図1~図5を用いて、本発明を実施するための一実施形態を説明する。本実施形態では、冷凍サイクル装置10を、ハイブリッド車両に搭載される車両用空調装置1に適用している。ハイブリッド車両は、内燃機関(すなわち、エンジン)および走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得る車両である。車両用空調装置1は、図1の全体構成図に示すように、冷凍サイクル装置10、室内空調ユニット30等を備えている。
冷凍サイクル装置10は、車両用空調装置1において、空調対象空間である車室内の空調を行うために、車室内へ送風される送風空気を冷却あるいは加熱する機能を果たす。従って、冷凍サイクル装置10の温度調整対象流体は、送風空気である。さらに、冷凍サイクル装置10は、冷房モードの冷媒回路、直列除湿暖房モードの冷媒回路、並列除湿暖房モードの冷媒回路、および暖房モードの冷媒回路を切り替え可能に構成されている。
車両用空調装置1において、冷房モードは、送風空気を冷却して車室内へ吹き出すことによって車室内の冷房を行う運転モードである。直列除湿暖房モードは、冷却されて除湿された送風空気を再加熱して車室内へ吹き出すことによって車室内の除湿暖房を行う運転モードである。並列除湿暖房モードは、冷却されて除湿された送風空気を直列除湿暖房モードよりも高い加熱能力で再加熱して車室内へ吹き出すことによって車室内の除湿暖房を行う運転モードである。暖房モードは、送風空気を加熱して車室内へ吹き出すことによって車室内の暖房を行う運転モードである。
また、冷凍サイクル装置10では、冷媒としてHFO系冷媒(具体的には、R1234yf)を採用している。冷凍サイクル装置10は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成している。冷媒には、圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されている。冷凍機油の一部は、冷媒とともにサイクルを循環している。
冷凍サイクル装置10の構成機器のうち、圧縮機11は、冷凍サイクル装置10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。圧縮機11は、内燃機関や走行用電動モータ等が収容される駆動装置室内に配置されている。駆動装置室は、車室の前方側に配置されている。
圧縮機11は、その外殻を形成するハウジングの内部に、低段側圧縮機構と高段側圧縮機構との2つの圧縮機構、および双方の圧縮機構を回転駆動する電動モータを収容して構成されたものである。つまり、圧縮機11は、二段昇圧式の電動圧縮機である。圧縮機11は、後述する空調制御装置60から出力される制御信号によって、回転数(すなわち、冷媒吐出能力)が制御される。
圧縮機11のハウジングには、吸入ポート11a、中間圧ポート11b、及び吐出ポート11cが設けられている。吸入ポート11aは、ハウジングの外部から低段側圧縮機構へ低圧冷媒を吸入させる吸入口である。吐出ポート11cは、高段側圧縮機構から吐出された高圧冷媒をハウジングの外部へ吐出させる吐出口である。
中間圧ポート11bは、ハウジングの外部から内部へ中間圧冷媒を流入させて低圧から高圧への圧縮過程の冷媒に合流させるための中間圧吸入口である。中間圧ポート11bは、ハウジングの内部で低段側圧縮機構の吐出口側及び高段側圧縮機構の吸入口側に接続されている。
圧縮機11の吐出ポート11cには、室内凝縮器12の冷媒入口側が接続されている。室内凝縮器12は、室内空調ユニット30の空調ケース31内に配置されている。室内凝縮器12は、圧縮機11の高段側圧縮機構から吐出された高圧冷媒と、後述する室内蒸発器23を通過した送風空気とを熱交換させて、送風空気を加熱する加熱用熱交換器である。換言すると、室内凝縮器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒を熱源として送風空気を加熱する加熱部である。
室内凝縮器12の冷媒出口には、互いに連通する3つの流入出口を有する第1三方継手13aの流入口側が接続されている。このような三方継手としては、複数の配管を接合して形成されたものや、金属ブロックや樹脂ブロックに複数の冷媒通路を設けることによって形成されたものを採用することができる。
さらに、冷凍サイクル装置10は、後述するように、第2~第4三方継手13b~13dを備えている。これらの第2~第4三方継手13b~13dの基本的構成は、第1三方継手13aと同様である。
第1~第4三方継手13a~13dは、3つの流入出口のうち1つが流入口として用いられ、2つが流出口として用いられた際には、冷媒の流れを分岐する分岐部としての機能を果たす。また、3つの流入出口のうち2つが流入口として用いられ、1つが流出口として用いられた際には、冷媒の流れを合流させる合流部としての機能を果たす。
室内凝縮器12の冷媒出口と第1三方継手13aの流入口とを接続する冷媒配管には、高圧側チャージングポート27aが設けられている。チャージングポートは、サイクル内の真空引き、サイクル内への冷媒の充填、サイクル内からの冷媒の回収等を行う際に使用される冷媒出入口である。さらに、冷凍サイクル装置10には、後述するように、低圧側チャージングポート27bが設けられている。
第1三方継手13aの一方の流出口には、暖房用膨張弁14aの入口側が接続されている。第1三方継手13aの他方の流出口には、第1冷媒通路18aが接続されている。第1冷媒通路18aは、第1三方継手13aの他方の流出口と第2三方継手13bの一方の流入口とを接続する冷媒通路である。
第1冷媒通路18aには、第1開閉弁15aが配置されている。第1開閉弁15aは、第1冷媒通路18aを開閉する電磁弁である。第1開閉弁15aは、空調制御装置60から出力される制御電圧によって、その作動が制御される。
さらに、冷凍サイクル装置10は、後述するように、第2開閉弁15b~第4開閉弁15dを備えている。第2開閉弁15b~第4開閉弁15dの基本的構成は、第1開閉弁15aと同様である。第1開閉弁15a~第4開閉弁15dは、冷媒通路を開閉することで、各運転モードの冷媒回路を切り替えることができる。従って、第1開閉弁15a~第4開閉弁15dは、サイクルの冷媒回路を切り替える冷媒回路切替部である。
暖房用膨張弁14aは、暖房モード時等に、室内凝縮器12から流出した高圧冷媒を減圧させるとともに、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する減圧部である。暖房用膨張弁14aは、絞り開度を変更可能に構成された弁体、および弁体を変位させる電動アクチュエータを有して構成される電気式の可変絞り機構である。暖房用膨張弁14aは、空調制御装置60から出力される制御信号(制御パルス)によって、その作動が制御される。
さらに、冷凍サイクル装置10は、後述するように、冷房用膨張弁14bを備えている。冷房用膨張弁14bの基本的構成は、暖房用膨張弁14aと同様である。暖房用膨張弁14aおよび冷房用膨張弁14bは、弁開度を全開にすることで流量調整作用および冷媒減圧作用を殆ど発揮することなく単なる冷媒通路として機能する全開機能、および弁開度を全閉にすることで冷媒通路を閉塞する全閉機能を有している。
そして、この全開機能および全閉機能によって、暖房用膨張弁14aおよび冷房用膨張弁14bは、各運転モードの冷媒回路を切り替えることができる。従って、暖房用膨張弁14aおよび冷房用膨張弁14bは、冷媒回路切替部としての機能も兼ね備えている。
暖房用膨張弁14aの出口には、気液分離器16の入口側が接続されている。気液分離器16は、暖房用膨張弁14aから流出した冷媒の気液を分離する気液分離部である。本実施形態では、気液分離器16として、円筒状の本体部の内部空間へ流入した冷媒を旋回させることで生じる遠心力の作用で冷媒の気液を分離する遠心分離方式(いわゆる、サイクロンセパレータ方式)のものが採用されている。
さらに、本実施形態では、気液分離器16として、比較的内容積の小さいものが採用されている。より具体的には、気液分離器16の内容積は、サイクルに負荷変動が生じてサイクルを循環する冷媒循環流量が変動しても、実質的に余剰冷媒を貯めることのできない程度の容積になっている。従って、気液分離器16は、分離した液相冷媒をサイクル内の余剰冷媒として貯える貯液部としての機能を果たすものではない。
気液分離器16の気相冷媒出口には、第2冷媒通路18bが接続されている。第2冷媒通路18bは、気液分離器16から流出した気相冷媒を圧縮機11の中間圧ポート11bへ導く冷媒通路である。第2冷媒通路18bには、第2冷媒通路18bを開閉する第2開閉弁15bが配置されている。
気液分離器16の液相冷媒出口には、固定絞り17の入口側が接続されている。固定絞り17は、気液分離器16から流出した液相冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させるものである。固定絞り17としては、絞り開度が固定されたノズル、オリフィス、キャピラリチューブ等を採用することができる。固定絞り17の出口側には、室外熱交換器20の冷媒入口側が接続されている。
さらに、気液分離器16の液相冷媒出口には、第3冷媒通路18cが接続されている。第3冷媒通路18cは、気液分離器16から流出した液相冷媒を、固定絞り17を迂回させて室外熱交換器20の冷媒入口側へ導く冷媒通路である。第3冷媒通路18cには、第3冷媒通路18cを開閉する第3開閉弁15cが配置されている。
ここで、冷媒が第3開閉弁15cを通過する際に生じる圧力損失は、冷媒が固定絞り17を通過する際に生じる圧力損失に対して極めて小さい。従って、第3開閉弁15cが開いた際には、気液分離器16から流出した殆どの液相冷媒は、固定絞り17を通過することなく、第3冷媒通路18cを介して室外熱交換器20へ流入する。
室外熱交換器20は、暖房用膨張弁14aから流出した冷媒と外気ファン20aから送風された外気とを熱交換させる熱交換器である。室外熱交換器20は、駆動装置室内の前方側に配置されている。このため、車両走行時には、室外熱交換器20に走行風を当てることができる。
室外熱交換器20は、冷房モード時等に、高圧冷媒を放熱させる放熱器として機能する。また、暖房モード時等には、暖房用膨張弁14aにて減圧された低圧冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する。外気ファン20aは、空調制御装置60から出力される制御電圧によって回転数(すなわち、送風能力)が制御される電動送風機である。
室外熱交換器20の冷媒出口には、第3三方継手13cの流入口側が接続されている。第3三方継手13cの一方の流出口には、第2三方継手13bの他方の流入口側が接続されている。第3三方継手13cの他方の流出口には、第4冷媒通路18dが接続されている。第4冷媒通路18dは、第3三方継手13cの一方の流出口と第4三方継手13dの一方の流入口とを接続する冷媒通路である。第4冷媒通路18dには、第4冷媒通路18dを開閉する第4開閉弁15dが配置されている。
また、第3三方継手13cの一方の流出口と第2三方継手13bの他方の流入口とを接続する冷媒通路には、逆止弁21が配置されている。逆止弁21は、第3三方継手13c側(すなわち、室外熱交換器20の冷媒出口側)から第2三方継手13b側(すなわち、冷房用膨張弁14bの入口側)へ冷媒が流れることを許容し、第2三方継手13b側から第3三方継手13c側へ冷媒が流れることを禁止する機能を果たす。
第2三方継手13bの流出口には、冷房用膨張弁14bの入口側が接続されている。冷房用膨張弁14bは、冷房モード時等に、室外熱交換器20から流出した冷媒を減圧させるとともに、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整するものである。
冷房用膨張弁14bの出口には、室内蒸発器23の冷媒入口側が接続されている。室内蒸発器23は、後述する室内空調ユニット30の空調ケース31内に配置されている。室内蒸発器23は、冷房用膨張弁14bにて減圧された低圧冷媒と室内送風機32から送風された送風空気とを熱交換させ、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることによって送風空気を冷却する冷却用熱交換器である。
室内蒸発器23の冷媒出口には、蒸発圧力調整弁26の入口側が接続されている。蒸発圧力調整弁26は、その上流側の冷媒圧力を予め定めた基準圧力以上に維持する機能を果たす。換言すると、蒸発圧力調整弁26は、室内蒸発器23における冷媒蒸発圧力を、基準圧力以上に維持する機能を果たす。
この蒸発圧力調整弁26は、室内蒸発器23の出口側冷媒の圧力の上昇に伴って、弁開度を増加させる機械式の可変絞り機構で構成されている。さらに、本実施形態の蒸発圧力調整弁26は、室内蒸発器23における冷媒蒸発温度を、室内蒸発器23の着霜を抑制可能な着霜抑制温度(本実施形態では、1℃)以上に維持している。
室内蒸発器23の冷媒出口と蒸発圧力調整弁26の入口とを接続する冷媒配管には、低圧側チャージングポート27bが設けられている。
蒸発圧力調整弁26の出口には、第4三方継手13dの他方の流入口側が接続されている。第4三方継手13dの流出口には、アキュムレータ24の入口側が接続されている。従って、前述した第4冷媒通路18dは、室外熱交換器20から流出した冷媒を、冷房用膨張弁14b、室内蒸発器23および蒸発圧力調整弁26を迂回させてアキュムレータ24の入口側へ導く冷媒通路となる。
アキュムレータ24は、内部に流入した冷媒の気液を分離して、分離された液相冷媒をサイクル内の余剰冷媒として貯える貯液部である。アキュムレータ24の気相冷媒出口には、圧縮機11の吸入ポート11a側が接続されている。
次に、室内空調ユニット30について説明する。室内空調ユニット30は、車室内の空調のために適切な温度に調整された送風空気を車室内の適切な箇所へ吹き出すためのものである。室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されている。
室内空調ユニット30は、図1に示すように、送風空気の空気通路を形成する空調ケース31内に、室内送風機32、室内蒸発器23、室内凝縮器12等を収容したものである。空調ケース31は、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。
空調ケース31の送風空気流れ最上流側には、内外気切替装置33が配置されている。内外気切替装置33は、空調ケース31内へ内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入するものである。内外気切替装置33の駆動用の電動アクチュエータは、空調制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
内外気切替装置33の送風空気流れ下流側には、室内送風機32が配置されている。室内送風機32は、内外気切替装置33を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風するものである。室内送風機32は、遠心多翼ファンを電動モータにて駆動する電動送風機である。室内送風機32は、空調制御装置60から出力される制御電圧によって、回転数(すなわち、送風能力)が制御される。
室内送風機32の送風空気流れ下流側には、室内蒸発器23、室内凝縮器12が、送風空気流れに対して、この順に配置されている。つまり、室内蒸発器23は、室内凝縮器12よりも、送風空気流れ上流側に配置されている。
空調ケース31内には、室内蒸発器23通過後の送風空気を、室内凝縮器12を迂回させて流す冷風バイパス通路35が設けられている。さらに、空調ケース31内の室内蒸発器23の送風空気流れ下流側であって、かつ、室内凝縮器12の送風空気流れ上流側には、エアミックスドア34が配置されている。
エアミックスドア34は、室内蒸発器23通過後の送風空気のうち、室内凝縮器12側の空気通路を通過させる送風空気の風量と冷風バイパス通路35を通過させる送風空気の風量との風量割合を調整する風量割合調整部である。エアミックスドア34の駆動用の電動アクチュエータは、空調制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
空調ケース31内の室内凝縮器12および冷風バイパス通路35の送風空気流れ下流側には、混合空間36が形成されている。混合空間36は、室内凝縮器12にて加熱された送風空気と冷風バイパス通路35を通過して加熱されていない送風空気とを混合させる空間である。さらに、空調ケース31の送風空気流れ下流部には、混合空間36にて混合されて温度調整された送風空気を、車室内へ吹き出すための開口穴が配置されている。
開口穴としては、フェイス開口穴、フット開口穴、およびデフロスタ開口穴(いずれも図示せず)が設けられている。フェイス開口穴は、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。フット開口穴は、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。デフロスタ開口穴は、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すための開口穴である。
従って、エアミックスドア34が、室内凝縮器12を通過させる風量と冷風バイパス通路35を通過させる風量との風量割合を調整することによって、混合空間36にて混合される空調風の温度が調整される。そして、各吹出口から車室内へ吹き出される送風空気(空調風)の温度が調整される。
また、フェイス開口穴、フット開口穴、およびデフロスタ開口穴の送風空気流れ上流側には、フェイスドア、フットドア、およびデフロスタドア(いずれも図示せず)が配置されている。フェイスドア、フットドア、およびデフロスタドアは、運転モードに応じて対応する開口穴を開閉する開閉部である。
これらのドアは、リンク機構等を介して、共通する駆動用の電動アクチュエータに連結されて連動して回転操作される。これらのドアの駆動用の電動アクチュエータは、空調制御装置60から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
次に、本実施形態の電気制御部の概要について説明する。空調制御装置60は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。そして、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、その出力側に接続された各種制御対象機器11、14a、14b、15a~15d、20a、32等の作動を制御する。
また、空調制御装置60の入力側には、図2のブロック図に示すように、内気温センサ61、外気温センサ62、日射センサ63、第1、第2冷媒温度センサ64a、64b、蒸発器温度センサ64f、冷媒圧力センサ65、空調風温度センサ69等が接続されている。そして、空調制御装置60には、これらの空調制御用のセンサ群の検出信号が入力される。
内気温センサ61は、車室内温度(内気温)Trを検出する内気温検出部である。外気温センサ62は、車室外温度(外気温)Tamを検出する外気温検出部である。日射センサ63は、車室内へ照射される日射量Tsを検出する日射量検出部である。
第1冷媒温度センサ64aは、室内凝縮器12の冷媒通路から流出した高圧冷媒の温度T1(以下、第1冷媒温度T1という。)を検出する第1冷媒温度検出部である。従って、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の通風路を全閉としている際の第1冷媒温度T1は、圧縮機11の吐出ポート11cから吐出された直後の高圧冷媒の温度となる。
第2冷媒温度センサ64bは、室外熱交換器20の冷媒出口側に配置されて、室外熱交換器20から流出した冷媒の温度T2(以下、第2冷媒温度T2という。)を検出する第2冷媒温度検出部である。従って、後述する冷媒回収準備制御のように、室外熱交換器20から流出した冷媒を、第4冷媒通路18dを介してアキュムレータ24へ流入させる際の第2冷媒温度T2は、アキュムレータ24へ流入する冷媒の温度となる。
蒸発器温度センサ64fは、室内蒸発器23における冷媒蒸発温度(蒸発器温度)Tefinを検出する蒸発器温度検出部である。本実施形態の蒸発器温度センサ64fは、具体的に、室内蒸発器23の熱交換フィンの温度を検出している。
冷媒圧力センサ65は、室内凝縮器12から流出した冷媒の高圧圧力Pdを検出する冷媒圧力検出部である。空調風温度センサ69は、混合空間36から車室内へ送風される送風空気温度TAVを検出する空調風温度検出部である。
また、空調制御装置60の入力側には、図2に示すように、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル70が接続され、この操作パネル70に設けられた各種操作スイッチからの操作信号が入力される。
操作パネル70に設けられた各種操作スイッチとしては、具体的に、車両用空調装置1の自動制御運転を設定あるいは解除するオートスイッチ、室内蒸発器23で送風空気の冷却を行うことを要求するエアコンスイッチ、室内送風機32の風量をマニュアル設定する風量設定スイッチ、車室内の目標温度Tsetを設定する温度設定スイッチ、吹出モードをマニュアル設定する吹出モード切替スイッチ等がある。
また、空調制御装置60には、サービスツール71を接続するコネクタ72が設けられている。サービスツール71は、ユーザがコネクタ72に接続することによって冷凍サイクル装置10に対して冷媒回収準備制御の実行を要求する要求部である。
冷媒回収準備制御は、冷凍サイクル装置10から冷媒を回収する際に実行される制御である。従って、サービスツール71は、車両に常備されている必要はなく、冷媒の回収作業を行う整備工場等に準備されていればよい。また、コネクタ72には、カバー等が施されており、冷媒回収を行わない時には、運転者や同乗者が視認できないように配置されている。
なお、本実施形態の空調制御装置60は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御部が一体に構成されたものである。つまり、空調制御装置60のうち、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。
例えば、空調制御装置60のうち、圧縮機11の回転数を制御する構成は、吐出能力制御部60aを構成している。例えば、減圧部である暖房用膨張弁14aの絞り開度を制御する構成は、絞り開度制御部60bを構成している。例えば、第1開閉弁15a~第4開閉弁15dの作動を制御する構成は、回路切替制御部60cを構成している。例えば、外気ファン20aの回転数を制御する構成は、外気送風能力制御部60dを構成している。
次に、上記構成における本実施形態の作動について説明する。前述の如く、本実施形態の車両用空調装置1では、車室内の冷房、除湿暖房、および暖房を行うことができる。そして、冷凍サイクル装置10は、車室内の空調を行うために、冷房モード、直列除湿暖房モード、並列除湿暖房モード、および暖房モードでの運転を実行することができる。
冷凍サイクル装置10の各運転モードの切り替えは、空調制御プログラムが実行されることによって行われる。空調制御プログラムは、操作パネル70のオートスイッチが投入(ON)されて、自動制御運転が設定された際に実行される。
空調制御プログラムのメインルーチンでは、上述の空調制御用のセンサ群の検出信号および各種空調操作スイッチからの操作信号を読み込む。そして、読み込んだ検出信号および操作信号の値に基づいて、車室内へ吹き出す吹出空気の目標温度である目標吹出温度TAOを算出する。
具体的には、目標吹出温度TAOは、以下数式F1によって算出される。
TAO=Kset×Tset-Kr×Tr-Kam×Tam-Ks×As+C…(F1)
なお、Tsetは温度設定スイッチによって設定された車室内の目標温度(車室内設定温度)、Trは内気温センサ61によって検出された内気温、Tamは外気温センサ62によって検出された外気温、Tsは日射センサ63によって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
そして、操作パネル70のエアコンスイッチが投入された状態で、目標吹出温度TAOが予め定めた冷房基準温度αよりも低くなっている場合には、運転モードが冷房モードに切り替えられる。
また、操作パネル70のエアコンスイッチが投入された状態で、目標吹出温度TAOが冷房基準温度α以上になっており、かつ、外気温Tamが予め定めた除湿暖房基準温度βよりも高くなっている場合には、運転モードが直列除湿暖房モードに切り替えられる。
また、操作パネル70のエアコンスイッチが投入された状態で、目標吹出温度TAOが冷房基準温度α以上になっており、かつ、外気温Tamが除湿暖房基準温度β以下になっている場合には、運転モードが並列除湿暖房モードに切り替えられる。
また、エアコンスイッチの冷房スイッチが投入されていない場合には、運転モードが暖房モードに切り替えられる。
このため、冷房モードは、主に夏季のように比較的外気温が高い場合に実行される。直列除湿暖房モードは、主に春季あるいは秋季に実行される。並列除湿暖房モードは、主に早春季あるいは晩秋季のように直列除湿暖房モードよりも高い加熱能力で送風空気を加熱する必要のある場合に実行される。暖房モードは、主に冬季の低外気温時に実行される。以下に各運転モードにおける作動を説明する。
(a)冷房モード
冷房モードでは、空調制御装置60が、暖房用膨張弁14aを全開状態とし、冷房用膨張弁14bを減圧作用を発揮する絞り状態する。また、空調制御装置60は、第1開閉弁15aを閉じ、第2開閉弁15bを閉じ、第3開閉弁15cを開き、第4開閉弁15dを閉じる。
これにより、冷房モードでは、図1の白抜き矢印に示すように、圧縮機11の吐出ポート11c→室内凝縮器12(→暖房用膨張弁14a→気液分離器16)→室外熱交換器20→冷房用膨張弁14b→室内蒸発器23→蒸発圧力調整弁26→アキュムレータ24→圧縮機11の吸入ポート11aの順に冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
冷房モードでは、第2開閉弁15bが閉じているので、圧縮機11の中間圧ポート11bから冷媒が吸入されることはない。このため、圧縮機11は単段昇圧式の圧縮機として機能する。このサイクル構成で、空調制御装置60は、出力側に接続された各種制御対象機器へ出力される制御信号等を適宜決定し、決定された制御信号等を各種制御対象機器へ出力する。
例えば、空調制御装置60は、蒸発器温度センサ64fによって検出された蒸発器温度Tefinが目標蒸発器温度TEOに近づくように、圧縮機11へ出力される制御信号を決定する。目標蒸発器温度TEOは、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置60に記憶された冷房モード用の制御マップを参照して決定される。
この制御マップでは、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、目標蒸発器温度TEOが上昇するように決定される。さらに、目標蒸発器温度TEOは、室内蒸発器23の着霜を抑制可能な範囲(具体的には、1℃以上)の値に決定される。
また、空調制御装置60は、冷房用膨張弁14bへ流入する冷媒の過冷却度SC2が冷房モード用の目標過冷却度SCO2に近づくように、冷房用膨張弁14bへ出力される制御信号を決定する。
冷房用膨張弁14bへ流入する冷媒の過冷却度SC2は、冷媒圧力センサ65によって検出された高圧圧力Pdおよび第2冷媒温度センサ64bによって検出された第2冷媒温度T2から算定される。目標過冷却度SCO2は、高圧圧力Pdに基づいて、予め空調制御装置60に記憶された冷房モード用の制御マップを参照して決定される。
この制御マップでは、サイクルの成績係数(COP)が極大値に近づくように、目標過冷却度SCO2が決定される。
また、空調制御装置60は、エアミックスドア用の電動アクチュエータへ出力される制御信号を決定する。エアミックスドア用の電動アクチュエータへ出力される制御信号は、車室内へ吹き出される送風空気の温度が目標吹出温度TAOに近づくように決定される。
従って、冷房モードの冷凍サイクル装置10では、室内凝縮器12および室外熱交換器20を凝縮器として機能させ、室内蒸発器23を蒸発器として機能させる冷凍サイクルが構成される。その結果、冷房モードでは、室内蒸発器23にて冷却された送風空気を、室内凝縮器12にて適切な温度に調整することができる。そして、適切な温度に調整された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の冷房を行うことができる。
(b)直列除湿暖房モード
直列除湿暖房モードでは、空調制御装置60が、暖房用膨張弁14aを絞り状態とし、冷房用膨張弁14bを絞り状態する。また、空調制御装置60は、第1開閉弁15aを閉じ、第2開閉弁15bを閉じ、第3開閉弁15cを開き、第4開閉弁15dを閉じる。
これにより、直列除湿暖房モードでは、図1の白抜き矢印に示すように、圧縮機11の吐出ポート11c→室内凝縮器12→暖房用膨張弁14a(→気液分離器16)→室外熱交換器20→冷房用膨張弁14b→室内蒸発器23→蒸発圧力調整弁26→アキュムレータ24→圧縮機11の吸入ポート11aの順に冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
すなわち、直列除湿暖房モードでは、実質的に冷房モードと同じ順に冷媒が循環する冷凍サイクルが構成される。さらに、室外熱交換器20と室内蒸発器23が、冷媒流れに対して直列的に接続される冷凍サイクルが構成される。
直列除湿暖房モードでは、第2開閉弁15bが閉じているので、冷房モードと同様に、圧縮機11は単段昇圧式の圧縮機として機能する。このサイクル構成で、空調制御装置60は、出力側に接続された各種制御対象機器へ出力される制御信号等を適宜決定し、決定された制御信号等を各種制御対象機器へ出力する。
例えば、空調制御装置60は、冷媒圧力センサ65によって検出された高圧圧力Pdに基づいて、COPが極大値に近づくように、暖房用膨張弁14aおよび冷房用膨張弁14bへ出力される制御信号を決定する。この際、空調制御装置60は、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、暖房用膨張弁14aの絞り開度に対する冷房用膨張弁14bの絞り開度の開度比を増加させるように制御信号を決定する。
従って、直列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、室内凝縮器12を凝縮器として機能させ、室内蒸発器23を蒸発器として機能させる冷凍サイクルが構成される。さらに、室外熱交換器20における冷媒の飽和温度が外気温Tamよりも高い場合には、室外熱交換器20を凝縮器として機能させる冷凍サイクルが構成される。また、室外熱交換器20における冷媒の飽和温度が外気温Tamよりも低い場合には、室外熱交換器20を蒸発器として機能させる冷凍サイクルが構成される。
そして、室外熱交換器20における冷媒の飽和温度が外気温Tamよりも高い場合には、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、室外熱交換器20の冷媒の飽和温度を低下させて室外熱交換器20における冷媒の放熱量を減少させることができる。これにより、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させて、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を向上させることができる。
また、室外熱交換器20における冷媒の飽和温度が外気温Tamよりも低い場合には、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、室外熱交換器20の冷媒の飽和温度を低下させて室外熱交換器20における冷媒の吸熱量を増加させることができる。これにより、室内凝縮器12における冷媒の放熱量を増加させて、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を向上させることができる。
その結果、直列除湿暖房モードでは、室内蒸発器23にて冷却されて除湿された送風空気を、室内凝縮器12にて再加熱することができる。そして、再加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。さらに、暖房用膨張弁14aおよび冷房用膨張弁14bの絞り開度を調整することによって、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を調整することができる。
(c)並列除湿暖房モード
並列除湿暖房モードでは、空調制御装置60が、暖房用膨張弁14aを絞り状態とし、冷房用膨張弁14bを絞り状態とする。また、空調制御装置60は、第1開閉弁15aを開き、第2開閉弁15bを閉じ、第3開閉弁15cを開き、第4開閉弁15dを開く。
これにより、並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、図1の斜線ハッチング付き矢印に示すように、圧縮機11の吐出ポート11c→室内凝縮器12→暖房用膨張弁14a(→気液分離器16)→室外熱交換器20→アキュムレータ24→圧縮機11の吸入ポート11aの順に冷媒が循環するとともに、圧縮機11の吐出ポート11c→室内凝縮器12→冷房用膨張弁14b→室内蒸発器23→蒸発圧力調整弁26→アキュムレータ24→圧縮機11の吸入ポート11aの順に冷媒が循環する蒸気圧縮式の冷凍サイクルが構成される。
すなわち、室外熱交換器20と室内蒸発器23が、冷媒流れに対して並列的に接続される冷凍サイクルが構成される。並列除湿暖房モードでは、第2開閉弁15bが閉じているので、冷房モードと同様に、圧縮機11は単段昇圧式の圧縮機として機能する。このサイクル構成で、空調制御装置60は、出力側に接続された各種制御対象機器へ出力される制御信号等を適宜決定し、決定された制御信号等を各種制御対象機器へ出力する。
例えば、空調制御装置60は、高圧圧力Pdが目標凝縮圧力PDOに近づくように、圧縮機11へ出力される制御信号を決定する。目標凝縮圧力PDOは、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置60に記憶された冷房モード用の制御マップを参照して決定される。この制御マップでは、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、目標凝縮圧力PDOが上昇するように決定される。
また、空調制御装置60は、高圧圧力Pdに基づいて、COPが極大値に近づくように、暖房用膨張弁14aおよび冷房用膨張弁14bへ出力される制御信号を決定する。この際、空調制御装置60は、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、暖房用膨張弁14aの絞り開度に対する冷房用膨張弁14bの絞り開度の開度比を増加させるように制御信号を決定する。
従って、並列除湿暖房モードの冷凍サイクル装置10では、室内凝縮器12を凝縮器として機能させ、室外熱交換器20および室内蒸発器23を蒸発器として機能させる冷凍サイクルが構成される。
その結果、並列除湿暖房モードでは、室内蒸発器23にて冷却されて除湿された送風空気を、室内凝縮器12にて再加熱することができる。そして、再加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の除湿暖房を行うことができる。さらに、暖房用膨張弁14aおよび冷房用膨張弁14bの絞り開度を調整することによって、室内凝縮器12における送風空気の加熱能力を調整することができる。
また、並列除湿暖房モードでは、室外熱交換器20における冷媒の蒸発温度を、室内蒸発器23における冷媒の蒸発温度よりも低下させることができる。従って、並列除湿暖房モードでは、直列除湿暖房モードよりも室外熱交換器20における冷媒の吸熱量を増加させて、送風空気の加熱能力を増加させることができる。
(d)暖房モード
暖房モードでは、空調制御装置60が、暖房用膨張弁14aを絞り状態とし、冷房用膨張弁14bを全閉状態とする。また、空調制御装置60は、第1開閉弁15aを閉じ、第2開閉弁15bを開き、第3開閉弁15cを閉じ、第4開閉弁15dを開く。
これにより、暖房モードでは、図1の黒塗り矢印に示すように、圧縮機11の吐出ポート11c→室内凝縮器12→暖房用膨張弁14a→気液分離器16の気相冷媒出口→圧縮機11の中間圧ポート11bの順に冷媒が循環するとともに、気液分離器16の液相冷媒出口→固定絞り17→室外熱交換器20→アキュムレータ24→圧縮機11の吸入ポート11aの順に冷媒が循環する、いわゆるガスインジェクションサイクルが構成される。
このサイクル構成で、空調制御装置60は、出力側に接続された各種制御対象機器へ出力される制御信号等を適宜決定し、決定された制御信号等を各種制御対象機器へ出力する。
例えば、空調制御装置60は、暖房用膨張弁14aへ流入する冷媒の過冷却度SC1が暖房モード用の目標過冷却度SCO1に近づくように、暖房用膨張弁14aへ出力される制御信号を決定する。
暖房用膨張弁14aへ流入する冷媒の過冷却度SC1は、冷媒圧力センサ65によって検出された高圧圧力Pdおよび第1冷媒温度センサ64aによって検出された第1冷媒温度T1から算定される。目標過冷却度SCO1は、高圧圧力Pdに基づいて、予め空調制御装置60に記憶された冷房モード用の制御マップを参照して決定される。
この制御マップでは、サイクルの成績係数(COP)が極大値に近づくように、目標過冷却度SCO1が決定される。
従って、暖房モードの冷凍サイクル装置10では、室内凝縮器12を放熱器として機能させ、室外熱交換器20を蒸発器として機能させるガスインジェクションサイクルが構成される。その結果、暖房モードでは、室内凝縮器12にて加熱された送風空気を車室内へ吹き出すことによって、車室内の暖房を行うことができる。
以上の如く、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、車室内の空調を行うために、冷媒回路を切り替えて各種運転モードでの運転を行うことができる。これにより、車両用空調装置1では車室内の快適な空調を実現することができる。
さらに、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、サイクル内の冷媒を回収する際に、冷媒回収準備制御を実行することができる。冷媒回収準備制御は、サイクル内から冷媒を速やかに回収するためにアキュムレータ24内の冷媒の温度を上昇させる制御である。
以下に、本実施形態の冷凍サイクル装置10における冷媒回収方法を説明する。本実施形態の冷媒回収方法では、まず、図3の全体構成図に示すように、冷凍サイクル装置10の高圧側チャージングポート27aおよび低圧側チャージングポート27bに、冷媒回収装置80を接続する(回収装置接続工程)。回収装置接続工程は、車両システムの起動スイッチ(いわゆる、イグニッションスイッチ)がOFFされている状態で行われる。
冷媒回収装置80は、回収用圧縮部81、回収用凝縮部82等を有している。回収用圧縮部81は、サイクル内から気相冷媒を吸入して圧縮する圧縮機である。回収用圧縮部81の吸入口は、専用ホース等を介して、高圧側チャージングポート27aおよび低圧側チャージングポート27bに接続されている。
回収用凝縮部82は、回収用圧縮部81から吐出された冷媒と外気とを熱交換させて回収した冷媒を液化させる凝縮用の熱交換器である。回収用凝縮部82の冷媒出口側には、回収容器83が接続されている。回収容器83は、回収用凝縮部82にて液化させた冷媒を貯える容器である。回収装置接続工程では、回収用圧縮部81等の冷媒回収装置80の構成機器は停止している。
次に、空調制御装置60のコネクタ72に、サービスツール71を接続する。これにより、車載バッテリから冷凍サイクル装置10に電力が供給される。さらに、冷凍サイクル装置10に対して、冷媒回収準備制御の実行が要求される。そして、空調制御装置60が、図4のフローチャートに示す冷媒回収準備制御を実行する(準備制御実行工程)。
図4のステップS1では、冷凍サイクル装置10の冷媒回路を切り替える。具体的には、空調制御装置60が、暖房用膨張弁14aを絞り状態とし、冷房用膨張弁14bを全閉状態とする。また、空調制御装置60は、第1開閉弁15aを閉じ、第2開閉弁15bを閉じ、第3開閉弁15cを開き、第4開閉弁15dを開く。
これにより、図3の網掛けハッチング矢印に示すように、圧縮機11の吐出ポート11c(→室内凝縮器12)→暖房用膨張弁14a(→気液分離器16→室外熱交換器20)→アキュムレータ24→圧縮機11の吸入ポート11aの順に冷媒が循環する、いわゆるホットガスサイクルが構成される。
ステップS2では、空調制御用のセンサ群の検出信号を読み込む。ステップS3では、ステップS2で読み込まれた外気温Tamに基づいて、予め空調制御装置60に記憶された制御マップを参照して、基準温度KTを決定する。基準温度KTは、冷媒回収準備制御の終了タイミングを判定する際に用いられる冷媒温度の基準値である。
より具体的には、基準温度KTは、図4のステップS3に記載された制御特性図に示すように、外気温Tamの上昇に伴って、高くなるように決定される。さらに、基準温度KTは、後述する冷媒回収工程で、サイクル内から冷媒を90%回収した時に、サイクル内の冷媒圧力が大気圧以上となるように決定される。
ステップS4では、第1冷媒温度T1が基準温度KTより高くなるように、圧縮機11へ出力される制御信号を決定する。ステップS5では、暖房用膨張弁14aへ出力される制御信号を決定する。暖房用膨張弁14aへ出力される制御信号は、図4のステップS5に記載された制御特性図に示すように、外気温Tamの低下に伴って、絞り開度が減少するように決定される。
ステップS6では、エアミックスドア用の電動アクチュエータへ出力される制御信号を決定する。具体的には、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の通風路を全閉とするように制御信号が決定される。ステップS7では、外気ファン20aを停止させる。ステップS8では、ステップS2~S7で決定された制御状態が得られるように、空調制御装置60から各種制御対象機器へ制御信号、制御電圧等が出力される。
ステップS9では、第2冷媒温度センサ64bによって検出された第2冷媒温度T2が基準温度KT以上となっている温度上昇状態の経過時間Timが、予め定めた基準経過時間KTim以上となっているか否かが判定される。本実施形態では、基準経過時間KTimを30秒に設定している。
ここで、冷媒回収準備制御では、室外熱交換器20から流出した冷媒を、第4冷媒通路18dを介してアキュムレータ24へ流入させる。従って、上述した温度上昇状態とは、アキュムレータ24へ流入する冷媒の温度が基準温度KT以上となっている状態を意味している。
そして、ステップS9にて、経過時間Timが基準経過時間KTimより短いと判定された場合には、ステップS2へ戻る。ステップS9にて、経過時間Timが基準経過時間KTim以上になっていると判定された場合には、ステップS10へ進む。
ステップS10では、冷媒回収準備制御の終了処理を行う。具体的には、ステップS10では、圧縮機11を停止させ、暖房用膨張弁14aを全開状態とし、冷房用膨張弁14bを全閉状態とする。また、空調制御装置60は、第1開閉弁15aを開き、第2開閉弁15bを開き、第3開閉弁15cを開き、第4開閉弁15dを開く。
ステップS10の終了処理は、暖房用膨張弁14aを確実に全開状態とし、第1~第4開閉弁15a~15dを確実に開くために、終了処理の開始から待機時間τの経過を待って完了する。本実施形態では、待機時間τを90秒に設定している。
従って、冷媒回収準備制御のステップS2~S9の制御を実行している冷凍サイクル装置10では、圧縮機11の吐出ポート11cから吐出された高温冷媒が、室内凝縮器12へ流入する。冷媒回収準備制御では、エアミックスドア34が室内凝縮器12側の通風路を全閉としている。従って、室内凝縮器12へ流入した冷媒は、殆ど送風空気へ放熱することなく室内凝縮器12から流出する。
室内凝縮器12から流出した冷媒は、気液分離器16を介して室外熱交換器20へ流入する。冷媒回収準備制御では、外気ファン20aが停止している。従って、室外熱交換器20へ流入した冷媒は、殆ど外気へ放熱することなく室外熱交換器20から流出する。室外熱交換器20から流出した冷媒は、第4冷媒通路18dを介してアキュムレータ24へ流入する。
これにより、図5に示すように、アキュムレータ24内の冷媒の温度が上昇する。さらに、アキュムレータ24自体の温度、およびアキュムレータ24内の冷媒の圧力も上昇する。アキュムレータ24の気相冷媒出口から流出した冷媒は、圧縮機11の吸入ポート11aから吸入されて再び圧縮される。
そして、ステップS9にて、経過時間Timが基準経過時間KTim以上になったと判定されると、アキュムレータ24内の冷媒の温度が充分に上昇したものとして、冷媒回収準備制御の終了処理が実行される。これにより、アキュムレータ24の内部空間が、高圧側チャージングポート27aおよび低圧側チャージングポート27bの双方を介して回収用圧縮部81の吸入口側と連通する。
次に、準備制御実行工程の終了後、冷媒回収装置80の回収用圧縮部81等を作動させて、サイクル内の冷媒を回収する(冷媒回収工程)。
冷媒回収工程では、回収用圧縮部81が、高圧側チャージングポート27aおよび低圧側チャージングポート27bを介して、サイクル内の気相冷媒を吸入する。回収用圧縮部81から吐出された冷媒は、回収用凝縮部82にて外気と熱交換して凝縮する。回収用凝縮部82にて凝縮した冷媒は、回収容器83に貯えられる。
以上の如く、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、サイクル内の冷媒を回収する際に、冷媒回収準備制御を実行することができる。これによれば、サイクル内の冷媒を回収する冷媒回収工程を行う前に、アキュムレータ24内の冷媒を加熱して気化させておくことができる。
従って、回収作業の長時間化を回避するために、回収作業時に外部からアキュムレータ24を加熱する必要がない。すなわち、本実施形態の冷凍サイクル装置10によれば、作業性の悪化を招くことなく速やかに冷媒の回収を完了させることができる。ここで、サイクル内の冷媒の回収は、サイクル内の冷媒を90%以上回収し、かつ、サイクル内の冷媒の圧力が大気圧となった際に完了するものとする。
さらに、本発明者らは、冷凍サイクル装置10を用いて、冷媒回収準備制御を実行することなく、かつ、外部からアキュムレータ24を加熱することなく冷媒回収を行う比較試験を行っている。その結果、本実施形態の冷凍サイクル装置10のように冷媒回収準備制御を実行することによって、サイクル内の冷媒を90%回収するために要する時間を、比較試験に対して10分の1以下に短縮可能であることが確認されている。
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、冷媒回収準備制御の実行時に、冷媒回路切替部が、圧縮機11の吐出ポート11c→暖房用膨張弁14a→アキュムレータ24→圧縮機11の吸入ポート11aの順に冷媒が循環する冷媒回路に切り替える。これによれば、アキュムレータ24内の冷媒を上昇させるために新たな構成を追加することなく、アキュムレータ24内の冷媒の温度を上昇させることができる。
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、冷媒回収準備制御の実行時に、外気温Tamの低下に伴って、冷房用膨張弁14bの絞り開度を減少させる。これによれば、外気温Tamの低下に伴って、圧縮機11から吐出された高圧冷媒の温度を上昇させることができる。
従って、外気温Tamの低下に伴って、アキュムレータ24内の冷媒の温度が低下してしまうことを抑制することができる。その結果、外気温Tamの低下によって、冷媒回収に要する時間が長くなってしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、冷媒回収準備制御の実行時に、経過時間Timが基準経過時間KTim以上となった際に終了処理へ移行する。これによれば、サイクル内の冷媒を確実に回収できるように、アキュムレータ24内の冷媒の温度を充分に上昇させることができる。
さらに、アキュムレータ24へ流入する冷媒の温度として、第2冷媒温度センサ64bによって検出された第2冷媒温度T2を採用している。第2冷媒温度センサ64bは、冷房モード等の制御に用いられる温度検出部である。従って、新たな温度検出部を追加することなく、アキュムレータ24へ流入する冷媒の温度を検出することができる。
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、外気温Tamの上昇に伴って、基準温度KTが高くなるように決定する。これによれば、外気温Tamが比較的高い時であっても、サイクル内の冷媒を確実に回収できるように、アキュムレータ24内の冷媒の温度を充分に上昇させることができる。
より詳細には、第2冷媒温度センサ64bは、室外熱交換器20の冷媒出口側に配置されている。このため、図5に示すように、第2冷媒温度T2は、実際のアキュムレータ24内の冷媒の温度よりも高い値となりやすい。このため、外気温Tamが上昇すると、実際のアキュムレータ24内の冷媒の温度が充分に上昇していなくても、第2冷媒温度T2に基づいて終了処理へ以降してしまう可能性がある。
これに対して、本実施形態では、外気温Tamの上昇に伴って、基準温度KTが高くなるように決定する。従って、外気温Tamが比較的高い時であっても、サイクル内の冷媒を確実に回収できるように、アキュムレータ24内の冷媒の温度を充分に上昇させることができる。
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、冷媒回収準備制御の実行時に、圧縮機11から吐出された高圧冷媒の温度が基準温度KTより高くなるように、圧縮機11の作動を制御する。これによれば、アキュムレータ24内の冷媒の温度を基準温度KT以上となるように上昇させることができる。
さらに、圧縮機11にて昇圧された高圧冷媒の温度として、第1冷媒温度センサ64aによって検出された第1冷媒温度T1を採用している。第1冷媒温度センサ64aは、暖房モード等の制御に用いられる温度検出部である。従って、新たな温度検出部を追加することなく、圧縮機11にて昇圧された高圧冷媒の温度を検出することができる。
また、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、要求部としてのサービスツール71を備えているので、必要に応じて冷媒回収準備制御を実行することができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)冷凍サイクル装置のサイクル構成は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。少なくとも低圧側の貯液部を備える冷凍サイクル装置であって、冷媒回収準備制御を実行可能に構成されていれば、作業性の悪化を招くことなく速やかに冷媒の回収を完了させることができる。従って、空調を行うために冷媒回路を切り替え可能に構成されていることは必須ではない。
また、上述の実施形態で説明した冷凍サイクル装置10では、送風空気を加熱する加熱部として、圧縮機11の圧縮熱を利用して送風空気を加熱する室内凝縮器12を採用した例を説明したが、加熱部はこれに限定されない。例えば、加熱部として、高温側熱媒体を循環させる高温側熱媒体循環回路に、高温側水ポンプ、水-冷媒熱交換器、ヒータコア等を配置したものを採用してもよい。
高温側水ポンプは、高温側熱媒体を水-冷媒熱交換器の水通路へ圧送するポンプである。水-冷媒熱交換器は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と高温側水ポンプから圧送された高温側熱媒体とを熱交換させる熱交換器である。ヒータコアは、水-冷媒熱交換器にて加熱された高温側熱媒体と送風空気とを熱交換させる加熱用熱交換器である。
そして、ヒータコアを室内空調ユニット30の空気通路内に室内凝縮器12と同様に配置する。これによれば、暖房モード時等に、ヒータコアにて、高圧冷媒を熱源として高温側熱媒体を介して間接的に送風空気を加熱することができる。さらに、高温側熱媒体回路に内燃機関の冷却水を混合させてもよい。これによれば、内燃機関の排熱を利用して、送風空気を加熱することができる。
このような冷凍サイクル装置では、高温側熱媒体の有する熱を熱源としてアキュムレータ24内の冷媒の温度を上昇させる冷媒回収準備制御を行ってもよい。
具体的には、この冷媒回収準備制御では、空調制御装置60が、暖房用膨張弁14aを全開状態とし、冷房用膨張弁14bを全閉状態とする。また、空調制御装置60は、第1開閉弁15aを閉じ、第2開閉弁15bを閉じ、第3開閉弁15cを開き、第4開閉弁15dを開く。また、空調制御装置60は、予め定めた吐出能力を発揮するように圧縮機11を作動させる。
これにより、圧縮機11→水-冷媒熱交換器(→暖房用膨張弁14a→気液分離器16→室外熱交換器20)→アキュムレータ24→圧縮機11の順に冷媒を循環させる冷媒回路が構成される。
この冷媒回収準備制御では、暖房用膨張弁14aが全開状態となっているので、圧縮機11から吐出された冷媒は、殆ど温度上昇することなく、水-冷媒熱交換器へ流入する。水-冷媒熱交換器へ流入した冷媒は、内燃機関の排熱によって加熱された高温側熱媒体と熱交換して加熱される。水-冷媒熱交換器から流出した冷媒は、アキュムレータ24へ流入する。これにより、アキュムレータ24内の冷媒の温度を上昇させることができる。
また、上述の実施形態で説明した冷凍サイクル装置10に、作動時に発熱を伴う冷却対象機器(例えば、バッテリ)を冷却するための構成を追加してもよい。
具体的には、冷房用膨張弁14b、室内蒸発器23および蒸発圧力調整弁26に対して、冷却用膨張弁およびチラーを並列的に接続する。さらに、低温側熱媒体を循環させる低温側熱媒体循環回路に、低温側水ポンプ、チラー、冷却用熱交換器等を配置する。
低温側水ポンプは、低温側熱媒体をチラーの水通路へ圧送するポンプである。チラーは、冷却用膨張弁から流出した冷媒と低温側水ポンプから圧送された低温側熱媒体とを熱交換させる熱交換器である。冷却用膨張弁の基本的構成は、冷房用膨張弁14bと同様である。冷却用熱交換器は、冷却対象機器等に一体化されて冷却対象機器と低温側熱媒体とを熱交換させるものである。
これによれば、冷却用膨張弁にて減圧された冷媒をチラーにて蒸発させて低温側熱媒体を冷却することができる。そして、チラーにて冷却された低温側熱媒体を冷却用熱交換器へ流入させることによって、冷却対象機器を冷却することができる。
このような冷凍サイクル装置では、低温側熱媒体の有する熱を熱源としてアキュムレータ24内の冷媒の温度を上昇させる冷媒回収準備制御を行ってもよい。
具体的には、この冷媒回収準備制御では、空調制御装置60が、暖房用膨張弁14aを全開状態とし、冷房用膨張弁14bを全閉状態とし、冷却用膨張弁を全開状態とする。また、空調制御装置60は、第1開閉弁15aを閉じ、第2開閉弁15bを閉じ、第3開閉弁15cを開き、第4開閉弁15dを開く。また、空調制御装置60は、予め定めた吐出能力を発揮するように圧縮機11を作動させる。
これにより、圧縮機11(→室内凝縮器12→暖房用膨張弁14a→気液分離器16→室外熱交換器20→冷却用膨張弁)→チラー→アキュムレータ24→圧縮機11の順に冷媒を循環させる冷媒回路が構成される。
この冷媒回収準備制御では、暖房用膨張弁14aおよび冷却用膨張弁が全開状態となっているので、圧縮機11から吐出された冷媒は、殆ど温度上昇することなく、チラーへ流入する。チラーへ流入した冷媒は、冷却対象機器の排熱によって加熱された低温側熱媒体と熱交換して加熱される。チラーから流出した冷媒は、アキュムレータ24へ流入する。これにより、アキュムレータ24内の冷媒の温度を上昇させることができる。
(2)冷凍サイクル装置の各構成機器は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、上述の実施形態では、2つの圧縮機構を1つのハウジング内に収容した圧縮機11を採用しているが、二段昇圧式の圧縮機であれば種々の形式を採用することができる。具体的には、中間圧ポート11bから流入させた中間圧冷媒を低圧から高圧へ圧縮過程の冷媒に合流させることができれば、1つの固定容量型の圧縮機構と、この圧縮機構を回転駆動する電動モータとを、ハウジングの内部に収容して構成された電動圧縮機であってもよい。
さらに、低段側圧縮機及び高段側圧縮機を直列に接続することによって、1つの二段昇圧式の圧縮機11を構成してもよい。この場合は、低段側に配置される低段側圧縮機の吸入口を吸入ポート11aとし、高段側に配置される高段側圧縮機の吐出口を吐出ポート11cとする。そして、低段側圧縮機の吐出ポートと高段側圧縮機との吸入ポートとを接続する冷媒通路に中間圧ポート11bを設ければよい。
また、上述の実施形態では、第2開閉弁15b、第3開閉弁15c、気液分離器16、固定絞り17を別体で構成した例を説明したが、図1、図3の破線で囲まれた構成機器を統合弁として一体化してもよい。この場合は、第2開閉弁15bとして、気液分離器16内の冷媒圧力と20の入口側冷媒圧力との圧力差によって開閉する差圧弁を採用してもよい。その他のサイクル構成機器についても適宜一体化を行ってもよい。
また、上述の実施形態では、貯液部としてアキュムレータ24を採用した例を説明したが、さらに、アキュムレータ24内の冷媒を加熱する冷媒加熱部を備えていてもよい。このような冷媒加熱部としては、電気ヒータ等を採用することができる。そして、冷媒回収準備制御では、冷媒加熱部に通電することによって、アキュムレータ24内の冷媒の温度を上昇させるようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、冷媒回収準備制御のステップS9にて、アキュムレータ24内の冷媒の温度に相関を有する物理量として第2冷媒温度T2を用いた例を説明したが、これに限定されない。実際にアキュムレータ24内の冷媒の温度を検出する検出部を備え、この検出部の検出値を用いて冷媒回収準備制御を行ってもよい。
同様に、上述の実施形態では、冷媒回収準備制御のステップS4にて、圧縮機11から吐出された高圧冷媒の温度として第1冷媒温度T1を用いた例を説明したが、これに限定されない。実際に圧縮機11から吐出された直後の冷媒の温度を検出する検出部を備え、この検出部の検出値を用いて冷媒回収準備制御を行ってもよい。さらに、高圧圧力Pdから圧縮機11から吐出された高圧冷媒の温度を推定して用いてもよい。
また、上述の実施形態では、冷媒としてR1234yfを採用した例を説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、R134a、R600a、R410A、R404A、R32、R407C、等を採用してもよい。または、これらの冷媒のうち複数種を混合させた混合冷媒等を採用してもよい。さらに冷媒として二酸化炭素を採用して、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成してもよい。
(3)上述の実施形態では、要求部としてサービスツール71を採用した例を説明したが、要求部はこれに限定されない。例えば、要求部として、操作パネル70に冷媒回収準備制御の実行を要求するための専用のスイッチを設けてもよい。さらに、既存のスイッチの長押しや、複数のスイッチの同時押し等の組合せによって、冷媒回収準備制御の実行を要求するようにしてもよい。
(4)上述の実施形態では、冷凍サイクル装置10を、ハイブリッド車両の車両用空調装置に適用した例を説明したが、冷凍サイクル装置10の適用はこれに限定されない。例えば、エンジンから車両走行用の駆動力を得る通常の車両や走行用電動モータから車両走行用の駆動力を得る電気自動車用の車両用空調装置に適用してもよい。さらに、定置型の空調装置、冷温保存庫、給湯機等に適用してもよい。