JP3989664B2 - 耐チッピング性のすぐれた表面被覆超硬合金製スローアウエイチップ - Google Patents

耐チッピング性のすぐれた表面被覆超硬合金製スローアウエイチップ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、特に各種の鋼や鋳鉄などの高速切削加工に用いた場合に、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆超硬合金製スローアウエイチップ(以下、被覆超硬チップという)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、切削工具として、各種の鋼や鋳鉄などの被削材の旋削加工や平削り加工にバイトの先端部に着脱自在に取り付けて用いられる被覆超硬チップが知られている。
さらに、従来、一般に、上記の被覆超硬チップとして、炭化タングステン基超硬合金基体(以下、超硬基体という)の表面に、Tiの炭化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示す)層のうちの1種または2種以上からなるTi化合物層と、酸化アルミニウム(以下、Al23で示す)層で構成された硬質被覆層を3〜30μmの平均層厚で化学蒸着してなる被覆超硬チップが知られている。
また、上記の従来被覆超硬チップにおいて、硬質被覆層を構成するTi化合物層のうちのTiN層は、自体が黄金色の表面色調を有することから、被覆超硬チップの使用前と使用後の識別を容易にするために、硬質被覆層の最表面層をTiN層で構成することも知られている。
【0003】
また、一般に、上記の被覆超硬チップの硬質被覆層を構成するTi化合物層およびAl23層が粒状結晶組織を有し、かつ前記Al23層はα型結晶構造をもつものやκ型結晶構造をもつものなどが広く実用に供されるており、さらにこれらAl23層について、例えば1.5オングストロームの波長を有するCukα線を線源として用いてX線回折を行うと、α−Al23層であれば、これの形成条件によって、いずれも2θで、25.6度(012結晶面配向)、35.1度(104結晶面配向)、37.8度(110結晶面配向)、43.4度(113結晶面配向)、52.6度(024結晶面配向)、57.5度(116結晶面配向)、66.5度(124結晶面配向)、および68.2度(030結晶面配向)のうちのいずれかの回折角に最高回折ピーク高さが現れるX線回折パターンを示すα−Al23層を形成することができ、またκ−Al23層であると、同じくこれの形成条件によって、いずれも2θで、19.7度、29.4度、32.1度、34.9度、37.3度、43.9度、52.6度、56.0度、62.3度および65.2度のうちのいずれかの回折角に最高回折ピーク高さが現れるX線回折パターンを示すκ−Al23層を形成することができることも良く知られている。
【0004】
さらに例えば特開平6−8010号公報や特開平7−328808号公報に記載されるように、上記被覆超硬チップの硬質被覆層を構成する前記Ti化合物層のうちのTiCN層を、層自身の靱性向上を目的として、通常の化学蒸着装置にて、反応ガスとして有機炭窒化物を含む混合ガスを使用し、700〜950℃の中温温度域で化学蒸着することにより形成して縦長成長結晶組織をもつようにすることも知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、近年の切削加工に対する省力化および省エネ化の要求は強く、これに伴い、切削加工は高速化の傾向にあるが、上記の従来被覆超硬チップにおいて、特にこれの硬質被覆層の最表面層が使用前後の識別目的で蒸着形成されたTiN層である場合、このTiN層は被削材である各種鋼に対する付着性の強いものであるため、特に高い発熱を伴う高速切削加工では、切粉が高温加熱されることと相まって前記TiN層に強力に付着し、前記TiN層を硬質被覆層から局部的に剥がし取るように作用するが、この場合前記TiN層は他の構成層であるTi化合物層およびAl23層のいずれに対しても密着性のすぐれたものであることから、これらの構成層も前記TiN層と一緒に局部的に剥がし取られ、この結果刃先にチッピング(微小欠け)が発生し、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、上記の硬質被覆層の最表面層がTiN層で構成された従来被覆超硬チップに着目し、特にこれの高速切削加工条件下での耐チッピング性の向上を図るべく研究を行った結果、
上記の従来被覆超硬チップの表面に、まず、最表面下地層として、反応ガス組成を、体積%で、
TiCl4:0.2〜10%、
CO2:0.1〜10%、
Ar:5〜60%、
2:残り、
とし、かつ、
反応雰囲気温度:800〜1100℃、
反応雰囲気圧力:4〜70kPa(30〜525torr)、
とした条件で、0.1〜3μmの平均層厚を有し、かつ、オージェ分光分析装置で測定して、Tiに対する酸素の割合が原子比で1.60〜1.90、即ち、
組成式:TiOW
で表わした場合、
W:Tiに対する原子比で1.60〜1.90、
を満足するTi酸化物層を形成し、このTi酸化物層の上に、最表面層として、通常の条件、即ち、
反応ガス組成を、体積%で、
TiCl4:0.2〜10%、
2:4〜60%、
2:残り、
とし、かつ、
反応雰囲気温度:800〜1100℃、
反応雰囲気圧力:4〜90kPa(30〜675torr)、
とした条件で、0.05〜2μmの平均層厚を有するTiN層を形成すると、この最表面層形成時に上記最表面下地層を構成するTi酸化物層の酸素が拡散してきてTi窒酸化物層が形成されるようになり、この場合前記Ti窒酸化物層形成後の最表面下地層は、厚さ方向中央部をオージェ分光分析装置で測定して、酸素の割合がTiに対する原子比で1.28〜1.7、即ち、
組成式:TiOX
で表わした場合、
X:Tiに対する原子比で1.28〜1.7、
を満足するTi酸化物層となり、一方前記最表面層は、同じく厚さ方向中央部をオージェ分光分析装置で測定して、拡散酸素の割合がTiに対する原子比で0.08〜0.4、即ち、
組成式:TiN1-Y(O)Y
で表わした場合(ただし、(O)は上記最表面下地層からの拡散酸素を示す)、
Y:Tiに対する原子比で0.08〜0.4、
を満足するTi窒酸化物層となり、この結果の上記Ti窒酸化物層およびTi酸化物層が硬質被覆層の最表面層および最表面下地層として化学蒸着された被覆切削チップにおいては、特に前記Ti窒酸化物層が、上記TiN層と同等の黄金色の表面色調を具備するため、チップの使用前後の識別を可能とし、かつ被削材である各種鋼に対する付着性のきわめて低いものであるため、高熱発生を伴う高速切削加工にも高温加熱された切粉が付着することがなくなることから、切刃のチッピング発生が著しく抑制され、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮するようになるという研究結果が得られたのである。
【0007】
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、超硬基体の表面に、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、およびTiCNO層のうちの1種または2種以上からなるTi化合物層と、Al23層で構成された硬質被覆層を3〜30μmの平均層厚で化学蒸着してなる被覆超硬チップにおいて、
まず、反応ガス組成を、体積%で、
TiCl 4 :0.2〜10%、
CO 2 :0.1〜10%、
Ar:5〜60%、
2 :残り、
とし、かつ、
反応雰囲気温度:800〜1100℃、
反応雰囲気圧力:4〜70kPa(30〜525torr)、
とした条件で、0.1〜3μmの平均層厚を有し、かつ、オージェ分光分析装置で測定して、Tiに対する酸素の割合が原子比で1.60〜1.90、即ち、
組成式:TiO W
で表わした場合、
W:Tiに対する原子比で1.60〜1.90、
を満足するTi酸化物層を形成し、このTi酸化物層の上に、
反応ガス組成を、体積%で、
TiCl 4 :0.2〜10%、
2 :4〜60%、
2 :残り、
とし、かつ、
反応雰囲気温度:800〜1100℃、
反応雰囲気圧力:4〜90kPa(30〜675torr)、
とした条件で、0.05〜2μmの平均層厚を有するTiN層を形成し、もって前記TiN層形成時に上記Ti酸化物層の酸素を拡散せしめることにより
上記硬質被覆層に加えて、さらに最表面下地層として、0.1〜3μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:TiOX
で表わした場合、厚さ方向中央部をオージェ分光分析装置で測定して、
X:Tiに対する原子比で1.28〜1.7、
を満足するTi酸化物層と、
同じく最表面層として、0.05〜2μmの平均層厚を有し、かつ、
組成式:TiN1-Y(O)Y
で表わした場合(ただし、(O)は上記最表面下地層からの拡散酸素を示す)、同じく厚さ方向中央部をオージェ分光分析装置で測定して、
Y:Tiに対する原子比で0.08〜0.4、
を満足するTi窒酸化物層、
を硬質被覆層として化学蒸着してなる、耐チッピング性のすぐれた被覆超硬チップに特徴を有するものである。
【0008】
なお、この発明の被覆超硬チップにおいて、硬質被覆層の最表面層を構成するTi窒酸物層の拡散酸素の割合(Y値)をTiに対する原子比で0.08〜0.40としたのは、その値が0.08未満では切粉に対する付着性抑制に所望の効果を確保することができず、一方その値が0.40を越えると、層中に気孔が形成され易くなり、健全な最表面層の安定的形成が難しくなるという理由によるものである。
【0009】
また、同じく最表面層を構成するTi窒酸化物層は、上記の通り、まず、最表面下地層として、酸素の割合をTiに対する原子比で1.28〜1.90(W値)としたTi酸化物層を形成し、ついで前記最表面下地層の上に通常の条件でTiN層を蒸着することにより形成されるものであり、したがって前記TiN層形成時における前記最表面下地層からの酸素の拡散が不可欠となるが、前記最表面下地層を構成するTi酸化物層のW値が1. 60未満であると、前記TiN層への酸素の拡散反応が低下し、最表面層における拡散酸素の割合(Y値)をTiに対する原子比で0.08以上にすることができず、一方同W値が1.90を越えると、前記最表面層における拡散酸素の割合がTiに対する原子比で0.40を越えて多くなってしまうことから、W値を1.60〜1.90と定めたものであり、この場合最表面層形成後の最表面下地層における酸素の割合(X値)はTiに対する原子比で1.28〜1.7の範囲内の値をとるようになる、言い換えれば最表面層形成後の最表面下地層のX値が1.28〜1.7を満足する場合に、前記最表面層のY値は0.08〜0.40を満足するものとなるのである。
【0010】
さらに、同じく硬質被覆層を構成する最表面層および最表面下地層の平均層厚を、それぞれ0.05〜2μmおよび0.1〜3μmとしたのは、その平均層厚が0.05μm未満および0.1μm未満では、前者にあっては所望の表面色調(黄金色)を確保することができず、また後者にあっては最表面層への酸素供給が不十分になり、一方前者の色調付与作用は2μm、後者の酸素供給作用は3μmの平均層厚で十分満足に行うことができるという理由にもとづくものである。
また、硬質被覆層の平均層厚を3〜30μmとしたのは、その層厚が3μmでは所望のすぐれた耐摩耗性を確保することができず、一方その層厚が30μmを越えると、切刃に欠けやチッピングが発生し易くなるという理由によるものである。
【0011】
さらに、また上記の最表面下地層のTi酸化物層は、これを硬質被覆層を構成するAl23層の表面に、その平均層厚が0.1〜3μmの範囲内の薄い側、例えば0.1〜1μmの範囲内にある条件で形成した場合には、前記Al23層との間に十分な層間密着性が得られない場合がある(勿論、上記Ti酸化物層の形成条件によっては、この場合でも十分な層間密着性が得られるものである)ので、この場合には上記Ti酸化物層形成後に、下記の雰囲気、即ち、
雰囲気ガス組成を、
TiCl4:0.05〜10体積%、
不活性ガス:残り、
とし、かつ、
雰囲気温度:800〜1100℃、
雰囲気圧力:4〜90kPa(30〜675Torr)、
とした雰囲気中に所定時間、例えば5分〜5時間程度保持して、上記Ti酸化物層とAl23層との界面部に、望ましくは0.05〜2μmの平均層厚で相互拡散層を形成し、これによって層間密着性の向上を図るのがよく、さらにこのTi酸化物層とAl23層との層間密着性向上処理は、上記Ti酸化物層の平均層厚が上記の薄い側の値以外である場合にも、層間密着性のより一層の向上を図る目的で行ってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の被覆超硬チップを実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
原料粉末として、いずれも0.5〜4μmの範囲内の所定の平均粒径を有するWC粉末、(Ti,W)C(重量比で、以下同じ、TiC/WC=30/70)粉末、(Ti,W)CN(TiC/TiN/WC=24/20/56)粉末、(Ta,Nb)C(TaC/NbC=90/10)粉末、Cr32粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を表1に示される配合組成に配合し、ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、9.8×107Pa(1ton/cm2)の圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を1.3Pa(1×10-2torr)の真空中、1300〜1500℃の範囲内の所定温度に1時間保持の条件で真空焼結することによりISO・CNMG120408に規定するスローアウエイチップ形状をもった超硬基体A〜Fをそれぞれ製造した。
【0013】
ついで、これらの超硬基体A〜Fのうちの超硬基体C〜Fの表面に、ホーニングを施した状態で、通常の化学蒸着装置を用い、表2、3(表2中のl−TiCNは特開平6−8010号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつTiCN層の形成条件を示すものであり、これ以外は通常の粒状結晶組織の形成条件を示すものである。また表2中のα−Al23およびκ−Al23の「目標回折角」はX線回折パターンで最高回折ピーク高さが現れる目標回折角(2θ)を示すものである)に示される条件にて、表4、5に示される組成および目標層厚のTi化合物層およびAl23層、さらに拡散酸素含有のTi窒酸化物層からなる最表面層および拡散酸素供給用Ti酸化物層からなる最表面下地層で構成された硬質被覆層を形成することにより図1(a)に概略斜視図で、同(b)に概略縦断面図で示される形状をもった本発明被覆超硬チップ1〜5をそれぞれ製造するとともに、最表面層として前記最表面層および最表面下地層に代わってTiN層を形成する以外は同一の条件で従来被覆超硬チップ1〜10をそれぞれ製造した。
【0014】
また、上記の本発明被覆超硬チップ1〜5のうちの本発明被覆超硬チップについては、最表面下地層としてのTi酸化物層形成後に、雰囲気ガス組成を、TiCl4:0.1体積%、Ar:残りとし、雰囲気温度を1000℃、雰囲気圧力を6.7kPa(50Torr)とした雰囲気中に2時間保持の条件で、Al23層とTi酸化物層の界面部に積極的に相互拡散層を形成する層間密着性向上処理を施した。この結果走査型電子顕微鏡およびオージェ分光分析装置による断面測定で、Al23層とTi酸化物層の界面部に、平均層厚(5点平均)で0.8μmの相互拡散層の形成が観察された。
なお、この結果得られた本発明被覆超硬チップ1〜5の硬質被覆層を構成する最表面層および最表面下地層について、その厚さ方向中央部の酸素含有割合(Y値およびX値)をオージェ分光分析装置を用いて測定したところ、表6に示される値を示した。
さらに、上記の本発明被覆超硬チップ1〜5および従来被覆超硬チップ1〜10のそれぞれの硬質被覆層を構成するα−Al23層およびκ−Al23層について、1.5オングストロームの波長を有するCukα線を線源として用いたX線回折で観察したところ、いずれも目標回折角(2θ)と実質的に同じ回折角に最高回折ピーク高さが現れるX線回折パターンを示し、かついずれも黄金色の表面色調を有し、さらにこれの硬質被覆層を構成する構成層の層厚を走査型電子顕微鏡を用いて断面測定したところ、それぞれ目標層厚と実質的に同じ平均層厚(5点平均)を示した。
【0015】
つぎに、上記本発明被覆超硬チップ1〜5および従来被覆超硬切削チップ1〜10について、これを工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、
被削材:JIS・SCM440の丸棒、
切削速度:350m/min.、
切り込み:1.5mm、
送り:0.2mm/rev.、
切削時間:5分、
の条件での合金鋼の乾式高速連続旋削加工試験、並びに、
被削材:JIS・SNCM439の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度:300m/min.、
切り込み:1.5mm、
送り:0.25mm/rev.、
切削時間:5分、
の条件での合金鋼の乾式高速断続旋削加工試験を行い、いずれの旋削加工試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表6に示した。
【0016】
【表1】
Figure 0003989664
【0017】
【表2】
Figure 0003989664
【0018】
【表3】
Figure 0003989664
【0019】
【表4】
Figure 0003989664
【0020】
【表5】
Figure 0003989664
【0021】
【表6】
Figure 0003989664
【0022】
【発明の効果】
表4〜6に示される結果から、硬質被覆層の最表面層がTiN層の形成時に最表面下地層から拡散してきた酸素と反応して形成されたTi窒酸化物層で構成された本発明被覆超硬チップは、いずれも高い発熱を伴う鋼の高速切削加工でも、前記Ti窒酸化物層が高温加熱の切粉との親和性がきわめて低く、切粉が前記Ti窒酸化物層に付着することがないことから、切刃にチッピングの発生なく、すぐれた耐摩耗性を発揮するのに対して、硬質被覆層の最表面層がTiN層で構成された従来被覆超硬チップにおいては、いずれも切粉が前記TiN層に付着し易く、前記TiN層が他の構成層とともに前記切粉によって剥がし取られることから、切刃にチッピングが発生し易く、これが原因で比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の被覆超硬チップは、使用前後の識別工具の特に各種鋼や鋳鉄などの高速切削加工での実用を可能とするものであり、かつ実用に際しては切刃にチッピングの発生なく、すぐれた耐摩耗性を長期に亘って発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は被覆超硬チップの概略斜視図、(b)は被覆超硬チップの概略縦断面図である。

Claims (1)

  1. 炭化タングステン基超硬合金基体の表面に、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1種または2種以上からなるTi化合物層と、酸化アルミニウム層で構成された硬質被覆層を3〜30μmの平均層厚で化学蒸着してなる表面被覆超硬合金製スローアウエイチップにおいて、
    まず、反応ガス組成を、体積%で、
    TiCl 4 :0.2〜10%、
    CO 2 :0.1〜10%、
    Ar:5〜60%、
    2 :残り、
    とし、かつ、
    反応雰囲気温度:800〜1100℃、
    反応雰囲気圧力:4〜70kPa(30〜525torr)、
    とした条件で、0.1〜3μmの平均層厚を有し、かつ、オージェ分光分析装置で測定して、Tiに対する酸素の割合が原子比で1.60〜1.90、即ち、
    組成式:TiO W
    で表わした場合、
    W:Tiに対する原子比で1.60〜1.90、
    を満足するTi酸化物層を形成し、このTi酸化物層の上に、
    反応ガス組成を、体積%で、
    TiCl 4 :0.2〜10%、
    2 :4〜60%、
    2 :残り、
    とし、かつ、
    反応雰囲気温度:800〜1100℃、
    反応雰囲気圧力:4〜90kPa(30〜675torr)、
    とした条件で、0.05〜2μmの平均層厚を有するTiN層を形成し、もって前記TiN層形成時に上記Ti酸化物層の酸素を拡散せしめることにより、上記硬質被覆層に加えて、さらに最表面下地層として、0.1〜3μmの平均層厚を有し、かつ、
    組成式:TiOX
    で表わした場合、厚さ方向中央部をオージェ分光分析装置で測定して、
    X:Tiに対する原子比で1.28〜1.7、
    を満足するTi酸化物層と、
    同じく最表面層として、0.05〜2μmの平均層厚を有し、かつ、
    組成式:TiN1-Y(O)Y
    で表わした場合(ただし、(O)は上記最表面下地層からの拡散酸素を示す)、同じく厚さ方向中央部をオージェ分光分析装置で測定して、
    Y:Tiに対する原子比で0.08〜0.4、
    を満足するTi窒酸化物層、
    を硬質被覆層として化学蒸着してなる、耐チッピング性のすぐれた表面被覆超硬合金製スローアウエイチップ
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