JP2004350137A - 車両用通信システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両用通信システムを構成する各ECUは、通信線LN1〜3を介してデータ通信を行う第一送受信部、電源線LEを介してデータ通信を行う第二送受信部を備える。各ECUは、この第一及び第二送受信部の夫々に、車両の走行に不可欠なデータ、システム異常を報知するためのステータスデータを送信させる。また、第一及び第二送受信部により同一データが複数受信されると、各ECUは、複数のデータの中から正常なデータを、他の電気的装置からの送信データとして選択する。そして、システム異常を車両乗員に報知するための表示装置37等を備えるECU36は、他のECUからステータスデータを受信すると、車両乗員に対し報知の必要があるシステムの異常が発生しているか否か判断し、発生していると、表示装置を制御してその異常を車両乗員に報知する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に配線された通信線を介して、車両に搭載された複数の電気的装置間でデータ通信を行う車両用通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の車両、特に自動車においては電子制御化が進んでおり、連携動作若しくはデータの共有が必要な車両用電子制御装置(ECU)については、各装置間でデータを送受信できるように、各装置内にデータ通信用の回路を組み込み、これらを通信線で接続して、所謂車載ネットワーク(車載LAN)を構築している。
【0003】
ところで、現在の車載ネットワークにおいては、ネットワークの異常等を想定して、電子制御系の他、バックアップ用の機械制御系を設けている。しかしながら、今後更に電子制御化が進むと、バックアップ用としての機械制御系を設けることができなくなる。したがって、今後の車載ネットワークにおいては、車両の安全を確保するために、通信の信頼性を向上させることが必要になる。
【0004】
しかしながら、車載ネットワークでは、通信線が断線・短絡した場合には勿論のこと、ネットワーク内にノイズが侵入した際にも、データ通信が正常に行えなくなるといった問題がある。
特許文献1記載の多重伝送装置では、このような問題を解決するために、通信線を2系統用意し、ネットワークを構成している装置の内、重要な装置には、全ての装置に接続された第一の通信線を介して通信を行う常用の通信回路と、重要な装置にのみ接続された第二の通信線を介して通信を行う予備の通信回路とを設け、第一の通信線若しくは常用の通信回路に異常があると、その状態を監視する監視装置により、通信回路を予備の通信回路に切り替えるようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−3483号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1記載のシステムは、ネットワークの重要な部分だけを二重系にして、監視装置の管理の下に、データ通信に使用する通信線を切り替える、所謂集中監視型のシステムであるため、監視装置自体が故障すると、第一の通信線を利用したデータ通信の異常時に、データ通信に使用する通信線を第一の通信線から第二の通信線に切り替えることができず、第二の通信線を利用したバックアップ通信を実現することができなくなるといった問題があった。
【0007】
また、特許文献1記載のシステムは、監視装置がネットワークの異常を検出して、警告ランプに接続された装置に故障報知を行わせるため、その監視装置が故障すると、警告ランプを制御する装置が故障していないにもかかわらず、警告ランプを点灯させることができなくなる可能性があった。即ち、従来のシステムでは、システムに異常があるにもかかわらず車両乗員(特に運転者)にシステムの異常を伝えることができない可能性が高いため、その点につき、安全上問題があった。
【0008】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、車両に搭載された複数の電気的装置を通信線を介して通信可能に接続した車両用通信システムにおいて、通信の信頼性を向上させ、車両の安全を確保することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、車両に配線された通信線を介して、各電気的装置間でデータを送受信できるようにした車両用通信システムに関するものである。この車両用通信システムには、車両制御を行うための制御手段を備える第一の電気的装置と、車両乗員に向けて異常を報知するための報知手段を備える第二の電気的装置と、が車両に搭載されている。また、第一及び第二の電気的装置の夫々には、車両に配線された通信線を介してデータ通信を行う通信手段が設けられている。
【0010】
この第一の電気的装置が備える送信制御手段は、予め定められた重要データについて、自装置の通信手段に同一データを複数回送信させる。また、この第一の電気的装置において、選択手段は、自装置の通信手段により同一の重要データが複数回受信されると、複数の重要データの中から正常なデータを、他の電気的装置からの送信データとして選択し、制御手段は、自装置の通信手段により得られた他の電気的装置からの送信データを用いて、車両制御を行う。
【0011】
一方、第二の電気的装置における選択手段は、自装置の通信手段により同一の重要データが複数回受信されると、複数の重要データの中から正常なデータを、他の電気的装置からの送信データとして選択し、報知手段は、自装置の通信手段により得られた他の電気的装置からの送信データに基づき、当該システムの異常を車両乗員に報知する。
【0012】
即ち、請求項1記載の車両用通信システムでは、重要データについて、複数回同一のデータ通信を行うようにし、複数のデータの中から正常なデータを選択することができるように第一及び第二の電気的装置を構成することで、システムの異常を分散して監視できるようにしている。したがって、請求項1記載の車両用通信システムによれば、集中監視型の従来システムのように、主としてデータ通信を監視するための監視装置をシステム内に配置することなく、通常のデータ通信に異常が発生した際の重要データによるバックアップ通信を実現できる。
【0013】
特に、本発明では、報知手段を備える電気的装置が多重に(即ち、複数回)データ通信を行うように構成されているから、システム異常の際に報知手段が機能しなくなるのを防止することができ、システムの異常を報知手段にて車両乗員に正確に伝えることができる。よって、本発明によれば、通信の信頼性を向上させることができ、車両の安全性を高めることができ、車両乗員の安全を確保することができる。
【0014】
尚、通信手段は、単一の通信線において、同一データを複数回送受信する構成にされていてもよいが、より好ましくは、請求項2記載のように、重要データを異なる通信線を使用して複数回送受信する構成にされているとよい。単一の通信線において同一データを複数回送受信する構成にされた車両用通信システムにおいては、ノイズ等による通信障害に対して通信の信頼性を高めることはできるものの、通信線の断線等があると、正常なデータ通信を行うことができなくなる。
【0015】
一方、請求項2記載の車両用通信システムでは、重要データについて、複数の通信線を用いて同一のデータ通信を行うため、通信線の一つが断線・短絡等を引き起こしても、データ通信を継続して行うことができる。したがって、請求項2記載の車両用通信システムによれば、システム異常の際に報知手段が機能しなくなるのを一層確実に防止することができる。よって、本発明によれば、通信の信頼性を向上させることができ、車両及び車両乗員の安全を高めることができる。
【0016】
尚、請求項2記載の車両用通信システムにおいては、通信線の一つを、車載電源から各電気的装置に電源供給を行うために車両に配線された電源線にするとよい。このように構成された請求項3記載の車両用通信システムによれば、専用の通信線を複数配線する必要がなく、通信線を複数系統とすることにより新たに配線スペースを車両内に確保する必要もない。したがって、この発明によれば、低コストに車両用通信システムを構築することができる。
また、請求項1〜3記載の車両用通信システムにおいては、重要データとして、車両の走行に必要不可欠なデータ、及び、第二の電気的装置に当該システムの異常を報知させるための報知データを、通信手段に複数回送信させるように、送信制御手段を構成するとよい。
【0017】
このように構成された請求項4記載の車両用通信システムにおいては、車両の走行に不可欠なデータ及び報知データについて通信の信頼性を高めることができるから、車両を安全に走行させることができるし、システムの異常を報知手段に確実に報知させることができる。その他、重要データとして多重にデータ通信を行う種類のデータを、当該システムの異常を報知するための報知データ、及び、車両の走行に不可欠なデータ程度に留めれば、通信のトラフィックを抑えることができ、低コストに本発明の車両用通信システムを構築することができる。
【0018】
また、請求項1〜4記載の車両用通信システムにおいては、第一の電気的装置の夫々にて、システム内の他の電気的装置の動作状態を監視するようにし、他の装置に異常が発生した際に、その異常を第二の電気的装置に通知するようにしてもよいが、そのような手法を採用するとシステムの構成が煩雑になる可能性がある。
【0019】
したがって、請求項1〜4記載の車両用通信システムにおいては、請求項5のように、第一の電気的装置を構成するとよい。請求項5記載の車両用通信システムにおける第一の電気的装置の夫々は、自装置の異常を検出するための異常検出手段と、その異常検出手段が自装置の異常を検出すると、その異常検出手段の検出結果に基づき、異常が車両乗員に報知する必要のある異常であるか否か判定する報知要否判定手段と、を備える。また、この電気的装置が備える送信制御手段は、報知要否判定手段により自装置の異常が車両乗員に報知する必要のある異常であると判断されると、その異常を第二の電気的装置に報知させるための報知データを、通信手段に複数回送信させる。
【0020】
このように構成された請求項5記載の車両用通信システムによれば、第一の電気的装置の夫々が、自身の異常を検出し、その異常を第二の電気的装置に知らせるように構成されているから、システムの異常を判定する目的で他の電気的装置を監視しなくても済む。尚、ここでいう自装置の異常とは、その装置の内部的な異常に限らず、本来受信されるべきデータが受信されないといった通信の異常等も含む。したがって、この車両用通信システムによれば、システムの異常の際に、報知によって車両乗員に適切な行動をとらせることができて、車両及び乗員の安全を十分に確保することができる。
【0021】
また、データ通信が正常に行えなくなった場合に備えて、第一の電気的装置は請求項6記載のように構成されるとよい。請求項6記載の車両用通信システムを構成する第一の電気的装置が備える制御手段は、他の電気的装置からの送信データを用いて車両制御を行う第一の制御モードと、他の電気的装置とは独立して、所定の車両制御を行う第二の制御モードと、を備えており、選択手段は、通信手段により正常なデータが受信されているか否か判断し、通信手段により正常なデータが受信されていると判断すると、制御手段に第一の制御モードで車両制御を行わせ、通信手段により正常なデータが受信されていないと判断すると、制御手段に第二の制御モードで車両制御を行わせる。
【0022】
このように構成された請求項6記載の車両用通信システムによれば、各電気的装置が、複数回の通信によっても正常なデータを受信することができない場合に、第二の制御モードで、他の電気的装置からの送信データを用いず、独立した動作を実行するため、データ通信が不能になっても、車両の安全を最低限確保することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例について図面とともに説明する。尚、図1は、本発明が適用された車両用通信システム1の構成を表す説明図である。
本実施例の車両用通信システム1は、エンジンECU11、VSC・ECU12、ACC・ECU13、ECT・ECU14、周辺監視ECU15、FWD・ECU16等をネットワーク専用の通信線LN1を介して接続してなる制御系ネットワーク10と、ナビゲーションECU21、オーディオECU22、電話ECU23等をネットワーク専用の通信線LN2を介して接続してなる情報系(AVC系)ネットワーク20と、盗難防止ECU31、エアコンECU32、ワイパECU33、ランプECU34、ドアECU35、メータECU36等をネットワーク専用の通信線LN3を介して接続してなるボデー系ネットワーク30と、を備える。
【0024】
制御系ネットワーク10を構成するエンジンECU11は、エンジンを制御するエンジン制御装置であり、ECT・ECU14は、自動変速機の変速制御を行う変速制御装置であり、これらは所謂パワートレイン系の制御装置である。また、VSC・ECU12は、車両の姿勢制御及び制動制御を行う制御装置であり、ACC・ECU13は、車両を先行車両に追従させる制御を行う走行制御装置である。その他、FWD・ECU16は、前後輪の駆動力配分をコントロールするための制御装置であり、周辺監視ECU15は、車両周囲の状態を検出する各種センサを備え、そのセンサによる検出結果を上記各ECUに送信するものである。
【0025】
また、AVC系ネットワーク20を構成するナビゲーションECU21は、ナビゲーション装置を制御するECUであり、オーディオECU22は、車両に搭載されたラジオやCDドライブ等のオーディオ機器を統括制御するECUであり、電話ECU23は、車両に搭載された電話を制御するECUである。
【0026】
その他、ボデー系ネットワーク30を構成するメータECU36は、車速、エンジン回転数、ドアの開閉状態、変速機のシフトレンジ等、車両の各種状態を運転席前方に設けられた表示装置37に表示するためのものであり、盗難防止ECU31は、車両状態を監視して、悪意の者が車両内に侵入したり、車両内の機器を盗もうとしている場合に、警報を鳴らしたり、外部センタに緊急通報するためのECUである。
【0027】
また、エアコンECU32は、車両に搭載された空調装置(エアコン)を制御して車室内の温度を最適に制御するためのものであり、ワイパECU33は、ワイパを制御するためのECUであり、ランプECU34は、ヘッドランプや方向指示器などの点灯制御を行うECUであり、ドアECU35は、ドアのロック・アンロックを行うECUである。
【0028】
その他、各ネットワーク10,20,30の通信線LN1,LN2,LN3には、ドライバエージェントECU40が接続されている。尚、車両に搭載された上述の各ECUは、マイクロコンピュータを中心として構成された電子制御装置であり、本発明の電気的装置に相当する。特に、制御系ネットワーク10内の各ECU11〜16、及び、ボデー系ネットワーク30内の各ECU31〜35は、第一の電気的装置に相当し、以下これらのECUを、まとめて車両制御系ECUと称する。また、メータECU36及びドライバエージェントECU40は、第二の電気的装置に相当し、以下これらのECUを、まとめて報知系ECUと称する。
【0029】
ドライバエージェントECU40は、上記各ネットワーク10,20,30間で共有すべきデータを中継する所謂ゲートウェイ装置としての機能を有し、車両の運転席近傍に設けられた表示操作部41や音声認識合成部42を介して運転者による操作指令或いは音声指令が入力されると、その指令内容を表すデータを、車両乗員の操作情報として、上記各ネットワーク10,20,30を介し所定のECUに送信する。
【0030】
また、ドライバエージェントECU40は、上記各ネットワーク10,20,30に接続されたECUから運転者に各種案内を行うための表示データ、音声データ、或いは警報データが送信されてくると、そのデータに従い、表示操作部41にメッセージを表示したり、音声認識合成部42から各種案内用の合成音声を発生させたり、或いは、警報部43から警報音を発生させる。
【0031】
ところで、上記各ECUは、車両に配線された電源線LEを介して、車載電源であるバッテリ50から電源供給を受けて動作するが、本実施例における各ECUは、この電源線LEを通信線として利用し、各ネットワーク10,20,30で伝送される各種データの内、重要データについては、通信線LN1,LN2,LN3及び電源線LEを使って同一データを多重に送受信する。
【0032】
尚、本実施例では、車両の走行に必要不可欠なデータ、及び、車両乗員に当該システム1の異常を報知するのに必要な後述するステータスデータ、を重要データとし、それらを多重に(即ち、複数回)送受信するようにしている。
具体的に、車両の走行に必要不可欠なデータとしては、各ECUの動作に作用する基本情報を提供するセンサ類が送出するデータ、各ECUの基本動作に影響を与えるデータ、アクチュエータの基本駆動を指令するデータ、車両の走行に関わるユーザの意思を表すデータ、などが挙げられる。図2には、その車両の走行に不可欠なデータの例を示す。
【0033】
図2に示すように本実施例では、ステアリング操作による旋回時の車両安定性を確保するためのVSCシステム(VSC・ECU12)に提供する必要のある情報としてのドライバによるブレーキペダルの操作量を表す情報(具体的にはM/Cセンサ情報)、シリンダに吸入する空気量を測るセンサ(具体的にはスロットルセンサ)の異常をVSCシステムに通知するための情報、シリンダに吸入する空気量に関する情報(具体的にはスロットル開度を表す情報等)、過給器などのエンジン以外の装置から得られる動力に関する情報(タービン回転数を表す情報等)、ドライバによるアクセルペダルの操作量(アクセル開度)に関する情報、を重要データとしている。その他、VSCシステムの制御状態をVSC・ECU12以外の他の装置に通知するための情報など、を重要データとしている。
【0034】
その他、先行車を検出し車間距離を保ちながら追従走行を行うためのACC・ECU13に提供する必要のある情報としての走行モードの切替に関する車両乗員の操作情報(オートクルーズモードのON/OFF切替信号等)、ブレーキ信号、エンジン回転数などの車速に関わる情報を重要データとしている。
【0035】
また、ドライバの視界確保に必要とされるワイパ、ヘッドランプ等に対する車両乗員の操作情報(ON/OFF切替信号など)や、フロントガラスなどの窓の曇りを除去するための空調装置に対する車両乗員の操作情報などを重要データとしている。その他、誤作動を引き起こすと事故を誘発する可能性がある方向指示器、ドアロックに関する車両乗員の操作情報(ロック/アンロック切替信号など)を重要データとしている。
【0036】
その他、前後輪の駆動力配分をコントロールして、駆動力確保や車両の安定性の確保を行うFWD・ECU16に必要な情報として、エンジン回転数、シリンダに吸入する空気量を測るセンサ(スロットルセンサ)の異常をFWD・ECU16に通知するための情報などを重要データとしている。また、車両用通信システム1内のECU間で連携して電源をON/OFFするための情報を重要データとしている。
【0037】
続いて、具体的な各ECUの構成について説明する。尚、図3は、車両制御系ECU及び報知系ECUを含む上述の各ECUの構成を表したブロック図である。
図3に示すように、各ECUには、上述した各種制御を行うための専用回路(内部回路)に加えて、この制御のための演算処理を実行するマイクロコンピュータ(マイコン)61と、マイコン61が予め設定されたプログラムに従い、当該ECUが属するネットワーク上の他のECUと通信線LN1,LN2,LN3を介してデータの送受信を行うための第一送受信部63と、電源線LEに接続された電源IC70と、が備えられている。
【0038】
また、電源IC70は、電源線LEを介してバッテリ50から供給される直流電圧と、この電源線LEに流れるデータ通信用の高周波信号成分とを、夫々抽出するためのフィルタ部71と、このフィルタ部71により高周波信号成分が除去された直流電圧からECU内の回路を動作させるための直流低電圧Vccを生成する電源部73と、電源線LEを介して他のECUとデータ通信を行うための第二送受信部75とから構成されている。更に、第二送受信部75は、マイコン61から出力された送信データに基づきデータ通信に用いる搬送波を変調することにより送信信号を生成し、これを電源線LEに重畳する変調部77と、フィルタ部71にて抽出されたデータ通信用の高周波信号成分を取り込み、これを受信データに復調する復調部79とから構成されている。
【0039】
即ち、本実施例の各ECUは、車両に配線された異なる通信線(通信線LN1,LN2,LN3及び電源線LE)を用いて同一データの送受信を行う複数の送受信部63,75からなる通信部62を備える。このため、マイコン61は、通信線LN1,LN2,LN3及び電源線LEの両方を使って、他のECUのマイコン61との間で同一データを複数回送受信することができる。
【0040】
尚、通信線LN1,LN2,LN3を使ってデータ通信を行う第一送受信部63には、車載ネットワークで一般的に利用されているプロトコルであるCAN(ドイツ、Robert Bosch社が提案した「Controller Area Network 」)を利用してデータ通信を行うために、CANドライバ/レシーバが使用されている。周知のようにCANでは、ベースバンド方式の一つとして知られるNRZ(Non−Return
to Zero)方式がデータ伝送方式として採用されている。
【0041】
これに対し、第二送受信部75を構成する変調部77及び復調部79は、基本的には、第一送受信部63と同じCANプロトコルに従ってデータを送受信するように構成されるが、その通信線である電源線LEには、不要な高周波ノイズが重畳され易く、また電気負荷の投入により電圧変動が発生し易いことから、データ通信の信頼性を確保するために、第一送受信部63の通信速度に比べて、通信速度が遅くなるように設定されている。
【0042】
続いて、各ECUにおけるマイコン61が他のECUにデータを送信する際に実行するデータ送信処理について説明する。尚、図4は、各ECUのマイコン61が実行するデータ送信処理を表す説明図である。
図4に示すように、データ送信処理において、マイコン61は、自身が実行する別のタスクから、他のECUへのデータの送信要求が発生したか否かを判断することにより、送信要求が発生するのを待つ(S110)。
【0043】
そして、送信要求が発生すると(S110でYes)、S120に処理を移して、今回他のECUに送信すべき送信データが、予め定められた上述の重要データであるか否かを判断する。そして、送信データが重要データでないと判断すると、処理をS130に移して、送信データを第一送受信部63へ出力することにより、第一送受信部63に送信データを送信させ、当該処理を終了する。
【0044】
一方、マイコン61は、S120にて送信データが重要データであると判断すると、処理をS140に移行して、送信データを第一送受信部63及び第二送受信部75へ出力することにより、第一送受信部63及び第二送受信部75に送信データを送信させる。
【0045】
即ち、マイコン61は、他のECUにデータを送信する際、その送信データが、車両の走行に不可欠なデータ若しくはステータスデータであると判断すると、通信線LN1,LN2,LN3及び電源線LEを使ってデータ送信を行う。逆に、送信データが車両の走行に不可欠なデータ及びステータスデータのいずれにも該当しない非重要データであると、マイコン61は、通信線LN1,LN2,LN3だけを使用してデータ送信を行う。
【0046】
尚、送信データが重要データであるか否かは、送信データを生成するタスク側で送信データに識別子を付加することで、判断できるようにしてもよいし、重要データについては別のタスクから二重通信の送信要求を行うようにしてもよい。次に、各ECUのマイコン61が繰り返し実行する受信ライン切替処理について説明する。図5は、各ECUのマイコン61が各種演算処理を行うに当たって、通信線LN1,LN2,LN3を介して受信した受信データを用いるのか、或いは電源線LEを介して受信した受信データを用いるのかを選択するために実行する受信ライン切替処理を表すフローチャートである。
【0047】
受信ライン切替処理を実行すると、マイコン61は、S210にて通信線LN1,LN2,LN3自体の異常判定処理を実行する。ここでいう通信線LN1,LN2,LN3自体の異常判定処理とは、通信線LN1,LN2,LN3の断線若しくは短絡が発生していないか否かを判定するための処理である。
【0048】
この判定結果に基づき、通信線LN1,LN2,LN3が正常であると判断すると(S220でYes)、マイコン61は、通信線LN1,LN2,LN3を介し得られた受信データの異常判定処理を行う(S230)。この異常判定処理(S230)においては、例えば、第一送受信部63から受信データを取り込み、そのデータのフレーム構造をチェックして異常判定を行う。若しくは、そのデータに付与されたデータチェック用のコード(例えば、CRC)を用いて異常判定を行う。
【0049】
その他、通信線LN1,LN2,LN3に定期的にチェック用の信号を流すようにし、この定期信号を所定時間以上受信できない場合に、受信データの異常を判定するようにS230の処理を構成してもよい。その他、各ECUから定期的にチェック用の特定データを送信するようにし、第一送受信部63にて、その特定データが所定時間以上受信されない場合に、受信データの異常を判定するようにしてもよい。また、これらの動作を組み合わせて受信データの異常を判定するようにしてもよい。
【0050】
このS230での異常判定処理が終了すると、マイコン61は、その判定結果に基づき、受信データが正常であるか否か判断し(S240)、受信データが正常であると判断すると(S240でYes)、S250にて、第一送受信部63を受信データの取り込み先(正常データ受信部)として設定した後、当該受信ライン切替処理を終了する。即ち、マイコン61は、第一送受信部63を正常データ受信部として設定することにより、第一送受信部63を用いた通信によって得られる受信データを、他のECUからの送信データとして選択的に取り扱い、それを当該ECUに接続された制御対象装置の制御に用いるようにする。
【0051】
一方、マイコン61は、S220にて通信線LN1,LN2,LN3が異常であると判断するか(S220でNo)、S240にて受信データが正常でない(即ち、異常である)と判断すると(S240でNo)、S260に処理を移して、第一送受信部63から得られるべき受信データに関し、バックアップ(二重)通信が行われているか否か判断する。
【0052】
そしてバックアップ通信が行われていると判断すると(S260でYes)、マイコン61は、電源線LEを介し得られた受信データの異常判定処理を行う(S270)。尚、異常判定は、上述したS230での異常判定方法と同様の方法で行えばよい。
【0053】
S270での異常判定処理が終了すると、マイコン61は、その判定結果に基づき、電源線LEを介して得られた受信データが正常であるか否か判断し(S275)、受信データが正常であると判断すると(S275でYes)、第二送受信部75を受信データの取り込み先(正常データ受信部)として設定した(S280)後、当該受信ライン切替処理を終了する。即ち、マイコン61は、第二送受信部75を正常データ受信部として設定することにより、第二送受信部75を用いた通信によって得られる受信データを、他のECUからの送信データとして選択的に取り扱い、それを当該ECUに接続された制御対象装置の制御に用いるようにする。
【0054】
また、マイコン61は、第二送受信部75から得られる受信データが正常ではない(即ち、異常である)と判断すると(S275でNo)、他のECUからの送信データを正常に受信できないとして、デフォルト動作設定を行い(S290)、その後に当該受信ライン切替処理を終了する。このデフォルト動作設定が行われると、マイコン61は、受信データを用いずに、予め定められたデフォルトの制御を実行する。
【0055】
即ち、本実施例の各ECUは、車両制御に関する制御モードとして、車両に搭載された制御対象装置に対する通常制御モードの他、他のECUから得られる重要データを用いて、少なくとも当該ECUにて実現されるべき最低限の制御を制御対象装置に対し実行するバックアップ制御モード、受信データが得られないときに予め定められた所定の処理を実行するデフォルト制御モードを、備える。そして、第一送受信部63および第二送受信部75の通信状態に応じ、これらの制御モードを、切替制御処理(図6参照)にて切り替えることで、通信に異常が生じた際の車両の安全等を確保する。
【0056】
図6は、各ECUのマイコン61が定期的に繰り返し実行する切替制御処理を表すフローチャートである。尚、各ECUは、この切替制御処理においてステータスデータ(詳細後述)を取り扱わない構成となっている。
切替制御処理を実行すると、マイコン61は、まずS310にて、受信ライン切替処理による設定状態を判別する。そして、第一送受信部63が正常データ受信部に設定されていると判断すると、第一送受信部63から受信データを取得し(S320)、その受信データを用いて、車両に搭載された制御対象装置に対する通常の制御を実行し(S330)、当該処理を終了する。
【0057】
一方、マイコン61は、S310にて、第二送受信部75が正常データ受信部に設定されていると判断すると、第二送受信部75から受信データを取得し(S340)、重要データを用いたバックアップ制御を実行し(S350)、当該処理を終了する。その他、マイコン61は、S310にて、デフォルト動作設定がなされていると判断すると、他のECUとは独立して、予めメモリ(ROM等)に記憶された受信データの代わりとなる代替データを用いた所定の車両制御を行い(S360)、その後当該処理を終了する。
【0058】
また、マイコン61は、自装置の受信状態を他のECUに知らせるため、受信状態通知処理を定期的に実行する。図7は、マイコン61が実行する受信状態通知処理を表すフローチャートである。
受信状態通知処理を実行すると、マイコン61は、受信ライン切替処理にて、第一送受信部63が正常データ受信部に設定されているか否か判断する(S410)。ここで、第一送受信部63が正常データ受信部に設定されていると判断すると(S410でYes)、マイコン61は、当該ECUの状態を他のECUに通知するためのステータスデータを「正常」値に設定して(S420)、データ送信処理タスクに対し送信先を指定しつつ送信要求を発し、ステータスデータを、そのデータ送信処理タスクに引き渡すこと(S440)で、指定した送信先のECU(具体的には上記報知系ECU)にてステータスデータが受信されるように、そのステータスデータを第一送受信部63及び第二送受信部75に送信させる。
【0059】
一方、マイコン61は、S410にて、第一送受信部63が正常データ受信部に設定されていない(即ち、正常データ受信部が第二受信部に設定されている、若しくは、デフォルト動作設定がなされている)と判断すると(S410でNo)、ステータスデータを「異常」値に設定する(S430)。その後、マイコン61は、S440にて、データ送信処理タスクに対して送信要求を発し、ステータスデータを、そのデータ送信処理タスクに引き渡すことで、ステータスデータを第一送受信部63及び第二送受信部75に送信させる。その後、マイコン61は、当該受信状態通知処理を終了する。
【0060】
この他、マイコン61は、当該ECUの内部的なトラブルを他のECUに通知するため、内部異常通知処理を実行する。図8は、各ECUのマイコン61が繰り返し実行する内部異常通知処理を表すフローチャートである。内部異常通知処理を実行すると、マイコン61は、制御対象装置を制御するタスクなど、他のタスクに異常が発生しているか否かを調査し(S510)、その調査にて異常が発生していないと判断すると(S510でNo)、そのまま当該処理を終了する。一方、異常が検出されると(S510でYes)、検出されたエラーコードなどに基づき、その異常が車両乗員に報知する必要のある異常であるか否か判定する(S520)。
【0061】
そして、異常が車両乗員に報知する必要のある異常であると判断すると(S520でYes)、ステータスデータを「異常」値に設定して(S530)、送信先のECU(報知系ECU)を指定しつつデータ送信処理タスクに対し送信要求を発し、ステータスデータを、そのデータ送信処理タスクに引き渡すこと(S540)で、データ送信処理タスクを介して、ステータスデータを第一送受信部63及び第二送受信部75に送信させる。一方、S520にて、異常が車両乗員に報知する必要のない異常であると判断すると(S520でNo)、マイコン61は当該処理を終了する。
【0062】
即ち、マイコン61は、内部異常通知処理にて当該ECUの内部異常が車両乗員に報知する必要のある異常であると判断すると、データ送信処理にて、その異常を表すステータスデータを、通信部62に複数回送信させる。尚、異常が車両乗員に報知する必要のある異常か否かの判断は、上述したように、各タスクが出力するエラーコードなどによって行えばよい。この際、車両乗員に報知する必要のある異常については、そのエラーコードを記したテーブルをECUが備えるメモリ(ROM等)に登録しておき、そのテーブルを参照して、上記判断が行えるようにすればよい。
【0063】
一方、表示装置37に接続されたメータECU36や表示操作部41を備えるドライバエージェントECU40などの報知系ECUは、このステータスデータを受信すると、受信したステータスデータに基づいて、車両乗員に対し当該システム1の異常を報知する。尚、図9は、報知系ECUにおいて、マイコン61が実行する報知処理を表すフローチャートである。
【0064】
報知処理を実行すると、マイコン61は、受信ライン切替処理にてデフォルト動作設定がなされているか否か判断し(S610)、デフォルト動作設定がなされていると判断すると(S610でYes)、処理をS640に移して、その異常を表す情報を表示装置37(又は表示操作部41)に表示させ、当該車両用通信システム1の異常を車両乗員に報知する。
【0065】
一方、マイコン61は、デフォルト動作設定がなされていないと判断すると(S610でNo)、正常データ受信部(即ち、第一送受信部63若しくは第二送受信部75)からステータスデータを取得する(S620)。その後、マイコン61は、ステータスデータの値を参照して、車両乗員に当該システム1の異常を報知すべきか否か判断する(S630)。ここで、マイコン61は、ステータスデータが「正常」値であると、当該システム1にて異常が発生していないとしてNoと判断し、当該処理を終了する。
【0066】
また、マイコン61は、ステータスデータが「異常」値であると、車両乗員に当該システム1の異常を報知すべきであると判断し(S630でYes)、表示装置37(又は表示操作部41)に、その異常を表す情報を表示させる(S640)。尚、表示装置37(又は表示操作部41)が液晶ディスプレイである場合には、その異常を文字表示で表示装置37(又は表示操作部41)に表示させればよい。また、表示装置37(又は表示操作部41)がLEDで構成されている場合には、対応するLEDを点灯させることで、表示装置37(又は表示操作部41)にその異常を表示させればよい。
【0067】
以上、本実施例の車両用通信システム1について説明したが、この車両用通信システム1によれば、マイコン61が、データ送信処理にて、第一送受信部63及び第二送受信部75からなる本発明の通信手段としての通信部62に、重要データを複数回(具体的には2回)送信させる(S140)。また、非重要データについては、第二送受信部75にデータを送信させることなく、第一送受信部63だけにデータを送信させる(S130)。
【0068】
また、通信部62により同一の重要データが複数回受信されると(即ち、第一送受信部63及び第二送受信部75によって受信されると)、マイコン61が、受信ライン切替処理において、複数の重要データの中から正常なデータを、他の電気的装置からの送信データとして選択し、その正常なデータを受信する送受信部を、正常データ受信部とする(S250,S280)。
【0069】
また、車両制御系ECUのマイコン61は、通信部62が車両の走行に不可欠なデータなど、車両制御に関するデータを受信すると、切替制御処理において、正常データ受信部から得られる他のECUからの送信データを用い、通常制御処理(S330)、バックアップ制御処理(S350)などを実行し、モードに対応した車両制御を行う。
【0070】
その他、報知系ECUのマイコン61は、通信部62が他のECUから送信されたステータスデータを受信すると、報知処理にて、車両乗員に対し報知の必要な当該システム1の異常が発生しているか否かを、そのステータスデータに基づき判断し(S630)、発生していれば、表示装置37(又は表示操作部41)を制御して、その異常を車両乗員に報知する(S640)。
【0071】
したがって、この車両用通信システム1によれば、集中監視型の従来システムのように、主としてデータ通信を監視するための監視装置をシステム1内に配置することなく、通常のデータ通信に異常が発生した際の重要データによるバックアップ制御を実現できる。よって、この車両用通信システム1によれば、信頼性の高い通信を行うことができ、車両乗員の安全を充分確保することができる。
【0072】
また、この車両用通信システム1によれば、報知データとしてのステータスデータが多重に送受信されるから、通信線LN1,LN2,LN3に異常が発生しても、電源線LEから得られるステータスデータに基づき、車両乗員に対し当該システム1の異常を確実且つ正確に伝えることができる。
【0073】
また、本実施例によれば、重要データを異なる通信線(即ち、通信線LN1,LN2,LN3及び電源線LE)を使用して複数回送受信するようにしているから、ノイズ等による通信障害に対処できるばかりでなく、通信線の断線等が生じてもデータ通信を行うことができる。また、本実施例によれば、通信線の一つを電源線LEとしているから、通信の信頼性を高めるために、同一ネットワークに専用の通信線を複数用意する必要もない。
【0074】
その他、本実施例では、多重に通信するデータを、車両用通信システム1の異常を報知系ECUに報知させるためのステータスデータ、及び、車両の走行に不可欠なデータ程度に留めているから、通信のトラフィックを抑えることができ、低コストに信頼性の高い車両用通信システム1を構築することができる。
【0075】
また、本実施例においては、受信ライン切替処理及び内部異常通知処理にて、受信状態の異常、及びアプリケーションの異常を検出するようにし(S230,S270,S510)、車両乗員に報知する必要があるアプリケーションの異常が発生した場合には、ステータスデータに「異常」値を載せて、そのステータスデータを通信部62から報知系ECUに向けて複数回(2回)送信するようにしたから、当該システム1の異常を検出するための専用のECUをシステム1内に設けることなく、システム1の異常を分散して監視することができ、その異常を正確に車両乗員に伝えることができる。したがって、この車両用通信システム1によれば、システム1の異常の際に、報知によって車両乗員に適切な行動をとらせることができて、車両及び乗員の安全を十分に確保することができる。
【0076】
その他、当該各ECUのマイコン61は、受信ライン切替処理において、通信部62により正常なデータが受信されているか否か判断し(S240,S275)、通信部62により正常なデータが受信されていると判断すると、第一送受信部63若しくは第二送受信部75を正常データ受信部に設定する(S250,S280)ことで、切替制御処理タスクに、通常制御モード若しくはバックアップ制御モードで、他のECUからの送信データを用いた車両制御を行わせ、通信部62により正常なデータが受信されていないと判断すると、デフォルト動作設定を行う(S290)ことで、切替制御処理タスクに、デフォルト制御モードで、他のECUとは独立した所定の車両制御を行わせる。したがって、本実施例によれば、各ECUが正常なデータを受信することができない場合でも、車両の安全を最低限確保することができる。
【0077】
尚、本発明の送信制御手段は、マイコン61が実行するデータ送信処理にて実現されており、選択手段は、マイコン61が実行する受信ライン切替処理にて実現されている。その他、制御手段は、マイコン61が実行する切替制御処理にて実現されている。また、異常検出手段は、受信ライン切替処理及び内部異常通知処理のS230,S270,S510にて実現されており、報知要否判定手段は、マイコン61が実行するS520の処理にて実現されている。また、第一の制御モードは、通常制御モード及びバックアップ制御モードに対応し、第二の制御モードは、デフォルト制御モードに対応する。
【0078】
また、本発明の車両用通信システムは、上記実施例に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施例では、通信線LN1,LN2,LN3及び電源線LEに重要データを送出することで、各ECUから同一の重要データを2回送信するようにしたが、単一の通信線を用いて、同一データを複数回送信するようにしてもよい。例えば、FDMA(Frequency Division Multiple Access)方式,TDMA(Time Division Multiple Access)方式で、データ通信を行うようにすれば、単一の通信線で同一データを複数回送信することが可能である。
【0079】
また、上記実施例では、車両乗員(主に運転者)に対し異常を報知するようにシステムを構成したが、必要に応じて、ディーラ、メーカ、車両の所有者に対しても、電話回線等を使用して、異常を報知するようにしてもよい。
その他、車両用通信システムを構成するECUの種類及びネットワークの構成は、適宜に変更することが可能なものであり、本発明の車両用通信システムは、上記実施例の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の車両用通信システム1の構成を表すブロック図である。
【図2】重要データの具体的を示した表である。
【図3】各ECUの構成を表すブロック図である。
【図4】各ECUで実行されるデータ送信処理を表すフローチャートである。
【図5】各ECUで実行される受信ライン切替処理を表すフローチャートである。
【図6】車両制御系ECUで実行される切替制御処理を表すフローチャートである。
【図7】各ECUで実行される受信状態通知処理を表すフローチャートである。
【図8】各ECUで実行される内部異常通知処理を表すフローチャートである。
【図9】報知系ECUで実行される報知処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
1…車両用通信システム、10,20,30…ネットワーク、11〜16,21〜23,31〜36,40…ECU、37…表示装置、41…表示操作部、42…音声認識合成部、43…警報部、50…バッテリ、61…マイコン、62…通信部、63…第一送受信部、70…電源IC、71…フィルタ部、73…電源部、75…第二送受信部、77…変調部、79…復調部、LE…電源線、LN1,LN2,LN3…通信線
Claims (6)
- 車両を制御するための制御手段を備える第一の電気的装置を、車両に搭載すると共に、車両乗員に向けて異常を報知するための報知手段を備える第二の電気的装置を該車両に搭載し、該第一及び第二の電気的装置の夫々に、車両に配線された通信線を介してデータ通信を行う通信手段を設けて、各電気的装置間でデータを送受信できるようにした車両用通信システムであって、
前記第一の電気的装置は、
予め定められた重要データについては、前記通信手段に同一データを複数回送信させる送信制御手段と、
自装置の前記通信手段により同一の重要データが複数回受信されると、該複数の重要データの中から正常なデータを、他の電気的装置からの送信データとして選択する選択手段と、
を備え、前記制御手段は、自装置の前記通信手段により得られた他の電気的装置からの送信データを用いて車両制御を行う構成にされ、
前記第二の電気的装置は、
自装置の前記通信手段により同一の重要データが複数回受信されると、該複数の重要データの中から正常なデータを、他の電気的装置からの送信データとして選択する選択手段、
を備え、前記報知手段は、自装置の前記通信手段により得られた他の電気的装置からの送信データに基づき、当該システムの異常を車両乗員に報知する構成にされていること
を特徴とする車両用通信システム。 - 前記通信手段は、前記重要データを、異なる通信線を用いて複数回送受信することを特徴とする請求項1に記載の車両用通信システム。
- 前記通信線の一つは、車載電源から各電気的装置に電源供給を行うために車両に配線された電源線であることを特徴とする請求項2に記載の車両用通信システム。
- 前記第一の電気的装置が備える前記送信制御手段は、前記重要データとして、車両の走行に必要不可欠なデータ、及び、第二の電気的装置に当該システムの異常を報知させるための報知データを、前記通信手段に複数回送信させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の車両用通信システム。
- 前記第一の電気的装置は、夫々、
自装置の異常を検出するための異常検出手段と、
該異常検出手段が自装置の異常を検出すると、該検出結果に基づき、該異常が車両乗員に報知する必要のある異常であるか否か判定する報知要否判定手段と、
を備え、
前記送信制御手段は、前記報知要否判定手段により自装置の異常が車両乗員に報知する必要のある異常であると判断されると、該異常を第二の電気的装置に報知させるための報知データを、前記通信手段に複数回送信させることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の車両用通信システム。 - 前記第一の電気的装置が備える前記制御手段は、
他の電気的装置からの送信データを用いて車両制御を行う第一の制御モードと、
他の電気的装置とは独立して、所定の車両制御を行う第二の制御モードと、
を備えており、
前記第一の電気的装置が備える前記選択手段は、自装置の前記通信手段により正常なデータが受信されているか否か判断し、前記通信手段により正常なデータが受信されていると判断すると、前記制御手段に第一の制御モードで車両制御を行わせ、前記通信手段により正常なデータが受信されていないと判断すると、前記制御手段に第二の制御モードで車両制御を行わせることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の車両用通信システム。
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