス基板11を乾燥させた。これにより、OH基同士が脱水反応を起こして架橋し、図13に示す単分子膜13がガラス基板11上に形成された。
【0140】
ここで、FT−IRにて測定すると、図14に示すように、2920〜2840cm−1(帰属:−CH−)、1650cm−1(帰属:C=O)、1600cm−1(帰属:ベンゼン骨格)、1345cm−1(帰属:ベンゼン骨格)、1080cm−1(帰属:−Si−O−)に特徴的なシグナルが得られた。これにより、膜形成の確認がされた。
【0141】
(比較例1−2)
本比較例1−2に於いては、洗浄剤としてクロロホルムを用いた他は、前記実施例1−3と同様の工程を行うことによりガラス基板11上に単分子膜13を成膜した。この単分子膜13についてFT−IR測定を行ったところ、図15に示されるように、前記図14とほぼ同じ位置にほぼ同じ吸収強度のシグナルを得られた。
【0142】
更に、実施例1−3と比較例1−2とについて詳細に比較検討した結果、両者には膜構造に於いて以下に述べる相違点が見出された。即ち、図14及び図15に示す吸収スペクトルに於いて、2920cm−1のCHに逆対称伸縮振動に由来する吸収と、2860cm−1のCHに対称伸縮振動に由来する吸収とを比較すると、その吸収比は、実施例1−3に係る図14に於いては2.1:1であり、比較例1−2に係る図15に於いては1.9:1であった。よって、実施例1−3に係る単分子膜が、比較例1−2に係る単分子膜よりも均一で整った膜構造であることが分かった。
【0143】
(比較例1−3)
本比較例1−3に於いては、洗浄剤として酢酸エチル又はギ酸エチルを用いた他は、前記実施例1−3と同様の工程を行うことによりガラス基板11上に単分子膜13を成膜した。この単分子膜13の形成後空気中にさらすと、ガラス基板11表面は一瞬にして白濁し、透明性を有する薄膜を成膜することは不可能であった。尚、上記酢酸エチル及びギ酸メチルは特開平6−45142号公報、特開平6−312477号公報、特開平6−187692号公報等に記載されている、カルボニル基を有するエステル類である。
【0144】
(比較例1−4)
本比較例1−4に於いては、洗浄剤としてトルエンを用いた他は、前記実施例1−3と同様の工程を行うことによりガラス基板11上に単分子膜13を成膜した。
【0145】
ガラス基板11上に成膜された単分子膜13について観察したところ、ごく薄く雲が懸かったように見えた。更に、この単分子膜13についてFT−IR測定を行ったところ、図16に示されるように、前記図14及び図15とは明らかに異なり、吸収強度の大きなシグナルが得られた。このことは、洗浄剤としてトルエンを用いた場合には、洗浄が不十分であることを示している。
【0146】
(比較例1−5)
本比較例1−5に於いては、洗浄剤としてDMF(ジメチルフォルムアミド)を用いた他は、前記実施例1−3と同様の工程を行うことによりガラス基板11上に単分子膜13を成膜した。
【0147】
この単分子膜13について観察したところ、無色透明に見えた。更に、この単分子膜13についてFT−IR測定を行ったところ、図17に示されるように、前記図14及び図15とは明らかに異なり、吸収強度の大きなシグナルが得られた。このことは、洗浄剤としてDMFを用いた場合には、洗浄が不十分であることを示している。
【0148】
(結果)
以上の結果から、有機薄膜を製造するに際して、その除去工程にてアセトン又はメチルエチルケトンを洗浄剤として用いれば、クロロホルムと同様の洗浄効果があることが確認された。更に、上記アセトンやメチルエチルケトンの他に、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はアセチルアセトン等を使用した場合にも、クロロホルムを使用した場合と同様の洗浄効果を奏することが確認された。一方、塩素系洗浄剤ではないトルエンやDMFを洗浄剤として使用した場合と比較して、洗浄作用に優れていることが確認された。よって、上記各実施例に係る洗浄剤は有機塩素系溶剤の代替洗浄剤として有用であることが判明した。
【0149】
[第2実施例]
(実施例2−1)
先ず、ヘキサデカンにn−オクタデシルトリクロロシランを約1重量%となるように溶解させ吸着溶液Aを調製した。
【0150】
次に、十分に脱脂洗浄を施したガラス基板21(20×7mm、厚み1.1mm)を、吸着溶液Aに1時間浸漬させた。これにより、ガラス基板21表面に存在するヒドロキシル基と、トリクロロシリル基とが、下記化学反応式に示す脱塩酸反応を起こし、シロキサン結合を介して該ガラス基板21上に化学吸着した。
【化20】
Figure 0003597100
【0151】
次に、相対湿度35%程度の空気中で、洗浄剤としてのポリエチレングリコール(平均分子量300)を50ml(ガラス基板21が十分に浸かり、振り払い洗浄が可能な程度の量)洗浄槽に入れ、約45℃で加熱した。この洗浄槽の中でガラス基板21を3回洗浄した。1回の洗浄に有する洗浄時間は1分間程度とした。更に、ガラス基板21表面に付着したポリエチレングリコールを洗い流す為に、水洗を行った。水洗は流水下で約5分間置くことにより行った。これにより、洗浄剤を洗い流すと共に、ガラス基板21上に化学吸着した分子に於ける未反応のCl基がOH基に置換される。続いて、ガラス基板21を乾燥させた。これにより、OH基同士が脱水反応を起こして架橋し、図18に示す単分子膜22がガラス基板21上に形成された。
【0152】
ここで、単分子膜22についてフーリエ変換赤外分光法(以下、FT−IRと略す。)にて測定すると、図19に示すように、2930〜2840cm−1(帰属:CH及び−CH−)、1470cm−1(帰属:−CH−)、1080cm−1(帰属:−Si−O−)に特徴的なシグナルが得られた。これにより、図18に示す単分子膜22が形成されていることが確認された。
【0153】
尚、本実施例に於ける除去工程は、相対湿度5%以下のドライエアー中又は窒素中で行う方が良いが、相対湿度35%以下の空気中であれば、良好な結果が得られた。
【0154】
(比較例2−1)
本比較例2−1に於いては、洗浄剤としてクロロホルムを用いた他は、前記実施例2−1と同様の工程を行うことによりガラス基板21上に単分子膜22を成膜した。この単分子膜22についてFT−IR測定を行ったところ、図20に示されるように、前記図19に示す吸収スペクトルとほぼ同じ吸収位置にほぼ同じ吸収強度のシグナルを得られた。
【0155】
更に、実施例2−1と比較例2−1とについて詳細に比較検討した結果、両者には膜構造に於いて以下に述べる相違点が見出された。即ち、図19及び図20に示す吸収スペクトルに於いて、2920cm−1のCHに逆対称伸縮振動に由来する吸収と、2860cm−1のCHに対称伸縮振動に由来する吸収とを比較すると、その吸収比は、実施例2−1に係る図19に於いては1.65:1であり、比較例2−1に係る図20に於いては1.58:1であった。よって、実施例2−1に係る単分子膜が、比較例2−1に係る単分子膜よりも均一で整った膜構造であることが分かった。
【0156】
(実施例2−2)
先ず、シロキサン系溶媒(商品名:KF96L、信越化学(株)製)/トルエン(=10/1)に下記化学式(4)で表される化合物を約1重量%となるように溶解させて、吸着溶液Bを調製した。
【化21】
Figure 0003597100
【0157】
次に、十分に脱脂洗浄を施したガラス基板21を窒素雰囲気中で、吸着溶液Bに1時間浸漬させた。これにより、上記化学式(4)で表される分子が、下記化学式(5)に示すように、ガラス基板21上に化学吸着した。
【化22】
Figure 0003597100
【0158】
次に、湿度50%の空気中、洗浄剤としてのグリコールエーテル(商品名:PK−LCG55、パーカーコーポレーション製)(平均分子量200)を十分な量となるように洗浄槽に入れ、約80℃で加熱した。この洗浄槽の中でガラス基板を十分に洗浄した。更に、ガラス基板21表面に付着したポリエチレングリコールを洗い流す為に、充分に水洗を行った。これにより、洗浄剤を洗い流すと共に、ガラス基板上に化学吸着した分子に於ける未反応のCl基がOH基に置換される。続いて、ガラス基板21を乾燥させた。これにより、OH基同士が脱水反応を起こして架橋し、図21に示す単分子膜23がガラス基板21上に形成された。
【0159】
ここで、単分子膜23についてFT−IR測定をすると、図22に示すように、2920〜2840cm−1(帰属:−CH−)、1650cm−1(帰属:C=O)、1600cm−1(帰属:ベンゼン骨格)、1345cm−1(帰属:ベンゼン骨格)、1080cm−1(帰属:−Si−O−)に特徴的なシグナルが得られた。これにより、膜形成の確認がされた。
【0160】
(比較例2−2)
本比較例2−2に於いては、洗浄剤としてクロロホルムを用いた他は、前記実施例2−2と同様の工程を行うことによりガラス基板21上に単分子膜23を成膜した。この単分子膜23についてFT−IR測定を行ったところ、図23に示されるように、前記図22に示す吸収スペクトルとほぼ同じ吸収位置にほぼ同じ吸収強度のシグナルを得られた。
【0161】
更に、実施例2−2と比較例2−2とについて詳細に比較検討した結果、両者には膜構造に於いて以下に述べる相違点が見出された。即ち、図22及び図23に示す吸収スペクトルに於いて、2920cm−1のCHに逆対称伸縮振動に由来する吸収と、2860cm−1のCHに対称伸縮振動に由来する吸収とを比較すると、その吸収比は、実施例2−2に係る図22に於いては1.8:1であり、比較例2−2に係る図23に於いては1.7:1であった。よって、実施例2−2に係る単分子膜が、比較例2−2に係る単分子膜よりも均一で整った膜構造であることが分かった。
【0162】
(実施例2−3)
本実施例2−3に於いては、洗浄剤としてエトキシエタノールを用いた他は、前記実施例2−2と同様の工程を行うことによりガラス基板21上に単分子膜23を成膜した。この単分子膜23についてFT−IR測定を行ったところ、図24に示されるように、前記図22及び図23とほぼ同じ位置にほぼ同じ吸収強度のシグナルを得られた。
【0163】
(比較例2−3)
本比較例2−3に於いては、洗浄剤としてトルエンを用いた他は、前記実施例2−2と同様の工程を行うことによりガラス基板21上に単分子膜23を成膜した。
【0164】
ガラス基板21上に成膜された単分子膜23について観察したところ、ごく薄く雲が懸かったように見えた。更に、この単分子膜23についてFT−IR測定を行ったところ、図25に示されるように、前記図22及び図23とは明らかに異なり、吸収強度の大きなシグナルが得られた。このことは、洗浄剤としてトルエンを用いた場合には、洗浄が不十分であることを示している。
【0165】
(比較例2−4)
本比較例2−4に於いては、洗浄剤としてDMF(ジメチルフォルムアミド)を用いた他は、前記実施例2−2と同様の工程を行うことによりガラス基板21上に単分子膜23を成膜した。
【0166】
この単分子膜23について観察したところ、無色透明に見えた。更に、この単分子膜23についてFT−IR測定を行ったところ、図26に示されるように、前記図22及び図23とは明らかに異なり、吸収強度の大きなシグナルが得られた。このことは、洗浄剤としてDMFを用いた場合には、洗浄が不十分であることを示している。
【0167】
(結果)
以上の結果から、有機薄膜を製造するに際して、その除去工程にてポリエチレングリコール、グリコールエーテル又はエトキシエタノールを洗浄剤として用いれば、クロロホルムと同様の洗浄効果があることが確認され、未吸着の分子が除去された均一な膜厚の有機薄膜を製造することができた。一方、塩素系洗浄剤ではないトルエンやDMF等の従来の代替洗浄剤を使用した場合と比較して、上記洗浄剤は洗浄作用に優れていることが確認された。よって、上記各実施例に係る洗浄剤は有機塩素系溶剤の代替洗浄剤として有用であることが判明した。
【0168】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明の構成によれば、本発明の課題を十分に達成することができる。
即ち、本発明に係る有機薄膜によれば、ケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤により洗浄されて形成されるので、均一な膜厚を有し、かつ均一に配列し整った膜構造とすることができる。
【0169】
更に、本発明に係る有機薄膜の製造方法によれば、ケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤を用いることにより、塩素系洗浄剤の代替洗浄剤として未固定分子を除去することができ、一様な膜厚を有する有機薄膜の製造が可能となる。この結果、環境に対する負荷を低減した有機薄膜の製造プロセスを提供できるという効果を奏する。
【0170】
又、本発明に係る液晶配向膜によれば、膜厚が均一で、かつ分子群が均一に配列し整った膜構造を有するので、配列状態を乱すことなく液晶分子を配向させることが可能となる。
【0171】
更に、本発明に係る液晶配向膜の製造方法によれば、ケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤を用いることにより、塩素系有機溶剤を使うことなしに未固定分子を除去することができ一様な膜厚を有する液晶配向膜を製造できる。しかも、基板に対する吸着状態が良好で膜構造に乱れが生じることなく、配向能に優れた液晶配向膜を、環境に対する負荷を低減して製造できるという効果を奏する。
【0172】
更に、この様な液晶配向膜を備えた液晶表示装置であると、液晶の配向欠陥等が視認されず表示品位に優れたものにできるという効果を奏する。よって、本発明の産業上の意義は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る有機薄膜の製造工程を示すフローチャートである。
【図2】上記有機薄膜の製造工程に於いて、洗浄剤除去工程に係る第1洗浄剤除去方法を説明する為のフローチャートである。
【図3】上記有機薄膜の製造工程に於いて、洗浄剤除去工程に係る第2洗浄剤除去方法を説明する為のフローチャートである。
【図4】上記有機薄膜が基材に吸着した状態を模式的に示す要部拡大図である。
【図5】上記有機薄膜が基材に吸着した状態を模式的に示す断面図であって、図5(a)は吸着分子が層状に吸着した状態を示す図であり、図5(b)は吸着分子が絡み合いながら基材に吸着した状態を示す図である。
【図6】上記有機薄膜が基材に吸着した状態を模式的に示す要部拡大図であって、図6(a)は吸着分子にヒドロキシル基が導入された状態を示す図であり、図6(b)は吸着分子が架橋した状態を示す図である。
【図7】本発明に係る有機薄膜の製造装置を模式的に示した説明図であって、図7(a)は被膜形成手段と洗浄手段が密閉系である場合を示し、図7(b)は独立系である場合を示し、図7(c)は洗浄剤除去手段を模式的に示している。
【図8】本発明に係る洗浄手段を模式的に示した斜視図であって、図8(a)はバッチ処理式の場合を示し、図8(b)は流れ処理式の場合を示す。
【図9】本発明に係る液晶表示装置を示す断面図である。
【図10】本発明の実施例1−1に係る単分子膜を模式的に示す要部拡大図である。
【図11】上記実施例1−1に係る単分子膜のFT−IRのスペクトル図である。
【図12】比較例1−1に係る単分子膜のFT−IRのスペクトル図である。
【図13】本発明の実施例1−3に係る単分子膜を模式的に示す要部拡大図である。
【図14】上記実施例1−3に係る単分子膜のFT−IRのスペクトル図である。
【図15】比較例1−2に係る単分子膜のFT−IRのスペクトル図である。
【図16】比較例1−4に係る単分子膜のFT−IRのスペクトル図である。
【図17】比較例1−5に係る単分子膜のFT−IRのスペクトル図である。
【図18】本発明の実施例2−1に係る単分子膜を模式的に示す要部拡大図である。
【図19】上記実施例2−1に係る単分子膜のFT−IRのスペクトル図である。
【図20】比較例2−1に係る単分子膜のFT−IRのスペクトル図である。
【図21】本発明の実施例2−2に係る単分子膜を模式的に示す要部拡大図である。
【図22】上記実施例2−2に係る単分子膜のFT−IRのスペクトル図である。
【図23】比較例2−2に係る単分子膜のFT−IRのスペクトル図である。
【図24】本発明の実施例2−3に係る単分子膜のFT−IRのスペクトル図である。
【図25】比較例2−3に係る単分子膜のFT−IRのスペクトル図である。
【図26】比較例2−4に係る単分子膜のFT−IRのスペクトル図である。
【符号の説明】
1、34 基材
3 薄膜
2 単分子膜
4 未吸着分子
5 累積膜
21 ガラス基板
22 単分子膜
31 洗浄槽
32 洗浄剤32
33 カセット
41 搬送部
42 噴射装置
43 本体部
44 ノズル
51 外気遮蔽手段
52 受け渡し手段
61 第1基板
62 第2基板
63 液晶層
64 TFT(薄膜トランジスタ)
65 第1電極
66、69 液晶配向膜
67 カラーフィルター
68 第2電極
S1 吸着溶液作製工程
S2 被膜形成工程
S3 除去工程
S4 洗浄剤除去工程
S5 リンス工程
S6 リンス剤乾燥工程
S8 接触工程
S9 乾燥工程

Claims (40)

  1. 活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を基材に接触させることにより、該分子を該基材上に結合させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成工程と、
    上記基材に結合されない上記分子を、アセトンを除くケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤で除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする有機薄膜の製造方法。
  2. 活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を基材に接触させることにより、該分子を該基材上に結合させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成工程と、
    上記基材に結合されない上記分子を、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びアセチルアセトンからなる群より選ばれる少なくとも1種のケトン類を含む洗浄剤で除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする有機薄膜の製造方法。
  3. 活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を基材に接触させることにより、該分子を該基材上に結合させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成工程と、
    上記基材上に結合されない上記分子を、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルキレングリコール類を含む洗浄剤で除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする有機薄膜の製造方法。
  4. 活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を基材に接触させることにより、該分子を該基材上に結合させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成工程と、
    上記基材上に結合されない上記分子を、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びポリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルキレングリコール類を含む洗浄剤で除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする有機薄膜の製造方法。
  5. 活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を基材に接触させることにより、該分子を該基材上に結合させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成工程と、
    上記基材上に結合されない上記分子を、エトキシエタノール及びメトキシアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルコキシアルコール類を含む洗浄剤で除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする有機薄膜の製造方法。
  6. 上記分子は、下記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有することを特徴とする請求項1〜請求項5に記載の有機薄膜の製造方法。
    Figure 0003597100
    (式中、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種の原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシアネート基から選ばれる1種の官能基を表している。)
  7. 上記洗浄剤として、塩素系溶剤を含まないものを使用することを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の有機薄膜の製造方法。
  8. 上記洗浄剤として、含水率が1%未満のものを使用することを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の有機薄膜の製造方法。
  9. 更に、上記除去工程の後に、上記基材に付着した上記洗浄剤を除去する洗浄剤除去工程を有することを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の有機薄膜の製造方法。
  10. 上記洗浄剤除去工程は、上記基材に付着した上記洗浄剤を水で洗い流すリンス工程と、上記基材に付着した上記水を乾燥させる乾燥工程とを有することを特徴とする請求項9に記載の有機薄膜の製造方法。
  11. 上記基材として、その表面に活性水素を有する官能基が存在するものを使用することを特徴とする請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の有機薄膜の製造方法。
  12. 上記基材として、ガラス、金属、金属酸化物、樹脂、紙、繊維、木材及びセラミックスからなる群より選ばれる何れか一種からなるものを用いることを特徴とする請求項11に記載の有機薄膜の製造方法。
  13. 上記被膜形成工程及び除去工程を乾燥雰囲気中で行うことを特徴とする請求項6に記載の有機薄膜の製造方法。
  14. 上記基材上に、上記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有する分子群を、単分子膜状となるように結合させて有機薄膜を形成することを特徴とする請求項13に記載の有機薄膜の製造方法。
  15. 上記アルキレングリコール類の分子量が100以上、300以下の範囲内にあることを特徴とする請求項4に記載の有機薄膜の製造方法。
  16. 基板上に液晶分子を所定の方向に配向させる液晶配向膜を備えた液晶表示装置であって、
    上記液晶配向膜は、活性水素を備えた官能基に対して反応性を示す官能基を有する分子群を上記基板に接触させて結合させた後、該基板に結合されない上記分子を、アセトンを除くケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤で除去して得られたものであることを特徴とする液晶表示装置。
  17. 基板上に液晶分子を所定の方向に配向させる液晶配向膜を備えた液晶表示装置であって、
    上記液晶配向膜は、活性水素を備えた官能基に対して反応性を示す官能基を有する分子群を上記基板に接触させて結合させた後、該基板に結合されない上記分子を、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びアセチルアセトンからなる群より選ばれる少なくとも1種のケトン類を含む洗浄剤で除去して得られたものであることを特徴とする液晶表示装置。
  18. 基板上に液晶分子を所定の方向に配向させる液晶配向膜を備えた液晶表示装置であって、
    上記液晶配向膜は、活性水素を備えた官能基に対して反応性を示す官能基を有する分子群を上記基板に接触させて結合させた後、該基板に結合されない上記分子を、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルキレングリコール類を含む洗浄剤で除去して得られたものであることを特徴とする液晶表示装置。
  19. 基板上に液晶分子を所定の方向に配向させる液晶配向膜を備えた液晶表示装置であって、
    上記液晶配向膜は、活性水素を備えた官能基に対して反応性を示す官能基を有する分子群を上記基板に接触させて結合させた後、該基板に結合されない上記分子を、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びポリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルキレングリコール類を含む洗浄剤で除去して得られたものであることを特徴とする液晶表示装置。
  20. 基板上に液晶分子を所定の方向に配向させる液晶配向膜を備えた液晶表示装置であって、
    上記液晶配向膜は、活性水素を備えた官能基に対して反応性を示す官能基を有する分子群を上記基板に接触させて結合させた後、該基板に結合されない上記分子を、エトキシエタノール及びメトキシアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルコキシアルコール類を含む洗浄剤で除去して得られたものであることを特徴とする液晶表示装置。
  21. 上記活性水素を備えた官能基に対して反応性を示す官能基は、下記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基であることを特徴とする請求項16〜請求項20の何れか1項に記載の液晶表示装置。
    Figure 0003597100
    (式中、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種の原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシアネート基から選ばれる1種の官能基を表している。)
  22. 上記洗浄剤は、塩素系溶剤を含まないことを特徴とする請求項16〜請求項21の何れか1項に記載の液晶表示装置。
  23. 上記洗浄剤の含水率が1%未満であることを特徴とする請求項16〜請求項22の何れか1項に記載の液晶表示装置。
  24. 上記基板の表面には、活性水素を有する官能基が存在することを特徴とする請求項16〜請求項23の何れか1項に記載の液晶表示装置。
  25. 上記液晶配向膜は、乾燥雰囲気中で上記分子を上記基板面に接触させて結合させた後、乾燥雰囲気中で上記洗浄剤にて除去して得られた単分子膜であることを特徴とする請求項16〜請求項24の何れか1項に記載の液晶表示装置。
  26. 上記アルキレングリコール類の分子量が100以上、300以下の範囲内にあることを特徴とする請求項19に記載の液晶表示装置。
  27. 基板上に結合された分子群からなり、液晶分子を特定の方向に配向させる液晶配向膜を備えた液晶表示装置の製造方法であって、
    上記基板に、活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を接触させ、該基板表面に結合させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成工程と、
    上記基材に結合されない上記分子を、アセトンを除くケトン類、アルキレングリコール類及びアルコキシアルコール類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む洗浄剤で除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  28. 基板上に結合された分子群からなり、液晶分子を特定の方向に配向させる液晶配向膜を備えた液晶表示装置の製造方法であって、
    上記基板に、活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を接触させ、該基板表面に結合させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成工程と、
    上記基材に結合されない上記分子を、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びアセチルアセトンからなる群より選ばれる少なくとも1種のケトン類を含む洗浄剤で除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  29. 基板上に結合された分子群からなり、液晶分子を特定の方向に配向させる液晶配向膜を備えた液晶表示装置の製造方法であって、
    上記基板に、活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を接触させ、該基板表面に結合させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成工程と、
    上記基材に結合されない上記分子を、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルキレングリコール類を含む洗浄剤で除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  30. 基板上に結合された分子群からなり、液晶分子を特定の方向に配向させる液晶配向膜を備えた液晶表示装置の製造方法であって、
    上記基板に、活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を接触させ、該基板表面に結合させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成工程と、
    上記基材に結合されない上記分子を、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びポリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルキレングリコール類を含む洗浄剤で除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  31. 基板上に結合された分子群からなり、液晶分子を特定の方向に配向させる液晶配向膜を備えた液晶表示装置の製造方法であって、
    上記基板に、活性水素を有する官能基に対して反応性を示す官能基を備えた分子群を接触させ、該基板表面に結合させて、該分子群からなる被膜を形成する被膜形成工程と、
    上記基材に結合されない上記分子を、エトキシエタノール及びメトキシアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルコキシアルコール類を含む洗浄剤で除去する除去工程と、
    を含むことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
  32. 上記分子は、下記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有することを特徴とする請求項27〜請求項31の何れか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
    Figure 0003597100
    (式中、Aはケイ素、ゲルマニウム、スズ、チタン及びジルコニウムからなる群より選ばれる1種の原子を表し、Xはハロゲン、アルコキシ基及びイソシアネート基から選ばれる1種の官能基を表している。)
  33. 上記洗浄剤として、塩素系溶剤を含まないものを使用することを特徴とする請求項27〜請求項32の何れか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
  34. 上記洗浄剤として、含水率が1%未満のものを使用することを特徴とする請求項27〜請求項33の何れか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
  35. 更に、上記除去工程の後に、上記基板に付着した上記洗浄剤を除去する洗浄剤除去工程を有することを特徴とする請求項27〜請求項34の何れか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
  36. 上記洗浄剤除去工程は、上記基板に付着した上記洗浄剤を水で洗い流すリンス工程と、上記基板に付着した上記水を乾燥させる乾燥工程とを有することを特徴とする請求項35に記載の液晶表示装置の製造方法。
  37. 上記基板として、その表面に活性水素を有する官能基が存在するものを使用することを特徴とする請求項27〜請求項36の何れか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
  38. 上記被膜形成工程及び除去工程を乾燥雰囲気中で行うことを特徴とする請求項32に記載の液晶表示装置の製造方法。
  39. 上記基板上に、上記一般式(1)で表される官能基群から選ばれる1種の官能基を有する分子群を、単分子膜状となるように結合させた、そのような液晶配向膜を形成することを特徴とする請求項38に記載の液晶表示装置の製造方法。
  40. 上記アルキレングリコール類の分子量が100以上、300以下の範囲内にあることを特徴とする請求項30に記載の液晶表示装置の製造方法。
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