JP4372266B2 - S,s−エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸製造反応の制御法 - Google Patents

S,s−エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸製造反応の制御法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は微生物由来のエチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸エチレンジアミンリアーゼの作用によりフマル酸とエチレンジアミンからS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸を製造する方法に関し、より詳しくは、電気伝導率計を使用した同製造反応の制御方法に関する。
S,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸は生分解性キレート剤として写真、洗剤および製紙等の分野で使用される有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らは、先に、フマル酸とエチレンジアミンをS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸(SS−EDDS)に変換する微生物の新規なリアーゼ活性を見い出し(以下、本リアーゼをエチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸エチレンジアミンリアーゼと呼び、EDDSアーゼと略記する)、本触媒作用を利用したフマル酸と各種アミンからの効率的な光学活性アミノポリカルボン酸の製造方法を提案している〔特開平9−140390号公報参照〕。
しかしながら、EDDSアーゼによるSS−EDDS等の光学活性アミノポリカルボン酸生産反応は副反応が極めて少ないものの、平衡反応であるために未反応原料が残存してしまうことが課題であった。これに対し、本発明者らは、反応液に金属イオンを共存させると反応平衡が生産物側に傾き、反応をほぼ完結し得ることを見い出した〔特開平10−52292号および同10−271999号各公報参照〕。
【0003】
一方、微生物反応の制御に電気伝導率計を使用した報告として、フマル酸とアンモニアのみの原料からアスパルターゼの作用によりアスパラギン酸の製造に適用した例が知られている〔ソビエト連邦特許857115号公報参照〕。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
酵素は最適基質濃度を持つ場合が多く、また、基質阻害、生成物阻害がある場合もあり、十分な反応速度を得るためには、基質、生成物濃度を最適に保つ必要がある。
また、SS−EDDS塩は原料であるフマル酸塩よりも一般に溶解度が高く、フマル酸またはその塩をその飽和溶解度以上、すなわちスラリー状態で反応液に存在させても、反応の進行とともにSS−EDDSに変換され溶解する現象を確認しており、装置容積に対して効率的なSS−EDDSの高濃度蓄積反応が可能である。しかし、スラリー状態の原料は撹拌や連続反応時の障害となる場合がありフマル酸またはその塩を逐次添加する方が好ましいが、フマル酸を常に溶解した状態にするためには、反応液中の原料、生成物濃度を常に把握しなければならない。
【0005】
一方、回分反応を行う場合には、原料液を反応槽内に添加し、目的とする基質、または生成物濃度に達した時点で反応終了液を回収するが、そのためには反応液組成を迅速に把握する手段を持たなければ、結果として操作時間の延長を招くことになる。
また、この原料添加、反応液回収を同時かつ連続的に行うことで効率的な連続反応とすることができるが、このような操作により目的とする基質、生成物濃度の反応終了液を得るためには、原料添加および反応液回収速度を常に調節しなければならない。
【0006】
しかしながら、反応液中のSS−EDDSの定量は、反応液の一部を分取し液体クロマトグラフィー等により行われるが、このような方法では反応液の状態、すなわち、基質、生成物の濃度を迅速に把握し、随時、反応を操作あるいは制御することは難しく、また、多大な労力を必要とするという問題があった。
【0007】
さらに、本発明のSS−EDDSの製法においては、十分な収率を得るためには大量の金属イオンを添加しなければならず、またpHを一定の範囲に維持するために相当量のアルカリまたは酸を必要とし、例えばマグネシウムを添加しNaOHにて反応中のpHを維持する場合は、添加したマグネシウムと等モル近いNaOHが必要である。
【0008】
したがって、本発明は、上述のような複雑な反応系において、随時、反応の操作あるいは制御に連動させるべく、基質、生成物の濃度を如何にして迅速に把握し得るか、その手段を見いだすことを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、前記、微生物法におけるSS−EDDS製造反応において、生成物/基質比および反応液電気伝導率の両者が高い相関性を示し、電気伝導率計を用いることにより反応の進行状態を瞬時かつ連続的に把握できることを見い出した。さらに、電気伝導率計と原料供給および/または反応液回収を連動させることにより、反応系内の原料および生成物を任意の濃度で制御できることを見い出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸エチレンジアミンリアーゼ活性を有する微生物またはその調製物の作用により、フマル酸とエチレンジアミンからS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸を製造する方法において、反応系内に電気伝導率計を設置し、検知した電気伝導率の変化に基づいて原料供給および/または反応液回収を行い反応を制御することを特徴とするS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸製造反応の制御法である。
【0011】
上記反応の好ましい態様においては、反応系内にアルカリ土類金属、鉄、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、チタニウムおよびマンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンを存在させる。また、反応に伴うpHの変化に対して、反応系内にアルカリまたは酸を添加してpH7〜10の範囲から選ばれる一定の値にpHを保持する。該アルカリとしてはアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アンモニアまたはその水酸化物およびエチレンジアミンから選ばれる少なくとも1種であり、該酸としては硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、フマル酸、マレイン酸および S,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸から選ばれる少なくとも1種である。
【0012】
本発明は、反応の進行と共に電気伝導率が有意に低下すること、さらに高濃度の金属イオン存在下に、相当量のアルカリまたは酸を添加して反応中のpHを一定に維持する高イオン濃度の反応系においても、驚くべきことに電気伝導率の低下がさらに顕著になることを見い出したことによる。したがって、予め電気伝導率と生成物/基質比の相関データを取得することにより、それに基づいて原料供給および/または反応液回収を操作することで容易に原料、生成物濃度を制御することができる。電気伝導率計は通常、副反応等の影響を大きく受けるため厳密な制御には適用できないが、本発明によるところの微生物反応は極めて副反応が少なく、かつ反応進行とともに十分な電気伝導率変化を示すため、精度の高い制御が可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の対象となる微生物は後記のとおりである。
本発明で使用される微生物の培地には何ら特別の制限がなく、資化しうる炭素源、窒素源、無機塩、更に微量の有機栄養物などを適当に含有するものであれば合成培地、天然培地のいずれを用いることもできる。また、培地へのエチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸、エチレンジアミン−N−モノコハク酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジンなどのアミノ酸やフマル酸等の添加は、目的とする活性の高い菌体が得られることがあり好ましい。培養条件は菌体や培地により異なるが、培地のpHは4〜10、好ましくは6〜9の範囲、培養温度は20〜45℃、好ましくは25〜35℃の範囲で、活性が最大となるまで1〜10日間好気的に培養すればよい。
【0014】
微生物に存在するフマラーゼ活性は、特願平9−311046号明細書記載の方法により除去するのが好ましい。除去処理は、菌体または該菌体処理物に対して、pHは8〜10.5、好ましくは8.5〜10の範囲、温度は、通常、氷結温度〜55℃の範囲で、処理時間に制限なく行うことができる。
【0015】
一般に、SS−EDDSの生産反応はフマル酸とエチレンジアミン、および必要に応じて、アルカリ土類金属、鉄、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、チタニウムおよびマンガン等の金属イオンを含む水溶液中で、前記微生物またはその調製物、例えば、菌体または該菌体処理物(菌体破砕物、菌体抽出液、抽出した粗・精製酵素、固定化した菌体または酵素、薬剤処理(安定化処理等)した菌体または酵素)を接触させることにより行われるが、菌体培養液にフマル酸とエチレンジアミンおよび該金属化合物を直接添加しても行うこともできる。
【0016】
本発明における金属イオンは、例えば、Mg(II)、Ca(II)、Sr(II)、Ba(II)、Fe(II)、Fe(III) 、Zn(II))、Cu(II)、Ni(II)、Al(III) 、Ti(IV)およびMn(II)イオンならびにこれらの各種錯イオンを挙げることができる。
【0017】
これら金属イオン源としては、金属の水酸化物、酸化物ならびに硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、炭酸および酢酸等の無機または有機酸塩、さらにこれら金属化合物を含む鉱物や本発明の基質であるフマル酸やエチレンジアミンとの化合物等を挙げることができる。これらの化合物は2種以上混合して用いることも可能である。
【0018】
また、これらの金属化合物中には、水に対し溶解度の低いものあるいは難溶性のものもあるが、これらを飽和濃度以上に、例えば、懸濁状態として存在させた場合でも、SS−EDDSの配位能により相当量が可溶化されるため使用可能である。
【0019】
反応は、通常、0〜60℃、好ましくは20〜45℃の範囲で行う。pHは、通常、4〜11、好ましくはpH7〜10の範囲である。反応で用いるフマル酸の濃度は反応温度やpHにより異なるが、通常、0.01〜3Mであり、反応液中に飽和溶解度以上の沈殿物として存在させても反応の進行と共に溶解するため差し支えない。エチレンジアミンの濃度は、通常、0.01〜2Mである。反応液中への金属化合物添加量は生成するSS−EDDSに対して、通常、0.01〜2倍モルである。微生物などの使用量は基質に対する乾燥菌体換算で、通常、0.01〜5重量%である。
また、原料がいずれかに関わらず、エチレンジアミン、フマル酸を他の化合物から合成し得る反応系を本反応系と共存させたとしても、本発明の効果が得られる限り差し支えない。
【0020】
電気伝導率計の方式には、交流2電極方式、交流4電極方式、電磁誘導方式等があるが、本発明の効果が得られる限りいずれも使用可能である。電気伝導率計の設定はあらかじめ一定濃度の反応液でのSS−EDDS生成量と検出器の表示値との相関関係を示す検量線を作成しておき、検出器の表示値が所定の幅となるようにすればよい。
【0021】
原料供給および/または反応液回収の制御は、電気伝導率検出器(通常、電極あるいはセルと呼ばれる)を反応液中に接触させ、その電気信号を増幅器、変換器、リレー等を内蔵する調節器に送り自動で行うか、あるいは電気伝導率を随時モニターしながら手動で行う。回分反応では、目的の基質、生成物に相当する電気伝導率となった時点で反応液を回収すればよいし、また、反応槽内の電気伝導率が一定となるように原料添加と反応液回収を同時に行えば、連続反応とすることができる。連続反応は、反応槽を連結して多槽で行うことも可能である。
【0022】
反応に当たっては菌体あたりの生産性や活性等を判断して温度、pH条件を選択して行えばよいが、電気伝導率はpH、温度の影響を受け易いので、反応時にpHや温度の変化がある場合にはpH、温度により電気伝導率がどのように変化するかを把握しておく必要がある。より好ましくは適当な酸、またはアルカリ溶液によりpH調節および温度調節を行う。pH調節を行う場合、金属イオンを添加しないときおよびアルカリ土類金属を添加したときにはpHが低下するので、アルカリ金属の水酸化物、エチレンジアミン、SS−EDDSのアルカリ金属やアンモニウム塩等のアルカリによって行い、アルカリ土類金属以外の金属イオンを添加する場合は、通常、pHが上昇するので硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、フマル酸、マレイン酸、SS−EDDS等の酸によって行う。
これらの反応、回収は、回分、連続のいずれの方法でも行うことができる。
【0023】
本発明で使用される微生物としてはEDDSアーゼ活性を有する微生物であればいずれも対象となる。
例えば、バークホルデリア(Burkholderia)属、アシドボラックス(Acidovorax)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、パラコッカス(Paracoccus)属、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属およびブレブンジモナス(Brevundimonas)属に属する細菌、さらに宿主としてエシェリヒア(Esherichia)属またはロドコッカス(Rhodococcus)属に属する細菌を用い、これにEDDSアーゼをコードする遺伝子DNAを導入した形質転換体などを例として挙げることができる。
具体的には、Burkholderia sp.KK−5株〔FERM BP−5412〕、同KK−9株〔FERM BP−5413〕、Acidovorax sp.TN−51株〔FERM BP−5416〕、Pseudomonas sp.TN−131株〔FERM BP−5418〕、Paracoccus sp.KK−6株〔FERM BP−5415〕、同TNO−5株〔FERM BP−6547〕、Sphingomonas sp.TN−28株〔FERM BP−5419〕、Brevundimonas sp.TN−30株〔FERM BP−5417〕および同TN−3株〔FERM BP−5886〕、さらに、宿主として大腸菌JM109株〔Esherichia coli ATCC53323株〕またはRhodococcus rhodochrous ATCC17895株を用いた形質転換体を挙げることができる。
上記微生物のうち、KK−5株、KK−9株、TN−51株、TN−131株、KK−6株、TN−28株、TN−30株、TN−3株は、本発明者らにより自然界から新たに分離され、上記番号にて通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されており、これらの菌株の菌学的性質は、前記特開平9−140390号公報、特開平10−52292号公報等に記載されている。
また、TNO−5株も、本発明者らにより自然界から新たに分離され、上記番号にて通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。本菌の菌学的性質は以下に示す通りである。
【0024】
Figure 0004372266
【0025】
上記菌学的性質を、Bergey's Manual of Systematic Bacteriology Vol.9(1990)により分類するとTNO−5株はパラコッカス(Paracoccus)属に属する細菌と同定された。尚、TN−3株はディミヌタ(diminuta) 種であることが確認されている。
【0026】
大腸菌 JM109株(Esherichia coli ATCC53323 株)、Rhodococcus rhodochrous ATCC17895 株は公知であり、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から容易に入手することができる。これらの菌株を宿主として、TN−3株のEDDSアーゼ活性を有するタンパク質をコードする遺伝子DNAを含むプラスミド pEDS020および pSE001 を導入した形質転換体が、E. coli JM109/pEDS020(FERM BP-6161) および Rhodococcus rhodochrous ATCC17895/pSE001(FERM BP-6548) として、それぞれ通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。
なお、これら形質転換体の作成方法は、本出願人の出願に係る特開平10−210984号公報に記載されている。
【0027】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0028】
(1)SS−EDDS、フマル酸濃度の測定
反応液中の不溶物を15,000rpm、5℃、5分間の遠心分離にて除去した後、液体クロマトグラフィーにてSS−EDDSを定量した。定量用カラムとしては WAKOSIL 5C8(和光純薬)〔溶出液;10mM 水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウムと0.4mM CuSO を含む50mMリン酸、pH2〕を、また光学分割カラムとして MCI GEL CRS 10W(三菱化学社製)〔溶出液;10mM CuSO〕を使用した。
【0029】
(2)電気伝導率の測定
交流2電極式電気伝導率指示調節計(東亜電波工業;CDIC−7型)および電気伝導率セル(同;CGS−3511型)をKCl水溶液を標準として校正し使用した。
【0030】
参考例1
(1)菌体触媒の調製
Esherichia coli JM109/pEDS020を斜面培地から1白金耳とり、50mg/Lアンピシリンを含有するLB培地(1%バクトトリプトン、0.5%バクトイーストエキス、0.5%NaCl)に接種して37℃にて8時間振とう培養した。これを、LB培地(50mg/Lアンピシリン、1mM isopropyl-b-galactosideを含有)に、2.5%量接種し、37℃、30時間、好気的に振とう培養した。
培養液1Lから、菌体を遠心分離(7,000rpm,20分)により集菌し、100mM 1,4−ジアミノブタンを含む50mMほう酸緩衝液pH7.75、500mLで1回洗浄した。500mLの同様の緩衝液に菌体を再懸濁した後、氷中において25%グルタルアルデヒドを25mMとなるように徐々に添加した。pHが低下するので6N NaOHにてpH7.75に調整した後、撹拌しながら2時間放置した。エチレンジアミンを50mMとなるように添加し、6NNaOHでpH9.0とした後、2時間放置した。次に水素化ほう素ナトリウムを25mMとなるように添加して撹拌しながら更に2時間放置した。さらに、6N NaOHにてpH9.2に調整した後、水浴中で45℃、4時間、加熱処理を行い、フマラーゼ活性を除去した。
【0031】
(2)反応液の調製と反応
反応液組成は最終濃度換算で、1Kgあたりフマル酸1.027モル、エチレンジアミン0.513モル、水酸化マグネシウム0.513モル、NaOH0.513モル、菌体50g(乾燥重量換算)であり、水、フマル酸、水酸化マグネシウムを透明となるまで激しく撹拌したあと、24wt%NaOH、エチレンジアミンの順に加え、透明となるまで撹拌し、40℃にて菌体を添加することにより反応を開始し、24時間、40℃にて反応を行った。
菌体添加前のpHは約8.5であったが、反応中pHが低下するので、24wt%NaOHによりpHを8.5に保った。
反応中の電気伝導率変化と反応液組成を表1に示す。
【0032】
【表1】
Figure 0004372266
【0033】
実施例1
(1)菌体触媒の調製
参考例1と同様。
【0034】
(2)反応液の調製と反応
参考例1と同様に反応を行い、電気伝導率が36.0mS/cmとなった時点で反応液を回収し分析した。SS−EDDS濃度は448mM、フマル酸は40mMであった。
【0035】
実施例2
(1)菌体触媒の調製
参考例1と同様。
【0036】
(2)反応液の調製と反応
参考例1と同様に反応を行い、電気伝導率が36.0mS/cmとなった時でチューブポンプで同じ組成の反応液を定速で供給、同時に反応液の一部を回収することにより、電気伝導率を35.8〜36.2mS/cmの幅に保った。この回収の際、ギアポンプと中空糸膜[クラレ;SF−8102(孔径0.1μm、内径×長さ=1.2×350mm)]を用いることで、菌体は反応槽に戻し、ろ液のみを回収できる様にした。
48時間操作を行い、この間のSS−EDDS濃度は、442〜450mM、フマル酸濃度は、38〜41mMであった。
【0037】
参考例2
(1)菌体触媒の調製
参考例1と同様。
【0038】
(2)反応液の調製と反応
反応液組成は最終濃度換算で、1Kgあたりフマル酸1.027モル、エチレンジアミン0.513モル、NaOH1.027モル、菌体50g(乾燥重量換算)であり、水、フマル酸、24wt%NaOH、エチレンジアミンの順に加え、透明となるまで撹拌し、40℃にて菌体を添加することにより反応を開始し、40℃で48時間反応を行った。
菌体添加前のpHは約8.8であり、反応中pHが低下したが、pHを一定に保つためのアルカリは添加しなかった。
反応中の電気伝導率変化と反応液組成を表2に示す。
【0039】
【表2】
Figure 0004372266
実施例3
(1)菌体触媒の調製
参考例1と同様。
【0040】
(2)反応液の調製と反応
参考例2と同様に反応を行い、電気伝導率が51.8mS/cmとなった時点で反応液を回収し分析した。SS−EDDS濃度は220mM、フマル酸は656mMであった。
【0041】
【発明の効果】
予め電気伝導率と生成物/基質比の相関データを取得することにより、それに基づいて原料供給および/または反応液回収を操作することで容易に原料、生成物濃度を制御することができる。電気伝導率計は通常、副反応等の影響を大きく受けるため厳密な制御には適用できないが、本発明によるところの微生物反応は極めて副反応が少なく、かつ反応進行とともに十分な電気伝導率変化を示すため、精度の高い制御が可能である。

Claims (3)

  1. アルカリ土類金属、鉄、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、チタニウムおよびマンガンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンの存在下に、エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸エチレンジアミンリアーゼ活性を有する微生物またはその調製物の作用により、フマル酸とエチレンジアミンからS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸を製造する方法において、反応系内に電気伝導率計を設置し、検知した電気伝導率の変化に基づいて原料供給および/または反応液回収を行い反応を制御することを特徴とするS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸製造反応の制御法。
  2. 反応に伴うpHの変化に対して、反応系内にアルカリまたは酸を添加してpH7〜10の範囲から選ばれる一定の値にpHを保持する請求項記載のS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸製造反応の制御法。
  3. アルカリがアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アンモニアまたはその水酸化物およびエチレンジアミンから選ばれる少なくとも1種であり、酸が硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、フマル酸、マレイン酸およびS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸から選ばれる少なくとも1種である請求項記載のS,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸製造反応の制御法。
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