JP3123428B2 - 微生物によるクロロヒドリンの光学分割方法 - Google Patents

微生物によるクロロヒドリンの光学分割方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微生物によるクロロ
ヒドリンの光学分割方法、さらに詳しくは、医薬、農
薬、生理活性物質および強誘電性液晶などの光学活性化
合物の合成において有用なキラルビルディングブロック
および中間体となりうる光学活性クロロヒドリン化合物
を微生物を用いて対応するラセミ体から生物学的光学分
割方法により製造する方法に関する。本発明は、また、
このようなラセミ体クロロヒドリンの生物学的光学分割
により、光学活性クロロヒドリン化合物と共に、用いる
微生物の種類により、また、出発化合物のクロロヒドリ
ン化合物の置換基の種類によっては、光学活性1,2−
ジオール化合物および/または光学活性3−ヒドロキシ
−γ−ブチロラクトンを製造する方法も提供する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】光学
活性化合物の製法としては、対応する光学活性出発物質
から目的物へ変換する化学的合成法のほか、対応するラ
セミ体を光学分割剤で処理して光学活性体に分割する方
法が一般的であるが、最近、微生物または酵素を用いて
不斉還元や不斉加水分解反応を利用する生物学的方法に
より光学活性体を分離する方法が報告されている。たと
えば、微生物菌体または酵素を用いるβ−ケトエステル
体の不斉還元法が知られており、中でもパン酵母を用い
た4−クロロアセトアセテイトの不斉還元法により光学
活性4−クロロ−3−ヒドロキシブチレイトへの不斉還
元法が知られている(C. J. Sih et al., Ann. N.Y. Ac
ad. Sci., Vol. 434,pp.186-193,1984; C. J. Sih, BE8
98386)。また、サンタニエロ(E. Santaniello)らは
エチル 4−クロロ−3−オキソブチレイトからパン酵
母を用いた不斉還元法によるS体エチル 4−クロロ−
3−ヒドロキシブチレイトの製法を報告している(J.Ch
em. Research(S),pp.132-133, 1984)。また、高橋
らも、エチル 4−クロロ−3−オキソブチレイトの微
生物を用いた不斉還元により光学活性エチル4−クロロ
−3−ヒドロキシブチレイトの製法を報告している(特
開昭61−146191号)。酵素を用いた製法では、
ピーターズら(Peters et al.)はロドコッカス・エリ
スロポリス(Rhodococcus erythropolis)のカルボニル
リダクターゼを用いた不斉還元法によりメチル3−オキ
ソブチレイトあるいはエチル4−クロロ−3−オキソブ
チレイトからのS体メチル3−ヒドロキシブチレイトお
よびR体エチル 4−クロロ−3−ヒドロキシブチレイ
トの製法を報告している(J.Peters et al., Appl. Mi
crobiol. Biotechnol., Vol. 38,pp.334-340,1992;
T.Zelinski et al., J.Biotechnol., Vol. 33,pp.28
3−292、1994)。さらに、清水らはスポロボロマイセス
・サルモニカラー(Sporoboromyces salmonicolor)AKU
4429株のアルデヒドリダクターゼを用いたR体エチル4
−クロロ−3−ヒドロキシブチレイトの不斉還元法によ
る生産法を報告している(S.Shimizu et al., Biotech
nol. Lett., Vol. 12., No. 8, pp.593-596,1990;App
l.Environ. Microbiol., Vol. 56,No. 8, pp.2374-237
7,1990)。しかし、これら微生物あるいは酵素を用い
る不斉還元法によるプロキラルβ−ケトエステル体から
の光学活性β−ヒドロキシエステル体の生産法において
は、その反応に高価なNADH(ニコチンアミドアデニ
ンジヌクレオチド)あるいはNADPH(ニコチンアミ
ドアデニンジヌクレオチドリン酸)等の補酵素を必要と
し、さらにその酸化体から再度還元体へ変換する反応を
必要とするためグルコースオキシダーゼあるいは蟻酸デ
ヒドロゲナーゼ等の酵素を別途必要とするうえ、その反
応工程が律速反応となるなどの観点から工業的製法とは
言い難い。
【0003】また、中村らは、基質として1,3−ジク
ロロ−2−プロパノールまたはエピクロロヒドリンを用
い、KCN存在下でコリネバクテリウム(Corynebacter
ium)sp.N-1074株のデハロゲナーゼで処理してR体4−
クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリルを製造する方法
を報告している(特開平3−53889号、特開平3−
53890号)。またラセミ体4−クロロ−3−ヒドロ
キシブチロニトリルと脂肪酸エステルの存在下でリパー
ゼを作用させ、光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブ
チロニトリルあるいは対応するエステル体を得る方法も
報告されている(特開平2−27995号)。しかしな
がら、これらの方法では得られる光学活性体の光学純度
が低く、工業的製法には適さない。
【0004】さらに、リーら(L.G.Lee,G.M.Whiteside
s)はグリセロールデヒドロゲナーゼを用いて1−ヒド
ロキシ−2−プロパノンおよび1−ヒドロキシ−2−ブ
タノンから還元反応によってR体1,2−プロパンジオ
ールおよびR体1,2−ブタンジオールを製造する方法
を報告している(J.Org.Chem.,Vol.51,pp.25-36,(198
6))。また、1−ヒドロキシ−2−ケトン化合物に微生
物菌体を作用させ、S体1,2−ジオールに変換する製
法も知られている(特開平1−320988号)。しか
しながら、これらの方法は酵素または微生物による不斉
還元反応を利用して1,2−ジオールを製造する方法で
あり、本発明における微生物菌体を用いてラセミ体クロ
ロヒドリンから一方の光学活性クロロヒドリンのみを
1,2−ジオール体に変換する方法とは区別される。ま
た、医薬品等の光学活性化合物の合成中間体として有用
な光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの製造
には、化学的合成法のほか、生物学的方法として、酢酸
ビニル存在下、有機溶媒中において3−ヒドロキシ−γ
−ブチロラクトンにリパーゼを作用させ、エステル交換
反応において光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラク
トンと対応するエステル体を得る方法(EP04397
79); エチル 4−t−ブトキシ−3−オキソ酪酸エ
ステルをパン酵母により不斉還元し、得られたR−4−
t−ブトキシ−3−ヒドロキシ酪酸エステルからフルオ
ロ酢酸存在下においてR−3−ヒドロキシ−γ−ブチロ
ラクトンを誘導する方法(Synthesis(1),pp.37-40,19
86)が知られている。しかし、これらの方法は、その操
作が煩雑であったり、高価な試薬を用いる必要性あるい
は高価な光学活性体を出発原料としたり、またその入手
が困難であったり、一方の光学異性しか製造できない等
の解決すべき問題点を有している。従って簡便かつ安価
な光学活性な3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの製
法とは言い難い。
【0005】本発明者らは、先に、一方の光学異性体を
分解資化してそれを単一炭素源として生育増殖しうる微
生物を用いて対応するラセミ体から光学活性体を製造す
る方法を見い出した。例えば、アルカリゲネス属(Alca
ligenes)の細菌を用いたS−(+)−3−ハロゲノ−
1,2−プロパンジオールの製法(特開平3−1917
95号、および J. of Fermentation & Bioengineerin
g, Vol. 73, No. 6, 443-448, 1992);シュードモナス
属(Pseudomonas)細菌を用いたR−(−)−3−ハロ
ゲノ−1,2−プロパンジオールの製法(特開平3−1
91794号、および Applied Microbiology and Biot
echnology, Vol. 40, 273-278, 1993);アルカリゲネ
ス属の細菌を用いた光学活性ジクロロプロパノール(R
体)の製法(特開平3−180197号、および J. of
Industrial Microbiology, Vol. 10, 37-43, 1992);
シュードモナス属細菌を用いた光学活性ジクロロプロパ
ノール(S体)の製法(特開昭61−132196号、
および Agric. Biol. Chem.,Vol. 54, No. 12, 3185-31
90, 1990);さらに上記シュードモナス属細菌を用いて
得られた光学活性ジクロロプロパノールからアルカリ処
理によって光学活性エピクロロヒドリンを製造する方法
(特開平1−55879号、および有機合成化学協会誌
第51巻、第5号、388−398、1993)などが
挙げられる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ラセミ体
クロロヒドリンから光学活性クロロヒドリンを工業的に
製造する方法を見い出すべく種々研究を重ねた結果、あ
る種の微生物、とくにシュードモナス属、エンテロバク
ター属、キトロバクター属およびバチルス属のある種の
細菌がラセミ体クロロヒドリンの一方の光学活性体のみ
を分解し、あるいはその分解活性により光学活性1,2
−ジオール体に変換し、場合によりさらに光学活性3−
ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンに変換し、したがっ
て、光学活性体クロロヒドリンと共に、場合により、光
学活性1,2−ジオール体および/または光学活性3−
ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを分離採取し得ること
を見い出した。本発明者らの研究によれば、それらの微
生物は、前記ハロゲノプロパンジオールやジクロロプロ
パノールの場合と違って、該出発化合物の一方の光学活
性体を資化することはできないため反応系中でその微生
物を増殖しながら光学活性体を製造することはできない
が、その微生物を増殖させて得られる菌体をラセミ体ク
ロロヒドリンに作用させるとその一方の光学活性体のみ
を分解し、他方の光学活性体が系中に残存するため、こ
れを回収することにより所望の光学活性クロロヒドリン
が得られることを知り、また微生物や出発化合物の種類
によっては、一方の光学活性クロロヒドリンのみを1,
2−ジオール体および/または3−ヒドロキシ−γ−ブ
チロラクトンに変換するため、残存する他方の光学活性
クロロヒドリンと共に光学活性1,2−ジオール化合物
および/または3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンを
製造し得ることを知り、本発明を完成するにいたった。
【0007】すなわち、本発明は、微生物の作用によ
り、安価なラセミ体クロロヒドリンから一方の光学異性
体を立体選択的に分解し、残存するもう一方の光学活性
異性体を回収することを特徴とする光学活性クロロヒド
リンの製法を提供するものである。本発明は、また、ラ
セミ体クロロヒドリンから微生物の作用により一方の光
学異性体を立体選択的な分解反応により脱クロル化して
光学活性1,2−ジオール化合物、さらには光学活性3
−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンに導き、残存する他
方の光学活性クロロヒドリンと共に該1,2−ジオール
化合物および/または3−ヒドロキシ−γ−ブチロラク
トンを回収することを特徴とする光学活性クロロヒドリ
ンおよび1,2−ジオール化合物あるいは3−ヒドロキ
シ−γ−ブチロラクトンまたは両光学活性化合物の製法
を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明によれば、一般式
【化6】 [式中、R1は水素原子または低級アルキル基;R2は、
1が水素原子のときは、置換または非置換低級アルキ
ル基(ただしヒドロキシメチル基(−CH2OH)を除
く)、またはR1が低級アルキル基のときは、水素原子
である]で示されるラセミ体クロロヒドリンに微生物を
作用させて、光学異性体の一方を選択的に分解し、その
反応系に残存するもう一方の光学異性体を回収すること
により、所望の光学活性クロロヒドリンが製造される。
【0009】上記方法において、用いられる出発物質お
よび微生物の種類によっては、一方の光学異性体は、下
記一般式
【化7】 [式中、R3は置換または非置換低級アルキル基であ
る]で示される対応する光学活性1,2−ジオール化合
物ならびに下記一般式
【化8】 で示される光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクト
ンに変換されるため、残存する他方の光学活性クロロヒ
ドリンと共に該生成した光学活性1,2−ジオール化合
物および光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン
が製造される。
【0010】本明細書において、R1基の低級アルキル
基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチ
ルなどの炭素数1〜4個のアルキル基が挙げられる。R
2基およびR3基における置換または非置換低級アルキル
基における低級アルキル基としては、メチル、エチル、
プロピルなどの炭素数1〜3個のアルキル基が挙げら
れ、置換基としては、シアノ基、−COOR’(R’は
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなど
の炭素数1〜4個の直鎖または分枝鎖アルキル基であ
る)の低級アルコキシカルボニル基または−OR''
(R''はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブ
チルなどの炭素数1〜4個の直鎖または分枝鎖アルキル
基である)の低級アルコキシ基から選ばれる。好ましい
置換低級アルキル基としては、シアノメチル、低級アル
コキシカルボニルメチル、低級アルコキシメチルが挙げ
られる。
【0011】本発明で用いられる微生物としては、式
[1]で示されるラセミ体クロロヒドリンの一方の光学
異性体を選択的に分解し得るものであればいずれの微生
物も含まれるが、好ましくはシュードモナス(Pseudomo
nas)属、エンテロバクター(Enterobacter)属、キト
ロバクター(Citrobacter)属およびバチルス(Bacillu
s)属に属する細菌が挙げられる。これらのうち、とく
に好ましい菌株として、シュードモナス sp. OS-K-29
株、シュードモナス sp. DS-K-NR818株、エンテロバク
ター sp. DS-S-75株、キトロバクター・フレウンディー
(Citrobacter freundii)DS-S-13株、キトロバクター
・フレウンディーDS-K-40株、およびバチルス・スペリ
カス(Bacillus sphaericus)DS-ID-819株が挙げられ
る。これらの微生物は式[1]で示されるクロロヒドリ
ンを資化する能力はないため、増殖して得られる菌体を
用いてラセミ体クロロヒドリンの立体選択的分解に供す
る。
【0012】しかして、本発明の好ましい一態様は、下
記反応式−1で示される方法である(ただし、化合物
[1a]中のR3が低級アルコキシカルボニルメチル基
である場合のみ、3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン
[3a]が生成する)。
【化9】 [式中、R3は前記に同じ] 上記反応式で示される方法のうち、さらに好ましい方法
はR3がシアノメチルまたは低級アルコキシカルボニル
メチルである化合物の製法である。上記反応式−1にお
いて、R3が低級アルコキシカルボニルメチルの場合に
は、光学活性クロロヒドリン[1a']と共に、光学活性
1,2−ジオール化合物[2a]に加えて、光学活性3
−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン[3a]が製造され
るが、これら光学活性1,2−ジオール化合物[2a]
および光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン
[3a]は、通常、いずれもR体であって、それらはそ
れぞれ下記の式で示される。
【化10】 [式中、R3'は低級アルコキシカルボニルメチル基であ
る]
【0013】本発明の他の好ましい態様は、下記反応式
−2で示される方法である。
【化11】 [式中、R3'は前記に同じ] 上記反応式−2の方法には、他のエンテロバクター属、
キトロバクター属およびバチルス属に属する前記例示の
細菌も好適に用いられる。またこの方法で得られる光学
活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン[3b]は通
常S体であって、下記式で示される構造を有する。ただ
し、バチルス・スペリカスDS-ID-819株を用い、また出
発物質として化合物[1b](式中、R3'がn−ブチル
オキシカルボニルメチル基以外の基である)を用いた場
合は、R体が得られる。
【化12】
【0014】本発明のさらに他の好ましい態様は、下記
反応式−3で示される方法である。
【化13】 [式中、R1'は低級アルキル基である]
【0015】本発明で用いられる微生物の具体例である
シュードモナス sp. OS-K-29株は本発明者らが土壌から
分離した細菌であり、一方、シュードモナス sp. DS-K-
NR818株はその変異菌株である。それら両菌株の形態学
的、生理学的諸性質に基づいて、バージェイズ・マニュ
アル・オブ・システマチック・バクテリオロジー第8版
および第9版に従い分類した結果、これらは、グラム陰
性、好気性桿菌、極鞭毛を有し、オキシダーゼ陽性、カ
タラーゼ陽性を示すことからシュードモナス属の一菌株
であると同定し、さらにこれら菌株は公知の菌株と一致
するものがないため、上記のごとく命名し、それぞれ、
工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託番号FERM
BP−994およびFERM BP−5491として寄
託されている。
【0016】上記シュードモナス sp. OS-K-29株の菌学
的性質は特開平1−55879号に記載されている。こ
のシュードモナス sp. OS-K-29株を培養するための培地
組成としては通常この微生物が生育する培地ならばいず
れも使用することができる。例えば炭素源としてグルコ
ース,ガラクトース、シュークロース等の炭水化物、グ
リセロール、ラセミ体3−ハロゲノ−1,2−プロパン
ジオール、RあるいはS体3−ハロゲノ−1,2−プロ
パンジオール、ラセミ体2,3−ジクロロ−1−プロパ
ノール、R体2,3−ジクロロ−1−プロパノール等の
アルコール類、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン
酸、フマル酸、グルコン酸とその塩類などの有機酸、ま
たはそれらの混合物を、窒素源として硫酸アンモニウ
ム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機窒
素化合物および尿素、ペプトン、カゼイン、酵母エキ
ス、肉エキス、コーンスチープリカー等の有機窒素化合
物とそれらの混合物を挙げることができる。その他、無
機塩としてリン酸塩、マグネシウム塩、カリウム塩、マ
ンガン塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩など、更に必要に応じて
ビタミン類を加えてもよい。また、高酵素活性を持った
菌体を得るために、本菌株を培養する際に上記培地およ
びペプトン培地、ブイヨン培地等の栄養培地にラセミ体
3−ハロゲノ−1,2−プロパンジオール、Rあるいは
S体3−ハロゲノ−1,2−プロパンジオール、ラセミ
体2,3−ジクロロ−1−プロパノール、R体2,3−ジ
クロロ−1−プロパノールを添加してもよい。ラセミ体
2,3−ジクロロ−1−プロパノールまたはR体2,3−
ジクロロ−1−プロパノール、ラセミ体3−ハロゲノ−
1,2−プロパンジオールを単一炭素源とする完全合成
培地で培養するのも有効である。上記微生物の培養は常
法によればよく、例えばpHを6〜9、好ましくは6.5
〜7.5、培養温度は20〜40℃、好ましくは25〜
37℃の範囲で好気的に10〜96時間行うことが好ま
しい。
【0017】またシュードモナス sp. DS-K-NR818株の
菌学的性質は下記に示すとおりである。 A.形態 細胞の形 桿菌 細胞の大きさ 0.4〜0.6×1.2〜1.6μm 細胞の多形性 無 運動性の有無 有、極鞭毛 胞子の有無 無 グラム染色性 − 坑酸性 − B.各培地における生育状態 1.肉汁寒天培地(30℃、3日間培養) 1)コロニー形状の遅速 普通 2)コロニーの形状 円形 3)コロニー表面の形状 平滑 4)コロニーの隆起状態 凸状 5)コロニーの周辺 全縁 6)コロニーの内容 均質 7)コロニーの色調 乳白色 8)コロニーの光沢 鈍光 9)コロニーの透明度 半透明 10)可溶性色素の生成 無 2.肉汁寒天斜面培地(30℃、3日間培養) 1)生育の良否 良 2)生育状態 糸状 3)コロニーの表面 平滑 4)コロニー断面の形状 偏平状 5)コロニーの光沢 鈍光 6)コロニーの色調 乳白色 7)コロニーの透明度 半透明 3.肉汁液体静置培養(30℃、3日間培養) 1)生育状態 少濁 2)ガスの発生 無 3)培地の着色 無 ゼラチン液化テスト 液化せず リトマスミルク 凝固せず、無変化 C.生理学的試験 リジン脱炭酸テスト + VPテスト − MRテスト − 硝酸塩の還元 − インドールの生産 − PPA反応 − 硫化水素の生成 − クエン酸の利用 + でんぷん分解テスト − 脱窒反応 − 無機塩の利用 + 色素の生成 1)キングA培地 − 2)キングB培地 − 3)Pseudomonas P 培地 − 4)Pseudomonas F 培地 − カタラーゼ + オキシダーゼ + ウレアーゼテスト + OF-テスト(Hugh Leifson法による。なお、ガスの生成は
認められなかった。) 1)D−グルコース − 2)グリセリン O 3)D−ガラクトース − 4)D−フラクトース − 5)D−トレハロース − PHBの蓄積 + 炭素源の利用 1)D−マンニトール − 2)D−フラクトース + 3)D−グルコース − 4)D−グルコン酸 + 5)D−ガラクトース − 6)グリセリン + 7)p-ハイドロキシ安息香酸 + 生育最適pH 5〜9 生育最適温度 20〜40℃
【0018】上記シュードモナス sp. DS-K-NR818株を
培養するための培地組成としては、通常この微生物が生
育する培地であればいずれも使用することができる。例
えば、炭素源としてフラクトースのような炭水化物、グ
リセロール、ラセミ体3−ハロゲノ−1,2−プロパン
ジオール、ラセミ体2,3−ジクロロ−1−プロパノー
ル等のアルコール類、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、マレ
イン酸、フマル酸、グルコン酸とその塩類などの有機
酸、またはそれらの混合物を、窒素源として硫酸アンモ
ニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無
機窒素化合物および尿素、ペプトン、カゼイン、酵母エ
キス、肉エキス、コーンスチープリカー等の有機窒素化
合物とそれらの混合物を挙げることができる。その他、
無機塩としてリン酸塩、マグネシウム塩、カリウム塩、
マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩など、さらに必要に応
じてビタミン類を加えてもよい。また、高分解活性を持
った菌体を得るために、本菌株を培養する際に上記培地
およびペプトン培地、ブイヨン培地等の栄養培地にラセ
ミ体3−ハロゲノ−1,2−プロパンジオール、2,3−
ジクロロ−1−プロパノールを添加してもよい。ラセミ
体3−ハロゲノ−1,2−プロパンジオール、2,3−ジ
クロロ−1−プロパノールを単一炭素源とする完全合成
培地で培養するのも有効である。上記微生物の培養は常
法によればよく、例えばpHを6〜9、好ましくは6.
5〜7.5、培養温度は20〜40℃、好ましくは25
〜37℃の範囲で好気的に10〜96時間行うことが好
ましい。
【0019】本発明で用いられる他の微生物の具体例で
あるエンテロバクター sp. DS-S-75株、キトロバクター
・フレウンディー DS-S-13株、キトロバクター・フレウ
ンディー DS-K-40株およびバチルス・スペリカス DS-ID
-819株も、本発明者らが土壌中より分離採取した菌株で
あって、これら菌株の形態学的、生理学的諸性質に基づ
いて、バージェイズ・マニュアル・オブ・システマチッ
ク・バクテリオロジー第9版に従い分類した結果、上記
菌体のうちエンテロバクター sp. DS-S-75株は、グラム
陰性、通性嫌気性桿菌、周鞭毛を有し、V-P反応陽性、M
Rテスト陰性、DNase活性陰性を示すことからエンテロバ
クター属の一菌株であると同定した。さらに同定の結
果、本菌株は公知の菌株と一致するものがないため、上
記のごとく命名し、工業技術院生命工学工業技術研究所
に寄託番号 FERM BP−5494として寄託され
ている。同様にキトロバクター・フレウンディー DS-S-
13株とキトロバクター・フレウンディー DS-K-40株はグ
ラム陰性、通性嫌気性桿菌、周鞭毛を有し、V-P反応陰
性を示し、クエン酸を単一炭素源として利用することか
らキトロバクター属の一菌株であると同定した。さらに
同定の結果、本菌株は硫化水素を生成することからキト
ロバクター・フレウンディーであると同定し、それぞ
れ、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託番号 F
ERM BP−5492および FERM BP−54
93として寄託されている。同様にバチルス・スペリカ
ス DS-ID-819株はグラム陽性、周鞭毛を有し、好気性桿
菌で胞子を形成し、カタラーゼ陽性であることからバチ
ルス属の一菌株であると同定した。さらに生理的諸性質
より、本菌株をバチルス・スペリカスと同定し工業技術
院生命工学工業技術研究所に寄託番号 FERM BP
−5495として寄託されている。上記菌株の諸性質は
下記に示すとおりである。
【0020】エンテロバクター sp. DS-S-75株の菌学的
性質は下記に示すとおりである。 A.形態 細胞の形 桿菌 細胞の大きさ 0.6〜0.8×1.5〜2.8μm 細胞の多形性 無 運動性の有無 有、周鞭毛 胞子の有無 無 グラム染色性 − B.各培地における生育状態 1.肉汁寒天培地(30℃、3日間培養) 1)コロニーの大きさ 3〜4mm 2)コロニーの形状 不規則 3)コロニー形状の遅速 速い 4)コロニー表面の形状 平滑、粘性 5)コロニーの隆起状態 凸円状 6)コロニーの周辺 波状 7)コロニーの色調 乳白色 8)コロニーの光沢 鈍光 9)コロニーの透明度 不透明 10)可溶性色素の生成 無 2.肉汁寒天斜面培地(30℃、3日間培養) 1)生育の良否 良 2)生育状態 糸状 3)コロニーの光沢 鈍光 4)コロニーの色調 乳白色 3.液体静置培養(30℃、3日間培養) 1)生育状態 混濁 2)培地の着色 無 3)沈澱の有無 有 C.生理学的試験 インドールの生成 − カタラーゼ + ウレアーゼ + オキシダーゼ − β-ガラクトシダーゼ + リジンデカルボキシラーゼ + 硫化水素の生成 − クエン酸の利用 + でんぷんの分解 − ゼラチンの液化 − MR − VP + 硝酸塩の還元 + 脱N反応 + DNase活性 − NPTase + O-Fテスト(グルコース) F D-グルコース、酸 + D-グルコース、ガス + 生育最適温度 30−37℃ 生育最適pH 5〜9
【0021】またキトロバクター・フレウンディー DS-
S-13株の菌学的性質は下記に示すとおりである。 A.形態 細胞の形 桿菌 細胞の大きさ 0.5〜0.7×1.8〜3.6μm 細胞の多形性 無 運動性の有無 有、周鞭毛 胞子の有無 無 グラム染色性 − B.各培地における生育状態 1.肉汁寒天培地(30℃、3日間培養) 1)コロニーの大きさ 2〜4mm 2)コロニーの形状 円形 3)コロニー形状の遅速 速い 4)コロニー表面の形状 平滑 5)コロニーの隆起状態 凸円状 6)コロニーの周辺 全縁 7)コロニーの色調 乳白色 8)コロニーの光沢 有 9)コロニーの透明度 半透明 10)色素の生成 無 2.肉汁寒天斜面培地(30℃、3日間培養) 1)生育の良否 良 2)生育状態 疾状 3)光沢 有 4)色調 乳白色 3.液体静置培養(30℃、3日間培養) 1)生育状態 混濁 2)培地の着色 無 3)沈澱の有無 有 C.生理学的試験 インドールの生成 − カタラーゼ + ウレアーゼ + オキシダーゼ − β-ガラクトシダーゼ + リジンデカルボキシラーゼ − 硫化水素の生成 + クエン酸の利用 + でんぷんの分解 − ゼラチンの液化 − MR + VP − 硝酸塩の還元 + 脱N反応 + DNase活性 − NPTase − O-Fテスト(グルコース) F D-グルコース、酸 + D-グルコース、ガス + 生育最適温度 25−30℃ 生育最適pH 5〜9
【0022】またキトロバクター・フレウンディー DS-
K-40株の菌学的性質は下記に示すとおりである。 A.形態 細胞の形 桿菌 細胞の大きさ 0.5〜0.7×1.8〜3.6μm 細胞の多形性 無 運動性の有無 有、周鞭毛 胞子の有無 無 グラム染色性 − B.各培地における生育状態 1.肉汁寒天培地(30℃、3日間培養) 1)コロニーの大きさ 2〜4mm 2)コロニーの形状 円形 3)コロニー形状の遅速 速い 4)コロニー表面の形状 平滑 5)コロニーの隆起状態 凸円状 6)コロニーの周辺 全縁 7)コロニーの色調 乳白色 8)コロニーの光沢 有 9)コロニーの透明度 半透明 10)色素の生成 無 2.肉汁寒天斜面培地(30℃、3日間培養) 1)生育の良否 良 2)生育状態 疾状 3)光沢 有 4)色調 乳白色 3.肉汁液体静置培養(30℃、3日間培養) 1)生育状態 混濁 2)培地の着色 無 3)沈澱の有無 有 C.生理学的試験 インドールの生成 − カタラーゼ + ウレアーゼ + オキシダーゼ − β-ガラクトシダーゼ + リジンデカルボキシラーゼ − 硫化水素の生成 + クエン酸の利用 + でんぷんの分解 − ゼラチンの液化 − MR + VP − 硝酸塩の還元 + 脱N反応 + DNase活性 − NPTase − O-Fテスト(グルコース) F D-グルコース、酸 + D-グルコース、ガス + 生育最適温度 25−30℃ 生育最適pH 5〜9
【0023】また、バチルス・スペリカス DS-ID-819株
の菌学的性質は下記に示すとおりである。 A.形態 細胞の形 桿菌 細胞の大きさ 0.5〜0.7×2.0〜3.5μm 細胞の多形性 無 運動性の有無 有、周鞭毛 胞子の有無 有 グラム染色性 + B.各培地における生育状態 1.肉汁寒天培地(30℃、3日間培養) 1)コロニーの大きさ 2〜4mm 2)コロニーの形状 円形 3)コロニー形状の遅速 普通 4)コロニー表面の形状 しわ状 5)コロニーの隆起状態 扁平状 6)コロニーの周辺 全縁 7)コロニーの色調 乳白色 8)コロニーの光沢 鈍光 9)コロニーの透明度 半透明 10)色素の生成 無 2.肉汁寒天斜面培地(30℃、3日間培養) 1)生育の良否 良 2)生育状態 拡布状 3)光沢 鈍光 4)色調 乳白色 3.液体静置培養(30℃、3日間培養) 1)生育状態 少濁 2)培地の着色 無 3)沈澱の有無 無 C.生理学的試験 インドールの生成 − カタラーゼ + ウレアーゼ + オキシダーゼ + β-ガラクトシダーゼ − リジンデカルボキシラーゼ + 硫化水素の生成 − クエン酸の利用 + でんぷんの分解 − ゼラチンの液化 + MR − VP − 硝酸塩の還元 − 脱N反応 − DNase活性 + NPTase − O-Fテスト(グルコース) O D-グルコース、酸 − D-グルコース、ガス − 生育最適温度 30−37℃ 生育最適pH 6〜9
【0024】上記微生物を培養するための培地組成とし
ては、通常この微生物が生育する培地であればなんでも
使用することができる。例えば、炭素源としてグルコー
ス、ガラクトース、フラクトースのような炭水化物、グ
リセロール等のアルコール類、酢酸、クエン酸、リンゴ
酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸とその塩類など
の有機酸、またはそれらの混合物を、窒素源として硫酸
アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム
等の無機窒素化合物および尿素、ペプトン、カゼイン、
酵母エキス、肉エキス、コーンスチープリカー等の有機
窒素化合物とそれらの混合物を挙げることができる。そ
の他、無機塩としてリン酸塩、マグネシウム塩、カリウ
ム塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩など、さらに、
必要に応じてビタミン類を加えてもよい。上記微生物の
培養は常法によればよく、例えばpHを5〜9、好まし
くは6.5〜7.0、培養温度は20〜40℃、好ましく
は25〜37℃の範囲で好気的に10〜96時間行うこ
とが好ましい。
【0025】ラセミ体クロロヒドリンに微生物を作用さ
せて光学活性クロロヒドリンならびに光学活性1,2−
ジオール化合物および/または光学活性3−ヒドロキシ
−γ−ブチロラクトンを得る方法としては、本発明によ
る微生物を1)上記培養方法により得た微生物の培養
液、あるいは2)遠心分離により得た菌体およびその菌
体処理物(菌体破砕物または菌体抽出液)、または3)
それらを常法により固定化したものとし、緩衝液に混合
した微生物菌体混合液に基質を添加する方法等がある。
反応温度は15〜50℃が好ましく、反応pHは6〜9
で行うのが好ましい。反応液中の基質濃度は0.1〜1
5%(v/v)が好ましく、基質は初期に一括して添加
してもよいし、分割添加してもよい。反応は通常、攪拌
あるいは振とうしながら行い、反応時間は基質濃度、微
生物菌体量により異なるが、1〜120時間で終了する
のがよい。好ましくはガスクロマトグラフィー等の分析
により、生成する光学活性体の光学純度を測定し終点を
決定するのがよく、その生成物の光学純度が最大になっ
たときを終点とする。
【0026】このようにして反応液中に残存した光学活
性クロロヒドリンならびに光学活性1,2−ジオール化
合物および/または光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチ
ロラクトンは一般的な方法により回収および精製でき
る。例えば、反応液から菌体を遠心分離で取り除いた
後、上清をエバポレーターにより濃縮し、酢酸エチル等
の溶媒で抽出を行う。抽出液を無水硫酸マグネシウムに
より脱水した後、減圧下にて溶媒を除去し、光学活性ク
ロロヒドリンのシロップを得ることができる。また光学
活性1,2−ジオール化合物が生成する場合はそれらの
混合物として得られる。これらの化合物はさらに蒸溜あ
るいはカラムクロマトグラフィーにより精製してもよ
い。光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンが生
成する場合は、菌体を遠心分離により除去した上清を酢
酸エチル等により抽出し、クロロヒドリンあるいは1,
2−ジオールを除去した後、その水層画分を濃縮するこ
とにより3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの粗シロ
ップを得ることができる。あるいは常法により上記水層
画分を活性炭により回収・精製してもよい。さらに活性
炭やシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによ
り精製してもよい。
【0027】以下実施例をもって、本発明を詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、実施例中の%は特に記載のない限り(w/v%)で
表す。
【0028】実施例1 ペプトン,酵母エキス,グリセロールをそれぞれ1.0
%含む栄養培地(pH7.2)2.5リッターを入れた5
リッタージャーファーメンター(培養器)を121℃,
15分間、高圧滅菌した。予め供試菌であるシュードモ
ナス sp.OS-K-29株をペプトン,酵母エキス,グリセロ
ールをそれぞれ1.0%含む栄養培地(pH7.2)で3
0℃、16時間振とう培養して種菌を調製し、上記培地
に2%(v/v)量を無菌的に接種した。そして温度30
℃,通気量1.0L/min,回転数500rpmの条件で約
24時間、通気撹拌培養を行った。培養終了後、培養液
を取り出し遠心分離にて集菌し、2mMの硫酸マグネシ
ウムを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.2)で3回洗
浄し、休止菌体を調製した。その菌体を1.0%の炭酸
カルシウムを含む同緩衝液100mlを入れたバッフル付
きの500ml容三角フラスコにけん濁し、そのけん濁液
に1.0(v/v)のラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキ
シブチロニトリルを加え、30℃で撹拌しながら90時
間反応させた。その時の反応液中に残存する4−クロロ
−3−ヒドロキシブチロニトリルをガスクロマトグラフ
ィー(カラム担体:PEG20M,60−80メッシ
ュ)で分析した結果、その残存率は40.1%であっ
た。反応終了後、反応液を遠心分離操作により菌体を除
き、ついで約1mlまで濃縮し、酢酸エチルで抽出した。
無水硫酸マグネシウムにより脱水後、減圧化で溶媒を除
去し、380mgの4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニ
トリルおよび基質に相当する1,2−ジオール350mg
を得た。本物質の同定および定量は同ガスクロマトグラ
フィーにより行い、リテンションタイムより確認した。
【0029】このシロップ中の4−クロロ−3−ヒドロ
キシブチロニトリルをアステック社(Advanced Separat
ion Technologies Inc., NJ, USA)製のキャピラリーカ
ラムG−TA(0.25mm×30m)を用いたガスクロ
マトグラフィーにより光学異性体の分析を行った。一
方、1,2−ジオール化合物は無水トリフルオロ酢酸に
よりトリフルオロ化した後、上記ガスクロマトグラフィ
ーにより光学異性体の分析を行った。その結果、回収し
た4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリルは光学純
度94.5%eeのS体であることが判明した。また、回
収した1,2−ジオールは光学純度42.2%eeのR体で
あることが判明した。なお、上記のガスクロマトグラフ
ィーによる光学異性体の分析条件は以下の通りである。
4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリルのリテンシ
ョンタイムはS体、64.1分;R体、66.5分で、
1,2−ジオールのリテンションタイムはS体、113.
1分;R体、125.3分であった。 分析条件:カラム温度、120℃;検出器温度、200
℃;キャリアーガス、窒素;流速、0.5ml/mi
n;検出器、FID;スプリット比、100/1。
【0030】実施例2−7 基質をラセミ体4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニト
リルから表1に示す基質に変えた以外は実施例1と同様
の方法で反応を行った。また、得られた種々の化合物を
実施例1と同様の方法で同定と定量分析を行い、光学異
性体の分析についても同様の方法で行った。なお、実施
例3〜5において生成した3−ヒドロキシ−γ−ブチロ
ラクトンは、菌体を除去した上清を等量の酢酸エチルに
よりクロロヒドリンおよび1,2−ジオールを抽出・除
去し、その水層画分を濃縮して3−ヒドロキシ−γ−ブ
チロラクトンの粗シロップを得た。本物質の同定および
定量は実施例1に示した同ガスクロマトグラフィーによ
り行い、リテンションタイムより確認した。このシロッ
プ中の3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの光学純度
の測定は、塩化アセチルによりアセチル化した後、実施
例1に示したアステック社製のキャピラリーカラムG−
TAを装着したガスクロマトグラフィーにより行った。
3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンのリテンションタ
イムはS体、11.3分;R体、12.0分であった。 分析条件:カラム温度、150℃;検出温度、200
℃;キャリアーガス、窒素;流速、0.7ml/mi
n;検出器、FID;スプリット比;100/1。 得られた3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの物性値
は文献値(SyntheticCommunications, 16(2),pp.183-1
90,1986)とよく一致した。1 H−NMR(CDCl3, 250MHz), δppm: 2.54
(d, 1H, J=18Hz); 2.79(dd, 1H, J=18Hz, J=6Hz); 3.29
(s, 1H, OH); 4.34(d, 1H, J=10Hz); 4.46(dd, 1H, J=1
0Hz, J=4.5Hz); 4.6-4.7(m, 1H)13 C−NMR(CDCl3), δppm: 177, 76.3, 67.2,
37.7 上記実施例1〜7の生成物およびその収量等を表1に示
す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】実施例8 ペプトン、酵母エキス、グリセロールがそれぞれ1%か
らなる栄養培地(pH7.0)2.5リッターを5リッタ
ー容ジャーファメンター(培養器)に仕込み、121
℃、15分間、高圧滅菌を行った。予め供試菌であるシ
ュードモナス sp.DS-K-NR818をペプトン、酵母エキス、
グリセロールをそれぞれ1.0%含む栄養培地(pH7.
0)で30℃、18時間振とう培養して種菌を調製し、
上記培地に2.0%(v/v)量を無菌的に接種した。
そして温度30℃、通気量0.5L/min、撹拌回転
数500rpmの条件で約24時間、通気撹拌培養を行
った。培養終了後、培養液を取り出し遠心分離にて集菌
し、2mMの硫酸マグネシウムを含む20mMリン酸緩
衝液(pH7.2)にて3回洗浄し、休止菌体を調製し
た。その菌体を1.0%の炭酸カルシウムを含む20m
Mリン酸緩衝液(pH7.0)100mlを入れたバッ
フル付き500ml容三角フラスコに懸濁した。懸濁液
に硫酸マグネシウム2mMとなるように調製した。懸濁
液にラセミ体エチル 4−クロロ−3−ヒドロキシブチ
レイトを1.0%(v/v)となるように加え、30℃
で40時間反応させた。反応後、反応液中に残存するエ
チル 4−クロロ−3−ヒドロキシブチレイトをガスク
ロマトグラフィー(カラム担体:PEG20M、60−
80メッシュ)で分析した。その結果、残存率は41.
8%であった。反応終了後、反応液を遠心分離して菌体
を除き、ついで約1.0mlまで濃縮し、酢酸エチルで
抽出した。無水硫酸マグネシウムにより脱水後、減圧下
で溶媒を除去し、406mgのエチル 4−クロロ−3
−ヒドロキシブチレイトを得た。本物質の同定および定
量は同ガスクロマトグラフィーにより行い、リテンショ
ンタイムより確認した。残存していたエチル 4−クロ
ロ−3−ヒドロキシブチレイトをアステック社製のキャ
ピラリーカラムG−TA(0.25mm×30m)を用
いたガスクロマトグラフィーにより光学異性体の分析を
行った。その結果、回収したエチル 4−クロロ−3−
ヒドロキシブチレイトは光学純度98%ee以上のR体
であった。なお、上記のガスクロマトグラフィーによる
光学異性体の分析条件は以下の通りである。エチル 4
−クロロ−3−ヒドロキシブチレイトのリテンションタ
イムはR体 39.5分;S体 41.0分であった。 分析条件:カラム温度、110℃;検出器温度、200
℃;キャリアーガス、窒素;流速、0.7ml/mi
n;検出器、FID;スプリット比、100/1。 なお生成した3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンは、
菌体を除去した上清を等量の酢酸エチルによりクロロヒ
ドリンを抽出・除去し、その水層画分を濃縮して3−ヒ
ドロキシ−γ−ブチロラクトンの粗シロップを得た。本
物質の同定および定量は実施例3と同様の方法で行い、
光学異性体の分析についても同様の方法で行った。
【0034】実施例9〜12 基質をラセミ体エチル 4−クロロ−3−ヒドロキシブ
チレイトから表2に示す基質に変える以外は、実施例8
と同様な方法で反応を行った。また、得られた種々の化
合物を実施例8と同様な方法で同定と定量分析を行い、
光学異性体の分析についても同様の方法で行った。上記
実施例8〜12の生成物および収量等を表2に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】実施例13 (S)−3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンと(R)
−メチル 4−クロロ−3−ヒドロキシブチレイトの製
造 ペプトン、酵母エキス、グリセロールがそれぞれ1%か
らなる栄養培地(pH7.0)100mlをバッフル付
き500ml容三角フラスコに仕込み、121℃、15
分間、高圧滅菌を行った。予め供試菌であるエンテロバ
クター sp. DS-S-75株をペプトン、酵母エキス、グリセ
ロールをそれぞれ1.0%含む栄養培地(pH7.0)で
30℃、20時間振とう培養して種菌を調製し、上記培
地に2.0%(v/v)量無菌的に接種した。そして温
度30℃、撹拌条件下で約24時間、培養を行った。培
養終了後、培養液を取り出し遠心分画にて集菌し、2m
Mの硫酸マグネシウムを含む20mMリン酸緩衝液(p
H7.2)にて3回洗浄し、休止菌体を調製した。その
菌体を1.0%の炭酸カルシウムを含む20mMリン酸
緩衝液(pH7.0)100mlを入れたバッフル付き
500ml容三角フラスコに懸濁した。懸濁液に硫酸マ
グネシウムを2mMとなるように調製した。懸濁液にラ
セミ体メチル 4−クロロ−3−ヒドロキシブチレイト
を1.0%となるように加え、30℃で24時間反応さ
せた。反応後、反応液中に残存するメチル 4−クロロ
−3−ヒドロキシブチレイトをガスクロマトグラフィー
(カラム担体:PEG20M,60−80メッシュ)で
分析した。その結果、残存率は48.0%であった。反
応終了後、反応液を遠心分離し、菌体を取り除いた後、
上清を活性炭カラムに付し、アセトンにて溶出した。溶
出液よりアセトンを減圧留去して得られた油状物を蒸留
することにより、342mgの(R)−メチル4−クロ
ロ−3−ヒドロキシブチレイト(沸点75−80/1.
5mmHg)と214mgの(S)−3−ヒドロキシ−
γ−ブチロラクトン(沸点110−120/0.5mm
Hg)を油状物として得た。得られたメチル 4−クロ
ロ−3−ヒドロキシブチレイトは光学純度99%ee以上
のR体であった。また得られた3−ヒドロキシ−γ−ブ
チロラクトンを塩化アセチルと反応させて、アセチル化
した後、光学純度を測定した。3−ヒドロキシ−γ−ブ
チロラクトンは光学純度95.9%eeのS体であった。
光学純度の分析は、アステック社製のキャピラリーカラ
ムG−TA(0.25mm×30m)を用いたガスクロ
マトグラフィーにより行った。上記のガスクロマトグラ
フィーによる光学異性体の分析条件は以下の通りであ
る。 メチル 4−クロロ−3−ヒドロキシブチレイトの分析
条件:カラム温度、110℃;検出器温度、200℃;
キャリアーガス、窒素;流速、0.7ml/min;検
出器、FID;スプリット比、100/1。リテンショ
ンタイムはR体、15.5分;S体、16.3分。 3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの分析条件:カラ
ム温度、150℃;検出器温度、200℃;キャリアー
ガス、窒素;流速、0.7ml/min;検出器、FI
D;スプリット比、100/1。リテンションタイムは
S体、11.3分;R体、12.0分。 得られた3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの物性値
は文献値(SyntheticCommunications, 16(2),pp.183-1
90,1986)とよく一致した。 [α]D 20=−76.2°(C=1.95、EtOH)1 H−NMR(CDCl3, 250MHz), δppm: 2.54
(d, 1H, J=18Hz); 2.79(dd, 1H, J=18Hz, J=6Hz); 3.29
(s, 1H, OH); 4.34(d, 1H, J=10Hz); 4.46(dd, 1H, J=1
0Hz, J=4.5Hz); 4.6-4.7(m, 1H)13 C−NMR(CDCl3), δppm: 177, 76.3, 67.2,
37.7
【0038】実施例14〜32 基質をラセミ体メチル 4−クロロ−3−ヒドロキシブ
チレイトから表1に示す基質に変えて、各基質に対して
供試菌株としてエンテロバクター sp. DS-S-75株、キト
ロバクター・フレウンディー DS-S-13株、キトロバクタ
ー・フレウンディー DS-K-40株、バチルス・スペリカス
DS-ID-819株を用いてそれぞれ実施例13と同様の方法
で反応を行った。また、得られた種々の化合物について
実施例13と同様の方法で定量分析を行い、光学異性体
の分析についても同様の方法で行った。得られた化合物
の収量と光学純度について表3に示す。得られた3−ヒ
ドロキシ−γ−ブチロラクトンの物性値はいずれの場合
も実施例13と一致した。上記実施例13〜32におけ
る生成物およびその収量等を表3に示す。なお、表3中
の略語は下記の意味を有する。 MH: メチル 4−クロロ−3−ヒドロキシブチレイ
ト EH: エチル 4−クロロ−3−ヒドロキシブチレイ
ト IPH:イソプロピル 4−クロロ−3−ヒドロキシブ
チレイト PH: プロピル 4−クロロ−3−ヒドロキシブチレ
イト BH: ブチル 4−クロロ−3−ヒドロキシブチレイ
ト HL: 3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン
【0039】
【表5】
【0040】
【発明の効果】本発明によればシュードモナス属に属す
る微生物(シュードモナス sp.OS-K-29株またはシュー
ドモナス sp. DS-K-NR818株)、さらに、エンテロバク
ター属(エンテロバクター sp. DS-S-75株)、キトロバ
クター属(キトロバクター・フレウンディー DS-S-13
株、キトロバクター・フレウンディー DS-K-40株)、お
よびバチルス属(バチルス・スペリカス DS-ID-819株)
に属する微生物を利用して一般式[1]のラセミ体クロ
ロヒドリンの一方の光学異性体のみを分解し、他方の光
学異性体を系中に残存させ、また該一方の光学異性体を
脱ハロゲン化して光学活性1,2−ジオールあるいは光
学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンへと変換さ
せ、該残存する他方の光学異性体ならびに生成する光学
活性1,2−ジオールおよび/または光学活性3−ヒド
ロキシ−γ−ブチロラクトンを回収することにより、原
料的に安価で且つ工業的に簡便な方法によって光学活性
クロロヒドリンと光学活性1,2−ジオール化合物およ
び/または光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクト
ンを製造することができる。本発明方法で製造される光
学活性クロロヒドリンならびに光学活性1,2−ジオー
ル化合物および光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラ
クトンは、医薬、農薬、生理活性物質および強誘電性液
晶などの合成中間体として有用な化合物であり、特に、
光学活性4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリルお
よびそのカルボン酸エステルである光学活性メチル 4
−クロロ−3−ヒドロキシブチレイトやエチル 4−ク
ロロ−3−ヒドロキシブチレイトなどのC4骨格を持つ
化合物は、医薬分野で重要な光学活性カルニチン、4−
クロロ−3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ−2−ピ
ロリジノン、1,2,4−ブタントリオール等の前駆体化
合物として重要である。したがって、本発明はかかる重
要な化合物を安価かつ簡便に提供しうるものであって、
工業的にきわめて有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:38) (C12P 41/00 C12R 1:01) (C12P 41/00 C12R 1:38) (56)参考文献 Tetrahedron:Asymm etry(1992)Vol.3,No. 4,p.521−524 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12P 41/00 BIOTECHABS(STN) CA(STN)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 [式中、R1は水素原子、R2は置換または非置換低級ア
    ルキル基(ただしヒドロキシルメチル基を除く)を表わ
    す。]で示されるラセミ体クロロヒドリン化合物に脱ク
    ロル化活性を有する、シュードモナス属に属する菌株、
    エンテロバクター属に属する菌株、キトロバクター属に
    属する菌株およびバチルス属に属する菌株から選ばれる
    1種の菌株の培養液または菌体もしくはその処理物を作
    用させて、光学異性体の一方を分解し、もう一方の光学
    異性体を残存させることを特徴とするクロロヒドリンの
    光学分割方法。
  2. 【請求項2】 残存する光学活性クロロヒドリンを回収
    することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 R2がエチル基、またはシアノ、低級ア
    ルコキシカルボニルおよび低級アルコキシから選ばれる
    基で置換されたメチル基である請求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 R2が低級アルコキシカルボニルメチル
    基である請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 R2がメトキシカルボニルメチル、エト
    キシカルボニルメチルまたはイソプロポキシカルボニル
    メチルである請求項2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 使用する菌株がシュードモナス属に属す
    る菌株である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 使用する菌株がシュードモナス sp. OS-
    K-29株である請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 使用する菌株がエンテロバクター属、キ
    トロバクター属またはバチルス属に属する菌株である請
    求項4または5に記載の方法。
  9. 【請求項9】 光学活性クロロヒドリン化合物と共に下
    記式 【化2】 [式中、R3は置換または非置換低級アルキル基であ
    る。]で示される光学活性1,2−ジオール化合物を製
    造する請求項7に記載の方法。
  10. 【請求項10】 出発化合物のラセミ体クロロヒドリン
    化合物[1]中のR2が低級アルコキシカルボニルメチ
    ル基であり、使用する菌株がシュードモナスsp. OS-K-2
    9株(FERM BP-994)であって、光学活性クロロヒドリン
    化合物と共に、下記式 【化3】 [式中、R3'は低級アルコキシカルボニルメチル基であ
    る。]で示される光学活性1,2−ジオールと下記式 【化4】 で示される光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクト
    ンを製造することを特徴とする請求項2に記載の方法。
  11. 【請求項11】 R3'がメトキシカルボニルメチル、エ
    トキシカルボニルメチルまたはイソプロポキシカルボニ
    ルメチルである請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 使用する菌株がシュードモナス sp. D
    S-K-NR818株(FERMBP-5491)である請求項4または5に記
    載の方法。
  13. 【請求項13】 出発化合物であるラセミ体クロロヒド
    リン化合物[1]中のR2が低級アルコキシカルボニル
    メチル基であり、使用する菌株がシュードモナス sp. D
    S-K-NR818株(FERM BP-5491)、エンテロバクター sp. D
    S-S-75株(FERM BP-5494)、キトロバクター・フレウン
    ディーDS-S-13株(FERM BP-5492)、キトロバクター・フ
    レウンディーDS-K-40株(FERM BP-5493)、およびバチル
    ス・スペリカスDS-ID-819株(FERM BP-5495)から選ばれ
    る1種であって、光学活性クロロヒドリン化合物と共
    に、下記式 【化5】 で示される光学活性3−ヒドロキシ−γ−ブチロラクト
    ンを製造することを特徴とする請求項2に記載の方法。
  14. 【請求項14】 出発化合物[1]中のR2がメトキシ
    カルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポ
    キシカルボニルメチル、イソプロポキシカルボニルメチ
    ルまたはブチルオキシカルボニルメチルである請求項1
    3に記載の方法。
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