JP3939445B2 - 自動車用冷暖房装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、除湿機能を備えたヒートポンプシステムにより車室内の除湿暖房を行う、特に電気自動車に好適な、極寒地向けに改良された自動車用冷暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電気自動車は、走行駆動源が電気モータであるため、高温のエンジン冷却水を利用するエンジン搭載車に比べて暖房熱源が不足する。このため、従来の電気自動車用冷暖房装置においては、冷房のみならず暖房にも冷媒を用いてサイクル運転を行い、窓曇りを防止しながら車室内を暖房することができる除湿暖房可能なヒートポンプ式カーエアコン(以下「除湿ヒートポンプシステム」という)が開発されている(例えば、特開平5−201243号参照)。
【0003】
この種の電気自動車用冷暖房装置は、例えば、図3に示すように、ダクト1内に、空気を取り入れるブロア装置2と、エバポレータ3と、主に暖房運転時に機能する室内側のサブコンデンサ4とが配設され、さらに、ダクト1の外には、主に冷房運転時に機能する室外側のメインコンデンサ5が配設されている。
【0004】
サブコンデンサ4とメインコンデンサ5とは、冷凍サイクル中に設けられた四方弁6によって暖房運転時と冷房運転時とで切り換えられ、暖房運転時においては、冷媒がメインコンデンサ5をバイパスして流れるようにし、電動コンプレッサ7から吐出された冷媒は、四方弁6→バイパス通路9→サブコンデンサ4→リキッドタンク10→膨脹弁11→エバポレータ3と流れて、コンプレッサ7に帰還する(暖房サイクル)。この循環過程において、コンプレッサ7から吐出され四方弁6でメインコンデンサ5をバイパスしたガス冷媒は、サブコンデンサ4で凝縮液化されて放熱を行うので、エバポレータ3で除湿(および冷却)された空気はサブコンデンサ4で加熱され、車室内が除湿暖房されることになる。
【0005】
また、四方弁6の出口側(出口ポートの一つ)とコンプレッサ7の吸入側との間には冷媒回収通路12が設けられ、さらに、この冷媒回収通路12には電磁弁13が取り付けられている。そして、暖房運転開始時に外気温度が低いときには、四方弁6により冷媒回収通路12とメインコンデンサ5とを連通させ、電磁弁13を開くことによって、主としてメインコンデンサ5に滞留しているいわゆる寝込み冷媒をコンプレッサ7に戻して、暖房サイクル内の冷媒不足を補うようにしている。
【0006】
なお、図3中、8は冷媒配管、14,15,16は逆止弁、17はエアミックスドア、18はコンデンサファンである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の除湿ヒートポンプシステムでは、冷凍サイクルを含めたシステム全体の構成が複雑であることなどから、下記の点が問題となりうる。
【0008】
第一に、従来の構成では、外気温度が低いときにメインコンデンサ5などに冷媒が溜りやすいので(寝込み冷媒の存在)、暖房運転時においてサイクル内を循環する冷媒量を確保するため、上記のように、寝込み冷媒を回収するためのライン(四方弁6、冷媒回収通路12、電磁弁13など)を設けるとともにその制御を行うことが必要である。
【0009】
第二に、従来の構成では、暖房運転時と冷房運転時とで冷媒の流れを切り換えたりまた寝込み冷媒を回収するために、四方弁6、逆止弁14〜16などの弁類が追加されているが、こうした弁類の追加によって、作動上の信頼性を確保するための対策が必要となり、さらに、作動音が発生したり、コストおよび重量が増加するおそれがある。
【0010】
第三に、従来の構成では、外気温度が−20℃以下になりうる極寒地などを除いて、十分な除湿暖房効果を発揮しうるものの、そうした極寒地などにおいてはやはり暖房性能が不足するおそれがある。
【0011】
本発明は、従来の除湿ヒートポンプシステムにおける上記課題に着目してなされたものであり、冷媒回収ラインが不要で部品点数も削減された簡素化されたシステム構成を有しつつ、信頼性の向上やコストの低減などを図ることができる除湿暖房可能なヒートポンプ式の極寒地向けの新しい自動車用冷暖房装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0013】
(1)本発明に係る自動車用冷暖房装置は、冷凍サイクル内を状態変化しながら循環する冷媒の熱を利用して車室内の除湿暖房を行うヒートポンプ式の自動車用冷暖房装置において、コンプレッサ、車室内に配置された室内コンデンサ、オリオリフィス付きの第1電磁弁、車室外に配置された室外コンデンサ、リキッドタンク、温水を利用して冷媒を加熱する熱交換器、膨脹弁、および車室内に配置されたエバポレータをこの順序で冷媒配管により連結し、前記熱交換器の出口と前記コンプレッサの入口とをバイパス管で接続し、前記熱交換器から流出した冷媒を冷媒流路切替手段により、冷房運転時には前記エバポレータ側に導き、暖房運転時には前記バイパス管側に導くようにしたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を使って、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る自動車用冷暖房装置の概略構成図であって、電気自動車に搭載されるものを示している。なお、同図中、図3と共通する部材には同一の符号を付してある。
【0016】
この電気自動車用冷暖房装置は、冷房、暖房ともに冷媒を用いたサイクル運転を行うことにより車室内の冷房と除湿暖房を行う除湿ヒートポンプシステムであって、図3に示す従来の除湿ヒートポンプシステムを極寒地向けに改良した新タイプのものである。
【0017】
このシステムの冷凍サイクルは、電動コンプレッサ7(以下単に「コンプレッサ」という)、車室内に配置された室内コンデンサとしてのサブコンデンサ4、オリフィス付きの第1電磁弁20、車室外に配置された室外コンデンサとしてのメインコンデンサ5、リキッドタンク10、温水を利用して冷媒を加熱する熱交換器21(以下「温水冷媒熱交換器」という)、膨脹弁11、および車室内に配置されたエバポレータ3をこの順序で冷媒配管8により連結するとともに、温水冷媒熱交換器21の出口とコンプレッサ7の吸入口とをバイパス管22で接続し、その中に冷媒を封入して構成されている。すなわち、冷媒経路が、図3に示す従来のシステムと異なり、コンプレッサ7から吐出された冷媒を直接サブコンデンサ4に導き、サブコンデンサ4、第1電磁弁20、メインコンデンサ5、リキッドタンク10、および温水冷媒熱交換器21を通過させた後、エバポレータ3側または直接コンプレッサ7側(つまり、バイパス管22側)へ流れるよう選択的に分岐させるように構成されている。このため、バイパス管22には、冷媒流路切替手段としての第2電磁弁23が設置されている。なお、第1電磁弁20はオリフィス付き電磁弁であって、弁を閉じたときに全閉状態とならずオリフィス(絞り)となるものであるが、第2電磁弁23は通常の電磁弁であって、弁を閉じたときに全閉状態となるものである。また、膨脹弁11は通常の温度作動式膨脹弁であって、エバポレータ3の出口配管に設けられた感熱筒のフィードバックを受けて弁が作動することで、冷媒流量を調節するようになっている。
【0018】
温水冷媒熱交換器21は、内部を流通する冷媒を温水と熱交換させて加熱する機能を有している。この温水冷媒熱交換器21には、例えば、熱源としてシーズヒータ24を内蔵した温水槽25が温水配管を介して接続されており、温水槽25に設けられたポンプを作動させることで、温水槽25内の温水が温水冷媒熱交換器21に供給されるようになっている。シーズヒータ24は、発熱線を金属製保護管(シーズ)の中に入れ、中間に耐熱性無機絶縁物を充填した発熱体であって、熱効率がよく、長寿命であるなどのすぐれた特徴を有し、液体中の加熱に適している。シーズヒータ24を通電させることで、温水槽25内の水が加熱されて温水となり、また保温される。
【0019】
したがって、新しい本システムと従来のシステムとを比較した場合、弁類について、従来システムでは四方弁を1個、電磁弁を1個、逆止弁を3個、膨脹弁を1個必要とするのに対し、本システムでは電磁弁を2個、膨脹弁を2個必要とするのみで、電磁弁と膨脹弁はそれぞれ1個ずつ増えるものの、高価な四方弁が不要となりかつ逆止弁を3個削減することができるので、全体として部品点数が削減され、コストも低減されている。
【0020】
また、本システムでは、メインコンデンサをバイパスする冷媒経路がなく冷房時も暖房時も冷媒はメインコンデンサ5を通過するため、冷暖房切替時に冷媒の寝込みの存在ということがなく、従来のシステムにおける冷媒回収ライン(冷媒回収通路12など)は不要であり、その分従来のシステムに比べて配管経路が簡単化され、短くなっている。
【0021】
このように、本システムでは、冷凍サイクルの構成において、冷媒回収ラインが不要で、かつ、部品点数も削減されているため、従来のものに比べてシステムが大幅に簡素化されている。
【0022】
本システムにおける冷凍サイクル以外の構成は、図2に示す従来のシステムと全く同様である。
【0023】
すなわち、この電気自動車用冷暖房装置は、車室内外の空気(内外気)を選択的に取り入れて空気調和した後車室内に所定の場所に向かって吹き出す空調ユニットを有し、この空調ユニットは、取り入れた空気を車室内に向かって送るためのダクト1を有している。ダクト1内には、白抜き矢印で示す空気流れ方向上流側から順に、内気取入口および外気取入口(共に図示せず)を選択的に開閉する図示しないインテークドアと、このインテークドアにより選択された内外気をダクト1内に導入し下流側に向かって圧送するブロア装置2と、冷媒を蒸発させて空気を冷却させる前記エバポレータ3と、主に暖房運転時に機能しガス冷媒を凝縮液化させて空気を加熱する前記サブコンデンサ4とが配置されている。サブコンデンサ4の前面には、サブコンデンサ4を通過する空気とこれを迂回する空気との割合を調節するためのエアミックスドア17が回動自在に設けられ、また、サブコンデンサ4の下流側には、温度調節された空気を車室内の所定の場所に向かって吹き出すための図示しない各種吹出口(例えば、ベント吹出口、フット吹出口、デフ吹出口など)が形成されている。
【0024】
一方、ダクト1外に配置されているメインコンデンサ5の背面、つまり空気流れ下流側には、このメインコンデンサ5に空気を供給するコンデンサファン18が設けられている。メインコンデンサ5は、主に冷房運転時に機能し、空気との熱交換によりガス冷媒を冷却し凝縮液化させるものである。
【0025】
なお、リキッドタンク10や膨脹弁11の機能は周知のとおりである。すなわち、前者は、気液を分離して液冷媒を一度蓄え、液冷媒のみを膨脹弁に送り出すものであり、通常、エアの分離や水分・異物の除去を行う機能も有している。また、後者は、液冷媒を減圧膨脹させて蒸発しやすい低温低圧の霧状冷媒にするとともに、上記のようにエバポレータ出口温度を感知して冷媒流量を自動調節する機能を有している。
【0026】
次に、作用を説明する。
【0027】
冷房運転時には、第1電磁弁20を開き(全開)、コンデンサファン18を作動させ、温水冷媒熱交換器21を非作動にした(具体的には、例えば、シーズヒータ24への通電を止め、ポンプ26を停止させる)状態で、第2電磁弁23を閉じて(全閉)、温水冷媒熱交換器21から流出した冷媒を専らエバポレータ3側に導く。すなわち、コンプレッサ7から吐出された冷媒は、サブコンデンサ4→第1電磁弁20→メインコンデンサ5→リキッドタンク10→温水冷媒熱交換器21→膨脹弁11→エバポレータ3と流れてコンプレッサ7に帰還する(冷房サイクル)。このとき、エアミックスドア17は、例えば、図1中のB位置に設定され、エバポレータ3通過後の空気がサブコンデンサ4を通過しないようにしている。
【0028】
上記の循環過程において、コンプレッサ7から出た高温高圧のガス冷媒は、一旦サブコンデンサ4に入るが、エアミックスドア17により空気の通過つまり空気との熱交換が阻止されているため、サブコンデンサ4ではほとんど放熱せずそのまま全開の第1電磁弁20を通過してメインコンデンサ5に流入し、ここでコンデンサファン18により供給される外気と熱交換されて凝縮液化される。メインコンデンサ5から出た中温高圧の液冷媒はリキッドタンク10で抽出された後、温水冷媒熱交換器21に入るが、この温水冷媒熱交換器21は非作動状態にあるため、ここではほとんど熱交換が行われず、そのまま次の膨脹弁11に導かれる。そして、この膨脹弁11によって、エバポレータ3出口温度のフィードバックを受けながら断熱膨脹されて低温低圧の霧状冷媒となり、エバポレータ3に導かれる。この低温低圧の霧状冷媒は、エバポレータ3において熱交換により取入れ空気を冷却しながら低温低圧のガス冷媒となり、コンプレッサ7に戻される。このようにして車室内の冷房が行われる。
【0029】
一方、暖房運転時(特に外気温度が極めて低い場合)には、第1電磁弁20を閉じ(オリフィス)、コンデンサファン18を停止させ、温水冷媒熱交換器21を作動させた(具体的には、例えば、シーズヒータ24を通電させ、ポンプ26を作動させる)状態で、第2電磁弁23を開いて(全開)、温水冷媒熱交換器21から流出した冷媒を主にバイパス管22側、つまり直接コンプレッサ7側に導く。すなわち、コンプレッサ7から吐出された冷媒は、主に、サブコンデンサ4→第1電磁弁(オリフィス)20→メインコンデンサ5→リキッドタンク10→温水冷媒熱交換器21→第2電磁弁23と流れてコンプレッサ7に帰還する(主暖房サイクル)。このとき、エアミックスドア17は、例えば、図1中のA位置に設定され、エバポレータ3通過後の空気がすべてサブコンデンサ4を通過するようにしている。
【0030】
この主暖房サイクルのモリエル線図上の挙動は、概略、図2に示すとおりである。
【0031】
すなわち、上記の循環過程において、コンプレッサ7で断熱圧縮されて高温高圧となった(a点→b点)ガス冷媒は、サブコンデンサ4に入り、ここで取入れ空気に熱を放出して凝縮液化され、中温高圧の液冷媒となる(b点→c点)。この中温高圧の液冷媒は第1電磁弁(オリフィス)20によって絞られ断熱膨脹されて、低温低圧の気液混合状態となって(c点→d点)、メインコンデンサ5に入る。メインコンデンサ5に流入した低温低圧の気液混合状態の冷媒は、メインコンデンサ5のケーシングや外気から吸熱した後(d点→e点)、リキッドタンク10を経て、温水冷媒熱交換器21に入る。この温水冷媒熱交換器21にはシーズヒータ24で加熱された温水槽25内の温水がポンプ26により循環しているため、温水冷媒熱交換器21に流入した冷媒は温水との熱交換によりさらに加熱されて吸熱し、蒸発することによりすべてガス冷媒となった後(e点→a点)、第2電磁弁23を経て(つまり、エバポレータ3をバイパスして)、コンプレッサ7に戻される。このようなヒートポンプを形成して、取入れ空気をサブコンデンサ4で加熱して車室内に吹き出すことによって、車室内が暖房される。なお、図2のような挙動を示す冷凍サイクルを形成することで、冷凍サイクル自体がより大きな暖房性能を発揮しうる方向で形成されるので、極寒地にも対応しうる暖房性能が得られる。
【0032】
また、暖房運転時には、以上の主暖房サイクルに対して、温水冷媒熱交換器21から流出した冷媒の一部は、膨脹弁11→エバポレータ3と流れてコンプレッサ7に帰還する。したがって、この過程において、膨脹弁11に入りエバポレータ3に入った冷媒は、エバポレータ3で熱交換(吸熱)により取入れ空気を冷却・除湿して、コンプレッサ7に戻される。つまり、除湿作用が働き、車両の空気取入口をREC(内気循環)にしても車室内空気を除湿することができる。なお、膨脹弁11→エバポレータ3と流れてコンプレッサ7に戻る冷媒経路は、バイパス管23を通る経路に比べて通路抵抗がかなり大きいので、そこを流れる冷媒の流量は少ない。そのため、エバポレータ3での取入れ空気の冷却作用は小さく、サブコンデンサ4で加熱された吹出風温度の低下は、エバポレータ3が全く機能しない場合と比べてそれほど大きくない。
【0033】
以上より、暖房運転時においては、エバポレータ3で除湿された取入れ空気をサブコンデンサ4で加熱して車室内に吹き出すので、車室内が除湿暖房されることになる。
【0034】
なお、温調制御は、エアミックスドア16の開度を調整することによって行うことができる。
【0035】
このように、本システムでは、従来のシステムと比較して、冷凍サイクルにおけるサブコンデンサ4の位置が変更され、サブコンデンサ4がコンプレッサ7の出口と直結する形で設けられているが、このような位置にサブコンデンサ4を設けることによって、コンプレッサ7の出口とサブコンデンサ4の入口との間の配管経路が短くなり、暖房運転時においてその配管経路の短縮分だけガス冷媒の温度降下が防止されるため、この点からも、サブコンデンサ4を流れる冷媒の温度がより高くなり、暖房性能の向上が図られる。
【0036】
以上のとおり、本実施の形態によれば、高価な四方弁が不要となりかつ逆止弁を3個削減することができるため、作動上の信頼性の向上が図られるとともに、弁類の作動音の発生が低減され、さらに部品点数の削減によりコストや重量の低減も図られる。
【0037】
また、冷房サイクル、暖房サイクルともにメインコンデンサ5を通過するため、冷暖房切替時に冷媒の寝込みがなく、従来のような専用の冷媒回収ラインが不要となり、その分配管経路が簡単化され、短くなっており、この点からもシステムの簡素化が図られ、信頼性の向上ならびにコストや重量の低減が図られる。
【0038】
また、暖房運転時、サブコンデンサ4で凝縮された液冷媒を第1電磁弁20で絞ってメインコンデンサ5で一度吸熱させた後、さらに温水冷媒熱交換器21で加熱し蒸発させるようにしたので、温水冷媒熱交換器21でより高い吸熱性能を発揮させることができる。したがって、コンプレッサ吐出温度が上昇し、暖房性能の向上が図られるので、極寒地にも対応しうる。また、メインコンデンサ5が凍っても、温水冷媒熱交換器21が存在するため、吸熱性能が一気に低下することはなく、デフロスト運転が不要になるというメリットもある。なお、通常のヒートポンプシステムでは、室外熱交換器が凍結した場合、それを溶かす必要があり、デフロスト運転が必要となる。
【0039】
また、サブコンデンサ4をコンプレッサ7の出口と直結したので、従来のシステムと比べてコンプレッサ7の出口とサブコンデンサ4の入口との間の配管経路が短くなる。したがって、暖房運転時においてその配管経路の短縮分だけガス冷媒の温度降下が防止されるため、この点からも、サブコンデンサ4を流れる冷媒の温度がより高くなり、暖房性能の向上が図られる。
【0040】
また、暖房運転時、一部の冷媒はエバポレータ3を通過してコンプレッサ7に戻るので、除湿作用も得られ、サブコンデンサ4による暖房作用と併せて除湿暖房が実現される。
【0041】
なお、上記実施の形態では、電気自動車用の冷暖房装置について説明したが、本発明は、これのみに限定されるものではなく、エンジン搭載車など通常の自動車の冷暖房装置にも適用することができることはいうまでもない。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、専用の冷媒回収ラインが不要で、かつ弁類の部品点数が削減可能であるため、システムの簡素化が図られ、作動上の信頼性の向上とともにコストや重量の低減なども図られる。
【0043】
また、サブコンデンサで凝縮された液冷媒をオリフィス付き第1電磁弁で絞ってメインコンデンサで一度熱交換(吸熱)させた後、熱交換器で加熱し蒸発させるようにしたので、熱交換器でより高い吸熱性能を発揮させることができ、暖房性能の向上が図られるとともに、デフロスト運転が不要となる。したがって、極寒地にも対応しうる。
【0044】
また、サブコンデンサをコンプレッサの出口と直結したので、コンプレッサから吐出されサブコンデンサに流入する冷媒の温度降下が少なく、この点からも暖房性能の向上が図られる。
【0045】
また、暖房運転時、一部の冷媒はエバポレータを通過してコンプレッサに戻るので、除湿作用も得られ、サブコンデンサによる暖房作用と併せて除湿暖房が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る電気自動車用冷暖房装置の概略構成図である。
【図2】 主暖房サイクルのモリエル線図上の挙動を示す説明図である。
【図3】 従来のヒートポンプ式電気自動車用冷暖房装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
3…エバポレータ、
4…サブコンデンサ、
5…メインコンデンサ、
7…電動コンプレッサ、
10…リキッドタンク、
11…膨脹弁、
20…オリフィス付き第1電磁弁、
21…温水冷媒熱交換器、
22…バイパス管、
23…第2電磁弁(冷媒流路切替手段)、
24…シーズヒータ、
25…温水槽、
26…ポンプ。
Claims (1)
- 冷凍サイクル内を状態変化しながら循環する冷媒の熱を利用して車室内の除湿暖房を行うヒートポンプ式の自動車用冷暖房装置において、
コンプレッサ(7)、車室内に配置された室内コンデンサ(4)、オリフィス付きの第1電磁弁(20)、車室外に配置された室外コンデンサ(5)、リキッドタンク(10)、温水を利用して冷媒を加熱する熱交換器(21)、膨脹弁(11)、および車室内に配置されたエバポレータ(3)をこの順序で冷媒配管(8)により連結し、前記熱交換器(21)の出口と前記コンプレッサ(7)の入口とをバイパス管(22)で接続し、前記熱交換器(21)から流出した冷媒を冷媒流路切替手段(23)により、冷房運転時には前記エバポレータ(3)側に導き、暖房運転時には前記バイパス管(22)側に導くようにしたことを特徴とする自動車用冷暖房装置。
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