JP3747640B2 - 光学活性1,2−ジオール環状炭酸エステルの製造法 - Google Patents

光学活性1,2−ジオール環状炭酸エステルの製造法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
光学活性な1,2−ジオール環状炭酸エステルは医薬・農薬の合成中間原料として有用性が高い。本発明は微生物の作用によりラセミ体の環状炭酸エステルを光学分割し、光学活性な1,2−ジオール環状炭酸エステルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
光学活性な1,2−ジオール環状炭酸エステルを製造する方法としては、対応する光学活性な1,2−ジオール化合物を炭酸エステル化する方法、及び本発明のようにラセミ混合物に微生物あるいは、それに由来する酵素を作用させて光学分割する方法が既に報告されている。しかしながら、前者の方法は光学活性な1,2−ジオール化合物が高価であるため、後者の方法は使用する酵素が高価であるため、光学活性な1,2−ジオール環状炭酸エステルの経済的な製造法とはなり得ない。
本発明は上記観点からなされたものであり、簡便かつ安価な方法で光学純度の高い1,2−ジオール環状炭酸エステルを製造する方法を提供することを課題とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、経済的に優位な光学活性1,2−ジオール環状炭酸エステルの製造法を開発すべく、原料として安価なラセミ混合物の1,2−ジオール環状炭酸エステルを用い、微生物酵素の作用による光学分割の可能性について鋭意検討した。その結果、一部の微生物及び/またはそれらの調製物が立体選択的にラセミ混合物を消化し、一方の立体異性体のみを残すことを見いだし本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の要旨は、下記一般式(I)
【0004】
【化4】
Figure 0003747640
【0005】
(上記式中、Rはハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖または分岐鎖のC1−C12のアルキル基及びC1−C12のアルケニル基、並びにヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族基から選ばれる置換基を示す。)で示されるラセミ体の1,2−ジオール環状炭酸エステルを、水性媒体の存在下、オーレオバシディウム属、クリプトコッカス属、ガラクトマイセス属、ホルタエア属、クルツマノマイセス属、ロドトルラ属、トリコスポロノイデス属、トリグノプシス属、アグロバクテリウム属及びバチルス属に属する微生物から選ばれる微生物であって、この1,2−ジオール環状炭酸エステルを立体選択的に消化する能力を有する微生物の菌体及び/またはその調製物の作用により光学分割することを特徴とする、下記一般式(II)
【0006】
【化5】
Figure 0003747640
【0007】
(上記式中、Rは前記と同義を示す。)または、下記一般式(III ):
【0008】
【化6】
Figure 0003747640
【0009】
(上記式中、Rは前記と同義を示す。)で示される(R)−、または(S)−1,2−ジオール環状炭酸エステルの製造法に存する。
【0010】
【発明の実施形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法では、原料として上記式で示されるラセミ体の1,2−ジオール環状炭酸エステルを用い、これに微生物の菌体及び/またはその調製物を作用させて、上記式(II)または(III )で示される(R)−1,2−ジオール環状炭酸エステル、または(S)−1,2−ジオール環状炭酸エステルを製造し、クロマト分離、及び、蒸留により精製する。
【0011】
本発明の原料として用いられる1,2−ジオール環状炭酸エステルは上記一般式(I)で示されるが、置換基Rの好ましい官能基としては、ハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖または分枝鎖のC1 −C12のアルキル基及びC2 −C12のアルケニル基、並びにヘテロ原子を含んでもよい芳香族基から選ばれる基が挙げられる。これらの内、さらに好ましい置換基としては、メチル基、エチル基、クロロエチル基、エテニル基、フェニル基等が挙げられる。
【0012】
本発明の光学活性な1,2−ジオール環状炭酸エステルの製造方法に用いる微生物としては、通常、オーレオバシディウム属、クリプトコッカス属、ガラクトマイセス属、ホルタエア属、クルツマノマイセス属、ロドトルラ属、トリコスポロノイデス属、トリグノプシス属、アグロバクテリウム属、及び、バチルス属に属する微生物が挙げられる。
【0013】
これらの微生物の内、好ましい種としては例えば、オーレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、クリプトコッカス・アルビダス(Cryptococcus albidus)、クリプトコッカス・クルバタス(Cryptococcus curvatus)、クリプトコッカス・ロウレンティ(Cryptococcus laurentii)、ガラクトマイセス・レシイ(Galactomyces reesii)、ホルタエア・ウェルネッキィ(Hortaea werneckii)、クルツマノマイセス・ネクタイリ(Kurtzmanomyces nectairii)、ロドトルラ・アウラチアカ(Rhodotorula auratiaca)、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)、ロドトルラ・ミヌタ(Rhodotorula minuta)、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、トリコスポロノイデス・ニグレセンス(Trichosporonoides nigrescens)、トリグノプシス・バリアビリス(Trignopsis variabillis)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、アグロバクテリウム・ビスコサム(Agrobacterium viscosum)、バチルス・コアギュランス(Bacilluscoagulans)、及び、バチルス・メガテリウム(Bacillusmegaterium)を挙げることができる。
【0014】
さらにこれらの微生物の具体的な菌株としては、
オーレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)IFO6353、クリプトコッカス・アルビダス(Cryptococcus albidus)IFO0378、クリプトコッカス・クルバタス(Cryptococcus curvatus)IFO1159、クリプトコッカス・ロウレンティ(Cryptococcus laurentii)IFO0609、ガラクトマイセス・レシイ(Galactomyces reesii)IFO1112、ホルタエア・ウェルネッキィ(Hortaea werneckii)IFO4875、クルツマノマイセス・ネクタイリ(Kurtzmanomyces nectairii)IFO10118、ロドトルラ・アウラチアカ(Rhodotorula auratiaca)IFO0754、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)IFO0697、ロドトルラ・ミヌタ(Rhodotorula minuta)IFO0920、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)IFO0870、トリコスポロノイデス・ニグレセンス(Trichosporonoides nigrescens)CBS268.81、トリグノプシス・バリアビリス(Trignopsis variabillis)IFO0671、トリグノプシス・バリアビリス(Trignopsis variabillis)CBS4095、トリグノプシス・バリアビリス(Trignopsisvariabillis)CBS1040、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)NRRL B−11291、アグロバクテリウム・ビスコサム(Agrobacterium viscosum)IFO13562、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)AHU1367、及び、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)IFO12108が挙げられる。上記微生物は、野生株のみでなく、UV照射、N−メチル−N’−ニトロソグアニジン(NTG)処理、エチルメタンスルホネート(EMS)処理、亜硝酸処理、アクリジン処理等による変異株、あるいは細胞融合もしくは遺伝子組換え法などの遺伝学的手法により誘導される組換え株などのいずれの株であってもよい。
【0015】
また、上記の菌株はすべて公知の菌株であり、それぞれ、(財)発酵研究所(IFO)、アグリカルチュラルリサーチサービスカルチャーコレクション(NRRL)、北海道大学農学部応用菌学研究室(AHU)、及びセントラルビューローフォーシュメルカルチャーズ(CBS)から容易に入手することができる。
【0016】
本発明の製造方法においては、先に言及した微生物の1種もしくは2種以上が、菌体及び/またはその調製物の形で用いられる。具体的には、上記微生物を培養して得られた菌体をそのまま、あるいは培養して得られた菌体を公知の手法により処理したもの、すなわち、アセトン処理したもの、凍結乾燥処理したもの、または菌体を物理的もしくは酵素的に破砕したもの等の調製物を用いることができる。また、これらの菌体または調製物から、上記一般式(I)で表されるラセミ体の1,2−ジオール環状炭酸エステルに作用してこれを立体選択的に消化して、上記一般式(II)もしくは(III )で示される(R)−、または(S)−1,2−ジオール環状炭酸エステルを残存させる能力を有する酵素画分を粗精製物あるいは精製物として取り出して用いることも可能である。さらには、このようにして得られた菌体、調製物、酵素画分等をポリアクリルアミドゲル、アルギン酸ゲル、カラギーナンゲル等の担体に固定化したものを用いることも可能である。そこで、本明細書において「菌体及び/またはその調製物」の用語は、上述の菌体(変異株、組換え株も含む)、調製物、酵素画分、及びそれらの固定化物全てを包含する概念として用いられる。
【0017】
以下に、本発明の光学活性な1,2−ジオール環状炭酸エステルの製造方法について具体的に説明する。
本発明の製造方法では、原料として上記一般式(I)で表されるラセミ体の1,2−ジオール環状炭酸エステルを用い、これに上記記載の微生物の菌体及び/またはそれらの調製物を作用させ、上記一般式(II)または上記一般式(III )で表される(R)−1,2−ジオール環状炭酸エステル、または、(S)−1,2−ジオール環状炭酸エステルを製造する。
本発明の製造方法において微生物は、通常、培養して用いられるが、この培養については常法通り行うことができる。培養に使用する培地としては、グルコース、シュークロース、グリセリン、クエン酸等の炭素源、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム等の無機窒素源、酵母エキス、ペプトン、尿素、肉エキス、コーンスティープリカー等の有機窒素源、マグネシウム、カリウム等の無機塩類、リン酸等を適宜組み合わせて含有したものを用いればよい。また、これらの成分以外にも、反応活性を促進するための物質として、微量金属類、アミノ酸類、あるいはビタミン類を添加することも可能である。培養は、培地のpHを3〜10の範囲に調製し、好気条件下に、温度10〜45℃、pH3−10の適当な範囲に制御しつつ、1〜10日の範囲で活性が最大になるまで行うことが好ましい。
【0018】
本発明においては、このように培養して得られる微生物の菌体及び/またはその調製物と上記一般式(I)で表されるラセミ体の1,2−ジオール環状炭酸エステルを水性媒体中で接触させて反応させ、反応生成物として上記一般式(II)または上記一般式(III )で表される(R)−または(S)−1,2−ジオール環状炭酸エステルを得る。ここで用いられる水性媒体としては通常、水、緩衝液または培養液等が挙げられるが、この水性媒体には、水溶性有機溶媒または脂溶性有機溶媒を適宜含有させることも可能である。
【0019】
反応液に添加するラセミ体の1,2−ジオール環状炭酸エステルの量は通常その反応液中の濃度が0.01−50重量%となる程度の量である。本発明の反応は、通常、ラセミ体の1,2−ジオール環状炭酸エステルが水性媒体中に溶解した状態で実施されるが、必ずしも水性媒体に完全に溶解した状態でなくてもよい。また、反応に基質阻害が起こる場合には、反応が進むにつれて消費されるラセミ体の1,2−ジオール環状炭酸エステルを消費された量だけ連続的にあるいは間歇的に添加していくことにより生成物の蓄積量をより向上させることが可能である。反応液に添加する微生物の菌体及び/又はその調製物の量は、菌体を添加する場合は反応液にその菌体濃度が通常、0.01〜20重量%程度となるように添加し、酵素のような調製物を用いる場合には、酵素の比活性を求め、添加したときに上記菌体濃度に相当する酵素濃度になるような量を添加する。この反応における好ましい反応条件は、通常、反応温度が0〜70℃、好ましくは10〜40℃、pHが2〜11、好ましくは5〜8、反応時間が1〜100時間程度である。
【0020】
上記反応により反応生成物として(R)−または(S)−1,2−ジオール環状炭酸エステルが得られるが、反応液から目的生成物である(R)−または(S)−1,2−ジオール環状炭酸エステルを単離する方法としては、遠心分離, または膜分離等にて菌体及び/又はその調製物を除去した後、カラムクロマトグラフィ、酢酸エチル等の有機溶媒による目的生成物の抽出、及び、蒸留、等の公知の方法を利用して単離する等の方法を挙げることができる。
【0021】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、その要旨を越えない限り本発明の技術分野における通常の変更をすることができる。
なお、以下で光学純度は、R体及びS体の試料に占める割合を、それぞれR及びSとすると、以下の式で表される値という。
【0022】
【数1】
Figure 0003747640
【0023】
実施例1 1,2−プロピレンカーボネイトの光学分割
クリプトコッカス ロウレンティ(Cryptococcus laurentii)IFO0609をグルコース 2%、コーンスティープリカー 2%、酵母エキス 1%、及び、ペプトン 1%を含む培地(pH6.0)16Lに植菌し、27℃で36時間好気培養した。培養終了後、遠心操作により菌体を集め、16Lの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)に懸濁し、再度遠心操作により菌体を集めた。その菌体をラセミ体の1,2−プロピレンカーボネイト240gを含む8Lの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)に懸濁し、27℃で約35−40時間攪拌し反応させた。反応終了後、遠心分離により除菌し、この反応液上清に等量の酢酸エチルを添加し、未反応の1,2−プロピレンカーボネイトを油層に抽出した。さらにもう一度等量の酢酸エチルを用いて同じ反応液上清より未反応1,2−プロピレンカーボネイトを抽出した。酢酸エチル層を減圧濃縮し、得られた濃縮物の5%水溶液を調製し、イオン交換樹脂UBK−530(三菱化学(株)社製)を用いたカラムクロマトグラフィにより精製した。1,2−プロピレンカーボネイトを含む画分を集め、倍量の酢酸エチルで1,2−プロピレンカーボネイトを油層に抽出し、減圧濃縮し、濃縮物としてやや黄色味を帯びた透明の液体21gを得た。本標品の一部を適当な濃度で水に溶かし、高速液体クロマトグラフィー(分析条件1)により分析した。その結果、保持時間20.8分に唯一ピークを確認し、ラセミ体の1,2−プロピレンカーボネイト(原料)のそれと一致した。また、本標品の一部を酢酸エチルに溶解し、ガスクロマトグラフィー(分析条件2)により分析し、光学純度を測定し、絶対配置を決めたところ、(R)−体98.1%e.e.であった。また、本標品のNMRを測定したところ、1 H−NMR(CDCl3,270MHz:δ(p.p.m.)=1.47(d,J=6.2Hz,3H),4.00(dd,J=8.5,7.3Hz,1H),4.54(dd,J=8.5,7.8Hz,1H),4.83(m,1H))であり、ラセミ体の1,2−プロピレンカーボネイト(原料)のそれと一致した。
【0024】
【表1】
分析条件1
高速液体クロマトグラフィー分析条件
カラム:MCIgel CK08E(φ8.0×300mm)
展開液:水
流速:0.8mL/min.
カラム温度:70℃
検出:示差屈折計
【0025】
【表2】
分析条件2
ガスクロマトグラフィー分析条件
カラム:SUPELCO β−DEX325(30m×0.25mmID×0.25μm)
キャリアガス:ヘリウム 1.5mL/min.(1.2KG)
カラム温度:100℃
検出:FID 300℃
サンプル:1μL スプリット比 1:50 220℃
【0026】
実施例2 1,2−プロピレンカーボネイトの光学分割
下記第1表に示す各種微生物をそれぞれグルコース 2%、コーンスティープリカー 2%、酵母エキス 1%、及び、ペプトン 1%を含む培地(pH6.0)20mlに植菌し、27℃で約40時間好気培養した。培養終了後、遠心操作により菌体を集め、20mLの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)に懸濁し、再度遠心操作により菌体を集めた。その菌体をラセミ体の1,2−プロピレンカーボネイト 0.15gを含む5mLの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)に懸濁し、27℃で約4時間攪拌し反応させた。反応終了後、遠心分離により除菌し、この反応液上清の一部を高速液体クロマトグラフィ(上記分析条件1)で分析して変換率を算出した。残りの反応液上清に8mLの酢酸エチルを添加し、未反応の1,2−プロピレンカーボネイトを油層に抽出した。この酢酸エチル層をそのままガスクロマトグラフィ(上記分析条件2)により分析し、光学純度を測定し、絶対配置を決めた。結果を第1表に示す。
【0027】
【表3】
Figure 0003747640
【0028】
実施例3 1,2−プロピレンカーボネイトの光学分割
下記第2表に示す各種微生物をそれぞれグルコース 1%、コーンスティープリカー 1%、酵母エキス 0.5%、リン酸1カリウム 0.1%、リン酸2カリウム 0.3%、硫酸マグネシウム・7水塩 0.02%、塩化マンガン・2水塩 0.001%、塩化コバルト・6水塩 0.001%及び、モリブデン酸ナトリウム 0.001%を含む培地(pH7.0)20mlに植菌し、30℃で約25時間好気培養した。培養終了後、遠心操作により菌体を集め、20mLの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)に懸濁し、再度遠心操作により菌体を集めた。その菌体をラセミ体の1,2−プロピレンカーボネイト 0.10gを含む5mLの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)に懸濁し、30℃で約20時間攪拌し反応させた。反応終了後、遠心分離により除菌し、この反応液上清の一部を高速液体クロマトグラフィ(上記分析条件1)で分析して変換率を算出した。残りの反応液上清に8mLの酢酸エチルを添加し、未反応の1,2−プロピレンカーボネイトを油層に抽出した。この酢酸エチル層をそのままガスクロマトグラフィ(上記分析条件2)により分析し、光学純度を測定し、絶対配置を決めた。結果を第2表に示す。
【0029】
【表4】
Figure 0003747640
【0030】
実施例4 4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オンの光学分割
クリプトコッカス ロウレンティ(Cryptococcus laurentii)IFO0609をグルコース 2%、コーンスティープリカー 2%、酵母エキス 1%、及び、ペプトン 1%を含む培地(pH6.0)50mLに植菌し、27℃で36時間好気培養した。培養終了後、遠心操作により菌体を集め、50mLの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)に懸濁し、再度遠心操作により菌体を集めた。その菌体をラセミ体の4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン 0.6gを含む20mLの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)に懸濁し、27℃で約22時間攪拌し反応させた。反応終了後、遠心分離により除菌し、この反応液上清の一部を高速液体クロマトグラフィ(上記分析条件1)で分析して変換率を算出した。残りの反応液上清に8mLの酢酸エチルを添加し、未反応の4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オンを油層に抽出した。この酢酸エチル層をそのままガスクロマトグラフィ(上記分析条件2)により分析し、光学純度を測定し、絶対配置を決めた。その結果、反応率79%で、残存した(R)−4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オンの光学純度は96.0%e.e.であった。
【0031】
実施例5 3−クロロ−1,2−プロピレンカーボネイトの光学分割
クリプトコッカス ロウレンティ(Cryptococcus laurentii)IFO0609をグルコース 2%、コーンスティープリカー 2%、酵母エキス 1%、及び、ペプトン 1%を含む培地(pH6.0)50mLに植菌し、27℃で36時間好気培養した。培養終了後、遠心操作により菌体を集め、50mLの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)に懸濁し、再度遠心操作により菌体を集めた。その菌体をラセミ体の3−クロロ−1,2−プロピレンカーボネイト 0.6gを含む20mLの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.5)に懸濁し、27℃で約22時間攪拌し反応させた。反応終了後、遠心分離により除菌し、この反応液上清の一部を高速液体クロマトグラフィ(分析条件1)で分析して変換率を算出した。残りの反応液上清に8mLの酢酸エチルを添加し、未反応の3−クロロ−1,2−プロピレンカーボネイトを油層に抽出した。この酢酸エチル層をそのままガスクロマトグラフィ(分析条件2)により分析し、光学純度を測定し、絶対配置を決めた。その結果、反応率49.5%で、残存し(S)−3−クロロ−1,2−プロピレンカーボネイトの光学純度は18.0%e.e.であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、医薬、農薬の合成中間体として有用性が高い光学活性な1,2−ジオール環状炭酸エステルを簡便かつ安価に製造することが可能である。

Claims (2)

  1. 式(I):
    Figure 0003747640
    (上記式中、Rはハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖または分枝鎖のC1−C12のアルキル基及びC2−C12のアルケニル基、並びにヘテロ原子を含んでいてもよい芳香族基から選ばれる置換基を示す。)で示されるラセミ体の1,2−ジオール環状炭酸エステルを、水性媒体の存在下、オーレオバシディウム属、クリプトコッカス属、ガラクトマイセス属、ホルタエア属、クルツマノマイセス属、ロドトルラ属、トリコスポロノイデス属、トリグノプシス属、アグロバクテリウム属及びバチルス属に属する微生物から選ばれる微生物であって、この1,2−ジオール環状炭酸エステルを立体選択的に消化する能力を有する微生物の菌体及び/またはその調製物の作用により光学分割することを特徴とする、下記一般式(II):
    Figure 0003747640
    (上記式中、Rは前記と同義を示す。)または、下記一般式(III):
    Figure 0003747640
    (上記式中、Rは前記と同義を示す。)で示される(R)−、または(S)−1,2−ジオール環状炭酸エステルの製造法。
  2. 式(I)においてRがメチル基、エチル基、クロロメチル基、クロロエチル基、エテニル基及びフェニル基よりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項1記載の(R)−、または(S)−1,2−ジオール環状炭酸エステルの製造法。
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