JP2995870B2 - 新規微生物 - Google Patents
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Description
obacter)属に属する微生物であるアルスロバクターSC
−6−98−28株及びこれを用いた(+)−菊酸また
は(+)−3-(2,2- ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシク
ロプロパンカルボン酸(以下、DV酸と略する)の生化
学的製造法に関する。
フォルミス(Arthrobacter globiformis)IFO−12
958株をN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグ
アニジン(以後NTGと略称する)処理による突然変異
誘発処理を行って取得した微生物アルスロバクターSC
−6−98−28株及び、該微生物を用いた(+)−菊
酸または(+)−DV酸の生化学的製造法に関する。
は、立体関係を表すものではない。) で表される菊酸または(+)−DV酸はアレスリン、テ
トラメスリン、レスメスリン、フラメスリン、フェノス
リン、パーメスリンなどのいゆるピレスロイドと総称さ
れる低毒性で速効性の殺虫性エステル化合物の酸成分を
構成する化合物である。
に基づき(+)体と(−)体と呼ばれる2種の異性体が
存在する。 ピレスロイドとしての殺虫効力において
は、(+)体が有効であり、(−)体は殆ど無効である
ことが知られている(吉岡宏輔、有機合成化学、第38
巻、第12号、1980年)。 従って、工業的に有利
に(+)−菊酸または(+)−DV酸を製造することが
非常に重要である。
酸または(+)−DV酸を製造する方法は、高価な光学
活性試薬を必要とする、あるいは煩雑な工程を必要とす
るなどの欠点を有する。
般式化4
ル基または、塩素原子を表す。本式は、立体関係を表す
ものではない。) で表される化合物であるラセミ菊酸エステルまたはラセ
ミDV酸エステルに作用させて、これを立体選択的に不
斉加水分解し、(+)−菊酸(または(+)−DV酸)
とその対掌体エステルに分割することを特徴とする
(+)−菊酸または(+)−DV酸の生化学的製造法が
知られている。この生化学的製造法は、有機合成化学的
な製造法に比べて、高価な試薬や煩雑な工程を必要とし
ない点で優れている。
ルスロバクター・グロビフォルミスIFO−12958
株が、一般式化5
ル基または、塩素原子を表す。本式は、立体関係を表す
ものではない。) で示されるラセミ菊酸エステルまたはラセミDV酸エス
テルを立体選択的に不斉加水分解し、光学純度の高い
(+)−菊酸または(+)−DV酸を生成することか
ら、(+)−菊酸または(+)−DV酸の生化学的製造
法において極めて有用な微生物であることを見出した。
(特開昭59−210892号、特開昭63−2510
99号)
必ずしも充分に高くはなく、上記不斉加水分解反応を工
業的に利用するに当たっては、大量の菌体を必要とする
などの問題点があった。
バクター・グロビフォルミス(Arthrobacter globif-or
mis)IFO−12958株を突然変異誘発処理するこ
とにより、菌体量あたりのラセミ菊酸エステル加水分解
活性が高い微生物を創製すべく鋭意検討を行ってきた。
その結果、アルスロバクター・グロビフォルミス(Ar
throbacter glob-iformis)IFO−12958株をN
TG処理による突然変異誘発処理を行った後、ラセミ菊
酸エチルエステルを含有する寒天培地に生育する突然変
異株について、菌体量あたりのラセミ菊酸エチルエステ
ル加水分解活性が高い微生物を取得すべく誠意努力し、
本発明の微生物アルスロバクターSC−6−98−28
株を得た。
−98−28株は工業技術院微生物工業技術研究所に微
工研菌寄第11851 号(FERM P-11851 ) として寄託されて
いる。
発明において、アルスロバクター・グロビフォルミスI
FO−12958株のNTG処理による突然変異誘発処
理は常法に従って行った。すなわち、アルスロバクター
・グロビフォルミスIFO−12958株を公知の液体
培地を用いて、培養し、対数増殖期に達した時に、遠心
分離操作により菌体を分離取得する。この菌体を、適当
な緩衝液で洗浄した後、NTG水溶液で処理する。この
後、遠心分離操作により菌体を分離取得し、適当な緩衝
液で洗浄し、ラセミ菊酸エチルエステルを懸濁させた寒
天培地に植菌する。菌体を培養し、生育して集落を形成
した微生物株を釣菌し、再度、ラセミ菊酸エチルエステ
ルを懸濁させた寒天培地に塗布植菌した。ここで生育し
て集落を形成した微生物について、酪酸メチル加水分解
活性を測定し、その活性がアルスロバクター・グロビフ
ォルミス(Arthrobacter globiformis)IFO−129
58株より高いものを選抜する。ここで選抜された微生
物について、ラセミ菊酸エチル加水分解活性を測定し、
その活性が最も高かった微生物を選抜し、アルスロバク
ターSC−6−98−28株を得た。アルスロバクター
SC−6−98−28株の細菌学的性状はアルスロバク
ター・グロビフォルミスIFO−12958株とまった
く同じであるが、菌体量あたりの菊酸エチルエステル加
水分解活性はアルスロバクター・グロビフォルミスIF
O−12958株のそれに比べて、3倍以上高い。ま
た、アルスロバクターSC−6−98−28株は、ラセ
ミ菊酸エステル(またはラセミDV酸エステル)に作用
して、(+)体のエステルを選択的に加水分解し、光学
純度の高い(+)−菊酸または(+)−DV酸を生成す
る。
O−12958株及びアルスロバクターSC−6−98
−28株の培養は常法に従って液体培養、例えば滅菌し
た液体培地に微生物を接種し、通常20〜40℃で1〜
8日間振とう培養を行うことができる。また、必要に応
じて固体培養を行うこともできる。培地の組成について
は、通常の微生物培養に用いられるもので、特に制限は
なく、例えば炭素源および窒素源として、グルコース、
澱粉、デキストリン、糖蜜、油脂類、大豆粉、コーンス
ティープリカー(Corn steep liquor )などを用いるこ
とができる。また、無気塩類としては、硫安、燐酸二カ
リ、硫酸マグネシウム、尿素などを使用することができ
る。 また、場合によっては、培地中に菊酸エステルま
たはDV酸エステルもしくは脂肪酸エステル類を添加す
ることもできる。
ル基または、塩素原子を表す。本式は、立体関係を表す
ものではない。) で表される化合物であるラセミ菊酸エステル(またはラ
セミDV酸エステル)の不斉加水分解反応を行うに際、
微生物を培養した培養液、菌体懸濁液、エステラーゼ抽
出液またはその濃縮液などのエステラーゼ含有物、ある
いはこれらの処理物、例えば粗製エステラーゼ、精製エ
ステラーゼを含有する水溶液と、一般式化7
ル基または、塩素原子を表す。本式は、立体関係を表す
ものではない。) 。で示されるラセミ菊酸エステルま
たはラセミDV酸エステルを混合し、攪拌または振とう
することにより行われる。
を固定化して用いることも可能である。反応温度として
は20〜70℃が適当であり、好ましくは30〜60℃
である。反応中のpHは、pH4〜11、好ましくはp
H7〜10である。次に、このようにして不斉加水分解
反応を行った後、生成したカルボン酸と未反応のエステ
ルを分離回収する。この分離回収に際しては溶媒抽出、
カラムクロマトグラフィー、分別蒸留などの操作を適宜
採用することができる。例えば、反応液をメチルイソブ
チルケトン、エーテルあるいはトルエンなどの有機溶媒
で抽出し、抽出物を減圧で分別蒸留し、生成した菊酸ま
たはDV酸と未反応のエステルを分離する。 なお、未
反応のエステルはラセミ化などの方法によって原料であ
る一般式化8
ル基または、塩素原子を表す。本式は、立体関係を表す
ものではない。) で示されるラセミ菊酸エステル(またはラセミDV酸エ
ステル)に導かれる。
詳細に説明するが、本発明は、この実施例にのみ限定さ
れるものではない。
lobiformis)IFO−12958株を可溶性澱粉1. 5
%、ポリペプトン0. 7%、酵母エキス0. 5%及び燐
酸二カリ0. 5%を含む液体培地を用いて、30℃で培
養した。対数増殖期に達した時に培養液4mlを採取
し、遠心分離操作により菌体を分離取得した。この菌体
を5mlの0. 1Mコハク酸−NaOH緩衝液(pH
5. 5)で洗浄した後、0. 04%NTG水溶液で2時
間処理した。遠心分離操作により分離取得した菌体を、
5mlの燐酸緩衝液(pH7. 0)で洗浄し、上記組成
の培地に2%寒天を追加し、10mM濃度のラセミ菊酸
エチルエステルを懸濁させた寒天培地に植菌した。30
℃で培養し、生育して集落を形成した微生物株を釣菌
し、再度、ラセミ菊酸エチルエステルを懸濁させた寒天
培地に塗布植菌した。ここで生育して集落を形成した微
生物について、酪酸メチル加水分解活性を測定し、その
活性がアルスロバクター・グロビフォルミス(Arthroba
cter globiformis)IFO−12958株より高いもの
を選抜した。ここで選抜された微生物について、ラセミ
菊酸エチル加水分解活性を測定し、その活性が最も高か
った微生物を選抜し、アルスロバクターSC−6−98
−28株を得た。
30g、ポリペプトン7g、酵母エキス5g及び燐酸二
カリ5gを溶解し、pH5.0 とする。)100mlを入れ
て滅菌した後、SC−6−98−28株の斜面培養から
1白金耳接種し、30℃で24時間回転振とう培養し
た。2. 5L容の小型発酵槽(丸菱バイオエンジ社製、
MD250型)に滅菌した液体培地(水1Lに可溶性澱
粉60g、ポリペプトン10g、酵母エキス2g及び燐
酸二カリ5gを溶解し、pH5.0 とする。)1000ml
を仕込み、そこへ上記の三角フラスコで培養した培養液
10mlを接種した。3L/分で通気しつつ、750rp
mで攪拌を行い、43時間培養したところ、培養液の濁
度(OD660 )は、19. 3であった。ここで得られた
培養液の100mlから遠心分離操作により菌を分離取得
した。得られた菌体を25mlの0. 5M炭酸緩衝液(p
H10)に懸濁し、ラセミ第一菊酸エチルエステル(ト
ランス体/シス体=90/10)0. 5gを加えて、4
0℃で8時間攪拌し、反応させた。反応後、反応液を濃
塩酸でpH2.0 以下とした後、メチルイソブチルケトン
で抽出した。抽出物に内部標準物質(ジメチルフタレー
ト)を加え、ガスクロマトグラフィー(カラム:10% Sh
inchrom F51+1%燐酸、 2.1m、180 ℃)で分析し、生
成した菊酸のモル量を測定し、下記式により菌体量あた
りの菊酸エチルエステル加水分解活性を求めたところ、
9. 5μmol/hr/ml/ODであった。
た。加水分解活性( μmol/hr/ml/OD) =生成した菊酸の
量( μmol)÷反応時間(hr)÷反応に用いた培養液量(ml)
÷培養液の濁度(OD660 )
同様にして、小型発酵槽を用いて29時間培養した(培
養液の 濁度(OD660 )=18. 1)。 培養液30
0mlから遠心分離操作により、菌体量あたりのラセミ菊
酸エチルエステル加水分解活性が10.5μmol /hr/ml
/OD の菌体を得た。 得られた菌体を25mlの0.5M
炭酸緩衝液(pH10)に懸濁し、ラセミ菊酸エチルエ
ステル(トランス体/シス体=95/5)0.45g
(2.3mmol)を加えて、40℃で46時間攪拌
し、反応させた。 以後、実施例1と同様の操作を行
い、生成した菊酸を定量したところ、0.95mmol
であった。ここで得られた菊酸を3,5−ジクロロアニ
リンとのアミド化合物に誘導した後、光学活性カラムを
用いた液体クロマトグラフィー〔カラム:SUMICHIRAL O
A-2100(住化分析センター)、溶媒:ヘキサン/1,2
−ジクロロエタン=17/3〕により、立体異性体型比
を分析したところ、(+)体/(−)体の比は99.8
/0.2であった。また、すべてトランス体であり、シ
ス体はまったく含まれていなかった。
体を25mlの1M炭酸緩衝液(pH10)に懸濁し、こ
れにラセミDV酸エチルエステル(トランス体/シス体
=55/45)0.55gを加え、50℃で50時間攪
拌し、反応させた。その後、実施例1と同様の操作によ
り、抽出し、生成したDV酸の立体異性対比を測定し
た。その結果、生成したDV酸の(+)体/(−)体の
比は99.6/0.4であり、トランス体/シス体の比
は95.8/4.2であった。
8株を実施例2と同様にして、培養し、濁度(O
D660 )16.0の培養液を得た。その後、実施例2と
同様にして、菌体量あたりの第一菊酸エチルエステル加
水分解活性を求めたところ、3.2μmol/hr/ml/OD で
あった。
Claims (3)
- 【請求項1】アルスロバクター属に属する微生物である
アルスロバクター(Arthrobacter)SC−6−98−2
8株(FERM P-11851)、その培養物または微生物菌体を、
一般式化1 【化1】 (式中、RはC1 〜C4 のアルキル基を表し、Xはメチ
ル基または、塩素原子を表す。本式は、立体関係を表す
ものではない。)で示されるラセミ菊酸エステルまたは
ラセミ3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメ
チルシクロプロパンカルボン酸エステルに作用させて、
これを不斉加水分解することを特徴とする一般式化2 【化2】 ( 式中、Xはメチル基または、塩素原子を表す。本式
は、立体関係を表すものではない。)で示される(+)
−菊酸または(+)−3−(2,2−ジクロロビニル)
−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボン酸の生化学
的製造法 - 【請求項2】アルスロバクター属に属する微生物である
アルスロバクター(Arthrobacter)SC−6−98−2
8株(FERM P-11851) - 【請求項3】 一般式化1で示されるラセミ菊酸エステル
またはラセミ3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2
−ジメチルシクロプロパンカルボン酸エステルがトラン
ス体であり、一般式化2で示される(+)−菊酸または
(+)−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジ
メチルシクロプロパンカルボン酸がトランス体である請
求項1に記載の方法
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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---|---|---|---|
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Publications (2)
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---|---|
JPH04234991A JPH04234991A (ja) | 1992-08-24 |
JP2995870B2 true JP2995870B2 (ja) | 1999-12-27 |
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ID=11474779
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP47491A Expired - Fee Related JP2995870B2 (ja) | 1991-01-08 | 1991-01-08 | 新規微生物 |
Country Status (1)
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CN108486171A (zh) * | 2018-03-12 | 2018-09-04 | 江苏扬农化工股份有限公司 | 一种右旋反式第一菊酸的制备方法 |
-
1991
- 1991-01-08 JP JP47491A patent/JP2995870B2/ja not_active Expired - Fee Related
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