JP2002159290A - 新規リパーゼおよびその製造方法 - Google Patents
新規リパーゼおよびその製造方法Info
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Abstract
いて有用な、耐熱性および耐酸性を有する新規リパー
ゼ、その製造方法ならびに該リパーゼを産生する能力を
有する新規酵母を提供することを目的とする。 【解決手段】次の性質を有するリパーゼ:(A)作用お
よび基質特異性:グリセロールエステルのエステル結合
を加水分解し、脂肪酸を遊離する;(B)至適pH範
囲:37℃において至適pHは2.9〜5.5である;
(C)安定pH範囲:4℃または25℃、24時間の保
持条件でpH2.3〜7.1で安定である;(D)分子
量:SDS−PAGEで約47kDaである、前記リパ
ーゼを産生する能力を有するクルツマノミセス属に属す
る酵母を培養し、培養物より該リパーゼを採取する工程
を含むリパーゼの製造方法、ならびに前記リパーゼを産
生する能力を有するクルツマノミセス sp.I−11
株(FERM P−18126)。
Description
びその製造方法に関し、さらに詳細にはクルツマノミセ
ス(Kurtzmanomyces)属に属する酵母が産生し得る新規
リパーゼおよびその製造方法に関する。
分解する酵素の総称であり、従来、動物臓器、微生物等
から抽出、製造されている。リパーゼは、乳製品のフレ
ーバー形成のための食品加工用酵素、消化剤としての医
療用酵素、血中脂質測定のための診断用酵素、油脂の加
水分解や改質のための工業用酵素等として広範囲に使用
されている。それぞれの用途に応じてリパーゼに要求さ
れる特性は多岐に渡っている。
範囲は広く、様々な用途で求められている。たとえば、
食品加工においては、食品衛生上の観点から、雑菌汚染
の危険性の少ない高温での酵素反応が望まれる。また、
油脂分解においても耐熱性を有するリパーゼは有用であ
る。油脂分解とは油脂を加水分解することであるが、洗
剤、化粧品、界面活性剤等の油脂化学工業製品の原料で
ある脂肪酸およびグリセリンを提供する重要なプロセス
である。かかるプロセスにおいてリパーゼによる加水分
解の試みがなされている。その際、問題となるのは、多
くの油脂を構成するステアリン酸、パルミチン酸は常温
で固体であるという点である。このため反応時に油脂を
融点以上の温度に維持して反応させなければならない。
それゆえ、かかる油脂分解に使用されるリパーゼは、熱
安定性が高く、しかも高温下での反応性が高いものでな
ければならない。
るリパーゼに対する高い需要が存在する。たとえば、リ
パーゼは食餌脂肪の分解を促進するための消化剤として
用いられているが、そのようなリパーゼの至適pH領域
は中性〜アルカリ性に近いものが多いため、経口投与の
際には胃での失活の問題がある。
々な分野において利用されるが、それらにおける種々の
用途に対して広範囲に使用可能な、充分な耐熱性と耐酸
性を有する高機能リパーゼは、これまでには知られてい
ない。
な様々な分野における種々の用途において有用な、耐熱
性および耐酸性を有する新規リパーゼ、その製造方法な
らびに該リパーゼを産生する能力を有する新規酵母を提
供することを目的とする。
基質特異性:グリセロールエステルのエステル結合を加
水分解し、脂肪酸を遊離する、(B)至適pH範囲:3
7℃において至適pHは2.9〜5.5である、(C)
安定pH範囲:4℃または25℃、24時間の保持条件
でpH2.3〜7.1で安定である、(D)分子量:S
DS−PAGEで約47kDaである、(2) 前記
(1)記載のリパーゼを産生する能力を有するクルツマ
ノミセス属に属する酵母を培養し、培養物より該リパー
ゼを採取する工程を含むリパーゼの製造方法、(3)
クルツマノミセス属に属する酵母がクルツマノミセス
sp.I−11株(FERM P−18126)である
前記(2)記載のリパーゼの製造方法、ならびに(4)
前記(1)記載のリパーゼを産生する能力を有するク
ルツマノミセスsp.I−11株(FERM P−18
126)、に関する。
び耐酸性の両方の性質を有する新規な酵素であり、たと
えば、クルツマノミセス属の酵母、好ましくはクルツマ
ノミセス sp.I−11株の培養により得ることがで
きる。前記クルツマノミセス sp.I−11株は本発
明者らにより単離された新規酵母であり、国内寄託機関
である通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に
2000年11月20日に寄託(FERM P−181
26)されている。当該酵母は、本発明に包含される。
は、微生物培養後の微生物を含む培地をいい、「培養
液」とは、微生物培養前の培地そのもの、または微生物
培養後に菌体を除去して得た培地をいう。
株について説明する。 菌学的性質 本発明の酵母の菌学的性質を表1〜3に示す。
二:酵母の分類同定法(第2版)、1、東京大学出版会
(1973)および長谷川武治 編:<改訂版>微生物
の分類と同定(上)、179、(株)学会出版センター
(1984)に記載の方法に従って行う。すなわち、栄
養細胞の形態及び、偽菌糸、真菌糸の形成はするが、ク
ランプコネクション、子実体を形成しないという観点か
ら、当該微生物は酵母であると同定される。さらに、表
1〜3に示す菌学的性質を、ジェイ.エイ.バーネット
(J.A.Barnett)、アール.ダブリュ.ペイン(R.W.Pay
ne)、ディー.ヤロー(D.Yarrow):イースツ キャラ
クタリスティクス アンド アインデンティフィケーシ
ョン(Yeasts Characteristics and identificatio
n)、50、ケンブリッジ ユニバーシティー プレス
(CAMBRIDGE UNIVERSITY PRESS)(1990)およびシ
イ.ピイ.クルツマン(C.P.Kurzman)、ジェイ.ダブ
リュ.フェル(J.W.Fell):ジ イースツ,ア タキソ
ノミック スタディー 第4版(The Yeasts, A Taxono
mic Study 4th edition)、エルシバー サイエンス
ビイ.ブイ.(Elsevier Science B.V.)(1998)
と照合し、増殖形式が、母細胞から生じる小柄先端に娘
細胞を形成するという形式であり、細胞壁中にキシロー
スが存在せず、キノン系がQ−10であるという観点か
ら、当該酵母はクルツマノミセス属の酵母であると同定
される。クルツマノミセス属の酵母は担子菌酵母の不完
全世代の一属で、形態的に母細胞から生じる小柄先端に
娘細胞を形成するのが特徴であるステリグマトミセス
(Sterigmatomyces)属から、細胞壁中のキシロースの
有無及びキノン系の違いによって新たに分離、独立が提
唱された属である。すなわち、当該酵母では、細胞壁中
にキシロースが存在せず、キノン系がQ−10である。
本発明の酵母の特徴は、このクルツマノミセス属酵母の
特徴と一致する。
ツマノミセス ネクタイレ(Kurtzmanomyces nectaire
i)とクルツマノミセス タルドゥス(Kurtzmanomyces
tardus)の2種の酵母の存在が知られているが、イノシ
トールの資化性、グルクロン酸塩の資化性がこれら酵母
と異なるという観点から、本発明の酵母はクルツマノミ
セス属に属するものであるが、前記クルツマノミセス属
のいずれかの種に分類することは適当ではないと考えら
れ、クルツマノミセス sp.I−11株と命名されて
いる。
地、たとえば、YPD培地 (イーストイクストラクト
10g、ポリペプトン 20g、グルコース 20g)
を使用することができる。また、最適生育pHは5.6
であり、生育可能なpH範囲は2.1〜6.6である。
最適生育温度は28℃であり、生育可能な温度範囲は2
4〜36℃である。
の用途に広範囲に使用することができる、本発明の耐熱
性および耐酸性を有する高機能リパーゼを産生し得るの
で、非常に有用である。
る。 リパーゼの性質 本発明のリパーゼの理化学的性質を以下に示す。
結合を加水分解し、脂肪酸を遊離させる。かかる本発明
のリパーゼの作用および基質特異性は、後述のリパーゼ
活性の測定方法IおよびIIに準じて酵素反応を行うこ
とで調べることができる。
反応 基質として表4に示す各脂肪酸とp−ニトロフェノール
(以下、pNPという)とのエステルを用いて酵素反応
(リパーゼ:約0.01u)を行い、各基質に対する酵
素活性を、基質としてp−ニトロフェニルラウレートを
用いる場合の結果を100%とし、相対活性(%)とし
て求める。その結果を、図1に示す。
は、脂肪酸トリグリセリドのエステル結合を加水分解
(水解)する酵素であるとされている。一方、エステル
結合を水解する酵素としてエステラーゼがあるが、その
反応機構から2つに分類される。一つは脂肪酸モノエス
テルをアルコールと脂肪酸に分解するカルボキシルエス
テラーゼ(carboxylesterase) (EC3.1.1.1)であり、も
う一つはフェニルエステルをフェノールと脂肪酸に分解
するアリールエステラーゼ(arylesterase) (EC3.1.1.
2)である。リパーゼは広い意味ではエステラーゼに属す
る酵素であるが、基質として水に不溶のグリセロールエ
ステルを水解する活性(リパーゼ活性)を示す点で、エ
ステラーゼについて定義される酵素活性と異なる。すな
わち、前記定義に従うリパーゼは、リパーゼ活性を少な
くとも有し、さらに場合によりエステラーゼ活性をも有
するものであるということができる。しかしながら、か
かるエステラーゼ活性は、リパーゼが基質として水に不
溶のグリセロールエステルを水解する活性を示すもので
あることから、その作用様式はエステラーゼとは異なる
と考えられ、また、リパーゼ活性と別個にエステラーゼ
活性を有するのではなく、基本的にはリパーゼ活性に付
随して発揮され得るものであると考えられるため、かか
るエステラーゼ活性に基づく理化学的性質は、当該リパ
ーゼのリパーゼ活性に基づく理化学的性質と同様に扱う
ことができると考えられる。本発明のリパーゼは、前記
リパーゼの定義に従うものであって、エステラーゼ活性
をも示し得るものである。
とのエステルを用いている。その理由としては、かかる
エステルを用いる測定方法は比色法であるため酵素活性
の評価がしやすく、また、酵素の量が少量で良いという
メリットがあり、一方、トリグリセリドを基質として用
いる測定方法は、リパーゼ活性の測定方法としては直接
的ではあるが、大量の酵素を必要とし、反応系が二層系
であるため操作が煩雑であるということが挙げられる。
明のリパーゼの理化学的性質等の評価においては、トリ
グリセリド等のグリセロールエステルを基質として用い
ると共に、各種脂肪酸とpNPとのエステルおよび各種
脂肪酸のエチルエステルを基質として用いる。
ールエステラーゼ活性は、p−ニトロフェニルラウレー
トよりも長い脂肪酸側鎖を持つpNPエステルに対して
強い活性を示すということが分かる。この活性はp−ニ
トロフェニルカプレートのような中鎖化合物では低くな
るが、p−ニトロフェニルラクテートよりも短い脂肪酸
側鎖を持つpNPエステルに対しては再び活性を示すこ
とが分かる。
ずる反応 基質として、それぞれ、表5に示す各脂肪酸とのエチル
エステル、ならびに該脂肪酸とグリセロールとのエステ
ルである、1−モノグリセリド(以下、1−MGと略
す)、2−モノグリセリド(以下、2−MGと略す)お
よびトリグリセリド(以下、TGと略す)を用いて酵素
反応(リパーゼ:約2.5u)を行う。
エステルのそれぞれについては、酵素反応で遊離する脂
肪酸をNEFA−Cテストワコー〔和光純薬工業(株)
製〕にて定量し、それらの基質に対する酵素活性を求
め、基質として1−モノオレオイルグリセロールを用い
る場合の結果を100%として相対活性(%)で表わ
す。それらの結果を図2〜4に示す。
は、用いる基質のタイプによって、各脂肪酸エステルに
対する作用に若干の違いが認められる。モノアシルグリ
セロールを基質に用いた場合(図2)、ステアリン酸や
オレイン酸のような長い側鎖を持つ基質よりも、カプリ
ン酸やラウリン酸のような中鎖脂肪酸を側鎖に持つ基質
に対する分解活性の方が強いことが分かる。また、1−
モノオレオイルグリセロールと2−モノオレオイルグリ
セロールの分解活性がほぼ同等であることから、グリセ
ロールの1位、2位をほぼ同程度に分解できるというこ
とが分かる。一方、トリアシルグリセロールを基質に用
いた場合(図3)、トリステアロイルグリセロールに対
する分解活性が最も強いことが分かる。これらの結果か
ら、本発明のリパーゼは、特に一般の油脂に多く存在す
る鎖長(炭素数:16〜20)の脂肪酸のグリセロール
とのいずれのエステルにも作用し得、特に飽和脂肪酸の
エステルに対して優れた作用を示すといえる。
(図4)、ステアリン酸のような長い側鎖を持つエステ
ルよりもカプリン酸のような短い側鎖を持つエステルを
分解するということが分かる。しかしながら、1−モノ
オレオイルグリセロールと比較すると、その相対活性は
6%以下であり、かなり低いということが分かる。この
ことから、本発明のリパーゼは、カルボキシルエステラ
ーゼ活性は非常に弱いということが分かる。
ステルを加水分解できることから、アリールエステラー
ゼ活性があることが分かる。また、エチルエステルを加
水分解できることから、カルボキシルエステラーゼ活性
があることが分かる。しかしながら、エチルエステルの
加水分解活性はかなり低く、カルボキシルエステラーゼ
活性は非常に弱いということがいえる。
ドリパーゼ活性およびモノグリセリドリパーゼ活性を有
することが分かる。以上から、エステラーゼ活性を示す
ものの、水に不溶のエステルを加水分解できるという点
から判断して、本発明のリパーゼは、水に可溶のエステ
ルのみを水解するエステラーゼとは異なり、前記定義に
従うリパーゼであると判断できる。その作用及び基質特
異性は前記のとおりである。
2.9〜5.5である。かかる本発明のリパーゼの至適
pH範囲は、pH1.5〜9の緩衝液中で後述のリパー
ゼ活性の測定方法IIに準じて酵素反応を行うことで調
べることができる。かかる酵素反応はpHで0.5刻み
で行う。なお、使用する緩衝液は、pH2〜3の範囲で
は50mM グリシン−塩酸緩衝液、pH4〜5の範囲
では50mM 酢酸ナトリウム緩衝液、pH6〜7の範
囲では50mM リン酸ナトリウム緩衝液、pH8〜9
の範囲では50mM トリス−塩酸緩衝液である。その
結果を、図5に示す。結果は、各pHにおける反応にお
いて、反応液1000μLに対し本発明のリパーゼを約
5u添加し、30分間反応を行い、次いで遊離してきた
グリセロールの測定を行い、リパーゼ活性(u/mL反
応液)に換算する。
または25℃、24時間の保持条件で2.3〜7.1で
ある。かかる本発明のリパーゼの安定pH範囲は、前記
と同様の緩衝液中にリパーゼを溶解し、4℃または25
℃で24時間保持した後、後述のリパーゼ活性の測定方
法IIに準じて酵素反応〔リパーゼ:0.01mg/m
L(約1u)〕を行うことで調べることができる。その
結果を、図6に示す。結果は、実験開始時0分の酵素活
性を100%として、それに対する残存活性(%)で表
す。図6から、本発明のリパーゼは耐酸性に優れたもの
であることが分かる。また、本発明のリパーゼは、図6
から、4℃または25℃においてpH9.6以上、24
時間で失活することが分かる。
7kDaである(図15参照)。また、図15から、該
リパーゼはモノマータンパク質であることが分かる。さ
らに、該リパーゼタンパク質をSDS−PAGE後にニ
トロセルロース膜に移し、常法に従って糖染色を行う
と、糖の存在は認められない。
て70〜80℃である。かかる本発明のリパーゼの至適
温度範囲は、10〜90℃の温度範囲で後述のリパーゼ
活性の測定方法Iに準じて酵素反応(リパーゼ:約0.
03u)を行うことで調べることができる。かかる測定
は5℃刻みで行う。その結果を、図7に示す。結果は、
37℃におけるリパーゼ活性を100%として相対活性
(%)で表す。
間の条件で70℃まで安定であるが、75℃においても
60%の残存活性を示すというものである。かかる本発
明のリパーゼの熱安定性は、65〜85℃の範囲で12
0分間まで保持し、保持の途中におけるリパーゼ活性を
後述のリパーゼ活性の測定方法Iに準じて酵素反応〔リ
パーゼ:0.01mg/mL(約1u)〕を行うことで
調べることができる。かかる測定は5℃刻みで行う。そ
の結果を、図8に示す。結果は、37℃におけるリパー
ゼ活性を100%として残存活性(%)で表す。図8か
ら、本発明のリパーゼは耐熱性に優れたものであること
が分かる。
金属イオン等を持つ各種物質の存在下、後述のリパーゼ
活性の測定方法Iに準じて酵素反応(リパーゼ:約2.
5u)を行うことで調べることができる。その結果を、
図9に示す。結果は、いずれの物質も存在させない場合
(対照)の結果を100%として相対活性(%)で表
す。図9から、本発明のリパーゼは、Fe3 + 、Fe
2 + 、Al3+等、特にFe3 + で活性が若干阻害される
ものの、表6に示す金属イオンにより格別著しい阻害は
受けず、一方、PMSFや、Mg等のアルカリ土類金
属、Na、K等のアルカリ金属等で活性が若干安定化さ
れることが分かる。
溶媒の存在下で一定時間酵素を保存し、後述のリパーゼ
活性の測定方法Iに準じて酵素反応(リパーゼ:約0.
01u)を行い、リパーゼの残存活性を測定することに
より調べることができる。具体的には、有機溶媒として
は、メタノール、エタノール、アセトニトリル、1−ブ
タノール、イソブタノール、イソプロパノール、クロロ
ホルム、キシレン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、D
MSO、酢酸エチルおよびアセトンを用い、それらを酵
素液中に20、40、60及び80重量%の濃度でそれ
ぞれ存在させ、30℃、1時間保存した後の残存活性を
測定する。リパーゼ活性は、有機溶媒の非存在下で保存
した場合(対照)の結果を100%として相対活性
(%)で表す。結果を、図10に示す。図10から、い
ずれの有機溶媒も酵素液中の濃度が60重量%までは顕
著に活性阻害を示さず、また、イソブタノール、キシレ
ン、ヘキサン、ベンゼン、酢酸エチル等では、リパーゼ
活性の安定化効果または増強効果があることが分かる。
なお、図中、各有機溶媒の濃度は簡単に「%」と表示す
る。
以外に、微水系においてはエステル合成反応やエステル
転移反応を行う。それゆえ、本発明のリパーゼを用い、
好ましくは前記リパーゼ活性の安定化効果または増強効
果を有する有機溶媒の存在下に、高効率なランダムエス
テル交換反応等を行い得る。
測定することができる。なお、本明細書中、特に記載が
ない限り、リパーゼの単位(u)数は以下のリパーゼ活
性の測定方法Iに従って得られた値を示す。
ウインクラー,ユウ.ケイ.(Winkler,U.K.)とエム.
スタックマン(M.Stuckmann)、J.Bacterio
l.138,663頁(1979年)に記載の方法に基
づくものである。
mgを量り、4重量%のTriton X−100溶液
を10mL加えて55〜60℃の水浴中で攪拌溶解す
る。2分後に1Mの酢酸緩衝液(pH5.6)を1mL
添加し、さらに5分間攪拌後、精製水8mLを加えて混
和し、室温に放置する。得られた溶液を基質液とする。
熱し、リパーゼを10重量%エチレングリコールと0.
05重量%Brij35を含む10mM 酢酸緩衝液
(pH5.6)に溶解して調製したリパーゼ溶液0.0
5mLを加えて混合し、15分間反応後、アセトン2m
Lを加えて反応を停止させ、加水分解反応により遊離し
たpNPを定量してリパーゼの力価を求める。具体的に
は、反応停止後、速やかに410nmにおける吸光度を
測定して、得られる吸光度をODte stとし、一方、ブラ
ンクとして、前記リパーゼ溶液の代わりに、その溶媒の
みを用いて同様の操作を行った後に吸光度を測定し、得
られる吸光度をODblankとし、以下に示す計算式によ
ってリパーゼの力価を算出する。
1μmolのpNPを生成するのに要する酵素量とす
る。リパーゼの力価は、以下の計算式により求める。 力価(u/mgタンパク質)=2.24×(ODtest−
ODblank)×(希釈倍率)
は、ティー.マセ(T.Mase)、ワイ.マツミヤ(T.Mats
umiya)、とティー.アキバ(T.Akiba)、Biosc
i.Biotech.Biochem.,59(9),
1771頁(1995年)に記載の方法に基づくもので
ある。
製)をn−ヘキサン10mLに溶解する。得られた溶液
を基質液とする。
(pH7)800μL、前記リパーゼ溶液100μLを
入れ、3分間ごとに攪拌しながら、37℃で30分間反
応させる。反応は、クロロホルムを1mL添加して停止
する。次いで反応液の水層を回収し、加水分解反応で遊
離したグリセロールを定量してリパーゼの力価を求め
る。具体的には、グリセロールの定量をトリグリセライ
ドG−テストワコー〔和光純薬工業(株)製〕を用いて
行い、その際に得られる吸光度をOD testとし、一方、
ブランクとして、前記リパーゼ溶液の代わりに、その溶
媒のみを用いて同様の操作を行い、得られる吸光度をO
Dblankとし、以下に示す計算式によってリパーゼの力
価を算出する。
1μmolのグリセロールを生成するのに要する酵素量
とする。リパーゼの力価は、以下の計算式により求め
る。 力価(u/mgタンパク質)=44.19×(ODtest
−ODblank)
大変よく利用されている(イ)キャンディダ アンター
クティカ(Candida Antarctica)由来のリパーゼ〔日本
醗酵工学会誌 第66巻 第5号 p408−410
(1988);以下、(イ)リパーゼという〕と種々の
点で異なる。たとえば、本発明のリパーゼの至適温度は
70〜80℃であり、これは(イ)リパーゼの場合の6
5℃に比べはるかに高い。(イ)リパーゼの場合、至適
pHは7.5〜8.0であり、pH5.5〜10.5の
範囲では最高値の50%までその活性が減少する。しか
し、本発明のリパーゼは至適pHがpH2.9〜5.5
であり、はるかに酸性領域の活性が強い。一方、(ロ)
キャンディダ シリンドラセ(Candida cylindracea)
の生産するリパーゼ〔Agr. Biol. Chem., Vol.30, No.
6, p.576-584, (1966) ;以下、(ロ)リパーゼとい
う〕はpH5〜8における5℃、12時間経過後の残存
活性が100%と、酸性領域にも安定な酵素として知ら
れているが、至適pHは7.2であり、本発明のリパー
ゼはpH2.9〜5.5であるので、本発明のリパーゼ
の方がより酸性側で優れた活性を示す。また、(ロ)リ
パーゼは45℃、pH7で10分間保持すると約90%
が失活するのに対し、本発明のリパーゼは70℃でpH
5.6で120分間保持しても安定であり、高温側にお
いて高い安定性を有する。このように、本発明のリパー
ゼは、優れた耐熱性と耐酸性を有する。
耐酸性の両方の性質に優れるリパーゼはこれまでに報告
がなく、従って、本発明のリパーゼは全く新規なリパー
ゼであるといえる。本発明のリパーゼは、かかる性質に
より、高温での脂質が関与する反応、たとえば、加水分
解反応、エステル交換反応等において充分にその活性を
発揮することができ、工業的にきわめて有用な用途を提
供し得、一方、医薬の分野において、たとえば、消化剤
の有効成分としても使用することができる。従って、本
発明のリパーゼは、医薬、食品加工、化粧品製造、汚水
処理、油脂分解等に広く利用され得る。
て説明する。本発明のリパーゼは、クルツマノミセス属
に属する酵母により産生され得るものである。かかる事
実は、後述する耐熱性および耐酸性に優れるリパーゼを
産生する能力を有する微生物を対象にしたスクリーニン
グを行った結果、本発明者らが初めて明らかにしたこと
である。
リパーゼを産生する能力を有するクルツマノミセス属に
属する酵母を培養し、培養物より該リパーゼを採取する
工程を含む。かかる製造方法において好適には、前記ク
ルツマノミセス sp.I−11株が用いられる。
般の酵母について公知である培地を用いることができ
る。リパーゼの産生を有意に促進する観点からは、好ま
しくは、特に炭素源として、大豆油などの植物性油脂
等、また、後述するようにリパーゼの採取、たとえば、
培養物からの精製を容易にする観点からは、パルミチン
酸のような高級脂肪酸等を用い、公知の培地を一部改変
したものを用いてもよい。たとえば、後述する表7に示
す培地が好適に用いられる。
好ましくは5.6、培養温度は、好ましくは28〜32
℃、より好ましくは30℃であり、約72〜96時間、
好気的に攪拌(たとえば、ジャーファーメンターを用い
る場合、1,000rpm)または振盪(120rp
m)しながら培養を行う。かかる培養条件下に、クルツ
マノミセス属の酵母、好ましくは本発明の酵母を培養す
ると、かかる酵母は主としてリパーゼを菌体外に分泌す
る。たとえば、ジャーファーメンターを用い、後述の表
7に示す液体培地IIにおいて30℃にて本発明の酵母
を培養した場合、図11に示すように、経時的に培養物
中のリパーゼ活性が増加し、約75時間後のリパーゼ産
生量は約1.8u/mL培養物となる。なお、リパーゼ
活性は前述のリパーゼ活性の測定方法Iにより測定す
る。
マノミセス属の酵母、好ましくは本発明の酵母を培養し
て該リパーゼの生産を行い、次いで、たとえば、(a)
培養物から菌体を除去して該リパーゼを含む培養液を得
る、または、(b)培養物中の酵母を公知の方法に従っ
て破砕し、次いで該培養物を適宜遠心分離にかけて菌体
沈殿物を除去し、菌体抽出物を含む培養液を得る。以下
においては、より一般的な方法である前記(a)の態様
について説明する。
してもよいが、通常、以下に説明するようにして、さら
に精製を行うのが好ましい。得られた培養液からの本発
明のリパーゼの精製は、基本的には公知の操作を組み合
わせることにより行うことができる。しかしながら、酸
性領域において安定であるという本発明のリパーゼに特
有の性質より、以下に示す方法においては、全ての工程
において、酢酸緩衝液のような溶液のpHが酸性となる
ような緩衝液を用いるのが好ましい。かかる態様によれ
ば、本発明のリパーゼをより効率的に採取することがで
きる。
である。すなわち、培養物を濾過または遠心分離にかけ
て菌体を除去し、さらに所望により濃縮する。続いて、
硫安による塩析等を行った後、限外濾過および/または
透析にかける。さらに、陰イオン交換クロマトグラフィ
ー、陽イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマ
トグラフィー等で精製を行う。より具体的には以下の通
りである。
1.5Lに本発明の酵母を接種し、28〜32℃にて
72〜96時間、1,000rpm(たとえば、ジャー
ファーメンターを用いる場合)にて振盪培養する。かか
る培養は、所望の酵母の充分な増殖が得られるまで、た
とえば、培地の量を段階的に増やし数回に分けて行って
もよい。次いで、得られた培養物から遠心分離により菌
体を除去し、上清を得る。所望により濃縮し、上清を硫
酸アンモニウム(飽和度80%)による塩析に供し、遠
心分離を行って沈澱したタンパク質を回収する。さら
に、該タンパク質を80%エタノールに懸濁後、遠心分
離を行って沈澱したタンパク質を回収する。次いで、該
タンパク質を、例えば、少量の50mM 酢酸緩衝液
(pH5.5)に溶解し、例えば、50mM 酢酸緩衝
液(pH5.5)に対し透析を行う。次いで、順次、以
下に示す種々のクロマトグラフィーにかけ、さらにリパ
ーゼの精製を行う。
してDEAE−SephadexA−25を用いる陰イ
オン交換クロマトグラフィーにかけ、非吸着画分を回収
する。得られた画分を、例えば、限外濾過膜(分画分子
量:10000Da)を用いて濃縮すると共に、溶媒
を、例えば、50mM クエン酸緩衝液(pH3.9)
に置換する。得られた濃縮物を、例えば、担体としてS
P−SephadexC−50を用いる陽イオン交換ク
ロマトグラフィーにかけ、非吸着画分を回収する。得ら
れた画分について、例えば、10mM 酢酸緩衝液(p
H5.6)を用いて前記と同様に濃縮ならびに緩衝液の
置換を行う。最後に、得られた濃縮物を、たとえば、担
体としてSephadex G−100を用いるゲル濾
過クロマトグラフィーにかけ、リパーゼ活性のピークに
相当する溶出画分を回収し、前記同様に濃縮して精製リ
パーゼを得る。
は、大豆油を唯一の炭素源として培養を行う態様を示し
たが、かかる場合、精製初期の工程における遠心分離で
該油を完全には除去できず、油分が残存して塩析やその
後の透析操作等に影響し、精製効率が低下する場合があ
る。それゆえ、脂肪酸、たとえば、パルミチン酸を基質
として培養を行ってもよい。それにより、残存油の問題
を解消でき、より少ない工程で良好な精製を行うことが
できる。
ゼを産生する能力を有する微生物を対象にしたスクリー
ニング方法について説明する。本発明のリパーゼは、ク
ルツマノミセス属に属する酵母により産生され得るもの
であるが、かかる酵母は以下のスクリーニング方法に従
って得られ得る。
木の樹液、土壌、ため池の水、工場排水、昆虫等に由来
する種々のサンプルを採取する。得られたサンプルを、
たとえば、生理的食塩水等に懸濁し、懸濁液上清を得
る。得られた上清を、概してリパーゼ産生菌のみが生育
可能なように、たとえば、炭素源を大豆油のみとした表
7に示す寒天培地にストリークし、上清に含まれる微生
物を静置培養する。なお、かかる培地としては、たとえ
ば、北本ら(北本 大:油化学、41、839頁、19
92年)が使用した培地を改変して使用するのが好まし
い。本スクリーニング方法において好適に用いられる培
地の組成を表7に示す。
ーを釣菌し、再び同様の寒天培地にストリークし、同条
件にて静置培養を行う。生育したコロニーを顕微鏡観察
し、コンタミネーションが確認できなくなるまで、かか
る工程を繰り返す。次いで、分離された微生物を液体培
地II(所望によりpH調整を行う)において、28〜
32℃において4〜7日間培養する。かかる条件下に活
発に増殖する微生物はリパーゼを産生している可能性が
示唆される。
調べるため、培養液を成分分析に供する。分析の結果、
培養液中にグリセロールおよび脂肪酸が検出された場
合、それは培地に基質として含まれていた大豆油が分解
されたことを示す。すなわち、培養液におけるリパーゼ
活性の存在を示している。
活性の存在が認められた微生物について、さらに、それ
らが産生するリパーゼの活性について、たとえば、前記
のリパーゼ活性の測定方法Iに準じて培養液1mL当た
りのリパーゼの単位(u)数を求め、リパーゼ活性を比
較する。
行った結果、分離された微生物の内、最も優れた耐熱性
および耐酸性を有するリパーゼを産生する微生物として
単離されたものである。
が、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではな
い。
は、前記微生物のスクリーニング方法に従って、植物の
葉から単離された。
て植物の葉、花、茎、木の樹液、土壌、ため池の水、工
場排水、昆虫等、自然界から様々なサンプルを採取して
微生物のスクリーニングを行った。その際、前記表7に
示す培地を使用した。
試験管に適当量投入した。その後、その試験管を28〜
32℃において4〜7日間振盪培養を行い、培養物を一
白金耳採り、表7に示す寒天培地にストリークし、28
℃で4日間程度、静置培養した。静置培養後、寒天培地
上に生育したコロニーを釣菌し、再び同様の寒天培地に
ストリークし、同条件にて静置培養を行った。生育した
コロニーを顕微鏡観察し、コンタミネーションが確認で
きなくなるまで、寒天培地を用いた分離操作を繰り返し
た。次いで、コンタミネーションがなくなったと確認さ
れた菌株を、ジャーファーメンターを用い、液体培地I
I(pH5.6)において、30℃、4日間、さらに培
養した。
分析に供し、リパーゼ活性の存在について調べた。成分
分析は、培養液を、該培養液と当量の酢酸エチルを用い
た油分の抽出に供し、イアトロスキャン(島津製作所
製)にて残存大豆油、遊離脂肪酸量等の測定を行うこと
により行った。
活性の存在が認められた微生物について、さらに、それ
らが産生するリパーゼの活性について調べた。すなわ
ち、p−ニトロフェニルラウレートを基質として用い、
前述のリパーゼ活性の測定方法Iに準じて培養液1mL
当たりのリパーゼの単位数を求め、比較した。
た微生物の内、最も優れたリパーゼ活性の産生を示した
微生物を単離した。該微生物について、前記する菌学的
性質を調べたところ、クルツマノミセス属の酵母である
ことが判明し、クルツマノミセス sp.I−11株と
命名した。
イルグリセロールを用いて酵素反応を行った。
株の培養 大豆油8重量%、NH4 NO3 0.1重量%、KH2
PO4 0.05重量%、MgSO4 ・7H2 O 0.
05重量%、イーストイクストラクト 0.1重量%を
含有する培地(前記表7の液体培地II)を用い、クル
ツマノミセスsp.I−11株の培養を行った。培養は
30℃で約72時間、3L容ジャーファーメンター〔三
ツワ理化学工業(株)製〕により行った。
000×gで10分間、遠心分離して菌体を除去し、上
清を得た。
った(飽和度80%)。次いで、遠心分離を行って沈澱
したタンパク質を回収した。
ールに懸濁し、沈澱したタンパク質を遠心分離を行って
回収した。
10mLの50mM 酢酸緩衝液(pH5.5)に溶解
し、10Lの50mM 酢酸緩衝液(pH5.5)に対
し4℃にて1日間透析を行った。透析後、得られたタン
パク質溶液を、DEAE−Sephadex A−25
クロマトグラフィー〔カラム:直径3×50cm:アマ
シャムファルマシア(株)製〕にかけ、前記50mM
酢酸緩衝液により溶出を行った。その結果を図12に示
す。図12に示すように、前半のタンパク質のピークと
リパーゼ活性のピークは一致し、かかる溶出画分を回収
した。
限外濾過膜〔マクロセップ(分画分子量:1000
0):ゲルマンサイエンスジャパン(株)製〕を用いて
濃縮すると共に、溶媒を、50mM クエン酸緩衝液
(pH3.9)に置換した。得られた濃縮物を、SP−
Sephadex C−50クロマトグラフィー〔カラ
ム:直径3×50cm:アマシャムファルマシア(株)
製〕にかけ、前記50mM クエン酸緩衝液により溶出
を行った。その結果を図13に示す。図13に示すよう
に、リパーゼ活性のピークは溶出画分の前半において1
つだけ現れ、かかるピークに相当する溶出画分を回収し
た。
M 酢酸緩衝液(pH5.6)を用いて前記工程(5)
と同様にして濃縮した。得られた濃縮物を、担体として
Sephadex G−100を用いるゲル濾過クロマ
トグラフィー〔カラム:直径3×100cm:アマシャ
ムファルマシア(株)製〕にかけた。かかるクロマトグ
ラフィーの結果を図14に示す。リパーゼ活性のピーク
は溶出画分の前半において1つだけ現れたので、かかる
ピークに相当する溶出画分を回収し、精製リパーゼを得
た。
るリパーゼの精製度を調べた。各工程において得られた
タンパク質をSDS−PAGEに供し、その結果を図1
5に、また、かかるタンパク質のリパーゼ活性を前記リ
パーゼ活性の測定方法Iに準じて測定し、その結果を表
8に示す。
クロマトグラフィー〔工程(6)〕を終えた精製物では
シングルバンドを得ており、リパーゼが高度に精製され
たことが分かる。また、SDS−PAGEの結果、リパ
ーゼの分子量は約47kDaで、モノマータンパク質で
あることが分かる。
離し、菌体を除去した後の培養上清を試料としたときの
値である。最終的に、工程(6)では626.8u/m
gタンパク質〔工程(2)、(3)に比較して179.
09倍に精製される〕の精製リパーゼが得られたことが
分かる。
ロールを基質として、前記リパーゼ活性の測定方法II
に準じて酵素反応を行った。基質の終濃度は5mmol
/Lとなるように調整し、リパーゼを5u使用し、反応
液量は550μLとした。30分反応後に2.3mmo
l/Lの脂肪酸が遊離した。
性、(2)至適pH範囲および安定pH範囲、(3)分
子量、(4)至適温度範囲、(5)熱安定性、(6)金
属イオン等の影響、ならびに(7)有機溶媒の影響につ
いて試験を行ったところ、図1〜10のデータが得ら
れ、それぞれ前記したような結果となった。
p.I−11株の培養により、優れた耐熱性と耐酸性を
有する新規リパーゼが得られる。かかるリパーゼは、高
温での脂質が関与する反応、たとえば、加水分解反応、
エステル交換反応等において充分にその活性を発揮する
ことができ、工業的にきわめて有用な用途を提供し得、
一方、医薬の分野において、たとえば、消化剤の有効成
分としても使用することができるので、医薬、食品加
工、化粧品製造、汚水処理、油脂分解等に広く利用され
得る。
質とした場合のリパーゼの作用性を示すグラフである。
した場合のリパーゼの作用性を示すグラフである。
の作用性を示すグラフである。
した場合のリパーゼの作用性を示すグラフである。
である。
である。
である。
である。
を示すグラフである。
媒の影響を示すグラフである。
1株培養時の培養物中における経時的なリパーゼ活性の
増加を示すグラフである。
1株の培養物からのリパーゼの精製過程における陰イオ
ン交換クロマトグラフィーの結果を示すグラフである。
1株の培養物からのリパーゼの精製過程における陽イオ
ン交換クロマトグラフィーの結果を示すグラフである。
1株の培養物からのリパーゼの精製過程におけるゲル濾
過クロマトグラフィーの結果を示すグラフである。
1株の培養物からのリパーゼの精製過程における各工程
でのリパーゼの精製度を示すSDS−PAGEの結果で
ある。
Claims (4)
- 【請求項1】 次の性質を有するリパーゼ。 (A)作用および基質特異性:グリセロールエステルの
エステル結合を加水分解し、脂肪酸を遊離する。 (B)至適pH範囲:37℃において至適pHは2.9
〜5.5である。 (C)安定pH範囲:4℃または25℃、24時間の保
持条件でpH2.3〜7.1で安定である。 (D)分子量:SDS−PAGEで約47kDaであ
る。 - 【請求項2】 請求項1記載のリパーゼを産生する能力
を有するクルツマノミセス属に属する酵母を培養し、培
養物より該リパーゼを採取する工程を含むリパーゼの製
造方法。 - 【請求項3】 クルツマノミセス属に属する酵母がクル
ツマノミセス sp.I−11株(FERM P−18
126)である請求項2記載のリパーゼの製造方法。 - 【請求項4】 請求項1記載のリパーゼを産生する能力
を有するクルツマノミセス sp.I−11株(FER
M P−18126)。
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JP2000359358A JP2002159290A (ja) | 2000-11-27 | 2000-11-27 | 新規リパーゼおよびその製造方法 |
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