JPH10292057A - 化学吸着膜およびその製造方法とそれに用いる化学吸着液 - Google Patents

化学吸着膜およびその製造方法とそれに用いる化学吸着液

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JPH10292057A
JPH10292057A JP9225425A JP22542597A JPH10292057A JP H10292057 A JPH10292057 A JP H10292057A JP 9225425 A JP9225425 A JP 9225425A JP 22542597 A JP22542597 A JP 22542597A JP H10292057 A JPH10292057 A JP H10292057A
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JP
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group
film
solvent
chlorosilane
substrate
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JP9225425A
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English (en)
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Kazufumi Ogawa
小川  一文
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 化学吸着膜を形成する際、化学吸着液に化学
吸着剤と同系統の架橋剤を添加して吸着分子を架橋させ
ることにより、耐摩耗性に優れた被膜を提供する。 【解決手段】 化学吸着剤として、例えばCF3(C
27(CH22SiCl3を5wt%と、架橋剤として例
えばヘキサクロロジシロキサンを3wt%と、非水系の溶
媒であるシクロヘキサン(bp.80℃)92%とを混
合して化学吸着液を作成し、アルミニウム基材11に乾
燥雰囲気中で塗布し、溶媒を蒸発除去することにより、
分子が互いに絡み合った状態で架橋し、さらに基材表面
と共有結合したポリマー状の被膜12を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材表面に共有結
合で固定されており且つ複数のシロキサン結合により架
橋されている被膜である単分子膜状あるいはポリマー状
の耐摩耗性の高い化学吸着膜およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般にクロロシラン系の吸着剤と非水系
の有機溶媒よりなる化学吸着液を用い、液相で化学吸着
して単分子膜状の化学吸着膜を形成できることはすでに
よく知られている(特開平1−70917号公報等)。
このような溶液中での化学吸着単分子膜の製造原理は、
基材表面の水酸基などの活性水素とクロロシラン系の吸
着剤のクロロシリル基との脱塩酸反応を用いて単分子膜
を形成することにある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
化学吸着膜は吸着剤と基材との反応のみを用いているた
め、耐摩耗性に乏しいという問題があった。
【0004】本発明は、化学吸着膜を改良して耐摩耗性
に優れた被膜を提供することにより、ホットプレートや
炊飯器などの電化製品や自動車、産業機器、あるいは鏡
や眼鏡レンズ、インテリア用品、アパレル商品等、耐摩
耗性で且つ耐熱性、耐候性のコーティングを必要とする
基材の性能を向上させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の第1番目の化学吸着膜は、基材表面に化学
吸着膜を構成する分子が共有結合で固定されている化学
吸着膜であって、前記化学吸着膜はポリハロシランまた
はポリアルコキシシランの残基による複数のシロキサン
結合によりランダムな部分で架橋されているポリマー状
の被膜であることを特徴とする。
【0006】次に本発明の第2番目の化学吸着膜は、基
材表面に化学吸着膜を構成する分子が共有結合で固定さ
れている化学吸着膜であって、前記化学吸着膜はポリハ
ロシランまたはポリアルコキシシランの残基による複数
のシロキサン結合によりランダムな部分で架橋されてい
る単分子膜状の被膜であることを特徴とする。
【0007】前記した第1〜2番目の化学吸着膜によれ
ば、従来の化学吸着膜の摩耗に弱いという欠点を改良し
て、耐摩耗性に優れた被膜を提供できる。また製造方法
として、表面に活性水素基を含む基材に、クロロシリル
基と直鎖状炭素鎖を有するクロロシラン系の吸着剤と複
数のクロロシリル基を含むクロロシラン系の架橋剤と非
水系の有機溶媒(水をほとんど含まない溶剤)を混合し
て作成したクロロシラン系化学吸着液を接触させ、前記
基材表面と前記それぞれの分子とを反応させる工程と、
前記溶媒を蒸発させた後基板上の未反応のそれぞれの物
質を水と反応させる工程を含むことを特徴とするシロキ
サン結合により架橋されたポリマー状の化学吸着膜の製
造方法を提供する。このとき、吸着液に用いる非水系有
機溶媒の沸点を50〜100℃にしておくと、ポリマー
状の化学吸着膜から溶媒を除去する上で都合がよい。
【0008】さらに、他の製造方法として、表面に活性
水素基を含む基材に、クロロシリル基と直鎖状炭素鎖を
有するクロロシラン系の吸着剤と複数のクロロシリル基
を含むクロロシラン系の架橋剤と非水系の有機溶媒を混
合して作成したクロロシラン系化学吸着液を接触させ、
前記基材表面と前記それぞれの分子とを反応させる工程
と、非水系有機溶媒を用いて前記基材上に残った前記基
材と反応してない前記物質を洗浄除去する洗浄工程と、
前記溶媒を蒸発させた後基板上の未反応のそれぞれの物
質を水と反応させる工程を含むことを特徴とするシロキ
サン結合により架橋された単分子膜状の化学吸着膜の製
造方法を提供する。このとき、吸着液に用いる非水系有
機溶媒の沸点を100〜250℃にしておくと吸着液の
組成を安定させる上で都合がよい。また、クロロシラン
系吸着剤の炭素鎖の少なくとも一部がフッ化炭素基(−
CF2−)で置換されている物質を用いると撥水性の化
学吸着膜を提供でき、防汚効果を付与する上で都合がよ
い。さらにまた、クロロシラン系の吸着剤として、CF
3−(CF2n−(R)m−SiXpCl3-p(nは0また
は整数、Rはアルキル基、ビニル基、エチニル基、アリ
ール基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは
0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フ
ッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、p
は0、1または2)を用いるとより撥水性に優れた化学
吸着膜を提供できる。また、クロロシラン系の架橋剤と
して、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、又はC
l−(SiCl2O)n−SiCl3(但しnは整数)の
物質から選ばれる少なくとも一つを用いると耐摩耗性を
上げる上で都合がよい。基材は、表面に活性水素を含む
ものなら形状、材質は問わないが、金属、セラミック
ス、ガラス、プラスチック、紙、繊維、皮革に利用でき
る。なお、プラスチックや繊維が撥水性の場合、予め表
面を酸素を含むプラズマまたはコロナ雰囲気で処理して
親水性化したものを用いるとより耐摩耗効果の高い処理
が可能となる。また、処理工程は、すべて乾燥雰囲気中
(湿度35%以下なら良い)で行なう方がプロセスを安
定化する上で都合がよい。
【0009】なお、クロロシラン系の吸着剤とクロロシ
ラン系の架橋剤の代わりに、イソシアネート系の吸着剤
とイソシアネート系の架橋剤を用いると塩酸の発生がな
くて好都合である。
【0010】一方、表面に活性水素基を含む基材にアル
コキシ系の吸着剤とアルコキシ系の架橋剤と非水系の有
機溶媒にシラノール縮合触媒を添加混合して作成したア
ルコキシシラン系化学吸着液を接触させ、前記基材表面
と前記それぞれの薬剤とを反応させる工程と、前記溶媒
を蒸発させた後基板上の未反応のそれぞれの物質を水と
反応させる工程を含むことを用いてもシロキサン結合に
より架橋されたポリマー状の化学吸着膜を製造できる。
このとき、非水系有機溶媒の沸点を50〜100℃にし
ておくと、ポリマー状の化学吸着膜から溶媒を除去する
上で都合がよい。
【0011】また、表面に活性水素基を含む基材にアル
コキシ系の吸着剤とアルコキシ系の架橋剤と非水系の有
機溶媒にシラノール縮合触媒を添加混合して作成したア
ルコキシシラン系化学吸着液を接触させ、前記基材表面
と前記それぞれの分子とを反応させる工程と、非水系有
機溶媒を用いて前記基材上に残った前記基材と反応して
ない前記物質を洗浄除去する洗浄工程と、前記溶媒を蒸
発させた後基板上の未反応のそれぞれの物質を水と反応
させる工程を用いるとシロキサン結合により架橋された
単分子膜状の化学吸着膜を製造できる。このとき非水系
有機溶媒の沸点が100〜250℃であると吸着液の組
成を安定させる上で都合がよい。また、アルコキシ系の
架橋剤としてテトラアルコキシシラン、ヘキサアルコキ
シジシロキサン、オクタアルコキシトリシロキサン等を
用いると、耐摩耗性に優れ安定した被膜が得られる。さ
らに、シラノール縮合触媒としてカルボン酸金属塩、カ
ルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、
カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、または
チタン酸エステルキレート類を用いると安定した架橋性
能が得られる。また、シラノール縮合触媒として、酢酸
第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテ
ート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレ
ート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセ
テート、ジオクタンサン第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテ
ン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄等のカルボン酸
金属塩、ジオクチル錫ビスオクチルチオグリコール酸エ
ステル塩、ジオクチル錫マレイン酸エステル塩等のカル
ボン酸エステル金属塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマ
ー、ジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマー等の
カルボン酸金属塩ポリマー、ジブチル錫ビスアセチルア
セテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート等のカ
ルボン酸金属塩キレート、テトラブチルチタネート、テ
トラノニルチタネート等のチタン酸エステル、またはビ
ス(アセチルアセトニル)ジ−プロピルチタネート等の
チタン酸エステルキレート類を用いると短時間で製膜を
行える。さらにまた、アルコキシシラン吸着剤にフッ化
炭素基を含ませておくと撥水撥油性の化学吸着膜を製造
できる。また、フッ化炭素基を含むアルコキシシラン吸
着剤として、CF3−(CF2n−(R)m−SiX
p(OA)3-p(nは0または整数、Rはアルキル基、ビ
ニル基、エチニル基、アリール基、シリコン若しくは酸
素原子を含む置換基、mは0又は1、XはH,アルキル
基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素
アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1ま
たは2)、またはCF3COO−(CH2w−SiX
p(OA)3-p(ここで、wは整数、XはH,アルキル
基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素
アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1ま
たは2)で表される物質を用いると都合がよい。また、
基材には金属、セラミックス、ガラス、プラスチック、
紙、繊維、皮革等が利用可能である。さらに、プラスチ
ックや繊維は、予め表面を酸素を含むプラズマまたはコ
ロナ雰囲気で処理して親水性化した方が、より耐久性の
高い被膜を作製できる。また、非水系の溶媒として水を
含まない炭化水素系溶媒あるいはフッ化炭素系溶媒を用
いると都合がよい。
【0012】さらにまた、クロロシラン系吸着剤とクロ
ロシラン系の架橋剤と活性水素を含まない非水系溶媒を
混合した溶液を化学吸着液として提供できる。このと
き、クロロシラン系吸着剤がフッ化炭素基を含んでいる
と、撥水撥油性の被膜を形成できる化学吸着液となる。
また、非水系の溶媒として水を含まない炭化水素系溶
媒、シリコーン系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒を用
いると安定した化学吸着液になる。
【0013】一方、アルコキシシラン系吸着剤とアルコ
キシシラン系架橋剤と活性水素を含まない非水系溶媒と
シラノール縮合触媒を溶かした溶液を化学吸着液として
提供できる。この溶液のアルコキシシラン吸着剤がフッ
化炭素基を含むと撥水性の被膜を作製する上で都合がよ
い。また、シラノール縮合触媒として、カルボン酸金属
塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリ
マー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、
またはチタン酸エステルキレート類を用いると、効率よ
く化学吸着膜を作製できる化学吸着液になる。また、非
水系の溶媒として水を含まない炭化水素系溶媒、シリコ
ーン系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒を用いる安定し
た吸着液になる。
【0014】
【発明の実施の形態】前記した本発明の構成によれば、
基材表面に共有結合で固定されており且つ複数のシロキ
サン結合により架橋されているポリマー状の被膜である
ことにより、従来に比べ、より耐久性の高い被膜を提供
できる作用がある。
【0015】また、基材表面に共有結合で固定されてお
り且つ複数のシロキサン結合により架橋されてい単分子
膜状の被膜であることにより、従来に比べ、より耐久性
の高い被膜を提供できる作用がある。
【0016】また、表面に活性水素基を含む基材に、ク
ロロシリル基と直鎖状炭素鎖を有するクロロシラン系の
吸着剤と複数のクロロシリル基を含むクロロシラン系の
架橋剤と非水系の有機溶媒を混合して作成したクロロシ
ラン系化学吸着液を接触させ、前記基材表面と前記それ
ぞれの分子とを反応させる工程と、前記溶媒を蒸発させ
た後基板上の未反応のそれぞれの物質を水と反応させる
工程を含むことにより、シロキサン結合により架橋され
たポリマー状の化学吸着膜が形成でき、従来に比べ、よ
り耐久性の高い化学吸着膜を提供できる作用がある。
【0017】また、非水系有機溶媒の沸点が50〜10
0℃であることにより、ポリマー状の化学吸着膜が形成
でき、被膜中の溶媒の除去が極めて容易な作用がある。
また、表面に活性水素基を含む基材に、クロロシリル基
と直鎖状炭素鎖を有するクロロシラン系の吸着剤と複数
のクロロシリル基を含むクロロシラン系の架橋剤と非水
系の有機溶媒を混合して作成したクロロシラン系化学吸
着液を接触させ、前記基材表面と前記それぞれの分子と
を反応させる工程と、非水系有機溶媒を用いて前記基材
上に残った前記基材と反応してない前記物質を洗浄除去
する洗浄工程と、前記溶媒を蒸発させた後基板上の未反
応のそれぞれの物質を水と反応させる工程を含むことに
より、シロキサン結合により架橋された単分子膜状の化
学吸着膜を形成でき、より耐久性の高い単分子膜を提供
できる作用がある。
【0018】また、非水系有機溶媒の沸点が100〜2
50℃であることにより、単分子膜状の化学吸着膜を形
成でき、より膜厚ばらつきの少ない単分子膜を提供でき
る作用がある。
【0019】また、クロロシラン系吸着剤の炭素鎖の少
なくとも一部がフッ化炭素基(−CF2−)で置換され
ている物質を用いると、撥水性の高い単分子膜を提供で
きる作用がある。
【0020】また、クロロシラン系の吸着剤が、CF3
−(CF2n−(R)m−SiXpCl3-p(nは0また
は整数、Rはアルキル基、ビニル基、エチニル基、アリ
ール基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは
0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フ
ッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、p
は0、1または2)を用いると、より撥水性の高い単分
子膜を提供できる作用がある。
【0021】また、クロロシラン系の架橋剤として、S
iCl4 、SiHCl3 、SiH2Cl2 、又はCl−
(SiCl2O)n−SiCl3(但しnは整数)の物質
から選ばれる少なくとも一つを用いると、より耐久性の
高い単分子膜を提供できる作用がある。
【0022】また基材が、金属、セラミックス、ガラ
ス、プラスチック、紙、繊維、皮革から選ばれると、い
ずれの基材でも、表面の光沢や色調を損なわない被膜を
提供できる作用がある。
【0023】またプラスチックや繊維が、予め表面を酸
素を含むプラズマまたはコロナ雰囲気で処理して親水性
化したものであると、いずれの基材でも、表面の光沢や
色調を損なわない被膜を提供できる作用がある。
【0024】また処理工程がすべて乾燥雰囲気中で行な
われると、いずれの基材でも、安定した被膜を提供でき
る作用がある。また、クロロシラン系の吸着剤とクロロ
シラン系の架橋剤の代わりに、イソシアネート系の吸着
剤とイソシアネート系の架橋剤を用いると、いずれの基
材でもクロロシラン系の被膜と同様の被膜を、塩酸を発
生させずに形成できる作用がある。
【0025】さらにまた、表面に活性水素基を含む基材
に、アルコキシ系の吸着剤とアルコキシ系の架橋剤と非
水系の有機溶媒にシラノール縮合触媒を添加混合して作
成したアルコキシシラン系化学吸着液を接触させ、前記
基材表面と前記それぞれの分子とを反応させる工程と、
前記溶媒を蒸発させた後基板上の未反応のそれぞれの物
質を水と反応させる工程を含むと、いずれの基材でも、
クロロシラン系の被膜と同様の被膜を、塩酸を発生させ
ずに形成できる作用がある。
【0026】また非水系有機溶媒の沸点が50〜100
℃であると、被膜中の溶媒の除去が極めて容易となる作
用がある。一方、表面に活性水素基を含む基材にアルコ
キシ系の吸着剤とアルコキシ系の架橋剤と非水系の有機
溶媒にシラノール縮合触媒を添加混合して作成したアル
コキシシラン系化学吸着液を接触させ、前記基材表面と
前記それぞれの分子とを反応させる工程と、非水系有機
溶媒を用いて前記基材上に残った前記基材と反応してな
い前記物質を洗浄除去する洗浄工程と、前記溶媒を蒸発
させた後基板上の未反応のそれぞれの物質を水と反応さ
せる工程を含むと、いずれの基材でも、単分子膜状の化
学吸着膜を、クロロシラン系の被膜と同様の被膜を塩酸
の発生なく提供できる作用がある。
【0027】また非水系有機溶媒の沸点が100〜25
0℃であると、より膜厚ばらつきの少ない単分子膜を提
供できる作用がある。また、アルコキシ系の架橋剤とし
てテトラアルコキシシラン、ヘキサアルコキシジシロキ
サン、オクタアルコキシトリシロキサンを用いると、よ
り耐久性の高い単分子膜を提供できる作用がある。
【0028】またシラノール縮合触媒としてカルボン酸
金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩
ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステ
ル、またはチタン酸エステルキレート類を用いると、よ
り耐久性の高い単分子膜を提供できる作用がある。
【0029】また、シラノール縮合触媒として、酢酸第
1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテー
ト、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレー
ト、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテ
ート、ジオクタンサン第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン
酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄等のカルボン酸金
属塩、ジオクチル錫ビスオクチルチオグリコール酸エス
テル塩、ジオクチル錫マレイン酸エステル塩等のカルボ
ン酸エステル金属塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマ
ー、ジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマー等の
カルボン酸金属塩ポリマー、ジブチル錫ビスアセチルア
セテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート等のカ
ルボン酸金属塩キレート、テトラブチルチタネート、テ
トラノニルチタネート等のチタン酸エステル、またはビ
ス(アセチルアセトニル)ジ−プロピルチタネート等の
チタン酸エステルキレート類を用いると、より耐久性の
高い単分子膜を短時間で提供できる作用がある。
【0030】また、少なくともアルコキシシラン吸着剤
がフッ化炭素基(−CF2−)を含むと、耐久性が高く
かつ撥水撥油性の高い被膜を提供できる作用がある。ま
た、少なくともフッ化炭素基を含むアルコキシシラン吸
着剤として、CF3−(CF2n−(R)m−SiX
p(OA)3-p(nは0または整数、Rはアルキル基、ビ
ニル基、エチニル基、アリール基、シリコン若しくは酸
素原子を含む置換基、mは0又は1、XはH,アルキル
基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素
アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1ま
たは2)、またはCF3COO−(CH2w−SiX
p(OA)3-p(ここで、wは整数、XはH,アルキル
基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素
アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1ま
たは2)で表される物質を用いると、さらに耐久性が高
くかつ撥水撥油性の高い被膜を提供できる作用がある。
【0031】また、基材が、金属、セラミックス、ガラ
ス、プラスチック、紙、繊維、皮革から選ばれると、表
面の色調や光沢を損なわずに被膜を形成できる。またプ
ラスチックや繊維が、予め表面を酸素を含むプラズマま
たはコロナ雰囲気で処理して親水性化したものである
と、より耐久性が高くかつ撥水撥油性の高い被膜を提供
できる作用がある。
【0032】また非水系の溶媒として水を含まない炭化
水素系溶媒あるいはフッ化炭素系溶媒を用いると、より
安定したプロセスで被膜を提供できる作用がある。ま
た、少なくともクロロシラン系吸着剤とクロロシラン系
の架橋剤と活性水素を含まない非水系溶媒を含むと、、
より耐久性の高い被膜を提供できる作用がある。
【0033】また、クロロシラン系吸着剤がフッ化炭素
基を含む化学吸着液であると、より撥水撥油性の高い被
膜を提供できる作用がある。また、化学吸着液の非水系
の溶媒として水を含まない炭化水素系溶媒、シリコーン
系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒を用いると、より安
定した被膜形成プロセスを提供できる作用がある。
【0034】さらに、少なくともアルコキシシラン系吸
着剤とアルコキシシラン系架橋剤と活性水素を含まない
非水系溶媒とシラノール縮合触媒を含む化学吸着液であ
ると、クロロシラン系の吸着液と同様に、より耐久性の
高い被膜を提供できる作用がある。
【0035】また、アルコキシシラン吸着剤がフッ化炭
素基を含むと、クロロシラン系の吸着液と同様に、撥水
撥油性の高い被膜を提供できる作用がある。またシラノ
ール縮合触媒が、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステ
ル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属
塩キレート、チタン酸エステル、またはチタン酸エステ
ルキレート類であると、さらに撥水撥油性の高い被膜を
提供できる作用がある。
【0036】また、非水系の溶媒として水を含まない炭
化水素系溶媒、シリコーン系溶媒、またはフッ化炭素系
溶媒を用いると、安定したプロセスで撥水撥油性の高い
被膜を提供できる作用がある。
【0037】以下本発明の実施の形態について説明す
る。 (実施の形態1)第1の製造方法として、表面に活性水
素基を含む基材に、クロロシリル基と直鎖状炭素鎖を有
するクロロシラン系の吸着剤と複数個のクロロシリル基
を含むクロロシラン系の架橋剤と非水系の有機溶媒を混
合して作成したクロロシラン系化学吸着液を接触させ、
前記基材表面と前記それぞれの分子とを反応させる工程
と、前記溶媒を蒸発させた後基板上の未反応のそれぞれ
の物質を水と反応させる工程とによりシロキサン結合に
より架橋されたポリマー状の化学吸着膜の製造方法を説
明する。
【0038】例えば、クロロシリル基と直鎖状炭素鎖を
有するクロロシラン系の吸着剤(例えば、炭化水素系ま
たはフロロカーボン系吸着剤等)と複数個のクロロシリ
ル基を含むクロロシラン系の架橋剤と非水系の有機溶媒
を含む溶液を、表面に水酸基すなわち活性水素を含むガ
ラス基材の表面に塗布し、30分間程度放置する。この
とき、ガラス基材表面には親水性のOH基が多数存在す
るので、表面で脱塩酸反応が生じ、クロロシリル基と直
鎖状炭素鎖を有するクロロシラン系の吸着剤と複数個の
クロロシリル基を含むクロロシラン系の架橋剤が同時に
吸着固定される。その後、非水系有機溶媒を蒸発させ、
さらに水(例えば空気中の水分)と反応させる(この水
分との反応も前記同様脱塩化水素反応によって進行す
る)と、基材表面に化学吸着した膜厚5〜10nm程度
のポリマー状の化学吸着膜が形成される。
【0039】なお、この場合、クロロシリル基を含む物
質を含有する溶液の有機溶媒の沸点は、低いほど早く蒸
発除去できるので都合がよいが、取扱いの上では50〜
100℃程度がよい。
【0040】(実施の形態2)他の製造方法として、表
面に活性水素基を含む基材に、クロロシリル基と直鎖状
炭素鎖を有するクロロシラン系の吸着剤と複数のクロロ
シリル基を含むクロロシラン系の架橋剤と非水系の有機
溶媒を混合して作成したクロロシラン系化学吸着液を接
触させ、前記基材表面と前記それぞれの分子とを反応さ
せる工程と、非水系有機溶媒を用いて前記基材上に残っ
た前記基材と反応してない前記物質を洗浄除去する洗浄
工程と、前記溶媒を蒸発させた後基板上の未反応のそれ
ぞれの物質を水と反応させる工程とによりシロキサン結
合により架橋された単分子膜状の化学吸着膜の製造方法
を説明する。
【0041】例えば、実施の形態1同様にクロロシリル
基と直鎖状炭素鎖を有するクロロシラン系の吸着剤と複
数個のクロロシリル基を含むクロロシラン系の架橋剤と
非水系の有機溶媒を含む溶液をガラス基材表面に塗布あ
るいは接触させて、30分間程度放置する。このとき、
ガラス基材表面には親水性のOH基が多数存在するの
で、表面で脱塩酸反応が生じ、クロロシリル基と直鎖状
炭素鎖を有するクロロシラン系の吸着剤と複数個のクロ
ロシリル基を含むクロロシラン系の架橋剤が同時に吸着
固定される。次に、非水系溶媒例えばクロロホルムで良
く洗浄した後、さらに水と反応させると余分な吸着剤や
架橋剤を含む溶液が除去されて膜厚1〜3nmの単分子
膜が形成される。
【0042】なお、この場合には、クロロシリル基を含
む物質を含有する溶液の非水系の有機溶媒の沸点は、高
いほどゆっくり蒸発し吸着時間を長くできるので都合が
よいが、取扱いの上では100〜250℃がよい。
【0043】なお、前記実施の形態1及び2において使
用可能なクロロシラン系の化学吸着剤として、例えば、
フッ化炭素基(−CF2−)とクロロシリル基
【0044】
【化1】
【0045】とを含む物質や炭化水素基とクロロシリル
基を含む下記式(化2〜3)のような物質が挙げられ
る。
【0046】
【化2】CF3−(CF2n−(R)m−SiXpCl3-p (但しnは0または整数、好ましくは1〜22の整数、
Rはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エチニル基、
シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又は
1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素ア
ルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、pは0、
1または2)
【0047】
【化3】CH3−(CH2n−(R)m−SiXpCl3-p (但しnは0または整数、好ましくは1〜22の整数、
Rはアルキル基、フェニル基、ビニル基、エチニル基、
シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又は
1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素ア
ルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、pは0、
1または2) さらにまた下記式(化4)に示す(1)-(5)が挙げられ
る。
【0048】
【化4】 (1) CH3−(CH2rSiXpCl3-p (2) CH3−(CH2rSiXpCl3-p (3) CH3(CH2sO(CH2tSiXpCl3-p (4) CH3(CH2u−Si(CH32(CH2v−S
iXpCl3-p (5) CF3COO(CH2wSiXpCl3-p (但し、好ましい範囲としてrは1〜25、sは0〜1
2、tは1〜20、uは0〜12、vは1〜20、wは
1〜25を示す。) なお、フッ化炭素基基とクロロシリル基とを含む化合物
を用いると、撥水性、撥油性、防汚性及び滑性等が付与
されるため好ましい。
【0049】さらに、具体的な吸着化合物として下記式
(化5)に示す(1)-(7)が挙げられる。
【0050】
【化5】 (1) CH3CH2O(CH215SiCl3 (2) CH3(CH22Si(CH32(CH215Si
Cl3 (3) CH3(CH26Si(CH32(CH29 Si
Cl3 (4) CH3COO(CH215SiCl3 (5) CF3(CF27−(CH22−SiCl3 (6) CF3(CF25−(CH22−SiCl3 (7) CF3(CF27−C64−SiCl3 また、クロロシラン系の架橋剤として、SiCl4、S
iHCl3、SiH2Cl2、またはCl−(SiCl
2O)n−SiCl3(但しnは整数)で表される化合物
を用いることが可能である。
【0051】また、上記クロロシラン系の化学吸着剤の
代わりに、全てのクロロシリル基をイソシアネート基に
置き換えたイソシアネート系の化学吸着剤、例えば下記
式(化6)に示す(1)-(5)が挙げられる。
【0052】
【化6】 (1) CH3−(CH2rSiXp(NCO)3-p (2) CH3−(CH2rSiXp(NCO)3-p (3) CH3(CH2sO(CH2tSiXp(NCO)
3-p (4) CH3(CH2u−Si(CH32(CH2v−S
iXp(NCO)3-p (5) CF3 COO(CH2wSiXp(NCO)3-p (但し、好ましい範囲としてrは1〜25、sは0〜1
2、tは1〜20、uは0〜12、vは1〜20、wは
1〜25を示す。) さらに、前記の吸着剤に加えて、下記式(化7)に示す
(1)-(7)の具体的吸着化合物が挙げられ、いずれも実施
の形態1及び2と同様に使用できる。
【0053】
【化7】 (1) CH3CH2O(CH215Si(NCO)3 (2) CH3(CH22Si(CH32(CH215Si
(NCO)3 (3) CH3(CH26Si(CH32(CH29Si
(NCO)3 (4) CH3COO(CH215Si(NCO)3 (5) CF3(CF27−(CH22−Si(NCO)3 (6) CF3(CF25−(CH22−Si(NCO)3 (7) CF3(CF27−C64−Si(NCO)3 この場合は、塩酸が発生しないメリットもある。
【0054】また、クロロシリル基やイソシアネート基
を含む物質の濃度は、用いるクロロシリル基を含む吸着
剤と架橋剤と溶媒の種類によって異なるが、0.01重
量〜100重量パーセント(好ましくは0.1重量〜3
0重量パーセント程度)で使用できる。また、吸着剤の
アルキル鎖部分にビニル基やエチニル基を付加したり組
み込んでおけば、膜形成後5メガラド程度の電子線照射
で架橋できるので、さらに薄膜の強度を向上させること
も可能である。
【0055】一方、使用できる基材としては、表面に活
性水素を含む官能基(例えば、水酸基(−OH))を持
つ基材があり、Al、Cu若しくはステンレス等の金
属、ガラス、セラミックス、紙、繊維、皮革その他親水
性基材が挙げられる。この水酸基にクロロシリル基やイ
ソシアネート基を有する炭化水素系吸着剤やフロロカー
ボン系吸着剤を反応させることができる。なお、プラス
チックの様な表面に水酸基を持たない物質であれば、予
め表面を酸素を含むプラズマ雰囲気中で、例えば100
Wで20分処理若しくはコロナ処理して親水性化即ち表
面に水酸基を導入しておけばよい。もっとも、ポリアミ
ド樹脂やポリウレタン樹脂の場合は、表面にイミノ基
(>NH)が存在しており、このイミノ基(>NH)の
水素と化学吸着剤のクロロシリル基
【0056】
【化8】
【0057】とが脱塩化水素反応し、シロキサン結合
【0058】
【化9】
【0059】を形成するのでとくに表面処理を必要とし
ない。また、クロロシリル基を含む物質を含有する溶液
を塗布するときに用いる乾燥雰囲気は乾燥空気、窒素ガ
ス等の湿度が少ないガスかほとんど含まないガスが挙げ
られる。
【0060】さらに、活性水素を含まない非水系溶媒と
しては、水を含まない炭化水素系溶媒あるいはフッ化炭
素系溶媒やシリコーン系溶媒を用いることが可能である
が、特に沸点が50〜300℃のものが使用し易い。な
お、石油系の溶剤の他に具体的に使用可能なものは、石
油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベン
ジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリ
ン、工業ガソリン、灯油、リグロイン、ジメチルシリコ
ーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、
ポリエーテルシリコーン等を挙げることができる。ま
た、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナ
ート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)等
がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良
く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。
【0061】(実施の形態3)一方、表面に活性水素基
を含む基材にアルコキシシラン系の吸着剤(界面活性
剤)とアルコキシシラン系の架橋剤と非水系の有機溶媒
にシラノール縮合触媒を添加混合して作成したアルコキ
シシラン系化学吸着液を接触させ、前記基材表面と前記
それぞれの分子とを反応させる工程と、前記溶媒を蒸発
させた後基板上の未反応のそれぞれの物質を水と反応さ
せる工程を用いてもシロキサン結合により架橋されたポ
リマー状の化学吸着膜を作製できる。
【0062】たとえば、ステンレス基材(活性水素を表
面に含む基材なら何でも良い)を準備して、アルカリ洗
剤等で良く洗った後水洗して脱脂する。次に、アルコキ
シシラン系吸着剤とアルコキシシラン系架橋剤と非水系
の有機溶媒とシラノール縮合触媒として例えばカルボン
酸金属塩キレートであるn−ジブチル錫ビスアセチルア
セトネートを混合した化学吸着液を作成し、窒素ガス雰
囲気中(湿度35%以下であれば空気中でも良い)で7
0℃に加熱しながら前記ステンレス基材を10分間程度
浸漬する。その後、前記吸着液から取り出し基板表面に
残った吸着液中の前記有機溶媒を蒸発させると基材表面
にシラノール縮合触媒を含んだ前記アルコキシシラン系
吸着剤とアルコキシシラン系の架橋剤よりなる被膜が形
成される。このとき吸着液の加熱は、溶媒の蒸発時間を
短くする効果がある。その後、さらに大気中に取り出し
て室温で空気中の水分と反応させると、ステンレス板表
面に直接Siを介して共有結合した膜厚約5〜10nm
のポリマー膜状の被膜が形成される。
【0063】(実施の形態4)また、表面に活性水素基
を含む基材にアルコキシ系の吸着剤とアルコキシ系の架
橋剤と非水系の有機溶媒にシラノール縮合触媒を添加混
合して作成したアルコキシシラン系化学吸着液を接触さ
せ、前記基材表面と前記それぞれの分子とを反応させる
工程と、非水系有機溶媒を用いて前記基材上に残った前
記基材と反応してない前記物質を洗浄除去する洗浄工程
と、前記溶媒を蒸発させた後基材上の未反応のそれぞれ
の物質を水と反応させる工程を用いるとシロキサン結合
により架橋された単分子膜状の化学吸着膜の製造方法で
きる。
【0064】例えば、活性水素を表面に含む基材(例え
ば青板ガラス板)を準備して、アルカリ洗剤等で良く洗
った後水洗して脱脂する。次に、前記ガラス板をアルコ
キシシラン系吸着剤とアルコキシシラン系架橋剤と非水
系の有機溶媒とシラノール縮合触媒として例えばカルボ
ン酸金属塩キレートであるn−ジブチル錫ビスアセチル
アセトネートを混合した化学吸着液に窒素ガス雰囲気中
(相対湿度35%以下であれば空気中でも良い)で前記
ステンレス基材を1時間間浸漬する。その後、前記吸着
液から取り出し非水系の有機溶剤で良く洗浄した後空気
中の水分と反応させると、ガラス板表面に直接Siを介
して共有結合したアルコキシシラン系の吸着剤とアルコ
キシシラン系の架橋剤が混合して形成された膜厚1〜3
nmの単分子膜状の被膜が1層形成される。
【0065】なお、上記実施形態3および4において、
アルコキシシランを含む化学吸着液に触媒を添加してお
くと、吸着液と基材が接触した界面では、アルコキシシ
ラン吸着剤およびアルコキシシラン架橋剤のアルコキシ
シシラン基
【0066】
【化10】
【0067】と基材表面に吸着した水分及び表面の水酸
基とで、下記式(化11)のような反応が進行する。
【0068】
【化11】
【0069】従って、この処理により、基材と吸着液の
界面では、少なくともアルコキシシラン吸着剤及び架橋
剤がSi原子を介して基材表面に共有結合で固定された
極めて薄く耐摩耗性の高い単分子状の被膜が形成でき
る。
【0070】なお、上記実施の形態3および4において
は、この反応式から明かなように、水が重要な反応要素
であることが解る。すなわち、化学吸着液に水が含まれ
ていると、基材表面と反応する前にアルコキシ基が自ら
架橋してしまい、固液界面での反応が阻害されて化学吸
着膜ができにくくなる。そこで、化学吸着液中の水分は
可能な限り少なくしておく必要がある。できれば10p
pm以下が望ましい。
【0071】また、上記実施形態で使用可能なアルコキ
シシラン吸着剤として、一般にSiXp(OA)4-p(X
はH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル
基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル
基、pは0、1、2または3)で表される物質を用いる
ことが可能である。中でも、CF3−(CF2n
(R)m−SiXp(OA)3-p(nは0または整数、R
はアルキル基、ビニル基、エチニル基、アリール基、シ
リコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又は1、
XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキ
ル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル
基、pは0、1または2)で表される物質を用いると、
よりすぐれた撥水撥油性の被膜を形成できるが、これに
限定されるものではなく、これ以外にも、CH3−(C
2r−SiXp(OA)3-p及びCH3−(CH2s
O−(CH2t−SiXp(OA)3-p,CH3−(C
2u−Si(CH32−(CH2v−SiXp(O
A)3-p,CF3COO−(CH2w−SiXp(OA)
3-p(ここで、好ましい範囲としてrは1〜25、sは
0〜12、tは1〜20、uは0〜12、vは1〜2
0、wは1〜25を示す。XはH,アルキル基,アルコ
キシル基,含フッ素アルキル基又は含フッ素アルコキシ
基の置換基、Aはアルキル基、pは0、1または2)等
が使用可能である。
【0072】また、吸着剤のアルキル鎖部分にビニル基
やエチニル基を付加したり組み込んでおけば、膜形成後
5メガラド程度の電子線照射で架橋できるので、さらに
薄膜の強度を向上させることも可能である。
【0073】さらに、より具体的な分子は、下記式(化
12)に示す(1)-(24)を挙げることができる。
【0074】
【化12】 (1) CH3CH2O(CH215Si(OCH33 (2) CF3CH2O(CH215Si(OCH33 (3) CH3(CH22Si(CH32(CH215Si
(OCH33 (4) CH3(CH26Si(CH32(CH29Si
(OCH33 (5) CH3COO(CH215Si(OCH33 (6) CF3(CF25(CH22Si(OCH33 (7) CF3(CF27−C64−Si(OCH33 (8) CH3CH2O(CH215Si(OC253 (9) CH3(CH22Si(CH32(CH215Si
(OC253 (10) CH3(CH26Si(CH32(CH29Si
(OC253 (11) CF3(CH26Si(CH32(CH29Si
(OC253 (12) CH3COO(CH215Si(OC253 (13) CF3COO(CH215Si(OC253 (14) CF3COO(CH215Si(OCH33 (15) CF3(CF29(CH22Si(OC253 (16) CF3(CF27(CH22Si(OC253 (17) CF3(CF25(CH22Si(OC253 (18) CF3(CF2764Si(OC253 (19) CF3(CF29(CH22Si(OCH33 (20) CF3(CF25(CH22Si(OCH33 (21) CF3(CF27(CH22SiCH3(OC
252 (22) CF3(CF27(CH22SiCH3(OCH3
2 (23) CF3(CF27(CH22Si(CH3)2OC25 (24) CF3(CF27(CH22Si(CH3)2OCH3 なお、実施の形態3および4において使用する吸着液中
のアルコキシシラン吸着剤と架橋剤の濃度は、0.1重
量〜100重量パーセント(好ましくは0.1重量〜3
0重量パーセント程度)で使用できる。
【0075】一方、アルコキシシラン系の架橋剤とし
て、テトラアルコキシシラン、ヘキサアルコキシジシロ
キサン、オクタアルコキシトリシロキサンが使用可能で
あり、濃度は、およそ0.01〜50重量%が適当であ
るが、吸着剤に対しては10〜30重量%程度がより好
ましい。
【0076】また、上記実施の形態3および4における
シラノール縮合触媒としては、カルボン酸金属塩、カル
ボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カ
ルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、またはチ
タン酸エステルキレート類を利用できるが、特に、シラ
ノール縮合触媒として、酢酸第1錫、ジブチル錫ジラウ
レート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテ
ート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオク
テート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタンサン第
1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチル
ヘキセン酸鉄等のカルボン酸金属塩、ジオクチル錫ビス
オクチルチオグリコール酸エステル塩、ジオクチル錫マ
レイン酸エステル塩等のカルボン酸エステル金属塩、ジ
ブチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジメチル錫メルカプト
プロピオン酸塩ポリマー等のカルボン酸金属塩ポリマ
ー、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫
ビスアセチルラウレート等のカルボン酸金属塩キレー
ト、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート
等のチタン酸エステル、またはビス(アセチルアセトニ
ル)ジ−プロピルチタネート等のチタン酸エステルキレ
ート類を用いることがより好ましい。
【0077】特に、カルボン酸金属塩およびカルボン酸
金属塩キレート類を用いれば、安定した化学吸着膜が得
られる。なお、シラノール縮合触媒の好ましい添加量
は、吸着剤及び架橋剤に対して0.1〜25重量%であ
る。
【0078】なお、単にアルコキシ基から脱アルコール
反応を生じさせるのであれば、シラノール縮合触媒の代
わりに鉱酸や有機酸も用いることが可能であるが、前述
の如く化学吸着液に水分が入るのは好ましくない。した
がって、利用できる触媒は前述のシラノール縮合触媒に
限定される。
【0079】さらに、活性水素を含まない非水系溶媒と
しては、水を含まない炭化水素系溶媒あるいはフッ化炭
素系溶媒やシリコーン系溶媒を用いることが可能である
が、特に沸点が50〜300℃のものが使用し易い。な
お、石油系の溶剤の他に具体的に使用可能なものは、石
油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベン
ジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリ
ン、工業ガソリン、灯油、リグロイン、ジメチルシリコ
ーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、
ポリエーテルシリコーン等を挙げることができる。ま
た、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナ
ート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)等
がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良
く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。
【0080】また、使用できる基材としては、表面に活
性水素(例えば水酸基(−OH))を含む基材、例えば
Al、Cu若しくはステンレス等の金属、ガラス、セラ
ミックス、紙、天然繊維、皮革その他親水性基材が挙げ
られる。なお、プラスチックや合成繊維のような表面に
水酸基を持たない物質であれば、予め表面を酸素を含む
プラズマ雰囲気中で、例えば100Wで20分程度処理
若しくはコロナ処理して親水性化即ち表面に水酸基を導
入しておけばよい。
【0081】もっとも、ポリアミド樹脂やポリウレタン
樹脂の場合は、表面にイミノ基(>NH)が存在してお
り、このイミノ基(>NH)の活性水素と化学吸着剤の
アルコキシシリル基
【0082】
【化13】
【0083】とが脱アルコール反応し、シロキサン結合
【0084】
【化14】
【0085】を形成するのでとくに表面処理を必要とし
ない。たとえば、基材がナイロンやポリウレタンの場合
には、表面にはイミノ基(活性水素が含まれている)が
たくさん露出しているのでガラス板と同様の方法で化学
吸着単分子膜を形成できる。
【0086】なお、本発明は下記の様な用途に広く適用
できる。 (a)基材の例;基材が金属、セラミックスまたはプラ
スチック、木材、石材からなる材料に適用できる。表面
は塗料などで塗装されていても良い。 (b)刃物の例:包丁、鋏、ナイフ、カッター、彫刻
刀、剃刀、バリカン、鋸、カンナ、ノミ、錐、千枚通
し、バイト、ドリルの刃、ミキサーの刃、ジューサーの
刃、製粉機の刃、芝刈り機の刃、パンチ、押切り、ホッ
チキスの刃、缶切りの刃、または手術用メス等。 (c)針の例:鍼術用の針、縫い針、ミシン針、畳針、
注射針、手術用針、安全ピン等。 (d)窯業製品の例:陶磁器製、ガラス製、セラミック
ス製またはほうろうを含む製品等。例えば衛生陶磁器
(例えば便器、洗面器、風呂等)、食器(例えば、茶
碗、皿、どんぶり、湯呑、コップ、瓶、コーヒー沸かし
容器、鍋、すり鉢、カップ等)、花器(水盤、植木鉢、
一輪差し等)、水槽(養殖用水槽、鑑賞用水槽等)、化
学実験器具(ビーカー、反応容器、試験管、フラスコ、
シャーレ、冷却管、撹拌棒、スターラー、乳鉢、バッ
ト、注射器)、瓦、タイル、ほうろう製食器、ほうろう
製洗面器、ほうろう製鍋。 (e)鏡の例:手鏡、姿見鏡、浴室用鏡、洗面所用鏡、
自動車用鏡(バックミラー、サイドミラー)、ハーフミ
ラー、ショーウィンドー用鏡、デパートの商品売り場の
鏡等。 (f)成形用部材の例:プレス成形用金型、注型成形用
金型、射出成形用金型、トランスファー成形用金型、真
空成形用金型、吹き込み成形用金型、押し出し成形用ダ
イ、インフレーション成形用口金、繊維紡糸用口金、カ
レンダー加工用ロールなど。 (g)装飾品の例:時計、宝石、真珠、サファイア、ル
ビー、エメラルド、ガーネット、キャッツアイ、ダイヤ
モンド、トパーズ、ブラッドストーン、アクアマリン、
サードニックス、トルコ石、瑪瑙、大理石、アメジス
ト、カメオ、オパール、水晶、ガラス、指輪、腕輪、ブ
ローチ、ネクタイピン、イヤリング、ネックレス、貴金
属装飾製品、白金、金、銀、銅、アルミ、チタン、錫あ
るいはそれらの合金やステンレス製、メガネフレーム
等。 (h)食品成形用型の例:ケーキ焼成用型、クッキー焼
成用型、パン焼成用型、チョコレート成形用型、ゼリー
成形用型、アイスクリーム成形用型、オーブン皿、製氷
皿等。 (i)調理器具の例:鍋、釜、やかん、ポット、フライ
パン、ホットプレート、焼き物調理用網、油切り、タコ
焼きプレート等。 (j)紙の例:グラビア紙、撥水撥油紙、ポスター紙、
高級パンフレット紙等 (k)樹脂の例:ポリプロピレン、ポリエチレン等のポ
リオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエス
テル、アラミド、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエ
ーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、フェノー
ル樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、ポリ
ウレタン、ケイ素樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、
アクリル酸エステル樹脂、ポリアセタール、ポリフェン
レンオキサイド等 (l)家庭電化製品の例:テレビジョン、ラジオ、テー
プレコーダー、オーディオ、CD、冷凍関係機器の冷蔵
庫、冷凍庫、エアコン、ジューサー、ミキサー、扇風機
の羽根、照明器具、文字盤、パーマ用ドライヤー等。 (m)スポーツ用品の例:スキー、釣竿、棒高跳び用の
ポール、ボート、ヨット、ジェットスキー、サーフボー
ド、ゴルフボール、ボーリングのボール、釣糸、魚網、
釣り浮き等。 (n)乗り物部品に適用する例: (1) ABS樹脂:ランプカバー、インストルメントパネ
ル、内装部品、オートバイのプロテクター (2) セルロースプラスチック:自動車のマーク、ハンド
ル (3) FRP(繊維強化樹脂):外板バンパー、エンジン
カバー (4) フェノール樹脂:ブレーキ (5) ポリアセタール:ワイパーギヤ、ガスバルブ、キャ
ブレター部品 (6) ポリアミド:ラジエータファン (7) ポリアリレート:方向指示レンズ、計器板レンズ、
リレーハウジング (8) ポリブチレンテレフタレート:リヤエンド、フロン
トフェンダ (9) ポリアミノビスマレイミド:エンジン部品、ギヤボ
ックス、ホイール、サスペンジョンドライブシステム (10)メタクリル樹脂:ランプカバーレンズ、計器板とカ
バー、センターマーク (11)ポリプロピレン:バンパー (12)ポリフェニレンオキシド:ラジエーターグリル、ホ
イールキャップ (13)ポリウレタン:バンパー、フェンダー、インストル
メントパネル、ファン (14)不飽和ポリエステル樹脂:ボディ、燃料タンク、ヒ
ーターハウジング、計器板 (o)事務用品の例:万年筆、ボールペン、シャ−プペ
ンシル、筆入れ、バインダー、机、椅子、本棚、ラッ
ク、電話台、物差し、製図用具等。 (p)建材の例:屋根材、外壁材、内装材。屋根材とし
て窯瓦、スレート瓦、トタン(亜鉛メッキ鉄板)など。
外壁材としては木材(加工木材を含む)、モルタル、コ
ンクリート、窯業系サイジング、金属系サイジング、レ
ンガ、石材、プラスチック材料、アルミ等の金属材料な
ど。内装材としては木材(加工木材を含む)、アルミ等
の金属材料、プラスチック材料、紙、繊維など。 (q)石材の例:花コウ岩、大理石、みかげ石等。たと
えば建築物、建築材、芸術品、置物、風呂、墓石、記念
碑、門柱、石垣、歩道の敷石など。 (r)楽器および音響機器の例:打楽器、弦楽器、鍵盤
楽器、木管楽器、金管楽器などの楽器、およびマイクロ
ホン、スピーカなどの音響機器等。具体的には、ドラ
ム、シンバル、バイオリン、チェロ、ギター、琴、ピア
ノ、フルート、クラリネット、尺八、ホルンなどの打楽
器、弦楽器、鍵盤楽器、木管楽器、金管楽器などの楽
器、およびマイクロホン、スピーカ、イヤホーンなどの
音響機器。 (s)その他、魔法瓶、真空系機器、電力送電用碍子ま
たはスパークプラグ等の撥水撥油防汚効果の高い高耐電
圧性絶縁碍子等。
【0087】
【実施例】以下本発明の具体的な実施例を比較例ととも
に説明する。なお以下の実施例においては、とくに記載
していない限り%は重量%を意味する。
【0088】(実施例1)基材として、約20μm厚の
アルマイト処理したアルミニウム基材11を準備し(図
1(a))、アルカリ系の洗剤を用いてあらかじめよく脱
脂洗浄した。一方、化学吸着剤としてフロロカーボン基
とクロロシラン基とを含むCF3(CF2 7(CH22
SiCl3を5%と、架橋剤としてヘキサクロロジシロ
キサンを3%と、非水系の溶媒であるシクロヘキサン
(bp.80℃)92%とを混合して化学吸着液を作成
しておいた。その後、乾燥空気雰囲気中(相対湿度5%
まで除湿しておいたが、相対湿度35%以下なら実用上
問題なかった。)にそれぞれを移し、基材表面に前記吸
着液を塗布した。さらに、30分間程度同雰囲気中に放
置しシクロヘキサンを蒸発除去した。次に、前記基材を
室内の空気中に取り出すと、基材表面に残ったCF
3(CF27(CH22SiCl3 およびヘキサクロロ
ジシロキサンと空気中の水分とで下記反応(化15およ
び16)が進行し、下記化学式で示される生成物が互い
に絡み合った状態で架橋され、さらに基材表面と共有結
合して図1(b)に示したようなポリマー状の被膜12が
形成された。
【0089】
【化15】
【0090】
【化16】
【0091】このとき、形成された被膜の膜厚は約5n
mであった。また、この被膜は碁番目試験を行なっても
全く剥離することがなかった。そこでさらに、この被膜
の耐久性を評価するため、自動車のワイパーブレードを
用い、自動車とほぼ同様の条件で摩耗性試験を行った。
具体的には、トヨタ自動車(株)純製のワイパーを長さ
方向に15cmに切り、ゴムの歪み量が2mmの荷重を
加えて押し付けて、水道水を2ml/分の流量で流しな
がら1分間に20回往復させた。評価結果を表1に示す
が、10000回のこすり試験にも耐え耐摩耗性は極め
て良かった。
【0092】なお、この実施例では吸着液の溶媒とし
て、シクロヘキサンを用いたが、その他ノルマルヘキサ
ン、フロリナート(スリーエム社)等沸点が100℃程
度以下で吸着剤と架橋剤を溶かす溶媒なら使用し易い。
【0093】さらにまた、上記実施例では吸着剤として
CF3(CF27(CH22SiCl3 を用いたが、吸
着剤はフッ素系吸着剤に限定されるものではなく、例え
ば超薄膜で機械的強度を有する炭化水素系膜であっても
有用である。
【0094】(実施例2)基材として、ガラス基材21
を準備し(図2(a))、弱アルカリ系の洗剤を用いてあ
らかじめよく脱脂洗浄した。一方、化学吸着剤としてフ
ロロカーボン基とクロロシラン基とを含むCF3(C
25(CH22SiCl3 を3%と、架橋剤としてテ
トラクロロシランを1%と、非水系の溶媒であるヘキサ
デカン(bp.287℃)96%とを混合して化学吸着
液を作成しておいた。その窒素雰囲気中にそれぞれを移
し、前記吸着液中に基材を浸漬し1時間放置した。次
に、吸着液から取り出し、窒素雰囲気中で非水系の溶媒
であるクロロホルムを用いよく洗浄した後、前記基材を
室内の空気中に取り出した。すると、基材表面に反応し
て残ったCF3(CF25(CH22Si(Cl2)O−
およびSiCl3O−と空気中の水分とで下記反応(化
17および18)が進行し、下記化学式で示される生成
物がお互いに混合した状態で架橋され、さらに基材表面
と共有結合して図2(b)に示したような単分子状の被膜
22が形成された。
【0095】
【化17】
【0096】
【化18】
【0097】このとき、形成された被膜の膜厚は約1n
mであった。また、この被膜も碁番目試験を行なっても
全く剥離することがなかった。そこでさらに、実施例1
と同様に摩耗性試験を行った。評価結果を表1に示す
が、10000回のこすり試験にも耐え耐摩耗性は極め
て良かった。
【0098】なお、この実施例では吸着液の溶媒とし
て、ヘキサデカンを用いたが、キシレンやトルエンなど
沸点が100℃以上の非水系の溶媒を用いた方が、吸着
液の組成が変化しにくいので好都合である。
【0099】(比較例1)実施例1において、架橋剤で
あるヘキサクロロジシロキサンを除いた他は同様の条件
で実験を行った。自動車のワイパーブレードを用いた耐
摩耗性評価結果を実施例1及び2と同様に表1に示す。
【0100】(比較例2)実施例2において、架橋剤で
あるテトラクロロシランを除いた他は同様の条件で実験
を行った。耐摩耗性評価結果を実施例1及び2と同様に
表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】表1から明らかなように、実施例1および
2では比較例1および2に比べて初期接触角はやや劣
る。しかしながら、被膜の形成時に架橋剤を添加してお
くと、耐摩耗性に優れた化学吸着膜を提供できることが
わかる。
【0103】(実施例3)あらかじめ、ガラスと同様に
活性水素を表面に含む化粧タイル31(図3(a))を準
備して、弱アルカリ洗剤で良く洗った後水洗して乾燥し
た。一方、フルオロアルコキシシラン系吸着剤としてC
3(CF29(CH22Si(OCH3 3とアルコキ
シシラン系の架橋剤としてヘキサメトキシジシロキサン
をそれぞれ5%と、シラノール縮合触媒としてカルボン
酸金属塩キレートであるn−ジブチル錫ビスアセチルア
セトネートを0.5%と、活性水素を含まない非水系溶
媒としてフロリナートFC−40を89.5%とを混合
して化学吸着液を作成した。その後、タイルと吸着液を
相対湿度10%まで除湿した空気雰囲気中に移し、前記
雰囲気中で化粧タイル表面に約1ミクロンの膜厚で塗布
し1時間放置してフロリナートを蒸発させた。すると図
3(b)に示したようにタイル表面にシラノール縮合触媒
と架橋剤と吸着剤を含んだ被膜32が形成された。次
に、相対湿度60%の空気中に取り出して室温で空気中
の水分と反応させた。すると、化学式19および20に
示したような反応が生じ図3(c)に示したような化粧タ
イル表面に直接Siを介して共有結合した膜厚約8nm
の撥水撥油性のポリマー膜状の化学吸着膜33が形成さ
れた。
【0104】
【化19】
【0105】
【化20】
【0106】なお、この被膜も碁番目試験を行なってみ
たが全く剥離することがなかった。そこでさらに、この
ようにして形成された化学吸着膜の撥水撥油性を実施例
1と同様の方法で評価した。結果を表2に示すが極めて
耐摩耗性に優れた被膜が得られることが明らかとなっ
た。
【0107】(実施例4)ステンレス板41(図4
(a))を準備して、アルカリ洗剤等で良く洗った後水洗
して脱脂した(図4(a))。一方、アルコキシシラン系
吸着剤としてフッ化炭素基を含む、CF3(CF2
7(CH22Si(OCH33 を1%と、アルコキシシ
ラン系の架橋剤としてテトラメトキシシランを0.5%
と、シラノール縮合触媒としてカルボン酸金属塩である
n−ジブチル錫ジアセテートを0.05%と、活性水素
を含まない非水系溶媒としてn−デカンを98.45%
とを混合して化学吸着液を作成した。その後、乾燥した
空気雰囲気(相対湿度5%以下)中に移して室温(非水
系の溶媒の沸点以下なら、加熱しても良い。)で2時間
浸漬した後、前記吸着液から取り出しクロロホルムで良
く洗浄して未反応の吸着剤と架橋剤を除去した。さら
に、水に漬けて反応させると、化学式21および22に
示したような反応が生じ、図4(b)に示したようにステ
ンレス板表面に直接Siを介して共有結合し且つシロキ
サンで架橋された膜厚約1.5nmの撥水撥油性の化学
吸着単分子膜42が1層形成できた。
【0108】
【化21】
【0109】
【化22】
【0110】そこで、このようにして形成された化学吸
着単分子膜の耐久性を実施例3と同様に接触角を用いて
評価した。結果を表2に示す。 (比較例3)架橋剤であるヘキサメトキシジシロキサン
を除いた他は実施例3と同様の条件で実験を行った。処
理結果を表2に示す。
【0111】(比較例4)架橋剤であるテトラエトキシ
シランを除いた他は実施例4と同様の条件で実験を行っ
た。処理結果を表2に示す。
【0112】
【表2】
【0113】表2から明らかなように、本発明の実施例
3及び4の化学吸着膜の製造方法で作成した被膜では、
表面をゴムブレードで10000回繰り返し擦っても、
撥水・撥油性を保持していた。これに対して、比較例3
や4では初期の撥水・撥油性はやや良いが、耐久テスト
後はかなり劣化していた。このことは、架橋剤添加の効
果が絶大であることを示している。
【0114】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、化学
吸着膜を形成する際、化学吸着液に化学吸着剤と同系統
の架橋剤を添加して行うことにより、耐摩耗性に優れた
被膜を提供できる。
【0115】また、吸着試薬としてフロロカーボン基を
含む化合物を用いると、ステンレスの様な金属基材やセ
ラミック、ガラスにも、撥水撥油性、防汚性、耐久性な
どに優れたフロロカーボン系化学吸着膜を基材と化学結
合した状態で高密度にピンホール無く非常に薄く形成で
きる。この場合には、耐久性の極めて高い高性能フロロ
カーボン系超薄膜を提供できるので、エレクトロニクス
製品、特にホットプレートや炊飯器などの電化製品、自
動車、産業機器、鏡、眼鏡レンズ等の耐熱性、耐候性、
耐摩耗性超薄膜コーティングを必要とする機器に適用で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例におけるポリマー状の
化学吸着膜の製造方法の工程を示したもので、(a)は基
材、(b)は基材表面を分子レベルまで拡大した模式断面
図である。
【図2】 本発明の第2の実施例における単分子膜状の
化学吸着膜の製造方法の工程を示したもので、(a)は基
材、(b)は基材表面を分子レベルまで拡大した模式断面
図である。
【図3】 本発明の第3の実施例におけるポリマー状の
化学吸着膜の製造方法の工程を示したもので、(a)は基
材、(b)は水と反応する前の被膜断面図、(c)は反応終了
後の被膜が形成された基材表面を分子レベルまで拡大し
た模式断面図である。
【図4】 本発明の第4の実施例における単分子膜状の
化学吸着膜の製造方法の工程を示したもので、(a)は基
材、(b)は基材表面を分子レベルまで拡大した模式断面
図である。
【符号の説明】
11 アルミニウム基材 12,33 フッ化炭素系のポリマー状の化学吸着膜 21 ガラス基材 22,42 フッ化炭素系の単分子膜状の化学吸着膜 31 化粧タイル 32 シラノール縮合触媒と架橋剤と吸着剤を含んだ未
反応の被膜 41 ステンレス板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08J 7/00 306 C08J 7/00 306

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に化学吸着膜を構成する分子が
    共有結合で固定されている化学吸着膜であって、前記化
    学吸着膜はポリハロシランまたはポリアルコキシシラン
    の残基による複数のシロキサン結合によりランダムな部
    分で架橋されているポリマー状の被膜であることを特徴
    とする化学吸着膜。
  2. 【請求項2】 基材表面に化学吸着膜を構成する分子が
    共有結合で固定されている化学吸着膜であって、前記化
    学吸着膜はポリハロシランまたはポリアルコキシシラン
    の残基による複数のシロキサン結合によりランダムな部
    分で架橋されている単分子膜状の被膜であることを特徴
    とする化学吸着膜。
  3. 【請求項3】 表面に活性水素基を含む基材に、クロロ
    シリル基と直鎖状炭素鎖を有するクロロシラン系の吸着
    剤と、複数のクロロシリル基を含むクロロシラン系の架
    橋剤と、非水系の有機溶媒を混合して作成したクロロシ
    ラン系化学吸着液を接触させ、前記基材表面と前記それ
    ぞれの分子とを反応させる工程と、前記溶媒を蒸発させ
    た後基板上の未反応のそれぞれの物質を水と反応させる
    工程を含むシロキサン結合により架橋されたポリマー状
    の化学吸着膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 非水系有機溶媒の沸点が、50〜100
    ℃である請求項3に記載のポリマー状の化学吸着膜の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 表面に活性水素基を含む基材に、クロロ
    シリル基と直鎖状炭素鎖を有するクロロシラン系の吸着
    剤と、複数のクロロシリル基を含むクロロシラン系の架
    橋剤と、非水系の有機溶媒を混合して作成したクロロシ
    ラン系化学吸着液を接触させ、前記基材表面と前記それ
    ぞれの分子とを反応させる工程と、非水系有機溶媒を用
    いて前記基材上に残った前記基材と反応してない前記物
    質を洗浄除去する洗浄工程と、前記溶媒を蒸発させた後
    基板上の未反応のそれぞれの物質を水と反応させる工程
    を含むシロキサン結合により架橋された単分子膜状の化
    学吸着膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 非水系有機溶媒の沸点が、100〜25
    0℃である請求項5に記載の単分子膜状の化学吸着膜の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 クロロシラン系吸着剤の炭素鎖の少なく
    とも一部がフッ化炭素基(−CF2−)で置換されてい
    る物質を用いる請求項3〜6のいずれかに記載の化学吸
    着膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 クロロシラン系の吸着剤が、CF3
    (CF2n−(R)m−SiXpCl3-p(nは0または
    整数、Rはアルキル基、ビニル基、エチニル基、アリー
    ル基、シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0
    又は1、XはH,アルキル基,アルコキシル基,含フッ
    素アルキル基又は含フッ素アルコキシ基の置換基、pは
    0、1または2)を用いる請求項3〜7のいずれかに記
    載の化学吸着膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 クロロシラン系の架橋剤として、SiC
    4 、SiHCl3 、SiH2Cl2 、又はCl−(S
    iCl2O)n−SiCl3 (但しnは整数)の物質から
    選ばれる少なくとも一つを用いる請求項3〜8のいずれ
    かに記載の化学吸着膜の製造方法。
  10. 【請求項10】 基材が、金属、セラミックス、ガラ
    ス、プラスチック、紙、繊維及び皮革から選ばれる請求
    項3〜9のいずれかに記載の化学吸着膜の製造方法。
  11. 【請求項11】 プラスチックまたは繊維を、予め表面
    を酸素を含むプラズマまたはコロナ雰囲気で処理して親
    水性化した請求項10に記載の化学吸着膜の製造方法。
  12. 【請求項12】 処理工程をすべて乾燥雰囲気中で行な
    う請求項3〜11のいずれかに記載の化学吸着膜の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 クロロシラン系の吸着剤とクロロシラ
    ン系の架橋剤に代えて、イソシアネート系の吸着剤とイ
    ソシアネート系の架橋剤を用いた請求項3〜12のいず
    れかに記載の化学吸着膜の製造方法。
  14. 【請求項14】 表面に活性水素基を含む基材に、アル
    コキシ系の吸着剤と、アルコキシ系の架橋剤と、非水系
    の有機溶媒にシラノール縮合触媒を添加混合して作成し
    たアルコキシシラン系化学吸着液を接触させ、前記基材
    表面と前記それぞれの分子とを反応させる工程と、前記
    溶媒を蒸発させた後基板上の未反応のそれぞれの物質を
    水と反応させる工程を含むシロキサン結合により架橋さ
    れたポリマー状の化学吸着膜の製造方法。
  15. 【請求項15】 非水系有機溶媒の沸点が50〜100
    ℃である請求項14に記載のポリマー状の化学吸着膜の
    製造方法。
  16. 【請求項16】 表面に活性水素基を含む基材に、アル
    コキシ系の吸着剤と、アルコキシ系の架橋剤と、非水系
    の有機溶媒にシラノール縮合触媒を添加混合して作成し
    たアルコキシシラン系化学吸着液を接触させ、前記基材
    表面と前記それぞれの分子とを反応させる工程と、非水
    系有機溶媒を用いて前記基材上に残った前記基材と反応
    してない前記物質を洗浄除去する洗浄工程と、前記溶媒
    を蒸発させた後基板上の未反応のそれぞれの物質を水と
    反応させる工程を含むシロキサン結合により架橋された
    単分子膜状の化学吸着膜の製造方法。
  17. 【請求項17】 非水系有機溶媒の沸点が100〜25
    0℃である請求項16に記載の単分子膜状の化学吸着膜
    の製造方法。
  18. 【請求項18】 アルコキシ系の架橋剤として、テトラ
    アルコキシシラン、ヘキサアルコキシジシロキサン及び
    オクタアルコキシトリシロキサンから選ばれる少なくと
    も一つの架橋剤を用いた請求項14〜17のいずれかに
    記載の化学吸着膜の製造方法。
  19. 【請求項19】 シラノール縮合触媒として、カルボン
    酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属
    塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エス
    テル及びチタン酸エステルキレート類から選ばれる少な
    くとも一つの架橋剤を用いた請求項14〜18のいずれ
    かに記載の化学吸着膜の製造方法。
  20. 【請求項20】 シラノール縮合触媒として、酢酸第1
    錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテー
    ト、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレー
    ト、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテ
    ート、ジオクタンサン第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン
    酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチル錫ビ
    スオクチルチオグリコール酸エステル塩、ジオクチル錫
    マレイン酸エステル塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマ
    ー、ジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジ
    ブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスア
    セチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノ
    ニルチタネート、及びビス(アセチルアセトニル)ジ−
    プロピルチタネートから選ばれる少なくとも一つの触媒
    を用いる請求項14〜19のいずれかに記載の化学吸着
    膜の製造方法。
  21. 【請求項21】 アルコキシシラン吸着剤がフッ化炭素
    基(−CF2−)を含む請求項14〜20のいずれかに
    記載の化学吸着膜の製造方法。
  22. 【請求項22】 少なくともフッ化炭素基を含むアルコ
    キシシラン吸着剤として、CF3−(CF2n−(R)m
    −SiXp(OA)3-p(nは0または整数、Rはアルキ
    ル基、ビニル基、エチニル基、アリール基、シリコン若
    しくは酸素原子を含む置換基、mは0又は1、XはH,
    アルキル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は
    含フッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは
    0、1または2)、またはCF3COO−(CH2w
    SiXp(OA)3-p(ここで、wは整数、XはH,アル
    キル基,アルコキシル基,含フッ素アルキル基又は含フ
    ッ素アルコキシ基の置換基、Aはアルキル基、pは0、
    1または2)で表される物質を用いる請求項14〜21
    のいずれかに記載の化学吸着膜の製造方法。
  23. 【請求項23】 基材が、金属、セラミックス、ガラ
    ス、プラスチック、紙、繊維及び皮革から選ばれる請求
    項14〜22のいずれかに記載の化学吸着膜の製造方
    法。
  24. 【請求項24】 プラスチックまたは繊維を、予め表面
    を酸素を含むプラズマまたはコロナ雰囲気で処理して親
    水性化した請求項23に記載の化学吸着膜の製造方法。
  25. 【請求項25】 非水系の溶媒として水を含まない炭化
    水素系溶媒またはフッ化炭素系溶媒を用いる請求項14
    〜24のいずれかに記載の化学吸着膜の製造方法。
  26. 【請求項26】 クロロシラン系吸着剤と、クロロシラ
    ン系の架橋剤と、活性水素を含まない非水系溶媒を少な
    くとも含む化学吸着液。
  27. 【請求項27】 クロロシラン系吸着剤がフッ化炭素基
    を含む請求項26に記載の化学吸着液。
  28. 【請求項28】 非水系の溶媒として水を含まない炭化
    水素系溶媒、シリコーン系溶媒またはフッ化炭素系溶媒
    を用いる請求項26または27に記載の化学吸着液。
  29. 【請求項29】 アルコキシシラン系吸着剤と、アルコ
    キシシラン系架橋剤と、活性水素を含まない非水系溶媒
    と、シラノール縮合触媒を少なくとも含む化学吸着液。
  30. 【請求項30】 アルコキシシラン系吸着剤がフッ化炭
    素基を含む請求項29に記載の化学吸着液。
  31. 【請求項31】 シラノール縮合触媒が、カルボン酸金
    属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポ
    リマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル
    及びチタン酸エステルキレート類から選ばれる少なくと
    も一つの物質である請求項29又は30に記載の化学吸
    着液。
  32. 【請求項32】 非水系の溶媒として水を含まない炭化
    水素系溶媒、シリコーン系溶媒及びフッ化炭素系溶媒か
    ら選ばれる少なくとも一つの溶媒を用いる請求項29〜
    31のいずれかに記載の化学吸着液。
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