JP3370545B2 - エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸:エチレンジアミンリアーゼ活性を有するタンパク質およびその遺伝子 - Google Patents
エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸:エチレンジアミンリアーゼ活性を有するタンパク質およびその遺伝子Info
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Description
-N,N'-ジコハク酸:エチレンジアミンリアーゼ活性を有
するタンパク質およびそれをコードする遺伝子に関す
る。エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸:エチレンジア
ミンリアーゼ活性を有するタンパク質を用いればフマル
酸またはマレイン酸と各種ジアミンからジアミノアルキ
レン-N,N'-ジコハク酸を合成することができる。ジアミ
ノアルキレン-N,N'-ジコハク酸は医農薬合成中間体とし
て重要であると共に重金属を捕捉するという特異な性質
を持つ。また、該化合物の光学異性体は自然界に放出さ
れた後に生分解を受け易いなどの可能性が期待できるた
め、キレート剤や洗剤用ビルダーなどの用途が見込まれ
る。
有機合成的手法により各種のアミンとマレイン酸または
フマル酸から容易に合成することができる。しかし、光
学活性ジアミノアルキレン-N,N'-ジコハク酸の場合に
は、その有機合成的手法の出発原料として光学活性アス
パラギン酸などが必要になる。例えば、光学活性ジアミ
ノエチレン-N,N'-ジコハク酸はL-アスパラギン酸とジブ
ロムエタンから製造できる〔John A. Neal et al. Inor
ganic Chem. 7, 2405 (1968)〕。しかし、L-アスパラギ
ン酸やジブロムエタンからの製造は、製造原料が比較的
高価となり、安価で汎用性のある化合物として供給する
ことは困難である。一方、微生物の生産するジアミノア
ルキレン-N,N'-ジコハク酸は放線菌の培養液から単離同
定されている〔T. Nishikiori et al. J. Antibiotics
37, 426 (1984)〕が、この放線菌による生産性は極めて
低く工業的製法とは成り得ない。
は、先に、微生物の触媒作用を利用してフマル酸あるい
はマレイン酸と各種ジアミンから効率よく光学活性S,S-
ジアミノアルキレン-N,N'-ジコハク酸を合成する新規な
方法を提案している(特願平8-79404 号、同8-127655号
および同8-130594号明細書参照)。本発明は、この微生
物の触媒作用をさらに向上させることを課題とする。
遺伝子のクローニングは菌体内に目的遺伝子を多コピー
存在させることが可能となるため、微生物の触媒能力を
飛躍的に増大させることが期待できる。それ故、本発明
者は菌体の触媒活性の向上および菌体生産量の改善を目
的に、エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸:エチレンジ
アミンリアーゼ遺伝子のクローニングを行った。
ン-N,N'-ジコハク酸:エチレンジアミンリアーゼ活性を
有し、配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するポリ
ペプチドをコードする遺伝子DNAおよび遺伝子コード
の同義性に由来するこの類縁体、(2) 配列番号2に示さ
れる配列またはそのフラグメントとハイブリダイズし、
かつ、エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸:エチレンジ
アミンリアーゼ活性を示すポリペプチドをコードする遺
伝子DNA、(3) 配列番号4および5に示される合成D
NAで増幅されるサイズが 200〜350bp のDNA断片、
(4) 上記エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸:エチレン
ジアミンリアーゼ活性を有するポリペプチドをコードす
る遺伝子を含む組換えプラスミド、(5) 上記プラスミド
により形質転換された形質転換微生物、および(6) 上記
形質転換微生物を用いたジアミノアルキレン-N,N'-ジコ
ハク酸の製造法である。(2) のポリペプチドをコードす
る遺伝子DNAとしては、例えば、配列番号2の塩基配
列を有するDNAが挙げられる。
でいうエチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸:エチレンジ
アミンリアーゼとは、フマル酸とエチレンジアミンから
エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸を可逆的に生成する
能力を持つ酵素を示すが、反応の条件によってはエチレ
ンジアミン -N-モノコハク酸を生成することもある。さ
らに本酵素は、エチレンジアミン以外のジアミン類にも
反応性を示し対応するジアミノアルキレン-N,N'-ジコハ
ク酸を生成する。また、生成するジアミノアルキレン-
N,N'-ジコハク酸は、多くの場合光学活性体であるが、
ラセミ体を生成する酵素もある。
出願人により自然界から分離同定した複数の属に属する
細菌類に見いだされており、これら細菌類は上記特願平
8-79404 号、同8-127655号および同8-130594号明細書に
記載されている。本発明は、そのうち特願平8-130594号
明細書記載のブレブンジモナス(Brevundimonas) sp. T
N−3株由来のエチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸:エ
チレンジアミンリアーゼ遺伝子に関する。
される。 (1) TN−3株染色体DNAの調製 TN−3株より染色体DNAを分離、調製する。
チレンジアミンリアーゼタンパクを精製する。
内部ペプチドのアミノ酸配列の分析
より塩基配列を推定して2種の合成DNAを作製した。
この合成DNAをプライマーとし、TN−3株染色体D
NAを鋳型としてポリメラーゼ伸長反応を行い、エチレ
ンジアミン-N,N'-ジコハク酸:エチレンジアミンリアー
ゼ遺伝子の一部が増幅されたDNA断片を得る。
pUC18に挿入してライブラリーとする。
体DNAの選別 工程(5) で作製したDNAライブラリーによる大腸菌形
質転換体を作製し、工程(4) で作製したDNA断片をプ
ローブとしたコロニーハイブリダイゼーション法により
目的の組換え体DNAを含む形質転換体を選別する。
る。
アミン-N,N'-ジコハク酸:エチレンジアミンリアーゼ遺
伝子領域の特定 工程(7) で得られたプラスミドについて制限酵素地図を
作製し、プローブがハイブリダイズする領域を特定す
る。
TN−3(FERM BP-5886)として、工業技術院生命工学工
業技術研究所に寄託されており、その菌学的性質は下記
のとおりである。
る。ただし、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。
-N,N'-ジコハク酸、0.2%グルコース、0.1%バクトイース
トエキス、 0.05%ポリペプトン、0.1%硫酸マグネシウム
・7水塩、25%(v/v)燐酸緩衝液(1M 、pH 7.0) 、0.5%(v
/v) 金属塩混合物溶液(硫酸ナトリウム 56g、塩化マグ
ネシウム・6水塩 8g 、塩化カルシウム0.8g 、硫酸マ
ンガン・4水塩 0.6g 、塩化第二鉄・6水塩 0.12g、硫
酸亜鉛 0.06g/100ml)中、30℃にて4日間振盪培養した
後集菌し、この菌体を Saline-EDTA溶液(0.1M EDTA、15
M NaCl、pH 8.0) 4ml に懸濁し、リゾチーム 8mgを加え
て37℃で1時間振盪した後凍結した。次に、10mlの Tri
s-SDS 液(1%SDS、0.1M NaCl 、0.1M Tris 、pH 9.0) を
穏やかに振盪しながら加え、さらにプロテイナーゼK
(メルク社)(終濃度 1mg) を加え37℃で1時間振盪し
た。次に、等量のTE飽和フェノールを加え撹拌後(TE:10
mM Tris 、1mM EDTA、pH 8.0) 遠心し、上層を採り2倍
量のエタノールを加えた後ガラス棒でDNAを巻きと
り、90% 、80% 、70% のエタノールで順次フェノールを
取り除いた。次に、DNAを 3mlのTE緩衝液に溶解さ
せ、リボヌクレアーゼ A溶液(100℃、15分間の熱処理済
み)を 10mg/mlになるように加え37℃で30分間振盪し
た。さらにプロテイナーゼ Kを加え37℃で30分間振盪し
た後、等量のTE飽和フェノールを加え遠心し上層と下層
に分離させた。上層についてこの操作を2回繰り返した
後、同量のクロロフォルム (4%イソアミルアルコール含
有)を加え同様の抽出操作を繰り返した(以後この操作
をフェノール処理と呼ぶ)。その後上層に2倍量のエタ
ノールを加えガラス棒でDNAを巻き取り回収し、染色
体DNA標品を得た。
した後集菌し、10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 8.0 、
1mM ジチオスレイトール含有)100ml に懸濁し、超音波
破砕機で菌体を破砕し、12,000rpm で20分間遠心分離し
た。得られた上澄に 30%飽和となるように硫酸アンモニ
ウムを添加し、4℃にて30分間静置後遠心分離した。得
られた上澄に 60%飽和となるように硫酸アンモニウムを
添加し4℃にて30分間静置後遠心分離した。得られた沈
殿を10mlの10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 8.0 、1mM
ジチオスレイトール含有)に溶解し、部分精製酵素液と
した。この部分精製酵素液をイオン交換クロマトグラフ
ィーでさらに精製した。すなわち、1mM ジチオスレイト
ールを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 8.0)で緩衝
化した DEAE-sephacryl (ファルマシア社製)を充填し
たカラム(φ10mm×20cm) に、部分精製酵素液を流し吸
着させた。40mlの同緩衝液でカラムを洗浄した後、 0〜
0.6M KClの直線勾配で本酵素を溶出させ、2ml づつ分画
した。エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸:エチレンジ
アミンリアーゼ活性の認められた画分を集めて精製酵素
液とした。この画分をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気
泳動により分析したところ分子量約6万のほぼ均一な一
本のバンドが検出された。
内部ペプチドのアミノ酸配列の分析 (2) の工程で得られた精製酵素を直接、あるいは tryps
inで消化後SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動でポリ
ペプチドを分画し、PVDFメンブレン(ImmobilonPsq(ミ
リポア社))にエレクトロブロッティングした。ブロッ
ティングしたメンブレンをクマシーブリリアントブルー
で染色し、染色されたバンドを切り取りアミノ酸配列の
分析に供した。アミノ酸配列の分析は島津製作所製 PSQ
-1型アミノ酸分析装置により行った。結果を以下に示
す。
子量約6万);(Met-)Thr-Pro-His-Asn-Pro-Asp-Ala b)trypsin 部分分解物:(分子量約5万);Glu-Ile-Gl
y-Ser-Val-Gly-Lys-Met-Glu-Ile-Gly-Arg-Xaa-Ala-Asn-
Asp-Leu-Arg-Asn-Arg c)trypsin 部分分解物:(分子量約1万);Ala-Ser-Gl
y-Ala-Lys-Ala-Pro-Glu-Phe-Gln-Glu-Leu-Tyr-Asp-Phe-
Glu-Ala-Ala-Xaa-Leu-Xaa-Leu 〔( )内は分画したペプチドの分子量を示し、Xaa は
分析上特定できなかったアミノ酸を示す〕
4および5に示されるような合成DNAを作成してプラ
イマー(#1 および #2)とし、(1) の工程で得られたTN
−3株の染色体DNAを鋳型としてポリメラーゼ連鎖反
応を行った。すなわち、TN−3株染色体DNA 1μl
、10倍濃度の反応緩衝液 10μl 、10mM dNTP 4μl
、プライマー #1 、#2各々 1μl(100pmol 濃度相当)E
xTaq (宝酒造株式会社) 1μl を加えて100 μl とし
た。この溶液について、95℃、30秒間(変性ステッ
プ)、55℃、30秒間(アニーリングステップ)、72℃、
2分間(伸長ステップ)のインキュベーションを30サイ
クル行った。反応終了後、クロロフォルム抽出を3回行
い、エタノール沈殿により増幅されたDNAを回収し
た。これを1.0%アガロース電気泳動で分離後、TN−3
株のエチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸:エチレンジア
ミンリアーゼ遺伝子をコードすると考えられる約300bp
のDNA断片を得た。こうして得られたDNA断片をDI
G DNA Labeling kit(ベーリンガー・マンハイム株式会
社)を用いて標識し、プローブとした。
応用緩衝液 5μl 、滅菌水 33μl 、制限酵素 KpnI 2
μl を加え、37℃にて16時間反応させた後エタノール沈
殿によりDNAを回収した。アガロース電気泳動を行
い、6.5Kb から 5.5KbのDNA断片をゲルから切り出
し、DNA PREP(株式会社ダイヤトロン)を用いて回収し
た。このDNA断片をライゲーションキット(宝酒造株
式会社)を用いて大腸菌ベクター pUC18の KpnI 部位に
挿入し、組換え体DNAライブラリーを作製した。
ように作製した。pUC18 保存液 2μl に対し、10倍濃度
制限酵素用緩衝液 5μl 、滅菌水 40μl 、制限酵素 K
pnI3μl を加え、37℃で2時間反応後、フェノール処
理、エタノール沈殿させた後乾燥して50μl の滅菌水に
溶解させた。さらにアルカリフォスファターゼ(宝酒造
株式会社) 1μl 、10倍濃度緩衝液 10μl 、滅菌水
39μl を加え65℃で反応後フェノール処理、エタノール
沈殿を行い乾燥して滅菌水に溶解させた。
体DNAの選別 大腸菌 JM109株をLB培地(1% バクトトリプトン、0.5%バ
クトイーストエキス、0.5% NaCl) 1mlに接種し37℃、5
時間好気的に前培養し、この培養物 100mlを SOB培地 4
0ml(2%バクトトリプトン、0.5%バクトイーストエキス、
10mM NaCl 、2.5mM KCl 、1mM MgSO4 、1mM MgCl2 ) に
加え、18℃で20時間培養した。この培養物を遠心分離に
より集菌した後、冷TF溶液(20mM PIPES-KOH(pH 6.0) 、
200mM KCl 、10mM CaCl2 、40mM MnCl2 ) を13ml加
え、0℃で10分間放置後、再度遠心し、上澄を除いた
後、沈殿した大腸菌を冷TF溶液 3.2mlに懸濁し、0.22ml
のジメチルスルフォキシドを加え0℃で10分間放置し
た。こうして作製したコンピテントセル 200μl に工程
(5) で作製した組換え体プラスミドを含有する溶液(D
NAライブラリー)を10μl 加え、0℃で30分放置後、
42℃で30秒間ヒィートショックを与え0℃で2分間冷却
後、SOC 培地(20mM グルコース、2%バクトトリプトン、
0.5%バクトイーストエキス、10mM NaCl 、2.5mM KCl 、
1mM MgSO4 、1mM MgCl2 )1ml を添加して37℃にて1時
間振盪培養した。これを 200μl ずつアンピシリン 100
μg/ml含有のLB寒天培地にまき、37℃で培養した。寒天
培地上に生育した形質転換体コロニーについてコロニー
ハイブリダイゼーション法にてエチレンジアミン-N,N'-
ジコハク酸:エチレンジアミンリアーゼ遺伝子を持つ形
質転換体を選別した。すなわち、寒天培地上に生育した
形質転換体をナイロンメンブレン(バイオダイン A:日
本ポール株式会社)上に移し、菌体を溶かしてDNAを
固定した後、これを工程(4) で作製したプローブ(約30
0bp)で処理し、DIG Luminescent Detection Kit (ベー
リンガー・マンハイム株式会社)を用い、目的の組換え
体DNAを持つコロニーを選択した。
℃で一晩培養し、集菌後滅菌水により洗浄し、溶液I(2m
M グルコース、10mM EDTA 、25mM Tris-HCl(pH8.0) を
5ml、リゾチームを25mg加え、0℃で30分間放置した。
溶液II(1N-NaOH、5%SDS)を 10ml 加え0℃で5分間放置
し、溶液III(3M酢酸ナトリウム(pH 4.8))を 7.5ml加え
0℃で30分間放置した。これを遠心し、その上澄に50ml
のエタノールを加え、さらに遠心し上澄を取り除き 5ml
の溶液IV(10mM 酢酸ナトリウム、50mM Tris-HCl(pH8.0)
)とリボヌクレアーゼ A溶液(10mg/ml)2.5μl を加え室
温で20分間放置した。これに12mlのエタノールを加え、
遠心によりプラスミドを回収、70% エタノールでリンス
し、乾燥後 0.4mlの滅菌水に溶解した。こうして得られ
た組換え体プラスミドを pEDS001と名付けた。
アミン-N,N'-ジコハク酸:エチレンジアミンリアーゼ遺
伝子領域の特定 工程(7) で得られたプラスミド pEDS001を数種の制限酵
素を用いて切断し制限酵素地図を作製した(図1)。さ
らに、通常行われるようにサブクローニングを行った。
すなわち、pEDS001 を制限酵素 KpnI と BamHIとで切断
し、pUC18 を同制限酵素で切断したものとライゲーショ
ンし、大腸菌 JM109株を形質転換することにより、約3.
9Kb の断片が挿入されたプラスミド(pEDS002) (図2)
と約2.6Kb の断片が挿入されたプラスミド(pEDS003)
(図3)を得た。各々のプラスミドについて制限酵素 B
amHI、EcoRI 、SacI、SalIなどで切断後、アガロース電
気泳動を行い、サザンハイブリダイゼーション法により
プローブがハイブリダイズする断片を特定した。
ア社蛍光シーケンサ ALFIIを用いて決定した。その結
果、配列番号2に示される塩基配列が得られ、配列番号
1に示されるアミノ酸配列を持つオープンリーディング
フレームが見いだされた。アミノ酸配列データーベース
NBRF(National Biomedical Research Foundation)との
比較の結果、本遺伝子は delta-crystallin あるいは a
rgininosuccinate lyase と20〜30% のホモロジーを有
しており、両酵素にはともにフマル酸とアミン(アミノ
酸)の縮合あるいは分解反応を触媒する活性が知られて
いる。また、このオープンリーディングフレームの塩基
配列を配列番号3に示した。
ジコハク酸:エチレンジアミンリアーゼ遺伝子を有する
組換え体プラスミドpEDS003 2μlに対し、10倍濃度制限
酵素用緩衝液 2μl 、滅菌水 15μl 、制限酵素 Kpn
I 1μl を添加し、37℃にて2時間反応させた。エタノ
ール沈殿によりプラスミドを回収し、乾燥後 17μl の
滅菌水、2μl の10倍濃度制限酵素緩衝液、制限酵素 Ba
mHI 1μlを添加して37℃にて2時間反応させた。この反
応液からアガロース電気泳動により約2.6Kb の断片を調
製し、大腸菌ベクター pUC119 に挿入した。作製したラ
イゲーション溶液を用いて大腸菌 JM109を形質転換して
目的のプラスミドを得た。ここで作製したプラスミドを
pEDS020と、また形質転換体を JM109/pEDS020と名付け
た。JM109/pEDS020 をアンピシリン 50mg/L 含有するLB
培地 1mlに接種して37℃にて8時間振盪培養後、40mlの
LB培地(50mg/L アンピシリン、1mM isopropyl-β-thiog
alactosideを含有)で37℃、30時間培養した。得られた
培養物を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 8.0)で洗浄
後、2ml の同緩衝液に懸濁した。得られた菌体懸濁液の
一部を 342mMフマル酸と 171mMエチレンジアミンを含む
pH 8.0の水溶液50ml に懸濁し24時間反応させた。反応
液から菌体を遠心分離により除いた後、HPLCを用いて生
成したエチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸を分析した
(WAKOSIL5C8 (和光純薬)〔溶出液;10mM水酸化テト
ラ-n- ブチルアンモニウムと0.4mMCuSO4 を含む50mM燐
酸pH 2〕)。その結果、50mMのS,S-エチレンジアミン-
N,N'-ジコハク酸が生成していた。なお、エチレンジア
ミン-N,N'-ジコハク酸:エチレンジアミンリアーゼ遺伝
子を含むプラスミド pEDS020(図4)はこれを含有する
形質転換体 E. coli JM109/pEDS020(FERM BP-6161)とし
て、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されてい
る。
エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸:エチレンジアミン
リアーゼ遺伝子によるジアミノアルキレン-N,N'-ジコハ
ク酸の製造では、菌体内に同遺伝子を多コピー存在させ
ることができるため、微生物の触媒能力を飛躍的に増大
させることが期待できる。
し、ACGTの何れの塩基でも代替しうる)
R は Aまたは Gを表す。I はイノシンを示しACGTの何れ
の塩基でも代替しうる)
ミド(pEDS001) を制限酵素 KpnI 、BamHI で切断して得
た約3.9kb の断片を pUC18に挿入。
ミド(pEDS001) を制限酵素 KpnI 、BamHI で切断して得
た約2.6kb の断片を pUC18に挿入。
ミド(pEDS003) を制限酵素 KpnI 、BamHI で切断して得
た約2.6kb の断片を pUC119 に挿入。
Claims (6)
- 【請求項1】 エチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸:エ
チレンジアミンリアーゼ活性を有し、配列番号1で示さ
れるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードする遺
伝子DNA。 - 【請求項2】 ポリペプチドをコードする遺伝子が配列
番号2の塩基配列からなる請求項1記載の遺伝子DN
A。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載のエチレンジアミ
ン-N,N'-ジコハク酸:エチレンジアミンリアーゼ活性を
有するポリペプチドをコードする遺伝子を含む組換えプ
ラスミド。 - 【請求項4】 請求項3記載のプラスミドにより形質転
換された形質転換微生物。 - 【請求項5】 請求項4記載の形質転換微生物を用いた
ジアミノアルキレン-N,N'-ジコハク酸の製造法。 - 【請求項6】 配列番号4および5に示されるDNAを遺
伝子増幅操作におけるプライマーとして用いる請求項1
記載のエチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸:エチレンジ
アミンリアーゼ活性を有するポリペプチドをコードする
遺伝子DNAの単離方法。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06007797A JP3370545B2 (ja) | 1996-11-29 | 1997-02-28 | エチレンジアミン−n,n’−ジコハク酸:エチレンジアミンリアーゼ活性を有するタンパク質およびその遺伝子 |
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EP97309601A EP0845536B1 (en) | 1996-11-29 | 1997-11-27 | Protein having ethylenediamine-N,N'-disuccinic acid: ethylenediamine lyase activity and gene encoding the same |
TW086117867A TW505695B (en) | 1996-11-29 | 1997-11-27 | Protein having ethylenediamine-n, n'-disuccinic acid: ethylenediamine lyase activity and gene encoding the same |
KR1019970064575A KR100500978B1 (ko) | 1996-11-29 | 1997-11-29 | 에틸렌디아민-n,n'-디숙신산:에틸렌디아민리아제활성을가진단백질및그를암호화하는유전자 |
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Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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