JP4898129B2 - 光学活性ビニルアルコール類の製造方法 - Google Patents

光学活性ビニルアルコール類の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学活性な3−ブテン−2−オールなど末端にビニル基が存在する光学活性ビニルアルコールの製造方法に関する。これらの化合物は、光学活性を必要とする医薬品、農薬等の合成原料及び中間体として有用な化合物である。
ビニル基を含む光学活性な2級アルコールの製造方法としては、次のものが知られている。
たとえば、光学活性な3−ブテン−2−オールの製造方法としては、
(1)加水分解酵素の作用によってラセミ体を光学分割する方法(特許文献1、特許文献2)、
(2)光学活性な2,3−エポキシアルコールを経由する方法(非特許文献1)や光学活性な乳酸を利用する方法(特許文献3)、
がある。(1)の方法では、光学分割反応であるためその収率は50%を越えることはなく経済的な方法と言い難い。(2)の方法では、高価な試薬を用いた多段階の反応であり、実用的とはいえない。
また、光学活性な5−ヘキセン−2−オールの製造方法としては、
(3)加水分解酵素の作用によるラセミ体を光学分割する方法(非特許文献2)、
(4)微生物の酸化作用によってラセミ体を光学分割する方法(非特許文献3)、
が知られているが、(3)と(4)の方法はいずれも光学分割でありその収率は最高でも50%である。さらに、
(5)5−ヘキセン−2−オンを微生物や酵素によって立体選択的に還元する方法(特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7)、
が知られている。この方法は、化学的な還元方法とは異なり、ビニル基を還元することなくカルボニル基のみを直接還元できる方法であるが、生成物の蓄積量や光学純度に課題があった。
特開平1−132399公報 特開平5−317090公報 DE4219510公報 J.Chem.Soc.Perkin Trans1,399(1993) Tetrahedron:Asymmetry,9,657(1998) Tetrahedron:Asymmetry,11,2367(2000) US5385833公報 Tetrahedron:Asymmetry,7,2879(1996) Perkin1,3205(2000) Biocatalysis,3,57(1990) Tetrahedron,52,3547(1996)
本発明の課題は、医薬品や農薬等の中間体として有用な光学活性ビニルアルコール類を、安価に入手可能なビニルメチルケトン類から効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、光学活性ビニルアルコール類の効率的な製造法を開発すべく検討を重ねた結果、ビニルメチルケトン類の2級のカルボニル基のみを立体選択的に還元して、光学活性なビニルアルコール類に変換する能力を有する今までに報告例のない酵素源を発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、メチルビニルケトンに、該化合物を不斉還元する活性を有する酵素源を作用させて還元することを特徴とする、光学活性3−ブテン−2−オールの製造方法、好ましくは、前記酵素源が、アクロモバクター(Achromobacter)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、デボシア(Devosia)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ツカムレラ(Tsukamurella)属、キャンディダ(Candida)属、ディポダスカス(Dipodascus)属、ピキア(Pichia)属、ロードスポリジウム(Rhodosporidium)属、およびロドトルラ(Rhodotorula)属からなる群より選ばれた微生物由来のものである製造方法に関する。
また本発明は、5−ヘキセン−2−オンに、アクロモバクター(Achromobacter)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、デボシア(Devosia)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ツカムレラ(Tsukamurella)属、キャンディダ(Candida)属、ディポダスカス(Dipodascus)属、ピキア(Pichia)属、ロードスポリジウム(Rhodosporidium)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、シュードモナス・ツトゼリ(Pseudomonas stutzeri)、およびシュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)からなる群より選ばれた微生物由来の、該化合物を不斉還元する活性を有する酵素源を作用させて還元することを特徴とする光学活性5−ヘキセン−2−オールの製造方法に関する。
別の好ましい実施態様としては、酸化型ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチド(以降NAD+と省略する)及び/または酸化型ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチドりん酸(以降NADP+と省略する)をそれぞれの還元型へ還元する酵素と、該還元のための基質を、共存させることを特徴とする上記製造方法に関する。
本発明によって、医薬品、農薬等の合成原料及び中間体として有用な光学活性な3−ブテン−2−オールなど末端にビニル基が存在する光学活性2級アルコールの効率的かつ工業的な製造方法が提供された。
以下、本発明について詳述する。
本発明の還元反応の基質となるビニルメチルケトン類は、一般式(1):
Figure 0004898129
(式中、nは0または2の整数を示す)で表される化合物であり、具体的には、n=0の場合はメチルビニルケトン、n=2の場合は5−ヘキセン−2−オンに相当する。
本発明においては、上記一般式(1)の化合物を、該化合物を不斉還元する活性を有する酵素源を作用させて不斉還元することにより、一般式(2):
Figure 0004898129
(式中、nは0または2の整数を、*は不斉炭素を示す)で表される光学活性ビニルアルコール類に変換する。ここで、上記一般式(2)において、具体的には、n=0の場合は3−ブテン−2−オール、n=2の場合は5−ヘキセン−2−オールに相当する。
本発明で使用される酵素源は、上記ビニルメチルケトン類を光学活性なビニルアルコール類に不斉還元する能力を有する微生物由来のものを用いることが出来る。ここでいう「微生物由来のもの」としては、該微生物の菌体そのもの、微生物の培養液、あるいは菌体処理物、または該微生物から得られる酵素であってもよいし、さらには該微生物由来の上記還元活性を有する酵素をコードするDNAが導入された形質転換体も含む。これらを単独で用いても、2種以上組み合わせて用いても良い。また、これら酵素源は周知の方法で固定化して用いても構わない。
ビニルメチルケトン類を光学活性なビニルアルコール類に不斉還元する能力を有する微生物は、以下に説明する方法によって見いだすことができる。例えば、以下のようにして行う。グルコース40g、酵母エキス3g、リン酸水素二アンモニウム6.5g、リン酸二水素カリウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.8g、硫酸亜鉛7水和物60mg、硫酸鉄7水和物90mg、硫酸銅5水和物5mg、硫酸マンガン4水和物10mg、塩化ナトリウム100mg(いずれも1L当たり)の組成からなる液体培地(pH7)5mlを試験管に入れて殺菌後、無菌的に微生物を接種し、30℃で2〜3日間振とう培養する。その後、菌体を遠心分離により集め、グルコース2〜10%を含んだリン酸緩衝液1〜5mlに懸濁し、あらかじめ5−ヘキセン−2−オンを2.5〜25mgいれた試験管に加えて、2〜3日間30℃で振とうする。この際、遠心分離により得た菌体をデシケーター中またはアセトンにより乾燥したものを用いることもできる。更に、これら微生物もしくはその処理物とビニルメチルケトン類を反応させる際に、NAD+及び/またはNADP+と、グルコース脱水素酵素及びグルコース、もしくはギ酸脱水素酵素及びギ酸、を添加してもよい。また、反応系に有機溶媒を共存させてもかまわない。変換反応ののち適当な有機溶媒で抽出を行ない、生成する5−ヘキセン−2−オールをキャピラリーガスクロマトグラフィーなどにより分析する。
本発明に使用しうる微生物としては、ビニル基を含むメチルケトン類を光学活性なビニルアルコール類に不斉還元する能力を有する微生物であればいずれも使用しうるが、例えば、アクロモバクター(Achromobacter)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、デボシア(Devosia)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ツカムレラ(Tsukamurella)属、キャンディダ(Candida)属、ディポダスカス(Dipodascus)属、ピキア(Pichia)属、ロードスポリジウム(Rhodosporidium)属、およびロドトルラ(Rhodotorula)属に属する微生物等が挙げられる。
特に、絶対配置がR体のビニルアルコール類に変換しようとする場合には、アクロモバクター(Achromobacter)属、デボシア(Devosia)属、ミクロコッカス(Micrococcus)属およびキャンディダ(Candida)属に属する微生物が好ましい。更に好ましくは、アクロモバクター・デニトリフィカンズ(Achromobacter denitrificans)、アクロモバクター・キシロソキシダンス(Achromobacter xylosoxidans)、デボシア・リボフラビナ(Devosia riboflavina)、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)、キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoliae)、およびキャンディダ・マリス(Candida maris)などがあげられる。
また、絶対配置がS体のビニルアルコール類に変換しようとする場合には、セルロモナス(Cellulomonas)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ツカムレラ(Tsukamurella)属、キャンディダ(Candida)属、ディポダスカス(Dipodascus)属、ピキア(Pichia)属、ロードスポリディウム(Rhodosporidium)属、およびロドトルラ(Rhodotorula)属に属する微生物が好ましい。更に好ましくは、セルロモナス・エスピー(Cellulomonas sp.)、セルロモナス・ウダ(Cellulomonas uda)、シュードモナス・ツトゼリ(Pseudomonas stutzeri)、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)、ロドコッカス・エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、ツカムレラ・パウロメタボラ(Tsukamurella paurometabola)、キャンディダ・インコンスピシア(Candida inconspicua)、キャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、ディポダスカス・テトラスペルマ(Dipodascus tetrasperma)、ピキア・ミヌータ・バー・ミヌータ(Pichia minuta var.minuta)、ピキア・ヘンリッキ(Pichia henricii)、ロードスポリディウム・ディオボバタム(Rhodosporidium diobovatum)、ロードスポリディウム・スファエロカプム(Rhodosporidium sphaerocarpum)、ロードスポリディウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)、およびロドトルラ・グルチニス・バー・グルチニス(Rhodotorula glutinis var.glutinis)などがあげられる。
これら微生物は一般に、入手または購入が容易な保存株から得ることができるが、自然界から分離することもできる。なお、これらの微生物に変異を生じさせて、より本反応に有利な性質を有する菌株を得ることもできる。
これらの微生物の培養には、通常これらの微生物が資化しうる栄養源を含む培地であれば何でも使用しうる。例えば、グルコース、シュークロース、マルトース等の糖類、乳酸、酢酸、クエン酸、プロピオン酸等の有機酸類、エタノール、グリセリン等のアルコール類、パラフィン等の炭化水素類、大豆油、菜種油等の油脂類、またはこれらの混合物等の炭素源;硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、尿素、酵母エキス、肉エキス、ペプトン、コーンスチープリカー等の窒素源;更に、その他の無機塩、ビタミン類等の栄養源;を適宜混合・配合した通常の培地を用いることが出来る。これら培地は用いる微生物の種類によって適宜選択すればよい。
微生物の培養は通常一般の条件により行なうことができ、例えば、pH4.0〜9.5、温度範囲20℃〜45℃の範囲で、好気的に10〜96時間培養するのが好ましい。ビニルメチルケトン類に微生物を反応させる場合においては、通常、上記微生物の菌体を含んだ培養液をそのまま反応に使用することもできるが、培養液の濃縮物も用いることができる。また、培養液中の成分が反応に悪影響を与える場合には、培養液を遠心分離等により処理して得られる菌体または菌体処理物を使用することもできる。
上記微生物の菌体処理物としては特に限定されず、例えば、アセトンや五酸化二リンによる脱水処理またはデシケーターや扇風機を利用した乾燥によって得られる乾燥菌体、界面活性剤処理物、溶菌酵素処理物、固定化菌体または菌体を破砕した無細胞抽出標品などをあげることができる。更に、培養物より不斉還元反応を触媒する酵素を精製し、これを使用してもよい。
還元反応の際には、基質であるビニルメチルケトン類を反応の初期に一括して添加してもよく、反応の進行にあわせて分割して添加してもよい。反応時の温度は通常10〜60℃、好ましくは、20〜40℃であり、反応時のpHは2.5〜9、好ましくは、5〜9の範囲である。反応液中の酵素源の量はこれらの基質を還元する能力に応じ適宜決定すればよい。また、反応液中の基質濃度は0.01〜50%(W/V)が好ましく、より好ましくは、0.1〜30%(W/V)である。反応は通常、振とうまたは通気攪拌しながら行なう。反応時間は基質濃度、酵素源の量及びその他の反応条件により適宜決定される。通常、2〜168時間で反応が終了するように各条件を設定することが好ましい。
還元反応を促進させるために、反応液にグルコース、エタノール、イソプロパノールなどのエネルギー源を0.5〜30%の割合で加えると優れた結果が得られるので好ましい。一般に生物学的方法による還元反応に必要とされている還元型ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチド(以降NADHと省略する)、還元型ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチドりん酸(以降NADPHと省略する)等の補酵素を添加することにより、反応を促進させることもできる。この場合、具体的には、反応液に直接これらを添加する。
また、還元反応を促進させるために、NAD+及び/またはNADP+をそれぞれの還元型へ還元する酵素と、該還元のための基質を共存させて反応を行うと優れた結果が得られるので好ましい。例えば、還元型へ還元する酵素としてグルコース脱水素酵素、還元のための基質としてグルコースをそれぞれ共存させるか、または、還元型へ還元する酵素としてギ酸脱水素酵素、還元のための基質としてギ酸をそれぞれ共存させる。
本発明の還元反応を触媒する酵素のかわりに、該酵素をコードするDNAを含む形質転換体を使用しても、同様に光学活性なビニルアルコール類を製造することができる。また、該酵素をコードするDNA、および、補酵素再生能を有するポリペプチドをコードするDNAの両者を含む形質転換体を使用しても、同様に光学活性なビニルアルコール類を製造することができる。とりわけ、該酵素をコードするDNA、および、補酵素再生能を有するポリペプチドをコードするDNAの両者を含む形質転換体を使用した場合には、補酵素を再生するための酵素を別途調製・添加する必要がなく、光学活性ビニルアルコール類の製造をより効率良く行うことができる。
なお、本発明のポリペプチドをコードするDNAを含む形質転換体、若しくは、本発明のポリペプチドをコードするDNAおよび補酵素再生能を有するポリペプチドをコードするDNAの両者を含む形質転換体は、培養菌体は言うまでもなく、その処理物としても光学活性ビニルアルコール類の製造に使用することができる。ここで言う形質転換体の処理物とは、例えば、界面活性剤や有機溶媒で処理した細胞、乾燥細胞、破砕処理した細胞、細胞の粗抽出液等のほか、公知の手段でそれらを固定化したものを意味する。
該酵素をコードするDNA、および、補酵素再生能を有するポリペプチドをコードするDNAの両者を含む形質転換体は、該酵素をコードするDNA、および、補酵素再生能を有するポリペプチドをコードするDNAの両者を、同一のベクターに組み込み、これを宿主細胞に導入することにより得られるほか、これら2種のDNAを不和合性グループの異なる2種のベクターにそれぞれ組み込み、それら2種のベクターを同一の宿主細胞に導入することによっても得られる。
該酵素をコードするDNA及び補酵素再生能を有するポリペプチドをコードするDNAの両者が組込まれたベクターの例としては、WO01/005996公報に記載の発現ベクターpNTFPに、キャンディダ・マリス由来の還元酵素遺伝子とバシラス・メガテリウム由来のグルコース脱水素酵素遺伝子を導入した、pNTFPGが挙げられる。また、該酵素をコードするDNA、および、補酵素再生能を有するポリペプチドをコードするDNAの両者を含む形質転換体の例としては、当該ベクターでE.coli HB101を形質転換して得られる、E.coli HB101(pNTFPG)(FERM BP−7117)が挙げられる。
該酵素をコードするDNAを含む形質転換体の培養、および、該酵素をコードするDNAと補酵素再生能を有するポリペプチドをコードするDNAの両者を含む形質転換体の培養は、それらが増殖する限り、通常の、炭素源、窒素源、無機塩類、有機栄養素などを含む液体栄養培地を用いて実施できる。
また更に、トリトン(ナカライテスク株式会社製)、スパン(関東化学株式会社製)、ツイーン(ナカライテスク株式会社製)などの界面活性剤を反応液に添加することも効果的である。更に、基質及び/または還元反応の生成物であるアルコール体による反応の阻害を回避する目的で、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロピルエーテル、トルエン、ヘキサンなどの水に不溶な有機溶媒を反応液に添加してもよい。更に、基質の溶解度を高める目的で、メタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシドなどの水に可溶な有機溶媒を添加することもできる。
還元反応により生成した光学活性ビニルアルコール類の採取は、特に限定されないが、反応液から直接、あるいは菌体等を分離後、酢酸エチル、トルエン、t−ブチルメチルエーテル、ヘキサン等の溶剤で抽出し、脱水後、蒸留あるいはシリカゲルカラムクロマトグラフィー等により精製すれば高純度の光学活性ビニルアルコール類を容易に得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の記載において、「%」は特に断らない限り「重量%」を意味する。
(実施例1)
グルコース40g、酵母エキス3g、リン酸水素二アンモニウム6.5g、リン酸二水素カリウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.8g、硫酸亜鉛7水和物60mg、硫酸鉄7水和物90mg、硫酸銅5水和物5mg、硫酸マンガン4水和物10mg、塩化ナトリウム100mg(いずれも1L当たり)の組成からなる液体培地(pH7)5mlを大型試験管に分注し、120℃で20分間蒸気殺菌を行った。これらの液体培地に表1に示す微生物を無菌的に一白金耳接種して、30℃で72時間振とう培養した。培養後、各培養液を遠心分離にかけて菌体を集め、菌体をグルコース1%を含んだ100mMリン酸緩衝液0.5ml(pH6.5)に懸濁した。この菌体懸濁液を、あらかじめ5−ヘキセン−2−オン1mgをいれた試験管に加えて、30℃で24時間反応させた。反応後、各反応液に1mlの酢酸エチルを加えてよく混合し、有機層の一部を下記分析条件で分析して、反応の収率と生成物の光学純度を求めた。
[ガスクロマトグラフィー分析条件]
カラム:GLサイエンス株式会社製InertCap5(30m×0.25mm)、検出:FID、キャリアガス:ヘリウム、カラム温度:35℃)
[高速液体クロマトグラフィー分析条件]
カラム:ダイセル化学工業株式会社製Chiralpak AD−H(250mm×4.6mm、溶離液:n−ヘキサン/エタノール=9/1、流速:1min/ml、検出:230nm)
結果を表1にまとめた。
Figure 0004898129
(実施例2)
肉エキス10g、ペプトン10g、酵母エキス5g、塩化ナトリウム3g(いずれも1L当たり)の組成からなる液体培地(pH7)7mlを大型試験管に分注し、120℃で20分間蒸気殺菌を行った。これらの液体培地に表1に示す微生物を無菌的に一白金耳接種して、30℃で72時間振とう培養した。培養後、各培養液を遠心分離にかけて菌体を集め、菌体をグルコース1%を含んだ100mMリン酸緩衝液0.5ml(pH6.5)に懸濁した。この菌体懸濁液を、あらかじめ5−ヘキセン−2−オン1mgをいれた試験管に加えて、30℃で24時間反応させた。反応後、各反応液に1mlの酢酸エチルを加えてよく混合し、有機層の一部を下記分析条件で分析して、反応の収率と生成物の光学純度を求めた。
[ガスクロマトグラフィー分析条件]
カラム:GLサイエンス株式会社製InertCap5(30m×0.25mm)、検出:FID、キャリアガス:ヘリウム、カラム温度:35℃)
[高速液体クロマトグラフィー分析条件]
カラム:ダイセル化学工業株式会社製Chiralpak AD−H(250mm×4.6mm、溶離液:n−ヘキサン/エタノール=9/1、流速:1min/ml、検出:230nm)
結果を表2まとめた。
Figure 0004898129
(実施例3)
500mlの100mMりん酸緩衝液(pH6.5)に、グルコース9.2g、キャンディダ・マリス(Candida maris)NBRC 10003から調製した酸化還元酵素FPDH(WO01/05996公報、実施例14参照)10kU、グルコース脱水素酵素「GLUCDH“Amano2”」(天野エンザイム株式会社製)500mg、NAD+50mg、5−へキセン−2−オン5gを加えて、30℃で攪拌した。その間、反応液のpHは6NNaOHによって6.5に維持した。24時間の反応ののち、反応液を1,000mlの酢酸エチルで3回抽出し、得られた有機層をあわせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過によって硫酸ナトリウムを除去し、減圧下有機溶媒を留去したのち、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、4.5gの(R)−5−ヘキセン−2−オールを得た。このものの光学純度は、99%ee以上であった。
[α]20 −15.30°(c=1、CH3OH)
1H−NMR(400MHz、CDCl3、δppm): 5.9−5.8(m、1H)、5.1−5.0(dd、1H)、5.0−4.9(dd、1H)、3.9−3.8(m、1H)、2.2−2.1(m、2H)、1.6−1.5(m、2H)、1.2(d、3H)
(実施例4)
500mlの100mMりん酸緩衝液(pH6.5)に、グルコース9.2g、キャンディダ・マグノリエ(Candida magnoliae)NBRC 0705から調製したカルボニル還元酵素S1(WO98/35025公報、実施例1参照)10kU、グルコース脱水素酵素「GLUCDH“Amano2”」(天野エンザイム株式会社製)500mg、NAD+50mg、5−へキセン−2−オン5gを加えて、30℃で攪拌した。その間、反応液のpHは6NNaOHによって6.5に維持した。24時間の反応ののち、反応液を1,000mlの塩化メチレンで5回抽出し、得られた有機層をあわせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過によって硫酸ナトリウムを除去し、常圧下有機溶媒を留去したのち、常圧で蒸留し、3.5gの(S)−5−ヘキセン−2−オールを得た(沸点130℃)。このものの光学純度は、98.4%eeであった。
[α]20 +14.80°(c=1、CH3OH)
1H−NMR(400MHz、CDCl3、δppm): 5.9−5.8(m、1H)、5.1−5.0(dd、1H)、5.0−4.9(dd、1H)、3.9−3.8(m、1H)、2.2−2.1(m、2H)、1.6−1.5(m、2H)、1.2(d、3H)
(実施例5)
500mlの100mMりん酸緩衝液(pH6.5)に、グルコース13g、実施例3で用いた、キャンディダ・マリス(Candida maris)由来の酸化還元酵素FPDH(WO01/05996公報参照)10kU、グルコース脱水素酵素「GLUCDH“Amano2”」(天野エンザイム株式会社製)500mg、NAD+50mg、メチルビニルケトン5gを加えて、30℃で攪拌した。その間、反応液のpHは6NNaOHによって6.5に維持した。24時間の反応ののち、反応液を1,000mlの塩化メチレンで5回抽出し、得られた有機層をあわせて、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過によって硫酸ナトリウムを除去し、常圧下有機溶媒を留去したのち、常圧で蒸留し、4.8gの(R)−3−ブテン−2−オールを得た(沸点96℃)。このものの光学純度は、99%ee以上であった。
[α]20 −24.40°(C=1、CH2Cl2
1H−NMR(400MHz、CDCl3、δppm): 5.9−5.8(m、1H)、5.2−5.1(dd、1H)、5.1−5.0(dd、1H)、4.3−4.2(m、1H)、1.3(d、3H)
(実施例6)
エシェリキア・コリ(Escherichia coli)HB101(pNTFPG)(FERM BP−7117)を、500ml容坂口フラスコ中で滅菌した50mlの2xYT培地(バクト・トリプトン1.6%、バクト・イーストエキス1%、NaCl0.5%、pH7.0)に接種し、37℃で18時間振とう培養した。なお、当該微生物は、酸化還元酵素FPDHとグルコース脱水素酵素を同時に生産する(WO01/05996公報参照)。得られた培養液20mlに5−へキセン−2−オン2g、NAD+3mg、グルコース3gを添加し、30℃で攪拌した。その間、反応液のpHは6NNaOHによって6.5に維持した。24時間後、実施例1に記載の方法によって、生成物である5−ヘキセン−2−オールの生成量とその光学純度を定量したところ、1.8g、99%ee以上であった。
(実施例7)
実施例6の培養液20mlにメチルビニルケトン2g、NAD+3mg、グルコース3gを添加し、30℃で攪拌した。その間、反応液のpHは6NNaOHによって6.5に維持した。24時間後、実施例1に記載の方法によって、生成物である3−ブテン−2−オールの生成量とその光学純度を定量したところ、1.9g、99%ee以上であった。

Claims (6)

  1. メチルビニルケトンに、該化合物を不斉還元する活性を有する酵素源を作用させる光学活性3−ブテン−2−オールの製造方法において、前記酵素源キャンディダ(Candida)属生物由来のものであることを特徴とする光学活性3−ブテン−2−オールの製造方法。
  2. 生成物である光学活性3−ブテン−2−オールの絶対配置がR体である請求項1に記載の製造方法。
  3. 素源がャンディダ・マグノリエ(Candida magnoliae)、およびキャンディダ・マリス(Candida maris)からなる群より選ばれた微生物由来のものである、請求項に記載の製造方法。
  4. 生成物である光学活性3−ブテン−2−オールの絶対配置がS体である請求項1に記載の製造方法。
  5. 素源がャンディダ・インコンスピシア(Candida inconspicua)、およびキャンディダ・トロピカリス(Candida tropicalisからなる群より選ばれた微生物由来のものである、請求項に記載の製造方法。
  6. 酸化型ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチド及び/または、酸化型ニコチンアミド・アデニンジヌクレオチドりん酸をそれぞれの還元型へ還元する酵素と、該還元のための基質を、共存させることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
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