JPH09208411A - 抗菌防かび剤 - Google Patents

抗菌防かび剤

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JPH09208411A
JPH09208411A JP8013259A JP1325996A JPH09208411A JP H09208411 A JPH09208411 A JP H09208411A JP 8013259 A JP8013259 A JP 8013259A JP 1325996 A JP1325996 A JP 1325996A JP H09208411 A JPH09208411 A JP H09208411A
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JP
Japan
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group
antibacterial
metal
silane
compound
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Withdrawn
Application number
JP8013259A
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English (en)
Inventor
Akira Nishihara
明 西原
Tsunetoshi Honda
常俊 本田
Hideki Taniguchi
秀樹 谷口
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 幅広い抗菌効果を持続して付与することがで
きる抗菌防かび剤の提供。 【解決手段】 材料との強力な結合力を有する加水分解
性基と抗菌性を発揮するビグアニジル基を有し、さらに
このビグアニジル基が殺菌作用を有する銀、銅、亜鉛な
どの金属イオンにキレート結合している構造をもつビグ
アナイドシラン金属錯体化合物により種々の材料に抗菌
防かび性を付与する。材料の処理は、予め形成させたビ
グアナイドシラン金属錯体によっても、ビグアナイドシ
ランと金属化合物溶液とで順次処理することによっても
よい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属イオンの殺菌
性と、ビグアニジル基(−NHC(=NH)NHC(=NH)
NH−) の殺菌効果を利用し、基材に優れた抗菌防かび
性を付与するための新規な抗菌防かび剤、抗菌防かび処
理方法、および抗菌防かび処理された基材に関する。
【0002】本発明の抗菌防かび剤は、例えば、繊維や
織物、紙等の繊維性素材の抗菌・防臭処理剤として、さ
らには樹脂、塗料、接着剤等への添加剤としての利用が
可能である。また、各種建築材料の抗菌・防かび処理に
も使用できる。
【0003】
【従来の技術】従来、殺菌作用を有する金属イオンを材
料表面に保持する方法としては、殺菌作用を有する金属
イオンをゼオライトやハイドロアパタイトなどの無機物
担体に保持させて、これを材料中に練り込む方法がとら
れていた。この方法では殺菌性の金属を材料表面に効率
よく並べることが難しく、練り込んだ金属の多くは無駄
に材料内部に保持され、殺菌性を表さない。また、この
方法では、金属イオンの溶出が制御できず、殺菌作用の
持続性、人体への安全性が問題となる。さらに、このよ
うな方法で殺菌作用を有する金属を、木材、紙、天然繊
維等へ処理することは難しく、また特に繊維に対して処
理した場合、素材の風合いを損ない、吸水性を低下させ
るという欠点がある。
【0004】金属イオンを材料表面に保持する別の方法
として、特開平6-80522 号公報および特開平6-92808 号
公報には、アルコキシシリル基を有する配位子が金属イ
オンに配位した金属錯体化合物により材料に抗菌性を付
与することが開示されている。しかし、これらの抗菌処
理剤では抗菌性はもっぱら金属錯体化合物から解離した
金属イオンの抗菌作用によるものであり、抗菌性の点で
不十分であるとともに、耐久性、持続性が劣るという欠
点がある。
【0005】一方、加水分解可能な官能基を有するシラ
ン化合物の種々の表面への化学結合性を利用して、殺菌
活性を有する置換基をシラン化合物に導入し、材料表面
に抗菌性を付与する試みがなされてきた。殺菌性部位を
化学結合によって材料表面に固定化することにより、耐
久性、持続性が向上する、安全性が高まる、環境汚染が
ない等の利点が生じる。こうした殺菌活性部位として第
四級アンモニウム塩を有するシラン化合物が提案されて
いる(例えば、特開平2−6489号)が、殺菌性の低下、
表面の変色という問題の他に、繊維本来の吸水性、吸湿
性を損なうという欠点がある。このため、繊維本来の親
水性を損うことなく持続性に優れた抗菌性を付与する化
合物としてビグアニジル基含有シランが提供された(特
開平6-239877号公報)。この有機シラン化合物で材料を
処理すれば、持続性に優れた抗菌性を付与できるが、さ
らに幅広い抗菌性および抗菌性の持続が望まれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、広範な種類
の細菌、かびに対して優れた抗菌防かび性を付与するこ
とができ、しかも耐久性、持続性の良好な抗菌防かび剤
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ビグアニ
ジル基自身が殺菌効果を有し、かつキレート結合により
金属イオンを保持する能力を有することに着目し、少な
くとも一つの加水分解性基を有するビグアニジル基含有
シラン(以下、「ビグアナイドシラン」と略称すること
がある)と殺菌性を有する金属とから錯体化合物を形成
させることにより、ビグアニジル基と金属イオンの、異
なる作用機作に基づく殺菌効果を十分に発揮させること
ができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】ここに、本発明により、殺菌作用を有する
金属イオンと、少なくとも一つの加水分解性基を有する
ビグアニジル基含有シランとのキレート結合により形成
されるビグアニジル基含有シラン金属錯体化合物を有効
成分とする抗菌防かび剤が提供される。
【0009】また、本発明は、少なくとも一つの加水分
解性基を有するビグアニジル基含有シランを含む第1液
と、金属化合物溶液を含む第2液からなる抗菌防かび剤
も提供する。
【0010】さらに、本発明は、殺菌作用を有する金属
イオンと、少なくとも一つの加水分解性基を有するビグ
アニジル基含有シランとのキレート結合により形成され
るビグアニジル基含有シラン金属錯体化合物で基材表面
を処理することを特徴とする抗菌防かび処理方法、およ
びそのような方法で処理された基材、ならびに、基材表
面を、少なくとも一つの加水分解性基を有するビグアニ
ジル基含有シランを含む第1液で処理し、次いで、金属
化合物溶液を含む第2液で処理することを特徴とする抗
菌防かび処理方法、およびそのような方法で処理された
基材にも関する。
【0011】上記殺菌作用を有する金属イオンは銀、銅
および亜鉛からなる群より選ばれた1種または2種以上
の金属のイオンであるのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の抗菌防かび剤は、殺菌作
用を有する金属イオンとビグアナイドシランの配位子が
キレート結合したビグアナイドシラン金属錯体化合物を
有効成分とする。
【0013】ここで殺菌作用を有する金属イオンとして
は、銀、銅、金、鉛、白金、ニッケル、アルミニウム、
錫、亜鉛、鉄などがあるが、中でも銀、銅および亜鉛の
うちの1種または2種以上の金属のイオンが好ましい。
【0014】ビグアナイドシラン(少なくとも一つの加
水分解性基を有するビグアニジル基含有シラン)とは、
少なくとも一つの加水分解性基とビグアニジル基(−N
HC(=NH)NHC(=NH)NH−) を有するシラン化合
物である。ビグアニジル基は結合基を介してシリル基に
結合している。
【0015】ここで、「加水分解性の基」とは、一般に
シランカップリング剤において加水分解基として使用さ
れている基のことであり、具体的にはハロゲンまたはC
1 〜C5 アルコキシ基である。加水分解性などの点か
ら、ハロゲンとしては塩素が好ましく、アルコキシ基と
してはメトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
【0016】本発明で使用できるビグアナイドシランの
好適な例としては、下記一般式(I)で示される化合物が
ある。
【0017】 X123SiR1NHC(=NH)NH−C(=NH)NHZ (I) 上記式中、X1 〜X3 は1価の基であって、その内の少
なくとも一つは加水分解性の基であり、R1 はC1 〜C
30アルキレン基であり、Zは水素、C1 〜C20アルキル
基、または置換もしくは非置換フェニル基である。
【0018】X1 〜X3 の少なくとも一つは加水分解性
の基であり、好ましくはX1 〜X3の二つ以上が加水分
解性の基である。X1 〜X3 の全てが上記の加水分解性
の基であってもよいが、これらの基の内の2つまでは、
非加水分解性の1価基、具体的にはC1 〜C5 アルキル
基であってもよい。好ましいアルキル基の例はメチル基
およびエチル基である。
【0019】R1 は、シリル基 (X1 2 3 Si−)
とビグアニジル基とを結合する結合基であって、この結
合基はC1 〜C30アルキレン基から選ばれる。ここで
「アルキレン基」とは、直鎖および分岐鎖のいずれでも
よく、また炭化水素鎖中にオキシ基、アゾ基、チオ基、
ヒドロキシメチレン基、カルボニル基およびフェニレン
基から選ばれた介在基を含んでいてもよい。好ましいR
1 基は、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメ
チレンなどの低級アルキレン基である。しかし、殺菌性
や殺菌スペクトルを変化させるために、より長鎖のアル
キレン基を導入することもできる。
【0020】ビグアニジル基に結合する置換基Zによっ
て殺菌性や殺菌スペクトルが変化する。Zが水素、C1
〜C20アルキル基、または置換もしくは非置換フェニル
基である場合に、良好な殺菌性を得ることができる。
【0021】ZがC1 〜C20アルキル基である場合、こ
れは直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えばメチ
ル、プロピル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、デシ
ル、ドデシル、オクタデシル、エイコシルなどが例示さ
れる。Zが置換フェニル基である場合、フェニル環上の
置換基はハロゲン (例、クロロ) 、アルキル基 (例、メ
チル、エチルなど) 、フルオロアルキル基 (例、トリフ
ルオロメチル) 、ならびにアルコキシ基 (例、メトキ
シ) から選ぶことができる。置換フェニル基の置換基の
数は1個でも2個以上でもよい。置換基Zは、殺菌性や
殺菌スペクトルを考慮して選択すればよい。
【0022】本発明で用いるビグアナイドシランの具体
例を次に示すが、これは例示であって、本発明を制限す
るものではない。
【0023】
【化1】
【0024】ビグアナイドシランは例えば特開平6-2398
77号公報に記載の方法で製造できる。具体的には、一般
式:X123SiR1NH2 (式中、X1 〜X3 および
1 は上記と同じ意味) で表されるアミノシラン化合物
に、式:NC−N=C(SCH3)NH2 で表されるニト
リル化合物を反応させることにより、一般式:X 12
3SiR1NHC(= NH)NHCNのシアノグアニジル
基含有シラン化合物を製造することができる。次いで、
このシアノグアニジル基含有シラン化合物に、アンモニ
アまたは第一アミン (即ち、Z−NH2 、ここでZは上
記に同じ意味) を付加反応させることにより、一般式: X123SiR1NHC(=NH)NHC(=NH)NHZ で表されるビグアニジル基含有シラン化合物を製造する
ことができる。
【0025】ビグアニジル基含有シラン化合物は、有機
または無機酸の酸付加塩として製造してもよい。その場
合、必要であれば、反応後に塩基で処理することによっ
て酸根を除去して遊離塩基として金属錯体の製造に使用
することができる。
【0026】ビグアナイドシランと金属イオンとの錯体
である、本発明のビグアナイドシラン金属錯体化合物の
製造方法は、特に限定されないが、例えば、金属化合物
を溶解した溶液に、ビグアナイドシランを加えて、ビグ
アナイドシラン金属配位化合物を製造する方法がある。
【0027】この反応において使用する金属化合物とし
ては、殺菌性を有する金属イオンを生成する、ビグアナ
イドシランと反応可能な金属化合物が使用できるが、好
ましい具体例を例示すると、銀イオンの供給源としては
硝酸銀、酢酸銀、過塩素酸銀、銅イオンの供給源として
は塩化第二銅、塩化第一銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、
亜鉛イオンの供給源としては塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸
亜鉛、過塩素酸亜鉛、硝酸亜鉛等が挙げられる。
【0028】ビグアナイドシラン金属錯体化合物の製造
には、塩酸等の酸、水酸化ナトリウム等のアルカリ、活
性炭等の触媒を使用して反応を促進してもよい。
【0029】上記金属化合物は、ビグアナイドシランに
含まれる加水分解性の基(例、アルコキシシリル基)を
ただちには分解しない既知の溶媒に溶解して使用すれば
よく、このような溶媒としては、例えば、メタノール、
エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエ
チルエーテル、エチルメチルエーテル等のエーテル類;
アセトン、アセチルアセトン、エチルメチルケトン等の
ケトン類などが挙げられる。
【0030】ビグアナイドシラン金属錯体化合物の製造
において使用する金属化合物とビグアナイドシランとの
割合は、金属イオンの種類により異なり、具体的には例
えば、銀イオンを用いる場合は、ビクアナイドシランの
2倍当量が好ましい。
【0031】上記金属化合物とビグアナイドシランとを
反応させて金属錯体を形成させるための反応条件は特に
限定されないが、通常、反応温度は室温から100 ℃まで
の範囲で、反応時間は数分から1週間程度である。
【0032】得られたビグアナイドシラン金属錯体化合
物の化学構造は、赤外線吸収スペクトル(IRスペクト
ル)、可視および紫外光吸収スペクトル、核磁気共鳴ス
ペクトル(nmrスペクトル)、原子吸光スペクトルお
よび元素分析等の一般的分析手段により決定できる。n
mrスペクトル、元素分析スペクトル、IRスペクトル
では、ビグアナイドシランが本発明の金属錯体中に含ま
れることが確認でき、IR、可視および紫外光吸収スペ
クトルではビグアナイドシランが金属に配位しているこ
とを確認できる。
【0033】ビグアナイドシラン金属錯体化合物は優れ
た抗菌防かび性を有し、これを有効成分とする抗菌防か
び剤は、従来のシランカップリング剤による表面処理と
同様にして殺菌、殺藻、抗菌、防黴、防臭、防腐などを
目的として各種材料の処理を行なうことができる。金属
錯体化合物は得られた反応溶液をそのまま、あるいは用
途に応じて、水、アルコール類等の適当な溶媒に溶解さ
せた溶液として、材料を処理すればよい。繊維性素材の
処理では金属錯体化合物の溶液中に浸漬する等の方法で
処理すればよい。また、さらに表面との結合性を高める
ために表面処理した後に加熱処理を施してもよい。
【0034】従来のシランカップリング剤と同様、本発
明の化合物は少なくとも一つの加水分解性の基を含有し
ており、材料表面で材料中または空気中の水分により容
易に加水分解を受け、材料表面の官能基と結合して材料
に強固に付着し、その抗菌活性を発揮する。
【0035】このように、本発明では、ビグアナイドシ
ラン金属錯体化合物を予め形成しておいてこれを抗菌防
かび剤の有効成分として材料に適用してもよいが、以下
に述べるように、材料表面をビグアナイドシランおよび
金属化合物で順次処理することにより、最終的にビグア
ナイドシラン金属錯体化合物が材料表面に形成されるよ
うにして抗菌防かび性を付与する方法も可能である。
【0036】すなわち、本発明により、少なくとも一つ
の加水分解性基を有するビグアニジル基含有シランから
なる第1液と、金属化合物溶液からなる第2液からなる
抗菌防かび剤も提供される。
【0037】第1液は、前述のようにして製造したビグ
アナイドシランからなり、必要に応じ適宜溶媒に溶解さ
せ、これを用いて従来のシランカップリング剤による表
面処理と同様にして材料を処理する。加水分解性の基が
材料表面で加水分解し、材料表面の官能基と結合して固
定化される。表面との結合性を高めるために処理液を表
面に塗布した後、加熱処理を行ってもよい。
【0038】ビグアナイドシランで表面処理した材料を
乾燥後、金属化合物溶液からなる第2液でさらに材料を
処理する。第2液での処理方法としては、例えば、材料
を金属化合物溶液に浸漬する、あるいは材料に金属化合
物溶液を塗布する等の方法がある。金属化合物溶液に
は、必要に応じ、酸、アルカリ、活性炭等の錯体形成の
ための既知の触媒を添加しておいてもよい。このように
して、金属イオンが、材料表面に固定化されたビグアニ
ジル基にキレート結合により捕捉され、材料表面に固定
される。すなわち、材料表面にビグアナイドシラン金属
錯体が形成される。
【0039】この方法において使用する金属化合物とし
ては、殺菌性を有する金属イオンを生成する、ビグアナ
イドシランと反応可能な金属化合物であればいずれも使
用でき、好ましい具体例としては、上記ビグアナイドシ
ラン金属錯体化合物の製造において使用する金属化合物
と同様のものが挙げられる。金属化合物を溶解する溶媒
としては、水、アルコール等が使用できる。
【0040】本発明の抗菌防かび剤および抗菌防かび処
理方法には以下のような利点がある。
【0041】1)金属イオンが溶出することにより殺菌
作用を表すのに対し、ビグアニジル基は材料に固定され
た状態で接触により殺菌作用を表す。このように、本発
明の抗菌防かび剤では、異なる2つの殺菌作用を組み合
わせ、それぞれの効果を発揮させることにより、それぞ
れ単独の作用によるよりも抗菌スペクトルを広げること
ができ、優れた抗菌防かび性を付与することができる。
【0042】2)殺菌性を有する金属は、キレート結合
によりビグアナイドシランに保持されているので、その
溶出が調節でき、効果の持続性に優れている。さらに、
材料表面に固定化されたビグアニジル基が長期間にわた
り殺菌効果を発揮するので、さらに抗菌効果が持続す
る。
【0043】3)従来の練り込みによる方法では、金属
イオンでの抗菌処理が困難であった、木材、紙、天然繊
維等への抗菌処理が容易になる。特に、風合いを大切に
する天然繊維の処理に優れた効果を発揮する。
【0044】4)練り込みによる抗菌処理に比べて、金
属イオンとキレート結合したビグアナイドシランを材料
表面に効率よく固定することができるため、金属イオン
の使用量を最小限に抑えることができる。従って、これ
まで問題となっていた、金属イオン溶出の際の人体およ
び環境への毒性の問題が解決する。
【0045】本発明の抗菌防かび剤を適用する表面の材
質は、シランカップリング剤との結合が可能なものであ
ればよいが、特に繊維性素材への適用が有効である。具
体的には、スポーツ衣料、靴下、肌着、寝具、あるいは
浴室、台所、トイレ等の水廻りで使用されるタオルやマ
ット類等に使用される繊維性素材において特に高い実用
的価値を有するであろう。化合物による処理は、繊維性
素材自体、または製品化した後の繊維製品のいずれの状
態でも実施できる。
【0046】また、本発明の抗菌防かび剤を適用可能な
建築材料の例には、セメント系目地、ALC板、珪酸カ
ルシウム板、セメントおよびコンクリート系成形体、セ
メントモルタル、コンクリート下地、スレート板、ガラ
ス、金属パネルなどがある。例えば、浴室、トイレ等の
水回り、結露により黴が発生し易い下地材や内装材、外
壁、塀、屋根など、あらゆる部位に使用する建築材料に
本発明の抗菌処理剤を利用でき、それにより建物の美観
劣化や寿命低下を防止できる。
【0047】さらに、本発明の抗菌防かび剤は、樹脂、
塗料、接着剤等に添加することもできる。
【0048】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0049】
【実施例1】以下のようにして、ビグアナイドシランと
銀とをキレート結合させて金属錯体化合物Aを得た。
【0050】ビグアナイドシラン金属錯体の製造 使用するビグアナイドシランは次のようにして製造し
た:(CH3O)3 SiCH2CH2CH 2CH2NH2 にNC-N=C(SCH3)NH 2
を反応させ(CH3O)3 SiCH2CH2CH2CH2NHC(=NH)NHCN を得
る。次いでこのシアノグアニジル化合物にアニリンを付
加反応させ、(CH3O)3 SiCH2CH2CH2CH2NHC(=NH)NHC (=
NH)NHC6H5 を製造する。
【0051】このようにして得たビグアナイドシランの
1%水溶液100 mlを調製して80℃に加温しておく。この
水溶液に、攪拌しながら、予め調製しておいた硝酸銀2
%水溶液を100 ml滴下し、滴下後も攪拌を約2時間続
け、ビグアナイドシラン金属錯体Aを0.5 %の水溶液と
して得た。
【0052】
【実施例2】金属化合物として塩化銅を使用する以外
は、実施例1と同様にして、ビグアナイドシランと銅と
の金属錯体化合物Bを製造した。
【0053】
【実施例3】金属化合物として塩化亜鉛を使用する以外
は、実施例1と同様にして、ビグアナイドシランと亜鉛
との金属錯体化合物Cを製造した。
【0054】
【実施例4】抗菌性および吸水性試験 以上の実施例1〜3で得られた金属錯体化合物A〜Cを
使用して、その濃度が0.54重量%となるように水300 ml
に溶解し、この溶液に綿メリヤス生地30gを浸漬し、60
℃で1時間ゆっくり攪拌した。綿メリヤス生地を引き上
げ、絞り率100%となるように絞った後、90℃で15分間
乾燥した。
【0055】得られた繊維をAATCC-100 に準じた抗菌性
評価 [試験菌:クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiell
a pneumoniae)]およびJIS L-1018 A法に準じた吸水性の
評価を行った。
【0056】比較のために、下記化合物を使用して、上
記と同じ試験を行った。比較用化合物 化合物D:ビグアナイドシラン((CH3O)3 SiCH2CH2CH2C
H2NHC(=NH)NHC (=NH)NHC6H5 ) 化合物E:銀を担持したゼオライト(但し、銀の総量が
実施例1の化合物A中の銀の総量と等しくなるように溶
液を調製した。) これらの試験結果を次の表1にまとめて示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【実施例5】抗菌性および抗黴性試験(洗濯後) 実施例1〜3で得られた金属錯体化合物A〜Cを使用し
て、その濃度が0.54重量%となるように水300 mlに溶解
し、この溶液に綿布30gを浸漬し、60℃で1時間ゆっく
り攪拌した。綿布を引き上げ、絞り率100 %となるよう
に絞った後、90℃で15分間乾燥した。
【0059】得られた綿布をJIS0217-103 法に準じた方
法で10回洗濯後、AATCC-100 に準じた抗菌試験 [試験
菌:クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoni
ae)]およびハロー法による抗黴試験を行った。
【0060】比較のために、下記化合物を使用して、上
記と同じ試験を行った。比較用化合物 化合物D:ビグアナイドシラン((CH3O)3 SiCH2CH2CH2C
H2NHC(=NH)NHC (=NH)NHC6H5 ) 化合物E:銀を担持したゼオライト(但し、銀の総量が
実施例1の化合物A中の銀の総量と等しくなるように溶
液を調製した。) これらの試験結果を次の表2にまとめて示す。
【0061】
【表2】
【0062】1)抗黴性試験において用いた菌種とその評
価は以下の通りである。
【0063】菌種 試験(1) :アスペルギルス・ニガー (Aspergillus nige
r) 試験(2) :ペニシリウム・フレクエンタンス (Penicill
ium frequentans) 試験(3) :リゾプス (Rhizopus)評価 1:試料または試験片の接種した部分に認められる菌糸
の発育部分の面積が、全面積の1/3を超える。
【0064】2:試料または試験片の接種した部分に認
められる菌糸の発育部分の面積が、全面積の1/3を超
えない。
【0065】3:試料または試験片の接種した部分に菌
糸の発育が認められない。
【0066】上記試験結果から明らかなように、本発明
抗菌防かび剤で処理した繊維製品は、ビグアナイドシラ
ンのみによる処理、金属イオンのみによる処理に比べ、
洗濯後も十分な抗黴性および抗菌性を示す。
【0067】
【発明の効果】本発明の抗菌防かび剤の有効成分は、材
料との強力な結合力を有する加水分解性基と抗菌性を発
揮するビグアニジル基を有し、さらにこのビグアニジル
基が殺菌作用を有する金属イオンにキレート結合してい
る構造をもつビグアナイドシラン金属錯体化合物である
ので、2種類の異なる抗菌作用の組み合わせにより材料
に幅広い抗菌性を長期間持続して付与することができ
る。また、金属イオンは溶出した際の毒性が問題であっ
たが、ビグアナイドシランとのキレート結合により無駄
な溶出を調節でき、また練り込みによる金属処理と異な
って、金属を効率よく材料表面に固定化できるため金属
イオンの使用量を最小限に抑えることが可能であり、安
全性に優れている。さらに、練り込みなどによる金属処
理では困難であった木材、紙、天然繊維などへも抗菌処
理を行うことができ、天然繊維などの風合いを損なうこ
ともなく、広範な材料に対して有効な抗菌処理を行え
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 殺菌作用を有する金属イオンと、少なく
    とも一つの加水分解性基を有するビグアニジル基含有シ
    ランとのキレート結合により形成されるビグアニジル基
    含有シラン金属錯体化合物を有効成分とする抗菌防かび
    剤。
  2. 【請求項2】 殺菌作用を有する金属イオンが銀、銅お
    よび亜鉛からなる群より選ばれた1種または2種以上の
    金属のイオンである請求項1記載の抗菌防かび剤。
  3. 【請求項3】 少なくとも一つの加水分解性基を有する
    ビグアニジル基含有シランを含む第1液と、金属化合物
    溶液を含む第2液からなる抗菌防かび剤。
  4. 【請求項4】 殺菌作用を有する金属イオンと、少なく
    とも一つの加水分解性基を有するビグアニジル基含有シ
    ランとのキレート結合により形成されるビグアニジル基
    含有シラン金属錯体化合物で基材表面を処理することを
    特徴とする抗菌防かび処理方法。
  5. 【請求項5】 基材表面を、少なくとも一つの加水分解
    性基を有するビグアニジル基含有シランを含む第1液で
    処理し、次いで、金属化合物溶液を含む第2液で処理す
    ることを特徴とする抗菌防かび処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の方法で処理することより
    抗菌防かび性が付与された基材。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の方法で処理することによ
    り抗菌防かび性が付与された基材。
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