JP4006183B2 - S,s−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−n,n’−ジコハク酸の製造法 - Google Patents

S,s−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−n,n’−ジコハク酸の製造法 Download PDF

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Description

本発明は微生物の有するリアーゼの作用によりS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸を製造する方法に関する。
S,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸は生分解性キレート剤として写真、洗剤、および製紙等の分野での使用が期待される化合物である。
背景技術
2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(以下HPDDSと略記する)の製造法としては、マレイン酸と2−ヒドロキシプロピレンジアミン(別名;1,3−ジアミノ−2−プロパノール)から立体異性体混合物(meso体とラセミ体の混合物)を得る製法〔米国特許3158635号公報参照〕、および光学活性体であるS−アスパラギン酸と1,3−ジクロロ−2−プロパノールから光学活性なS,S−体の製法〔Zhurnal Obshuchei Khimii Vol.49,P663,1979年 参照〕が開示されており、S,S−、R,R−、meso−の3つの異性体の中で、S,S−体のみが容易に生分解することが知られている〔特表平8−507805号公報参照〕。
発明の開示
一方、本発明者らは、先に、フマル酸とエチレンジアミンをS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸に変換する微生物の新規なリアーゼ活性を見い出し(以下、本リアーゼをエチレンジアミンジコハク酸エチレンジアミンリアーゼと呼び、EDDSアーゼと略記する)、本触媒作用を利用し、経済的かつ効率的な光学活性アミノポリカルボン酸の製造方法を提案した〔特開平9−140390号公報参照〕。さらに、これら光学活性アミノポリカルボン酸の製造方法に関する様々な技術を開発してきた〔例えば、特開平9−289895号、特開平10−52292号、特開平10−218846号、特開平10−271999号、各公報参照〕。しかしながら、酵素は厳密な基質特異性を持つ場合がほとんどで、EDDSアーゼの作用によりHPDDSが合成できるかどうかは全く不明であった。
本発明は、高価な光学活性体を使用することのない、経済的に有利なS,S−HPDDS製造法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、EDDSアーゼの作用により、1分子のフマル酸と1分子の2−ヒドロキシプロピレンジアミンからS−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N−モノコハク酸が合成され、これにさらに1分子のフマル酸が反応してS,S−HPDDSを立体特異的に合成できること、また、このEDDSアーゼの作用にマレイン酸イソメラーゼの作用を組み合わせることによりマレイン酸と2−ヒドロキシプロピレンジアミンから同様にS,S−HPDDSを合成できることを見い出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、
(1)微生物由来のエチレンジアミンジコハク酸エチレンジアミンリアーゼの作用により、基質としてフマル酸と2−ヒドロキシプロピレンジアミンを含有する水性媒体中で該基質からS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸を製造する、S,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法、
(2)微生物由来のエチレンジアミンジコハク酸エチレンジアミンリアーゼおよびマレイン酸イソメラーゼの作用により、基質としてマレイン酸または無水マレイン酸と2−ヒドロキシプロピレンジアミンを含有する水性媒体中で該基質からS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸を製造する、S,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法、
(3)基質水性媒体中にアルカリ土類金属、鉄、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、チタニウムおよびマンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを存在させ上記(1)または(2)記載のS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法。
(4)金属イオンが、マグネシウム、マンガンおよび鉄から選ばれる少なくとも1種の金属イオンである上記(3)記載のS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法、
(5) 基質水性媒体中に不純物として含まれるR−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N−モノコハク酸の含有量が、生成するS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の理論値の2.5モル%以下である上記(1)または(2)記載のS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法、
(6)上記(3)または(4)の反応終了液に水酸化アルカリを添加して、存在させた金属イオンを不溶性の沈殿として分離回収すると共にS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸をアルカリ金属塩とする、S,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸アルカリ金属塩の製造法、
(7)分離回収した不溶性の沈殿を金属イオン源として再使用する上記(3)または(4)記載のS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法、
(8)反応終了液にフマル酸、マレイン酸または無水マレイン酸から選ばれる少なくとも1以上の有機酸を添加し、S,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸またはその塩を不溶物として回収し、母液を反応に再使用する、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法、
(9)反応終了液から鉱酸を使用して酸性下でS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸を結晶性粉末として析出、回収する工程を含む上記(1)〜(5)のいずれかに記載のS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法、
(10)下記構造式[1]および[2]で示される環化物の合計が、S,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸に対して1モル%以下である、S,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の結晶性粉末、
Figure 0004006183
(11)エチレンジアミンジコハク酸エチレンジアミンリアーゼが、ブレブンディモナス(Brevundimonas)属、パラコッカス(Paracoccus)属、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属、アシドボラックス(AcidoVorax)属、シュードモナス(Pseudomonas)属およびバークホルデリア(Burkholderia)属に属する微生物、あるいはこれらの微生物由来のエチレンジアミンジコハク酸エチレンジアミンリアーゼをコードする遺伝子DNAにより形質転換された微生物由来である上記(1)記載のS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法、
(12)エチレンジアミンジコハク酸エチレンジアミンリアーゼが、ブレブンディモナス(Brevundimonas)属、パラコッカス(Paracoccus)属、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属、アシドボラックス(Acidovorax)属、シュードモナス(Pseudomonas)属およびバークホルデリア(Burkholderia)属に属する微生物、あるいはこれらの微生物由来のエチレンジアミンジコハク酸エチレンジアミンリアーゼをコードする遺伝子DNAにより形質転換された微生物由来であり、並びにマレイン酸イソメラーゼが、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、キサントモナス(Xanthomonas)属またはバチルス(Bacillus)属に属する微生物、あるいはこれらの微生物由来のマレイン酸イソメラーゼをコードする遺伝子DNAにより形質転換された微生物由来である請求項2記載のS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法、
である。
発明を実施するための最良の形態
微生物の培養
本発明で使用される微生物は後記の通りである。
本発明で使用される微生物の培地には何ら特別の制限がなく、資化しうる炭素源、窒素源、無機塩、更に微量の有機栄養物などを適当に含有するものであれば合成培地、天然培地のいずれを用いることもできる。また、活性の高い菌体を得たい場合には、例えば、EDDSアーゼ活性を有する微生物の場合には、培地へHPDDS、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸、エチレンジアミン−N−モノコハク酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジンなどのアミノ酸やフマル酸等を添加し、またマレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生物の場合にはマレイン酸等を添加する。培養条件は菌体や培地により異なり、培地のpHは、好ましくは、4〜10、より好ましくは6〜9の範囲、培養温度は、20〜40℃が好ましいが、Bacillus属など好熱性菌の場合には、50〜70℃程度を採用する場合もある。必要に応じて曝気、撹拌を行い、活性が最大となるまで培養すればよい。
微生物のフマラーゼ活性除去
微生物に存在するフマラーゼ活性の除去は、菌体または該菌体処理物(本明細書では菌体破砕物、菌体抽出液、抽出した粗・精製酵素、固定化した菌体または酵素、薬剤処理(安定化処理等)した菌体または酵素を示す)に対して、処理pHは好ましくは8〜10.5、より好ましくは8.5〜10の範囲、処理温度は好ましくは氷結温度〜55℃の範囲で時間に制限無く行うことができる(特願平9−311046号明細書参照)。
S,S−HPDDS生産反応
S,S−HPDDSの生産反応は、基質であるフマル酸と2−ヒドロキシプロピレンジアミン、および必要に応じて、反応に関与する金属イオン源としての金属化合物や、酵素の安定化のために添加する緩衝能を持つ塩類等を含む水性媒体中で、菌体または該菌体処理物を接触させることにより行われるのが好ましいが、菌体培養液にフマル酸と2−ヒドロキシプロピレンジアミンおよび該金属化合物を直接添加しても行うことができる。
反応は、好ましくは0〜60℃、より好ましくは20〜45℃の範囲で行う。pHは、好ましくは4〜11、より好ましくはpH7〜10の範囲で行う。反応で用いるフマル酸の濃度は反応温度やpHにより異なるが、好ましくは0.01〜3M(mol/l)であり、反応液中に飽和溶解度以上の沈殿物として存在させても反応の進行と共に溶解するため差し支えない。2−ヒドロキシプロピレンジアミンの濃度は、好ましくは0.01〜2Mである。
なお、フマル酸と2−ヒドロキシプロピレンジアミンのモル比を変えることにより本反応の中間体であるS−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N−モノコハク酸とS,S−HPDDSの生成比率を必要に応じて変えることができる。この場合、2−ヒドロキシプロピレンジアミン/フマル酸比を大とするとS−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N−モノコハク酸の生成比率は大きくなる。
微生物などの使用量は基質に対する乾燥菌体換算で、好ましくは0.01〜5重量%である。
また、原料がいずれかに関わらず、2−ヒドロキシプロピレンジアミン、フマル酸を他化合物から合成し得る反応系を本反応系と共存させたとしても、本発明の要旨とする効果が得られる限り差し支えない。
また、マレイン酸イソメラーゼを共存させると、前記フマル酸の代わりにマレイン酸あるいはその塩を基質とすることができる。また、無水マレイン酸も水溶液中でマレイン酸に容易に変換されるため同様に使用できる。その条件は共存させるEDDSアーゼにより異なることがあるけれども、上記フマル酸原料の場合に準ずる。
金属イオン存在下における反応
本反応は平衡反応であり、反応が途中で見かけ上停止するため、S,S−HPDDSに配位され得る多価金属イオンを存在させることにより平衡を生産物側に傾け、収率を向上させることができる。
本発明における金属イオンとしては、S,S−HPDDSにキレートされ、錯体を形成し得る金属イオンであれば特に制限はなく、重金属、アルカリ土類金属単体のイオン、あるいは配位化合物等のイオンが挙げられる。具体的には、Fe(II)、Fe(III)、Zn(II)、Cu(II)、Ni(II)、Co(II)、Al(III)、Mn(II)、Ti(IV)等の重金属のイオン、Mg(II)、Ca(II)、Ba(II)等のアルカリ土類金属のイオンを挙げることができ、実際には、これら金属イオンの水酸化物、酸化物やその塩、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、炭酸との化合物を添加するのが好ましい。したがって、これらの化合物が、反応液中で金属および非金属元素からなるイオンとして存在するか、もしくは添加後にそのようなイオンが生じたとしても、それがS,S−HPDDSと配位し、本発明の効果が得られるものであれば使用できる。さらに、これらのイオンまたは化合物を2種以上混合して用いることも可能である。
金属化合物、あるいは金属化合物とフマル酸またはマレイン酸からなる塩には、溶解度の低いものがあるが、飽和量以上に、すなわち懸濁状態として存在させても、反応と共に生成するS,S−HPDDSがキレートすることにより、本発明の主旨とするところの効果は得られるため差し支えない。また、これら金属化合物は、反応開始時に一括して添加しても、反応途上で添加しても構わない。
金属イオン源としての金属化合物は、反応液中への金属化合物添加量は生成するS,S−HPDDSに対して、好ましくは0.01〜2倍モルである。
pH調節を行う場合、金属イオンを添加しない時およびアルカリ土類金属を添加したときにはpHが低下するので、アルカリ金属の水酸化物、2−ヒドロキシプロピレンジアミン、S,S−HPDDSのアルカリ金属やアンモニウム塩等のアルカリによって行い、アルカリ土類金属以外の金属イオンを添加する場合は、pHが上昇するので硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、フマル酸、マレイン酸、S,S−HPDDS等の酸によって行うことができる。
S,S−HPDDSの金属錯体を必要とする場合には、所定の金属のイオンの存在下で反応を行った後、pH調整、濃縮、その他の操作により目的化合物を直接得ることができる。一方、反応終了液からS,S−HPDDSを採取するには、後記の通り酸析を行うことにより採取できる。しかしながら、鉄等の重金属イオンの存在下に反応を行った場合のように酸析のpHで安定な錯体を形成している系においては、酸析以前に該金属のイオンを除去する必要がある。したがって、S,S−HPDDSを必要とする場合には、酸析に際し上記のような除去操作を省略できるマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属のイオンの存在下に反応を行うことが効率的である。
金属イオン添加の効果は、前記の通り、金属イオンにより化学平衡点を基質側から生成物側に移動させることに基づくと考えられる。通常、化学平衡点は触媒の種類に左右されないため、本発明における化学平衡点は、副反応やその他の反応が関わらない限り、すべての触媒について一定の値を示す。したがって、金属イオン添加の効果は、触媒であるEDDSアーゼがいずれの微生物由来であるかは特に関係しない。
反応中のmeso−HPDDS生成の抑制
反応終了液そのものあるいは後記のアルカリ金属塩水溶液を必要とする場合等には、meso−HPDDSの混入は目的のS,S−HPDDSの化学純度を下げるばかりでなく、前述の様にS,S−HPDDSに比べ生分解性に乏しく、通常の場合、好ましくない。
meso−HPDDS混入の原因としては、まず、フマル酸またはマレイン酸、および2−ヒドロキシプロピレンジアミンから、ラセミ体の2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N−モノコハク酸が微生物触媒を介さずに生成し、SとRの2つの光学異性体うち、R−ヒドロキシプロピレンジアミン−N−モノコハク酸とフマル酸からEDDSアーゼの触媒作用によりmeso−HPDDSが生ずる(S体はS,S−HPDDSとなる)との実験的裏付けを得ている。
このラセミ−2−プロピレンジアミン−N−モノコハク酸の生成は、温度が高いほど、pHが高いほど、基質濃度が高いほど、あるいはこれらの条件に曝露される時間が長いほど顕著になり、特に、基質濃度が高い時、すなわち反応中よりも主に基質水溶液調合中に生成する。すなわち、基質水溶液調合時のラセミ−2−プロピレンジアミン−N−モノコハク酸の生成を抑えれば、meso−HPDDSの混入を大幅に抑えることができ、望ましくは、基質水溶液中のR−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N−モノコハク酸の含有量を、生成するS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の理論値の2.5モル%以下にするのがよい。
金属イオン添加反応における金属の回収とそのリサイクル使用、およびS,S−HPDDSアルカリ金属塩製造
反応終了後、菌体または菌体処理物をろ過あるいは遠心分離等で除去し、これに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリを金属イオンが不溶化するまで添加し、不溶化した沈澱をろ過あるいは遠心分離などの通常の固液分離することにより、S,S−HPDDSアルカリ金属塩を母液として得ることができる。回収した沈殿は、金属イオン源として前記反応に再使用できる。
水酸化アルカリの使用量は、反応に使用した金属イオンの種類によっても異なるが、反応液中に含まれるS,S−HPDDSに対し、反応液中の最終濃度(基質溶液調合時や反応中に添加した量も含む)として、好ましくは2〜6倍モル、より好ましくは3〜4.5倍モル相当量である。水酸化アルカリは混合使用、あるいは他のアルカリと併用することも可能である。
水酸化アルカリを添加する際、短時間で一度に加えると、析出する不溶化物は微細粒子となり難分離性であるが、十分に時間をかけて添加すると沈降性の良い粒子が得られるので望ましい。また、反応終了液に水酸化アルカリを添加しても、あるいはその逆に水酸化アルカリに反応終了液を添加しても、添加した液滴が他方の液に接触した瞬間に固化するため、槽内の均一性を保つのは難しく、粒径も不均一で微細になりがちである。その様な場合には、反応終了液と水酸化アルカリを適当な晶析槽内に共供給を行い、好ましくは、共供給および槽内のスラリー抜き出しを連続的に行えば、分離性の改善された比較的粗大な粒子を得ることができる。
フマル酸、マレイン酸によるS,S−HPDDSの酸析と回収、および母液のリサイクル使用
反応の基質であるフマル酸、マレイン酸(無水マレイン酸またはその処理物を含む)を使用して、S,S−HPDDSの酸析を行うことができる。その条件は、S,S−HPDDS回収と同時に、母液の該反応へのリサイクル使用を目的とするため、S,S−HPDDSが析出、かつこれら基質が溶解する範囲を選択する。フマル酸、マレイン酸の添加量は、S,S−HPDDS濃度、温度などにより異なるが、S,S−HPDDSに対して、好ましくは0.2〜3倍モル、より好ましくは、0.8〜2.4倍モルである。温度は好ましくは約0〜約80℃、より好ましくは10〜60℃の範囲に調整し、必要によりS,S−HPDDSを一部析出させた後またはS,S−HPDDSの種結晶を添加した後、徐々に冷却することにより行うことができる。また、連続法で行う場合、上記の様な条件で、フマル酸またはマレイン酸と前述の反応終了液を滞留時間が好ましくは約0.5〜約10時間、より好ましくは1〜5時間になるように供給し、得られたS,S−HPDDS結晶スラリーを連続的にまたは間欠的に抜き出すことにより行うことができる。
析出した結晶の取得は濾過、遠心分離等の通常の方法が採用できる。次いで、粗結晶中の酸析の際に生成した塩類や後述する環化物等を水や有機溶剤を用いて洗浄する。この洗浄に関しても特に制限はなく、リンス、スラリー洗浄等の通常の方法で行うことができる。
また、洗浄後の湿結晶の乾燥は品温が80℃以下となる温度で行うのが望ましい。
S,S−HPDDS回収後の母液は、所定量の2−ヒドロキシプロピレンジアミンとpH調整用の酸、アルカリ等と混合することで、前記反応に再使用できる。
鉱酸によるS,S−HPDDSの酸析と回収
晶析は、前述の反応終了液やS,S−HPDDSアルカリ金属塩水溶液またはそれらの濃縮物等を、回分法で行う場合、硫酸、塩酸などの鉱酸を用いてpHを好ましくは約1.8〜約4.5、より好ましくは2.0〜4.0の範囲、温度を好ましくは約40〜80℃、より好ましくは40〜60℃の範囲に調整し、必要によりS,S−HPDDSを一部析出させた後またはS,S−HPDDSの種結晶を添加した後、徐々に冷却することにより行うことができる。冷却温度は好ましくは約40℃以下、より好ましくは30〜0℃である。また、連続法で行う場合、pHを好ましくは約1.8〜約4.5、より好ましくは2.0〜4.0の範囲、温度を好ましくは0〜40℃の範囲に調整した後、pHや温度条件により異なるが、鉱酸と前述の反応終了液やS,S−HPDDSアルカリ金属塩水溶液またはそれらの濃縮物等を滞留時間が好ましくは約0.5〜10時間、より好ましくは1〜5時間になるように供給し、得られたS,S−HPDDS結晶スラリーを連続的にまたは間欠的に抜き出すことにより行うことができる。
なお、結晶の析出に伴いpHが上昇するが、必要に応じて、例えば硫酸、塩酸などの鉱酸を用いて所定のpHとなるように調整する。また、晶析pHを約4以上とすると反応液に含まれる陽イオンの塩として沈殿しやすい。例えば、S,S−HPDDSそのものよりも、1ソーダ塩の方が水になじみやすいなどの利点を持つので、必要に応じてpHを変えることで、所望の塩を得ることも可能である。
一方、下記構造式[1]および[2]で示されるHPDDS由来の環化物は、pHが低いほど、温度が高いほど、また、これらの条件に暴露する時間が長いほど生成し易い。環化物生成はS,S−HPDDS結晶の回収率の低下をもたらすだけでなく、母液中に残存した環化物は結晶に付着し品質低下の原因となるが、上記の好ましいとする条件は該環化物の生成をより少ない状態に抑制し得る。本酸析法によれば最終的にS,S−HPDDSの結晶を収率90%以上で得ることができる。
析出した結晶の取得、乾燥等は、前記フマル酸、マレイン酸による酸析に記載した方法と同様に行うことができる。
Figure 0004006183
EDDSアーゼを有する微生物
EDDSアーゼ活性を有する微生物としては、例えば、バークホルデリア(Burkholderia)属、アシドボラックス(Acidovorax)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、パラコッカス(Paracoccus)属、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属およびブレブンジモナス(Brevundimonas)属に属する微生物、さらに宿主としてエシェリヒア(Esherichia)属またはロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微生物を用い、これにEDDSアーゼをコードする遺伝子を導入した形質転換体などを挙げることができる。
具体的には、Burkholderia sp.KK−5株(FERM BP−5412)、同KK−9株(FERM BP−5413)、Acidovorax sp.TN−51株(FERM BP−5416)、Pseudomonas sp. TN−131株(FERM BP−5418)、Paracoccus sp.KK−6株(FERM BP−5415)、同TNO−5株(FERM BP−6547)、Sphingomonas sp.TN−28株(FERM BP−5419)、Brevundimonas sp. TN−30株(FERM BP−5417)および同TN−3株(FERM BP−5886)、さらに、宿主として大腸菌JM109 株〔Esherichia coli ATCC53323株〕またはRhodococcus rhodochrous ATCC17895 株を用いた形質転換体等を例示することができる。
上記微生物のうち、KK−5株、KK−9株、TN−51株、TN−131株、KK−6株、TN−28株、TN−30株、TN−3株は、本発明者らにより自然界から新たに分離され、上記番号にて通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(〒305−8566、日本国茨城県つくば市東一丁目1番3号)に寄託されており、これらの菌株の菌学的性質は、前記特開平9−140390号公報、特開平10−52292号公報等に記載されている。
また、TNO−5株も、本発明者らにより自然界から新たに分離され、上記番号にて通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。本菌の菌学的性質は以下に示す通りである。
菌学的性質
Figure 0004006183
上記菌学的性質を、Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology Vol.9(1990)により分類するとTNO−5株はパラコッカス(Paracoccus)属に属する細菌と同定された。尚、TN−3株はディミヌタ(diminuta)種であることが確認されている。
大腸菌 JM109株(Esherichia coli ATCC53323株)、Rhodococcus rhodochrous ATCC17895株は公知であり、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から容易に入手することができる。これらの菌株を宿主として、TN−3株のEDDSアーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNAを含むプラスミドpEDS020およびpSE001を導入した形質転換体が、E.coli JM109/pEDS020(FERM BP−6161)およびRhodococcus rhodochrous ATCC17895/pSE001 (FERM BP−6548)として、それぞれ通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。
なお、これら形質転換体の作成方法は、本出願人の出願に係る特願平9−60077号明細書に記載されている。
マレイン酸イソメラーゼを有する微生物
マレイン酸イソメラーゼ活性を有する微生物としては、マレイン酸を異性化してフマル酸に変換する微生物であれば特に制限はなく、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、キサントモナス(Xanthomonas)属、バチルス(Bacillus)属に属する微生物を挙げることができる。さらに、これらの微生物に由来するマレイン酸イソメラーゼをコードする遺伝子を導入した形質転換体などを挙げることができる。
具体的な菌株としては、アルカリゲネス フェカリス(Alcaligenes faecalis)IFO 12669株、同IFO 13111株、同IAM1473株、アルカリゲネス ユートロファス(Alcaligenes eutrophas)IAM12305株、シュードモナス フルオレッセンス(Pseudomonas fluolescens)ATCC23728株、キサントモナス マルトフィリア(Xanthomonas maltophilia)ATCC13270株、バチルス sp.(Bacillus sp.)MI105株(FERM BP−5164)、バチルス ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophirus)MI101株(FERM BP−5160)、同MI102株(FERM BP−5161)、バチルス ブレビス(Bacillus brevis) MI103株(FERM BP−5162)、同MI104株(FERM BP−5163)等を例示することができる。
これらの微生物は、財団法人発酵研究所(IFO)(日本)、東京大学分枝細胞生物学研究所細胞・機能高分子総合センターIAMカルチャーコレクション(日本)、およびアメリカン・タイプカルチャー・コレクション(ATCC)(米国)、通産省工業技術院生命工学工業技術研究所(日本)より容易に入手可能である。
また、EDDSアーゼ保有微生物の中で、マレイン酸をフマル酸に変換する能力を有し、すなわち、マレイン酸と2−ヒドロキシプロピレンジアミンを、直接S、S−HPDDSに変換する微生物を用いることもでき、前記のBurkholderia sp.KK−5株(FERM BP−5412)、同KK−9株(FERM BP−5413)、Pseudomonas sp.TN−131株(FERM BP−5418)、Paracoccus sp.KK−6株(FERM BP−5415)、Sphingomonas sp.TN−28株(FERM BP−5419)、Brevundimonas sp.TN−30株(FERM BP−5417)はその代表的な例である。このように自然界にも存在するが、マレイン酸イソメラーゼ遺伝子およびEDDSアーゼ遺伝子を同時に導入した形質転換体を用いることも可能である。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1
(1)菌体懸濁液の調製
Brevundimonas sp.TN−3株を斜面培地から1白金耳取り、下記の培地に接種し、30℃、3日間好気的に振とう培養した。
培地組成(pH7.5,100ml):
エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸 0.2g
グルコース 0.2g
酵母エキス 0.1g
ポリペプトン 0.05g
硫酸マグネシウム・7HO 0.1g
硫酸ナトリウム 0.28g
燐酸緩衝液 25mM
金属塩混合物溶液* 0.5ml
*金属塩混合物溶液(100ml); 塩化マグネシウム・6HO 8g,塩化カルシウム 0.8g,硫酸マンガン・4HO 0.6g,塩化第二鉄・6HO 0.12g,硫酸亜鉛 0.06g
菌体培養液20mlを遠心管に取り10,000rpm、5℃、15分間遠心分離し菌体を集めた後、50mMほう酸緩衝液pH8.0で2回洗浄した菌体懸濁液を調製した。
(2)反応液の調製と反応
反応液は、200mMフマル酸と200mM2−ヒドロキシプロピレンジアミン、上記菌体懸濁液を含み、6N水酸化ナトリウムによってpH8.0に調整したものを用い、30℃、24時間、振とうしながら反応を行った。その結果、20mMのS,S−HPDDSが生成し、meso体、RR体は検出されなかった。
なお、S,S−HPDDS濃度の測定法は、次の通りである。
液中の不溶物を15,000rpm、5℃、5分間の遠心分離にて除去した後、液体クロマトグラフィーにてS,S−HPDDSを定量した。定量用カラムとしては WAKOSIL 5C8(和光純薬)〔溶出液;10mM 水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウムと0.4mM CuSOを含む50mMリン酸、pH2〕を、また、光学分割カラムとして MCI GEL CRS 10W(三菱化学社製)〔溶出液;10mM CuSO〕を使用した。
また、生成物の分離精製は、T, Nishikiori et al.,J. Antibiotics 37, 426(1984)に記載のイオン交換樹脂を用いる手法で行い、結晶を取得した後にNMRとマススペクトルによる分析で化学構造の確認を行った。
実施例2
(1)菌体懸濁液の調製
Burkholderia sp.KK−5株、同KK−9株、Acidovorax sp.TN−51株、Pseudomonas sp.TN−131株、Paracoccus sp.KK−6株、同TNO−5株、Sphingomonas sp.TN−28株、Brevundimonas sp.TN−30株および同TN−3株を実施例1と同様に培養し、菌体懸濁液を調製した。
(2)反応液の調製と反応
上記菌体懸濁液を用いて、実施例1と同様の反応液、および同様の組成に100mM硫酸マグネシウムまたは100mM塩化マグネシウムを添加した反応液で、30℃、15時間、振とうしながら反応を行いS,S−HPDDS生成量を比較した。
(3)結果
Figure 0004006183
実施例3
(1)菌体懸濁液の調製
Esherichia coli JM109/pEDS020を斜面培地から1白金耳とり、50mg/lアンピシリンを含有するLB培地(1%バクトトリプトン、0.5%バクトイーストエキス、0.5%NaCl)に接種して37℃にて8時間振とう培養した。これを、LB培地(50mg/lアンピシリン、1mM イソプロピル−β−チオガラクトシドを含有)に、2.5%量接種し、37℃、30時間、好気的に振とう培養した。培養液1,000mlから、菌体を遠心分離(7,000rpm、20分)により集菌し、100mM1,4−ジアミノブタンを含む50mMほう酸緩衝液(pH7.75)500mlで1回洗浄した。500mlの同様の緩衝液に菌体を再懸濁した後、氷中において25%グルタルアルデヒドを25mMとなるように徐々に添加した。pHが低下するので6NNaOHにてpH7.75に調整した後、撹拌しながら2時間放置した。エチレンジアミンを50mMとなるように添加し、6NNaOHでpH9.0とした後、2時間放置した。次に水素化ほう素ナトリウムを25mMとなるように添加してかくはんしながら2時間放置した。さらに、6NNaOHにてpH9.2に調整した後、水浴中で45℃、4時間、加熱処理を行い、フマラーゼ活性を除去した菌体懸濁液を調製した。
(2)反応液の調製と反応
反応開始時の濃度が、フマル酸1,139mM、2−ヒドロキシプロピレンジアミン570mM、菌体10g/l(乾燥重量換算)となるように反応液を調製した。水、フマル酸、2−ヒドロキシプロピレンジアミンの順に激しくかくはんしながら混合し、7.5NNaOHでpH8.5に調整した透明な反応液を得た。これに対して上記菌体懸濁液を加え1,000mLとし、40℃下、かくはんしながら反応を行った。
その結果、28時間後のS,S−HPDDS生成濃度は430mMであった。
実施例4
(1)菌体懸濁液の調製
実施例3と同様。
(2)反応液の調製と反応
反応開始時の濃度が、フマル酸1,139mM、2−ヒドロキシプロピレンジアミン570mM、水酸化マグネシウム570mM、菌体10g/l(乾燥重量換算)となるように反応液を調製した。水に対してフマル酸、水酸化マグネシウム、2−ヒドロキシプロピレンジアミンの順に激しくかくはんしながら添加し、7.5NNaOHにてpH8.5に調整した1,000mlの透明な反応液を得た。この際、液温が20℃を超えないように冷却し、完全に溶解するまでは約30分を要した。2−ヒドロキシプロピレンジアミンを加えてから1時間後、上記菌体懸濁液を加え1,000mlとし、40℃下、かくはんしながら反応を行った。反応中pHが低下するので、7.5NNaOHを添加しながらpHを8.5に保った。反応開始時にはフマル酸と2−ヒドロキシプロピレンジアミンが反応し2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N−モノコハク酸が生成しており、R体として2mMであった。
28時間後のS,S−HPDDS生成濃度は494mM、meso−HPDDSは1mM、HPDDS環化物は検出されなかった。
実施例5
(1)菌体懸濁液の調製
実施例3と同様。
(2)反応液の調製と反応
反応液調製温度を60℃とし、2−ヒドロキシプロピレンジアミンを添加してから反応開始までの時間を24時間(この間、20〜30℃)とした以外は実施例4と同様に反応液の調製と反応を行った。60℃では、5分以内で迅速に溶解することができた。この時のR−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N−モノコハク酸の濃度は42mMであった。
28時間後のS,S−HPDDS生成濃度は452mM、meso−HPDDSは38mM、HPDDS環化物は検出されなかった。
実施例6
(1)菌体懸濁液の調製
実施例3と同様。
(2)反応液の調製と反応
実施例4と同様
(3)マグネシウムイオンの不溶化および回収
遠心分離(15,000rpm,5分)により菌体を除去した透明な反応終了液に7.5NNaOHをS,S−HPDDS濃度に対して最終濃度(反応液調製時、反応中に添加したNaOHを含む)が、3倍モルおよび4倍モルとなるように添加し、かくはんしながら1時間室温に放置した。生成したマグネシウムイオン由来の沈殿を遠心分離(15,000rpm、5分)により除去したところ、マグネシウムイオンの除去率は各々52%および94%であった。
(4)回収マグネシウムの再利用
回収したマグネシウムの沈殿を用いて実施例4に従って反応液を調製した。反応開始時の各成分の濃度はフマル酸1,139mM、2−ヒドロキシプロピレンジアミン570mM、回収マグネシウム570mM(マグネシウムとしての濃度)、S,S−HPDDS43mMであり、菌体は10g/l(乾燥重量換算)とした。pHを7.5NNaOHにて8.5に調整し、実施例4と同様に反応を行った。
その結果、反応速度に有意差は見られず、28時間後のS,S−HPDDS濃度は523mMであった。
実施例7
(1)菌体懸濁液の調製
実施例3と同様。
(2)反応液の調製と反応
水酸化マグネシウムの代わりに570mMの水酸化鉄(III)を用いて実施例4と同様に反応液を調製した。ただし、pHは7.5NNaOHを用いて7.5とした。この際、水酸化鉄(III)は反応液に部分的に溶解するのみであった。
反応時は水酸化マグネシウムの場合と異なり反応の進行に伴いpHが上昇したので5N硫酸を用いてpH調整を行った。その結果、24時間後のS,S−HPDDS生成濃度は472mMであった。
(3)鉄(III)イオンの不溶化および回収
遠心分離により菌体を除去した透明な遠心上清に対し、実施例6と同様に7.5N NaOHをS,S−HPDDS濃度に対して最終濃度(反応液調製時に添加したNaOHを含む)が、4倍モルとなるように添加して鉄(III)イオンを不溶化させ回収した。鉄(III)イオンの除去率は97%であった。
(4)回収鉄(III)の再利用
回収した沈殿を用いて(2)に従って反応液を調製した。反応開始時の各成分の濃度はフマル酸1,139mM、2−ヒドロキシプロピレンジアミン570mM、回収鉄(III)570mM(鉄としての濃度)、S,S−HPDDS64mM、菌体は乾燥重量換算で10g/lとして、(2)と同様に反応を行った。
その結果、反応速度に有意差は見られず、28時間後のS,S−HPDDS濃度は511mMであった。
実施例8
(1)菌体懸濁液の調製
実施例3と同様。
(2)反応液の調製と反応
水酸化鉄(III)の代わりに同モル濃度の水酸化マンガン(II)を用いた他は実施例7と同様に反応液を調製し、反応を行った。その結果、28時間後のS,S−HPDDS生成濃度は480mMであった。
(3)マンガン(II)の不溶化および回収
実施例7と同様にマンガン(II)を不溶化させ回収した。マンガン(II)イオンの除去率は96%であった。
(4)回収マンガン(II)の再利用
回収した沈殿を用いて(2)に従って反応液を調製した。反応開始時の各成分の濃度はフマル酸1,139mM、2−ヒドロキシプロピレンジアミン570mM、回収マンガン(II)570mM(マンガンとしての濃度)、S,S−HPDDS56mM、菌体は10g/l(乾燥重量換算)として、(2)と同様に反応を行った。反応液調製の際、水に回収マンガンとフマル酸を加えた褐色(マンガンが酸化されたことによる着色と思われる)の懸濁液に、ピンク色になるまで亜硫酸ナトリウム粉末(マンガンに対して約5モル%)を添加し、2−ヒドロキシプロピレンジアミンと7.5NNaOHを加え、pH7.5に調整し、(2)と同様に反応を行った。
その結果、反応速度に有意差は見られず、28時間後のS,S−HPDDS濃度は505mMであった。
実施例9
(1)菌体懸濁液の調製
実施例3と同様にEsherichia coli JM109/pEDS020の菌体懸濁液を調製した。
Alcaligenes faecalis IFO 12669を斜面培地から1白金耳取り、マレイン酸培地(1lあたり;マレイン酸ナトリウム5g、肉エキス10g、酵母エキス5g、実施例1記載の金属塩混合物溶液5ml、50mMリン酸緩衝液pH7)1lに接種し、30℃、3日間好気的に振とう培養した。
菌体は、遠心分離(15,000rpm、5分間)により集菌し、50mMほう酸緩衝液pH8.0で2回洗浄した菌体懸濁液を調製した。
(2)反応液の調製と反応
反応液は、マレイン酸300mM、2−ヒドロキシプロピレンジアミン100mM、上記2つの菌体懸濁液の両者を含み(各々、乾燥重量換算で5g/l)、7.5NNaOHによってpH8.5に調整したものを用い、同様の組成に100mMとなるように塩化マグネシウムを添加したものを、30℃、24時間、かくはんしながら反応させ比較した。
反応の進行に伴いpHが低下するのでpHコントローラーで7.5NNaOH溶液を添加しながらpHを8.5に保持した。24時間後の反応後、S,S−HPDDSの濃度は、塩化マグネシウムを含まない反応では41mM、塩化マグネシウムを含む反応液では81mMであった。
参考例1
参考として実施例4における反応中の電導度変化と反応液組成を表2に記す。
なお、電気伝導率の測定は、交流2電極式電気伝導率指示調節計(東亜電波工業;CDIC−7型)および電気伝導率セル(同;CGS−3511型)をKCl水溶液を標準として校正し使用した。
Figure 0004006183
実施例10
(1)菌体懸濁液の調製
実施例3と同様。
(2)反応液の調製と反応
実施例4と同様に反応を行い、電気伝導率が36.4mS/cmとなった時点で反応液を回収し分析した。S,S−HPDDS濃度は377mM、フマル酸は306mMであった。
実施例11
(1)菌体懸濁液の調製
実施例3と同様。
(2)反応液の調製と反応
実施例4と同様の組成、条件で、1,000mlで反応を開始し、電気伝導率が36.4mS/cmとなった時でチューブポンプで同じ組成の反応液を供給、同時に反応液の一部を回収することにより、電気伝導率を33.4〜33.8mS/cmの幅に保ち、液量を980ml〜1,020mlの幅に保った。この回収の際、ギアポンプと中空糸膜[クラレ;SF−8102(孔径0.1μm、内径×長さ=1.2×350mm)]を用いることで、菌体は反応槽に戻し、ろ液のみを回収できる様にした。
100時間操作を行い、この間のS,S−HPDDS濃度は487〜494mM、フマル酸濃度は106〜115mM、原料供給速度は平均18.6ml/時であった。
実施例12
(1)菌体懸濁液の調製
実施例3と同様。
(2)反応液の調製と反応
実施例4と同様。
(3)S,S−HPDDSの回収
遠心分離(15,000rpm、5分)により菌体を除去した透明な反応終了液100mlを60℃とした後、47%硫酸を添加し、pH2.6に調整した。その後、30分間60℃に保温した後、20℃に達するまで2時間かけて徐々に冷却した。この間pHが上昇したので、47%硫酸によりpH2.4〜2.8の幅に保持した。析出した結晶をブフナーろうとでろ過し、約1/10重量の脱塩水で洗浄した。80℃で15時間乾燥したS,S−HPDDS結晶は反応終了液からの回収率90%、HPDDS環化物は対S,S−HPDDSで0.1モル%以下、母液中のHPDDS環化物は最初のS,S−HPDDSに対して3モル%であった。
実施例13
(1)菌体懸濁液の調製
実施例3と同様。
(2)反応液の調製と反応
実施例4と同様。
(3)S,S−HPDDSの回収
遠心分離(15,000rpm、5分)により菌体を除去した透明な反応終了液100mlを20℃とした後、47%硫酸を添加しpH3.0に調製した溶液中に該反応液を30ml/時で供給した。この際、同時にスラリーを抜き出すことで液量を100mlに保つ(滞留時間3.3時間)と同時に、47%硫酸によりpH2.4〜2.8の幅に保持した。24時間後、析出した結晶の一部をブフナーろうとでろ過し、約1/10重量の脱塩水で洗浄した。80℃で15時間乾燥したS,S−HPDDS結晶は反応終了液からの回収率92%、HPDDS環化物は含まれておらず、母液中のHPDDS環化物は最初のS,S−HPDDSに対して0.1モル%であった。
実施例14
(1)菌体懸濁液の調製
実施例3と同様。
(2)反応液の調製と反応
実施例3と同様。
(3)S,S−HPDDSの回収
遠心分離(15,000rpm、5分)により菌体を除去した透明な反応終了液1,000mlに、950mmolのフマル酸を加え、30分間かくはんした後、15℃まで冷却し、1時間かくはんした。析出した結晶をブフナーろうとでろ過し、約1/10重量の脱塩水で洗浄した。80℃で15時間乾燥したS,S−HPDDS結晶は反応終了液からの回収率は52%であった。
(4)S,S−HPDDS回収母液の再利用
回収母液を用いて(2)に従って反応液を調製した。反応開始時の各成分の濃度はフマル酸1,139mM、2−ヒドロキシプロパンジアミン570mM、S,S−HPDDS196mM、菌体10g/l(乾燥重量換算)であり、(2)と同様に反応を行った。
その結果、28時間後のS,S−HPDDS生成濃度は619mMであった。
実施例15
(1)菌体懸濁液の調製
実施例3と同様。
(2)反応液の調製と反応
反応開始時の濃度が、フマル酸1,139mM、2−ヒドロキシプロピレンジアミン570mM、水酸化マグネシウム855mM、菌体10g/l(乾燥重量換算)となるように反応液を調製した。水に対してフマル酸、水酸化マグネシウム、2−ヒドロキシプロピレンジアミンの順に激しくかくはんしながら添加し、1,000mlの透明な反応液(pH約9)を得た。この際、液温が20℃を超えないように冷却し、完全に溶解するまでは約30分を要した。2−ヒドロキシプロピレンジアミンを加えてから1時間後、上記菌体懸濁液を加え1,000mlとし、40℃下、かくはんしながら反応を行った。反応中pHが低下するので、7.5NNaOHを添加しながらpHを8.5に保った。反応開始時にはフマル酸と2−ヒドロキシプロピレンジアミンから2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N−モノコハク酸が生成しており、R体として2mMであった。
28時間後のS,S−HPDDS生成濃度は510mM、meso−HPDDSは1mM、HPDDS環化物は検出されなかった。
反応開始時の半量に相当するフマル酸と2−ヒドロキシプロピレンジアミンを反応終了液に追加し、その際、7.5NNaOHを使用してpHが8〜9の幅になるように保ち、最終的にpH8.5に調整した。この際、液温が40℃を超えない様に冷却し、完全に溶解するまでは約15分を要した。この時の2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N−モノコハク酸濃度は、R体として1mMであった。
15時間後(原料追加による調合時間も含む)のS,S−HPDDS生成濃度は667mM、meso−HPDDSは2mM、HPDDS環化物は検出されなかった。
産業上の利用可能性
EDDSアーゼの作用によりフマル酸と2−ヒドロキシプロピレンジアミンから、また、このEDDSアーゼの作用にマレイン酸イソメラーゼの作用を組み合わせることによりマレイン酸と2−ヒドロキシプロピレンジアミンから、高価な光学活性体を使用することなく常温、常圧下という温和な条件で工業的に有利にS,S−HPDDSを立体特異的に合成できる。

Claims (11)

  1. ブレブンディモナス(Brevundimonas)属、パラコッカス(Paracoccus)属、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属、アシドボラックス(Acidovorax)属、シュードモナス(Pseudomonas)属またはバークホルデリア(Burkholderia)属に属する微生物由来のエチレンジアミンジコハク酸エチレンジアミンリアーゼの作用により、基質としてフマル酸と2−ヒドロキシプロピレンジアミンを含有する水性媒体中で該基質からS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸を製造する、S,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法。
  2. ブレブンディモナス(Brevundimonas)属、パラコッカス(Paracoccus)属、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属、アシドボラックス(Acidovorax)属、シュードモナス(Pseudomonas)属またはバークホルデリア(Burkholderia)属に属する微生物由来のエチレンジアミンジコハク酸エチレンジアミンリアーゼおよびアルカリゲネス(Alcaligenes)属に属する微生物由来のマレイン酸イソメラーゼの作用により、基質としてマレイン酸または無水マレイン酸と2−ヒドロキシプロピレンジアミンを含有する水性媒体中で該基質からS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸を製造する、S,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法。
  3. 基質水性媒体中にアルカリ土類金属、鉄、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、チタニウムおよびマンガンからなる群から選ばれるいずれか1種の金属イオンを存在させる請求項1または2記載のS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法。
  4. 金属イオンが、マグネシウム、マンガンおよび鉄から選ばれるいずれか1種の金属イオンである請求項3記載のS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法。
  5. 基質水性媒体中に不純物として含まれるR−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N−モノコハク酸の含有量が、生成するS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の理論値の2.5モル%以下である請求項1または2記載のS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法。
  6. 請求項3または4の反応終了液に水酸化アルカリを添加して、存在させた金属イオンを不溶性の沈殿として分離回収すると共にS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸をアルカリ金属塩とする、S,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸アルカリ金属塩の製造法。
  7. 分離回収した不溶性の沈殿を金属イオン源として再使用する請求項3または4記載のS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法。
  8. 反応終了液にフマル酸、マレイン酸または無水マレイン酸から選ばれる少なくとも1以上の有機酸を添加し、S,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸またはその塩を不溶物として回収し、母液を反応に再使用する、請求項1〜5いずれか1項記載のS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法。
  9. 反応終了液から鉱酸を使用して酸性下でS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸を結晶性粉末として析出、回収する工程を含む請求項1〜5のいずれか1項記載S,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法。
  10. エチレンジアミンジコハク酸エチレンジアミンリアーゼが、ブレブンディモナス(Brevundimonas)属、パラコッカス(Paracoccus)属、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属、アシドボラックス(Acidovorax)属、シュードモナス(Pseudomonas)属およびバークホルデリア(Burkholderia)属に属する微生物由来のエチレンジアミンジコハク酸エチレンジアミンリアーゼをコードする遺伝子DNAにより形質転換された微生物由来であり、前記形質転換された微生物が、ブレブンディモナス属に属するTN−3株のエチレンジアミンジコハク酸エチレンジアミンリアーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAが導入されたE.coli JM109/pEDS020(FERM BP−6161)またはRhodococcus rhodochrous ATCC17895/pSE001(FERM BP−6548)である請求項1記載のS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法。
  11. エチレンジアミンジコハク酸エチレンジアミンリアーゼが、ブレブンディモナス(Brevundimonas)属、パラコッカス(Paracoccus)属、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属、アシドボラックス(Acidovorax)属、シュードモナス(Pseudomonas)属およびバークホルデリア(Burkholderia)属に属する微生物由来のエチレンジアミンジコハク酸エチレンジアミンリアーゼをコードする遺伝子DNAにより形質転換された微生物由来であり、前記形質転換された微生物が、ブレブンディモナス属に属するTN−3株のエチレンジアミンジコハク酸エチレンジアミンリアーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAが導入されたE.coli JM109/pEDS020(FERM BP−6161)またはRhodococcus rhodochrous ATCC17895/pSE001(FERM BP−6548)であり、並びにマレイン酸イソメラーゼが、アルカリゲネス(Alcaligenes)属に属する微生物由来のマレイン酸イソメラーゼをコードする遺伝子DNAにより形質転換された微生物由来である請求項2記載のS,S−2−ヒドロキシプロピレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の製造法。
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