JP2002360293A - 微生物によるクロロヒドリンの光学分割法 - Google Patents

微生物によるクロロヒドリンの光学分割法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン
酸アルキルエステルと光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブ
チロラクトンの効率的製法の提供。 【解決手段】 ラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブ
タン酸アルキルエステル混合物に、その化合物に対して
立体選択的脱クロル化活性を有する微生物を作用させ、
一方の光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸ア
ルキルエステルを残存させると共に、他方の光学活性3
−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを生成せしめる方法
において、水溶性弱塩基性化合物の存在下その微生物を
作用させることを特徴するクロロヒドリンの光学分割法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医薬・農薬・生理活
性物質などの光学活性化合物の合成における有用なキラ
ルビルディングブロックおよび中間体となりうる光学活
性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステ
ル並びに光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン
の微生物処理による改良製法に関する。
【0002】
【従来の技術】医薬品等の光学活性化合物の中間体とし
て有用な光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸
アルキルエステルと光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチ
ロラクトンのより簡便で、安価で、工業的に有利な製法
が望まれている。既に本発明者らは、ラセミ体4−クロ
ロ−3−ヒドロキシブタン酸エステルのようなクロロヒ
ドリンに微生物菌体あるいはその菌体産生物を作用さ
せ、立体選択的脱クロル化反応により、一方の光学活性
体を該光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンに
変換し、残存するもう一方の光学活性4−クロロ−3−
ヒドロキシブタン酸エステルを同時に回収する方法(特
開平9-47296、US Patent 5,776,766、Suzuki et al. En
zyme and Microb. Technol., 24, 13-20 (1999))を見
出している。
【0003】しかし、この方法では、脱クロル化反応の
進行に伴って生成する塩化水素酸により、反応液中のp
Hが低下し微生物菌体あるいはその菌体産生酵素の至適
pHからずれるため、反応効率が劣る。そのために中和
剤として、炭酸カルシウムや水酸化ナトリウムを添加
し、反応を行うことも本発明者らは報告している(特開
平9-47296、US Patent 5,776,766、Suzuki et al. Enzy
me and Microb. Technol., 24, 13-20 (1999))。中和
剤として炭酸カルシウムを用いる場合、立体選択性上昇
に効果が得られるが、低溶解度であるため、工業的にス
ケールアップすることが難しい。即ち 1)正確なpH調整が難しく、 2)光学活性体の回収時に、残存する炭酸カルシウムを
除去しなければならず、そして 3)中和に要した塩基の添加量から基質分解量を推測
し、流加反応の基質流加シグナルとして利用できない。
即ち、光学分割反応は使用する微生物菌体やその産生物
が基質濃度の影響を受けやすく、仕込み基質量を多くす
る場合は基質を逐次添加することが有効な反応法であ
る。そこで中和に要した塩基量を基に基質添加量を決定
することは有効な手段であるが、炭酸カルシウムは殆ど
不溶性のため中和に要した塩基量を正確に定量すること
は難しく、炭酸カルシウムをアルカリ源とする場合には
効果的な基質添加を行うことができず、工業的にスケー
ルアップすることが難しい。一方、水酸化ナトリウムは
水溶性アルカリ源であり、取り扱いは比較的容易である
が、ラセミ体ブタン酸エステルを基質とするこの反応で
は、立体選択性が低く、反応終了液からの光学活性4−
クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エステルおよび光学活
性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを回収する工程
において、生成する3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクト
ンの光学純度が低くなるなど実際的でないばかりか、効
率的でない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の通
り、ラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エス
テルのようなクロロヒドリンに微生物菌体あるいはその
菌体産生物を作用させ、立体選択的脱クロル化反応によ
り、一方の光学活性体を該光学活性3−ヒドロキシ−γ
−ブチロラクトンに変換し、同時に残存するもう一方の
光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エステル
を回収する方法を見出しているが、それらの工業生産に
おいて実際的な製法を確立するために、そしてそれらの
生産性の向上並びに高光学純度のものを得るため鋭意研
究した結果、立体選択的な脱クロル化反応に伴い生成す
る塩化水素酸によるpHの低下に対して、水溶性弱塩基
性化合物により、その反応pHを微生物あるいはその産
生酵素の至適pHで制御することにより、高光学純度の
光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキル
エステルおよび3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを
効率的に得る方法を見出し、本発明を完成したのであ
る。
【0005】即ち、本発明はラセミ体4−クロロ−3−
ヒドロキシブタン酸アルキルエステル混合物に、該化合
物に対して立体選択的脱クロル化活性を有する微生物ま
たは該微生物の産生物を作用させ、一方の光学活性4−
クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルを残
存させると共に、他方の光学活性3−ヒドロキシ−γ−
ブチロラクトンを生成せしめる方法において、水溶性弱
塩基性化合物の存在下該微生物または該微生物の産生物
を作用させることを特徴とするクロロヒドリンの光学分
割法を提供することにある。本発明はまた、ラセミ体4
−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステル混
合物に、該化合物に対して立体選択的脱クロル化活性を
有する微生物または該微生物の産生物を作用させ、一方
の光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキ
ルエステルを残存させると共に、他方の光学活性3−ヒ
ドロキシ−γ−ブチロラクトンを生成せしめ、ついで該
光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキル
エステルを単離する方法において、水溶性弱塩基性化合
物の存在下該微生物または該微生物の産生物を作用させ
ること特徴とする方法、並びに、ラセミ体4−クロロ−
3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステル混合物に、該
化合物に対して立体選択的脱クロル化活性を有する微生
物または該産生物を作用させ、一方の光学活性4−クロ
ロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステルを残存さ
せると共に、他方の光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチ
ロラクトンを生成せしめ、ついで該光学活性3−ヒドロ
キシ−γ−ブチロラクトンを単離する方法において、水
溶性弱塩基性化合物の存在下該微生物または該微生物の
産生物を作用させること特徴とする方法に関する。
【0006】
【発明の具体的説明】本発明で用いられる水溶性弱塩基
性化合物としては、アンモニア水、炭酸アンモニウム
塩、炭酸水素アンモニウム塩、炭酸アルカリ金属塩また
は炭酸水素アルカリ金属塩が挙げられ、具体的には、ア
ンモニア水の他、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニ
ウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウ
ム、炭酸水素ナトリウムの水溶液を挙げることができ
る。好ましい水溶性弱塩基性化合物としてはアンモニア
水、炭酸アンモニウム塩、炭酸水素アンモニウム塩、ま
たはそれらの水溶液が挙げられる。本発明に使用される
微生物は、4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキ
ルエステルに対して、立体選択的な脱ハロゲン化反応を
触媒する酵素を産生する菌株であれば特に制限されず、
例えばエンテロバクター属(Enterobacter)に属する微生
物、 キトロバクター属(Citobacter)に属する微生物、
バシラス属(Bacillus)に属する微生物が例示される。基
質に対しエンテロバクター属(Enterobacter)に属する微
生物または キトロバクター属(Citobacter)に属する微
生物を作用させると、R体の4−クロロ−3−ヒドロキ
シブタン酸アルキルエステルが残存し、S体の3−ヒド
ロキシ−γ−ブチロラクトンが生成する。一方、バシラ
ス属(Bacillus)に属する微生物を作用させると、S体の
4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステル
が残存し、R体の光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロ
ラクトンが生成する。
【0007】具体的には、本発明者らにより土壌から分
離されたEnterobacter sp DS-S-75株、Citrobacter fre
undii DS-S-13株、Citrobacter freundii DS-K-40株、B
acillus sphaericus DS-ID-819株を挙げることができ
る。これらの微生物は、既に特許生物寄託センターに寄
託番号 (FERM BP-5494:寄託日1996.3.12)、寄託番号
(FERM BP-5492:寄託日1996.3.12)、寄託番号 (FERM B
P-5493:寄託日1996.3.12)、寄託番号 (FERM BP-549
5:寄託日1996.3.12)としてそれぞれ寄託されている。
【0008】上記微生物を培養するための培地組成とし
ては、通常これらの微生物が生育する培地ならば特に制
限されない。例えば炭素源としてグリセロール、D−ソ
ルビトール、D−マンニトール等のアルコール類、酢
酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、グル
コン酸等の有機酸またはそれらの塩類、D−グルコー
ス、D−フラクトース、D−ガラクトース等の炭水化物
またはそれらの混合物を、窒素源として硫酸アンモニウ
ム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機窒
素化合物および尿素、ペプトン、カゼイン、酵母エキ
ス、肉エキス、コーンスチープリカー等の有機窒素化合
物とそれらの混合物を挙げることができる。その他、無
機塩としてリン酸塩,マグネシウム塩、カリウム塩、マ
ンガン塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩等、更に必要に応じてビ
タミン類を加えてもよい。上記微生物の培養は常法によ
ればよく、例えばpHを5〜9、好ましくは6.5〜
7.0、培養温度は20〜40C、好ましくは25〜
37Cの範囲で好気的に10〜96時間行なうことが
好ましい。
【0009】ラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタ
ン酸アルキルエステル化合物に微生物またはその微生物
の産生物を作用させて光学活性4−クロロ−3−ヒドロ
キシブタン酸アルキルエステルおよび光学活性3−ヒド
ロキシ−γ−ブチロラクトンを得るには、本発明に係る
微生物を 1)上記培養方法により得た微生物の培養液、 2)1)の培養液から遠心分離もしくは膜分離により得
た菌体あるいはその菌体処理物(菌体破砕物あるいは菌
体抽出液)、または 3)2)を常法により固定化したものとし、緩衝液に混
合した微生物菌体混合液に、基質を添加する方法があ
る。反応温度は15〜50Cが好ましく、そして反応
pHはpH6〜9が好ましいが、使用する基質の安定な
pHや、使用する微生物酵素の至適pHの範囲で行なう
と更に効果的である。反応液中の基質濃度は0.1〜2
0%(v/v)が好ましく、基質は初期に一括して加え
てもよいし、分割添加してもよい。分割添加する場合に
中和に要した塩基の量を指標として、最適添加基質量を
計算し、分解活性に応じて基質を添加してもよい。反応
は通常、撹拌あるいは振盪しながら行い、反応時間は基
質濃度、反応に供する微生物量あるいはその産生物量等
により異なるが24〜120時間で終了するのがよい。
好ましくはガスクロマトグラフィー等の分析により残存
基質量が初期基質濃度に比して50%で反応を終了する
のがよい。好ましくはガスクロマトグラフィー等の分析
により、生成あるいは残存する光学活性体の光学純度を
測定し終点を決定するのがよく、その生成物あるいは残
存物の光学純度が最大になった時を終点とする。反応中
に立体選択的な脱クロル化反応に伴い生成する塩化水素
酸によるpHの低下に対して、水溶性弱塩基性化合物水
溶液、またはアンモニア水溶液により、その反応pHを
微生物あるいはその酵素の至適pHで制御することによ
る高光学純度の光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブ
タン酸アルキルエステルと3−ヒドロキシ−γ−ブチロ
ラクトンを効果的に得ることができる。
【0010】このようにして反応させ、反応液中に残存
する光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アル
キルエステルと3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを
一般的な方法で単離・精製できる。例えば菌の培養液ま
たは菌体を用いた場合には、反応液から菌体を遠心分離
で除いた後、上清をエバポレーターにより濃縮し、酢酸
エチル等の溶媒で抽出する。抽出液を無水硫酸マグネシ
ウムにより脱水した後、減圧下で溶媒を除去し光学活性
4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステル
と光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの粗シ
ロップを得ることができる。これを蒸留やシリカゲルを
用いたカラムクロマトグラフィーにより分離精製しても
よい。以下実施例をもって、本発明を詳細に説明するが
本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、
実施例中の%は特に記載のない限り(W/V)を表す。
【実施例】
【0011】実施例1 ペプトン、酵母エキス、グリセロールをそれぞれ1.0
%含む栄養培地(pH7.2)3.0Lを入れた5L容
ジャーファーメンター(培養器)を121℃で15分間
滅菌した。予め供試菌であるEnterobacter sp. DS-S-75
株をペプトン、酵母エキス、グリセロールをそれぞれ
1.0%含む栄養培地100ml(pH7.2)で30
℃で、16時間振盪培養して種菌を調製し、上記培地に
2%(v/v)量(60ml)無菌的に接種した。そし
て温度30℃で、通気量1.0L/min、回転数50
0rpmの条件で約24時間、通気攪拌培養を行なっ
た。培養終了後、培養液を取り出し遠心分離にて集菌
し、2mMの硫酸マグネシウムを含む20mMリン酸緩
衝液(pH7.2)で3回洗浄し、湿重量100gの休
止菌体を調製した。その休止菌体50gを上記同緩衝液
2500mlを入れた同5L容のジャーファーメンター
に懸濁し(9.5 OD(660nmでの濁度))、2
00gのラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸
メチルエステルを加え、30℃で攪拌しながら20時間
光学分割反応を行った。このとき立体選択的な脱クロル
化反応の進行に伴い生成する塩化水素酸により低下する
pHは、7%アンモニア水溶液により中和を行い、pH
6.7に制御した。その時の反応液中に残存する4−ク
ロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステル並びに生
成する3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンをガスクロ
マトグラフィー(カラム担体:PEG20M,60−8
0メッシュ)で分析した結果、その残存率は48%であ
った。また、生成した3−ヒドロキシ−γ−ブチロラク
トンの変換率は48%であった。
【0012】反応終了後、菌体を除去し、約160ml
まで濃縮し、等量の酢酸エチルで抽出した。無水硫酸マ
グネシウムにより脱水後、減圧下溶媒を除去し、96g
の4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステル
と64gの3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの混合
物を得た。これらの物質の同定および定量は同ガスクロ
マトグラフィーにより行ない、リテンションタイムより
確認した(公開特許公報 特開平9−47296参
照)。このシロップ中の4−クロロ−3−ヒドロキシブ
タン酸メチルエステルをアステック社製のキャピラリー
カラムG−TA(0.25mm x 30m)を用いた
ガスクロマトグラフィーにより光学異性体の分析を行な
った。一方、3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンは無
水トリフルオロ酢酸によりトリフルオロアセチル化した
後、上記ガスクロマトグラフィーにより光学異性体の分
析を行った(公開特許公報 特開平9−47296参
照)。その結果、回収した4−クロロ−3−ヒドロキシ
ブタン酸メチルエステルは光学純度100%eeのR体
であることが判明した。また、回収した3−ヒドロキシ
−γ−ブチロラクトンは光学純度95.1%eeのS体
であることが判明した。このときの立体選択性を示す値
であるE値は300であった。
【0013】対照として中和に用いる塩基を25%(w
/w)水酸化ナトリウム(比較例1)および炭酸カルシ
ウム(比較例2)で行った場合と比較した。20時間後
の光学純度並びにE値を表1に示す。E値は以下の式に
より算出した。 E値=ln[1−C(1+eep)]/ln[1−C(1
−eep)] C:生成物の変換率 eep:生成物の光学純度
【0014】実施例2−6 脱クロル化反応に伴い生成する塩化水素酸を中和する塩
基を代えた以外は実施例1と同様の方法で行った。その
結果を実施例1、比較例2の値と共に表1に示す。
【表1】
【0015】実施例7−12 基質をラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メ
チルエステルからラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシ
ブタン酸エチルエステルに変え、そして中和に要する塩
基を表2に示す化合物に代えた以外は実施例1と同様の
方法で反応を行なった。なお、比較例3についても同様
にして行なった。
【表2】
【0016】実施例13−15 使用する微生物をエンテロバクター属細菌(Enterobact
er sp. DS-S-75株)からキトロバクター属細菌(Citrob
acter freundii DS-S-13株あるいはCitrobacter freund
ii DS-K-40株)、バシラス属細菌(Bacillus sphaericu
s DS-ID-819株)に変更し、基質として4−クロロ−3
−ヒドロキシブタン酸エチルエステルを使用した以外は
実施例1と同様の方法で行った。なお、使用した休止菌
体は50gとした。なお、比較例4−6についても同様
にして行なった。
【0017】使用菌株Citrobacter freundii DS-S-13株
【表3】
【0018】使用菌株Citrobacter freundii DS-K-40株
【表4】
【0019】使用菌株Bacillus sphaericus DS-ID-819
【表5】
【0020】実施例16 ペプトン、酵母エキス、グリセロールをそれぞれ1.0
%含む栄養培地(pH7.2)2.5Lを入れた5L容
ジャーファーメンター(培養器)を121℃で15分間
滅菌した。予め供試菌であるEnterobacter sp. DS-S-75
株をペプトン、酵母エキス、グリセロールをそれぞれ
1.0%含む100mlの栄養培地(pH7.2)で3
0℃で、16時間振盪培養して種菌を調製し、上記培地
に2%(v/v)量(50ml)を無菌的に接種した。
そして温度30℃で、通気量1.0L/min、回転数
500rpmの条件で約24時間、通気攪拌培養を行な
った。培養終了後、培養液中の微生物濃度は約15 O
D(660nmでの濁度:湿重量約75gの休止菌体に
相当)、培養液のpHは6.2であった。ついで反応液
にpH電極とpHコントローラーを装着し、中和用塩基
源として15%アンモニア水溶液を用い、pH6.7に
制御し、また反応温度は30℃に制御した。
【0021】その反応液に2%量(50g)のラセミ体
4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステルを
添加し、光学分割反応を開始した。反応が進むにつれて
遊離する塩酸を15%アンモニア水で中和し、中和に要
したアンモニア水を天秤で定量し、その定量値を基に添
加流加するラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブタン
酸メチルエステルの量を決定した。その値を次式により
求めた。 一定時間内に流加添加するラセミ体4−クロロ−3−ヒ
ドロキシブタン酸メチルエステル(モル数)=(一定時
間内に中和に要した15%アンモニア量(g)x 0.
15)/17xファクター値 :なお今回のファクター値は4.5で行い、この場合流
加添加反応中の残存4−クロロ−3−ヒドロキシブタン
酸メチルエステルの光学純度は約70%ee(R体)で
あった。最終的に流加添加したラセミ体4−クロロ−3
−ヒドロキシブタン酸メチルエステルは300gであっ
た。約24時間で反応を終了し、その時の残存R体4−
クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステルの光学
純度は100%eeであった。一方、生成したS体3−
ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの光学純度は95.3
%eeであった。得られた反応液からの光学活性体の回
収は実施例1と同様の方法で行い、141gのR体4−
クロロ−3−ヒドロキシブタン酸メチルエステルと95
gのS体3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの混合シ
ロップを得た。
【0022】
【発明の効果】本発明によればエンテロバクター属に属
する微生物(Enterobacter sp. DS-S-75株)、キトロバ
クター属に属する微生物( Citrobacter freundii DS-S
-13株あるいはCitrobacter freundii DS-K-40株)、バ
シラス属に属する微生物(Bacillus sphaericus DS-ID-
819株)を利用した脱クロル化反応によるラセミ体4−
クロロ−3−ヒドロキシブタン酸エステルの光学分割反
応において、その中和反応において水溶性弱塩基性化合
物を用いることにより、高光学純度のR体あるいはS体
4−クロロ−3−ヒドロキシブタン酸アルキルエステル
とより光学純度の高いS体あるいはR体3−ヒドロキシ
−γ−ブチロラクトンを効果的に同時に生産することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 篤 大阪府大阪市西区江戸堀1丁目10番8号 ダイソー株式会社内 (72)発明者 樋上 素子 大阪府大阪市西区江戸堀1丁目10番8号 ダイソー株式会社内 Fターム(参考) 4B064 AD75 AE45 CA02 CB11 CB30 DA01 DA11

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブ
    タン酸アルキルエステル混合物に、該化合物に対して立
    体選択的脱クロル化活性を有する微生物または該微生物
    の産生物を作用させ、一方の光学活性4−クロロ−3−
    ヒドロキシブタン酸アルキルエステルを残存させると共
    に、他方の光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクト
    ンを生成せしめる方法において、水溶性弱塩基性化合物
    の存在下該微生物または該微生物の産生物を作用させる
    ことを特徴とするクロロヒドリンの光学分割法。
  2. 【請求項2】 ラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブ
    タン酸アルキルエステル混合物に、該化合物に対して立
    体選択的脱クロル化活性を有する微生物または該微生物
    の産生物を作用させ、一方の光学活性4−クロロ−3−
    ヒドロキシブタン酸アルキルエステルを残存させると共
    に、他方の光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクト
    ンを生成せしめ、ついで該光学活性4−クロロ−3−ヒ
    ドロキシブタン酸アルキルエステルを単離する方法にお
    いて、水溶性弱塩基性化合物の存在下該微生物または該
    微生物の産生物を作用させることを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】 ラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブ
    タン酸アルキルエステル混合物に、該化合物に対して立
    体選択的脱クロル化活性を有する微生物または該微生物
    の産生物を作用させ、一方の光学活性4−クロロ−3−
    ヒドロキシブタン酸アルキルエステルを残存させると共
    に、他方の光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクト
    ンを生成せしめ、ついで該光学活性3−ヒドロキシ−γ
    −ブチロラクトンを単離する方法において、水溶性弱塩
    基性化合物の存在下該微生物または該微生物の産生物を
    作用させることを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 微生物がエンテロバクター属(Enterobac
    ter)、キトロバクター属(Citrobacter)またはバシラス
    属(Bacillus)に属する菌株である請求項1−3に記載
    のいずれかの方法。
  5. 【請求項5】 水溶性弱塩基性化合物がアンモニア水、
    炭酸アンモニウム塩、炭酸水素アンモニウム塩、炭酸ア
    ルカリ金属塩または炭酸水素アルカリ金属塩である請求
    項1−4に記載のいずれかの方法。
  6. 【請求項6】 水溶性弱塩基性化合物がアンモニア水、
    炭酸アンモニウム塩または炭酸水素アンモニウム塩であ
    る請求項1−4に記載のいずれかの方法。
  7. 【請求項7】 水溶性弱塩基性化合物が炭酸ナトリウム
    塩、炭酸水素ナトリウム塩、炭酸カリウム塩または炭酸
    水素カリウム塩である請求項1−4に記載のいずれかの
    方法。
  8. 【請求項8】 残存する光学活性4−クロロ−3−ヒド
    ロキシブタン酸アルキルエステルがR体であり、生成す
    る光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンがS体
    である請求項1−7記載のいずれかの方法。
  9. 【請求項9】 微生物がエンテロバクター属(Enterobac
    ter)、キトロバクター属 (Citrobacter)に属する菌株で
    ある請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 微生物がエンテロバクター(Enterobac
    ter) sp. DS-S-75株(FERM BP−5494)、キトロバクター
    ・フレウンディー (Citrobacter freundii)DS-S-13株
    (FERM BP-5492)、またはキトロバクター・フレウンデ
    ィー(Citrobacter freundii) DS-K-40株(FERM BP-549
    3)である請求項8または9記載の方法。
  11. 【請求項11】 残存する光学活性4−クロロ−3−ヒ
    ドロキシブタン酸アルキルエステルがS体であり、生成
    する光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンがR
    体である請求項1−7記載のいずれかの方法。
  12. 【請求項12】 微生物がバシラス属(Bacillus)に属
    する菌株である請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 微生物がバシラス・スペリカス(Bacil
    lus sphaericus) DS-ID-819株(FERM BP-5495)である
    請求項11または12記載の方法。
  14. 【請求項14】 ラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシ
    ブタン酸アルキルエステルが4−クロロ−3−ヒドロキ
    シブタン酸メチルエステルまたは4−クロロ−3−ヒド
    ロキシブタン酸エチルエステルである請求項1−13記
    載のいずれかの方法。
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