JP3979352B2 - 薄層セラミックシート製造用離型フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムに関し、詳しくは剥離帯電が小さく、剥離性に優れる、薄層セラミックシート製造用のキャリアフィルムとして好適な離型フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックコンデンサーなどの部品として用いられるセラミックシートは、キャリアフィルム上にセラミックスラリーを一定厚みに塗工、乾燥させた後、雛型フィルムから剥離して製造される。セラミックシートの製造に使用されるキャリアフィルムとしては、剥離をスムーズに行うため、離型層を設けた離型フィルムが用いられることが多い。
【0003】
近年、セラミックコンデンサーの大容量化、小型化にともない、セラミックシートの薄膜化が進んでいる。セラミックシートの厚みを薄くすると、セラミックシートと離型フィルムとの剥離の際に大きな剥離力が必要となり、剥離不良が生じやすくなるという問題がある。また、セラミックシートの薄膜化が進むと、従来の離型フィルムでは剥離帯電が大きく、それによる静電気障害が大きな問題となっていた。なお、本発明でいう薄層セラミックシートとは、厚みが1μm以上10μm未満を意味する。
【0004】
剥離帯電を小さくする方法としては、離型フィルムにおいて、帯電防止層や電層の上に硬化型シリコーン樹脂からなる離型層を形成する方法(例えば、特許文献1、2参照)、あるいは離型層の反対面に、帯電防止層や導電層を形成する方法(例えば、特許文献3、4参照)が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−344513号公報
【特許文献2】
特開平3−106645号公報
【特許文献3】
特開平7−81016号公報
【特許文献4】
特開平6−344513号公報
【0006】
しかしながら、硬化型シリコーン樹脂からなる離型層は非常に帯電しやすく、セラミックシートを離型層から剥離する際の剥離帯電が大きくなる傾向がある。そのため、いったん剥離したセラミックシートが離型屑に再付着したり、また剥離したセラミックシート上に他層を積層する際に、各層が均一な厚みで積層されなかったり、剥離したセラミックシートに静電気により浮遊ゴミが付着したりする、など加工上の問題があった。特にこのような問題は、セラミックシートが薄膜化するにつれ顕著となる。
【0007】
そこで、硬化型シリコーン樹脂からなる離型層中に、帯電防止剤や導電剤を含有させる方法なども検討されている(例えば、特許文献5参照)。
【0008】
【特許文献5】
特開平6−116426号公報
【0009】
しかしながら、帯電防止剤や導電剤を離型層に含有させた離型フィルムでは、帯電防止剤あるいは導電剤が離型層のシリコーン樹脂の硬化反応を阻害したり、離型フィルムやセラミックシート製造時に、離型層中の帯電防止剤が離型層に接触する加工工程中のロール等に転写してロール等を汚染させたり、剥離力が上昇したり、剥離力が不安定になるなどの問題があった。さらに、帯電防止剤とシリコーン樹脂の併用によるコストの増加もある。
【0010】
そのため、硬化型シリコーン樹脂を離型層の構成材料として用いても、剥離帯電を小さくすることができる、薄層セラミックシート製造用のキャリアフィルムとして好適な離型フィルムが強く要望されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、剥離帯電が小さく、かつ剥離性に優れる薄層セラミックシート製造用のキャリアフィルムとして好適な離型フィルムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の薄層セラミックシート製造用離型フィルムは、末端カルボキシル基濃度(AV)と末端水酸基濃度(OHV)が特定の範囲にあるポリエステルフィルムに、特定の官能基を有するシリコーン樹脂を硬化させて得た、主として硬化型シリコーン樹脂からなる離型層を設けることにより、薄層セラミックシート製造時の剥離工程において、剥離帯電が小さく、かつ剥離性に優れるという、従来技術からは全く予測できない、新規な技術思想をもとに開発されたものである。
【0013】
すなわち、本発明における第1の発明は、ポリエステルフィルムの片面に、主として硬化型シリコーン樹脂からなる離型層を設けてなる薄層セラミックシート製造用離型フィルムであって、前記ポリエステルフィルムは末端カルボキシル基濃度(AV:eq/ton)と末端水酸基濃度(OHV:eq/ton)が下記式(1)及び(2)を満足し、かつ前記離型層は前記硬化型シリコーン樹脂の硬化反応後の残留Si-H基指数(Rh)及び残留Si-CH=CH2基指数(Rv)が下記式(3)及び(4)を満足することを特徴とする薄層セラミックシート製造用離型フィルムに関するものである。
AV≦40 ・・・(1)
AV+OHV≦120 ・・・(2)
Rh(=Ih/Im)≦0.01 ・・・(3)
Rv(=((Iv-0.765×Iph)/Im)-(Iph/Im))≦0.08 ・・・(4)
但し、上記式(3)及び(4)において、Ih、Iv、Im、Iphは、それぞれラマンスペクトル測定における、2170cm-1付近のSi-H基由来のピーク高さ、1598cm-1付近のSi-CH=CH2 基由来のピーク高さ、1410cm-1付近のSi-CH3 基由来のピーク高さ、1570cm-1付近のSi-C6H5 基由来のピーク高さを示す。
【0014】
また、第2の発明は、ポリエステルフィルム中に非晶性合成シリカ、コロイダルシリカ、
炭酸カルシウム、またはシリカーアルミナ複合酸化物から選択される粒子を 100 〜 10000
ppm 含有することを特徴とする第1の発明に記載の薄層セラミックシート製造用離型フ
ィルムである。
第3の発明は、ポリエステルフィルムの片面に、主として硬化型シリコーン樹脂からなる離型層を設けてなる薄層セラミックシート製造用離型フィルムの製造方法であって、末端カルボキシル基濃度(AV:eq/ton)と末端水酸基濃度(OHV:eq/ton)が下記式(5)及び(6)を満足するポリエステルフィルムの片面に、Si−CH3 基量を100として他の官能基の量を基準化した際に、Si−H基量とSi−CH=CH2 基量との差が1.0未満である硬化型シリコーン樹脂、硬化反応触媒と有機溶剤を主たる構成成分とする塗布液を、硬化後の塗布量が0.02〜0.15g/m2となるように、塗布、乾燥、熱硬化処理を行い、離型層を設けることを特徴とする第1の発明または第2の発明に記載の薄層セラミックシート製造用離型フィルムの製造方法に関するものである。
AV≦40 ・・・(5)
AV+OHV≦120 ・・・(6)
【0015】
第4の発明は、前記塗布液が、(i)塗布液貯蔵タンクから送液ポンプにより、コーターへ塗布液を供給する工程、(ii)コーターからフィルムに塗布液を転移させる工程、(iii)余った塗布液を、送液ポンプを用いずに塗布液貯蔵タンク内に戻す工程、からなる塗布液循環システムを用いて得た塗布液であり、前記(iii)の工程において、余った塗布液を、200〜400メッシュの金網から剪断をかけずに通過させて、塗布液貯蔵タンク内に戻すことを特徴とする第3の発明に記載の薄層セラミックシート製造用離型フィルムの製造方法である。
第5の発明は、第1の発明に記載の離型フィルムの離型層に、厚みが1μm以上10μm未満の薄層セラミックシートを設けてなることを特徴とするセラミックシート付き離型フィルムである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明において、離型フィルムの基材として用いるポリエステルフィルムは、末端カルボキシル基濃度(AV)が40eq/ton以下で、かつ末端カルボキシル基濃度(AV)と末端水酸基濃度(OHV)の和で示される、総末端基濃度(AV+OHV)が120eq/ton以下であることが、離型フィルムの離型層と該離型フィルムの離型層上に積層されるセラミックシート層とを剥離する際に、剥離帯電を低減できる点から特に重要である。
【0017】
基材のポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の末端カルボキシル基濃度(AV)、末端水酸基濃度(OHV)及び総末端基濃度(AV+OHV)が、なぜ離型層とセラミックシート間の剥離帯電に影響するかは明確ではないが、前記ポリエステル樹脂の末端カルボキシル基や末端水酸基と、ポリエステル基材フィルムに積層される離型層を構成する硬化型シリコーン樹脂中の残存ビニル基や残存Si−H基との相互作用により、エレクトレットが発生し、離型層全体が分極しやすくなるためと推定される。
【0018】
前記ポリエステルフィルムは、末端カルボキシル基濃度(AV)が小さいほうが剥離帯電の点から好ましく、38eq/ton以下であることが好ましく、特に好ましくは35eq/ton以下である。一方、生産性の点から、ポリエステルフィルムの末端カルボキシル基濃度(AV)の下限値は20eq/tonとすることが好ましく、特に好ましくは25eq/tonである。
【0019】
また、剥離帯電の点から、前記ポリエステルフィルムの総末端基濃度(AV+OHV)も小さいほうが好ましく、総末端基濃度(AV+OHV)が118eq/ton以下であることが好ましく、特に好ましくは116eq/ton以下である。一方、生産性の点から、ポリエステルフィルムの総末端基濃度(AV+OHV)の下限値は80eq/tonとすることが好ましく、特に好ましくは90eq/tonである。
【0020】
ポリエステルフィルムの総末端基濃度(AV+OHV)と末端カルボキシル基濃度(AV)は相互に関連しているが、前記の総末端基濃度の範囲内で末端カルボキシル基濃度を独立して制御することは可能である。
【0021】
ポリエステルフィルムの総末端基濃度(AV+OHV)を120eq/ton以下とするためには、フィルム原料となるポリエステルの重合度を制御し、かつ加水分解の原因となるポリエステルペレット乾燥時の水分率や、酸化熱劣化の原因となるフィルム製造時の溶融押出し工程での温度及び時間を制御すればよい。また、酸化熱劣化の場合、酸化防止剤を予めポリエステルに含有させる、あるいは溶融押出し時にポリエステルペレットとともに添加することによっても制御することができる。
【0022】
なお、ポリエステルの重合度が高いほど、末端カルボキシル基と末端水酸基の縮合反応が進み、ポリエステルフィルムの総末端基濃度(AV+OHV)は小さくなる。
【0023】
ポリエステルの重合度は、予めポリエステルの溶融粘度(通常は、反応缶内の溶融ポリエステルの攪拌トルクで代用)との間で検量線を作成し、得られた攪拌トルクのデータをもとに工程管理することができる。
【0024】
また、ポリエステルペレット乾燥時の水分率が多いと、ポリエステルの溶融押出し時に加水分解により、ポリエステルのエステル結合(−CO−ORO−)の位置で分子鎖が切断され、新たに末端カルボキシル基と末端水酸基が当モル量形成される。その結果、総末端基濃度(AV+OHV)は末端カルボキシル基と末端水酸基の増加分だけ増加する。
【0025】
また、ポリエステル重合時のオリゴマー酸価が高い場合、及びポリエステルの重縮合工程やフィルム製造時の溶融押出し工程でポリエステルが熱酸化劣化した場合に、同じ総末端基濃度であってもポリエステルの末端カルボキシル基濃度が大きくなる場合がある。
【0026】
酸素雰囲気下での熱酸化劣化の場合、ポリエステルの分子鎖が切断され、新たに末端カルボキシル基と末端アルデヒド基が形成されるためである。すなわち、末端カルボキシル基濃度の増加分だけ、総末端基濃度が増加する。
【0027】
(基材フィルム)
次に、本発明で用いる基材フィルムについて、詳しく説明する。
本発明の薄層セラミックシート製造用離型フィルムは、ポリエステルフィルムを基材として用いる。本発明におけるポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂の種類は特に限定されず、離型フィルムの基材として一般に使用されているポリエステル樹脂を用いることができる。
【0028】
本発明において、前記ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分からなる結晶性の線状飽和ポリエステル樹脂であることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。また、前記ポリエステル樹脂は単独で使用してもよいし、2種以上ブレンドして使用してもよいし、それらの共重合体を使用することもできる。
【0029】
これらの中でも、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステルが好適であり、エチレンテレフタレート単位は80モル%以上であることがさらに好ましく、特に好ましくは90〜100モル%である。
【0030】
ポリエチレンテレフタレートを代表例として説明する。
ポリエチレンテレフタレートの製造方法は、エステル交換反応(DMT法)あるいは直接エステル化反応(TPA法)を経て、重縮合させる方法を用いる。さらに、得られたポリマーを固層重合し、分子量を大きくする方法も用いることができる。本発明において、基材のポリエステルフィルムの原料となるポリエステルのAVを小さくするためには、DMT法の場合は、重縮合温度を270〜285℃、好ましくは275〜280℃と通常よりも低い温度とし、熱履歴を小さくする方法が好ましい。また、TPA法の場合は、オリゴマーのAVを小さくし、重縮合温度を270〜285℃、好ましくは275〜280℃と通常よりも低い温度とし、熱履歴を小さくする方法が好ましい。TPA法において、オリゴマーのAVを小さくするためには、エステル化工程での温度・時間積を大きくする方法が有効である。さらに、固層重合を併用することは、末端カルボキシル基濃度(AV)及び総末端基濃度(AV+OHV)を小さくすることができるので好適である。
【0031】
また、本発明の離型フィルムの離型層に、セラミック層を積層したセラミックシート付き離型フィルムにおいて、セラミック層を剥離しセラミックシートを製造した後、キャリアフィルムとしての機能を終えた離型フィルムは廃棄される。すなわち、セラミックシート製造後には離型フィルムは不要なものとなる。しかしながら、従来から離型フィルムの支持体として使用されてきた、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムなどは生分解性の機能が無く、焼却処分せざるを得ない。
【0032】
したがって、本発明の薄層セラミックシート製造用離型フィルムの基材として、自然界で分解する生分解性を有し、燃焼時にも熱量が少なく焼却炉を痛めないなど環境負荷が少なく、かつ透明性、機械的強度に優れた、生分解性プラスチックフィルムを使用することもできる。前記生分解性プラスチックフィルムとしては、例えば、主たる繰り返し単位が、一般式、−O−CHR−CO−(Rは水素または炭素数1〜3のアルキル基)で示される単位からなる脂肪族ポリエステルフィルムなどが挙げられる。
【0033】
前記繰り返し単位を有する脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(2−オキシ酪酸)などを挙げることができるが、これらの一種または二種以上が選択して用いられる。二種以上を用いる場合は、混合物、共重合体でもよい。また、ポリマー中に不斉炭素を有するものでは、L−体、DL−体、D−体といった光学異性体が存在するが、これらのいずれでもよく、また、二種以上の異性体が混在したものであってもよい。前記脂肪族ポリエステルは、対応するα−オキシ酸の脱水環状エステル化合物を用い、開環重合などの公知の方法で製造することができる。これらの脂肪族ポリエステルの中でも、ポリ乳酸が好適であり、特に耐熱性を改善したポリ乳酸が好ましい。
【0034】
本発明の離型フィルムの基材となるポリエステルフィルムは、滑り性、ブロッキング性、巻き上げ性などのハンドリング性のみならず、剥離帯電の点からもフィルム表面に凹凸を形成させることが好ましい。本発明の離型フィルムは、前記特性を維持しながら、薄層のセラミックシートを離型層に設ける際のピンホールの発生を低減させる点から、セラミックシートの厚さに応じて、フィルム表面の平均表面粗さRaを0.005〜0.025μmの範囲で、所望するセラミックシートの厚さが薄い場合はRaを低くするなど調整することが好ましい。なお、Raは、JIS B0601に準じ、東京精密(株)製表面粗さ計(サーフコム300B)で、カットオフ0.08mm、チャートスピード6mm/秒、試長0.8mm、拡大倍率5万倍、使用針NO.1の条件で測定する。
【0035】
前記平均表面粗さに制御するためには、粒子を含有させて、フィルム表面に凹凸を形成させる方法を用いることが好ましい。基材フィルムに粒子を含有させてもよいし、積層構成とし、表面層にのみ粒子を含有させてもかまわない。
【0036】
粒子の種類としては特に限定されない。例えば、非晶性合成シリカ、コロイダルシリカ、ガラスフィラー、炭酸カルシウム、シリカ−アルミナ複合酸化物、などの無機粒子が好適である。
【0037】
ポリエステルフィルムに前記粒子を含有させる方法としては、例えば、ポリエステルを製造する際の、エステル化反応前の時点、もしくはエステル化反応終了後から重縮合反応開始前の時点、でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を行う、いわゆる重合時添加法が挙げられる。また、ベント付き混練押出機を用いエチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などでもよい。
【0038】
これらの中でも、重合時添加法が好ましい。すなわち、ポリエステル原料の一部となるグリコール中で凝集体無機粒子を均質分散させた後、ビーズミルによる解砕処理、遠心分離処理、濾過処理したものを、重合反応系に添加する方法である。粒子径が小さくなると、単位質量当たりの粒子の全表面積は増加するため、熱により凝集が加速される。そのため、エステル化反応前の低温状態にある原料に粒子を添加することが好ましい。この方法は、シリカのような酸化物粒子に好適である。しかしながら、炭酸カルシウムの場合には酸価の高い時点で添加するとジカルボン酸のカルシウム塩が生成し好ましくない。
【0039】
また、予め粒子を均一に分散させ、かつ高濃度で含有するポリエステルペレットを、粒子を含有しないペレットにブレンドして混練押出しする方法(マスターバッチ法)により、さらにポリエステル中での滑剤凝集物を低減することができ、基材フィルム表面の粗大突起数も少なくすることができるため好適である。
【0040】
前記粒子は、平均粒子径が0.1〜1.0μmであることが好ましく、0.4〜0.8μmであることが特に好ましい。粒子の含有量は、前記の好適な平均表面粗さの範囲となるように、100〜10000ppmの範囲で適宜調整すればよい。
【0041】
また、前記基材ポリエステルフィルムには、他の機能性を付与するために、本発明における効果を阻害しない範囲で、各種の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、UV吸収剤、安定剤等が挙げられる。
【0042】
本発明で基材フィルムとして用いるポリエステルフィルムの製造法は、表面改質処理を除き、従来一般に用いられている方法を用いることができる。例えば、基材フィルムの構成成分であるポリエステル樹脂を押出機にて溶融して、シート状に押出し、回転冷却ドラムにて冷却することにより未延伸フィルムを得、次いで前記未延伸フィルムを一軸または二軸延伸することにより得ることができる。一軸延伸フィルムは、未延伸フィルムを縦方向あるいは横方向に一軸延伸することにより得ることができる。また、二軸延伸フィルムは、前記一軸延伸フィルムをその延伸方向とは直交方向にさらに延伸する逐次二軸延伸する方法、あるいは未延伸シートを縦方向と横方向に同時に延伸する同時二軸延伸方法を用いることができる。二軸延伸後、熱寸法安定性を向上させるために、熱固定処理、横方向及び/または縦方向に弛緩処理を行うことが好ましい。
【0043】
本発明に使用されるポリエステルフィルムは、機械的強度、耐薬品性、耐熱性などの点から、二軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。
【0044】
なお、本発明において、ポリエステルフィルムの延伸条件は特に限定されないが、延伸時の延伸温度はポリエステル樹脂の二次転移温度(Tg)以上、昇温結晶化温度未満とすることが好ましい。さらに、延伸倍率は、縦方向と横方向の各々の方向に1.1〜8倍とすることが好ましく、より好ましくは2〜6倍、特に好ましくは2.5〜5倍である。
【0045】
本発明に使用されるポリエステルフィルムは、単層であっても、それぞれ同種あるいは異種のポリエステル樹脂からなる2層以上の複層構成であってもよい。
【0046】
本発明のセラミックシート製造用離型フィルムの製造方法について、単層の二軸配向ポリエチレンテレフタレートを用いた場合を例にして以下に説明する。
サイロからフィルム原料(PETのペレット)を押出機の上部にあるホッパーに移送する際に、通常、所定の配管を用いて空送で行うが、この際の空気には埃などが混入している。このような空気中の埃は、空送時にペレットの表面に付着し、異物混入の原因になる。したがって、ペレットの空送時には、空気からの埃の混入を防止するために、HEPAフィルターにより清浄化された空気を用いることが好ましい。HEPAフィルターは、公称濾過精度0.5μm以上の埃を95%以上カットできる性能を有するフィルターを用いることのが好ましい。
【0047】
フィルム原料(PETのペレット)を十分に乾燥させてペレット中の水分量を減少させた後、フィルム原料を貯蔵しているホッパーから、押出機に供給し、Tダイのスリット部からシートを共押出し、キャスティングロール上で静電気を印加しながら冷却固化せしめて未延伸シートを作る。
【0048】
押出機直前の原料ペレットの水分率は200ppm以下に制御することが、総末端基濃度(AV+OHV)や末端カルボキシル基濃度(AV)を小さくできる点で重要である。原料ペレットの水分率が200ppmを超えると、ポリエステルの溶融押出時に加水分解によりエステル結合部分でポリエステル分子鎖が切断する頻度が増加し、末端カルボキシル基濃度(AV)や末端水酸基濃度(OHV)が大きくなり、その結果、剥離帯電が大きくなる場合があるので好ましくない。また、押出機直前の原料は減圧状態、または窒素雰囲気等、不活性ガス雰囲気状態から押出機に供給することが、末端カルボキシル基濃度(AV)や総末端基濃度の増加を抑制できる点で有効である。
【0049】
前記の溶融押出しの際に、溶融PET樹脂を280〜290℃に保たれた任意のメルトラインで、樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行うことが好ましい。また、押出工程全般で、熱劣化を防止する点から、295℃以上に樹脂温度を上げないことが好ましい。溶融PET樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は、特に限定はされないが、ステンレス焼結体の濾材の場合、異物の除去性能に優れ好適である。
【0050】
さらに、濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は、20μm以下が好ましく、特に好ましくは15μm以下である。濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が20μmを超えると、20μm以上の大きさの異物が十分除去できない。濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が20μm以下の濾材を使用して溶融樹脂の高精度濾過を行うことにより、生産性が低下する場合があるが、薄層セラミックシートのピンホールの原因となる粗大突起を形成させる粗大粒子を低減させる点で重要な工程である。
【0051】
前記で得られた未延伸PETシートを80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍延伸して一軸配向PETフィルムを得る。さらに、フィルムの端部をクリップで把持して80〜180℃に加熱された熱風ゾーンに導き、予熱した後、幅方向に2.5〜5.0倍に延伸する。引き続き、160〜240℃の熱処理ゾーンに導き、1〜60秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。この熱処理工程中で、必要に応じて、幅方向あるいは長手方向に1〜12%の弛緩処理を施してもよい。
【0052】
前記の各製膜工程は、クラス5000以下、特に溶融押し出し工程においてはクラス1000以下に制御し、クリーンな雰囲気でフィルムを製造することが好ましい。
【0053】
本発明の離型フィルムに用いる基材フィルムの厚みは、好ましくは12〜100μm、より好ましくは25〜50μmである。厚みが12μm未満では、剛性が不十分となり、セラミックシートを製造する際のキャリアフィルムとしての機能が低下する場合がある。一方、厚みが100μmを超えると、作業性が劣るほかに、セラミックシートを剥離した後の離型フィルムは廃棄されるため、厚みが厚くなった分コスト高となる。
【0054】
(離型層)
本発明の離型フィルムにおける離型層は、硬化型シリコーン樹脂から主として構成される(以後、シリコーン離型層と略す場合がある)。硬化型シリコーン樹脂は離型層に対し90質量%以上であることが好ましく、特に好ましくは95質量%以上である。その他の成分としては、触媒や未反応物などが含まれる。
【0055】
本発明においては、剥離帯電の改良は、基材フィルムからのアプローチだけでなく、シリコーン離型層からのアプローチも重要である。
なぜなら、シリコーン離型層中に残留するSi−H基やSi−CH=CH2基は、ポリエステル基材フィルム表面のポリエステルの末端基と相互作用をおこし、シリコーン離型層表面の官能基の濃度や配列などが変わり、帯電を帯びやすい構造となるためである。そのため、ポリエステル基材フィルムにおけるポリエステルの総末端基濃度が120eq/tonを超える、または末端カルボキシル基濃度が40eq/tonを超える場合、該基材フィルム上に離型層を設け、離型フィルムからセラミックシートを剥離する時に剥離帯電は大きくなる。
【0056】
本発明の離型フィルムにおいて、シリコーン離型層を構成するシリコーン樹脂としては、ジメチルポリシロキサンを中心に末端及び側鎖の一部又は全部に例えばビニル基、水酸基、フェニル基などを有し、白金、酸化スズなどの触媒を用いて硬化反応させるシリコーン樹脂が好ましく用いられる。
【0057】
前記のシリコーン樹脂を用いる理由は、剥離力の制御範囲を広くとれる点、及び安定した剥離性能が得られる点からである。但し、未反応のSi−H基やCH=CH2基が残存すると、ポリエステルフィルム表面に存在するポリエステルの末端基と相互作用を起こし、離型フィルムの離型層とセラミックシートとの剥離の際に、剥離帯電に大きな影響を与える。したがって、シリコーン樹脂の硬化反応直後にSi−H基や、Si−CH=CH2基が残存しない反応機構を用いる方法、例えば、UVカチオン硬化型シリコーンなどを用いる方法も好適である。
【0058】
離型フィルムの製造において、前記でも述べたように、シリコーン樹脂の硬化反応直後にシリコーン樹脂に残留するSi−H量及びSi−CH=CH2量は、セラミックシートの剥離帯電に大きく影響する。これは、シリコーン樹脂の硬化反応直後に残留するSi−H量及びSi−CH=CH2量が多いと、残留Si−CH=CH2基のマイナス電荷と残留Si−H基のプラス電荷が離型層内で整列し、エレクトレット化現象が発生する、あるいはシリコーン離型層表面に帯電の帯びやすい残留Si−H基や残留Si−CH=CH2基が多く存在する、ためと推定される。
【0059】
しかしながら、シリコーン離型層中にSi−C6H5基が存在すると、離型フィルムの離型層とセラミックシートとを剥離する際の剥離帯電は小さくなる傾向がある。これは、フェニル基の立体障害により離型層内で官能基のプラス電荷とマイナス電荷の配列が乱されたり、シリコーン離型層表面に残留Si−H基や、残留Si−CH=CH2基が現れるのを抑えやすくなったりするためと推定される。
【0060】
シリコーン樹脂の硬化反応直後において、シリコーン樹脂に残留するSi−H基及びSi−CH=CH2基の量が多い(特に、残留Si−H基が多い)と、セラミックシートを剥離した際の剥離帯電が大きくなる。その結果、帯電したセラミックシートの取り扱い性は、著しく悪化し、次工程で不具合が発生する。
【0061】
一般的には、シリコーン離型層に残留するSi−H基及びSi−CH=CH2基の量は、ポストキュア−(エージング)処理を行うことにより、減少できることが知られている。しかしながら、ポストキュア−処理時の温度や時間によって、前記残留官能基の減少量が異なるため、セラミックシート層を設ける前に、シリコーン離型層に残留するSi−H基及びSi−CH=CH2基の量を厳しく管理しなければならず、品質管理上大変労力がかかる。
【0062】
シリコーン樹脂の硬化反応直後の、シリコーン樹脂に残留するSi−H基及びSi−CH=CH2基の量を制御することにより、ポストキュア−(エージング)処理工程(例えば、40℃で一定時間のポストキュア−(エージング)処理を行う)を省くことができる。すなわち、シリコーン樹脂の硬化直後にシリコーン樹脂層(離型)に残留するSi−H基及びSi−CH=CH2基の量を前記式(3)で示した特定の範囲となるように制御することにより、例えば、湿度が低く、静電気障害が起こりやすい冬場に、倉庫等に本願発明の離型フィルムを保管したとしても、剥離帯電については心配しなくても良いということである。
【0063】
シリコーン樹脂の硬化直後にシリコーン樹脂層(離型)に残留するSi−H基及びSi−CH=CH2基の量を前記式(3)で示した特定の範囲となるように制御するためには、キュア−温度、時間、ウエット塗布量の最適化はもちろんのこと、本発明の離型フィルムにおけるシリコーン離型層を形成するために使用する塗布液中のシリコーン樹脂の各官能基濃度を、Si−CH3基濃度を100と基準化したときに、Si−H基濃度とSi−CH=CH2基濃度との差を1.0未満とすることが好ましい。
【0064】
この差が1.0以上であるシリコーン樹脂を含む塗布液をポリエステル基材フィルムに塗布、乾燥し、次いで硬化反応させた直後の離型フィルムにセミックシートを設けた場合、離型フィルムの離型層とセラミックシートを剥離する際に、セラミックシートの剥離帯電が大きくなる傾向にある。さらに、Si−H基濃度/Si−CH=CH2基濃度との比が、1.2〜3.5の範囲となるような組成のシリコーン樹脂を用いることが好ましい。また、上記範囲内で、シリコーン樹脂の架橋密度を調整し、所望する剥離力を調整すればよい。
【0065】
本発明において、離型層の厚みは、その使用目的に応じて設定すればよく、特に限定されないが、好ましくは、硬化後の離型層の塗布量が0.02〜0.15g/m2となる範囲が良い。フィルムの表面突起にもよるが、離型層の厚みが上記範囲より小さいと剥離性能が低下しやすくなる。また、上記範囲より大きければ、ポリエステルの密着性に必要な、硬化時間が大きくなり、生産上不都合となりやすい。さらに、シリコーン樹脂の硬化直後にシリコーン樹脂に残留するSi−H基又は残留Si−CH=CH2基が多くなり、セラミックシートの剥離帯電が大きくなる場合がある。
【0066】
本発明の離型層の形成方法は、特に限定されず、例えば硬化型シリコーン樹脂を溶媒に溶解あるいは分散させた塗布液を、基材のポリエステルフィルムの表面に塗布し、溶媒を乾燥除去した後加熱し、樹脂を硬化反応させる方法が好適である。樹脂の熱硬化および溶媒の乾燥除去の条件は、使用する樹脂の種類、離型層の厚み、離型フィルムのサイズに応じて、Si−CH=CH2基とSi−H基が速やかに反応するように、適時選択すれば良い。
【0067】
上記塗布液の塗布方法としては、例えばグラビアコート法やリバースコート法などのロールコート法、マイヤーバーなどのバーコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法などの公知の塗布方法を用いることができる。
【0068】
また、本発明の薄層セラミックシート製造用離型フィルムを製造する際に、
離型層形成に用いる塗布液として、(i)塗布液貯蔵タンクから送液ポンプにより、コーターへ塗布液を供給する工程、(ii)コーターからフィルムに塗布液を転移させる工程、(iii)余った塗布液を、送液ポンプを用いずに塗布液貯蔵タンク内に戻す工程、からなる塗布液循環システムを用い、前記(iii)の工程において、塗布液貯蔵タンクの上部供給口に設けた200〜400メッシュの金網を通過させて、余った塗布液を塗布液貯蔵タンク内に戻して得た、塗布液を用いることが下記の理由で好ましい。
【0069】
上記塗布液を塗布するための塗布液循環装置において、コーターからフィルムに塗布液を転移させる際に余った塗布液をコーターパンで受け、コーターパンから貯蔵タンクへ塗布液を自然落下させる箇所に300メッシュ以上の金網を設けることが特に好ましい。フィルターメッシュの上限は生産性の点から400メッシュとすることが好ましい。
【0070】
この操作によって、塗布液中の未溶解のシリコーン樹脂を除去することができる。この理由は、圧力がかかる配管中にフィルターを取り付け、硬い異物や析出物などを除去する方法が一般的に用いられているが、塗布液中の未溶解シリコーン樹脂は柔らかく、自由に変形してフィルターの孔を通過するため、前記の一般的な方法では未溶解のシリコーン樹脂を除去することは困難なためである。
すなわち、未溶解のシリコーン樹脂のような柔らかい不溶物は、せん断を加えない状態で、目開きの比較的広い金網で除去することが肝要なのである。
【0071】
なお、前記に記載した未溶解シリコーン樹脂とは、シリコーン樹脂を含む塗布液調合時の未溶解物や、調合タンクに付着している乾燥したシリコーン樹脂やコータ−パン等に付着している半乾燥シリコーン等を意味する。
【0072】
ポリエステル基材フィルムに、未溶解シリコーン樹脂を含む塗布液を塗布すると、乾燥過程で未溶解シリコーン樹脂を中心に塗布面に「ハジキ」が生じる。塗布面にハジキが発生すると、セラミックシートを剥離する際にセラミックシートが剥れ難く、破れなどの不具合が発生しやすくなる。
【0073】
前記塗布液を自然落下させるときのコータ−パンから金網への距離は、15cm以下とすることが好ましい。15cmより距離が離れると、未溶解シリコーン樹脂は、金網を通過しやすくなり、コート面にはじきが発生しやすくなる。
【0074】
【実施例】
以下に実施例を用いてさらに詳細に本発明の説明をするが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、本発明で使用する特性及び物性は、下記の方法により評価した。
【0075】
【0076】
(1)ポリエステルの極限粘度
フェノール60質量%と1,1,2,2−テトラクロロエタン40質量%の混合溶媒に、加熱攪拌下、ポリエステルチップ(またはポリエステルフィルム)を溶解した。溶液を冷却後、30℃に維持した恒温槽中で、ウベローデ粘度管を用いて30℃で測定した。
【0077】
(2)ポリエステルの水分率
カールフィッシャ水分計(京都電子工業社製、MKC−210)を用いて測定した。
【0078】
(3)酸末端基濃度(AV)
ポリエステルフィルム320mgを重クロロホルム(CDCl3)/トリフロロ酢酸(=85/15;質量比)混合溶媒2.6mlに溶解し、C−NMR(BBO−10mmプローブ)で測定した。
【0079】
(4)OH末端基濃度(OHV)
ポリエステルフィルム15mgを、0.1mlのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)−d2に完全に溶解した後、重クロロホルム0.6mlで希釈た。さらに、HFIPのOHピークをシフトさせるため、ピリジン−d5を30ul添加し、H−NMR(BBO−5mmプローブ)で測定した。
【0080】
(5)離型層のSi−H基指数とSi−CH=CH2基指数
離型フィルムのシリコーン離型層を削り取り、ラマンスペクトルを顕微ラマンシステム(JEOL社製、JRS-SYSTEM 1000)を用いて測定した。なお、前記顕微ラマンシステムによるラマンスペクトルの測定は、レーザーはHe-Neレーザー(波長632.8nm、出力25mW)を用い、Extendedモード、Binning=1で、分解能が標準シリコンウエハーの520nmのピーク半値幅が6.0cm-1以下となる条件で行った。また、測定試料にベースフィルムが混入している場合には、同条件で測定したベースフィルムとの差スペクトルを用いた。
【0081】
得られたラマンスペクトルから、離型層のSi−H基指数(Rh)とSi−CH=CH2基指数(Rv)を、以下の式で定義した。
Rh=Ih/Im
Rv=(Iv−0.765×Iph)/Im−Iph/Im
但し、前記式において、Ih、Iv、Im、Iphは、それぞれラマンスペクトル測定における、2170cm−1付近のSi−H基由来のピーク高さ、1598cm−1付近のSi−CH=CH2基由来のピーク高さ、1410cm−1付近のSi−CH3基由来のピーク高さ、1570cm−1付近のSi−C6H5基由来のピーク高さを示す。また、ピーク高さは、各ピークの両側の谷もしくはすそのを結んだベースラインからの高さとした。
【0082】
(6)離型層のハジキ個数
ポリエステル基材フィルムに、シリコーン樹脂を含む離型層形成用塗布液を塗布し、塗布から60分経過した後、塗布フィルムを1m×5mの大きさにサンプリングした。黒布で被覆した平面台に塗布フィルムを置き、蛍光灯下で塗布面を照らし、5m2当たりの塗布面に存在するハジキの個数を目視でカウントした。
【0083】
(7)セラミックシートの剥離帯電性評価
離型フィルムの離型層面にセラミックシートを塗設したセラミックシート付き離型フィルムを幅3cm、長さ10cmにカットし、セラミックシート面にポリエステル粘着テープ(日東電工社製、ニットー31B)を貼り、ピール法(剥離速度:500mm/分、T型剥離)によりセラミックシートを離型フィルムから剥離して、剥離後のセラミックシート側の帯電圧を測定し、下記の基準により評価した。○が合格レベルである。
○:帯電圧の絶対値:≦2kV
×:帯電圧の絶対値:2kVを超え、3kV以下
××:帯電圧の絶対値:3kVを超える
【0084】
(8)セラミックシートの剥離性
離型フィルムの離型層面にセラミックシートを塗設したセラミックシート付き離型フィルムを5cm巾にカットし、セラミックシート面にポリエステル粘着テープ(日東電工社製、ニットー31B)を貼り、ピール法(剥離速度:500mm/分、T型剥離)によりセラミックシートを離型フィルムから剥離して、剥離後のセラミックシートの全面を目視観察した際のセラミックシートの欠点を下記基準により評価した。なお、試験は5回行い、○であれば合格とした。
○:ピンホールや破れなどの破損が5回の試験で全くなかった場合
×:5回の試験で1回でもセラミックシートの一部に破損があった場合
××:5回の試験で1回でもセラミックシートが完全に破れ破損があった場合
【0085】
実施例1
(炭酸カルシウム粒子含有PETのマスターペレット(a)の製造)
電子顕微鏡(個数基準)で測定した平均粒子径が0.6μmのカルサイト型合成炭酸カルシウム粒子(丸尾カルシウム社製)をエチレングリコール中に混合分散し、さらに95%カット径が30μmのビスコースレーヨン製フィルターで濾過処理を行い、炭酸カルシウム粒子の10質量%のエチレングリコールスラリーを得た。
【0086】
次に、炭酸カルシウム粒子を高濃度で含有するPETからなるマスターペレット(a)を以下の方法で得た。
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコールを64.4質量部からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.03質量部及び酢酸マグネシウム四水塩を0.088質量部、トリエチルアミンを0.16質量部添加した。次いで、加圧昇温を行いゲージ圧3.5kgf/cm2(0.34MPa)、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。
【0087】
その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、リン酸トリメチル0.040質量部を添加した。さらに、260℃に昇温し、リン酸トリメチルを添加した15分後に、前記炭酸カルシウム粒子のエチレングリコールスラリーを、生成PETに対し、20000ppmとなるよう添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃の減圧下で重縮合反応を行った。
【0088】
重縮合反応終了後、95%カット径が28μmのナスロンフィルター(日本精線(株)製)で濾過処理を行い、ダイスのノズルから溶融したPETを水中にストランド状に押出し、急冷固化した。次いで、ストランドをカットすることにより、極限粘度が0.62dl/gであり、炭酸カルシウム粒子を20000ppm含有するPETからなるマスターペレット(a)を得た。
【0089】
(ペレット(b)の製造)
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口および生成物取り出し口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を使用し、TPAを2ton/hrとし、EGをTPA1モルに対して2モルとし、三酸化アンチモンを生成PETに対してSb原子が160ppmとなる量とし、これらのスラリーをエステル化反応装置の第1エステル化反応缶に連続供給し、常圧下、255℃で平均滞留時間が4時間となるように反応を行った。
【0090】
次に、前記の第1エステル化反応缶内の反応性生物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応缶に移送し、第2エステル化反応缶内に第1エステル化反応缶から留去されるEGを生成PETに対し8質量%供給した。さらに、生成PETに対してMg原子が65ppmとなる量の酢酸マグネシウム四水塩を含むEG溶液と、生成PETに対してP原子が20ppmのとなる量のリン酸トリメチルを含むEG溶液を添加し、常圧下、260℃で平均滞留時間が1.5時間となるように反応を行った。
【0091】
次に、前記の第2エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第3エステル化反応缶に供給し、さらに生成PETに対してP原子が20ppmのとなる量のリン酸トリメチルを含むEG溶液を添加し、常圧下、260℃で平均滞留時間が0.5時間となるように反応を行った。
【0092】
前記の第3エステル化反応缶内で生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行った。さらに、ステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:5μm以上の粒子を90%カット)で濾過処理を行い、ダイスのノズルから溶融したPETを水中にストランド状に押出し、急冷固化した。次いで、ストランドをカットすることにより、極限粘度0.620dl/gで、粒子を実質上含有していないPETからなるペレット(b)を得た。
【0093】
(基材フィルムの作製)
前記のマスターペレット(a)5質量%と、粒子を実質上含有していないPETからなるペレット(b)95質量%とを混合し、4hPaの減圧下、180℃で8時間乾燥させた。次いで、混合ペレットをホッパーから押出機に供給し、285℃で溶融した。なお、押出機直前の混合ペレットは15kPaの減圧状態とし、抜き出された混合ペレットの水分率は50ppmであった。
【0094】
前記混合ペレットを押出機で溶融させ、ステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm以上の粒子を90%カット)で濾過した。次いで、Tダイのスリット部からシート状にして押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃の回転冷却金属ロール(チルロール)に巻きつけて冷却固化させ、未延伸PETシートを得た。
【0095】
この未延伸PETシートを、加熱されたロール群とIRヒーターで100℃に加熱し長手方向に3.5倍に延伸し、次いで、この一軸延伸フィルムの端部をクリップで把持して130℃で加熱された熱風ゾーンに導き、幅方向に4.0倍延伸した。さらに、210℃にて5秒間熱処理して、厚み31μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。なお、前記製膜工程において、キャスティング工程はクラス1000以下、延伸工程はクラス5000以下のクリーンな環境下で行った。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、総末端基濃度(AV+OHV)が104eq/ton、末端カルボキシル基濃度が32eq/tonであった。
【0096】
(離型層の塗布)
熱硬化型シリコーン樹脂A(組成比:Si-CH3基/Si-CH=CH2基/Si-H基/Si-C6H5基=100/0.3/0.6/0;信越シリコーン(株)製、KS847T)を、固形分濃度が1質量%となるように、溶剤(トルエン/MEK=50/50;質量比)に混合分散させ、さらに、前記シリコーン樹脂A100質量部に対し、硬化触媒として白金触媒1質量部を添加して、離型層用塗布液を調製した。
【0097】
次いで、前記の二軸延伸ポリエステルフィルムに、塗布液循環装置を用いて得た前記塗布液をワイヤーバーにて、乾燥後の離型層の塗布量が0.10g/m2となるように塗布した。さらに、140℃で30秒間加熱して乾燥、熱硬化させ、離型フィルムを得た。なお、塗布液循環の際には、塗布液貯蔵タンクの上部供給口に300メッシュの金網を設けた漏斗から、塗布液を貯蔵タンクに自然落下させた。また、コーターパンから貯蔵タンクへの距離は10cmとした。
【0098】
(セラミックシート付き離型フィルムの作製)
溶剤(トルエン/エタノール=50/50:質量比)中にセラミック粒子(平均一次粒子径が0.6μmのチタン酸バリウム(BaTiO3)、富士チタン社製)100質量部を混合し、分散メディアである粒径1.5mmのジルコニアビーズ(充填量:スラリーに対し200質量%)とともにボールミルで24時間分散した。次いで、バインダー(ポリビニルブチラール、BMS、積水化学工業株式会社製)10質量部、及び可塑剤(フタル酸ジオクチル)をセラミック粉末とバインダーの総量に対し2質量%混合し、ボールミルで24時間分散し、さらにフィルター(孔径3μm)で濾過処理を行い、ペースト状のセラミックスラリーを得た。このセラミックスラリーを乾燥後の厚みが5μmになるようにドクターブレードを用いて、離型フィルムの離型層面に塗布し、120℃で1分間乾燥してセラミックシート層(セラミック粒子/バインダーの質量比:100/10)を設け、セラミックシート付き離型フィルムを得た。
【0099】
実施例2
実施例1の「離型層の塗布」の工程において、熱硬化型シリコーン樹脂Aの代わりに熱硬化型シリコーン樹脂B(組成比:Si-CH3基/Si-CH=CH2基/Si-H基/Si-C6H5基=100/1.0/1.9/0;東芝シリコーン(株)製、TPR6710)を用い、乾燥後の離型層の塗布量が0.06g/m2となるように塗布すること以外は、実施例1と同様の方法で離型フィルム及びセラミックシート付き離型フィルムを得た。
【0100】
実施例3
実施例1の「基材フィルムの作製」の工程において、基材フィルムの原料となるポリエチレンテレフタレートのペレットを、減圧乾燥下(4hPa)、180℃で6時間乾燥させたこと以外は、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。なお、押出機直前の混合ペレットの水分率は110ppmであった。また、得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、総末端基濃度(AV+OHV)が107eq/ton、末端カルボキシル基濃度が33eq/tonであった。
【0101】
また、紫外線硬化型シリコーン樹脂C(組成比:Si-CH3基/Si-CH=CH2基/Si-H基/Si-C6H5基=100/0/0/0;東芝シリコーン(株)製、UV9315)を、固形分濃度が1質量%となるように、溶剤(トルエン/MEK=50/50;質量比)に混合分散させ、さらに、前記シリコーン樹脂C100質量部に対し、硬化触媒としてビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート1質量部を添加して、離型層形成用塗布液を調製した。
【0102】
次いで、実施例1と同様の塗布方法により、上記の二軸延伸ポリエステルフィルムに乾燥後の離型層の塗布量が0.10g/m2となるように塗布した。さらに、90℃で30秒間加熱した後、紫外線照射装置で300mJ/cm2の紫外線を塗布面に照射して紫外線硬化を行い、離型フィルムを得た。また、実施例1と同様にして、セラミックシート付き離型フィルムを得た。
【0103】
実施例4
実施例1において、熱硬化型シリコーン樹脂Aの代わりに、熱硬化型シリコーン樹脂D(組成比:Si-CH3基/Si-CH=CH2基/Si-H基/Si-C6H5基=100/0.6/1.2/0.3;信越シリコーン(株)製、KS774)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、離型フィルム及びセラミックシート付き離型フィルムを得た。
【0104】
実施例5
実施例1の「基材フィルムの作製」の工程において、基材フィルムの原料となるポリエチレンテレフタレートのペレットを、4hPaの減圧下、180℃で5時間乾燥させ、押出機直前の混合ペレットを減圧下とする代わりに窒素ガス雰囲気下とすること以外は、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。前記押出機直前の混合ペレットの水分率は180ppmであった。また、得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、総末端基濃度(AV+OHV)が116eq/ton、末端カルボキシル基濃度が36eq/tonであった。この二軸延伸ポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様の方法で離型フィルム及びセラミックシート付き離型フィルムを得た。
【0105】
比較例1
実施例1の「基材フィルムの作製」の工程において、基材フィルムの原料となるポリエチレンテレフタレートのペレットを、4hPaの減圧下、180℃で2時間乾燥させ、押出機直前の混合ペレットを減圧下とせず、常圧下で行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。前記押出機直前の混合ペレットの水分率は280ppmであった。また、得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、総末端基濃度(AV+OHV)が122eq/ton、末端カルボキシル基濃度が38eq/tonであった。この二軸延伸ポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様の方法で離型フィルム及びセラミックシート付き離型フィルムを得た。
【0106】
比較例2
実施例2において、実施例1で用いた二軸延伸ポリエステルフィルムを用いる代わりに、比較例1の二軸延伸ポリエステルフィルムを用いたこと以外は実施例2と同様にして、離型フィルム及びセラミックシート付き離型フィルムを得た。
【0107】
比較例3
実施例2において、実施例2で用いた熱硬化型シリコーン樹脂Bの代わりに熱硬化型シリコーン樹脂E(組成比:Si-CH3基/Si-CH=CH2基/Si-H基/Si-C6H5基=100/1.0/3.5/0;東芝シリコーン(株)製、XS56-A3969)を使用したこと以外は実施例2と同様にして、離型フィルム及びセラミックシート付き離型フィルムを得た。
【0108】
比較例4
比較例3において、実施例1で用いた二軸延伸ポリエステルフィルムの代わりに、コロナ放電処理を行った二軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製、E5101、厚み38μm)のコロナ処理面側に、熱硬化型シリコーン樹脂Eを含む塗布液を塗布した以外は、比較例3と同様にして、離型フィルム及びセラミックシート付き離型フィルムを得た。
【0109】
比較例5
実施例2において、離型層形成用塗布液を塗布した後の加熱条件を140℃で10秒に変更すること以外は、実施例2と同様にして、離型フィルム及びセラミックシート付き離型フィルムを得た。
【0110】
比較例6
(ペレット(c)の製造)
エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコールを64.4質量部からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.03質量部及び酢酸マグネシウム四水塩を0.088質量部、トリエチルアミンを0.16質量部添加した。次いで、加圧昇温を行いゲージ圧3.5kgf/cm2(0.34MPa)、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。
【0111】
その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、さらに、260℃に昇温し、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、290℃の減圧下で重縮合反応を行った。
【0112】
重縮合反応終了後、95%カット径が28μmのナスロンフィルター(日本精線(株)製)で濾過処理を行い、ダイスのノズルから溶融したPETを水中にストランド状に押出し、急冷固化した。次いで、ストランドをカットすることにより、極限粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレートのペレット(c)を得た。
【0113】
実施例1で用いたマスターペレット(a)5質量%と、ペレット(c)95質量%とを混合し、4hPaの減圧下180℃で8時間乾燥した後、混合ペレットをホッパーから押出機に供給し、290℃で溶融した。次いで、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。なお、押出機直前の混合ペレットの水分率は50ppmであった。得られた二軸延伸ポリエステルフィルムは、総末端基濃度(AV+OHV)が111eq/ton、末端カルボキシル基濃度が49eq/tonであった。この二軸延伸ポリエステルフィルムを基材フィルムとすること以外は、実施例1と同様にして、離型フィルム及びセラミックシート付き離型フィルムを得た。
【0114】
各実施例及び比較例で得られたフィルムの評価結果を表1に示す。表1より、実施例1〜5で得られた離型フィルムは、セラミックシートとの剥離性は良好で、剥離帯電も小さかった。それに対し、比較例1〜6で得られた離型フィルムは、セラミックシートとの剥離性は良好であったが、剥離帯電は高く、特に比較例4及び6で得られた離型フィルムは剥離帯電が極めて高かった。
【0115】
【表1】
【0116】
【発明の効果】
本発明の離型フィルムは、剥離時の剥離力が小さく、薄層セラミックシートの製造時の剥離工程において、剥離不良がなく適度な力でセラミックシートから離型フィルムを剥離除去することが可能である。さらに、セラミックシートと離型フィルムとの剥離帯電が小さいので、いったんセラミックシートを剥がした後再付着するトラブル、または、剥離したセラミックシートを重ねた際の付きぞろえ性不良によるトラブル、ゴミ付着等によるトラブルが発生しない。
【0117】
したがって、本発明の離型フィルムを用いてセラミックシート付き離型フィルムを作製し、さらにセラミックシートと離型フィルムを剥離する方法を用いて、薄層セラミックシートを製造する際に、顕著な剥離帯電防止効果を有する。そのため、本発明の離型フィルムは、厚さが1μm以上10μm未満の薄層セラミックシートの製造、特に、厚みが1μm以上5μm以下の特に厚みの薄い薄層セラミックシートの製造する際に極めて好適である。
Claims (5)
- ポリエステルフィルムの片面に、主として硬化型シリコーン樹脂からなる離型層を設けてなる薄層セラミックシート製造用離型フィルムであって、前記ポリエステルフィルムは末端カルボキシル基濃度(AV:eq/ton)と末端水酸基濃度(OHV:eq/ton)が下記式(1)及び(2)を満足し、かつ前記離型層は前記硬化型シリコーン樹脂の硬化反応後の残留Si−H基指数(Rh)及び残留Si−CH=CH2基指数(Rv)が下記式(3)及び(4)を満足することを特徴とする薄層セラミックシート製造用離型フィルム。
AV≦40 ・・・(1)
AV+OHV≦120 ・・・(2)
Rh(=Ih/Im)≦0.01 ・・・(3)
Rv(=((Iv−0.765×Iph)/Im)−(Iph/Im))≦0.08 ・・・(4)
但し、上記式(3)及び(4)において、Ih、Iv、Im、Iphは、それぞれラマンスペクトル測定における、2170cm−1付近のSi−H基由来のピーク高さ、1598cm−1付近のSi−CH=CH2 基由来のピーク高さ、1410cm−1付近のSi−CH3 基由来のピーク高さ、1570cm−1付近のSi−C6H5 基由来のピーク高さを示す。 - 前記ポリエステルフィルム中に非晶性合成シリカ、コロイダルシリカ
、炭酸カルシウム、またはシリカーアルミナ複合酸化物から選択される無機粒子を 100 〜 10000ppm 含有することを特徴とする請求項1記載の薄層セラミックシート製造用離型フィルム。 - 前記ポリエステルフィルムの片面に、主として硬化型シリコーン樹脂からなる離型層を設けてなる薄層セラミックシート製造用離型フィルムの製造方法であって、末端カルボキシル基濃度(AV:eq/ton)と末端水酸基濃度(OHV:eq/ton)が下記式(5)及び(6)を満足するポリエステルフィルムの片面に、Si-CH3 基量を100として他の官能基の量を基準化した際に、Si-H基量とSi-CH=CH2 基量との差が1.0未満である硬化型シリコーン樹脂、硬化反応触媒と有機溶剤を主たる構成成分とする塗布液を、硬化後の塗布量が0.02〜0.15g/m2となるように、塗布、乾燥、熱硬化処理を行い、離型層を設けることを特徴とする請求項1または2記載の離型フィルムの製造方法。
AV≦40 ・・・(5)
AV+OHV≦120 ・・・(6) - 前記塗布液が、(i)塗布液貯蔵タンクから送液ポンプにより、コーターへ塗布液を供給する工程、(ii)コーターからフィルムに塗布液を転移させる工程、(iii)余った塗布液を、送液ポンプを用いずに塗布液貯蔵タンク内に戻す工程、からなる塗布液循環システムを用いて得た塗布液であり、前記(iii)の工程において、余った塗布液を、200〜400メッシュの金網から剪断をかけずに通過させて、塗布液貯蔵タンク内に戻すことを特徴とする請求項3記載の離型フィルムの製造方法。
- 請求項1記載の離型フィルムの離型層に、厚みが1μm以上10μm未満の薄層セラミックシートを設けてなることを特徴とするセラミックシート付き離型フィルム。
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