JP3077478B2 - 微生物酵素による光学活性1,2−ジオール類およびハロゲノヒドリン類の製造法 - Google Patents
微生物酵素による光学活性1,2−ジオール類およびハロゲノヒドリン類の製造法Info
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Description
どに使用される光学活性化合物またはその中間体の合成
における有用なキラルビルディングブロックと成りうる
光学活性1,2−ジオール類およびハロゲノヒドリン類
の、酵素を用いた新規製造法に関するものである。
ては、化学的方法として光学活性アミノ酸をα−ヒドロ
キシ酸に変換した後、1,2−ジオール類に還元する製
法(日本化学雑誌、91巻、pp.265,1970)と光
学活性1,2−エポキシ−グリシジル誘導体をアルキル
金属化合物により相当する光学活性1,2−ジオール類
へ開環する製法(特開平1146834)が知られてい
る。しかしこれらの製法により高光学純度の1,2−ジ
オール類を得るためには、高光学純度を持つ原料を必要
とし、工業的に安価で経済的な製法とはいい難い。ま
た、生物学的製法ではLeeとWhitesidesによるグリセ
ロールデヒドロゲナーゼを用いた1−ヒドロキシ−2−
プロパノンおよび1−ヒドロキシ−2−ブタノンからの
還元反応による(R)体1,2−プロパンジオールおよび
(R)体1,2−ブタンジオールの製法が知られている(J
ournal of Organic Chemistry, Vol.51,pp.
25−36,(1986)。しかしながら、安価なラセミ
体1,2−ジオールから光学活性体を得る方法は知られ
ていない。また、微生物を用いた方法では1−ヒドロキ
シ−2−ケトン化合物に微生物菌体を作用させ、(S)体
1,2−ジオールに変換する製法(特開平1−32098
8)が知られているが、(R)体1,2−ジオール類を得る
方法は知られていない。光学活性ハロゲノヒドリン類、
例えば(S)体3−ハロゲノ−1,2−プロパンジオール
の製法に関しては、化学的方法としてメチル−6−デオ
キシ−α−D−グルコピラノシドから合成する方法(Ch
emistry & Industry, Vol.15,pp.533(1
978)、およびD−マンニトールからの製法が知られ
ている(Chemico−Biological Interactions, Vo
l.41,pp.95−104(1982))が、高度な技術
と複雑な工程を必要とし工業的製法とはいい難い。生物
学的製法としては、酵素を用いた方法と微生物を用いた
方法が知られている。酵素を用いた方法としては真菌類
のリパーゼを用いた3−クロロ−1,2−プロパンジオ
ールとトリグリセリドとのエステル交換反応による光学
活性3−クロロ−1,2−プロパンジオールとそのエス
テルの製法がしられている(特開平3−53885)。ま
た、細菌のデハロゲナーゼを作用させ、1,3−ジハロ
ゲノ−2−プロパノールから(S)体3−クロロ−1,2
−プロパンジオールに変換させる方法が知られている
(特開平1−94638、特開平4−94690、特開
平5−068587)。しかしながら、従来知られてい
る酵素法で得られる(S)体3−クロロ−1,2−プロパ
ンジオールの光学純度は低く、高光学純度の(S)体3−
クロロ−1,2−プロパンジオールの製法としては更に
改良する必要がある。微生物を用いた方法では、ラセミ
体3−クロロ−1,2−プロパンジオールより一方の
(R)体を資化させ、残存する(S)体を回収する製法が知
られている(微生物資化法)(特許公報平4−7399
9)。微生物による資化法はラセミ体3−クロロ−1,2
−プロパンジオールを炭素源として純粋培養を行なうた
め、滅菌等の複雑な工程を必要とし、反応に際しては長
時間を必要とするなどの問題が残されている。従って、
高光学純度で且つ簡便な(S)体3−クロロ−1,2−プ
ロパンジオールを得るための製法の開発が望まれてい
る。
ノールの製法としては、微生物や酵素を用いる方法が知
られている。微生物を用いる方法では、ラセミ体2,3
−ジクロロ−1−プロパノールを炭素源とし、一方の
(S)体を資化させ、残存する(R)体を回収する製法(資
化法)が知られている(Journal of Industrial Mi
crobiology, Vol.10, pp.37−43(199
0), 特開平2−25789)。酵素を用いる方法で
は、真菌類および動物のリパーゼを作用させたラセミ体
2,3−ジクロロ−1−プロパノールとトリブチリンを
基質としたエステル交換反応による(S)体とその(R)体
ブチルエステルの製法が知られている(特開平1−47
397,Journal of American Chemical Societ
y, Vol.106,pp.2687−2692(198
4))。微生物を用いる方法は、仕込み反応濃度が低
く、微生物資化法であるため滅菌などの複雑な工程を必
要とする。また、酵素を用いる方法は、生成する(R)体
のブチルエステルの光学純度が低いという欠点がある。
この様に、両方法とも高光学純度且つ工業的に簡便な
(R)体2,3−ジハロゲノ−1−プロパノールの製法と
はいい難い。
光学活性1,2−ジオール類、および光学活性ハロゲノ
ヒドリン類の工業的生産を目指して鋭意研究した結果、
以下の事実を見い出した。すなわち、本発明者らが土壌
より分離した細菌Alcaligenes sp.DS−S−7G株
由来の酸化的脱ハロゲン反応を触媒するデハロゲナーゼ
の作用により、安価なラセミ体1,2−ジオール類また
はハロゲノヒドリン類から、(S)あるいは(R)体1,2
−ジオール、または(S)体ハロゲノヒドリン類が分解除
去され、(R)あるいは(S)体1,2−ジオール類、また
は(R)体ハロゲノヒドリン類が残存回収されることが判
明した。本発明は、かかる知見に基づき完成されたもの
である。
単な反応液で反応を行なうことができる。また、本発明
方法は酵素を用いる方法であるため、反応基は簡単な撹
拌槽を用いることができ、微生物を培養するような培養
基(ジャーファーメンター)を使用する必要がない。更に
は加圧滅菌をする必要もなく簡便で且つ安価な方法であ
る。
ラセミ体1,2−ジオール類またはハロゲノヒドリン類
から、Alcaligenes sp.DS-S-7G株由来の酸化的脱ハロゲ
ン化酵素であるデハロゲナーゼを使用し、一方の光学異
性体を酸化立体選択的に分解し(即ち、先ず水酸基が酸
化(脱水素)され、次いで隣接基がハロゲンの場合、脱
ハロゲン化する)、残存する下記一般式[2]で示される
1,2−ジオール類またはハロゲノヒドリン類の光学異
性体を回収することからなる光学活性体化合物の製造方
法を提供するものである:
はハロゲン原子であり、R2は、R1が−OHのときはハ
ロゲンまたは水酸基で置換されたアルキル基もしくは無
置換のアルキル基、ビニル基およびブテニル基から選ば
れるアルケニル基及びフェニル基より選ばれた基であ
り、R1がハロゲン原子のときは−CH2OHであり、*
印は不斉炭素を表わす)。
は、具体的には本発明者らにより土壌から分離されたア
ルカリゲネス属に属する微生物Alcaligenes sp.DS
−S−7G株の産生するデハロゲナーゼを挙げることが
できる。上記微生物は既に工業技術院微生物工業研究所
に微工研菌寄11111号(FERMP−11111)と
して寄託されている。本発明方法に用いる酵素は、Alc
aligenes sp.DS−S−7G株より(R)体3−クロロ
−1,2−プロパンジオールを脱ハロゲン化する活性を
指標に酵素を分離・精製した結果得られたものであり、
ハロヒドリンデハイドロ−デハロゲナーゼと命名され
た。この酵素は、次の様な酵素化学的諸性質を示す。
ールを酸化的に脱ハロゲン化し、補酵素としてNAD
+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)又はNAD
P+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)を
必要とする。また、好気的条件下において酸素を電子受
容体とする。更に、興味深いことに、2,6−ジクロロ
フェノールインドフェノール(DCIP)やフェナジンメ
ソサルフェイト(PMS)又はそれらの混合物を人工的な
電子受容体として用いた場合、(R)体3−クロロ−1,
2−プロパンジオールに対する酸化的脱ハロゲン化活性
はNAD+を補酵素とした場合と比較すると約1000
倍に上昇した。そこでPMSを補酵素として種々ハロヒ
ドリンに対する酸化的脱ハロゲン化活性を測定したとこ
ろ、表1の結果を得た。
に対する酸化的脱クロル化活性(3.18U/mg)を10
0%として示す。
デヒドロゲナーゼ活性を示すことも判明した。特に、い
くつかの1,2−ジオール化合物に対しては高い活性を
示すだけでなく、実施例にも示す様に高い立体選択性を
示すことが判明した。一方、Alcaligenes sp.DS−
S−7G株は(R)体3−ハロゲノ−1,2−プロパンジ
オール又はそのラセミ体を単一炭素源として生育するこ
とができるが、実施列において示す様な他の1,2−ジ
オールやハロヒドリンを単一炭素源としては生育するこ
とができなかった。すなわち、以上の結果は菌体より酵
素を分離・精製して初めて判明した事実である。更に、
本酵素は学術的に大変興味深い酵素化学的性質及び基質
特異性を有しており、ハロヒドリン化合物に対して酸化
的脱ハロゲン化反応を触媒する作用を有しており、かか
る酵素は未だ知られていない。本酵素の分子量はポリア
クリルアミド電気泳動から約70,000と決定され、
SDS−ポリアクリルアミド電気泳動により約58,0
00と約16,000の2種のポリペブチド鎖からなる
サブユニット構造をとっていること、また1酵素分子内
に約1分子のフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)
を非共有的に結合していることが判った。表2に本酵素
のアミノ酸組成を示す。
10℃で24時間、48時間、72時間加水分解処理を
行なった。 1) 本酵素の分子量を70,000として計算した残基
数である。 2) 加水分解率より0時間に相当する値を基に計算し
た。 3) 加水分解72時間の値を基に計算した。 4) 紫外部吸収値より分光光学的に計算した。 5) 酵素を過ギ酸酸化処理を行ない、システイン酸と
して計算した。
とし、(R)体3−クロロ−1,2−プロパンジオールを
基質とした場合、そのKm値はPMSに対して78.1
μM、(R)体3−クロロ−1,2−プロパンジオールに対
して322μMで、Vmaxは3.34μmol/mg/分あっ
た。最適pHは7.2〜7.4、pH安定性はpH6〜
8、最適温度45℃、温度安定性は〜40℃であった。
また、本酵素の酸化的脱ハロゲン化活性は、Cu2+、Hg
2+、p−クロロ安息香酸第2水銀(PCMB)で完全に阻
害された。上記微生物Alcaligenes sp.DS−S−7
G株を培養するための培地組成としては、通常これらの
微生物が生育する培地ならば何でも使用することができ
る。例えば炭素源としてグリセロール、ラセミ体3−ハ
ロゲノ−1,2−プロパンジオール、(R)体3−ハロゲ
ノ−1,2−プロパンジオール等のアルコール類、酢
酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、グル
コン酸とその塩類などの有機酸、またはそれらの混合物
を、窒素源としては、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニ
ウム、リン酸アンモニウム等の無機窒素化合物および尿
素、ペプトン、カゼイン、酵母エキス、肉エキス、コー
ンスチープリカー等の有機窒素化合物とそれらの混合物
を挙げることができる。その他、無機塩としてリン酸
塩、マグネシウム塩、カリウム塩、マンガン塩、鉄塩、
亜鉛塩、銅塩など、更に必要に応じてビタミン類を加え
てもよい。また、高酵素活性を持った菌体を得るため
に、本菌株を培養する際に上記培地およびペプトン培
地、ブイヨン培地等の栄養培地にラセミ体3−ハロゲノ
−1,2−プロパンジオール、(R)体3−ハロゲノ−1,
2−プロパンジオールを添加してもよい。ラセミ体3−
ハロゲノ−1,2−プロパンジオールまたは(R)体3−
ハロゲノ−1,2−プロパンジオールを単一炭素源とす
る完全合成培地で培養するのも有効である。
えばpHを4〜9、好ましくは4.5〜8.5、培養温
度は20〜45℃、好ましくは25〜37℃の範囲で好
気的に10〜96時間行なうことが好ましい。
ノヒドリン類に酵素を作用させて(R)あるいは(S)体2
−ジオール類、または(R)体ハロゲノヒドリン類を得る
には、本発明による微生物酵素に基質を添加すればよ
い。反応温度は15〜50℃が好ましく、反応pHはpH
6〜9で行なうのが好ましい。反応液中の基質濃度は
0.1〜15%(v/v)が好ましく、基質は初期に一括し
ていれても良いし、分割添加しても良い。反応は通常撹
拌あるいは振とうしながら行ない、反応時間は基質濃
度、酵素量により異なるが1〜120時間で終了するの
が良い。好ましくはガスクロマトグラフィー等の分析に
より残存基質量が初期基質濃度に比して50%で反応を
終了するのが良い。また、反応を促進的に行なうため
に、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NA
D+)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸
(NADP+)、フェナジンメソサルフェイト(PMS)、
2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCI
P)、m−ブロモ−フェノールインドフェノール、2,6
−ジクロロフェノール−O−クレゾール、メチレンブル
ー、メチルビオロゲン、ブチルビオロゲン、ベンゾキノ
ン、テトラゾリウム化合物(テトラゾリウムバイオレッ
ト、テトラニトロブルーテトラゾリウム、またはイオド
ニトロテトラゾリウム)、フェリシアン化塩等の電子受
容体化合物またはその混合物を上記酵素反応に添加して
も良い。
るいは(S)体1,2−ジオール類またはハロゲノヒドリ
ン類は一般的な方法で回収および精製できる。例えば反
応液を遠心分離した後、上清をエバポレーターにより濃
縮し、酢酸エチル等の溶媒で抽出する。抽出液を無水硫
酸マグネシウムにより脱水した後、減圧下で溶媒を除去
し、(R)あるいは(S)体1,2−ジオール類、または
(R)体ハロゲノヒドリン類のシロップを得ることができ
る。更に蒸留により精製しても良い。
Alcaligenes sp.DS−S−7G株の培養液、遠心分
離により得た菌体およびその処理物(菌体破砕物または
菌体抽出液)またはそれらを固定化したものを用いても
上記の反応を進行させることができる。以下実施例をも
って、本発明を詳細に説明するが、本発明はこの実施例
に限定されるものではない。なお、実施例中の%は特に
記載のない限り(W/V)を表す。
0.02%、リン酸第1ナトリウム0.04%、硫酸ア
ンモニウム0.37%、コーンスチープリカー0.1
%、硫酸マグネシウム0.05%および微量の硫酸鉄、
硫酸マンガン、硫酸銅(pH6.5)からなる組成の培
地2.5lを入れた5lジャーファーメンター(培養器)を
121℃、15分滅菌した。その培地にラセミ体3−ク
ロロ−1,2−プロパンジオールを1.5%(v/v)にな
るように添加し、ラセミ体3−クロロ−1,2−プロパ
ンジオールを炭素源とする培地を作成した。次に、Alc
aligenes sp.DS−S−7G株を予めペプトン、酵母
エキス、グリセロールをそれぞれ1.0%含む栄養培地
(pH7.2)で30℃、16時間振とう培養し、上記培
地に2%(v/v)量無菌的に接種した。そして温度30
℃、通気量0.5l/分、回転数500rpmの条件で約7
2時間、通気撹拌培養を行なった。pHの測定および制
御は連動させたpHメーターで行ない、5Nの水酸化ナ
トリウムによりpH6.5に制御した。
にて集菌し、50mMリン酸緩衝液(pH7.2)で3回洗
浄した。菌体を同緩衝液100mlにけん濁し、超音波破
砕器により菌体を破砕した後、遠心分離により沈澱を除
去し、その上清を租酵素液とした。更に、硫酸アンモニ
ウムを添加して分画(粗精製)し、最終的に50mlの20
mMリン酸緩衝液、pH7.2に溶解した。その酵素液に
0.2%(v/v)のラセミ体1,2−ブタンジオールを加
え、更に0.5mMとなるようにフェナジンメソサルフ
ェイト(PMS)と2,6−ジクロロフェノールインドフ
ェノール(DCIP)をそれぞれ添加し、30℃で撹拌し
ながら4時間反応させた。その時の反応液中に残存する
1,2−ブタンジオールをガスクロマトグラフィー(カラ
ム担体:PEG20M,60−80メッシュ)で分析した
結果、その残存率は48.2%であった。反応終了後、
約1mlまで濃縮し、酢酸エチルで抽出した。無水硫酸マ
グネシウムにより脱水後、減圧下で溶媒を除去し、4
0.1mgの1,2−ブタンジオールのシロップを得た(回
収率40.8%)。
ィーにより行なったところ、1,2−ブタンジオールの
存在を確認した。このシロップ中の1,2−ブタンジオ
ールを無水トリフルオロ酢酸によりトルフルオロアセチ
ル化した後、アステック社製のキャピラリーカラムG−
TA(0.25mm×30m)を用いたガスクロマトグラフ
ィーにより光学異性体の分析を行なった。その結果、回
収した1,2−ブタンジオールは光学純度97.5%ee
の(R)体であることが判明した。この分析により(R)体
の保持時間は10.8分、(S)体は14.0分であっ
た。なお、上記のガスクロマトグラフィーによる光学異
性体の分析条件は以下の通りである。 分析条件: カラム温度,70℃;検出器温度,150℃;
キャリアーガス,窒素;流速,1ml/分;検出器,FID;ス
プリット比,100/1。
質に変えた以外は実施例1と同様の方法で酵素反応を行
なった。また、得られた種々の化合物を実施例1と同様
の方法で種々の分析を行なったが、実施例9の、基質が
1−フェニル−1,2−エタンジオールについては、そ
の光学異性体の分析はダイセル社製キラルセルOB
(0.46mm×26cm)を用いて行なった。また、実施例
12、13の基質2,3−ジハロゲノ−1−プロパノー
ルおよび2,3−ジブロモ−1−プロパノールについて
は、その光学異性体の分析は水酸化ナトリウムでそれぞ
れのエピハロゲノヒドリンに変換した後、Schurigの方
法(Journal of Chromatography,Vol.441,pp.
135−153(1988))により作製したキャピラリ
ーカラム(0.25mm×30m)を用いたコンプレグゼー
ションガスクロマトグラフィーにより分析した(Journa
l of Industrial Microbiology,Vol.10,pp.
37−43(1992))。なお、上記実施例9と実施例
12,13の光学異性体の分析条件は下記に示す通りで
ある。 実施例9の光学異性体分析条件: カラム温度,25℃;
検出器;UV235nm;展開溶媒,ヘキサン/2−プロパ
ノール (30/1);流速,1ml/分。 実施例12,13の分析条件: カラム温度,70℃;検出
器温度,150℃;キャリアーガス,窒素:流速,1ml/分;
検出器,FID,スプリット比、100/1
る。
る微生物Alcaligenes sp.DS−S−7Gの生産する
酵素、ハロヒドリンデハイドロ−デハロゲナーゼを利用
して、ラセミ体1,2−ジオール類またはハロゲノヒド
リン類から(S)あるいは(R)体1,2−ジオール類また
は(S)体ハロゲノヒドリン類を分解除去することによ
り、(R)あるいは(S)体1,2−ジオール類または(R)
体ハロゲノヒドリン類を製造することができる。
Claims (10)
- 【請求項1】 下記一般式[1]で示される1,2−ジオ
ール類のラセミ体化合物に、Alcaligenes sp.DS-S-7G株
由来の酸化的脱ハロゲン化酵素であるデハロゲナーゼを
作用させることを特徴とする一般式[2]で示される光学
活性体化合物の製造方法: 【化1】 (一般式[1],[2]において、R1は共に−OHであり、
R2は、ハロゲンまたは水酸基で置換されたアルキル基
もしくは無置換のアルキル基、ビニル基およびブテニル
基から選ばれるアルケニル基及びフェニル基より選ばれ
た基であり、*印は不斉炭素を表わす)。 - 【請求項2】 下記一般式[1]で示されるハロゲノヒド
リン類のラセミ体化合物に、Alcaligenes sp.DS-S-7G株
由来の酸化的脱ハロゲン化酵素であるデハロゲナーゼを
作用させることを特徴とする一般式[2]で示される光学
活性体化合物の製造方法: 【化2】 (一般式[1],[2]において、R1は共にハロゲン原子で
あり、R2は−CH2OHであり、*印は不斉炭素を表わ
す)。 - 【請求項3】 R2が無置換のアルキル基、ビニル基お
よびブテニル基から選ばれるアルケニル基及びフェニル
基より選ばれた基である請求項1記載の方法。 - 【請求項4】 一般式[1]の化合物が1,2−プロパン
ジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジ
オール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジ
オール、1,2−オクタンジオール、1−フェニル−1,
2−エタンジオール、1,2−ジヒドロキシ−3−ブテ
ン、または1,2−ジヒドロキシ−5−ヘキセンのラセ
ミ体である請求項3記載の方法。 - 【請求項5】 R2がハロゲンまたは水酸基で置換され
たアルキル基である請求項1記載の方法。 - 【請求項6】 一般式[1]の化合物が3−ハロゲノ−
1,2−プロパンジオールのラセミ体である請求項5記
載の方法。 - 【請求項7】 一般式[1]の化合物が3−クロロ−1,
2−プロパンジオール又は3−ブロモ−1,2−プロパ
ンジオールのラセミ体である請求項6記載の方法。 - 【請求項8】 一般式[1]の化合物が2,3−ジクロロ
−1−プロパノール又は2,3−ジブロモ−1−プロパ
ノールのラセミ体である請求項2記載の方法。 - 【請求項9】 酵素反応を促進させるために電子受容体
化合物を添加して行なう請求項1〜8いずれかに記載の
方法。 - 【請求項10】 電子受容体化合物がニコチンアミドア
デニンジヌクレオチド、ニコチンアミドアデニンジヌク
レオチドリン酸、フェナジンメソサルフェイト、2,6
−ジクロロフェノールインドフェノール、m−ブロモ−
フェノールインドフェノール、2,6−ジクロロフェノ
ール−O−クレゾール、メチレンブルー、メチルビオロ
ゲン、ブチルビオロゲン、ベンゾキノン、テトラゾリウ
ム化合物又はフェリシアン化塩である請求項9記載の方
法。
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JPH07147993A JPH07147993A (ja) | 1995-06-13 |
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1993
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