JP3687497B2 - 微生物培養法による光学活性1,2−ジオール類の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬・農薬・生理活性物質および強誘電性液晶などの光学活性化合物の合成における有用なキラルビルディングブロックおよびその中間体となりうる光学活性1,2−ジオール類のアルカリゲネス属に属する微生物処理による製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光学活性1,2−ジオール化合物の製法に関しては、化学法として、近年 Jacobsenらによりプロピレンオキサイド等のエポキシド化合物をCo(III)-サレーン触媒を利用することにより立体選択的に加水分解し、残存する光学活性のエポキシド化合物と生成する光学活性の該ジオール化合物に変換する方法が既に報告されている(M. Tokunaga et al., Science, 277, 936-938 (1997))。
しかし、用いる基質によっては得られる1,2−ジオール化合物の光学純度が低く、一方高価な触媒を利用する点で安価な製法とは言い難い。
【0003】
酵素を用いた製法ではLeeとWhitesidesによるグリセロールデヒドロゲナーゼを用いた1−ヒドロキシ−2−プロパノンおよび1−ヒドロキシ−2−ブタノンからの還元反応による(R)体1,2−プロパンジオールおよび(R)体1,2−ブタンジオールの製法(Journal of Organic Chemistry, Vol. 51, pp.25-36, (1986))やSuzukiらによる酸化的脱ハロゲン化酵素(ハロヒドリンデハイドロデハロゲナーゼ;HDDase)を用いた光学活性1,2−ジオール化合物の製法が報告されている(Tetrahedron/asymmetry,vol.5,239-246(1994)、特開平7-147993)。
さらに、微生物菌体を触媒とした方法として、1−ヒドロキシ−2−ケトン化合物に微生物菌体(休止菌体)を作用させ、(S)体1,2−ジオール化合物に変換する製法(特開平1−320988)が知られている。また、(R)体1,2−ジオール化合物を得る方法としては、Nikaidoらによるシュードモナス属細菌の休止菌体を利用したラセミ体1,2,4−ブタントリオールからのR体1,2,4−ブタントリオールの光学分割法が知られている(特開平6−209781)。
【0004】
しかし、これらの酵素法や微生物休止菌体法では、ラセミ体1,2−ジオール化合物に作用させる酵素や微生物休止菌体を別途調製し、光学分割反応に供しなければならない。即ち、酵素反応では物理的な破砕操作等により微生物菌体から酵素を抽出しなければならない。また、微生物休止菌体反応では、微生物培養工程と光学分割反応工程が別工程であり、余分な時間と手間を必要とする。さらには酸化還元的な分解反応により分割反応が進行する場合、反応に補酵素や電子需要体を添加する必要があり、あるいはその再生利用の面から見て効率的な反応とは言い難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、高光学純度で、且つ簡便で安価な方法による光学活性1,2−ジオール化合物を得るための製法の開発が望まれている
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決すべく光学活性1,2−ジオール類の工業的生産を目指して、鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
本発明方法は、上記の酵素法、すなわちハロヒドリンデハイドロデハロゲナーゼ(HDDase)による光学活性1,2−ジオール化合物の製法(Tetrahedron/asymmetry,vol.5,239-246(1994)、特開平7-147993)をより効率的、且つ実際的に改良した方法である。
【0007】
即ち、上記反応に関与する酵素(HDDase)の酵素化学的な性質から生菌体の補酵素の有効な再生系を共役させることにより、式[2]に示す光学活性1,2−ジオール化合物の安価で、簡便な製法を開発したものである。
さらに、基質としてラセミ体1,2,4−ブタントリオールを用い、これを本発明方法により光学分割した場合、その反応生成物としてS体2,4−ジヒドロキシ酪酸を確認することができ、残存するR体1,2,4−ブタントリオールと同時にS体2,4−ジヒドロキシ酪酸を生産する方法も開発した。
既にラクトイナーゼを用いたラセミ体2−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの光学分割法に伴う光学活性2,4−ジヒドロキシ酪酸の製法は報告されているが(特開平9−308497)、光学活性1,2−ジオールと同時に光学活性2,4−ジヒドロキシ酪酸の生産法の報告は初めてである。
上記のHDDaseによる酵素法では、ラセミ体1,2−ジオール化合物から一方の光学活性1,2−ジオール化合物を立体選択的な酸化分解反応により分解除去する際に、補酵素として高価な酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)や酸化型の人工的な電子需要体を別途反応液に添加する必要がある。
そのためHDDaseを用いた酵素法では、補酵素の再生反応が律速反応となり(Tetrahedron/asymmetry,vol.5,239-246(1994), J. Ferment. Bioeng., vol. 78, 194-196 (1994))、実際的な製法とはいい難い。
【0008】
本発明方法は、補酵素として必要な酸化型NADや酸化型の人工的な電子需要体を別途反応液に添加することなく、好気的な条件下で増殖中の菌体内のNADを繰り返し用いることにより、ラセミ体1,2−ジオール化合物より一方の光学活性1,2−ジオール化合物を酸化分解除去、あるいはカルボン酸に変換し、残存するもう一方の光学活性1,2−ジオール化合物(式[2])を回収することによる簡便で安価な、そして実際的な光学活性1,2−ジオール化合物の製法に関する。
従って本発明方法は、既に報告されている精製したHDDaseを用いる酵素法や休止菌体法(Tetrahedron/asymmetry,vol.5,239-246(1994), J. Ferment. Bioeng., vol. 78, 194-196 (1994))である従来技術による製法とは根本的に異なる製法である。
【0009】
即ち本発明は、下記式[1]
【0010】
【化3】
(式中、Rはアルキル基、ヒドロキシ置換アルキル基、またはアルケニル基である。)
で示されるラセミ体1,2−ジオール類を、アルカリゲネス属に属する微生物を好気的条件下培養増殖中の該菌体に作用させ、該培養液より回収することを特徴とする、下記式[2]
【0011】
【化4】
(式中、Rは前掲と同じ。)
で示される光学活性1,2−ジオール類の製造方法に関する。
【0012】
また、基質としてラセミ体1,2,4−ブタントリオールを用いた場合、このラセミ体を、アルカリゲネス属に属する微生物を好気的条件下培養増殖中の該菌体に作用させることことを特徴とする(R)体1,2,4−ブタントリオールおよび(S)−2,4−ジヒドロキシ酪酸の製造方法にも関する。
【0013】
この反応は下記式で示される。
【化5】
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、窒素源としてペプトンや酵母エキス、炭素源として3−クロロ−1,2−プロパンジオールやグルコン酸からなる栄養培地において好気的な条件下で増殖している菌体にラセミ体1,2−ジオール類を作用させることにより、補酵素である酸化型NADを効率的に増殖菌体中で再生し、反応液中にNADを全く添加することなく、安価で、且つ実際的にラセミ体1,2−ジオール類から式[2]に記載の光学活性1,2−ジオール類を得る方法に関する発明をなした。
【0015】
本発明方法で使用される微生物は、酸化的脱ハロゲン化反応を触媒する酵素であるハロヒドリンデハイドロデハロゲナーゼ(HDDase)を産生する微生物であり、具体的には本発明者らにより土壌から分離されたアルカリゲネス属に属する微生物Alcaligenes sp. DS-S-7G株、Alcaligenes sp. DS-S-8S株、Alcaligenes sp. DS-S-1C株を挙げることができる。これらの微生物は既に工業技術院微生物工業研究所にそれぞれ微工研菌寄第3098号 ((FERM BP−3098)、微工研菌寄第3099号(FERM BP−3099)、微工研菌寄第3100号 (FERM BP−3100)として寄託されている。
上記の菌株は、いずれも(R)体3−クロロ−1,2−プロパンジオールを分解資化する能力を指標に土壌より分離された微生物で、硫安などの無機的な窒素源を含む、微量のリン酸塩と硫酸マグネシウム塩、および微量の金属塩からなる基本培地に単一炭素源としてR体3−クロロ−1,2−プロパンジオールを含む最少培地において増殖することができる(特公平4−73999、Bioorg. Med. Chem.Lett., 1, 343-346 (1991))。
【0016】
上記微生物を培養するための培地組成としては、通常これらの微生物が成育する培地ならいかなる培地でもよい。
例えば炭素源としてグリセロール、ラセミ体3−ハロゲノ−1,2−プロパンジオール、(R)体3−ハロゲノ−1,2−プロパンジオール等のアルコール類、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸とその塩類などの有機酸、またはそれらの混合物を、窒素源として硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機窒素化合物および尿素、ペプトン、カゼイン、酵母エキス、肉エキス、コーンスチープリカー等の有機窒素化合物とそれらの混合物を挙げることができる。その他、無機塩としてリン酸塩、マグネシウム塩、カリウム塩、マンガン塩、鉄塩亜鉛塩、銅塩等、さらに必要に応じてビタミン類を加えてもよい。また、HDDase活性を高誘導するために、上記菌株を培養する際に、上記培地およびペプトン培地、ブイヨン培地等の栄養培地にラセミ体3−ハロゲノ−1,2−プロパンジオール、(R)体3−ハロゲノ−1,2−プロパンジオールを添加してもよい。ラセミ体3−ハロゲノ−1,2−プロパンジオールまたは(R)体3−ハロゲノ−1,2−プロパンジオールを単一炭素源とする完全合成培地で培養するのも好ましい態様の1つである。
【0017】
上記微生物の培養は常法によればよく、例えばpHを4〜9、好ましくは4.5〜8.5、培養温度は20〜45℃、好ましくは25〜37℃の範囲で好気的に10〜96時間行なうことが好ましい。
好適な基質としては、1,2,4−ブタントリオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ジヒドロキシ−3−ブテン、1,2−ジヒドロキシ−5−ヘキセン等のラセミ体が挙げられる。
基質としてラセミ体1,2,4−ブタントリオールを用い、本発明に係る培養法により光学分割した場合、残存するR体1,2,4−ブタントリオールと同時にS体2,4−ジヒドロキシ酪酸を生産することができる。両者の分離はイオン交換樹脂やシリカゲルなどによるカラムクロマトグラフィー法や培養反応液を中性条件下で濃縮した後、アルコールを添加することにより溶媒置換し、2,4−ジヒドロキシ酪酸と1,2,4−ブタントリオールをそれぞれカルボン酸塩の沈殿と上清とに分離する方法などにより行うことができる。
【0018】
反応培養温度は20〜45℃が好ましく、さらに好ましくは25〜37℃である。反応培養pHはpHを4〜9、好ましくは4.5〜8.5で行なうのが好ましい。反応液中の基質濃度は0.1〜15%(v/v)が好ましく、基質は初期に一括していれてもよいし、分割添加してもよい。反応は好気的な条件下で通気攪拌あるいは振とうしながら行ない、基質濃度,生育菌体量により異なるが24〜120時間で終了するのがよい。好ましくはガスクロマトグラフィー等の分析により残存基質量が初期基質濃度に比して50%で反応を終了するのがよい。なお、反応中に基質が酸化的に分解され生成する酸により反応pHが低下する場合、水酸化ナトリウム、アンモニア水や炭酸カルシウム等の炭酸アルカリ塩水溶液を添加して、反応至適pHの範囲に制御してもよい。
かくして得られる反応液中に残存する光学活性1,2−ジオール類は、一般的な方法で回収および精製できる。
例えば反応液から菌体を遠心分離で除いた後、上清をエバポレーターにより濃縮し、酢酸エチル等の溶媒で抽出し、抽出液を無水硫酸マグネシウムにより脱水した後、減圧下で溶媒を除去し、光学活性1,2−ジオール類のシロップを得ることができる。さらに蒸留やシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製してもよい。
【0019】
以下実施例をもって、本発明を詳細に説明するが本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の%は特に記載のない限り(W/V)を表す。
【0020】
【実施例】
実施例1
ポリペプトン、酵母エキス、グルコン酸各1%(w/v)からなる組成の培地1リッターを入れた2リッタージャーファーメンター(培養器)を121℃、15分間滅菌した。その培地に別途121℃、15分間滅菌したラセミ体1,2,4−ブタントリオールを5%(w/v)になるように添加した栄養培地を作成した。次に、Alcaligenes sp. DS-S-7G株の一白金耳を予めペプトン、酵母エキス、ラセミ体3−クロロ−1,2−プロパンジオールをそれぞれ1.0%含む100mlの半合成培地(pH7.2)で30℃、20時間振とう培養し、その培養菌体液を上記栄養培地に2%(v/v)量無菌的に接種した。そして温度30℃、通気量500mL/min,回転数500rpmの条件で約24時間、通気攪拌培養を行なった。pHの測定および制御は連動させたpHメーターで行ない、5Nの水酸化ナトリウムによりpH6.5に制御した。
【0021】
培養終了後、培養反応液中に残存する1,2,4−ブタントリオールをガスクロマトグラフィー(カラム担体:PEG20M,60−80メッシュ)で分析した結果、その残存率は49.2%であった。また、同時に2,4−ジヒドロキシ酪酸の生成が確認できた。ついで培養液を遠心分離操作により菌体を除去した後、約40mlまで濃縮し、3倍量のエタノール(120ml)を添加し、抽出した。そのとき、(1,2,4−ブタントリオール)のエタノール溶液と(2,4−ジヒドロキシ酪酸のナトリウム塩)の沈殿とに分離した。さらにそのエタノール溶液を無水硫酸マグネシウムで脱水後、溶媒を減圧下で除去し、21.6gの粗1,2,4−ブタントリオールのシロップを得た。一方、沈殿はエタノールで再度洗浄した後、溶媒を減圧下で除去し、5.6gの粗2,4−ジヒドロキシ酪酸のナトリウム塩を得た。
生成物の同定はGC/MSにより行ない、培養反応終了液中の1,2,4−ブタントリオールと2,4−ジヒドロキシ酪酸をそれぞれ確認した。また、得られた1,2,4−ブタントリオールの光学純度は、上記シロップ中の1,2,4−ブタントリオールを無水トリフルオロ酢酸によりトリフルオロアセチル化した後、アステック社製のキャピラリーカラムG−TA(0.25mm x 30m)を用いたガスクロマトグラフィーにより光学異性体の分析を行なった。その結果、回収した1,2,4−ブタントリオールは光学純度98%ee以上の(R)体であることが判明した。この分析により(R)体の保持時間は39.3分,(S)体は40.6分であった。なお、上記のガスクロマトグラフィーによる光学異性体の分析条件は以下の通りである。
分析条件:カラム温度,100℃;検出器温度,200℃;キャリアーガス,窒素;流速,1ml/min;検出器,FID;スプリット比,100/1。
【0022】
一方、培養反応液中の2,4−ジヒドロキシ酪酸は、0.5M−塩酸、100℃の条件下で2時間還流し、相当する2−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンに変換した(JP 09308497)。酢酸エチルで抽出後、溶媒留去し、2−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの粗標品を得た。その化学純度はガスクロマトグラフィー(カラム担体:PEG20M,60−80メッシュ)により分析したところ80%であった。得られた2−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンの旋光度を測定したところ、[α]D=−51.9°(25℃、c=1.132,CHCl3)を示し、その立体配置は(S)体であることが判明した。
文献値:[α]D=−65.2°(25℃、c=1.15,CHCl3)
【0023】
実施例2−21
基質を1,2,4−ブタントリオールから以下に示す表の基質に、そして使用する微生物をDS-S-7G株からDS-S-8S株あるいはDS-S-1C株に変えた以外は実施例1と同様の方法で光学分割反応を行なった。
【0024】
使用菌株:DS-S-7G株
【0025】
使用菌株:DS-S-8S株
【0026】
使用菌株:DS-S-1C株
【0027】
【発明の効果】
本発明方法によればアルカリゲネス属に属する微生物Alcaligenes sp. DS-S-7G株、Alcaligenes sp. DS-S-8S株、Alcaligenes sp. DS-S-1C株の好気的増殖菌体を利用してラセミ体1,2−ジオール類から一方の光学異性体を酸化的に分解除去し、原料的に安価で、且つ工業的に簡便な方法によって(R)体1,2−ジオール類を製造することができる。またラセミ体1,2,4−ブタントリオールを基質として用いたときには、(R)体1,2,4−ブタントリオールと(S)体2,4−ジハイドロキシ酪酸を製造することができる。
Claims (5)
- 式[1]の化合物がラセミ体1,2,4−ブタントリオールである請求項1記載の光学活性1,2,4−ブタントリオールの製造方法。
- ラセミ体1,2,4−ブタントリオールを、アルカリゲネス属に属する微生物を好気的条件下培養増殖中の該菌体に作用させること を特徴とする(R)体1,2,4−ブタントリオールおよび(S)−2,4−ジヒドロキシ酪酸の製造方法。
- ラセミ体1,2,4−ブタントリオールをアルカリゲネス属に属する微生物を好気的条件下培養増殖中の該菌体に作用させ、該培養液から単離することを特徴とする(S)−2,4−ジヒドロキシ酪酸の製造方法。
- 使用する微生物がAlcaligenes(アルカリゲネス属) sp. DS-S-7G株(FERM BP−3098)、Alcaligenes(アルカリゲネス属) sp. DS-S-8S株(FERM BP−3099)、または Alcaligenes(アルカリゲネス属) sp. DS-S-1C株(FERM BP−3100)である請求項3または4に記載の(R)体1,2,4−ブタントリオールおよび/または(S)−2,4−ジヒドロキシ酪酸の製造方法。
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