JP2004181554A - 硬質被覆層がすぐれた耐熱衝撃性を有する表面被覆サーメット製切削工具 - Google Patents

硬質被覆層がすぐれた耐熱衝撃性を有する表面被覆サーメット製切削工具 Download PDF

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稔晃 植田
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Abstract

【課題】硬質被覆層がすぐれた耐熱衝撃性を有する表面被覆サーメット製切削工具を提供する。
【解決手段】表面被覆サーメット製切削工具が、WC基超硬合金またはTiCN基サーメットで構成された工具基体の表面に、(a)下部層として、3〜20μmの平均層厚を有し、いずれも蒸着形成されたTiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、およびTiCNO層のうちの1層または2層以上の積層からなるTi化合物層、(b)上部層として、3〜15μmの平均層厚を有し、蒸着形成した状態でκ型またはθ型の結晶構造を有する酸化アルミニウムに加熱変態処理を施して結晶構造をα型結晶構造とし、かつ加熱変態生成クラックが分散分布した組織を有する加熱変態α型Al23層、(c)表面層として、0.5〜2μmの平均層厚を有する蒸着形成されたTiN層、以上(a)〜(c)で構成された硬質被覆層を形成してなる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、特に鋼や鋳鉄などの高速断続切削時に切刃部にきわめて短いピッチで繰り返し付加される熱衝撃に対して硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する、すなわち硬質被覆層がすぐれた耐熱衝撃性を有する表面被覆サーメット製切削工具(以下、被覆サーメット工具という)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般に、炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金または炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)基サーメットで構成された基体(以下、これらを総称して工具基体という)の表面に、
(a)下部層として、3〜20μmの平均層厚を有し、いずれも化学蒸着形成および/または物理蒸着形成(以下、単に蒸着形成という)されたTiの炭化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示す)層のうちの1層または2層以上の積層からなるTi化合物層、
(b)上部層として、3〜15μmの平均層厚を有し、3〜15μmの平均層厚を有し、かつ結晶構造がα型および/またはκ型の蒸着形成された酸化アルミニウム(以下、Al23で示す)層、
以上(a)および(b)で構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる被覆サーメット工具が知られており、この被覆サーメット工具が、例えば各種の鋼や鋳鉄などの連続切削や断続切削に用いられていることも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、一般に、上記の被覆サーメット工具の硬質被覆層を構成するTi化合物層やAl23 層が粒状結晶組織を有し、さらに、前記Ti化合物層を構成するTiCN層を、層自身の強度向上を目的として、通常の化学蒸着装置にて、反応ガスとして有機炭窒化物を含む混合ガスを使用し、700〜950℃の中温温度域で化学蒸着することにより形成して縦長成長結晶組織をもつようにすることも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−31503号公報
【特許文献2】
特開平6−8010号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年の切削装置の高性能化はめざましく、一方で切削加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求は強く、これに伴い、切削加工は一段と高速化の傾向にあるが、上記の従来被覆サーメット工具においては、これを鋼や鋳鉄などの通常の条件での連続切削や断続切削に用いた場合には問題はないが、特にこれを切削条件の最も厳しい高速断続切削、すなわち切刃部にきわめて短いピッチで繰り返し熱衝撃が付加される高速断続切削に用いた場合、硬質被覆層の上部層を構成するAl23層は、硬質で耐熱性にすぐれるものの、熱衝撃に脆いために、硬質被覆層にはチッピング(微小欠け)が発生し易くなり、この結果比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、上記の被覆サーメット工具の硬質被覆層の上部層を構成するAl23層の耐熱衝撃性向上をはかるべく研究を行った結果、
工具基体の表面に、下部層として、通常の条件で、上記Ti化合物層を形成した後、同じく通常の条件で、結晶構造がκ型またはθ型のAl23層を蒸着形成し、この状態で加熱処理、望ましくはAr雰囲気中、温度:1000℃以上で所定時間保持の条件で加熱処理を施すと、前記κ型またはθ型の結晶構造はα型結晶構造に変態し、かつ加熱変態生成クラックが層中に分散分布した組織を有する用になるが、この結果の加熱変態α型Al23層を上部層とし、この上部層の表面に、同じく通常の条件で、相対的に薄膜の窒化チタン(以下、TiNで示す)層を表面層として蒸着形成すると、このTiN層は前記加熱変態α型Al23層との界面でこれの加熱変態生成クラック中に十分に入り込んで前記加熱変態生成クラックを著しく安定化した状態に保持するようになるので、硬質被覆層の下部層が上記Ti化合物層で構成され、同上部層および表面層が上記の加熱変態α型Al23層およびTiN層で構成された被覆サーメット工具においては、前記上部層を構成する加熱変態α型Al23層中に分散分布する加熱変態生成クラックが、特に高速断続切削時の激しい熱衝撃を吸収して、これを緩和することから硬質被覆層におけるチッピング発生が著しく抑制されるようになるという研究結果を得たのである。
【0007】
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、WC基超硬合金またはTiCN基サーメットで構成された工具基体の表面に、
(a)下部層として、3〜20μmの平均層厚を有し、いずれも蒸着形成されたTiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、およびTiCNO層のうちの1層または2層以上の積層からなるTi化合物層、
(b)上部層として、3〜15μmの平均層厚を有し、蒸着形成した状態でκ型またはθ型の結晶構造を有するAl23に加熱変態処理を施して結晶構造をα型結晶構造とし、かつ加熱変態生成クラックが分散分布した組織を有する加熱変態α型Al23層、
(c)表面層として、0.5〜2μmの平均層厚を有する蒸着形成されたTiN層、
以上(a)〜(c)で構成された硬質被覆層を形成してなる、硬質被覆層がすぐれた耐熱衝撃性を有する被覆サーメット工具に特徴を有するものである。
【0008】
なお、この発明の被覆サーメット工具の硬質被覆層の構成層の平均層厚を上記の通りに限定したのは以下に示す理由によるものである。
(a)下部層(Ti化合物層)
Ti化合物層は、自体が強度を有し、これの存在によって硬質被覆層が強度を具備するようになるほか、工具基体と上部層である加熱変態α型Al23層のいずれにも強固に密着し、よって硬質被覆層の工具基体に対する密着性向上に寄与する作用をもつが、その平均層厚が3μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その平均層厚が20μmを越えると、特に高熱発生を伴なう高速断続切削で熱塑性変形を起し易くなり、これが偏摩耗の原因となることから、その平均層厚を3〜20μmと定めた。
【0009】
(b)上部層(加熱変態α型Al23層)
加熱変態α型Al23層には、Al23自体のもつ高硬度とすぐれた耐熱性によって硬質被覆層の耐摩耗性を向上させるとともに、上記の通り層中に分散分布する加熱変態生成クラックの作用で熱衝撃を吸収して、硬質被覆層にチッピングが発生するのを著しく抑制する作用があるが、その平均層厚が3μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その平均層厚が15μmを越えて厚くなりすぎると、前記加熱変態生成クラックがチッピング発生の原因となることから、その平均層厚を3〜15μmと定めた。
【0010】
(c)表面層(TiN層)
TiN層には、上記の通り加熱変態α型Al23層との界面でこれの加熱変態生成クラック中に十分に入り込んで前記加熱変態生成クラックを著しく安定化した状態に保持し、もって前記加熱変態α型Al23層によってもたらされる耐熱衝撃性の向上を十分に発揮させるようにする作用があるが、その平均層厚が0.5μm未満では、前記加熱変態α型Al23層中の加熱変態生成クラックの安定化が不十分であるため、前記加熱変態生成クラックが原因のチッピングが発生し易くなり、一方前記TiN層による前記作用は2μmまでの平均層厚で十分であり、経済性を考慮して、その平均層厚を0.5〜2μmと定めた。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の被覆サーメット工具を実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr3 2 粉末、TiN粉末、TaN粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を5Paの真空中、1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、焼結後、切刃部にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO・CNMG120408に規定するスローアウエイチップ形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A〜Fをそれぞれ製造した。
【0012】
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比でTiC/TiN=50/50)粉末、Mo2 C粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、98MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を1.3kPaの窒素雰囲気中、温度:1540℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃部分にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO規格・CNMG120412のチップ形状をもったTiCN基サーメット製の工具基体a〜fを形成した。
【0013】
ついで、これらの工具基体A〜Fおよび工具基体a〜fの表面に、通常の化学蒸着装置を用い、表3(表3中のl−TiCNは特開平6−8010号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつTiCN層の形成条件を示すものであり、これ以外は通常の粒状結晶組織の形成条件を示すものである)に示される条件にて、表4に示される目標層厚のTi化合物層を硬質被覆層の下部層として蒸着形成し、ついで同じく表3に示される条件で結晶構造がκ型またはθ型のAl23層を蒸着形成し、これにAr雰囲気中、温度:1050℃に2〜10時間の範囲内の所定時間保持の条件で加熱変態処理を施して、前記κ型またはθ型の結晶構造をα型に変態させて、加熱変態生成クラックが層中に分散分布した加熱変態α型Al23層を同じく表4に示される目標層厚で硬質被覆層の上部層として形成し、さらに同じく表3に示される条件で、かつ表4に示される目標層厚のTiN層を同表面層として形成することにより本発明被覆サーメット工具1〜12をそれぞれ製造した。
また、比較の目的で、表5に示される通り、硬質被覆層の上部層を同じく表5に示される平均層厚の蒸着α型Al23層とし、かつ表面層の形成を行なわない以外は同一の条件で従来被覆サーメット工具1〜12をそれぞれ製造した。
【0014】
さらに、上記の本発明被覆サーメット工具と従来被覆サーメット工具の硬質被覆層を構成する加熱変態α型Al23層と蒸着α型Al23層の相違を観察する目的でX線回折を測定した。
これらのX線回折の測定は、X線回折チャート上で(001)面および(002)面にのみ回折ピークが現れる単結晶WCを基体試料として用い、この基体試料の表面に、本発明被覆サーメット工具3、8、および11の目標層厚が15μm、10μm、および5μmの加熱変態α型Al23層、並びに従来被覆サーメット工具3、8、および11の同じく目標層厚が15μm、10μm、および5μmの蒸着α型Al23層の形成条件と同一の条件で、それぞれ目標層厚が15μm、10μm、および5μmの加熱変態α型Al23層および蒸着α型Al23層を直接形成して本発明被覆試料A〜Cおよび従来被覆試料a〜cを製造し、これら被覆試料の前記加熱変態α型Al23層および蒸着α型Al23層のX線回折を測定することにより行なった。この測定結果を図1〜6に示した。
本発明被覆試料A〜Cの加熱変態α型Al23層のX線回折チャートを示す図1〜3と、従来被覆試料a〜cの蒸着α型Al23層のX線回折チャートを示す図4〜6の比較から、前記加熱変態α型Al23層では(006)面および(018)面に明確な回折ピークが現れているのに対して、前記蒸着α型Al23層ではこれら(006)面および(018)面に回折ピークは存在しないことが明かである。
さらに、上記の単結晶WCで構成された基体試料の表面に、それぞれ目標層厚が15μm、10μm、および5μmの加熱変態α型Al23層および蒸着α型Al23層を直接形成してなる本発明被覆試料A〜Cおよび従来被覆試料a〜cの前記加熱変態α型Al23層および蒸着α型Al23層のそれぞれについて、基体試料表面と平行な研磨表面における結晶面の電子線後方散乱回折(EBSD)を、熱電界放射型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製)および方位回折装置(テクセム・ラボラトリース(株)製)を用いて行なったところ、前記加熱変態α型Al23層では、いずれも結晶方位マップが濃い赤色の色調を示し、これはAl23の結晶構造である六方晶の(0001)面(六角形の平行面)が前記Al23層表面(基体試料表面)に対して平行にきわめて強く配向していることを示し、一方前記蒸着α型Al23層では、いずれも結晶方位マップに緑色や青色、さらに黄色およびピンク色など様々な色調が現れ、これは六方晶を構成する結晶面に特定の配向性が存在しないことを示すものである。
【0015】
また、この結果得られた本発明被覆サーメット工具1〜12および従来被覆サーメット工具1〜12について、これの硬質被覆層の構成層を走査型電子顕微鏡を用いて観察(層の縦断面を観察)したところ、前者ではいずれもTi化合物層、加熱変態生成クラックが層中に分散分布した加熱変態α型Al23層、およびTiN層からなり、後者では、いずれもTi化合物と蒸着α型Al23層からなることが確認された。また、これらの被覆サーメット工具の硬質被覆層の構成層の厚さを、走査型電子顕微鏡を用いて測定(同じく縦断面測定)したところ、いずれも目標層厚と実質的に同じ平均層厚(5点測定の平均値)を示した。
【0016】
つぎに、上記の各種の被覆サーメット工具をいずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、本発明被覆サーメット工具1〜6および従来被覆サーメット工具1〜6については、
被削材:JIS・SCM440の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度:380m/min、
切り込み:1.5mm、
送り:0.22mm/rev、
切削時間:3分、
の条件での合金鋼の乾式高速断続切削試験、
被削材:JIS・SUS304の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度:330m/min、
切り込み:1.5mm、
送り:0.22mm/rev、
切削時間:3分、
の条件でのステンレス鋼の乾式高速断続切削試験を行った。
【0017】
さらに、本発明被覆サーメット工具7〜12および従来被覆サーメット工具7〜12については、
被削材:JIS・SCM440の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度:380m/min、
切り込み:1.0mm、
送り:0.18mm/rev、
切削時間:3分、
の条件での合金鋼の乾式高速断続切削試験、
被削材:JIS・SUS304の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度:330m/min、
切り込み:1.0mm、
送り:0.18mm/rev、
切削時間:3分、
の条件でのステンレス鋼の乾式高速断続切削試験を行い、いずれの切削試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表6に示した。
【0018】
【表1】
Figure 2004181554
【0019】
【表2】
Figure 2004181554
【0020】
【表3】
Figure 2004181554
【0021】
【表4】
Figure 2004181554
【0022】
【表5】
Figure 2004181554
【0023】
【表6】
Figure 2004181554
【0024】
【発明の効果】
表4〜6に示される結果から、本発明被覆サーメット工具1〜12は、硬質被覆層の上部層を構成する加熱変態α型Al23層中に分散分布する加熱変態生成クラックの作用で、熱衝撃がきわめて高く、かつ高い発熱を伴なう鋼の高速断続切削でも、硬質被覆層中に内蔵された状態で存在する前記加熱変態生成クラックの作用で、切刃部のチッピング発生が著しく抑制され、すぐれた耐摩耗性を発揮するのに対して、硬質被覆層の上部層が蒸着α型Al23層からなる従来被覆サーメット工具1〜12においては、高速断続切削では前記蒸着α型Al23層が激しい熱衝撃に耐えられず、切刃部にチッピングが発生し、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の被覆サーメット工具は、各種鋼や鋳鉄などの通常の条件での連続切削や断続切削は勿論のこと、特に熱衝撃がきわめて高く、かつ高い発熱を伴なう切削条件の最も厳しい高速断続切削でもすぐれた耐チッピング性を示し、長期に亘ってすぐれた切削性能を発揮するものであるから、切削装置の高性能化並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明被覆サーメット工具3の硬質被覆層を構成する加熱変態α型Al23層(目標層厚:15μm)のX線回折チャートを示す図である。
【図2】本発明被覆サーメット工具8の硬質被覆層を構成する加熱変態α型Al23層(目標層厚:10μm)のX線回折チャートを示す図である。
【図3】本発明被覆サーメット工具11の硬質被覆層を構成する加熱変態α型Al23層(目標層厚:5μm)のX線回折チャートを示す図である。
【図4】従来被覆サーメット工具3の硬質被覆層を構成する蒸着α型Al23層(目標層厚:15μm)のX線回折チャートを示す図である。
【図5】従来被覆サーメット工具8の硬質被覆層を構成する蒸着α型Al23層(目標層厚:10μm)のX線回折チャートを示す図である。
【図6】従来被覆サーメット工具11の硬質被覆層を構成する蒸着α型Al23層(目標層厚:5μm)のX線回折チャートを示す図である。

Claims (1)

  1. 炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された工具基体の表面に、
    (a)下部層として、3〜20μmの平均層厚を有し、いずれも蒸着形成されたTiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上の積層からなるTi化合物層、
    (b)上部層として、3〜15μmの平均層厚を有し、蒸着形成した状態でκ型またはθ型の結晶構造を有する酸化アルミニウムに加熱変態処理を施して結晶構造をα型結晶構造とし、かつ加熱変態生成クラックが分散分布した組織を有する加熱変態α型酸化アルミニウム層、
    (c)表面層として、0.5〜2μmの平均層厚を有し、蒸着形成された窒化チタン層、
    以上(a)〜(c)で構成された硬質被覆層を形成してなる硬質被覆層がすぐれた耐熱衝撃性を有する表面被覆サーメット製切削工具。
JP2002349645A 2002-07-01 2002-12-02 硬質被覆層がすぐれた耐熱衝撃性を有する表面被覆サーメット製切削工具 Withdrawn JP2004181554A (ja)

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