JP5337971B2 - 防汚性抗菌防黴被膜及びその製造方法、並びにそれらを用いた製品 - Google Patents

防汚性抗菌防黴被膜及びその製造方法、並びにそれらを用いた製品 Download PDF

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本発明は、防汚性抗菌防黴被膜及びその製造方法、並びにそれらを用いた製品に関し、更に詳細には耐久性が高く、安価に製造することができ、人体及び環境に対する安全性が高い透明な防汚性抗菌防黴被膜及びその製造方法、並びにそれらを用いた製品に関する。
近年の住環境の変化や高齢化の進展に伴う国民の衛生意識の向上を受けて、防菌防黴製品の需要が高まっている。住宅の気密性の向上に伴う結露やカビの発生、多発する病原性大腸菌、レジオネラ菌等による集団感染等の事情も、こうした傾向に拍車をかけている。
防菌防黴製品の開発に当り、細菌及びカビを防除する活性と共に、抗菌防黴成分の安全性及び毒性についても考慮する必要がある。こうした観点から、毒性や環境汚染のおそれがなく活性の高い抗菌防黴剤として、天然物等の抗菌防黴活性を有する有機化合物、又はAg(銀)、Cu(銅)等の金属原子若しくは金属微粒子が注目されている。
例えば、特許文献1には、フトモモ科ユウカリノキ植物枝葉、ショウガ科バンウコン植物根茎、シソ科マンシュウヒキオコシ植物地上部の全植物体、シソ科コガネヤナギ植物根茎、サルオガセ科ナガサルオガセ植物全植物体、ウルシ科ランシンボク植物樹皮及び/又は枝葉並びにキク科タイキンギク植物全植物体の1種或いは複数種の水抽出物と、塗料樹脂及び/又は塗付溶媒とを少なくとも含有する塗付用抗微生物性組成物が開示されている。
特許文献2には、少なくともコア層に積層される化粧層に、アパタイト系セラミックスに銀微粒子等の抗菌性金属微粒子を化学結合させた金属系無機抗菌剤が含有された化粧板が開示されている。
特許文献3には、NBR等の少なくとも一つの非シリコーンゴム成分を含み、更に少なくとも一つの銀系無機抗菌剤を含み、最低0.075μg/dmの表面利用可能銀量を示すゴム物品が開示されている。
特許文献4には、アンモニア水の中に、粒径0.01μm以下の銀超微粒子と粒径0.1μm以下のセラミック微粒子を混入して、セラミック微粒子表面に銀超微粒子を付着保持せしめた溶液Aと、水の中にイソプロピルアルコールと水溶性ウレタン樹脂を混和した溶液Bを混合せしめた後、直ちにこれを金型内に塗布した後、該金型内に溶融した温度摂氏380度以上のプラスチック成型材を射出し、該成型熱でプラスチック成型材とが接触した部分に銀超微粒子を含むセラミック微粒子をプラスチック成型品の表面に保持する抗菌薄膜層を合成形成することを特徴とする表面に抗菌作用を有するプラスチック成型品とその製造方法が開示されている。
特開2006−022075号公報 特開2008−100418号公報 特開2008−031485号公報 特開2005−007836号公報
しかしながら、特許文献1に記載の塗付用抗微生物性組成物等の有機薬剤を塗布した防菌防黴製品は、使用を重ねることで効果が徐々に薄れていくため耐久性が低い。また、特許文献2に記載の化粧板、特許文献3に記載のゴム物品、及び特許文献4に記載のプラスチック成型品は、金属微粒子系の抗菌防黴成分が基材の表面又は内部に結合固定されており、抗菌防黴効果がより長期間持続するが、製造段階での基材への練りこみや高温での加熱を必要とする。そのため、製造コストが高い、応用範囲が狭い等の問題を有している。
また、特許文献1〜4のいずれにおいても、抗菌防黴効果と防汚性を兼ね備えるための手段及び方法については何ら記載されていない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、耐久性が高く、安価に製造することができ、人体及び環境に対する安全性が高い透明な防汚性抗菌防黴被膜及びその製造方法、並びにそれらを用いた製品を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、基材の表面に化学結合した膜物質が形成する防汚性の単分子膜と,該被膜との結合を介して前記基材の表面に固定された抗菌防黴性の金属原子、イオン又は金属微粒子とを有する防汚性抗菌防黴被膜であって、前記単分子膜は、分子の一端にフッ化炭素基を、他端に前記基材の表面と反応して結合を形成する第1の表面結合基を有する第1の膜化合物と、分子の一端に金属原子、イオン又は金属微粒子とチオレート結合を形成する結合基を、他端に前記基材の表面と反応して結合を形成する第2の表面結合基を有する第2の膜化合物とが分子レベルで混合された状態で前記基材の表面と反応し、前記表面結合基と前記基材の表面との反応により形成された化学結合を介して前記基材の表面に化学結合した混合単分子膜であり、前記金属原子、イオン又は金属微粒子は、前記結合基との間に形成されるチオレート結合を介して固定されていることを特徴とする防汚性抗菌防黴被膜を提供することにより、上記課題を解決するものである。
なお、ここで、「金属微粒子」として、ナノサイズの金属微粒子、好ましくは粒径が可視光の波長(400nm)以下、より好ましくは、10〜200nmの金属ナノ粒子を用いると、下地基材の色調や光沢を損なわないので好都合である。
また、チオレート結合を形成する結合基としては、取り扱いやすいチオール基又はトリアジンジチオール基等が挙げられる。
更にまた、「抗菌防黴性の金属原子、イオン又は金属微粒子」とは、細菌類及び真菌類(カビ)等の微生物の膜タンパク質及び酵素等の表面や活性中心等に存在するチオール基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基等の極性基と結合して変性や失活を引き起こし、それらの機能を阻害することや、細胞内に到達して酵素を失活させること等により、これらの微生物の増殖又は生存を防止することのできる任意の金属原子、イオン又は金属微粒子をいう。
第2の膜物質の結合基に結合した抗菌防黴性の金属原子、イオン又は金属微粒子により、人体に悪影響を及ぼすおそれのある細菌類及び真菌類の繁殖を抑制できる。さらに、フッ化炭素基を有する第1の膜物質により防汚性抗菌防黴被膜の表面エネルギーが低下するため、被膜の表面への汚れ付着が少なくなり、清浄に保たれることに加え、細菌類及び真菌類の栄養源となる有機物の被膜の被膜表面への付着も抑制され、抗菌防黴効果をより高めることができる。
基材の表面に化学結合した第1及び第2の膜物質が形成する混合被膜はnmオーダーの薄膜であるため、防汚性抗菌防黴被膜は、基材の色調や風合いを損なわず、様々な基材に応用可能である。また、防汚性抗菌防黴被膜は、基材と化学結合しているため、耐久性に非常に優れている。さらに、成膜工程が非常に簡単であるため、防汚性抗菌防黴被膜は、低コストで製造することができると共に、下地基材の形状に依存しないで、且つ大面積の基材の表面にも容易に形成することができる。
本発明の第1の態様において、前記第1及び第2の表面結合基が、アルコキシシリル基、ハロシリル基、チオール基、スルフィド基、及びカルボキシル基のいずれかであってもよい。
アルコキシシリル基及びハロシリル基は、ヒドロキシル基等の活性水素基を有する、金属、セラミックス、樹脂、繊維等からなる種々の基材の表面との縮合反応により共有結合を形成することができる。また、チオール基及びスルフィド基は、金等の貴金属或いは遷移金属からなる基材の表面に共有結合を形成することができる。
本発明の第2の態様は、分子の一端に基材の表面と結合を形成する第1の表面結合基を、他端にフッ化炭素基をそれぞれ有する第1の膜化合物、及び分子の一端に基材の表面と結合を形成する第2の表面結合基を、他端に第1の反応性基をそれぞれ有する第3の膜化合物を該基材の表面に接触させて、該第1及び第2の表面結合基と前記基材の表面との反応により形成された化学結合を介して前記基材の表面に結合した前記第1及び第3の膜物質の混合単分子膜を形成する工程Cと、前記第1の反応性基と結合を形成する第2の反応性基及び金属原子、イオン又は金属微粒子とチオレート結合を形成する結合基をそれぞれ有する分子を、前記第1及び第2の反応性基の反応により形成される結合を介して前記第3の膜物質に結合させ、前記第1及び第2の膜物質の混合単分子膜に変換する工程Dとからなり、分子の一端にフッ化炭素基を有する第1の膜物質、及び分子の一端に金属原子、イオン又は金属微粒子とチオレート結合を形成する結合基を有する第2の膜物質の混合単分子膜を基材の表面に形成する工程Aと、抗菌防黴性の金属原子、イオン又は金属微粒子と前記結合基との間で形成されるチオレート結合を介して、前記金属原子、イオン又は金属微粒子を前記混合単分子膜の表面に固定する工程Bとを有することを特徴とする防汚性抗菌防黴被膜の製造方法を提供することにより、上記課題を解決するものである。
基材の表面に化学結合した第1及び第2の膜物質の混合単分子膜は、膜厚がnmオーダーの薄膜であるため、本態様に係る防汚性抗菌防黴被膜の製造方法(以下「本方法」ともいう)により得られる防汚性抗菌防黴被膜は、基材の色調や風合いを損なわず、様々な基材に応用可能である。また、本方法により製造される防汚性抗菌防黴被膜は、基材と共有結合しているため、耐久性に非常に優れている。さらに、成膜工程が非常に簡単であるため、本方法は、低コストで実施することができると共に、大面積の基材の表面にも容易に防汚性抗菌防黴被膜を作製することができる。
また、本発明の第2の態様において、前記工程Aが、分子の一端に基材の表面と結合を形成する第1の表面結合基を、他端にフッ化炭素基をそれぞれ有する第1の膜化合物、及び分子の一端に基材の表面と結合を形成する第2の表面結合基(第1の表面結合基と同一であっても異なっていてもよい)を、他端に第1の反応性基をそれぞれ有する第3の膜化合物を該基材の表面に接触させて、該第1及び第2の表面結合基と前記基材の表面との反応により形成された化学結合を介して前記基材の表面に結合した前記第1及び第3の膜物質の混合被膜を形成する工程Cと、前記第1の反応性基と結合を形成する第2の反応性基及び金属原子、イオン又は金属微粒子とチオレート結合を形成する結合基をそれぞれ有する分子を、前記第1及び第2の反応性基の反応により形成される結合を介して前記第3の膜物質に結合させ、前記第1及び第2の膜物質の混合被膜に変換する工程Dとからなってい
このようにすることにより、表面結合基と結合基とをそれぞれ分子の両端に有する膜化合物よりも入手が容易で安価な原料を用いて防汚性抗菌防黴被膜を製造することができると共に、表面結合基と結合基との反応による歩留りの低下等の弊害を回避することができる。
本発明の第2の態様において、前記第1及び第2の表面結合基が、アルコキシシリル基、ハロシリル基、チオール基、スルフィド基、及びカルボキシル基のいずれかであってもよい。
アルコキシシリル基及びハロシリル基は、ヒドロキシル基等の活性水素基を有する、金属、セラミックス、樹脂、繊維等からなる種々の基材の表面との縮合反応により共有結合を形成することができる。また、チオール基及びスルフィド基は、金等の貴金属或いは遷移金属からなる基材の表面に共有結合を形成することができる。
本発明の第1及び第2の態様において、金属原子、イオン又は金属微粒子が、Ag、Cu、Zn及びSnのいずれかの金属原子、イオン又は金属微粒子であることが好ましい。
これらの金属原子、イオン又は金属微粒子は、高い抗菌防黴性を有すると共に、基材表面に強固に結合されているため、人体や環境に有害な影響をほとんど及ぼすことがない。したがって、防汚性抗菌防黴被膜は、安全性の高い抗菌防黴膜として用いることが可能である。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に係る防汚性抗菌防黴被膜が表面に形成されていることを特徴とする製品を提供することにより上記課題を解決するものである。
本発明の第1〜第3の態様において、前記基材又は物品が、建築物、自動車、船舶、航空機、列車、アパレル製品、宝飾品、及び装飾品のいずれか、又はそれらに使用される材料であってもよい。
これらの材料は、いずれも人体に接触することの多い物品に用いられるものであり、特に、建築物、自動車、船舶、航空機、及び列車については、公共の場で多くの人が触れる機会が多い。したがって、防汚性、抗菌防黴性と安全性との両立が強く求められており、本発明を好適に適用することができる。
本発明に係る防汚性抗菌防黴被膜及び防汚性抗菌防黴被膜の製造方法によると、種々の基材の表面に低コストで防汚性抗菌防黴被膜を形成することができ、高い防汚性、抗菌防黴性、耐久性、人体及び環境に対する安全性を併せ持つ防汚性抗菌防黴被膜及びその製造方法が提供される。また、防汚性抗菌防黴被膜の表面から抗菌防黴性を有する金属原子、イオン又は金属微粒子が放出された後も、結合基は失われずに残っているため、金属原子、イオン又は金属微粒子を再結合させることにより抗菌防黴性を何度でも回復することが可能であり、膜化合物の被膜が残存している限り半永久的に抗菌防黴性を発揮させることが可能である。
本発明に係る防汚性抗菌防黴被膜が表面に形成された製品は、高い防汚性、抗菌防黴性、耐久性、人体及び環境に対する安全性を併せ持つと共に、表面から抗菌防黴性を有する金属原子、イオン又は金属微粒子が放出された後も、金属原子、イオン又は金属微粒子を再結合させることにより抗菌防黴性を何度でも回復することが可能であり、膜物質の被膜が残存している限り半永久的に抗菌防黴性を発揮させることが可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る防汚性抗菌防黴被膜の断面構造を分子レベルまで拡大して模式的に表した説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る防汚性抗菌防黴被膜の製造方法において、フッ化炭素基を有する膜物質とチオール基を有する膜物質との混合単分子膜を形成する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図である。 同防汚性抗菌防黴被膜の製造方法において、金属微粒子を有する混合単分子膜を形成する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、本明細書において、「膜化合物」及び「膜物質」という用語は、それぞれ、撥水撥油性の混合被膜を形成するための出発物質として使用される化合物、及び形成された撥水撥油性の混合被膜の構成成分を呼称するために使用される。
図1に示すように、防汚性抗菌防黴被膜10は、基材11の表面に化学結合した膜化合物が形成する、フッ化炭素基を有する膜物質とチオール基を有する膜物質との混合単分子膜(以下、単に「混合単分子膜」という。)(防汚性の被膜の一例)12と、混合単分子膜12との結合を介して基材11の表面に固定された銅(Cu)微粒子(抗菌防黴性の金属原子、イオン又は金属微粒子の一例)13とを有している。混合単分子膜12は、分子の一端にペンタデカフルオロデシル基(フッ化炭素基の一例)を、他端に基材11の表面とシロキサン結合(結合の一例)を形成するアルコキシシリル基(第1の表面結合基の一例)をそれぞれ有する第1の膜化合物と、分子を構成する直鎖アルケニル基(図1では、その一例としてデシレン基(−(CH10−)を図示している。)の一端に、銅微粒子13とチオレート結合を形成するチオール基(結合基の一例)を、他端に基材11の表面とシロキサン結合(結合の一例)を形成するアルコキシシリル基(第2の表面結合基の一例)をそれぞれ有する第2の膜化合物とが基材11の表面と反応し、アルコキシシリル基と基材11の表面との反応により形成された化学結合を介して基材11の表面に結合固定されている。また、銅微粒子13は、チオール基との間に形成されるチオレート結合を介して混合単分子膜12の表面に固定されている。
防汚性抗菌防黴被膜10は、図2に示す様に、防汚性を有するヘプタデカフルオロデシル基(CF(CF(CH−)を有する膜物質(第1の膜物質)と、銅微粒子13とチオレート結合を形成できるチオール基を膜物質(第2の膜物質)とが混合(例えば、分子組成で1:1)した状態で規則的に配列した混合単分子膜12を基材11の表面に形成する工程Aと、図3に示す様に、チオール基と抗菌作用を示す銅微粒子13との間で形成されるチオレート結合を介して、混合単分子膜12の表面に抗菌作用を示す銅微粒子13を固定する工程Bとを有する方法により製造することができる。
より具体的には、工程Aにおいて、分子の一端にヘプタデカフルオロデシル基(フッ化炭素基)を、他端にアルコキシシリル基をそれぞれ有するアルコキシシラン化合物(第1の膜化合物の一例)、及び分子の一端にチオール基を、他端にアルコキシシリル基をそれぞれ有するアルコキシシラン化合物(第2の膜化合物の一例)を基材11の表面と接触させて、アルコキシシリル基と基材11の表面との反応により形成された化学結合を介して基材11の表面に結合したフッ化炭素基を有する膜物質とチオール基を有する膜物質との混合単分子膜12(第1及び第2の膜物質の混合被膜の一例)を形成する。
以下、各工程について説明する。
(I)工程A
(1)基材
基材11としては、アルコキシシリル基と縮合反応し、共有結合を形成することができる活性水素基を表面に有する任意の材質のものを用いることができる。なお、図2では活性水素基の一例としてヒドロキシル基を有する場合を図示しているが、アミノ基、チオール基(メルカプト基)、スルフィド基、カルボキシル基等であってもよい。基質11の材質としては、ガラス、セラミックス、ほうろう等の無機酸化物、アルミニウム、ニッケル、ステンレス等の金属、樹脂、繊維、布帛等の有機材料が挙げられる。有機材料を用いる場合、ヒドロキシル基を有するセルロース等についてはそのまま用いることもできるが、濃硝酸等による酸処理及びコロナ放電処理等により表面を極微量酸化して活性水素基を形成させてもよく、或いはプラズマ処理等により活性水素基を有する分子をグラフトさせてもよい。
(2)膜化合物
フッ化炭素基を含むアルコキシシラン化合物としては、下記の一般式(化1)で表されるアルコキシシラン化合物が挙げられる。
Figure 0005337971
上式において、mは0〜20の整数を、nは0〜9の整数を、Rは炭素数1〜4のアルキル基をそれぞれ表す。
また、Yは、(CH(kは1〜3の整数を表す)及び単結合のいずれかを表し、Zは、O(エーテル酸素)、COO、Si(CH、及び単結合のいずれかを表す。
フッ化炭素基を含むアルコキシシラン化合物の具体例としては、下記(1)〜(12)に示す化合物が挙げられる。
(1) CFCHO(CH15Si(OCH
(2) CF(CHSi(CH(CH15Si(OCH
(3) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OCH
(4) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OCH
(5) CFCOO(CH15Si(OCH
(6) CF(CF(CHSi(OCH
(7) CFCHO(CH15Si(OC
(8) CF(CHSi(CH(CH15Si(OC
(9) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OC
(10) CF(CF(CHSi(CH(CHSi(OC
(11) CFCOO(CH15Si(OC
(12) CF(CF(CHSi(OC
チオール基を有するアルコキシシラン化合物としては、直鎖状アルキレン基の両末端に、チオール基(メルカプト基)を含む官能基及びアルコキシシリル基をそれぞれ有し、下記の一般式(化2)で表されるアルコキシシラン化合物が好ましい。
Figure 0005337971
上式において、Eはチオール基またはトリアジンジチオール基を有する官能基を、jは3〜20の整数を、Rは炭素数1〜4のアルキル基をそれぞれ表す。
チオール基を有するアルコキシシラン化合物の具体例としては、下記(21)〜(34)に示した化合物が挙げられる。
(21) HSCHO(CHSi(OCH
(22) HSCHO(CHSi(OCH
(23) HSCHO(CH11Si(OCH
(24) TrNH(CHSi(OCH
(25) TrNH(CHSi(OCH
(26) TrNH(CHSi(OCH
(27) HSCHO(CHSi(OC
(28) HSCHO(CHSi(OC
(29) HSCHO(CH11Si(OC
(30) TrNH(CHSi(OC
(31) TrNH(CHSi(OC
(32) TrNH(CHSi(OC
(33) HS(CH10Si(OCH
(34) HS(CH10Si(OC
ここで、Tr基は、化3で表される官能基(トリアジンジチオール基)を表す。
Figure 0005337971
(3)混合単分子膜の形成
前記2つのアルコキシシラン化合物を含む溶液を基材11の表面に塗布し、室温の空気中で反応させると、アルコキシシリル基と基材11の表面のヒドロキシル基とが縮合反応を起こし、図2及び下記の化4で示されるような膜物質からなる混合単分子膜12が形成される。
Figure 0005337971
なお、式中Rは、フッ化炭素基CF(CF−Y−Z−(CH−(化1参照)及びチオール基を有する官能基を含む直鎖アルキレン基E−(CH−(化2参照)のいずれかを表す。
また、酸素原子から延びた3本の単結合は基材11の表面又は隣接するシラン化合物のケイ素(Si)原子と結合しており、そのうち少なくとも1本は基材11の表面の酸素原子と結合している。
フッ化炭素基を有するアルコキシシラン化合物及びチオール基を有するアルコキシシラン化合物の総濃度は、好ましくは0.5〜3質量%である。
フッ化炭素基を有するアルコキシシラン化合物及びチオール基を有するアルコキシシラン化合物のモル比は特に制限されず、基材11の種類及び用途、必要とされる防汚性と抗菌防黴性との兼ね合い、並びに用いられる膜化合物の種類等に応じて適宜選択することができる。なお、フッ化炭素基を含む薬剤の添加量が0に近くなれば、当然防汚性はなくなる。
また、溶液は、アルコキシシリル基と基材11の表面のヒドロキシル基との縮合反応を促進するための縮合触媒を含んでいてもよい。縮合触媒としては、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート等の金属塩が利用可能である。
縮合触媒の添加量は、好ましくはアルコキシシラン化合物の0.2〜5質量%であり、より好ましくは0.5〜1質量%である。
カルボン酸金属塩の具体例としては、酢酸第1スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクタン酸第1スズ、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄が挙げられる。
カルボン酸エステル金属塩の具体例としては、ジオクチルスズビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチルスズマレイン酸エステル塩が挙げられる。
カルボン酸金属塩ポリマーの具体例としては、ジブチルスズマレイン酸塩ポリマー、ジメチルスズメルカプトプロピオン酸塩ポリマーが挙げられる。
カルボン酸金属塩キレートの具体例としては、ジブチルスズビスアセチルアセテート、ジオクチルスズビスアセチルラウレートが挙げられる。
チタン酸エステルの具体例としては、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネートが挙げられる。
チタン酸エステルキレートの具体例としては、ビス(アセチルアセトニル)ジ−プロピルチタネートが挙げられる。
アルコキシシリル基は、水分の存在下で分解するので、反応は相対湿度45%以下の空気中で行うことが好ましい。なお、縮合反応は、基材11の表面に付着した油脂分や水分により阻害されるので、基材11をよく洗浄して乾燥することにより、これらの不純物を予め除去しておくことが好ましい。
縮合触媒として上述の金属塩のいずれかを用いた場合、室温における縮合反応の完了までに要する時間は2時間程度である。
上述の金属塩の代わりに、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1又は2以上の化合物を縮合触媒として用いた場合、反応時間を1/2〜2/3程度まで短縮できる。
あるいは、これらの化合物を助触媒として、上述の金属塩と混合(質量比1:9〜9:1の範囲で使用可能だが、1:1前後が好ましい)して用いると、反応時間をさらに短縮できる。
例えば、縮合触媒として、ジブチルスズジアセテートの代わりにケチミン化合物であるジャパンチオールレジン社のH3を用い、その他の条件は同一にして反応を行うと、反応時間を1時間程度にまで短縮できる。
さらに、縮合触媒として、ジャパンチオールレジン社のH3とジブチルスズジアセテートとの混合物(混合比は1:1)を用い、その他の条件は同一にしてチオール基を有する単分子膜12の製造を行うと、反応時間を20分程度に短縮できる。
なお、ここで用いることができるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8−トリアザ−1,8−ノナジエン、3,11−ジメチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、2,10−ジメチル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカジエン、2,4,15,17−テトラメチル−5,8,11,14−テトラアザ−4,14−オクタデカジエン、2,4,20,22−テトラメチル−5,12,19−トリアザ−4,19−トリエイコサジエン等が挙げられる。
また、用いることができる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、マロン酸等が挙げられる。
溶液の調製には、有機塩素系溶媒、炭化水素系溶媒、フッ化炭素系溶媒、シリコーン系溶媒、及びこれらの混合溶媒を用いることができる。アルコキシシラン化合物の加水分解を防止するために、乾燥剤又は蒸留により使用する溶媒から水分を除去しておくことが好ましい。また、溶媒の沸点は50〜250℃であることが好ましい。
具体的に使用可能な溶媒としては、非水系の石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
さらに、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいはそれらの混合物を用いることもできる。
また、用いることができるフッ化炭素系溶媒としては、フロン系溶媒、フロリナート(米国3M社製)、アフルード(旭硝子株式会社製)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、ジクロロメタン、クロロホルム等の有機塩素系溶媒を添加してもよい。
反応終了後、溶媒で洗浄し、未反応物として表面に残った過剰なアルコキシシラン化合物及び縮合触媒を除去すると、図2に模式的に示すように、フッ化炭素基及びチオール基を有する混合単分子膜12が基材11の表面に形成される。
洗浄溶媒としては、アルコキシシラン化合物を溶解できる任意の溶媒を用いることができるが、安価であり、溶解性が高く、風乾により容易に除去することのできるジクロロメタン、クロロホルム、N−メチルピロリドン等が好ましい。洗浄効率を高めるために、超音波処理等を併せて行ってもよい。
フッ化炭素基を有する膜化合物とチオール基を有する膜化合物の表面結合基は、互いに同一であってもそれぞれ異なっていてもよいが、互いに同一である方が、反応速度を同じにでき、薬液組成と同じ組成の被膜を形成する上で都合がよい。
表面結合基として、上記の(1)〜(12)及び(21)〜(34)に示した化合物においてアルコキシシリル基の代わりにハロシリル基を有するハロシラン化合物を用いてもよい。この場合において、縮合触媒及び助触媒が不要であること、アルコール系溶媒が使用できないこと、アルコキシシラン化合物より加水分解を受けやすいので、乾燥溶媒を用い、乾燥空気中(相対湿度30%以下)で反応を行う点において、アルコキシシラン化合物の場合と相違するが、それ以外の反応条件(ハロシラン化合物の濃度、反応時間等)については、アルコキシシラン化合物の場合と同様である。
或いは、表面結合基としてカルボキシル基を用いることもできる。この場合には、基剤11の表面のヒドロキシル基との縮合反応を促進するために、酸ハライド、混合酸無水物等の活性な誘導体を用いるか、カルボジイミド等の縮合剤を用いる。
本実施形態では、基材11として、活性水素基を表面に有するものを用いた場合について説明したが、表面に活性水素基を有しない金(Au)や表面にAuメッキが施された基材の場合には、表面結合基として、チオール基、アルキルスルフィド基、及びトリアジンジチオール基のいずれかを有する膜化合物を用いることができる。
本実施の形態では、チオール基又はトリアジンジチオール基を有する膜化合物を第2の膜化合物として用いて混合単分子膜12を形成したが、例えば、チオール基が表面反応基と反応するおそれがある場合(表面反応基としてハロシリル基を用いる場合等)には、末端にハロゲン(Cl、Br、I)を有するハロシラン化合物を膜化合物(第3の膜化合物)として用い、フッ化炭素基を有する膜物質とハロゲンを有する膜物質との混合単分子膜を形成後、水硫化アルカリ塩又はチオ尿素との反応(求核置換反応)によりハロゲンをチオール基に変換してもよい。また、トリアジンジチオール基の場合にも、末端にアミノ基(を有するハロシラン化合物を膜化合物(第3の膜化合物)として用い、フッ化炭素基を有する膜物質とアミノを有する膜物質との混合単分子膜を形成後、アミノ基を塩化シアヌルと反応させ、次いでトリアジン環上の塩素を−SH基に変換してもよい。
但し、この場合において、縮合触媒のうちスズ(Sn)塩を含む化合物は、アミノ基と反応して沈殿を生成するため、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物に対しては縮合触媒として用いることができない。
したがって、アミノ基を有するアルコキシシラン化合物を用いる場合には、カルボン酸スズ塩、カルボン酸エステルスズ塩、カルボン酸スズ塩ポリマー、カルボン酸スズ塩キレートを除き、エポキシ基を有するアルコキシシラン化合物の場合と同様の化合物を単独でまたは2種類以上を混合して縮合触媒として用いることができる。
(II)工程B
フッ化炭素基及びチオール基を有する混合単分子膜12上のチオール基と銅微粒子13の反応は、有機溶媒(例えば、アルコール)に分散した銅微粒子13を接触させ、加熱することによって行うことができる。
加熱温度及び時間は、金属(Ag、Cu、Zn、Snなど)の種類に応じて適宜調節されるが、例えば、それぞれ、室温〜70℃、及び30分〜24時間である。必要に応じて、より沸点が高い溶媒(エチレングリコール、DMF等)を用い、高温(例えば150℃)で数時間〜数十時間加熱してもよい。
反応終了後、溶媒で洗浄し、未反応物として表面に残った銅微粒子13を洗浄して除去すれば、銅微粒子13がチオレート結合を介して混合分子膜12の表面に固定された防汚性抗菌防黴被膜10が得られる。
洗浄溶媒としては、銅微粒子13を分散させ得る任意の溶媒を用いることができる。また、洗浄効率を高めるために、超音波処理等を併せて行ってもよい。
本実施の形態においては、結合基としてチオール基を有する物質を用いたが、トリアジンジチオール基等、銅微粒子13とチオレート結合を形成して銅微粒子13を固定できる任意の官能基を用いることができる。
本実施形態では、抗菌防黴活性を有する金属微粒子として銅(Cu)微粒子を用いたが、他に用いることができる抗菌性の金属原子、イオン又は金属微粒子としては、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)の原子、イオン又は微粒子が挙げられる。
なお、透明な防汚性抗菌防黴被膜を形成したい場合には、単分子膜は、1ナノメートル程度であるので、下地の色調、光沢、透明度を全く損なわない。ただし、金属微粒子としては、可視光の波長(400nm)以下の波長以下の粒径のものを用いる必要がある。より好ましくは、10〜20nmの粒径の金属微粒子がよい。
金属微粒子の合成方法については特に制限されず、プラズマ法、気相法(CVD法等)、液相法及び固相法等の任意の公知の方法により合成された金属微粒子を用いることができる。
(III)防汚性抗菌防黴被膜が形成された物品
本発明に係る防汚性抗菌防黴被膜10が表面に形成された製品としては、表面にヒドロキシル基等の活性水素基を有する任意の物品又は物品の部品、部材又はその一部等が挙げられる。製品の具体例としては、以下に示すようなものが挙げられる。なお、これらは単なる例示であり、これらに限定されるものでない。
(a)刃物の例:
包丁、鋏、ナイフ、カッター、彫刻刀、剃刀、バリカン、鋸、カンナ、ノミ、錐、千枚通し、バイト、ドリルの刃、ミキサーの刃、ジューサーの刃、製粉機の刃、芝刈り機の刃、パンチ、押切り、ホッチキスの刃、缶切りの刃、又は手術用メス等。
(b)針の例:
鍼術用の針、縫い針、ミシン針、畳針、注射針、手術用針、又は安全ピン等。
(c)窯業製品の例:
陶磁器製、ガラス製、セラミックス製又はほうろうを含む製品等。例えば衛生陶磁器(例えば便器、洗面器、風呂等)、食器(例えば、茶碗、皿、どんぶり、湯呑、コップ、瓶、コーヒー沸かし容器、鍋、すり鉢、カップ等)、花器(水盤、植木鉢、一輪差し等)、水槽(養殖用水槽、鑑賞用水槽等)、化学実験器具(ビーカー、反応容器、試験管、フラスコ、シャーレ、冷却管、撹拌棒、スターラー、乳鉢、バット、注射器)、瓦、タイル、ほうろう製食器、ほうろう製洗面器、ほうろう製鍋、各種コンクリート製品。
(d)鏡の例:
手鏡、姿見鏡、浴室用鏡、洗面所用鏡、自動車用鏡(バックミラー、サイドミラー)、ハーフミラー、ショーウィンドー用鏡、デパートの商品売り場の鏡等。
(e)成形用部材の例:
プレス成形用金型、注型成形用金型、射出成形用金型、トランスファー成形用金型、真空成形用金型、吹き込み成形用金型、押し出し成形用ダイ、インフレーション成形用口金、繊維紡糸用口金、カレンダー加工用ロール等。
(f)装飾品及び宝飾品の例:
腕時計、メガネフレームや真珠、真珠、ルビー、エメラルド、ガーネット、キャッツアイ、ダイヤモンド、トパーズ、ブラッドストーン、アクアマリン、サードニックス、トルコ石、瑪瑙、大理石、アメジスト、カメオ、オパール、水晶、ガラス等の宝石、更に白金、金、銀、銅、アルミ、チタン、スズ或いはそれらの合金やステンレス製の指輪、腕輪、ブローチ、ネクタイピン、イヤリング、ネックレス等の貴金属装飾製品等。
(g)食品成形用型の例:
ケーキ焼成用型、クッキー焼成用型、パン焼成用型、チョコレート成形用型、ゼリー成形用型、アイスクリーム成形用型、オーブン皿、製氷皿等。
(h)調理器具及び厨房設備の例:
鍋、釜、やかん、ポット、フライパン、ホットプレート、焼き物調理用網、油切り、タコ焼きプレート、流し台等。
(i)紙の例:グラビア紙、撥水撥油紙、ポスター紙、高級パンフレット紙
(j)樹脂の例:
ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、アラミド、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、フェノール樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂、チオール樹脂、ポリウレタン、ケイ素樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、ポリアセタール、ポリフェンレンオキサイド等
(k)家庭電化製品及び情報通信機器の例:
テレビジョン、ラジオ、テープレコーダー、オーディオ、CD、冷凍関係機器の冷蔵庫、冷凍庫、エアコン、ジューサー、ミキサー、扇風機の羽根、照明器具、文字盤、ヘアドライヤー、電話機、ファクシミリ、携帯電話、パーソナルコンピュータ及び周辺機器(例えば、キーボード、マウス)等。
(l)スポーツ用品の例:
スキー、釣竿、棒高跳び用のポール、ボート、ヨット、ジェットスキー、サーフボード、ゴルフボール、ボーリングのボール、釣糸、魚網、釣り浮き等。
(m)乗り物部品に適用する例:
(1)ABS樹脂:ランプカバー、インストルメントパネル、内装部品、オートバイのプロテクター、(2)セルロースプラスチック:自動車のマーク、ハンドル(3)FRP(繊維強化樹脂):外板バンパー、エンジンカバー、(4)フェノール樹脂:ブレーキ(5)ポリアセタール:ワイパーギヤ、ガスバルブ、キャブレター部品(6)ポリアミド:ラジエータファン(7)ポリアリレート:方向指示レンズ、計器板レンズ、リレーハウジング(8)ポリブチレンテレフタレート(PBT):リヤエンド、フロントフェンダ(9)ポリアミノビスマレイミド:エンジン部品、ギヤボックス、ホイール、サスペンジョンドライブシステム(10)メタクリル樹脂:ランプカバーレンズ、計器板とカバー、センターマーク(11)ポリプロピレン:バンパー(12)ポリフェニレンオキシド:ラジエーターグリル、ホイールキャップ(13)ポリウレタン:バンパー、フェンダー、インストルメントパネル、ファン(14)不飽和ポリエステル樹脂:ボディ、燃料タンク、ヒーターハウジング、計器板
(n)事務用品の例:
万年筆、ボールペン、シャ−プペンシル、筆入れ、バインダー、机、椅子、本棚、ラック、電話台、物差し、製図用具等。
(o)建材の例:
屋根材、外壁材、内装材。屋根材として窯瓦、スレート瓦、トタン(亜鉛メッキ鉄板)等。外壁材としては木材(加工木材を含む)、モルタル、コンクリート、ケイカル板、窯業系サイジング、金属系サイジング、レンガ、石材、プラスチック材料、アルミ等の金属材料等。内装材としては木材(加工木材を含む)、アルミ等の金属材料、プラスチック材料、紙、繊維等。
(p)石材の例:
花コウ岩、大理石、みかげ石等。例えば、建築物、建築材、芸術品、置物、風呂、墓石、記念碑、門柱、石垣、歩道の敷石等。
(q)楽器及び音響機器の例:
打楽器、弦楽器、鍵盤楽器、木管楽器、金管楽器等の楽器、及びマイクロホン、スピーカ等の音響機器等。具体的には、ドラム、シンバル等の打楽器、バイオリン、チェロ、ギター、琴等の弦楽器、ピアノ等の鍵盤楽器、フルート、クラリネット、尺八等の木管楽器、ホルン、トランペット等の金管楽器、及びマイクロホン、スピーカ、イヤホーン等の音響機器。
(r)繊維製品の例:
いわゆるアパレル製品であり、一般の天然繊維製品、化学繊維、合成繊維製品、毛皮製品、皮革製品、紙製品も含む。具体的には、衣類、帽子、ネクタイ、靴、鞄、傘、レインコート、スポーツ衣類、壁用クロス、カーテン、ジュータン、家具、乗り物の内装、シート類、生理用品、紙おしめ、寝具、シーツ、漁網等。
本発明の特徴及び作用効果を確認するために行った実施例について以下に説明する。
実施例1:防汚性抗菌防黴被膜の形成
(1)フッ化炭素基及びチオール基を有する混合単分子膜の形成
基材として用いたガラス基板をクロロホルム、アセトン、及びエタノール中で順次超音波洗浄した。次いで、有機溶媒により洗浄を行なったガラス基板にエキシマ光洗浄処理を行なった。このようにして洗浄したガラス基板を、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン(化5)及びω−チオールデシルトリメトキシシラン(化6)(TDTS)(分子組成比1:1)のトルエン溶液(それぞれの濃度は、0.01mol/L)に2時間浸漬した。その後、ガラス基板を引き上げた後、トルエンですすぎ洗いし大気中で24時間放置した。
Figure 0005337971
Figure 0005337971
(3)抗菌防黴性銅ナノ粒子の固定
前述のフッ化炭素基及びチオール基を混合した状態で含む混合単分子膜を形成したガラス基板を、サイズがおよそ10nm程度の銅(Cu)ナノ粒子を1g/L程度で分散したエタノール溶液中に50℃で1時間程度浸漬して、チオール基と銅ナノ粒子を反応固定した。
その後、基板を引き上げた後、水洗乾燥することにより、銅ナノ粒子がチオレート結合を介して単層状でガラス基板表面に結合した防汚性抗菌防黴被膜を得た。
実施例2:防汚性抗菌防黴被膜の評価
(1)水滴接触角の測定
防汚性の目安となる水滴接触角の評価は、自動接触角計CA−VP型(協和界面科学株式会社)により行った。水滴の滴下量は、3μLで固定し、各サンプルにつき5点測定しその平均値と標準偏差により評価した。エキシマ光洗浄処理後のガラス基板、銅微粒子を固定した単分子膜を形成したガラス基板のそれぞれについて接触角を測定した。
エキシマ光洗浄処理後のガラス基板は、4.1度と低い値を示した。これは有機物による汚れが除去され、ヒドロキシル基が表面に露出したことにより親水性が増大したためである。さらに、フッ化炭素基と銅微粒子を有する単分子膜の形成後には、防汚性の目安となる(すでに、水滴接触角が大きいほど、被膜の表面エネルギーが小さく、防汚効果が高いことが知られている。)水滴接触角は、99度であった。
これに対して、実施例1に置いて、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランを除いた被膜では、防汚性の目安となる水滴接触角は、15度以下であった。これは、表面が酸化したCuの凸凹により、親水性が増大したためと考えられる。
すなわち、フッ化炭素基を含まない抗菌被膜では、防汚性は全くないことが確認された。
(2)抗菌試験
まず、使用する寒天培地(標準寒天培地、日水製薬株式会社)、及びシャーレをアルミホイルで包み、高温蒸気滅菌器(三洋電機メディカ MLS−3750)にて121℃で15分間滅菌を行なった。次に、寒天培地を作製したシャーレ上に大腸菌(NBRC3301 Escherichia coli)を殖菌し、インキュベータ(三洋電機メディカ MCO−17ALC)内にて、37℃で30分間培養を行なった。次に、大腸菌が繁殖した寒天培地上に、抗菌防黴処理群として防汚性抗菌防黴被膜を形成したガラス基板と、対照群として未処理のガラス基板とをそれぞれ置いて、再びインキュベータ内で培養を行なった。培養は9日間行い、その期間中(培養開始から2日、8日、及び9日経過後)に抗菌防黴処理群及び対照群について、培地表面の大腸菌の生育状況を目視にて確認し、その経時変化より抗菌効果を測定した。目視確認は、ガラス基板を取り除いた状態で行った。
抗菌防黴処理群及び対照群の両者について大腸菌の繁殖が確認できたが、対照群の方は寒天培地上で大腸菌がコロニーを形成しているのに対し、抗菌防黴処理群の方は寒天培地が全体的に白く濁った状態となっており、繁殖状態に違いが見られると共に、抗菌防黴処理群については、ガラス基板が載っていた部分のみ透明であった。このことから、抗菌防黴処理群において、防汚性抗菌防黴被膜と接触していた部分において大腸菌の増殖が抑制されていたこと、及びこのような抗菌防黴効果は、少なくとも14日間にわたり持続することが確認された。
なお、この試験後でも、水滴接触角は、全く変化がなかった。
10:防汚性抗菌防黴被膜
11:基材
12:フッ化炭素基を有する膜物質とチオール基を有する膜物質との混合単分子膜
13:銅(Cu)微粒子

Claims (10)

  1. 基材の表面に化学結合した膜物質が形成する防汚性の単分子膜と,該被膜との結合を介して前記基材の表面に固定された抗菌防黴性の金属原子、イオン又は金属微粒子とを有する防汚性抗菌防黴被膜であって、
    前記単分子膜は、分子の一端にフッ化炭素基を、他端に前記基材の表面と反応して結合を形成する第1の表面結合基を有する第1の膜化合物と、分子の一端に金属原子、イオン又は金属微粒子とチオレート結合を形成する結合基を、他端に前記基材の表面と反応して結合を形成する第2の表面結合基を有する第2の膜化合物とが分子レベルで混合された状態で前記基材の表面と反応し、前記表面結合基と前記基材の表面との反応により形成された化学結合を介して前記基材の表面に化学結合した混合単分子膜であり、
    前記金属原子、イオン又は金属微粒子は、前記結合基との間に形成されるチオレート結合を介して固定されていることを特徴とする防汚性抗菌防黴被膜。
  2. 前記第1及び第2の表面結合基が、アルコキシシリル基、ハロシリル基、チオール基、スルフィド基、及びカルボキシル基のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の防汚性抗菌防黴被膜。
  3. 前記金属原子、イオン又は金属微粒子が、Ag、Cu、Zn及びSnのいずれかの金属原子、イオン又は金属微粒子であることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項記載の防汚性抗菌防黴被膜。
  4. 前記基材が、建築物、自動車、船舶、航空機、列車、アパレル製品、宝飾品、及び装飾品のいずれかに使用される材料であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の防汚性抗菌防黴被膜。
  5. 分子の一端に基材の表面と結合を形成する第1の表面結合基を、他端にフッ化炭素基をそれぞれ有する第1の膜化合物、及び分子の一端に基材の表面と結合を形成する第2の表面結合基を、他端に第1の反応性基をそれぞれ有する第3の膜化合物を該基材の表面に接触させて、該第1及び第2の表面結合基と前記基材の表面との反応により形成された化学結合を介して前記基材の表面に結合した前記第1及び第3の膜物質の混合単分子膜を形成する工程Cと、前記第1の反応性基と結合を形成する第2の反応性基及び金属原子、イオン又は金属微粒子とチオレート結合を形成する結合基をそれぞれ有する分子を、前記第1及び第2の反応性基の反応により形成される結合を介して前記第3の膜物質に結合させ、前記第1及び第2の膜物質の混合単分子膜に変換する工程Dとからなり、分子の一端にフッ化炭素基を有する第1の膜物質、及び分子の一端に金属原子、イオン又は金属微粒子とチオレート結合を形成する結合基を有する第2の膜物質の混合単分子膜を基材の表面に形成する工程Aと、
    抗菌防黴性の金属原子、イオン又は金属微粒子と前記結合基との間で形成されるチオレート結合を介して、前記金属原子、イオン又は金属微粒子を前記混合単分子膜の表面に固定する工程Bとを有することを特徴とする防汚性抗菌防黴被膜の製造方法。
  6. 前記第1及び第2の表面結合基が、アルコキシシリル基、ハロシリル基、チオール基、スルフィド基、及びカルボキシル基のいずれかであることを特徴とする請求項記載の防汚性抗菌防黴被膜の製造方法。
  7. 前記金属原子、イオン又は金属微粒子が、Ag、Cu、Zn及びSnのいずれかの金属原子、イオン又は金属微粒子であることを特徴とする請求項5又は6記載の防汚性抗菌防黴被膜の製造方法。
  8. 前記基材が、建築物、自動車、船舶、航空機、列車、アパレル製品、宝飾品、及び装飾品のいずれかに使用される材料であることを特徴とする請求項のいずれか1項記載の防汚性抗菌防黴被膜の製造方法
  9. 請求項1〜4のいずれか1項記載の防汚性抗菌防黴被膜が表面に形成されていることを特徴とする製品。
  10. 建築物、自動車、船舶、航空機、列車、アパレル製品、宝飾品、及び装飾品のいずれかであることを特徴とする請求項記載の製品。
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