JP3980189B2 - 自動車用冷暖房装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、除湿機能を備えたヒートポンプシステムにより車室内の除湿暖房を行う、特に電気自動車に好適な自動車用冷暖房装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電気自動車は、走行駆動源が電気モータであるため、高温のエンジン冷却水を利用するエンジン搭載車に比べて暖房熱源が不足する。このため、従来の電気自動車用冷暖房装置においては、冷房のみならず暖房にも冷媒を用いてサイクル運転を行い、窓曇りを防止しながら車室内を暖房することができる除湿暖房可能なヒートポンプ式カーエアコン(以下「除湿ヒートポンプシステム」という)が開発されている(例えば、特開平5−201243号参照)。
【0003】
この種の電気自動車用冷暖房装置は、例えば、図5に示すように、ダクト1内に、空気を取り入れるブロア装置2と、エバポレータ3と、主に暖房運転時に機能する室内側のサブコンデンサ4とが配設され、さらに、ダクト1の外には、主に冷房運転時に機能する室外側のメインコンデンサ5が配設されている。
【0004】
サブコンデンサ4とメインコンデンサ5とは、冷凍サイクル中に設けられた四方弁6によって暖房運転時と冷房運転時とで切り換えられ、暖房運転時においては、冷媒がメインコンデンサ5をバイパスして流れるようにし、電動コンプレッサ7から吐出された冷媒は、四方弁6→バイパス通路8→サブコンデンサ4→リキッドタンク9→膨脹弁10→エバポレータ3と流れて、コンプレッサ7に帰還する(暖房サイクル)。この循環過程において、コンプレッサ7から吐出され四方弁6でメインコンデンサ5をバイパスしたガス冷媒は、サブコンデンサ4で凝縮液化されて放熱を行うので、エバポレータ3で除湿(および冷却)された空気はサブコンデンサ4で加熱され、車室内が除湿暖房されることになる。
【0005】
また、四方弁6の出口側(出口ポートの一つ)とコンプレッサ7の吸入側との間には冷媒回収通路11が設けられ、さらに、この冷媒回収通路11には電磁弁12が取り付けられている。そして、暖房運転開始時に外気温度が低いときには、四方弁6により冷媒回収通路11とメインコンデンサ5とを連通させ、電磁弁12を開くことによって、主としてメインコンデンサ5に滞留しているいわゆる寝込み冷媒をコンプレッサ7に戻して、暖房サイクル内の冷媒不足を補うようにしている。
【0006】
なお、図5中、13,14,15は逆止弁、16はエアミックスドア、17はコンデンサファンである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の除湿ヒートポンプシステムでは、十分な除湿暖房効果を発揮しうるものの、冷凍サイクルを含めたシステム全体の構成が複雑であることなどから、下記の点が問題となりうる。
【0008】
第一に、従来の構成では、外気温度が低いときにメインコンデンサ5などに冷媒が溜りやすいので(寝込み冷媒の存在)、暖房運転時においてサイクル内を循環する冷媒量を確保するため、上記のように、寝込み冷媒を回収するためのライン(四方弁6、冷媒回収通路11、電磁弁12など)を設けるとともにその制御を行うことが必要である。
【0009】
第二に、従来の構成では、暖房運転時と冷房運転時とで冷媒の流れを切り換えたりまた寝込み冷媒を回収するために、四方弁6、逆止弁13〜15などの弁類が追加されているが、こうした弁類の追加によって、作動上の信頼性を確保するための対策が必要となり、さらに、作動音が発生したり、コストおよび重量が増加するおそれがある。
【0010】
本発明は、従来の除湿ヒートポンプシステムにおける上記課題に着目してなされたものであり、冷媒回収ラインが不要で部品点数も削減された簡素化されたシステム構成を有しつつ、信頼性の向上やコストの低減などを図ることができる除湿暖房可能なヒートポンプ式の新しい自動車用冷暖房装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0012】
(1)本発明に係る自動車用冷暖房装置は、冷凍サイクル内を状態変化しながら循環する冷媒の熱を利用して車室内の除湿暖房を行うヒートポンプ式の自動車用冷暖房装置において、コンプレッサ、車室内に設置された室内コンデンサ、車室外に配置された室外コンデンサ、リキッドタンク、膨張弁、および車室内に配置されたエバポレータをこの順序で冷媒配管により連結し、前記室内コンデンサの出口と前記リキッドタンクの入り口とをバイパス管で接続し、前記室外コンデンサの入口側配管に第1電磁弁を設け、前記バイパス管に第2電磁弁を設け、前記室内コンデンサから流出した冷媒を、冷房運転時には前記第1電磁弁を開きかつ前記第2電磁弁を閉じて前記室外コンデンサ側に導き、暖房運転時には前記第1電磁弁を閉じかつ前記第2電磁弁を開いて前記バイパス管側に導くようにし
暖房運転が選択されたときに、外気温度に応じて冷媒回収時間を設定した後、前記第1電磁弁を開きかつ前記第2電磁弁を閉じた状態で前記コンプレッサを起動し、当該コンプレッサ起動後の経過時間が、まずあらかじめ設定された所定時間となった時に前記第1電磁弁を閉じ、次に前記設定された冷媒回収時間となった時に前記第2電磁弁を開くようにしたことを特徴とする。
【0013】
(2)前記室外コンデンサの出口側配管には、前記室外コンデンサから前記リキッドタンクへ向かう流れのみを許容する逆止弁が設けられている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を使って、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態に係る自動車用冷暖房装置の概略構成図であって、電気自動車に搭載されるものを示している。なお、同図中、図5と共通する部材には同一の符号を付してある。
【0017】
この電気自動車用冷暖房装置は、冷房、暖房共に冷媒を用いたサイクル運転を行うことにより車室内の冷房と除湿暖房を行う除湿ヒートポンプシステムであって、図5に示す従来の除湿ヒートポンプシステムを改良した新タイプのものである。
【0018】
このシステムの冷凍サイクルは、電動コンプレッサ7(以下単に「コンプレッサ」という)、車室内に配置された室内コンデンサとしてのサブコンデンサ4、車室外に配置された室外コンデンサとしてのメインコンデンサ5、リキッドタンク9、膨脹弁10、および車室内に配置されたエバポレータ3をこの順序で冷媒配管により連結するとともに、サブコンデンサ4の出口とリキッドタンク9の入口とをバイパス管21で接続し、その中に冷媒を封入して構成されている。すなわち、冷媒経路が、図5に示す従来のシステムと異なり、コンプレッサ7から吐出された冷媒を直ちにサブコンデンサ4に導きここを通過させた後、メインコンデンサ5側または直接エバポレータ3側(つまり、バイパス管21側)へ流れるよう選択的に分岐させるように構成されている。双方の分岐路にはそれぞれ電磁弁22,23が設置されている。具体的には、メインコンデンサ5の入口側配管には第1電磁弁22が、バイパス管21には第2電磁弁23がそれぞれ設置されている。
【0019】
また、バイパス管21を流れた冷媒がメインコンデンサ5の方へ逆流するのを完全に阻止するため、好ましくは、メインコンデンサ5の出口側配管に、該メインコンデンサ5からリキッドタンク9へ向かう流れのみを許容する逆止弁24が設置されている。
【0020】
したがって、新しい本システムと従来のシステムとを比較した場合、弁類について、従来システムでは四方弁を1個、電磁弁を1個、逆止弁を3個必要とするのに対し、本システムでは電磁弁を2個、逆止弁を1個必要とするのみで、電磁弁は1個増えるものの、高価な四方弁が不要となりかつ逆止弁を2個削減することができ、全体として部品点数が削減され、コストも低減されている。
【0021】
また、本システムでは、後述するように、二つの電磁弁22,23の開閉タイミングを制御することによって寝込み冷媒を回収することが可能であるため、図1に示すように、従来のシステムにおける冷媒回収ライン(冷媒回収通路11など)は不要であり、その分従来のシステムに比べて配管経路が簡単化され、短くなっている。
【0022】
このように、本システムでは、冷凍サイクルの構成において、冷媒回収ラインが不要で、かつ、部品点数も削減されているため、従来のものに比べてシステムが大幅に簡素化されている。
【0023】
本システムにおける冷凍サイクル以外の構成は、図5に示す従来のシステムと全く同様である。
【0024】
すなわち、この電気自動車用冷暖房装置は、車室内外の空気(内外気)を選択的に取り入れて空気調和した後車室内に所定の場所に向かって吹き出す空調ユニットを有し、この空調ユニットは、取り入れた空気を車室内に向かって送るためのダクト1を有している。ダクト1内には、白抜き矢印で示す空気流れ方向上流側から順に、内気取入口および外気取入口(共に図示せず)を選択的に開閉する図示しないインテークドアと、このインテークドアにより選択された内外気をダクト1内に導入し下流側に向かって圧送するブロア装置2と、冷媒を蒸発させて空気を冷却させる前記エバポレータ3と、主に暖房運転時に機能しガス冷媒を凝縮液化させて空気を加熱する前記サブコンデンサ4とが配置されている。サブコンデンサ4の前面には、サブコンデンサ4を通過する空気とこれを迂回する空気との割合を調節するためのエアミックスドア16が回動自在に設けられ、また、サブコンデンサ4の下流側には、温度調節された空気を車室内の所定の場所に向かって吹き出すための図示しない各種吹出口(例えば、ベント吹出口、フット吹出口、デフ吹出口など)が形成されている。
【0025】
一方、ダクト1外に配置されているメインコンデンサ5の背面、つまり空気流れ下流側には、このメインコンデンサ5に空気を供給するコンデンサファン17が設けられている。メインコンデンサ5は、主に冷房運転時に機能し、空気との熱交換によりガス冷媒を冷却し凝縮液化させるものである。
【0026】
なお、リキッドタンク9や膨脹弁10の機能は周知のとおりである。すなわち、前者は、気液を分離して液冷媒を一度蓄え、液冷媒のみを膨脹弁10に送り出すものであり、通常、エアの分離や水分・異物の除去を行う機能も有している。また、後者は、液冷媒を減圧膨脹させて蒸発しやすい低温低圧の霧状冷媒にするとともに、エバポレータ出口温度を感知して冷媒流量を自動調節する(温度作動式の場合)機能を有している。
【0027】
次に、作用を説明する。
【0028】
本発明では、四方弁を使わず、二つの電磁弁22,23のみで冷暖房の切換えを行う。具体的な内容は、下記のとおりである。
【0029】
冷房運転時には、第1電磁弁22を開きかつ第2電磁弁23を閉じて、サブコンデンサ4から流出した冷媒をメインコンデンサ5側に導く。すなわち、コンプレッサ7から吐出された冷媒は、サブコンデンサ4→第1電磁弁22→メインコンデンサ5→逆止弁24→リキッドタンク9→膨脹弁10→エバポレータ3と流れてコンプレッサ7に帰還する(冷房サイクル)。このとき、エアミックスドア16は、例えば、図1中のB位置に設定され、エバポレータ3通過後の空気がサブコンデンサ4を通過しないようにしている。これにより、コンプレッサ7から出た高温高圧のガス冷媒は、一旦サブコンデンサ4に入るが、エアミックスドア16により空気の通過つまり空気との熱交換が阻止されているため、サブコンデンサ4ではほとんど放熱せずそのまま第1電磁弁22を通ってメインコンデンサ5に流入し、ここで外気と熱交換されて凝縮液化される。メインコンデンサ5から出た中温高圧の液冷媒はリキッドタンク9で抽出された後、エバポレータ3の入口に設けられた膨脹弁10によって断熱膨脹されて低温低圧の霧状冷媒となり、エバポレータ3に導かれる。この低温低圧の霧状冷媒は、エバポレータ3において熱交換により取入れ空気を冷却しながら低温低圧のガス冷媒となり、コンプレッサ7に戻される。このようにして車室内の冷房が行われる。
【0030】
一方、暖房運転時には、第1電磁弁22を閉じかつ第2電磁弁23を開いて、サブコンデンサ4から流出した冷媒をバイパス管21側つまり直接エバポレータ3側に導く。すなわち、コンプレッサ7から吐出された冷媒は、サブコンデンサ4→第2電磁弁23→リキッドタンク9→膨脹弁10→エバポレータ3と流れてコンプレッサ7に帰還する(暖房サイクル)。このとき、エアミックスドア16は、例えば、図1中のA位置に設定され、エバポレータ3通過後の空気がすべてサブコンデンサ4を通過するようにしている。これにより、コンプレッサ7から吐出された高温高圧のガス冷媒は、サブコンデンサ4に入り、ここで取入れ空気に熱を放出して凝縮液化され、中温高圧の液冷媒となる。この液冷媒はバイパス管21を通ってリキッドタンク9に至り、さらに膨脹弁10によって断熱膨脹されて低温低圧の霧状冷媒となった後、エバポレータ3で熱交換により取入れ空気を冷却・除湿し、コンプレッサ7に戻される。このように、エバポレータ3で冷却され除湿された取入れ空気をサブコンデンサ4で加熱して車室内に吹き出すことによって、車室内が除湿暖房される。なお、温調制御は、エアミックスドア16の開度を調整することによって行うことができる。
【0031】
このように、本システムでは、従来のシステムと比較して、冷凍サイクルにおけるサブコンデンサ4の位置が変更され、サブコンデンサ4がメインコンデンサ5の上流側で分岐前の位置にコンプレッサ7の出口と直結する形で設けられているが、このような位置にサブコンデンサ4を設けることによって、コンプレッサ7の出口とサブコンデンサ4の入口との間の配管経路が短くなり、暖房運転時においてその配管経路の短縮分だけガス冷媒の温度降下が防止されるため、サブコンデンサ4を流れる冷媒の温度がより高くなり、暖房性能の向上が図られる。
【0032】
また、本発明では、前述のように冷媒回収ラインを設けていないが、暖房運転時の冷媒不足は、メインコンデンサ5への冷媒の寝込みを考慮してあらかじめリキッドタンク9の容量を大きめに取っておくことで、対応可能である。
【0033】
また、本システムにおいて暖房運転時にメインコンデンサ5に滞留している冷媒の回収を実施する際には、二つの電磁弁22,23の開閉タイミングを後述のように適当に制御することで寝込み冷媒を効率良く回収できることが、実験の結果分かった。
【0034】
図2は、そのような冷媒回収時の電磁弁開閉制御の一例を示すフローチャートである。なお、このフローチャートの説明に当たっては、適宜、図3に示す実験結果を参照する。
【0035】
ここでは、まず、図2のフローチャートについて説明する前に、図3の結果をもたらした実験の内容について簡単に説明しておく。図3の実験結果は、図1のシステムを用いて、負荷の違い(外気温度とエバポレータ吸気温度)による冷媒回収時間と冷媒の回収率とを示したものである。試験条件は、次のとおりであった。吹出口モード:デフ/フット、エアミックスドア:フルホット(図1中のA位置)、システム冷媒封入量:850g、コンプレッサ周波数:120Hz、ブロア印加電圧:12V、初期メインコンデンサ内冷媒量:550g。コンプレッサ運転開始後30秒経過するまでは第1電磁弁22を開けておく。なお、負荷の違う五つのケースのうちeのケースは低温放置後の初期運転を想定したもので、負荷として最も厳しいものである。
【0036】
次に、図2のフローチャートについて説明する。なお、このフローチャートの中の具体的な数値は、図3の実験結果に基づいている。
【0037】
手動または自動で暖房運転モードが選択されると(S1)、まず、外気温度を検出し、その検出値に応じて冷媒回収時間を設定する。具体的には、例えば、検出された外気温度が所定値(例えば、−20℃)よりも大きいかどうかを判断し(S2)、YESであれば、つまり、外気温度が所定値(−20℃)よりも高ければ、冷媒回収時間を第1設定値(例えば、60秒)に設定し(S3)、NOであれば、つまり、外気温度が所定値(−20℃)以下であれば、第1設定値(60秒)よりも大きい第2設定値(例えば、90秒)に設定する(S4)。
【0038】
外気温度に応じた冷媒回収時間の設定が終了すると、電磁弁の初期状態として第1電磁弁22を開きかつ第2電磁弁23を閉じて(S5)、コンプレッサ7を起動する(S6)。この時点から冷媒回収の動作が始まる。
【0039】
その後、コンプレッサ7を起動してからの経過時間をカウントし、冷媒回収時間(60秒または90秒)よりも短い所定時間(例えば、30秒)が経過した時点で(S7)、第1電磁弁22を閉じる(S8)。
【0040】
その後、引き続きコンプレッサ7起動後の経過時間をカウントし、ステップS3またはS4で設定した冷媒回収時間(60秒または90秒)に到達した時点で(S9)、第2電磁弁23を開けて(S10)、冷媒回収の動作を終了し、前述した暖房運転に移行する。
【0041】
以上のように、この冷媒回収方法にあっては、冷媒回収時、まず第1電磁弁22のみ開けて(コンプレッサ起動後30秒間)いわゆるホットガスバイパスさせるが(S5〜S7)、それだけでは冷媒を80%程度しか回収できない。これでも良いように冷媒封入量を設定する方法もあるが、ここでは、回収率を85%以上に上げるために、ホットガスバイパス後も、設定された冷媒回収時間の間は、第1電磁弁23も閉じて強制的にメインコンデンサ5内の冷媒を移動させ、暖房サイクル内に回収するようにしている(S8〜S9)。
【0042】
その際、もしコンプレッサ7の出口側の容量が不足していれば、後者の段階において、コンプレッサ7の吐出圧力が急激に上昇して、保護動作(コンプレッサ停止など)に入ってしまうが、本システムでは、前述のように、サブコンデンサ4がコンプレッサ7の出口に直結されているため、回収された冷媒はサブコンデンサ4に貯溜されることになり、コンプレッサ7の出口側の容量が不足するということはない。つまり、サブコンデンサ4は、冷媒回収時において回収した冷媒を溜めるタンクの役割を果たすことになり(冷媒回収の手段の一つ)、図2に示す冷媒回収方法による冷媒回収能力の向上を、システム構成の面からバックアップしている。
【0043】
図4は、本システムと従来システムとにおける経過時間とメインコンデンサ内冷媒量との関係および本システムにおける負荷違いによる冷媒回収能力を示すグラフである。なお、ここでは、本システムに対しては負荷条件が図3に示す四つのケースa,b,d,eの場合の実験結果を示し、従来システムに対しては外気温度:−20℃、エバポレータ吸気温度:−20℃(図3のケースeに相当)の場合の実験結果を示している。いずれの場合も、メインコンデンサ5内の初期冷媒量は550gである。
【0044】
同図から明らかなように、本システムによれば、外気温度条件により冷媒回収時間を設定することで、効率良くメインコンデンサ5内の冷媒を回収することができ、従来システム(図5参照)に比べて大幅に冷媒回収時間の短縮化を図ることができる。例えば、従来システムにおける150秒を、本システムでは60〜90秒に短縮することができる。
【0045】
また、回収量についても、図3のケースe(外気温度:−20℃、エバポレータ吸気温度:−20℃)の場合でも、90秒経過後に、初期メインコンデンサ内冷媒量550gのうちの約450(=550−100)gを回収することができ、この場合、回収率は、下記の計算式、
回収率(%)=(1−残冷媒量/システム内全冷媒量)×100
により、(1−100/850)×100=88.2%(約88%)となり、従来システムに比べて大幅に回収能力が向上している。なお、外気温度:0℃の場合(図3のケースa,b)には、本システムによれば、60秒経過後の時点ですでに回収率が約99%で、ほぼ全回収可能である。
【0046】
このように、本システムによれば冷媒回収時間が短縮されるが、その原理は、次のようなものであると考えられる。すなわち、図5に示す従来システムにおける冷媒回収方法は、冷媒回収ラインを用いた低圧ラインの吸引によるものであり、室外部(メインコンデンサ5)の圧力がコンプレッサ吸入圧力よりも高い場合には回収可能であるが、低外気(−20℃)時には飽和圧力が低くなるため、図4に示すように回収能力は極端に低下する。これに対し、本システムでは、初期の段階にホットガスバイパスによりメインコンデンサ5内に高圧力を導入するため、低外気(−20℃)時でも差圧が発生し、したがって、その後、その差圧によりメインコンデンサ5内に寝込んでいる冷媒が押し出されることになる。
【0047】
なお、図3、図4に示す実験結果からも分かるように、負荷の違いによって冷媒回収能力に差があり、特に外気温度が低いと冷媒回収能力が低下するが、それでも、本システムによれば、低温放置後の初期運転を想定した図3のケースe(外気温度:−20℃、エバポレータ吸気温度:−20℃)の場合でさえ、メインコンデンサ5に寝込んでいる冷媒の回収率を85%以上とすることが可能であり、従来システムに比べて冷媒回収能力は大幅に向上している(図4参照)。
【0048】
以上のとおり、本実施の形態によれば、高価な四方弁が不要となりかつ逆止弁を2個削減することができるため、作動上の信頼性の向上が図られるとともに、弁類の作動音の発生が低減され、さらに部品点数の削減によりコストや重量の低減も図られる。
【0049】
また、二つの電磁弁22,23の開閉タイミングを制御することで寝込み冷媒を回収できるため、従来のような専用の冷媒回収ラインが不要となり、その分配管経路が簡単化され、短くなっており、この点からもシステムの簡素化が図られ、信頼性の向上ならびにコストや重量の低減が図られる。
【0050】
また、サブコンデンサ4をコンプレッサ7の出口と直結したので、従来のシステムと比べてコンプレッサ7の出口とサブコンデンサ4の入口との間の配管経路が短くなる。したがって、暖房運転時においてその配管経路の短縮分だけガス冷媒の温度降下が防止されるため、サブコンデンサ4を流れる冷媒の温度がより高くなり、暖房性能の向上が図られる。
【0051】
また、同じくサブコンデンサ4をコンプレッサ7の出口と直結した構成とすることで、二つの電磁弁22,23を共に閉じて冷媒回収を行う際に、サブコンデンサ4を回収冷媒のタンク(容量)として機能させることができるため、コンプレッサ7の吐出圧力の急激な上昇を抑制することができ、一定の冷媒回収時間を確保することが可能となる。
【0052】
また、冷媒回収時、まず第1電磁弁22のみ開けてホットガスバイパスさせた後、第1電磁弁22を閉じてメインコンデンサ5内の冷媒を回収するようにしたので、外気温度が低い場合であっても冷媒回収に必要な圧力差が発生し、冷媒回収の時間の短縮および冷媒回収の能力の向上が図られる。
【0053】
また、その際、外気温度に応じて冷媒回収時間を設定するようにしたので、負荷に応じて効率良く冷媒を回収することができる。特に、外気温度が−20℃の場合においても、メインコンデンサ5内に寝込んでいる冷媒の回収率を85%以上とすることができる。
【0054】
なお、本発明は、上記した実施の形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々改変することができるものである。例えば、上記した実施の形態では、電気自動車用の冷暖房装置について説明したが、本発明は、これのみに限定されるものではなく、エンジン搭載車など通常の自動車の冷暖房装置にも適用することができることはいうまでもない。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、専用の冷媒回収ラインが不要で、かつ弁類の部品点数が削減可能であるため、システムの簡素化が図られ、作動上の信頼性の向上とともにコストや重量の低減なども図られる。
【0056】
また、サブコンデンサをコンプレッサの出口と直結したので、コンプレッサから吐出されサブコンデンサに流入する冷媒の温度降下が少なく、暖房性能の向上が図られる。
【0057】
また、冷媒回収時において、まず第1電磁弁のみ開けてホットガスバイパスさせた後、第1電磁弁を閉じてメインコンデンサ内の冷媒を回収するようにしたので、外気温度が低い場合であっても冷媒回収に必要な圧力差が発生し、冷媒回収の時間の短縮と冷媒回収の能力の向上とが図られる。
【0058】
また、その際、外気温度に応じて冷媒回収時間を設定するようにしたので、負荷に応じて効率良く冷媒を回収することができ、特に、外気温度が−20℃の場合であっても、メインコンデンサ内に寝込んでいる冷媒の回収率を85%以上とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る電気自動車用冷暖房装置の概略構成図である。
【図2】 冷媒回収時における電磁弁の開閉制御の一例を示すフローチャートである。
【図3】 図1の装置を用いた冷媒回収実験の結果をまとめた表である。
【図4】 本システムと従来システムとにおける経過時間とメインコンデンサ内冷媒量との関係および本システムにおける負荷違いによる冷媒回収能力を示すグラフである。
【図5】 従来のヒートポンプ式電気自動車用冷暖房装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
3…エバポレータ、
4…サブコンデンサ、
5…メインコンデンサ、
7…電動コンプレッサ、
9…リキッドタンク、
10…膨脹弁、
21…バイパス管、
22…第1電磁弁、
23…第2電磁弁、
24…逆止弁。

Claims (2)

  1. 冷凍サイクル内を状態変化しながら循環する冷媒の熱を利用して車室内の除湿暖房を行うヒートポンプ式の自動車用冷暖房装置において、コンプレッサ(7)、車室内に設置された室内コンデンサ(4)、車室外に配置された室外コンデンサ(5)、リキッドタンク(9)、膨張弁(10)、および車室内に配置されたエバポレータ(3)をこの順序で冷媒配管により連結し、前記室内コンデンサ(4)の出口と前記リキッドタンク(9)の入り口とをバイパス管(21)で接続し、前記室外コンデンサ(5)の入口側配管に第1電磁弁(22)を設け、前記バイパス管(21)に第2電磁弁(23)を設け、前記室内コンデンサ(4)から流出した冷媒を、冷房運転時には前記第1電磁弁(22)を開きかつ前記第2電磁弁(23)を閉じて前記室外コンデンサ(5)側に導き、暖房運転時には前記第1電磁弁(22)を閉じかつ前記第2電磁弁を開いて前記バイパス管(21)側に導くようにし
    暖房運転が選択されたときに、外気温度に応じて冷媒回収時間を設定した後、前記第1電磁弁 (22) を開きかつ前記第2電磁弁 (23) を閉じた状態で前記コンプレッサ (7) を起動し、当該コンプレッサ (7) 起動後の経過時間が、まずあらかじめ設定された所定時間となった時に前記第1電磁弁 (22) を閉じ、次に前記設定された冷媒回収時間となった時に前記第2電磁弁 (23) を開くようにしたことを特徴とする自動車用冷暖房装置。
  2. 前記室外コンデンサ(5)の出口側配管には、前記室外コンデンサ(5)から前記リキッドタンク(9)へ向かう流れのみを許容する逆止弁(24)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用冷暖房装置。
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