JP3934257B2 - 自動車用冷暖房装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、除湿機能を備えたヒートポンプシステムにより車室内の除湿暖房を行う、特に電気自動車に好適な自動車用冷暖房装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電気自動車は、走行駆動源が電気モータであるため、高温のエンジン冷却水を利用するエンジン搭載車に比べて暖房熱源が不足する。このため、従来の電気自動車用冷暖房装置においては、冷房のみならず暖房にも冷媒を用いてサイクル運転を行い、窓曇りを防止しながら車室内を暖房することができる除湿暖房可能なヒートポンプ式カーエアコン(以下「除湿ヒートポンプシステム」という)が開発されている(例えば、特開平5−201243号参照)。
【0003】
この種の電気自動車用冷暖房装置は、例えば、図6に示すように、ダクト1内に、空気を取り入れるブロア装置2と、エバポレータ3と、主に暖房運転時に機能する室内側のサブコンデンサ4とが配設され、さらに、ダクト1の外には、主に冷房運転時に機能する室外側のメインコンデンサ5が配設されている。
【0004】
サブコンデンサ4とメインコンデンサ5とは、冷凍サイクル内に設けられた四方弁6によって暖房運転時と冷房運転時とで切り換えられ、暖房運転時においては、冷媒がメインコンデンサ5をバイパスして流れるようにし、電動コンプレッサ7から吐出された冷媒は、四方弁6→バイパス通路9→サブコンデンサ4→リキッドタンク10→膨脹弁11→エバポレータ3と流れて、コンプレッサ7に帰還する(暖房サイクル)。この循環過程において、コンプレッサ7から吐出され四方弁6でメインコンデンサ5をバイパスしたガス冷媒は、サブコンデンサ4で凝縮液化されて放熱を行うので、エバポレータ3で除湿(および冷却)された空気はサブコンデンサ4で加熱され、車室内が除湿暖房されることになる。
【0005】
また、四方弁6の出口側(出口ポートの一つ)とコンプレッサ7の吸入側との間には冷媒回収通路12が設けられ、さらに、この冷媒回収通路12には電磁弁13が取り付けられている。そして、暖房運転開始時に外気温度が低いときには、四方弁6により冷媒回収通路12とメインコンデンサ5とを連通させ、電磁弁13を開くことによって、主としてメインコンデンサ5に滞留しているいわゆる寝込み冷媒をコンプレッサ7に戻して、暖房サイクル内の冷媒不足を補うようにしている。
【0006】
なお、図6中、8は冷媒配管、14,15,16は逆止弁、17はエアミックスドア、18はコンデンサファンである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の除湿ヒートポンプシステムでは、十分な除湿暖房効果を発揮しうるものの、冷凍サイクルを含めたシステム全体の構成が複雑であることなどから、下記の点が問題となりうる。
【0008】
第一に、従来の構成では、外気温度が低いときにメインコンデンサ5などに冷媒が溜りやすいので(寝込み冷媒の存在)、暖房運転時においてサイクル内を循環する冷媒量を確保するため、上記のように、寝込み冷媒を回収するためのライン(四方弁6、冷媒回収通路12、電磁弁13など)を設けるとともにその制御を行うことが必要である。
【0009】
第二に、従来の構成では、暖房運転時と冷房運転時とで冷媒の流れを切り換えたりまた寝込み冷媒を回収するために、四方弁6、逆止弁14〜16などの弁類が追加されているが、こうした弁類の追加によって、作動上の信頼性を確保するための対策が必要となり、さらに、作動音が発生したり、コストおよび重量が増加するおそれがある。
【0010】
本発明は、従来の除湿ヒートポンプシステムにおける上記の課題に着目してなされたものであり、冷媒回収ラインが不要で部品点数も削減された簡素化されたシステム構成を有しつつ、信頼性の向上やコストの低減などを図ることができる除湿暖房可能なヒートポンプ式の自動車用冷暖房装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0012】
(1)本発明に係る自動車用冷暖房装置は、冷凍サイクル内を状態変化しながら循環する冷媒の熱を利用して車室内の除湿暖房を行うヒートポンプ式の自動車用冷暖房装置において、コンプレッサ、車室外に配置された室外コンデンサ、車室内に配置された室内コンデンサ、リキッドタンク、膨脹弁、および車室内に配置されたエバポレータをこの順序で冷媒配管により連結してなり、前記室外コンデンサは、縦置き型のパラレルフロー式コンデンサであって、該コンデンサ内の冷媒流れの最初パス部に連通するタンク内最上部空間に設けられた第1冷媒入口と、該コンデンサ内の冷媒流れの最終パス部に連通するタンク内最下部空間に設けられた第2冷媒入口とを有し、前記コンプレッサの出口と前記室外コンデンサの前記第2冷媒入口とをバイパス管で接続し、前記コンプレッサから吐出された冷媒を冷媒流路切換手段により、冷房運転時には前記室外コンデンサの前記第1冷媒入口に導き、暖房運転時には前記室外コンデンサの前記第2冷媒入口に導くようにしたことを特徴とする。
【0013】
(2)前記冷媒流路切換手段は、前記バイパス管に設けられた電磁弁である。
【0014】
(3)前記冷媒流路切換手段は、前記冷媒配管と前記バイパス管との接続点に設けられた三方弁である。
【0015】
(4)前記室外コンデンサの前記第2冷媒入口は、内部バイパス管によって直接当該室外コンデンサの冷媒出口と連通している。
【0016】
(5)前記内部バイパス管にはフィンが設けられていない。
【0017】
(6)前記第1冷媒入口と連通する冷媒管、前記第2冷媒入口と連通するバイパス管、および前記冷媒流路切換手段を一体化して前記室外コンデンサの入口側タンクに設けてなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を使って、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態に係る自動車用冷暖房装置の概略構成図であって、電気自動車に搭載されるものを示している。なお、同図中、図6と共通する部材には同一の符号を付してある。
【0020】
この電気自動車用冷暖房装置は、冷房、暖房共に冷媒を用いたサイクル運転を行うことにより車室内の冷房と除湿暖房を行う除湿ヒートポンプシステムであって、図6に示す従来の除湿ヒートポンプシステムを改良したものである。
【0021】
このシステムの冷凍サイクルは、電動コンプレッサ7(以下単に「コンプレッサ」という)、車室外に配置された室外コンデンサとしてのメインコンデンサ20、車室内に配置された室内コンデンサとしてのサブコンデンサ4、リキッドタンク10、膨脹弁11、および車室内に配置されたエバポレータ3をこの順序で冷媒配管8により連結するとともに、メインコンデンサ20に二つの冷媒入口21,22を上下に設けて下側の冷媒入口22とコンプレッサ7の出口とをバイパス管23で接続し、その中に冷媒を封入して構成されている。バイパス管23には、冷媒流路切換手段としての電磁弁24が設置されている。
【0022】
特に、メインコンデンサ20は、今日主流になりつつある縦置き型のパラレルフロー式コンデンサであり、前記二つの冷媒入口21,22のうち、上側の冷媒入口21は、従来一般のコンデンサ入口と同様のものであって、このタイプのコンデンサ内の冷媒流れの最初のパス部に連通するタンク内最上部空間に設けられた冷媒入口(第1冷媒入口)であり、また、下側の冷媒入口22は、本発明で新たに加えられた別個のコンデンサ入口であって、該タイプのコンデンサ内の冷媒流れの最終のパス部に連通するタンク内最下部空間に設けられた第2の冷媒入口である。本実施の形態では、パス設定として3パス化した例、つまりSターンの例を示している。
【0023】
図2は、図1のメインコンデンサ20の詳細を示す拡大模式図である。なお、ここでは、簡単化のため、チューブ内を流れる冷媒の通路のみを示し、チューブ間のフィンは省略してある(図3および図4において同じ)。
【0024】
すなわち、このメインコンデンサ20では、入口側タンク26内と出口側タンク27内にそれぞれ一つの仕切り板28,29を入れることにより、第1冷媒入口21から流入した冷媒について、左右のタンク26,27間における冷媒の流れとして上方から順に、入口側タンク26から出口側タンク27に向かう最上部の第1の流れ(最初パス)、出口側タンク27から入口側タンク26に向かう中間部の第2の流れ、および入口側タンク26から出口側タンク27に向かう最下部の第3の流れ(最終パス)という三つのパスが設定され、Sターンが形成される。したがって、第1冷媒入口21は、第1の流れ部(最初パス部)に連通するタンク26内の上部空間(最上部空間)に設けられ、また、第2冷媒入口22は、第3の流れ部(最終パス部)に連通するタンク26内の下部空間(最下部空間)に設けられている。その際、好ましくは、第2冷媒入口22は、この第2冷媒入口22から入った冷媒が同時に流れるチューブの本数を最小限にするため、タンク26内の下部空間(最下部空間)の最も下側の位置に設けられている。
【0025】
このように、本発明では、メインコンデンサ20に従来と同様の第1冷媒入口21に加えてこれとは別にコンプレッサ7からの冷媒をコンデンサの最終パスに直接導く(バイパスさせる)第2の冷媒入口22を設けて、コンプレッサ7から吐出された冷媒が通常のコンデンサ入口(第1冷媒入口21)またはバイパス用入口(第2冷媒入口)22へ選択的に分岐して流れるように構成されている。
【0026】
したがって、本システムと従来のシステムとを比較した場合、弁類について、従来システムでは四方弁を1個と逆止弁を3個必要とするのに対し、本システムではそれらは全く不要である。
【0027】
また、本システムでは、後で詳述するようにメインコンデンサ20を暖房時の冷媒経路の一部に使用するため、そもそも寝込み冷媒を回収する必要がなく、従来のシステムにおける冷媒回収ライン(冷媒回収通路11など)は不要であり、その分従来のシステムに比べて配管経路が簡単化されている。
【0028】
このように、本システムでは、冷凍サイクルの構成において、冷媒回収ラインが不要で、かつ、四方弁や逆止弁といった弁類も廃止されているため、従来のものに比べてシステムが大幅に簡素化されている。
【0029】
本システムにおける冷凍サイクル以外の構成は、図6に示す従来のシステムと全く同様である。
【0030】
すなわち、この電気自動車用冷暖房装置は、車室内外の空気(内外気)を選択的に取り入れて空気調和した後車室内に所定の場所に向かって吹き出す空調ユニットを有し、この空調ユニットは、取り入れた空気を車室内に向かって送るためのダクト1を有している。ダクト1内には、白抜き矢印で示す空気流れ方向上流側から順に、内気取入口および外気取入口(共に図示せず)を選択的に開閉する図示しないインテークドアと、このインテークドアにより選択された内外気をダクト1内に導入し下流側に向かって圧送するブロア装置2と、冷媒を蒸発させて空気を冷却させる前記エバポレータ3と、主に暖房運転時に機能しガス冷媒を凝縮液化させて空気を加熱する前記サブコンデンサ4とが配置されている。サブコンデンサ4の前面には、サブコンデンサ4を通過する空気とこれを迂回する空気との割合を調節するためのエアミックスドア17が回動自在に設けられ、また、サブコンデンサ4の下流側には、温度調節された空気を車室内の所定の場所に向かって吹き出すための図示しない各種吹出口(例えば、ベント吹出口、フット吹出口、デフ吹出口など)が形成されている。
【0031】
一方、ダクト1外に配置されているメインコンデンサ20の背面、つまり空気流れ下流側には、このメインコンデンサ20に空気を供給するコンデンサファン18が設けられている。メインコンデンサ20は、主に冷房運転時に機能し、空気との熱交換によりガス冷媒を冷却し凝縮液化させるものである。
【0032】
次に、作用を説明する。
【0033】
本実施の形態では、四方弁を使わず、一つの電磁弁24のみで冷暖房の切換えを行う。具体的な内容は、下記のとおりである。
【0034】
冷房運転時には、電磁弁24を閉じて、コンプレッサ7から吐出された冷媒を専らメインコンデンサ20の第1冷媒入口21にのみ導く。すなわち、コンプレッサ7から吐出された冷媒は、第1冷媒入口21→メインコンデンサ20内部→サブコンデンサ4→リキッドタンク10→膨脹弁11→エバポレータ3と流れてコンプレッサ7に帰還する(冷房サイクル)。このとき、コンデンサファン18は作動をONにし、また、エアミックスドア17は、例えば、図1中のB位置に設定して、エバポレータ3通過後の空気がサブコンデンサ4を通過しないようにしている。
【0035】
これにより、コンプレッサ7から出た高温高圧のガス冷媒は、通常の第1冷媒入口21からメインコンデンサ20に入り、ここでコンデンサファン18によって供給された空気(外気)と熱交換されて凝縮液化されて中温高圧の液冷媒となる。このときのメインコンデンサ20内の冷媒の流れは、図2中の破線で示すとおりである。その後、メインコンデンサ20から出た中温高圧の液冷媒は、サブコンデンサ4に入るが、エアミックスドア17により空気の通過つまり空気との熱交換が阻止されているためサブコンデンサ4ではほとんど放熱せず、そのままリキッドタンク10に入る。そしてリキッドタンク10で抽出された液冷媒は、膨脹弁11によって断熱膨脹されて低温低圧の霧状冷媒となり、エバポレータ3に導かれる。この低温低圧の霧状冷媒は、エバポレータ3において熱交換により取入れ空気を冷却しながら低温低圧のガス冷媒となり、コンプレッサ7に戻される。このようにして車室内の冷房が行われる。
【0036】
一方、暖房運転時には、電磁弁24を開けて、コンプレッサ7から吐出された冷媒をメインコンデンサ20の第2冷媒入口22に導く。すなわち、コンプレッサ7から吐出された冷媒は、第2冷媒入口22→メインコンデンサ20の最終パス→サブコンデンサ4→リキッドタンク10→膨脹弁11→エバポレータ3と流れてコンプレッサ7に帰還する(暖房サイクル)。このとき、コンデンサファン18は作動をOFFにして、メインコンデンサ20での放熱量ができるだけ少なくなるようにするとともに、エアミックスドア16は、例えば、図1中のA位置に設定して、エバポレータ3通過後の空気がすべてサブコンデンサ4を通過するようにしている。
【0037】
これにより、コンプレッサ7から吐出された高温高圧のガス冷媒は、ほとんどメインコンデンサ20をバイパスして(つまり、メインコンデンサ20内の最下部の最終パスのみを通過して)サブコンデンサ4に入り、ここで取入れ空気に熱を放出して凝縮液化され、中温高圧の液冷媒となる。この液冷媒は、リキッドタンク10で抽出され、膨脹弁10で断熱膨脹されて低温低圧の霧状冷媒となった後、エバポレータ3で熱交換により取入れ空気を冷却・除湿し、コンプレッサ7に戻される。このように、エバポレータ3で冷却され除湿された取入れ空気をサブコンデンサ4で加熱して車室内に吹き出すことによって、車室内が除湿暖房される。
【0038】
なお、このときのメインコンデンサ20内の冷媒の流れは、主として、図2中の実線で示すとおりであるが、実際には、メインコンデンサ20の第1冷媒入口21につながる冷媒通路8aは何ら遮断されていないため、コンプレッサ7からの冷媒の一部は第1冷媒入口21からメインコンデンサ20に入ってくる。しかし、通路抵抗との関係で、第1冷媒入口21からメインコンデンサ20内に流入する冷媒流量は少ない。
【0039】
また、この場合、メインコンデンサ20の最終パスのみではあるが(厳密には、上記のように少量の冷媒がメインコンデンサ20の第1冷媒入口21から流下するが、これはある程度無視できる)、メインコンデンサ20内を高温高圧のガス冷媒が通過するため、その冷媒の持つ熱がメインコンデンサ20で放出されてしまう。しかし、上記のようにコンデンサファン18は停止されているため、空気との熱交換はあまり行われず、メインコンデンサ20から流出する冷媒温度、つまりサブコンデンサ4に入る冷媒温度の低下は、極力回避されている。
【0040】
したがって、これらの2点から、本システムにおいて暖房性能の低下は最小限に抑えられている。
【0041】
なお、温調制御は、エアミックスドア17の開度を調整することによって行うことができる。
【0042】
また、本発明では、前述したようにメインコンデンサ20を暖房時の冷媒経路(暖房サイクル)の一部に使用するため、寝込み冷媒の回収は不要である。すなわち、メインコンデンサ20は縦置き型であるため寝込み冷媒は液体の状態でメインコンデンサ20の下部に溜まっており、この寝込み冷媒の溜まっている部分は一部暖房運転時に冷媒経路として使用される部分であるため、構成上、暖房運転時に暖房サイクル内の冷媒不足は生じない。そのため、寝込み冷媒の回収はそれ自体が不要である。したがって、従来のシステムにおける冷媒回収ライン(冷媒回収通路11など)は不要であり、その分従来のシステムに比べて配管経路が簡単化されている。
【0043】
以上のとおり、本実施の形態によれば、四方弁と逆止弁を廃止することができるため、作動上の信頼性の向上が図られるとともに、弁類の作動音の発生が低減され、さらに部品点数の削減によりコストや重量の低減も図られる。
【0044】
また、メインコンデンサ20を暖房時の冷媒経路の一部に使用するため、寝込み冷媒の回収が不要であり、従来のような専用の冷媒回収ラインおよびその制御が不要となり、その分配管経路およびシステム制御が簡単化され、この点からもシステムの簡素化が図られ、信頼性の向上ならびにコストや重量の低減が図られる。
【0045】
上記した実施の形態には、いろいろなバリエーションが考えられる。以下、それらについて簡単に説明する。なお、図1および図2と共通する部材には同一の符号を付してある。
【0046】
図3は、メインコンデンサの他の実施形態を示す模式図である。
【0047】
このメインコンデンサ30は、暖房運転時のメインコンデンサバイパス効果を有効に持たせるため、内部バイパス管31によって第2冷媒入口22と冷媒出口25とを直接連通させるようにしている。例えば、電磁弁24と直接つながっている内部バイパス管31を第2冷媒入口22に挿通してメインコンデンサ30の最下部に配置し一体化させる。好ましくは、内部バイパス管31には、放熱を極力なくすよう、フィンを付けていない。この構成により、暖房運転時にメインコンデンサ30を通過する際の冷媒の凝縮がより一層防止される。
【0048】
図4は、メインコンデンサのさらに他の実施形態を示す模式図である。
【0049】
このメインコンデンサ40は、図2における電磁弁24、第1冷媒入口21への冷媒配管8a、および第2冷媒入口22へのバイパス管23を一体化して入口側タンク26に付設してなる一体ブロック型の構造をしている。例えば、このメインコンデンサ40は、電磁弁24aを内蔵したブロック41を有し、このブロック41内には、図2のバイパス管23に相当する暖房時用のバイパス管42と、図2の冷媒配管8aに相当する冷房時用の冷媒パイプ43の一端とが設けられている。暖房時用バイパス管42は電磁弁24aによって開閉される。冷房時用冷媒パイプ43の他端は、入口側タンク26内を下部から上部に向かって伸長し、メインコンデンサ40の最初パス部に連通するタンク26内の上部空間(最上部空間)に連通している。このような構成とすることで、最終組立時の部品点数の削減が図られ、取付作業が容易になる。
【0050】
図5は、冷媒流路切換手段の他の実施形態を示す概略構成図である。
【0051】
ここでは、冷媒流路切換手段として、図1に示す電磁弁24に代えて冷媒配管8aとバイパス管23との接続点に三方弁50を設けている。この三方弁50は、コンプレッサ7からの冷媒を冷房運転時にはメインコンデンサ20の第1冷媒入口21にのみ導き暖房運転時にはメインコンデンサ20の第1冷媒入口22にのみ導くように制御される。このような三方弁50を用いることで、暖房運転時にメインコンデンサ20の第1冷媒入口21に向かう流れが完全に遮断され、メインコンデンサ20での放熱量がより一層低減される。
【0052】
なお、上記した実施の形態では、電気自動車用の冷暖房装置について説明したが、本発明は、これのみに限定されるものではなく、エンジン搭載車など通常の自動車の冷暖房装置にも適用することができることはいうまでもない。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、専用の冷媒回収ラインが不要で、かつ四方弁および逆止弁を廃止可能であるため、システムの簡素化が図られ、作動上の信頼性の向上とともにコストや重量の低減なども図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る電気自動車用冷暖房装置の概略構成図である。
【図2】 図1のメインコンデンサの詳細を示す拡大模式図である。
【図3】 メインコンデンサの他の実施形態を示す模式図である。
【図4】 メインコンデンサのさらに他の実施形態を示す模式図である。
【図5】 冷媒流路切換手段の他の実施形態を示す概略構成図である。
【図6】 従来のヒートポンプ式電気自動車用冷暖房装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
3…エバポレータ、
4…サブコンデンサ(室内コンデンサ)、
7…電動コンプレッサ、
8,8a…冷媒配管、
10…リキッドタンク、
11…膨脹弁、
20,30,40…メインコンデンサ(室外コンデンサ)、
21…第1冷媒入口、
22…第2冷媒入口、
23…バイパス管、
24…電磁弁(冷媒流路切換手段)、
25…冷媒出口、
26…入口側タンク、
31…内部バイパス管、
41…電磁弁内蔵ブロック、
50…三方弁。
Claims (6)
- 冷凍サイクル内を状態変化しながら循環する冷媒の熱を利用して車室内の除湿暖房を行うヒートポンプ式の自動車用冷暖房装置において、
コンプレッサ、車室外に配置された室外コンデンサ、車室内に配置された室内コンデンサ、リキッドタンク、膨脹弁、および車室内に配置されたエバポレータをこの順序で冷媒配管により連結してなり、前記室外コンデンサは、縦置き型のパラレルフロー式コンデンサであって、該コンデンサ内の冷媒流れの最初パス部に連通するタンク内最上部空間に設けられた第1冷媒入口と、該コンデンサ内の冷媒流れの最終パス部に連通するタンク内最下部空間に設けられた第2冷媒入口とを有し、前記コンプレッサの出口と前記室外コンデンサの前記第2冷媒入口とをバイパス管で接続し、前記コンプレッサから吐出された冷媒を冷媒流路切換手段により、冷房運転時には前記室外コンデンサの前記第1冷媒入口に導き、暖房運転時には前記室外コンデンサの前記第2冷媒入口に導くようにしたことを特徴とする自動車用冷暖房装置。 - 前記冷媒流路切換手段は、前記バイパス管に設けられた電磁弁であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用冷暖房装置。
- 前記冷媒流路切換手段は、前記冷媒配管と前記バイパス管との接続点に設けられた三方弁であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用冷暖房装置。
- 前記室外コンデンサの前記第2冷媒入口は、内部バイパス管によって直接当該室外コンデンサの冷媒出口と連通していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の自動車用冷暖房装置。
- 前記内部バイパス管にはフィンが設けられていないことを特徴とする請求項4に記載の自動車用冷暖房装置。
- 前記第1冷媒入口と連通する冷媒管、前記第2冷媒入口と連通するバイパス管、および前記冷媒流路切換手段を一体化して前記室外コンデンサの入口側タンクに設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載の自動車用冷暖房装置。
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