JP4061862B2 - 微生物によるクロロヒドリンの光学分割法 - Google Patents

微生物によるクロロヒドリンの光学分割法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬・農薬・生理活性物質などの光学活性化合物の合成における有用なキラルビルディングブロックおよび中間体となりうる光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステル並びに光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの微生物処理による改良製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬品等の光学活性化合物の中間体として有用な光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルと光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンのより簡便で、安価で、工業的に有利な製法が望まれている。
既に本発明者らは、ラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エステルのようなクロロヒドリンに微生物菌体あるいはその菌体産生物を作用させ、立体選択的脱クロル化反応により、一方の光学活性体を該光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンに変換し、残存するもう一方の光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エステルを同時に回収する方法(特開平9-47296、US Patent 5,776,766、Suzuki et al. Enzyme and Microb. Technol., 24, 13-20 (1999))を見出している。
【0003】
しかし、この方法では、脱クロル化反応の進行に伴って生成する塩化水素酸により、反応液中のpHが低下し微生物菌体あるいはその菌体産生酵素の至適pHからずれるため、反応効率が劣る。そのために中和剤として、炭酸カルシウムや水酸化ナトリウムを添加し、反応を行うことも本発明者らは報告している(特開平9-47296、US Patent 5,776,766、Suzuki et al. Enzyme and Microb. Technol., 24, 13-20 (1999))。
中和剤として炭酸カルシウムを用いる場合、立体選択性上昇に効果が得られるが、低溶解度であるため、工業的にスケールアップすることが難しい。即ち
1)正確なpH調整が難しく、
2)光学活性体の回収時に、残存する炭酸カルシウムを除去しなければならず、そして
3)中和に要した塩基の添加量から基質分解量を推測し、流加反応の基質流加シグナルとして利用できない。即ち、光学分割反応は使用する微生物菌体やその産生物が基質濃度の影響を受けやすく、仕込み基質量を多くする場合は基質を逐次添加することが有効な反応法である。そこで中和に要した塩基量を基に基質添加量を決定することは有効な手段であるが、炭酸カルシウムは殆ど不溶性のため中和に要した塩基量を正確に定量することは難しく、炭酸カルシウムをアルカリ源とする場合には効果的な基質添加を行うことができず、工業的にスケールアップすることが難しい。
一方、水酸化ナトリウムは水溶性アルカリ源であり、取り扱いは比較的容易であるが、ラセミ体ブタン酸エステルを基質とするこの反応では、立体選択性が低く、反応終了液からの光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エステルおよび光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを回収する工程において、生成する3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの光学純度が低くなるなど実際的でないばかりか、効率的でない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の通り、ラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エステルのようなクロロヒドリンに微生物菌体あるいはその菌体産生物を作用させ、立体選択的脱クロル化反応により、一方の光学活性体を該光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンに変換し、同時に残存するもう一方の光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エステルを回収する方法を見出しているが、それらの工業生産において実際的な製法を確立するために、そしてそれらの生産性の向上並びに高光学純度のものを得るため鋭意研究した結果、立体選択的な脱クロル化反応に伴い生成する塩化水素酸によるpHの低下に対して、水溶性弱塩基性化合物により、その反応pHを微生物あるいはその産生酵素の至適pHで制御することにより、高光学純度の光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルおよび3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを効率的に得る方法を見出し、本発明を完成したのである。
【0005】
即ち、本発明はラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステル混合物に、該化合物に対して立体選択的脱クロル化活性を有する微生物または該微生物の産生物を作用させ、一方の光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルを残存させると共に、他方の光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを生成せしめる方法において、水溶性弱塩基性化合物の存在下該微生物または該微生物の産生物を作用させることを特徴とするクロロヒドリンの光学分割法を提供することにある。
本発明はまた、ラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステル混合物に、該化合物に対して立体選択的脱クロル化活性を有する微生物または該微生物の産生物を作用させ、一方の光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルを残存させると共に、他方の光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを生成せしめ、ついで該光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルを単離する方法において、水溶性弱塩基性化合物の存在下該微生物または該微生物の産生物を作用させること特徴とする方法、
並びに、ラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステル混合物に、該化合物に対して立体選択的脱クロル化活性を有する微生物または該産生物を作用させ、一方の光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルを残存させると共に、他方の光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを生成せしめ、ついで該光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを単離する方法において、水溶性弱塩基性化合物の存在下該微生物または該微生物の産生物を作用させること特徴とする方法に関する。
【0006】
【発明の具体的説明】
本発明で用いられる水溶性弱塩基性化合物としては、アンモニア水、炭酸アンモニウム塩、炭酸水素アンモニウム塩、炭酸アルカリ金属塩または炭酸水素アルカリ金属塩が挙げられ、具体的には、アンモニア水の他、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムの水溶液を挙げることができる。好ましい水溶性弱塩基性化合物としてはアンモニア水、炭酸アンモニウム塩、炭酸水素アンモニウム塩、またはそれらの水溶液が挙げられる。
本発明に使用される微生物は、4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルに対して、立体選択的な脱ハロゲン化反応を触媒する酵素を産生する菌株であれば特に制限されず、例えばエンテロバクター属(Enterobacter)に属する微生物、 キトロバクター属(Citobacter)に属する微生物、バシラス属(Bacillus)に属する微生物が例示される。
基質に対しエンテロバクター属(Enterobacter)に属する微生物または キトロバクター属(Citobacter)に属する微生物を作用させると、R体の4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルが残存し、S体の3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンが生成する。
一方、バシラス属(Bacillus)に属する微生物を作用させると、S体の4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルが残存し、R体の光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンが生成する。
【0007】
具体的には、本発明者らにより土壌から分離されたEnterobacter sp DS-S-75株、Citrobacter freundii DS-S-13株、Citrobacter freundii DS-K-40株、Bacillus sphaericus DS-ID-819株を挙げることができる。これらの微生物は、既に特許生物寄託センターに寄託番号 (FERM BP-5494:寄託日1996.3.12)、寄託番号 (FERM BP-5492:寄託日1996.3.12)、寄託番号 (FERM BP-5493:寄託日1996.3.12)、寄託番号 (FERM BP-5495:寄託日1996.3.12)としてそれぞれ寄託されている。
【0008】
上記微生物を培養するための培地組成としては、通常これらの微生物が生育する培地ならば特に制限されない。例えば炭素源としてグリセロール、D−ソルビトール、D−マンニトール等のアルコール類、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸等の有機酸またはそれらの塩類、D−グルコース、D−フラクトース、D−ガラクトース等の炭水化物またはそれらの混合物を、窒素源として硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機窒素化合物および尿素、ペプトン、カゼイン、酵母エキス、肉エキス、コーンスチープリカー等の有機窒素化合物とそれらの混合物を挙げることができる。その他、無機塩としてリン酸塩,マグネシウム塩、カリウム塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩等、更に必要に応じてビタミン類を加えてもよい。
上記微生物の培養は常法によればよく、例えばpHを5〜9、好ましくは6.5〜7.0、培養温度は20〜40C、好ましくは25〜37Cの範囲で好気的に10〜96時間行なうことが好ましい。
【0009】
ラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステル化合物に微生物またはその微生物の産生物を作用させて光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルおよび光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを得るには、本発明に係る微生物を
1)上記培養方法により得た微生物の培養液、
2)1)の培養液から遠心分離もしくは膜分離により得た菌体あるいはその菌体処理物(菌体破砕物あるいは菌体抽出液)、または
3)2)を常法により固定化したものとし、緩衝液に混合した微生物菌体混合液に、
基質を添加する方法がある。
反応温度は15〜50Cが好ましく、そして反応pHはpH6〜9が好ましいが、使用する基質の安定なpHや、使用する微生物酵素の至適pHの範囲で行なうと更に効果的である。反応液中の基質濃度は0.1〜20%(v/v)が好ましく、基質は初期に一括して加えてもよいし、分割添加してもよい。分割添加する場合に中和に要した塩基の量を指標として、最適添加基質量を計算し、分解活性に応じて基質を添加してもよい。
反応は通常、撹拌あるいは振盪しながら行い、反応時間は基質濃度、反応に供する微生物量あるいはその産生物量等により異なるが24〜120時間で終了するのがよい。好ましくはガスクロマトグラフィー等の分析により残存基質量が初期基質濃度に比して50%で反応を終了するのがよい。好ましくはガスクロマトグラフィー等の分析により、生成あるいは残存する光学活性体の光学純度を測定し終点を決定するのがよく、その生成物あるいは残存物の光学純度が最大になった時を終点とする。
反応中に立体選択的な脱クロル化反応に伴い生成する塩化水素酸によるpHの低下に対して、水溶性弱塩基性化合物水溶液、またはアンモニア水溶液により、その反応pHを微生物あるいはその酵素の至適pHで制御することによる高光学純度の光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルと3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを効果的に得ることができる。
【0010】
このようにして反応させ、反応液中に残存する光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルと3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを一般的な方法で単離・精製できる。
例えば菌の培養液または菌体を用いた場合には、反応液から菌体を遠心分離で除いた後、上清をエバポレーターにより濃縮し、酢酸エチル等の溶媒で抽出する。抽出液を無水硫酸マグネシウムにより脱水した後、減圧下で溶媒を除去し光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルと光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの粗シロップを得ることができる。これを蒸留やシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより分離精製してもよい。
以下実施例をもって、本発明を詳細に説明するが本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、実施例中の%は特に記載のない限り(W/V)を表す。
【実施例】
【0011】
実施例1
ペプトン、酵母エキス、グリセロールをそれぞれ1.0%含む栄養培地(pH7.2)3.0Lを入れた5L容ジャーファーメンター(培養器)を121℃で15分間滅菌した。予め供試菌であるEnterobacter sp. DS-S-75株をペプトン、酵母エキス、グリセロールをそれぞれ1.0%含む栄養培地100ml(pH7.2)で30℃で、16時間振盪培養して種菌を調製し、上記培地に2%(v/v)量(60ml)無菌的に接種した。そして温度30℃で、通気量1.0L/min、回転数500rpmの条件で約24時間、通気攪拌培養を行なった。
培養終了後、培養液を取り出し遠心分離にて集菌し、2mMの硫酸マグネシウムを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.2)で3回洗浄し、湿重量100gの休止菌体を調製した。その休止菌体50gを上記同緩衝液2500mlを入れた同5L容のジャーファーメンターに懸濁し(9.5 OD(660nmでの濁度))、200gのラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステルを加え、30℃で攪拌しながら20時間光学分割反応を行った。このとき立体選択的な脱クロル化反応の進行に伴い生成する塩化水素酸により低下するpHは、7%アンモニア水溶液により中和を行い、pH6.7に制御した。
その時の反応液中に残存する4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステル並びに生成する3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンをガスクロマトグラフィー(カラム担体:PEG20M,60−80メッシュ)で分析した結果、その残存率は48%であった。また、生成した3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの変換率は48%であった。
【0012】
反応終了後、菌体を除去し、約160mlまで濃縮し、等量の酢酸エチルで抽出した。無水硫酸マグネシウムにより脱水後、減圧下溶媒を除去し、96gの4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステルと64gの3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの混合物を得た。
これらの物質の同定および定量は同ガスクロマトグラフィーにより行ない、リテンションタイムより確認した(公開特許公報 特開平9−47296参照)。このシロップ中の4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステルをアステック社製のキャピラリーカラムG−TA(0.25mm x 30m)を用いたガスクロマトグラフィーにより光学異性体の分析を行なった。一方、3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンは無水トリフルオロ酢酸によりトリフルオロアセチル化した後、上記ガスクロマトグラフィーにより光学異性体の分析を行った(公開特許公報 特開平9−47296参照)。その結果、回収した4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステルは光学純度100%eeのR体であることが判明した。また、回収した3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンは光学純度95.1%eeのS体であることが判明した。このときの立体選択性を示す値であるE値は300であった。
【0013】
対照として中和に用いる塩基を25%(w/w)水酸化ナトリウム(比較例1)および炭酸カルシウム(比較例2)で行った場合と比較した。20時間後の光学純度並びにE値を表1に示す。
E値は以下の式により算出した。
E値=ln[1−C(1+eep)]/ln[1−C(1−eep)]
C:生成物の変換率
eep:生成物の光学純度
【0014】
実施例2−6
脱クロル化反応に伴い生成する塩化水素酸を中和する塩基を代えた以外は実施例1と同様の方法で行った。その結果を実施例1、比較例2の値と共に表1に示す。
【表1】
Figure 0004061862
【0015】
実施例7−12
基質をラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステルからラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エチルエステルに変え、そして中和に要する塩基を表2に示す化合物に代えた以外は実施例1と同様の方法で反応を行なった。なお、比較例3についても同様にして行なった。
【表2】
Figure 0004061862
【0016】
実施例13−15
使用する微生物をエンテロバクター属細菌(Enterobacter sp. DS-S-75株)からキトロバクター属細菌(Citrobacter freundii DS-S-13株あるいはCitrobacter freundii DS-K-40株)、バシラス属細菌(Bacillus sphaericus DS-ID-819株)に変更し、基質として4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エチルエステルを使用した以外は実施例1と同様の方法で行った。なお、使用した休止菌体は50gとした。なお、比較例4−6についても同様にして行なった。
【0017】
使用菌株Citrobacter freundii DS-S-13株
【表3】
Figure 0004061862
【0018】
使用菌株Citrobacter freundii DS-K-40株
【表4】
Figure 0004061862
【0019】
使用菌株Bacillus sphaericus DS-ID-819株
【表5】
Figure 0004061862
【0020】
実施例16
ペプトン、酵母エキス、グリセロールをそれぞれ1.0%含む栄養培地(pH7.2)2.5Lを入れた5L容ジャーファーメンター(培養器)を121℃で15分間滅菌した。予め供試菌であるEnterobacter sp. DS-S-75株をペプトン、酵母エキス、グリセロールをそれぞれ1.0%含む100mlの栄養培地(pH7.2)で30℃で、16時間振盪培養して種菌を調製し、上記培地に2%(v/v)量(50ml)を無菌的に接種した。そして温度30℃で、通気量1.0L/min、回転数500rpmの条件で約24時間、通気攪拌培養を行なった。
培養終了後、培養液中の微生物濃度は約15 OD(660nmでの濁度:湿重量約75gの休止菌体に相当)、培養液のpHは6.2であった。ついで反応液にpH電極とpHコントローラーを装着し、中和用塩基源として15%アンモニア水溶液を用い、pH6.7に制御し、また反応温度は30℃に制御した。
【0021】
その反応液に2%量(50g)のラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステルを添加し、光学分割反応を開始した。反応が進むにつれて遊離する塩酸を15%アンモニア水で中和し、中和に要したアンモニア水を天秤で定量し、その定量値を基に添加流加するラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステルの量を決定した。その値を次式により求めた。
一定時間内に流加添加するラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステル(モル数)=(一定時間内に中和に要した15%アンモニア量(g)x 0.15)/17xファクター値
:なお今回のファクター値は4.5で行い、この場合流加添加反応中の残存4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステルの光学純度は約70%ee(R体)であった。
最終的に流加添加したラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステルは300gであった。約24時間で反応を終了し、その時の残存R体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステルの光学純度は100%eeであった。一方、生成したS体3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの光学純度は95.3%eeであった。得られた反応液からの光学活性体の回収は実施例1と同様の方法で行い、141gのR体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステルと95gのS体3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの混合シロップを得た。
【0022】
【発明の効果】
本発明によればエンテロバクター属に属する微生物(Enterobacter sp. DS-S-75株)、キトロバクター属に属する微生物( Citrobacter freundii DS-S-13株あるいはCitrobacter freundii DS-K-40株)、バシラス属に属する微生物(Bacillus sphaericus DS-ID-819株)を利用した脱クロル化反応によるラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エステルの光学分割反応において、その中和反応において水溶性弱塩基性化合物を用いることにより、高光学純度のR体あるいはS体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルとより光学純度の高いS体あるいはR体3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを効果的に同時に生産することができる。

Claims (4)

  1. ラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステル混合物に、該化合物に対して立体選択的脱クロル化活性を有するエンテロバクター属に属する微生物または該微生物の産生物を作用させ、一方の光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルを残存させると共に、他方の光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを生成せしめる方法において、アンモニア水の存在下該微生物または該微生物の産生物を作用させることを特徴とするクロロヒドリンの光学分割法。
  2. ラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステル混合物に、該化合物に対して立体選択的脱クロル化活性を有するエンテロバクター属に属する微生物または該微生物の産生物を作用させ、一方の光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルを残存させると共に、他方の光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを生成せしめ、ついで該光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルを単離する方法において、アンモニア水の存在下該微生物または該微生物の産生物を作用させることを特徴とする方法。
  3. ラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステル混合物に、該化合物に対して立体選択的脱クロル化活性を有するエンテロバクター属に属する微生物または該微生物の産生物を作用させ、一方の光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルを残存させると共に、他方の光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを生成せしめ、ついで該光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを単離する方法において、アンモニア水の存在下該微生物または該微生物の産生物を作用させることを特徴とする方法。
  4. 残存する光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルがR体であり、生成する光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンがS体である請求項1−3記載のいずれかの方法。
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