JP3994821B2 - 車両用通信システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載された各種電気的装置間でデータを送受信するのに使用される車両用通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両、特に自動車においては、制御装置、情報機器、オーディオ機器、といった各種電気的装置の搭載数が増加しており、電気的装置相互間での連係動作若しくはデータの共有化が必要になってきている。
【0003】
このため、従来では、車両に搭載された各種電気的装置の内、連係動作若しくはデータの共有が必要な電気的装置については、各装置間でデータを送受信できるように、各装置内にデータ通信用の回路を組み込み、これらを通信線で接続することで、所謂車載ネットワーク(車載LAN)を構築している。
【0004】
また、こうした車載ネットワークは、通常、エンジン、自動変速機、ブレーキ等を制御する制御装置間を接続する制御系、ドアのロック・アンロック、空調装置等を制御する制御装置間を接続するボデー系、というように、車両に搭載される各種電気的装置を機能・系統別に区分し、その区分した各グループ毎に構築される。
【0005】
ところで、これら車載ネットワークは、通信線が断線・短絡した場合は勿論のこと、ネットワーク内にノイズが侵入した際にも、データ通信が正常に行えなくなる。
そこで、従来では、例えば、特許第2922004号公報に開示されているように、通信線を2系統とし、ネットワークを構成している装置の内、重要な装置には、全ての装置に接続された第1の通信線を介して通信を行う常用の通信回路と、重要な装置にのみ接続される第2の通信線を介して通信を行う予備の通信回路とを設け、第1の通信線若しくは常用の通信回路に異常があると、その状態を監視する監視装置が、重要な装置が通信に使用する通信回路を、予備の通信回路に切り換えることで、データ通信を継続できるようにすることが提案されている。
【0006】
つまり、この提案のシステムでは、第1の通信線を利用したデータ通信に異常があると、監視装置が、重要な装置に対して、データ通信を予備の通信回路を用いて行うように指示すると共に、予備の通信回路に接続された第2の通信線と第1の通信線との間でデータを中継することで、重要な装置でのデータ通信を通常通り実行できるようにするのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記提案のシステムは、ネットワークの重要な部分だけを二重系にして、監視装置の管理の下に、データ通信に使用する通信線を切り換える、所謂集中監視型のシステムであるため、監視装置自体が故障するか、或いは、監視装置と各通信線との接続部分が断線すると、第1の通信線を利用したデータ通信の異常時に、データ通信に使用する通信線を第1の通信線から第2の通信線に切り換えることができず、第2の通信線を利用したバックアップ通信を実現することができなくなってしまうという問題があった。
【0008】
また、上記提案のシステムでは、ノイズの侵入等によって第1の通信線での通信異常が一時的に発生した場合であっても、その異常を監視装置が検出すると、データ通信に用いる通信線が、第1の通信線から第2の通信線に切り換えられてしまい、その後は、第1の通信線を利用したデータ通信に自動で復帰することができない。このため、通信線の切換後に、第2の通信線でのデータ通信に異常が発生した場合には、第1の通信線を利用したデータ通信が可能であるにもかかわらず、各装置間でのデータ通信が実行できなくなってしまう、という問題もある。
【0009】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、車両に搭載された複数の電気的装置を通信線を介して接続してなる車両用通信システムにおいて、通信状態監視用の集中監視装置を用いることなく、データ伝送路の異常によって各装置間でデータ(特に重要データ)を送受信できなくなるのを防止することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、大きく分けて、請求項1〜請求項9に記載の車両用通信システム(第1発明)と、請求項10〜請求項19に記載の車両通信システム(第2発明)との、2種類となる。
【0011】
第1発明の車両用通信システムは、請求項1〜請求項3に記載のように、車両に搭載された各種電気的装置に、夫々、異なる通信線を使って同じデータを送受信する複数の通信手段を設けることにより、通信線を用いて構築されるネットワークを二重系若しくはそれ以上の多重系にしたものである。
【0012】
そして、第1発明では、この多重系のネットワークを構築するために各電気的装置に設けられる複数の通信手段の各々が同一データを並列に送受信し、しかも、各電気的装置では、選択手段が、その複数の通信手段が受信した受信データの中から正常なデータを選択するようにされている。
【0013】
つまり、第1発明の車両用通信システムは、各電気的装置が一つのデータを複数の通信線を用いて送受信し、そのデータを受信する電気的装置側で、各通信線を介して得られる複数のデータの中から正常なデータを選択する、所謂分散監視型のシステムとして構成されている。このため、上述した集中監視型の従来システムのように、主としてデータ通信に使用される通信線でのデータ通信を監視する監視装置を用いることなく、その通信線に異常が発生した際のバックアップ通信を実現できる。
【0014】
また、この第1発明の車両用通信システムにおいては、ノイズの侵入等によって正常なデータ通信ができない通信線が変化したとしても、データを受信する電気的装置側では、選択手段が、正常に受信できたデータを受信データとして選択するので、上述した集中監視型の従来システムに比べて、データ通信の信頼性を向上することができる。
【0015】
また、第1発明の車両用通信システムでは、データ通信に用いる通信線を単に複数にするのではなく、各電気的装置において、その複数の通信線の一つに接続される通信手段を、他の通信手段よりも遅い通信速度でデータ通信を行う低速通信手段とすることにより、複数の通信線の一つを低速通信用の通信線としている。従って、この低速通信用の通信線にて構成されるネットワークでのデータ通信の信頼性を、他の通信線にて構成されるネットワークよりも高くすることができる。
【0016】
よって、第1発明の車両用通信システムによれば、例えば、各電気的装置の選択手段によって、通常は、高速通信可能な通信手段により得られた受信データを他の電気的装置からの送信データとして選択し、その通信手段によるデータ通信に異常が生じた時にだけ、低速通信手段を介して得られた受信データを他の電気的装置からの送信データとして選択する、といったことができるようになる。つまり、本第1発明によれば、通常時のデータの伝送速度を低下させることなく、データ通信の信頼性を向上することができるのである。
【0017】
ところで、第1発明では、データ通信の信頼性を確保するために、各ネットワークを構成する複数の通信線の内の一つに、他の通信線よりも低速でデータを流すことから、この低速のネットワークで伝送可能な最大のデータ量は、他のネットワークで伝送可能な最大のデータ量よりも少なくなってしまう。
【0018】
そこで、請求項1に記載の車両用通信システムにおいては、各電気的装置が他の電気的装置にデータを送信する際には、送信データが、送信先の電気的装置の動作に最低必要である予め定められた重要データであるか否かを判定し、送信データが重要データである場合には、低速通信手段を含む複数の通信手段を介してデータ送信を行い、送信データが重要データでない場合には、低速通信手段以外の通信手段を使用してデータ送信を行うように構成している。
【0019】
つまり、このようにすれば、通常時には、高速通信可能な通信手段によって送受信される大量のデータを利用して車両制御を高速且つ高精度で行い、高速通信可能な通信手段によるデータ通信に異常が生じた時にだけ、低速通信手段によって送受信される重要データを用いて車両制御を行う、といったことができるようになる。
【0020】
またこのように、低速通信手段が送受信するデータを重要データに制限する場合、その重要データとしては、単に、低速通信手段とは異なる他の通信手段が送受信するデータの一部としてもよいが、例えば、電気的装置から他の電気的装置により制御される制御対象へと、その制御対象を直接駆動するための駆動データを、低速通信手段を介して直接伝送するようにしてもよい。
【0021】
そして、第1発明の車両用通信システムをこのように構成するために、請求項2に記載の車両用通信システムには、第1制御装置が設けられている。
即ち、請求項2に記載の第1制御装置においては、演算手段が制御対象の駆動データを演算し、駆動手段が、その演算手段により演算された駆動データに従い制御対象を駆動するが、演算手段に異常が生じた際には、駆動データ切換手段が、駆動手段に入力する駆動データを、演算手段にて演算された駆動データから、駆動データ受信手段が受信した駆動データ(他の電気的装置の低速通信手段から重要データとして送信されてきた駆動データ)に切り換える。
【0023】
従って、請求項2に記載の車両用通信システムによれば、高速通信可能な通信手段によるデータ通信に異常が発生した場合だけでなく、第1制御装置において制御対象の駆動データを演算する演算手段に異常が発生した場合(例えば、演算手段を構成しているマイクロコンピュータに異常が発生した場合等)にも、低速通信可能な通信線を介して送受信される重要データに基づき、制御対象を動作させることが可能となり、車両制御系での誤制御を防止し、車両走行時の安全性及び車両制御系の信頼性をより向上することができる。
【0024】
一方、第1発明の車両用通信システムにおいて、低速通信手段がデータ通信に用いる通信線としては、データ通信専用の信号線を用いてもよいが、このようにすると、車両に配線する信号線(通信線)の数が増加する。
そこで、請求項3に記載の車両用通信システムにおいては、低速通信手段がデータ通信に用いる通信線として、車載電源から各電気的装置に電源供給を行うために車両に既に配線されている電源線を用いる。
【0025】
そして、このようにすれば、低速通信手段により構成される低速のネットワークを構築するに当たって、専用の通信線を配線する必要がないので、第1発明の車両用通信システムをより安価に実現できる。
なお、このように、低速のネットワークを電源線を用いて構築する場合には、請求項4に記載のように、電気的装置の一つとして、車載電源から各電気的装置を含む車載装置への電源供給状態を監視し、その監視結果を、低速通信手段を含む複数の通信手段を介して他の電気的装置に送信する電源監視装置を設けるとよい。
【0026】
つまり、電源線には、電源線を介して電源供給を受ける車載装置(モータ等)の動作状態に応じて電圧変動が生じ、また、車載装置が発生する高周波ノイズも重畳されることから、こうした電源供給状態を電源監視装置で監視して、その情報をネットワークを介して他の電気的装置に送信するようにすれば、各電気的装置側で、電源線を使ったデータ通信の状態を把握して、そのデータ通信の信頼性が低下している場合に、低速通信手段を介して得られる受信データを利用しないようにする、といったことを行うことができるようになり、車両用通信システム全体のデータ通信の信頼性をより向上することができる。
【0027】
また、第1発明(請求項1〜請求項4)の車両用通信システムには、更に、請求項5に記載の第2制御装置を設けてもよい。
つまり、この第2制御装置においては、演算手段が、低速通信手段を含む複数の通信手段の何れかを介して他の電気的装置から取得したデータに基づき制御対象の駆動データを演算し、駆動手段が、その演算された駆動データに従い制御対象を駆動するが、演算手段に異常が生じた際には、駆動データ切換手段が、駆動手段に入力する駆動データを、演算手段にて演算された駆動データから、駆動データ受信手段が受信した駆動データ(他の電気的装置の低速通信手段から重要データとして送信されてきた駆動データ)に切り換えることから、請求項2に記載の第1制御装置と同様の効果を得ることができる。
次に、第1発明(請求項1〜請求項5)の車両用通信システムにおいては、各電気的装置に低速通信手段を含む3個以上の通信手段を設けて3種以上のネットワークを構築するようにしてもよいが、ネットワークの数が多くなるほど、システムのコストアップを招くことから、各電気的装置には、低速通信手段とは異なる他の通信手段として一つの高速通信手段を設けて、2種類のネットワークを構築するようにすればよい。
【0028】
そして、このようにデータ通信用のネットワークを二重系にした場合には、請求項6に記載のように、各電気的装置に設けられる選択手段を、高速通信手段によるデータ通信が正常か否かを判定し、高速通信手段によるデータ通信が正常である場合には、高速通信手段により得られた受信データを他の電気的装置からの送信データとして選択し、高速通信手段によるデータ通信に異常がある場合には、低速通信手段により得られた受信データを他の電気的装置からの送信データとして選択するように構成すればよい。
【0029】
つまり、このようにすれば、上述したように、通常時には、高速通信可能な通信手段により得られた受信データを他の電気的装置からの送信データとして利用し、その通信手段によるデータ通信に異常が生じた時にだけ、低速通信手段を介して得られた受信データを他の電気的装置からの送信データとして利用することが可能となり、通常時のデータの伝送速度を低下させることなく、データ通信の信頼性を向上することができる。
【0030】
尚、選択手段が高速通信手段によるデータ通信の正常・異常を判定する際には、高速通信手段が接続される通信線の電位や通信線に流れる信号(データ)の有無等から、通信線のハード的な故障(つまり断線・短絡)を検出するようにしてもよく、或いは、更に、高速通信手段を介して得られた受信データをチェックすることにより、受信データ自体の異常を検出するようにしてもよい。
【0031】
また、受信データをチェックするに当たっては、例えば、通信線に定期的にチェック用の信号を流すようにし、選択手段では、その定期信号を所定時間以上受信できない場合に、受信データの異常を判定するようにしてもよく、或いは、各電気的装置から定期的にチェック用の特定のデータを送るようにし、選択手段では、そのデータを受信信号から所定時間以上復元できない場合に、受信データの異常を判定するようにしてもよく、或いは、各電気的装置から、チェック用のコード(例えばCRC)を付与したデータを送信するようにし、選択手段では、そのチェック用のコードを用いて受信データの異常を判定するようにしてもよく、更に、これらのチェックを組み合わせて行うようにしてもよい。
【0032】
一方、上記のようにデータ通信用のネットワークを二重系にする場合、請求項7に記載のように、高速通信手段が、低速通信手段が送受信するデータと同じデータを時分割にて複数回送受信し、選択手段が、高速通信手段が複数回受信した受信データの各々と低速通信手段により得られた受信データとの多数決をとることにより、複数の受信データの中から正常な受信データを選択するようにしてもよい。
【0033】
つまり、車両において最も発生しやすいデータ通信の異常は、外乱ノイズによってデータの一部がデータ化けを起こすことであることから、請求項7に記載のように、高速通信手段にて同じデータを複数回送受信し、その結果得られる受信データと低速通信手段で得られた受信データとの多数決をとることにより正常な受信データを選択するようにしても、データ通信の信頼性を向上することができる。但し、この技術は、データの送受信に要する時間が長くなるので、高速通信が要求される制御系のネットワークではなく、高速通信が要求されないボデー系のネットワークで採用するとよい。
【0034】
尚、第1発明(請求項1〜請求項5)の車両用通信システムを実現するに当たって、例えば、各電気的装置に低速通信手段を含む3個の通信手段を設けて、3つのネットワークを構築した場合は、各通信手段を介して得られる3つの受信データの多数決をとることにより、正確な受信データを得るようにしてもよい。
【0035】
次に、第1発明(請求項1〜請求項7)の車両用通信システムにおいては、当該システムを構成する各電気的装置に、低速通信手段を含む複数の通信手段が設けられることになるが、例えば、端子の接続不良等によって、何れかの通信手段への送信データの入力経路に異常が生じた場合には、この通信手段を介して他の電気的装置にデータを送信することができなくなってしまう。
【0036】
そして、このような場合、各電気的装置側で、各通信手段への送信データの入力経路の異常を判定し、異常発生時には、他の電気的装置にその旨を報知するようにすれば、他の電気的装置が、送信データの入力経路に異常が生じた通信手段からのデータを受信する不要な受信動作を実行するのを防止することができる。
【0037】
そこで、第1発明(請求項1〜請求項7)の車両用通信システムにおいては、更に、請求項8に記載のように、電気的装置の少なくとも一つ(好ましくは全ての電気的装置)に、低速通信手段を含む複数の通信手段に他の電気的装置への送信用のデータとして入力された送信データを夫々取り込み、各送信データが正常か否かを判断して、送信データに異常があった際には、該異常があった通信手段への送信データの入力経路に異常があると判断する経路異常判定手段と、この経路異常判定手段にて何れかの通信手段への送信データの入力経路に異常があると判断されると、その旨を表す情報を送信データとして入力経路の正常な通信手段へ出力することにより、正常な通信手段を介して他の電気的装置にその旨を報知する経路異常報知手段と、を設けることが望ましい。
また、第1発明(請求項1〜請求項8)の車両用通信システムにおいて、低速通信手段が送受信するデータとしては、請求項9に記載のように、ヘッドランプの点灯・消灯を指令する指令データ、ドアロック・アンロックの指令データ、ワイパーの作動・停止を表す指令データ、エンジンの始動を許可するイモビ信号、車両の衝突を通知するための衝突検出信号、及び、車両走行時の車両の運動状態を表す車両運動状態信号、の何れか一つを含むようにするとよい。
【0038】
次に、第2発明の車両用通信システムは、請求項10〜請求項12に記載のように、車両に搭載された各種電気的装置にネットワーク専用の通信線を介してデータ通信を行う第1通信手段を設けることにより各電気的装置間でデータを送受信できるようにした車載ネットワークを、各電気的装置の機能・系統別に複数備えた車両用通信システムに関するものである。
【0039】
そして、この第2発明の車両用通信システムでは、各車載ネットワークを構成する電気的装置の各々に、車両に配線された各車載ネットワーク共通のバックアップ用通信線を介してデータ通信を行う第2通信手段を設け、各電気的装置が、第1通信手段を介して他の電気的装置との間で送受信するデータの内、予め定められた重要データを、第2通信手段を介して送受信(所謂バックアップ通信)し、更に、選択手段が、第1通信手段及び第2通信手段を介して得られる重要データの中から正常な重要データを選択するようにしている。
【0040】
つまり、第2発明の車両用通信システムは、各電気的装置が重要データを2系統の通信線を用いて送受信し、その重要データを受信する電気的装置側では、第1通信手段及び第2通信手段を介して得られる重要データの中から正常な重要データを選択する、分散監視型のシステムとして構成されている。
【0041】
このため、この第2発明の車両用通信システムにおいても、第1発明のシステムと同様、上述した集中監視型の従来システムのように、主としてデータ通信に使用される通信線でのデータ通信を監視する監視装置を用いることなく、その通信線に異常が発生した際のバックアップ通信を実現でき、しかも、集中監視型の従来システムに比べて、データ通信の信頼性を向上することができる。
【0042】
つまり、第2発明の車両用通信システムによれば、車両において機能・系統別に構築された複数の車載ネットワークで夫々送受信されるデータの内、重要データを、各車載ネットワーク共通のバックアップ用通信線を介して、二重に送受信(バックアップ通信)するので、何れかの車載ネットワークでデータ通信に異常が生じたとしても、その車載ネットワークで送受信される重要データについては、その重要データを必要とする電気的装置に確実に伝送できることになり、データ通信の信頼性を向上することができるのである。
【0043】
また第2発明では、バックアップ用通信線を、車両に構築された複数の車載ネットワークで共用するため、各車載ネットワーク毎にバックアップ用通信線を設けた場合に比べて、車両に配線される通信線の数を少なくし、低コストで実現できる。
そして、特に、請求項10に記載の車両用通信システムにおいては、各電気的装置が他の電気的装置にデータを送信する際、送信データが、送信先の電気的装置の動作に最低必要である予め定められた重要データであるか否かを判定し、送信データが重要データである場合には、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を介してデータ送信を行い、送信データが重要データでない場合には、前記第1通信手段を使用してデータ送信を行うことから、バックアップ用通信線には、各電気的装置の動作に最低必要なデータだけを選択的に流すことができる。
【0044】
一方、請求項11に記載の車両用通信システムにおいては、バックアップ用通信線として、車載電源から各電気的装置に電源供給を行うために車両に配線された電源線が用いられる。このため、通信専用のバックアップ用通信線を別途配線する必要がないので、より低コストに実現できることになる。
【0045】
また、請求項12に記載の車両用通信システムには、電気的装置の一つとして第1制御装置が設けられている。そして、この第1制御装置においては、演算手段が制御対象の駆動データを演算し、駆動手段が、その演算手段により演算された駆動データに従い制御対象を駆動するが、演算手段に異常が生じた際には、駆動データ切換手段が、駆動手段に入力する駆動データを、演算手段にて演算された駆動データから、駆動データ受信手段が受信した駆動データ(他の電気的装置の第2通信手段からバックアップ用通信線を介して送信されてきた駆動データ)に切り換える。
【0046】
従って、請求項12に記載の車両用通信システムによれば、何れかの車載ネットワークで第1通信手段によるデータ通信に異常が発生した場合だけでなく、第1制御装置において制御対象の駆動データを演算する演算手段に異常が発生した場合(例えば、演算手段を構成しているマイクロコンピュータに異常が発生した場合等)にも、バックアップ用通信線を介して送受信される重要データに基づき、制御対象を動作させることができるようになり、車両制御系での誤制御を防止し、車両走行時の安全性及び車両制御系の信頼性を向上できる。
【0047】
ここで、バックアップ用通信線に電源線を用いる場合には、請求項13に記載のように、電気的装置の一つとして、車載電源から各電気的装置を含む車載装置への電源供給状態を監視し、その監視結果を重要データとして、第1通信手段及び第2通信手段を介して他の電気的装置に送信する電源監視装置を設けることが望ましい。
【0048】
そして、このようにすれば、第1発明の請求項4と同様の効果を得ることができる。
但し、第2発明では、複数の車載ネットワークが共通のバックアップ用通信線を使用するので、電源監視装置から全ての車載ネットワークの電気的装置に監視結果を伝送できるようにするには、電源監視装置に、各車載ネットワーク用の通信手段(第1通信手段)を設けるか、或いは、各車載ネットワーク間で監視結果等の重要データを送受信できるようにするためのゲートウェイ機能を有する装置(例えば、後述実施例のドライバーエージェントECU)を設けて、電源監視装置からは、任意の車載ネットワークの第1通信手段を使って、ゲートウェイ機能を有する装置を含む他の電気的装置に監視結果を送信するようにする必要はある。
【0049】
また、バックアップ用通信線は、各車載ネットワークで伝送される重要データを伝送するものであり、このバックアップ用通信線にて構築されるバックアップ用ネットワークで通信異常が頻繁に発生するようであると、データ通信の信頼性が低下してしまうことから、このバックアップ用ネットワークでのデータ通信の信頼性は、他の車載ネットワークよりも高くすることが望ましく、そのためには、請求項14に記載のように、バックアップ通信を行う第2通信手段を、第1通信手段よりも遅い通信速度で重要データの送受信を行うように構成するとよい。
【0050】
また、第2発明(請求項10〜請求項14)の車両用通信システムには、請求項15に記載の第2制御装置を設けてもよい。
つまり、この第2制御装置においては、演算手段が、第1通信手段又は第2通信手段を介して他の電気的装置から取得したデータに基づき制御対象の駆動データを演算し、駆動手段が、その演算された駆動データに従い制御対象を駆動するが、演算手段に異常が生じた際には、駆動データ切換手段が、駆動手段に入力する駆動データを、演算手段にて演算された駆動データから、駆動データ受信手段が受信した駆動データ(他の電気的装置の第2通信手段からバックアップ用通信線を介して送信された制御対象の駆動データを前記バックアップ用通信線を介して送信されてきた駆動データ)に切り換えることから、請求項12に記載の第1制御装置と同様の効果を得ることができる。
【0052】
次に、第2発明の車両用通信システムでは、複数の車載ネットワークで共通のバックアップ用通信線を用いることにより、重要データの伝送系を二重にしているが、この場合、受信データの選択は、請求項16に記載の選択手段にて行うようにしてもよく、請求項17に記載の選択手段にて行うようにしてもよい。
【0053】
即ち、請求項16に記載の車両用通信システムにおいては、各車載ネットワークを構成する電気的装置に設けられた選択手段が、第1通信手段によるデータ通信が正常か否かを判定し、そのデータ通信が正常である場合には、第1通信手段により得られた受信データを他の電気的装置からの送信データとして選択し、第1通信手段によるデータ通信に異常がある場合には、第2通信手段により得られた受信データを他の電気的装置からの送信データとして選択する。このため、請求項16に記載の車両用通信システムによれば、第1発明の請求項7と同様の効果を得ることができる。
【0054】
また、請求項17に記載の車両用通信システムにおいては、第1通信手段が、第2通信手段が送受信する重要データを複数回送受信するように構成され、選択手段が、この第1通信手段にて複数回受信された重要データの各々と第2通信手段にて受信された重要データとの多数決をとることにより、複数の重要データの中から正常な受信データを選択する。そして、この請求項17に記載の車両用通信システムによれば、第1発明の請求項8と同様の効果を得ることができる。
【0055】
また次に、第2発明(請求項10〜請求項17)の車両用通信システムにおいては、当該システムを構成する全ての電気的装置に、その電気的装置が属する車載ネットワークに対応した第1通信手段と、各車載ネットワーク共通の第2通信手段とが設けられることから、当該第2発明の車両用通信システムにおいても、第1発明の車両用通信システムと同様、各電気的装置において、何れかの通信手段への送信データの入力経路に異常が発生した際には、その旨を他の電気的装置に報知できるようにすることが望ましい。
【0056】
そして、このためには、請求項18に記載のように(換言すれば、第1発明の請求項8と同様に)、電気的装置の少なくとも一つ(好ましくは全ての電気的装置)に、第1通信手段及び第2通信手段に他の電気的装置への送信用のデータとして入力された送信データを夫々取り込み、各送信データが正常か否かを判断して、送信データに異常があった際には、異常があった通信手段への送信データの入力経路に異常があると判断する経路異常判定手段と、この経路異常判定手段にて何れかの通信手段への送信データの入力経路に異常があると判断されると、その旨を表す情報を送信データとして入力経路の正常な通信手段へ出力することにより、正常な通信手段を介して他の電気的装置にその旨を報知する経路異常報知手段と、を設けるとよい。
【0057】
また、第2発明(請求項10〜請求項18)の車両用通信システムにおいて、バックアップ用通信線を介して送受信する重要データとしては、請求項19に記載のように、ヘッドランプの点灯・消灯を指令する指令データ、ドアロック・アンロックの指令データ、ワイパーの作動・停止を表す指令データ、エンジンの始動を許可するイモビ信号、車両の衝突を通知するための衝突検出信号、及び、車両走行時の車両の運動状態を表す車両運動状態信号、の何れか一つを含むようにするとよい。
【0066】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施例を図面と共に説明する。
[第1実施例]
図1は、本発明(第1発明及び第2発明)が適用された第1実施例の車両用通信システムの構成を表す構成図である。
【0067】
図1に示すように、本実施例の車両用通信システムは、エンジンECU12、VSC・ECU14、ACC・ECU16、ECT・ECU18、周辺監視ECU19等をネットワーク専用の通信線L1を介して接続してなる制御系ネットワーク10と、ナビゲーションECU22、オーディオECU24、電話ECU26等をネットワーク専用の通信線L2を介して接続してなる情報系(AVC系)ネットワーク20と、メータECU32、盗難防止ECU34、エアコンECU36等をネットワーク専用の通信線L3を介して接続してなるボデー系ネットワーク30と、を備える。尚、ECUは、マイクロコンピュータを中心として構成された電子制御装置であり、特許請求の範囲に記載の電気的装置に相当する。
【0068】
また、上記各ネットワーク10、20、30の通信線には、ドライバエージェントECU40が接続されている。
ドライバエージェントECU40は、上記各ネットワーク10、20、30間で共有すべきデータを中継する所謂ゲートウェイ装置としての機能を有し、車両の運転席近傍に設けられた表示操作部42や音声認識合成部46を介して運転者による操作指令或いは音声指令が入力されると、その指令内容を表すデータを上記各ネットワーク10、20、30を介して所定のECUに送信する。
【0069】
また、ドライバエージェントECU40は、上記各ネットワーク10、20、30に接続されたECUから運転者に各種案内を行うための表示データ、音声データ、或いは警報データが送信されてくると、そのデータに従い、表示操作部42にメッセージを表示したり、音声認識合成部46から各種案内用の合成音声を発生させたり、或いは、警報部44から警報音を発生させる。
【0070】
尚、制御系ネットワーク10を構成するエンジンECU12は、エンジンを制御するエンジン制御装置であり、ECT・ECU8は、自動変速機の変速制御を行う変速制御装置であり、これらは、所謂パワートレイン系の制御装置である。また、VSC・ECU14は、車両の姿勢制御及び制動制御を行う制御装置であり、ACC・ECU16は、車両を先行車両に追従させる制御を行う走行制御装置であり、これらは所謂車両運動系の制御装置である。また、周辺監視ECU19は、車両周囲の状態を検出する各種センサを備え、そのセンサによる検出結果を上記各ECUに送信するものである。
【0071】
また、AVC系ネットワーク20を構成するナビゲーションECU22は、ナビゲーション装置を制御するものであり、オーディオECU24は、車両に搭載されたラジオやCDドライブ等のオーディオ機器を統合制御するものであり、電話ECU26は、車両に搭載された電話を制御するものである。また、ボデー系ネットワーク30を構成するメータECU32は、車速、エンジン回転数、ドアの開閉状態、変速機のシフトレンジ等、車両の各種状態を表示装置に表示するためのものであり、盗難防止ECU34は、車両状態を監視して、悪意の者が車両内に侵入したり車両内の機器を盗もうとしている場合に、警報を鳴らしたり、外部センタに緊急通報するためのものであり、エアコンECU36は、車両に搭載された空調装置(エアコン)を制御して車室内の温度等を最適にする制御するためのものである。
【0072】
ところで、上記各ECUは、車両に配線された電源線Ldを介して、車載電源であるバッテリ50から電源供給を受けて動作するが、本実施例では、この電源線Ldを上記各ECUが通信線として利用し、各ネットワーク10、20、30で伝送される各種データの内、予め設定された重要データについては、電源線Ldを使って二重に送受信するようにされている。
【0073】
即ち、図2に示すように、上記各ECUには、上述した各種制御を行うための専用回路(内部回路)に加えて、この制御のための演算処理を実行するマイクロコンピュータ(マイコン)2と、マイコン2が予め設定されたプログラムに従い、当該ECUが属するネットワーク上の他のECUと通信線Ln(nは1、2又は3)を介してデータの送受信を行うための第1送受信部4と、電源線Ldに接続された電源IC6とが備えられている。
【0074】
また、電源IC6は、電源線Ldを介してバッテリ50から供給される直流電圧と、この電源線Ldに流れるデータ通信用の高周波信号成分とを、夫々抽出するためのフィルタ部6aと、このフィルタ部6aにより高周波信号成分が除去された直流電圧からECU内の回路を動作させるための直流定電圧Vccを生成する電源部6bと、電源線Ldを介して他のECUとデータ通信を行うための第2送受信部7とから構成され、更に、第2送受信部7は、マイコン2から出力された送信データに基づきデータ通信に用いる搬送波を変調することにより送信信号を生成し、これを電源線Ldに重畳する変調部7aと、フィルタ部6aにて抽出されたデータ通信用の高周波信号成分を取り込み、これを受信データに復調する復調部7bとから構成されている。
【0075】
このため、マイコン2は、通信線Ln及び電源線Ldの両方を使って、他のECUのマイコンとの間でデータを送受信することができる。
尚、本実施例では、通信線Lnを使ってデータ通信を行う第1送受信部4には、車載ネットワークで一般的に利用されているプロトコルであるCAN(ドイツ、Robert Bosch 社が提案した「Controller Area Network」)を利用してデータ通信を行うために、CANドライバ/レシーバが使用されている。
【0076】
これに対して、第2送受信部7を構成する変調部7a及び復調部7bは、基本的には、第1送受信部4と同じCANプロトコルに則ってデータを送受信するように構成されるが、その通信線である電源線Ldには、不要な高周波ノイズが重畳され易く、また電気負荷の投入により電圧変動が発生し易いことから、データ通信の信頼性を確保するために、第1送受信部4の通信速度(例えば、500kbps)に比べて、通信速度が遅くなるように(例えば、10kbps)設定されている。
【0077】
従って、本実施例において、第1送受信部4は、第1発明における高速通信手段或いは第2発明における第1通信手段に相当し、第2送受信部7は、第1発明における低速通信手段或いは第2発明における第2通信手段に相当する。
次に、図3は、上記のように構成された各ECUにおいて、マイコン2が他のECUにデータを送信する際に実行するデータ送信処理を表すフローチャートであり、図4は、マイコン2が各種演算処理を実行するに当たって、通信線Lnを介して受信した受信データを用いるのか、或いは電源線Ldを介して受信した受信データを用いるのかを選択するために実行する受信ライン切換処理を表すフローチャートである。
【0078】
図3に示すように、データ送信処理では、マイコン2が他の演算処理を実行することにより、他のECUへのデータの送信要求が発生したか否かを判断することにより、送信要求が発生するのを待つ(S110、Sはステップを表す)。
そして、送信要求が発生すると(S110:YES)、S120に移行して、今回他のECUに送信すべき送信データは、予め設定された重要データであるか否かを判断し、送信データが重要データでなければ、S130に移行して、送信データを第1送受信部4へ出力することにより、第1送受信部4から通信線Ln上に送信データを送信させ、当該処理を一旦終了する。
【0079】
また、逆に、送信データが重要データであれば、S140に移行して、送信データを第1送受信部4及び第2送受信部7へ出力することにより、第1送受信部4及び第2送受信部7から通信線Ln及び電源線Ld上に送信データを送信させ、当該処理を一旦終了する。
【0080】
このように、マイコン2は、他のECUにデータを送信する際、その送信データが予め設定された重要データであれば、通信線Ln及び電源線Ldを使ってデータ送信を行い、逆に、送信データが重要データでなければ通信線Lnだけを使ってデータ送信を行う。
【0081】
尚、重要データは、送信先のECUが各種制御を実行するのに最低必要なデータであり、ボデー系ネットワーク30では、例えば、ヘッドランプの点灯制御を行うECU(図示せず)に送信されるヘッドランプの点灯・消灯を指令する指令データ、ドアのロック・アンロックを行うECUに送信されるドアロック・アンロックの指令データ、ワイパーを駆動するECU(図示せず)に送信されるワイパーの作動・停止を表す指令データ、等が重要データとして設定される。また、制御系ネットワーク10では、例えば、エンジンECUに対してエンジンの始動を許可するイモビ信号、車両の衝突を各ECUに通知するための衝突検出信号、車両走行時の車両の運動状態を表すヨーレートや車輪ロック等を各ECUに通知するための車両運動状態信号、等が重要データとして設定される。
【0082】
一方、図4に示す受信ライン切換処理は、第1送受信部4を介して行われるメインのデータ通信に異常があるかどうかを監視し、異常時にのみ、受信データの取り込み先を、バックアップ用のデータ通信を行う第2送受信部7側に切り替えるための処理であるので、一定周期で繰り返し実行される。
【0083】
この処理が開始されると、まずS210にて、例えば、通信線Lnの電位を第1送受信部4を介して取り込み、その電位がグランド電位若しくは電源電位(Vcc)で安定しているかどうかを判断することにより、通信線Lnの断線若しくは短絡を判定する、通信線Ln自体の異常判定処理を実行する。
【0084】
そして、続くS220では、この異常判定処理にて、通信線Lnが正常であると判定されたか否かを判断し、通信線Lnの異常が判定された場合には、S260に移行して、第2送受信部7を受信データの取込先(制御用データ受信部)として設定して、当該処理を一旦終了する。
【0085】
一方、S220にて、通信線Lnは正常であると判断された場合には、S230に移行して、今度は、通信線Lnを介して得られた受信データ自体の異常判定を行う。
尚、この異常判定を行うに当たっては、例えば、通信線Lnに定期的にチェック用の信号を流すようにし、この定期信号を所定時間以上受信できない場合に、受信データの異常を判定するようにしてもよく、或いは、各ECUから定期的にチェック用の特定のデータを送るようにし、第1送受信部4にてその特定データが所定時間以上受信されない場合に、受信データの異常を判定するようにしてもよく、或いは、第1送受信部4から受信データを取り込み、そのデータに付与されたデータチェック用のコード(例えばCRC)を用いて受信データの異常を判定するようにしてもよく、これらの判定動作を組み合わせて行うようにしてもよい。
【0086】
次に、S230の異常判定処理が終了すると、S240にて、その判定の結果、受信データは正常であったか否かを判断し、受信データが正常であれば、S250にて、第2送受信部7を受信データの取込先(制御用データ受信部)として、第1送受信部4を設定した後、当該処理を一旦終了し、逆に、受信データが正常でなければ、S260にて、第2送受信部7を制御用データ受信部として設定した後、当該処理を一旦終了する。
【0087】
尚、S250にて、制御用データ受信部として第1送受信部4が設定された際には、マイコン2は、通信線Lnを介して、制御に必要な全てのデータを取得できるので、通常制御を実行することになるが、S260にて、制御用データ受信部として第2送受信部7が設定された際には、マイコン2は、電源線Ldを介して、制御に最低必要な重要データだけを取得することになるので、重要データを用いたバックアップ制御を実行することになる。
【0088】
そして、本実施例においては、通信線Lnでのデータ通信の異常判定を行い、その判定結果に従い制御用データ受信部として第1送受信部4及び第2送受信部7の何れかを選択的に設定する、S210〜S260の処理が、第1発明の請求項6或いは第2発明の請求項16に記載された選択手段に相当する。
【0089】
以上説明したように、本実施例の車両用通信システムにおいては、制御系、AVC系、ボデー系の各ネットワーク10、20、30を構成している各ECUに電源供給を行う電源線Ldを、各ネットワーク用の通信線L1、L2、L3に対するバックアップ用通信線として用い、この電源線Ldには、メインの通信線Ln(L1、L2,L3)に流れるデータの内、予め設定された重要データを流すようにされている。
【0090】
このため、本実施例の車両用通信システムによれば、何れかのネットワークでデータ通信に異常が生じたとしても、そのネットワークで送受信される重要データについては、重要データを必要とするECUに確実に伝送できることになり、データ通信の信頼性を向上することができる。また、各ECUは、通信線Lnを利用したメインのデータ通信に異常があっても、電源線Ldを利用したバックアップ通信によって重要データを取得できることから、通信不良によって誤動作するようなことがなく、車両走行時等の安全性を高めることができる。
【0091】
また、本実施例では、こうしたバックアップ通信に電源線Ldを用いているので、バックアップ通信用の通信線を車両に別途配線する必要がなく、当該システムを安価に実現できる。また、電源線Ldは、不要な高周波ノイズが重畳され易く、また電気負荷の投入により電圧変動が発生し易いことから、データ通信の信頼性が低下することが考えられるが、本実施例では、その通信速度を、第1送受信部4を使ったメインのデータ通信よりも遅くしていることから、電源線Ldを使ったデータ通信の信頼性を高め、重要データのバックアップを確実に行うことができる。
【0092】
尚、本実施例では、メインのデータ通信ではCANプロトコルを利用し、バックアップ用のデータ通信ではメインのデータ通信よりも通信速度を遅くしたCANプロトコルを利用するものとしたが、これら各データ通信には、BEAN(Body Electronics Area Network)、FlexRay(高速制御系の自動車ネットワーク規格)、TTP(Time Triggered Protocol)、といったプロトコルを利用するようにしてもよく、また、メインのデータ通信とバックアップ用のデータ通信とで、異なるプロトコルを採用してもよい。
【0093】
つまり、データ通信のプロトコルには、各ネットワークに適したプロトコルを採用すればよく、例えば、上述した各ネットワーク10、20、30をIEEE1394のバックボーンで接続し、各ネットワーク10、20、30及び電源線Ldを使ったデータ通信では夫々に適したプロトコルを利用するようにしてもよい。
【0094】
また次に、本実施例では、各ECUに設けられたマイコン2が、図4に示した受信ライン切換処理を実行することにより、通信線Lnに異常がなければ、受信データを取り込む送受信部として、第1送受信部4を設定するものとして説明したが、例えば、図3に示したデータ送信処理において、S140の処理で第1送受信部4から重要データを送信する際に、重要データを時分割で2回送信するようすれば、通信線Lnに異常がない通常時には図5に示す通常時重要データ多数決処理を実行することにより、重要データをより正確に取得できるようにすることができる。
【0095】
即ち、図5に示す通常時重要データ多数決処理では、S310にて、第1送受信部4若しくは第2送受信部7で重要データが受信されたか否かを判断することにより、重要データが受信されるのを待ち、重要データが受信されると、続くS320にて、第1送受信部4で得られた2つの重要データ▲1▼、▲2▼を取り込み、これら重要データ▲1▼、▲2▼が一致しているか否かを判断する(S330)。そして、これら各重要データ▲1▼、▲2▼が一致していれば、S390にて、重要データ▲1▼(若しくは▲2▼)を制御に用いる重要データ(制御用データ)として保存し、当該処理を一旦終了する。
【0096】
一方、S330にて、重要データ▲1▼、▲2▼が一致していないと判断されると、今度は、第2送受信部で得られた重要データ▲3▼を取り込み、重要データ▲1▼、▲2▼の一方と重要データ▲3▼とが一致しているか否かを判断する(S360)。そして、重要データ▲1▼、▲2▼の一方と重要データ▲3▼とが一致していれば、S370にて、重要データ▲3▼を制御用データとして保存し、重要データ▲1▼、▲2▼の一方と重要データ▲3▼とが一致していなければ(つまり第1送受信部4及び第2送受信部7で受信された3つの重要データが全て異なる場合には)、重要データの受信に失敗したとして、S380にて、前回受信した正常な重要データ若しくは予めデフォルト値として設定されたデータを制御用データとして保存し、当該処理を一旦終了する。
【0097】
そして、このような多数決処理を実行すれば、1回の受信動作で得られた重要データがデータ化けしていた場合に、その重要データを誤って制御に用いることを防止でき、各ECUの信頼性を向上できる。
尚、図5に示した多数決処理は、第1発明の請求項7或いは第2発明の請求項17に記載の選択手段に相当する。
【0098】
本実施例の車両用通信システムは、第1実施例と同様、通信線Lnを介して複数のECU(図では2つのECU60,70のみを記載)がデータ通信可能に接続され、各ECUに電源供給を行う電源線Ldが重要データのみを通信するバックアップ用通信線として使用されるものである。
【0099】
そして、第1実施例と異なる点は、通信線Lnに接続されるECUの一つとして、車載電源であるバッテリ50の状態を監視するバッテリECU60を設け、更に、通信線Lnに接続された他のECUの内、車両に搭載されたアクチュエータ(図では三相モータ90)を駆動制御する制御ECU70(具体的には、エンジンECU、ECT・ECU、VSC・ECU等)に、電源線Ldを利用してデータ通信を行う第2送受信部を2つ設けた点である。
【0100】
以下、この異なる点を中心に説明する。
図6に示すように、バッテリECU60は、他のECUと同様、マイコン62を中心に構成されており、バッテリ50から他のECUを含む全ての電気負荷に至る電源線Ld上に設けられている。
【0101】
また、バッテリECU60は、通信線Lnを介して制御ECU70を含む他のECUとデータ通信を行うための第1送受信部64と、電源線Ldから直流電圧とデータ通信用の高周波信号成分とを抽出するためのフィルタ部65と、フィルタ部65により抽出された直流電圧からバッテリECU60内の回路を動作させるための直流定電圧Vccを生成する電源部67と、フィルタ部65及び電源線Ldを介して他のECUとデータ通信を行うための第2送受信部66と、マイコン62から各送受信部64、67に送信データとして出力された重要データを各送受信部64、67から取り込み、これらデータを比較して、各送受信部64、67に重要データが正常に出力されているか否かを判定する判定部68と、電源線Ldに流れる負荷電流やバッテリ電圧等を検出するバッテリ負荷センサ69と、を備える。
【0102】
そして、マイコン62は、図7に示すデータ送信処理を実行し、ECU70を構成しているマイコン72が正常動作しなくなっても、制御対象となる三相モータ90を最低必要な制御量で駆動できるように、予め設定された駆動データを所定の送信タイミングで第2送受信部66に出力する。
【0103】
即ち、マイコン62は、S100にて、現在、予め設定された駆動データの送信タイミングであるか否かを判断し、駆動データの送信タイミングでなければ、S110にて、マイコン2が他の演算処理を実行することにより、他のECUへのデータの送信要求が発生したか否かを判断し、送信要求が発生していなければ、再度S100に移行することにより、駆動データの送信要求又は他のデータの送信要求が発生するのを待ち、S100にて、現在、駆動データの送信タイミングであると判断すると、S105に移行して、第2送受信部66へ駆動データを出力することにより、第2送受信部66から電源線Ld上に三相モータ90の駆動データを送信させ、S110にて、他のデータの送信要求が発生したと判断すると、図3に示したデータ送信処理と同様のS120〜S140の処理を実行する、といった手順で、データ送信処理を実行する。
【0104】
また、マイコン62は、上記データ送信処理のS140にて、各送受信部64、66に重要データを出力した際には、図8に示すデータ送信監視処理(図8)を実行する。
このデータ送信監視処理では、まずS410にて、重要データが各送受信部64、66に出力されたか否かを判断することにより、各送受信部64、66に重要データが出力されるのを待ち、各送受信部64、66に重要データが出力されると、S420にて、判定部68による判定結果を取り込み、S430にて、その判定結果から、マイコン62から各送受信部64、66への送信データの出力ポートは正常に接続されているか否かを判定する。そして、各ポートが正常であれば、そのまま処理を一旦終了し、逆に、何れかのポートに異常があると判断すると、S440にて、異常が発生したポートを表す送信データ(ポート異常データ)を生成して、S450にて、そのポート異常データを重要データとする送信要求を発生した後、処理を一旦終了する。
【0105】
この結果、例えば、マイコン62と第1送受信部64若しくは第2送受信部64とのポート間の接続が外れて、送信データを何れかの送受信部に出力できないような場合には、S450の処理が実行されて、データ送信処理側では、ポート異常データを各送受信部64、66に出力する処理(S140)がなされ、送信データを正常に出力できる第1送受信部64又は第2送受信部66から、通信線Ln又は電源線Ld上に、ポート異常データが送信されることになる。
【0106】
また、マイコン62は、上記各処理とは別に、図9に示す電源負荷監視処理を実行する。この電源負荷監視処理では、まずS510にて、バッテリ負荷センサ69により検出された負荷電流やバッテリ電圧等を取り込み、続くS520にて、その取り込んだ負荷電流やバッテリ電圧等に基づき、電源は正常であるか否か、詳しくは、電源線Ldを利用したデータ通信を正常に行えるかどうかを判定する。そして、S520にて、電源は正常であると判断されると、そのまま処理を一旦終了し、逆に、S520にて、電源に異常があると判断されると、S530に移行して、電源異常を表す送信データ(電源異常データ)を生成し、S540にて、その電源異常データを重要データとする送信要求を発生した後、処理を一旦終了する。
【0107】
つまり、電源線Ldの電源線に流れる負荷電流やバッテリ電圧は、電気負荷のオン・オフ等によって大きく変動するが、こうした負荷変動が生じた際には、電源線Ldを用いたデータ通信を良好に行うことができないことから、本実施例では、S520にて、バッテリ負荷センサ69にて検出した電源状態から電源線Ldを用いた正常なデータ通信が行えるか否かを判断し、電源異常時には、その旨を表す電源異常データを重要データとして他のECUに送信するのである。
【0108】
尚、S540にて、電源異常データの送信要求を発生した際、データ送信処理側では、電源異常データを重要データとして各送受信部64、66に出力する処理がなされ、第1送受信部64及び第2送受信部66から通信線Ln及び電源線Ld上に電源異常データが送信されることになるが、この場合は、電源線Ldを用いたデータ通信を正常に行えないことが多いので、他のECUには、電源異常データは通信線Lnを介して伝送されることになる。
【0109】
一方、制御ECU70には、バッテリECU60と同様に、マイコン72、第1送受信部74、フィルタ部75、電源部77、第2送受信部76、及び、判定部78が設けられると共に、制御対象となる三相モータ90を駆動するモータ駆動部80が設けられている。
【0110】
そして、マイコン72は、図示しない制御量演算処理を実行することにより、マイコン制御対象となる三相モータ90に設けられた回転センサ92から三相モータ90の回転速度若しくは回転位置を検出し、これが、第1送受信部74若しくは第2送受信部76を介して他のECUから取得したデータや図示しないセンサにて検出したデータに基づき算出した目標値となるように、三相モータ90を駆動制御するための駆動データを演算し、その駆動データをモータ駆動部80に出力する。
【0111】
また、マイコン72は、他のECUに重要データを送信するために、各送受信部74、76に重要データを出力した際には、バッテリECU60のマイコン62と同様、後述のデータ送信監視処理(図8)を実行することにより、判定部78を介して、各送受信部74、76に重要データを正常に出力できたか否かを判定し、異常時にはその旨を表すデータを重要データとして各送受信部74、76に出力することにより、重要データを正常に出力できる送受信部74又は76からこのデータを送信させる。尚、マイコン72でのデータ送信処理は、第1実施例の各ECUと同様、図3に示した手順で実行される。
【0112】
次に、モータ駆動部80は、三相モータ90の各相巻線に流れる電流を検出する電流センサ89からの検出信号と外部から入力される三相モータの駆動データとに基づき、三相モータ90の各相巻線に流れる電流を制御するインバータ82と、駆動データをマイコン72から取り込むためのシリアル通信部84と、電源線Ldからデータ通信用の高周波信号成分を抽出するためのフィルタ部85と、フィルタ部85及び電源線Ldを介して他のECUとデータ通信を行うための第2送受信部86と、マイコン72が正常に動作しているかどうかをマイコン72から定期的に出力される信号(例えばウォッチドッグタイマ用に信号)に基づき判断し、マイコン72が正常に動作しているときには、シリアル通信部84がマイコン72から取得した駆動データをインバータ82に出力し、マイコン72が正常に動作していないとき(例えばマイコン72の異常発生時等)には、第2送受信部86にて受信された三相モータ90の駆動データをインバータ82に出力するセレクタ88と、を備える。
【0113】
つまり、モータ駆動部80には、バッテリECU60から定期的に送信されてくる三相モータ90用の駆動データを受信するための第2送受信部86が設けられ、マイコン72が正常動作しなくなった際には、セレクタ88にてその旨を判定して、三相モータ90をバッテリECU60からの駆動データに従い駆動できるようにされている。
【0114】
次に、図10は、制御ECU70において実行される受信ライン切換処理を表している。
この受信ライン切換処理は、基本的には、図4に示した第1実施例の受信ラインと同様に、S210〜S260の処理を実行するが、この処理を行うに当たって、バッテリECU60からポート異常データ若しくは電源異常データが送信されてきたかどうかを判断して、これらのデータが送信されてきた際には、これらのデータに基づき、優先的に、受信データを取り込む制御用データ受信部を設定するようにされている。
【0115】
即ち、この受信ライン切換処理では、まずS610にて、第1送受信部74及び第2送受信部76の何れかでポート異常データが受信されたか否かを判断する。そして、ポート異常データが受信された際には、S620にて、そのデータを送信してきたECUでは、第1送受信部側(つまり通信ラインLn側)のポートに異常があるのか、第2送受信部側(つまり電源ラインLd側)のポートに異常があるのかを判定し、第1送受信部側のポートに異常がある場合には、そのECUとのデータ通信には、自己の第1送受信部74を利用できないことから、S260に移行して、ポート異常データを送信してきたECUからの送信データを制御用データとして受信するのに用いる制御用データ受信部として、第2送受信部76を設定し、逆に、第2送受信部側のポートに異常がある場合には、S250に移行して、ポート異常データを送信してきたECUからの送信データを制御用データとして受信するのに用いる制御用データ受信部として、第1送受信部74を設定する。
【0116】
一方、S610にて、ポート異常データが受信されていないと判断されると、S630に移行し、今度は、第1送受信部74及び第2送受信部76の何れかでバッテリECU60からの電源異常データが受信されたか否かを判断する。そして、電源異常データが受信された際には、現在、電源線Ldを利用したデータ通信を正常に行うことができないことから、S250に移行して、全てのECUからの送信データを制御用データとして受信するのに用いる制御用データ受信部として、第1送受信部74を設定し、逆に、電源異常データが受信されていなければ、上述したS210以降の通常時の受信ライン切換処理を実行する。
【0117】
尚、図10に示した受信ライン切換処理は、通信線Lnに接続された他のECUでも同様に実行される。
以上説明したように、第2実施例の車両用通信システムでは、電源線Ldを介して、バッテリECU60から三相モータ90を動作させるのに最低必要な駆動データを送信するようにし、制御ECU70側では、マイコン72が正常動作しなくなった際には、この駆動データを用いて、三相モータ90を駆動するようにされている。従って、本実施例によれば、通信線Lnを利用するメインのデータ通信に異常が生じた場合だけでなく、制御ECU70のマイコン72に異常が発生した場合にも、電源線Ldを介して送受信される重要データに基づき、制御対象である三相モータ90を動作させることが可能となり、車両走行時等の安全性を向上することができる。
【0118】
また、本実施例では、バッテリECU60にて、電源線Ldから電気負荷への電源供給状態を監視し、電気負荷の変動等によって電源線Ldを介してデータ通信を正常に行えるか否かを判定して、その判定結果を他のECUに送信し、他のECU側では、その判定結果に従い、電源線Ldを利用して得られた受信データを制御に用いるか否かを設定するようにされている。このため、電源線Ldを用いたデータ通信を正常に行えない場合に、制御用データ受信部として、電源線Ld側の第2送受信部を誤って設定してしまうのを防止できる。
【0119】
また、本実施例では、重要データを2系統で送信するために設けられる第1送受信部64、74と、第2送受信部66、76とに送信用の重要データが入力された際、これらを比較することにより、マイコン62、72から各送受信部へ送信データを出力するポートに異常があるかどうかを判定する判定部68、78を設け、異常時には、その旨を表すデータを他のECUに送信することで、他のECUがポート異常が発生している側の送受信部を、制御データ受信部として設定するのを防止するようにされている。このため、車体に発生した振動によりマイコンと送受信部とを接続するポートが外れた場合であっても、データ通信を正常に行うことができる。
【0120】
尚、本実施例においては、制御ECU70が、請求項5或いは請求項15に記載の第2制御装置に相当し、マイコン72が、請求項5或いは請求項15に記載の演算手段に相当し、インバータ82が、請求項5或いは請求項15に記載の駆動手段に相当し、第2送受信部86が、請求項5或いは請求項15に記載の駆動データ受信手段に相当し、セレクタ88が、請求項5或いは請求項15に記載の駆動データ切換手段に相当する。また、バッテリECU60は、請求項4或いは請求項13に記載の電源監視装置に相当し、判定部68、78は、請求項8或いは請求項18に記載の経路異常判定手段に相当し、データ送信監視処理(図8)は、請求項8或いは請求項18に記載の経路異常報知手段として機能する。
【0121】
従って、本実施例の車両用通信システムは、請求項5或いは請求項15に記載の発明を適用した車両用通信システムとなるが、例えば、本実施例の制御ECU70から、第1送受信部74、第2送受信部76、判定部78を削除し、マイコン72が、専用の信号線を介して接続されたセンサ等から取得したデータを用いて三相モータ90の駆動データを演算するようにした制御ECUを電源線Ldに接続するようにすれば、この制御ECUは、請求項2或いは請求項12に記載の第1制御装置に相当するものとなり、この制御用ECUを備えた車両用通信システムは、請求項2或いは請求項12に記載の発明を適用した車両用通信システムとなる。そして、このような車両用通信システムにおいても、制御用ECUを構成するマイコンに異常が生じた際には、電源線Ldを介して他のECUから伝送されてくる駆動データを使って、三相モータ等のアクチュエータを駆動できることから、本実施例の車両用通信システムと同様、車両走行時等の安全性を向上することができる。
[第3実施例]
次に、図11は、第3実施例の車両用通信システムを表すブロック図である。
【0122】
図11に示すように、本実施例の車両用通信システムは、上述したエンジンECU、ECT・ECU、VSC・ECU等からなる各種制御ECU11を通信線Lnを介して接続することにより車両に構築される制御系のネットワークとは別に、従来、これら各制御ECU11に専用の信号線を介して接続されていたセンサやアクチュエータを、通信機能を有するインテリジェントセンサ13、インテリジェントアクチュエータ15に変更し、これらインテリジェントセンサ13及びインテリジェントアクチュエータ15と制御ECU11との間に、電源線Ldを使ったネットワーク(以下、電源線ネットワークという)を構築して、センサ及びアクチュエータと制御ECUとを個々に接続するための信号線を廃止したものである。
【0123】
このため、制御ECU11、インテリジェントセンサ13、インテリジェントアクチュエータ15には、電源線Ldを使ってデータ通信を行うための通信手段が設けられるが、本実施例では、その通信手段を、同一データをFDMA方式にて同時に2回送受信できるようにしている。
【0124】
即ち、まず、制御ECU11は、図12(a)に示すように、各種演算処理を行うマイコン11eと、通信線Lnを介して他の制御ECU11との間でデータ通信を行うための第1送受信部11fとを備える他、電源線Ldから直流電圧及び所定周波数帯(本実施例では、周波数f1、f2)の高周波信号を夫々抽出するためのフィルタ部11aと、フィルタ部11aを介して取り出された直流電圧から制御ECU11内の回路を動作させるための直流定電圧Vccを生成する電源部11bと、互いに異なる周波数f1、f2の搬送波を用いて電源線Ldを利用したデータ通信を行う一対の第2送受信部11c、11dとを備える。
【0125】
そして、マイコン11eは、インテリジェントセンサ13から送信されてきた検出データを、第2送受信部15c、15dから取り込み、その検出データが一致しているか否か、一致していなければどちらのデータが正常かどうかを判定することにより、正常な検出データを選択し、その選択した検出データと、第1送受信部11fを介して他のECUから取得した受信データとに基づき、制御対象となるアクチュエータの駆動データを演算し、その駆動データを、第2送受信部15c、15dを介して、電源線Ld上に送信させる。
【0126】
また、インテリジェントセンサ13及びインテリジェントアクチュエータ15も、制御ECU11と同様に、夫々、フィルタ部13a、15a、電源部13b、15b、及び、一対の第2送受信部13c、13d、15c、15dを備える。
【0127】
そして、インテリジェントセンサ13には、更に、センサ素子13eから検出信号を取り出す検出回路13f、検出回路13fからの検出信号をデジタルデータに変換するA/D変換部13g、及び、A/D変換部13gにてA/D変換されたデジタルデータ(検出データ)を、所定の送信タイミングで、第2送受信部13c、13dに出力することにより、電源線Ldを介して制御ECU11に検出データを送信するデータ処理部13h、が備えられている。
【0128】
また、インテリジェントアクチュエータ15には、制御ECU11から自己のアクチュエータ15eに対して送信された駆動データを、第2送受信部15c、15dから取り込み、その駆動データが一致しているか否か、一致していなければどちらのデータが正常かどうかを判定することにより、正常な駆動データを選択し、その選択した駆動データを駆動回路15fに出力するデータ処理部15gが設けられ、駆動回路15fが、このデータ処理部15gから出力される駆動データに従い、アクチュエータ15eを駆動する。
【0129】
このように、本実施例では、制御ECUとセンサ及びアクチュエータとの間に、電源線Ldを用いた電源線ネットワークを構築し、この電源線ネットワークを介して、検出データ及び駆動データをFDMA方式の同時多重通信により2回送受信するようにされている。
【0130】
従って、本実施例の車両用通信システムによれば、電源線が断線・短絡した場合にはデータ通信を行うことができないものの、同一データの同時多重通信によって、電源線Ldにノイズが重畳された場合であっても、そのノイズの周波数の影響を受けない側の第2送受信部を利用して、データ通信を行うことができる。
【0131】
尚、本実施例においては、各ECUには、周波数f1、f2の搬送波を用いてデータ通信を行う一対の第2送受信部が設けられるものとしたが、例えば、各ECUに設ける第2送受信部を3個とし、制御ECU11のマイコン11e或いはインテリジェントアクチュエータ15のデータ処理部15gで受信データを選択する際には、3個の第2送受信部で得られたデータの多数決をとることにより、正常な受信データを選択するようにしてもよい。
【0132】
そして、本実施例においては、各ECUに設けられる一対の第2送受信部が、通信手段に相当し、制御ECU11及びインテリジェントアクチュエータ15に設けられたマイコン11e及びデータ処理部15gで実行される上述したデータ受信のための選択処理が、選択手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の車両用通信システムの構成を表すブロック図である。
【図2】 第1実施例の各ECUの構成を表すブロック図である。
【図3】 第1実施例の各ECUで実行されるデータ送信処理を表すフローチャートである。
【図4】 第1実施例の各ECUで実行される受信ライン切換処理を表すフローチャートである。
【図5】 第1実施例の変形例として各ECUで実行される通常時重要データ多数決処理を表すフローチャートである。
【図6】 第2実施例の車両用通信システムの構成を表すブロック図である。
【図7】 第2実施例の電源ECUにて実行されるデータ送信処理を表すフローチャートである。
【図8】 第2実施例の各ECUにて実行されるデータ送信監視処理を表すフローチャートである。
【図9】 第2実施例の電源ECUにて実行される電源負荷監視処理を表すフローチャートである。
【図10】 第2実施例の制御ECUにて実行される受信ライン切換処理を表すフローチャートである。
【図11】 第3実施例の車両用通信システムの構成を表すブロック図である。
【図12】 第3実施例のネットワークを構成する制御ECU、インテリジェントセンサ、インテリジェントアクチュエータの構成を表すブロック図である。
【符号の説明】
11,70…制御ECU、12…エンジンECU、13…インテリジェントセンサ、14…VSC・ECU、15…インテリジェントアクチュエータ、16…ACC・ECU、18…ECT・ECU、19…周辺監視ECU、22…ナビゲーションECU、24…オーディオECU、26…電話ECU、32…メータECU、34…盗難防止ECU、36…エアコンECU、40…ドライバエージェントECU、2,62,72…マイコン、4,64,74…第1送受信部、7,66,76,86…第2送受信部、10…制御系ネットワーク、20…AVC系ネットワーク、30…ボデー系ネットワーク、50…バッテリ、60…バッテリECU、68、78…判定部、69…バッテリ負荷センサ、80…モータ駆動部、82…インバータ、84…シリアル通信部、88…セレクタ、90…三相モータ、L1,L2,L3,Ln…通信線、Ld…電源線。

Claims (19)

  1. 車両に搭載された複数の電気的装置に、車両に配線された通信線を介してデータ通信を行う通信手段を設けて、各電気的装置間でデータを送受信できるようにした車両用通信システムであって、
    前記各電気的装置に、夫々、
    異なる通信線を使って同一データを通信するための複数の通信手段と、
    該複数の通信手段を用いた通信によって得られる複数の受信データの中から正常な受信データを選択する選択手段と、
    を設け、前記複数の通信手段の一つを、他の通信手段よりも遅い通信速度でデータ通信を行う低速通信手段とすることにより、該低速通信手段によるデータ通信の信頼性を他の通信手段よりも高くし、
    前記各電気的装置は、他の電気的装置にデータを送信する際、送信データが、送信先の電気的装置の動作に最低必要である予め定められた重要データであるか否かを判定し、送信データが重要データである場合には、前記低速通信手段を含む複数の通信手段を介してデータ送信を行い、送信データが重要データでない場合には、前記低速通信手段以外の通信手段を使用してデータ送信を行うことを特徴とする車両用通信システム。
  2. 車両に搭載された複数の電気的装置に、車両に配線された通信線を介してデータ通信を行う通信手段を設けて、各電気的装置間でデータを送受信できるようにした車両用通信システムであって、
    前記各電気的装置に、夫々、
    異なる通信線を使って同一データを通信するための複数の通信手段と、
    該複数の通信手段を用いた通信によって得られる複数の受信データの中から正常な受信データを選択する選択手段と、
    を設け、前記複数の通信手段の一つを、他の通信手段よりも遅い通信速度でデータ通信を行う低速通信手段とすることにより、該低速通信手段によるデータ通信の信頼性を他の通信手段よりも高くし、
    前記電気的装置の一つとして、制御対象の駆動データを演算する演算手段と、該演算手段により演算された駆動データに従い制御対象を駆動する駆動手段とを備えた第1制御装置を有し、
    該第1制御装置は、
    他の電気的装置の低速通信手段から送信された制御対象の駆動データを受信するための駆動データ受信手段と、
    前記演算手段の動作を監視し、前記演算手段が正常動作している時には、前記演算手段にて演算された駆動データを前記駆動手段に入力し、前記演算手段の動作に異常がある時には、前記駆動データ受信手段が受信した駆動データを前記駆動手段に入力する駆動データ切換手段と、
    を備えたことを特徴とする車両用通信システム。
  3. 車両に搭載された複数の電気的装置に、車両に配線された通信線を介してデータ通信を行う通信手段を設けて、各電気的装置間でデータを送受信できるようにした車両用通信システムであって、
    前記各電気的装置に、夫々、
    異なる通信線を使って同一データを通信するための複数の通信手段と、
    該複数の通信手段を用いた通信によって得られる複数の受信データの中から正常な受信データを選択する選択手段と、
    を設け、前記複数の通信手段の一つを、他の通信手段よりも遅い通信速度でデータ通信を行う低速通信手段とすることにより、該低速通信手段によるデータ通信の信頼性を他の通信手段よりも高くし、
    前記低速通信手段がデータ通信に用いる通信線は、車載電源から各電気的装置に電源供給を行うために車両に配線された電源線であることを特徴とする車両用通信システム。
  4. 前記電気的装置の一つとして、車載電源から前記各電気的装置を含む車載装置への電源供給状態を監視し、該監視結果を、前記低速通信手段を含む複数の通信手段を介して他の電気的装置に送信する電源監視装置を備えたことを特徴とする請求項3に記載の車両用通信システム。
  5. 前記電気的装置の一つとして、前記複数の通信手段の何れかを介して他の電気的装置から取得したデータに基づき制御対象の駆動データを演算する演算手段と、該演算手段により演算された駆動データに従い制御対象を駆動する駆動手段とを備えた第2制御装置を有し、
    該第2制御装置は、
    他の電気的装置の低速通信手段から送信された制御対象の駆動データを受信するための駆動データ受信手段と、
    前記演算手段の動作を監視し、前記演算手段が正常動作している時には、前記演算手段にて演算された駆動データを前記駆動手段に入力し、前記演算手段の動作に異常がある時には、前記駆動データ受信手段が受信した駆動データを前記駆動手段に入力する駆動データ切換手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の車両用通信システム。
  6. 前記各電気的装置は、前記低速通信手段とは異なる他の通信手段として一つの高速通信手段を備え、
    前記選択手段は、前記高速通信手段によるデータ通信が正常か否かを判定し、前記高速通信手段によるデータ通信が正常である場合には、該高速通信手段により得られた受信データを他の電気的装置からの送信データとして選択し、前記高速通信手段によるデータ通信に異常がある場合には、前記低速通信手段により得られた受信データを他の電気的装置からの送信データとして選択することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の車両用通信システム。
  7. 前記各電気的装置は、前記低速通信手段とは異なる他の通信手段として、前記低速通信手段が送受信するデータと同じデータを時分割にて複数回送受信する一つの高速通信手段を備え、
    前記選択手段は、前記高速通信手段が複数回受信した受信データの各々と前記低速通信手段により得られた受信データとの多数決をとることにより、該複数の受信データの中から正常な受信データを選択することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の車両用通信システム。
  8. 前記電気的装置の少なくとも一つは、
    前記低速通信手段を含む複数の通信手段に他の電気的装置への送信用のデータとして入力された送信データを夫々取り込み、各送信データが正常か否かを判断して、送信データに異常があった際には、該異常があった通信手段への送信データの入力経路に異常があると判断する経路異常判定手段と、
    該経路異常判定手段にて何れかの通信手段への送信データの入力経路に異常があると判断されると、その旨を表す情報を送信データとして入力経路の正常な通信手段へ出力することにより、該通信手段を介して他の電気的装置にその旨を報知する経路異常報知手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項7の何れかに記載の車両用通信システム。
  9. 前記低速通信手段が送受信するデータは、ヘッドランプの点灯・消灯を指令する指令データ、ドアロック・アンロックの指令データ、ワイパーの作動・停止を表す指令データ、エンジンの始動を許可するイモビ信号、車両の衝突を通知するための衝突検出信号、及び、車両走行時の車両の運動状態を表す車両運動状態信号、の何れか一つを含むことを特徴とする請求項1〜請求項8の何れかに記載の車両用通信システム。
  10. 車両に搭載された各種電気的装置にネットワーク専用の通信線を介してデータ通信を行う第1通信手段を設けることにより各電気的装置間でデータを送受信できるようにした車載ネットワークを、前記各電気的装置の機能・系統別に複数備えた車両用通信システムであって、
    前記各車載ネットワークを構成する電気的装置の各々には、
    前記第1通信手段を介して他の電気的装置との間で送受信されるデータを、車両に配線された各車載ネットワーク共通のバックアップ用通信線を介して送受信する第2通信手段と、
    前記第1通信手段及び第2通信手段を介して得られるデータの中から正常なデータを選択する選択手段と、
    が設けられており、
    前記各電気的装置は、他の電気的装置にデータを送信する際、送信データが、送信先の電気的装置の動作に最低必要である予め定められた重要データであるか否かを判定し、送信データが重要データである場合には、前記第1通信手段及び前記第2通信手段を介してデータ送信を行い、送信データが重要データでない場合には、前記第1通信手段を使用してデータ送信を行うことを特徴とする車両用通信システム。
  11. 車両に搭載された各種電気的装置にネットワーク専用の通信線を介してデータ通信を行う第1通信手段を設けることにより各電気的装置間でデータを送受信できるようにした車載ネットワークを、前記各電気的装置の機能・系統別に複数備えた車両用通信システムであって、
    前記各車載ネットワークを構成する電気的装置の各々は、
    前記第1通信手段を介して他の電気的装置との間で送受信されるデータの内、予め定められた重要データを、車両に配線された各車載ネットワーク共通のバックアップ用通信線を介して送受信する第2通信手段と、
    前記第1通信手段及び第2通信手段を介して得られる重要データの中から正常な重要データを選択する選択手段と、
    を備え、
    前記第2通信手段がデータ通信に用いるバックアップ用通信線は、車載電源から各電気的装置に電源供給を行うために車両に配線された電源線であることを特徴とする車両用通信システム。
  12. 車両に搭載された各種電気的装置にネットワーク専用の通信線を介してデータ通信を行う第1通信手段を設けることにより各電気的装置間でデータを送受信できるようにした車載ネットワークを、前記各電気的装置の機能・系統別に複数備えた車両用通信システムであって、
    前記各車載ネットワークを構成する電気的装置の各々に、
    前記第1通信手段を介して他の電気的装置との間で送受信されるデータの内、予め定められた重要データを、車両に配線された各車載ネットワーク共通のバックアップ用通信線を介して送受信する第2通信手段と、
    前記第1通信手段及び第2通信手段を介して得られる重要データの中から正常な重要データを選択する選択手段と、
    を設け、
    前記電気的装置の一つとして、制御対象の駆動データを演算する演算手段と、該演算手段により演算された駆動データに従い制御対象を駆動する駆動手段とを備えた第1制御装 置を有し、
    該第1制御装置は、
    前記重要データとして他の電気的装置の第2通信手段から送信された制御対象の駆動データを前記バックアップ用通信線を介して受信するための駆動データ受信手段と、
    前記演算手段の動作を監視し、前記演算手段が正常動作している時には、前記演算手段にて演算された駆動データを前記駆動手段に入力し、前記演算手段の動作に異常がある時には、前記駆動データ受信手段が受信した駆動データを前記駆動手段に入力する駆動データ切換手段と、
    を備えたことを特徴とする車両用通信システム。
  13. 前記電気的装置の一つとして、前記車載電源から前記各電気的装置を含む車載装置への電源供給状態を監視し、該監視結果を前記重要データとして、前記第1通信手段及び第2通信手段を介して他の電気的装置に送信する電源監視装置を備えたことを特徴とする請求項11に記載の車両用通信システム。
  14. 前記第2通信手段は、前記第1通信手段よりも遅い通信速度で前記重要データの送受信を行うことを特徴とする請求項10〜請求項13の何れかに記載の車両用通信システム。
  15. 前記電気的装置の一つとして、前記第1通信手段又は第2通信手段を介して他の電気的装置から取得したデータに基づき制御対象の駆動データを演算する演算手段と、該演算手段により演算された駆動データに従い制御対象を駆動する駆動手段とを備えた第2制御装置を有し、
    該第2制御装置は、
    前記重要データとして他の電気的装置の第2通信手段から送信された制御対象の駆動データを前記バックアップ用通信線を介して受信するための駆動データ受信手段と、
    前記演算手段の動作を監視し、前記演算手段が正常動作している時には、前記演算手段にて演算された駆動データを前記駆動手段に入力し、前記演算手段の動作に異常がある時には、前記駆動データ受信手段が受信した駆動データを前記駆動手段に入力する駆動データ切換手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項10〜請求項14の何れかに記載の車両用通信システム。
  16. 前記選択手段は、前記第1通信手段によるデータ通信が正常か否かを判定し、前記第1通信手段によるデータ通信が正常である場合には、該第1通信手段により得られた受信データを他の電気的装置からの送信データとして選択し、前記第1通信手段によるデータ通信に異常がある場合には、前記第2通信手段により得られた受信データを他の電気的装置からの送信データとして選択することを特徴とする請求項10〜請求項15の何れかに記載の車両用通信システム。
  17. 前記第1通信手段は、第2通信手段が送受信する重要データを複数回送受信するように構成され、
    前記選択手段は、前記第1通信手段が複数回受信した重要データの各々と前記第2通信手段が受信した重要データとの多数決をとることにより、複数の重要データの中から正常な受信データを選択することを特徴とする請求項10〜請求項15の何れかに記載の車両用通信システム。
  18. 前記電気的装置の少なくとも一つは、
    前記第1通信手段及び第2通信手段に他の電気的装置への送信用のデータとして入力された送信データを夫々取り込み、各送信データが正常か否かを判断して、送信データに異常があった際には、該異常があった通信手段への送信データの入力経路に異常があると判断する経路異常判定手段と、
    該経路異常判定手段にて何れかの通信手段への送信データの入力経路に異常があると判断されると、その旨を表す情報を送信データとして入力経路の正常な通信手段へ出力することにより、該通信手段を介して他の電気的装置にその旨を報知する経路異常報知手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項10〜請求項17の何れかに記載の車両用通信システム。
  19. 前記重要データは、ヘッドランプの点灯・消灯を指令する指令データ、ドアロック・アンロックの指令データ、ワイパーの作動・停止を表す指令データ、エンジンの始動を許可するイモビ信号、車両の衝突を通知するための衝突検出信号、及び、車両走行時の車両の運動状態を表す車両運動状態信号、の何れか一つを含むことを特徴とする請求項10〜請求項18の何れかに記載の車両用通信システム。
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