JP4482780B2 - セラミックシート製造用フィルム積層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、片面に離型層、他面に帯電防止層を有するポリエステルフィルムを基材とし、前記基材の離型層面にセラミックシート層を積層したセラミックシート製造用フィルム積層体に関し、詳しくは特に薄層のセラミックシートを製造する際に、セラミックシートの剥離性に優れ、積層セラミックコンデンサとした際のショート不良や絶縁抵抗不良の原因となるピンホールが少なく、さらに剥離帯電が小さいセラミックシート製造用フィルム積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムを基材とし、該基材上に離型層を設けた離型フィルムは、粘着ラベル、粘着テープ等の台紙として一般的に広く使用されている。
【0003】
近年、携帯電話の急激な普及にともない、積層セラミックコンデンサの需要が拡大してきている。積層セラミックコンデンサは、一時的に電気を蓄える特性を有し、電流を安定させるために電子回路には不可欠な部材であり、携帯電話には約250個の積層セラミックコンデンサが使用されている。
【0004】
積層セラミックコンデンサ用セラミックシートを製造する際に、工程用キャリアフィルムとして、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、価格等に優れた、二軸延伸ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、シリコーン系樹脂皮膜を設けた離型フィルムが一般的に使用されている。このような、シリコーン系樹脂皮膜を有する離型フィルムとしては、特開昭60−141553号公報、特開平3−231812号公報、特公平4−59207号公報、特公平6−2393号公報などが知られている。
【0005】
近年、積層セラミックコンデンサーの小型・高容量化のために、セラミックシートの厚さをより薄膜化し、かつ多層に積層することが要望されている。セラミックシートは、7〜10μm程度の厚みのものが現在使用されている。また、3〜5μm程度の厚みのものが開発されてきており、さらに1〜2μm程度の厚みのものも検討されつつある。
【0006】
ところが、セラミックシートの厚みが薄くなるにつれ、セラミックシートを離型フィルムの離型層から剥離する際の剥離力が大きくなり、剥離不良が多発するという新しい問題が生じてきた。そのため、従来の離型フィルムよりも剥離力の小さい離型フィルムが必要となってきた。従来のラベル用などに使用されてきた汎用の離型フィルムは、その用途では剥離力が小さいものであっても、薄層セラミックシートの製造には剥離性の点で不十分であり、より剥離力の小さい離型フィルムが求められている。
【0007】
ところが、ある特定組成のセラミックシートとの剥離力が小さい離型フィルムを設計しても、セラミックシートの構成成分(セラミック粒子の種類、平均一次粒径、粒子分散性、あるいは、バインダーの種類、セラミック粒子とバインダーとの含有量比率など)やセラミックシートの厚みが変わると、セラミックシートと離型フィルムの離型層との間の剥離力が変化するため、再びその特定組成のセラミックシートに最適な離型フィルムの離型層組成を設計する必要があった。
【0008】
また、硬化型シリコーン樹脂を主たる構成成分とする離型層は、非常に帯電しやすく、またセラミックシートを剥離する際の剥離帯電も大きい。そのため、浮遊ゴミが離型フィルムに付着しセラミックシートを形成させた際にピンホールが発生したり、いったん剥離したセラミックシートが離型フィルムに再付着して生産性が低下する、などの問題が発生し、従来の離型フィルムより剥離帯電が小さい、あるいは帯電減衰の早い離型フィルムも求められている。
【0009】
さらに、セラミックシートの厚みが薄くなればなるほど、従来問題にならなかった離型フィルム表面の高さ2.0μm程度の突起でもピンホールの発生原因となるため、離型フィルム表面の平滑性及び突起高さの制御がより重要になっている。
【0010】
つまり、離型フィルムの支持体であるポリエステルフィルムの表面粗さが大きいと、必要量の離型剤をその突起部に塗布することができず、結果として離型剤本来の離型性を引き出すことができない。また、この離型フィルムの表面に粗大突起が存在すると、この突起による離型フィルム表面の凸状形状が、セラミックシートに凹状に転写され、この凹状に転写された部分が、セラミックシートの形状欠陥となる。この欠陥はセラミックシートの厚みが薄くなるにつれて顕在化し、特に近年のように厚みの極薄化が進み、例えば厚みが1〜5μmの薄いセラミックシートを製造する場合には、単なる凹みに止まらず、貫通したピンホールとなり易い。ピンホールを有するセラミックシートを積層セラミックコンデンサーとした場合、ショート不良や絶縁抵抗不良が発生し、致命的な欠陥となるという問題があった。そして、本発明者らは、この問題に対し鋭意研究を重ねた結果、厚みが1〜5μmのセラミックシートにおいて、特に基材フィルムにおける離型層面の突起高さ2.0μm以上の突起がピンホールの原因となることをつきとめた。
【0011】
一方、特開平9−248889号公報には、セラミックシート製造時のピンホール等の発生を抑制すべく、ポリエステル基材フィルムに25μm以上の異物が存在しない離型フィルム、及び面積約310cm2 あたり5〜25μmの異物が10個以下である離型フィルムが提案されている。
【0012】
しかしながら、上記のような異物に関する管理では、近年の極薄化が進んだセラミックシートに対して不十分である。また、上記公報に開示されている異物除去の方法も実施例1にしか記載がない。具体的には、(1)滑剤として風力分級機により25μm以上の凝集粒子を取り除いたアルミナ粒子をポリエステルに配合すること、(2)押出し機先端とダイの間に焼結金属製のフィルターを装着すること、が記載されている。しかしながら、(1)の方法は風力分級機との記載よりアルミナ粒子の粉体の状態での25μm以上の凝集粒子の除去をいっているだけで、ポリエステル樹脂中でのアルミナ粒子の再凝集は何ら考慮されていない。また、(2)の方法はどの程度の濾過効率のあるフィルターを使用したらよいのか何ら記載がない。したがって、本願発明の請求項で規制した離型層面の突起高さ2.0μm以上の突起数がヶ/m 以下を満足させることは、上記公報に記載の情報だけでは困難である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、かかる従来の問題点を解消し、特に薄層のセラミックシートの製造において、セラミックシートの剥離性に優れ、積層セラミックコンデンサとした際にショート不良や絶縁抵抗不良の原因となるピンホールが少なく、さらに剥離帯電が小さいセラミックシート製造用フィルム積層体を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記3つの課題を次のような技術思想で解決したものである。
第1の技術思想は、セラミックシートを製造する際の剥離工程において、剥離界面のセラミックシートと離型フィルムの離型層とのダイナミック硬度差の絶対値を小さくすることにより、セラミックシートの構成成分(セラミックの種類や平均粒径、バインダーの種類、それらの含有量比率など)やセラミックシートの厚みに依存せず、剥離性に優れるというものである。このようなセラミックシートと離型フィルムの離型層の物理的特性を関連づけた技術思想は、従来技術からは予測できない新規なものである。
【0015】
第2の技術思想は、離型フィルムにおける離型層面の高さ2μm以上の突起数をヶ/m 以下に表面を制御することにより、フィルム積層体からセラミックシートを剥離し、特に厚さ1〜5μmの薄層のセラミックシートを剥離し積層セラミックコンデンサを製造する際に、ショート不良や絶縁抵抗不良の原因となるピンホールを低減することができるというものである。
【0016】
第3の技術思想は、離型フィルムのセラミックシート形成面の離型層とは反対面に、剥離帯電が小さい、あるいは帯電減衰の早い帯電防止層を設けることにより、セラミックシートを剥離する際の剥離帯電が小さく、剥離したセラミックシートが離型フィルムに再付着することを防止するというものである。
【0017】
すなわち、本発明における第1の発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に硬化型シリコーンを主たる構成成分とする離型層を、他面に帯電防止層を設けた基材フィルムの離型層面にセラミックシート層を積層してなるフィルム積層体であって、前記ポリエステルがSb O を重合触媒として製造されたポリエチレンテレフタレートであり、前記ポリエチレンテレフタレート中のSb O の含有量がSb元素として50〜200ppmであり、前記基材フィルムは離型層面の突起高さ2.0μm以上の突起数がヶ/m 以下であり、かつ前記セラミックシート層面のダイナミック硬度Aと前記離型層面のダイナミック硬度Bとの差の絶対値|A−B|がgf/μm 以下であることを特徴とするセラミックシート製造用フィルム積層体である。
【0018】
第2の発明は、前記基材フィルムは離型層面の突起高さ1.4μm以上の突起数が25ヶ/m2 以下であることを特徴とする第1の発明に記載のセラミックシート製造用フィルム積層体である。
【0019】
第3の発明は、前記基材フィルムは離型層面のラブオフ値が10以下であることを特徴とする第1または第2の発明に記載のセラミックシート製造用フィルム積層体である。
(ここで、ラブオフ値とは、離型層面に粘着剤層を設けた際の離型層と粘着剤層との剥離力を、離型フィルムの離型層面を摩擦材で10往復摩擦させた後と摩擦前で測定し、摩擦後の剥離力(P10)と摩擦前の剥離力(P0)との比(P10/P0)で示されるパラメータである。)
【0020】
第4の発明は、前記基材フィルムの離型層面に厚みが1〜5μmのセラミックシート層を積層してなることを特徴とする第1、2、または3の発明に記載のセラミックシート製造用フィルム積層体である。
【0021】
【発明の実施形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のフィルム積層体の基材(以後、離型フィルムともいう)には、ポリエステルフィルムを使用する。ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂は芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分からなる結晶性の線状飽和ポリエステル樹脂が好ましくポリエチレンテレフタレート挙げられる。
【0024】
また、本発明のフィルム積層体の基材となるポリエステルフィルムの原料樹脂ペレットの固有粘度は、芳香族ポリエステルの場合、0.45〜0.70dl/gの範囲が好ましい。さらに好ましくは0.50〜0.67dl/gであり、特に好ましくは0.55〜0.65dl/gである。固有粘度が0.45dl/gよりも低いと、フィルム製造時に破断が多発し、かつ強伸度特性が不十分となる。一方、0.70dl/gより大きいと、濾圧上昇が大きくなり異物や凝集物などを高精度濾過により除去することが難しくなる。
【0025】
一方、離型フィルムの支持体であるポリエステルフィルムには、フィルムの滑り性、巻き性、ブロッキング性などのハンドリング性を良くするために、無機粒子や耐熱性高分子粒子を含有させても良い。しかしながら、セラミックシート製造時のピンホールなどを光学的な欠点検査装置で検出するために、フィルムにはある程度の透明性が必要であり、フィルムの透明性を大きく阻害するような粒子は好ましくない。
【0026】
前記粒子としては、例えばシリカ粒子、炭酸カルシウム粒子、アルミナ−シリカ複合酸化物粒子、ヒドロキシアパタイト粒子等が挙げられる。特に、ポリエステルと屈折率差の小さい粒子が好ましく、例えば凝集体シリカ、ガラスフィラーなどが好適である。また、前記粒子は平均粒径が0.01〜3μmであることが好ましく、ポリエステルフィルムに対し0.005〜0.5重量%の割合で含有させることが好ましい。
【0027】
透明性を維持しながらハンドリング性に優れたポリエステルフィルムを得るためには、例えば平均粒径1〜3μmの凝集体シリカ粒子を使用する場合には、ポリエステルフィルム中に100〜600ppm、特に200〜300ppm含有させることが好適である。また、中間層に不活性粒子を含有させずに、表面層にのみ不活性粒子を含有するフィルム積層体としてもよい。この場合、ポリエステルフィルムには不活性粒子を含有させずに、離型層とは反対面に粒子含有層を共押出し法または塗布法により設ける方法などが挙げられる。
【0028】
ポリエステルフィルムに上記粒子を含有させる方法としては、公知の方法を組み合わせて採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができる。好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーを、粒子を含有していない溶融ポリエステル樹脂にブレンドしてもよい。
【0029】
また、前記ポリエステル樹脂には、各種の添加剤を含有させても良い。添加剤としては、例えば、アルカリ土類金属塩及び/またはアルカリ金属塩などの静電密着性付与剤、リン酸やリン酸エステルなどのリン酸系化合物などの熱安定剤、帯電防止剤、UV吸収剤等が挙げられる。
【0030】
本発明のセラミックシート製造用フィルム積層体に使用する基材フィルムは、離型層面の突起高さ2.0μm以上の突起(以後、粗大突起ともいう)の数1ヶ/m 以下であり、特に好ましくは0ヶ/m である。これによって、厚さ1〜5μmのセラミックシートを用いて積層セラミックコンデンサを製造しても、ピンホールによるショート不良や絶縁抵抗不良が発生しにくくなる。また、高さ1.4μm以上の突起が25ヶ/m 以下であることが好ましく、10ヶ/m 以下であることがより好ましく、特に好ましくは8ヶ/m である。これによって、厚さ1〜3μmのセラミックシートの製造に使用しても、ピンホールによるショート不良や絶縁抵抗不良が発生しにくくなる。
【0031】
離型フィルムの離型層面における高さ2.0μm以上の突起の数をヶ/m以下とするためには、各製造工程でのクリーン化が必要である。すなわち、1)離型フィルムの支持体となるポリエステル樹脂を重合する工程での異物及び凝集物の生成を低減、2)ポリエステルフィルムを製造時に、原料ポリエステル樹脂中に含まれる異物及び凝集物の除去、3)離型層用塗布液、帯電防止層用塗布液、セラミックシート用セラミックスラリー中の異物及び/または凝集物の除去、などが挙げられる。異物及び/または凝集物の除去に関しては、フィルターによる濾過が最も効果的である。また、高さ1.4μm以上の突起を25ヶ/m 以下とするためには、異物及び凝集物の低減及び除去をさらに強化することが有効である。
【0032】
また、粒子を含有するポリエステル組成物の場合には、ポリエステル重合工程で、上記粗大突起の原因となる粗大粒子や凝集粒子を低減させるために、1)ポリエステル重合反応系内にグリコールスラリーとして粒子を投入する際に、事前に十分な分散処理、遠心分離処理及び/または濾過処理を行う、2)ポリエステル重合反応系で粒子の二次凝集を可能な限り抑制する、ことが重要なポイントである。凝集シリカ粒子のような凝集体の場合には、ビーズミルなどによる過度な分散処理は、重合反応系へ投入時に凝集を促進しするため行なわないことが好ましくない。また、分散処理としては高圧均質分散機を用い混合タンクに循環処理することが好ましい。
【0033】
なお、上記のような粒子をポリエステル樹脂に含有させない場合でも、フィルム原料となるポリエステル樹脂中の異物を十分除去しない場合には、高さ2.0μm以上の突起がヶ/m を超えるようになる。
【0034】
さらに、本発明のセラミックシート製造用フィルム積層体において、セラミックシート層面のダイナミック硬度Aと前記離型層面のダイナミック硬度Bとの差の絶対値|A−B|はgf/μm 以下であることが必要であ
【0035】
前記ダイナミック硬度の差の絶対値|A−B|がgf/μm を越えると、セラミックシート層を離型フィルムから剥離してセラミックシートを製造する際に剥離性が低下し、特に薄層のセラミックシートの場合、剥離時にセラミックシートの破れや剥離不良が多発し、歩留まりが低下する等の問題が発生する。
【0036】
前記ダイナミック硬度の差の絶対値|A−B|を上記範囲内とすることにより、セラミックシート層を離型フィルムから剥離してセラミックシートを製造する際の剥離力が小さく、容易に剥離することができるため、セラミックシートの破損を低減することができる。
【0037】
セラミックシート層を離型フィルムから剥離してセラミックシートを製造する際、セラミックシートの硬さにより剥離形態が変わるため、離型フィルムの離型層面の硬さを変える必要がある。
【0038】
すなわち、セラミックシートが硬い場合、またはセラミックシートの厚みが薄い場合には、セラミックシート層を剥離する際に、セラミックシート層の粘性の影響はほとんど見られないため、離型フィルムの離型層の構成成分である硬化型シリコーン樹脂を硬くすることが好ましい。
【0039】
セラミックシートと離型フィルムとの界面の剥離挙動は、通常の粘着シートと離型フィルムとの界面の剥離挙動とは異なる。すなわち、粘着シートの粘着剤層と離型フィルムの離型層との界面の剥離の場合には、界面の凝集エネルギーが支配的となる。一方、硬いセラミックシートと離型フィルムとの界面の剥離の場合には、離型層が硬い場合には剥離時の離型層の変形が小さく、結果として剥離力が小さくなる。また、離型層が柔らかい場合には剥離時の離型層の変形が大きく、結果として剥離力が大きくなる。
【0040】
したがって、硬いセラミックシートと硬い離型フィルムとの剥離挙動は、粘着シートと離型フィルムとの剥離のような、界面剥離力ではなく、界面せん断力に支配されているものと考えられる。
【0041】
前記ダイナミック硬度差の絶対値|A−B|をgf/μm以下とするためには、セラミックシート層の硬さに応じて離型フィルムの離型層の硬さを設計することが必要である。
【0042】
例えば、セラミックシートはセラミック粒子(チタン酸バリウム、アルミナ、窒化アルミニウム等)とバインダー(ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等)とから構成されるが、セラミック粒子に対するバインダーの含有量比(重量比)が大きい場合、またはセラミックシート層の厚みが厚い場合には、離型フィルムにセラミックシート層を積層した際のセラミックシートの硬度は小さくなる。また、セラミックスラリー中でのセラミック粒子の分散性もセラミックシートの硬度に影響し、セラミックスラリー調合時のセラミック粒子の分散性が不十分であると、セラミックシートの硬度は小さくなる。
【0043】
上記のような硬度の小さいセラミックシートを剥離する場合には、硬化型シリコーン樹脂を主成分とする離型層の硬度を小さくすることが必要であり、例えば1)シリコーン樹脂中の疎水基の含有量を可能な限り多くする、2)シリコーン樹脂中に導入する架橋基の含有量を少なくする、3)リニアーな分子構造を有するシリコーン樹脂を使用する、ことなどによって達成することができる。また、離型層の厚みを厚くすることも有効である。
【0044】
また、セラミック粒子に対するバインダーの含有量比(重量比)が小さい場合、またはセラミックシート層の厚みが薄い場合には、離型フィルムにセラミックシート層を積層した際のセラミックシートの硬度は大きくなる。
【0045】
上記のような硬度の大きいセラミックシートを剥離する場合には、硬化型シリコーン樹脂を主成分とする離型層の硬度を大きくすることが必要であり、例えばシリコーン樹脂中に導入する疎水基の含有量の調整は必要であるが、シリコーン樹脂中に導入する架橋基の含有量を多くするなどの方法で、シリコーン樹脂の架橋密度を大きくすることにより達成することができる。
【0046】
また、硬化型シリコーン樹脂を主たる構成成分とする離型層の厚みが面内において均一であれば、厚みが小さいほど一定の硬化エネルギーでも架橋密度が大きくなるため、厚みを可能なかぎり小さくすることにより、離型層の硬度を大きくすることもできる。さらに、基材のポリエステルフィルムの機械的強度を高くすることで硬度を大きくしてもよい。
【0047】
さらに、離型層の硬化条件によっても硬度を制御することができ、例えば紫外線硬化型あるいは電子線硬化型などの活性エネルギー線硬化型シリコーン樹脂を離型層の構成成分として用いる場合には、活性エネルギー線照射時の温度及び照射量が高いほど、離型層樹脂の架橋密度が大きくなり、離型層の硬度を高くすることができる。
【0048】
また、セラミックシート層との剥離力の小さい離型フィルムであればあるほど、離型層とポリエステル基材フィルムとの密着耐久性が悪化する傾向にある。離型層と基材フィルムとの密着耐久性が悪いと、セラミックシート製造工程、特にセラミックスラリーを離型フィルムに塗工する前の駆動ロールなどの剪断力が付与されるライン上で、離型フィルムの離型層が脱落しやすくなる傾向がある。また、セラミックスラリーを離型フィルムに塗布する工程で、スロットダイコーターやブレードコーターを用いた場合に、コーターのリップ先端部が離型フィルムの離型層面に接触することにより、離型フィルムの離型層が脱落しやすくなる。その結果、セラミックシートの剥離性や平滑性が不十分となり、セラミックシートを剥離する際にセラミックシートが破れるという問題が発生しやすくなる。そのため、離型フィルムは離型層と基材フィルムとの密着耐久性が優れていることが好ましい。
【0049】
詳しくは、本発明のフィルム積層体における離型フィルムの離型層面は、ラブオフ値(密着耐久性の尺度)が10以下であることが好ましく、特に好ましくは5以下である。ラブオフ値が10を超えると、セラミックシート製造工程において、セラミックスラリーを離型フィルムの離型層に塗布する前に離型層の脱落が発生しやすくなる。そのため、離型層が脱落した箇所にセラミックスラリーを塗布すると、セラミックシート層の厚みの不均一化や、離型層が脱落した箇所でセラミックシート層の剥離不良が多発しやすくなり、歩留まりが低下するなどの問題が発生する。
【0050】
なお、ラブオフ値とは、離型層と支持体のポリエステルフィルム間の密着耐久性に関連するパラメータであり、ラブオフ値が低いほど密着耐久性が良いと判断する。具体的には、離型層面に粘着剤層を設けた際の離型層と粘着剤層との剥離力を、離型フィルムの離型表面を2N/cm2 の荷重下で摩擦材により10往復摩擦させた後と摩擦前で測定し、摩擦後の剥離力(P10)と摩擦前の剥離力(P0)との比(P10/P0)で示したものである。摩擦試験機としては学振式摩擦ケンロウ度試験機を用い、摩擦材としては白色ポリプロピレンフィルムを用いた。また、剥離力は離型層面に粘着テープを貼り、5kgfの圧着ゴムローラで一往復させて密着させた後、テンシロンを用い300mm/分の速度でT型剥離した際の測定値である。
【0051】
離型層面のラブオフ値が10以下、すなわち離型層とポリエステルフィルムとの密着耐久性が良好である場合、離型層がポリエステルフィルムから脱落することがない。そのため、セラミックスラリーが均一に塗布され、セラミックシート層を離型フィルムから剥離することが容易となり、セラミックシートの破損を低減することができる。
【0052】
上記範囲のようなラブオフ値を得るには、例えば硬化型シリコーン樹脂の硬化反応、あるいは架橋反応をできるだけ短時間に完結させることが必要である。シリコーン樹脂の硬化に必要なエネルギーや付加反応時の触媒の添加量などを、弊害が起こらない程度に大きくすれば良い。
【0053】
また、活性エネルギー線硬化型シリコーン樹脂の場合、架橋密度を大きくすることが密着耐久性の点で好ましい。特に、紫外線カチオン硬化型シリコーン樹脂は、架橋基にエポキシ基を用いているため、ポリエステルフィルムへの密着耐久性は、架橋反応を促進すればするほど向上する。
【0054】
また、離型層と支持体のポリエステルフィルムとの密着耐久性をさらに向上させるために、上記離型層用塗布液をフィルムへ塗布するのに先立ち、ポリエステルフィルム表面に、アンカーコートあるいはコロナ処理、火炎処理等の前処理を行なっても良い。
【0055】
本発明のフィルム積層体の基材となる離型フィルムは、セラミックシート剥離時の剥離帯電を小さくするために、セラミックシート形成面の離型層とは反対面に帯電防止層を設けることが必要である。セラミックシート剥離時の剥離帯電を小さくすることにより、剥離したセラミックシートが、離型フィルムに再付着し生産性が低下するという問題を解消することができる。
【0056】
離型フィルムの支持体として用いるポリエステルフィルムは、キャリアフィルムとして要求される機械的強度、耐熱性、透明性などの点から、二軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。
【0057】
次に、本発明のセラミックシート製造用フィルム積層体の製造方法について、離型フィルムの支持体としてポリエチレンテレフタレート(PETと記す)フィルムを使用した例を説明するが、当然これに限定されるものではない。
【0058】
PET樹脂の製造は、テレフタル酸とエチレングリコールを出発原料としエステル化反応を経て重縮合する公知の直接重合法、またはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールを出発原料としエステル交換反応を経て重縮合する公知のエステル交換法のいずれかを用いることができる。直接重合法の場合、PET樹脂中に含有させるものとしては、重縮合触媒(Sb23 、Sbグリコラートなど)、熱安定化剤(トリメチルフォスフェートなどのP系化合物)、静電印可法を用いて未延伸フィルムを製造する際の密着性改良剤(グリコール可溶性のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など)などが挙げられる。エステル交換法の場合、上記化合物のほかにエステル交換反応触媒(Mg、Ca、Zn、Mnなどの酢酸塩など)が必要である。
【0059】
特に、重縮合触媒としてSb23 を使用した場合、重合時及び/または未延伸PETフィルムの製造時に、Sb23 が金属Sbに還元され、フィルム表面に凝集物として析出しやすくなる。これが離型層面の粗大突起発生原因の1つとなるため、重縮合時間を著しく遅延しない範囲で、できるだけSb23 の含有量を低減させることが好ましい。
【0060】
離型フィルムの離型層面に突起高さ2.0μm以上の突起数を個/m 以下とするためには、PET樹脂中のSbOの含有量をSb元素として50〜200ppmとすることが好ましく特に好ましくは70〜150ppmである。また、アルミニウム−リン系複合触媒、チタン−リン−アルカリ金属またはアルカリ土類金属系複合触媒、ゲルマニウム触媒、チタン触媒などは、前記のSb触媒のような金属イオンから金属への還元作用がみられないため、触媒起因の凝集物を低減することができ好ましい。
【0061】
PET樹脂中には、易滑性、巻き性、耐ブロッキング性、耐スクラッチ性などの特性改良のために、ポリエステル原料や触媒などに不活性な無機及び/または耐熱性高分子粒子を含有させておくことが好ましい。これらの不活性粒子はエチレングリコールスラリーとして、重縮合反応開始前の任意の段階でPET重合反応系に添加する。
【0062】
さらに、重縮合完了後PET樹脂を孔径(95%カット)が7μm以下のナスロン製フィルターで濾過処理を行ない、PET樹脂中の異物や凝集物を低減させておくことは、離型層面の突起高さ2.0μm以上の突起数を3個/m2 以下とするのに好ましい。
【0063】
不活性粒子を含有するPET樹脂ペレットを十分に真空乾燥した後、押出し機に供給し、約280℃の溶融PET樹脂をTダイよりシート状に溶融押出しし、冷却回転ロール上で静電気を印加させながら冷却固化密着せしめて、未延伸PETシートを得る。溶融押出しの際、溶融PET樹脂が約280℃に保たれたメルトライン中で、樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行うことが好ましい。
【0064】
溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は特に限定はされないが、ステンレス焼結体の場合、触媒や添加粒子起因の凝集物や高融点有機物の除去性能に優れ好適である。濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は20μm以下が好ましく、特に15μm以下が好ましい。
【0065】
得られた未延伸シートを80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍に一段または多段に分け延伸して一軸配向ポリエステルフィルムを得る。さらに、フィルムの端部をクリップで把持して80〜180℃に加熱された熱風ゾーンに導き、幅方向に2.5〜5.0倍に一段または多段に分け延伸する。引き続き160〜240℃の熱処理ゾーンに導き、1〜60秒間の熱固定処理を行い、結晶配向を完了させる。この熱固定処理工程中で、幅方向に1〜12%の弛緩処理を施してもよい。さらに、熱固定処理後フィルム両端のクリップ把持部分をトリミングし、次いで長手方向に1〜12%の弛緩処理を施してもよい。
【0066】
また、二軸延伸フイルムの製造方法は、前記のような逐次二軸延伸法以外に、未延伸フィルムを縦方向と横方向に同時二軸延伸する方法によっても得ることができる。同時二軸延伸はリニアモーター駆動式のテンターを用いても良い。
【0067】
ポリエステルフィルムの厚みは、好ましくは12〜100μm、より好ましくは25〜50μmである。 厚みが12μm未満では、セラミックシート製造の際のキャリヤーフィルムとして要求される腰(スティッフネス)が不十分となる。一方、厚みが100μmを超えるとコスト高となり好ましくない。
【0068】
本発明で使用する離型フィルムは、硬化型シリコーン樹脂を主たる構成成分とする離型層をポリエステルフィルムの少なくとも片面に設ける必要がある。硬化型シリコーン樹脂としては特に限定はなく、付加反応型、縮合反応型、紫外線または電子線硬化型のシリコーン樹脂などを使用することができる。
【0069】
付加反応型シリコーン樹脂としては、例えば、末端にビニル基を導入したポリジメチルシロキサンとハイドロジエンシロキサンとを白金触媒を用いて反応させ、3次元架橋構造を形成したものが挙げられる。
【0070】
縮合反応型シリコーン樹脂としては、例えば、末端に−OH基をもつポリジメチルシロキサンとハイドロジエンシロキサンとを白金触媒を用いて反応させ、3次元架橋構造を形成したもの等が挙げられる。
【0071】
紫外線硬化型シリコーン樹脂としては、例えば最も基本的なタイプとしては、1)アルケニル基とメルカプト基を含有するシロキサンに、光重合開始剤を加え架橋反応させるラジカル付加型、2)メタクリル基やアクリル基を含有するシロキサンに光重合開始剤を加えラジカル重合により硬化させるラジカル重合型、3)白金系触媒の存在化でビニルシロキサンをヒドロシリル化反応させる付加反応型、4)紫外線でオニウム塩光開始剤を分解してブレンステッド酸を生成させ、これでエポキシ基を開裂させて架橋させるカチオン重合型、などが挙げられる。なかでも、紫外線カチオン硬化型シリコーン樹脂は、官能基にエポキシ基を有しており、コロナ処理したフィルムへの密着性に優れることから特に好適である。
【0072】
電子線硬化型シリコーン樹脂の場合、電子線は紫外線よりもエネルギーが強いため、紫外線硬化型のように開始剤を用いなくてもラジカルによる架橋反応が起こる。
【0073】
離型層の塗布量は特に限定されないが、硬化後の離型層の塗布量が0.02〜0.2g/m2 となる範囲が好ましくい。離型層の塗布量が0.02g/m2 未満では、剥離性能が低下しやすい。一方、0.2g/m2 を超えると、ポリエステルとの密着性に影響する硬化時間が長くなり、生産性が低下しやすくなる。
【0074】
前記離型層をポリエステルフィルムに形成する方法は、特に限定されない。例えば、1)無溶剤型の硬化型シリコーン樹脂を基材のポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布し、次いで活性エネルギー線を照射して硬化させる、あるいは熱硬化する方法、2)硬化型シリコーン樹脂を溶媒に溶解あるいは分散したものを、基材のポリエステルフィルムに塗布し、溶媒を乾燥除去した後、活性エネルギー線を照射して硬化させる、あるいは熱硬化させる方法、などが挙げられる。
【0075】
硬化型シリコーン樹脂の硬化条件および溶媒の乾燥条件は、使用するシリコーン樹脂の種類、離型層の厚み、離型フィルムのサイズ等により、適時選択すれば良い。
【0076】
例えば、紫外線硬化型シリコーン樹脂の場合、紫外線照射量は150mJ/cm2 以上とし、溶媒の乾燥温度は110℃以下とすることが好ましい。紫外線照射量が、150mJ/cm2 未満であると、シリコーン樹脂の硬化反応が不十分となりやすく、重剥離化(剥離力が重くなる)や、ラブオフ値の増大(フィルムとの密着耐久性が悪くなる)や、シリコーン離型層の背面転写(裏移り)の原因となりやすい。一方、溶媒の乾燥温度が110℃を超えると、フィルムの平面性が悪化する傾向がある。
【0077】
帯電防止層に含有される帯電防止剤としては、例えば、官能基がアルキルサルフェート型、アルキルホスフェート型のようなアニオン系帯電防止剤、第4級アンモニウム塩型、第4級アンモニウム樹脂型、イミダゾリン型のようなカチオン系帯電防止剤、ソルビタン型、エーテル型のようなノニオン系帯電防止剤、ベタイン型のような両性帯電防止剤が挙げられる。また、π電子共役系高分子からなる導電性ポリマーでもよい。
【0078】
上記のアニオン系、カチオン系、ノニオン系などの界面活性剤タイプの帯電防止剤は、数平均分子量が5,000以上の高分子タイプのものが好ましく、特に好ましいのは数平均分子量が50,000以上の高分子タイプである。
【0079】
数平均分子量が5,000未満の帯電防止剤を使用する場合、基材フィルムへの離型層の密着耐久性が劣る傾向にある。そのため、この離型フィルムをロール状に巻き取ったり、シート状に表面及び裏面を重ね合わせた際に、帯電防止層中の成分が基材フィルムの反対面の硬化型シリコーン樹脂を主成分とする離型層面に移行する傾向がある。その結果、離型層面にセラミックシート層を形成する際に、はじきによりピンホールが発生したり、剥離不良が発生しやすくなる。また、セラミックシート製造工程で帯電防止層自体が剥がれ、工程を汚染する場合があり好ましくない。さらに、帯電防止層が剥がれることによって、帯電防止性能が不安定になり好ましくない。これらの問題を防ぐために、帯電防止層中にワックスやシリコーン成分などを混合することが好ましい。
【0080】
帯電防止層は表面固有抵抗値が低いだけでなく、帯電減衰効果にも優れていることが好ましい。特に限定はされないが、帯電防止剤の中でもカチオン系帯電防止剤及びπ電子共役系高分子からなる導電性ポリマーなどがより好ましい。π電子共役系高分子としては、ポリアニリン及び/またはその誘導体、ポリピロール及び/又はその誘導体、ポリアセチレン及び/またはその誘導体、ポリチオフェン及び/又はその誘導体などが挙げられる。特に好ましくは、4級化された窒素を有する帯電防止剤である。
【0081】
帯電減衰性に優れる帯電防止剤を用いると、驚くことに、帯電防止層が剥離面とは反対側の表面にあっても、セラミックシート層を剥離する際の剥離帯電を小さくすることができるという効果がある。
【0082】
帯電防止層の厚みは、その使用目的に応じて設定すれば良く、特に限定されないが、帯電防止層の単位面積当たりの重量が0.005〜0.5g/m2 となる範囲が好ましい。帯電防止層の厚みが0.005g/m2 未満であると、帯電防止性能が低下しやすい。また、0.5g/m2 を超えると、帯電防止層にタック性が発現し、帯電防止成分が転写、脱落等しやすくなる。
【0083】
帯電防止層の形成方法は、特に限定されず、例えば帯電防止剤を溶解させた塗布液を、離型フィルムのセラミックシート形成面である離型層とは反対面に塗布し、乾燥する方法などが用いられる。また、前記離型層及び帯電防止層は、どちらを先に形成してもかまわない。
【0084】
上記塗布液の塗布法としては、公知の塗布法を適用することができ、例えばグラビアコート法やリバースコート法などのロールコート法、マイヤーバーなどのバーコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法等の従来から知られている方法を使用することができる。
【0085】
セラミックシートは、まず、チタン酸バリウム、アルミナ、窒化アルミニウム等のセラミック粉末を水系ないし有機系溶媒に混合・分散させ、次いでポリメチルメタクリレート、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等の高分子バインダー、可塑剤、分散剤を加え、高速ミキサーやボールミルにより混合分散し、次いで濾過処理(例えば、孔径3μmのフィルター)を行ない、得られたセラミックスラリーを離型フィルムの離型層面に乾燥後の厚みが約十〜数十μmとなるように塗布・乾燥させた後、離型フィルムから剥離して巻き取ることにより製造することができる。塗布方法としては、ドクターブレード法、マイクログラビアロール法、リバースロール法、スロットダイコーターやブレードコーターなどが挙げられる。
【実施例】
以下に実施例を用いてさらに詳細に本発明の説明をするが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、本発明で使用する特性及び物性評価は、下記の方法により測定した。
【0086】
(1)ポリエステルの固有粘度
フェノール60重量%と1,1,2,2−テトラクロロエタン40重量%の混合溶媒に、ポリエステルを溶解し、未溶解の固形分をガラスフィルターで除去した後、30℃にて測定した。
【0087】
(2)高さ2μm以上または高さ1.4μm以上の突起数
250mm×250mmのフィルム片16枚について、下記の光学欠点検出装置により、まずフィルム内異物によって生じる光学欠点を検出し、検出した欠点部分から異物による突起高さを表面形状測定装置(菱化システム社製 マイクロマップ550)によって離型フィルムの離型層面について測定し、1m2 当たりの高さ2μm以上の突起数を求めた。また、高さ1.4μm以上の突起数も同様の方法で求めた。なお、離型フィルムにセラミックシート層を積層したフィルム積層体の場合には、セラミックシート層を離型フィルムの離型層面から剥離した後、離型層面の突起数の評価を行う。
【0088】
前記の光学欠点の検出原理は以下の通りである。
投光器として20W×2灯の蛍光灯をXYテーブル下方400mmに配置し、スリット幅10mmのマスクを設ける。投光器と受光器を結ぶ線上と測定するフィルム面の鉛直方向となす角度を12度で入射すると、そこに光学欠点が存在すると光り輝き、その光量をXYテーブル上方500mmに配置したCCDイメージセンサカメラで電気信号に変換し、その電気信号を増幅し、微分してスレッシュホールドレベルとコンパレータで比較して、光学欠点の検出信号を出力する。また、CCDイメージセンサカメラから入力されたビデオ信号を画像処理により光学欠点の大きさを計測し設定された大きさの光学欠点の位置を表示する。
【0089】
(3)ラブオフ値
摩擦材である白色ポリプロピレンフィルム(東洋紡績社製、パールSS、厚み35μm)と離型フィルムの離型層面とを重ね合わせ、学振式摩擦ケンロウ度試験機(山口科学産業社製)を用いて、2N/cm2 の荷重下で10往復摩擦させた。なお、摩擦材は摩擦が1往復終了する毎に新しいものに取り替えた。
【0090】
次に、摩擦前及び摩擦後の離型フィルムの離型層面に、粘着テープ(日東電工社製、ニットー31B)を貼り5kgfの圧着ゴムローラで一往復させ密着させた。2時間経過後、テンシロンを用い300mm/分の速度でT型剥離し、離型フィルムの離型層と粘着テープの粘着剤層との剥離力を測定し、摩擦後の剥離力(P10)と摩擦前の剥離力(P0)との比(P10/P0)で示し、ラブオフ値とした。得られたラブオフ値は下記の3つの基準で分類した。なお、△以上であれば実用上使用可能である。
○:≦5.0
△:5.0を超え、10.0以下
×:>10.0
【0091】
なお、フィルム積層体から離型フィルムの離型層のラブオフ値を測定する場合には、フィルム積層体からセラミックシート層を粘着テープにより剥離した離型フィルムに対してラブオフ値を測定する。
【0092】
(4)ダイナミック硬度
ダイナミック超微小硬度計(島津製作所製、DUH−201−202)を用いて、加重2gfの三角すいを試料(セラミックシート面あるいは離型層面)に押しつけ、2秒間保持した後のダイナミック硬度を下記式より求めた。なお、測定は10回行ないそれらの平均値を使用した。また、離型フィルムの離型層面におけるダイナミック硬度の測定は、セラミックシート層を設ける前の離型フィルムに対して行なってもよいし、セラミックシート層を設けた後にセラミックシート層を剥離した離型フィルムに対して行なってもよい。
ダイナミック硬度(gf/μm2 )=α×P/D2
ここで、Pは加重(gf)、Dは圧子の試料への侵入量(μm)、αは圧子形状による定数(115°三角すい)であり、37.838である。
【0093】
(5)セラミックシートの剥離性
離型フィルムの離型層面にセラミックシート層を積層したフィルム積層体を5cm巾にカットし、セラミックシート層面にポリエステル粘着テープ(日東電工社製、ニットー31B)を貼り、ピール法(剥離速度:500mm/分、T型剥離)によりセラミックシート層を離型フィルムから剥離して、下記基準により評価した。なお、試験は5回行ない、○であれば合格とした。
○:剥離後のセラミックシートの全面を目視観察した際、セラミックシートにピンホールや破れなどの破損が5回の試験ともなかった場合
△:剥離後のセラミックシートの全面を目視観察した際、5回の試験で1回でもセラミックシートの一部が破損した場合
×:剥離後のセラミックシートの全面を目視観察した際、5回の試験で1回でもセラミックシートが破れ破損した場合
【0094】
(6)セラミックシートの剥離時の帯電圧
離型フィルムの離型層面にセラミックシート層を積層したフィルム積層体を5cm巾にカットする。次いで、セラミックシート層をピール法(剥離速度500mm/分、T型剥離)により離型フィルムの離型層面から剥離した。剥離したセラミックシート側の帯電圧をデジタル静電電位測定器(春日電機社製、KSD−0103)を用い、20℃で50%RHの雰囲気下で測定し、耐電圧の絶対値を下記の3つの基準で評価した。なお、○を合格とした。
○:≦1kV
△:1kVを超え、5kV以下
×:>5kV
【0095】
(7)ピンホール
離型フィルムの離型層面にセラミックシート層を積層したフィルム積層体を20cm×30cmに切断した。トレーザートレース台(コクヨ社製)に、上面がセラミックシート面となるように前記フィルム積層体を置き、下面から光をあてセラミックシート面から光が漏れる箇所の数を目視で数え、1m2 当たりの個数に換算し小数第1位の桁を四捨五入した。
【0096】
実施例1
まず、凝集体シリカ粒子(富士シリシア社製、サイリシア310)をエチレングリコール中に仕込み、ホモジェッターで5時間以上混合し、平均粒子径が1.5μmの凝集体シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを得た。次いで、該スラリーを高圧式均質分散機により500kg/cm2 で5パス相当時間循環処理し、さらに95%カット径が30μmのビスコースレーヨン製フィルターで濾過処理を行ない、平均粒子径が1.0μmの凝集体シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを得た。スラリー濃度は140g/Lであった。なお、平均粒子径は光透過型粒度分布測定装置(島津製作所製、SA−CP3)を用いて測定した。
【0097】
シリカ粒子含有ポリエチレンテレフタレートを次の方法で得た。エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4重量部及びエチレングリコールを64.4重量部からなるスラリーを仕込み、攪拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.03重量部及び酢酸マグネシウム4水和物を0.088重量部、トリエチルアミンを0.16重量部添加した。次いで、加圧昇温を行いゲージ圧3.5kg/cm2、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、リン酸トリメチル0.040重量部を添加した。さらに、260℃に昇温し、リン酸トリメチルを添加した15分後に、上記シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、生成ポリエステルに対し、200ppmとなるよう添加した。
【0098】
15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃の減圧下で重縮合反応を行った。重縮合反応終了後、95%カット径が28μmのナスロン製フィルター(日本精線社製)で濾過処理を行い、固有粘度が0.62dl/gのPET樹脂を得た。
【0099】
このPET樹脂を135℃で6時間減圧乾燥(133Pa)した後、押し出し機に供給し、Tダイより金属回転ロール(表面温度20℃)上にシート状に約280℃で溶融押し出しを行なった。この溶融押し出し工程で、溶融PET樹脂の高精度濾過を行なった。濾材としては、濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μmのステンレス製焼結体を用いた。シート状の溶融PET樹脂を静電印加法により回転冷却ドラムに密着・固化させ、厚さ519μmの未延伸PETフィルムを得た。
【0100】
次に、この未延伸フィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して一軸延伸PETフィルムを得た。引き続き、フィルムの端部をクリップで把持して130℃に加熱された熱風ゾーンに導き、幅方向に4.0倍に延伸した。その後220℃で熱処理し、さらに幅方向に200℃で2.5%緩和処理を行ない、厚さ38μmの二軸延伸PETフィルムを製造し、ロール状に巻き取った。
【0101】
カチオン型高分子帯電防止剤(三洋化成工業社製、ケミスタット6300H)0.2重量部、ポリエチレンワックス(東邦化学工業社製、ハイテックE6000)0.1重量部、メタノール50重量部、水49.7重量部を混合し、次いで600メッシュのフィルターで濾過して、帯電防止層用塗布液A1を調整した。
【0102】
前記二軸延伸PETフィルムロールを巻き出し、この塗布液A1をフィルムの片面にワイヤーバーで、乾燥後の厚さが0.08g/m2 となるように塗布し、次いで90℃で30秒間熱風乾燥機中で乾燥し、帯電防止層を有する二軸延伸PETフィルムを製造し、ロール状に巻き取った。
【0103】
次に、紫外線カチオン硬化型シリコーン樹脂(東芝シリコン社製、UV9315)を溶剤(ノルマルヘキサン)中に樹脂固形分濃度が2重量%となるように混合・分散し、シリコーン樹脂100重量部に対し、1重量部のビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートを硬化触媒として添加し、次いで600メッシュのフィルターで濾過して、離型層用塗布液B1を作成した。
【0104】
前記帯電防止層を有する二軸延伸PETフィルムロールを巻き出し、フィルムの帯電防止層面とは反対面に、ワイヤーバーを用いて上記塗布液B1を塗布し、100℃で30秒間乾燥後、紫外線照射装置で300mJ/cm2 の紫外線を照射し、乾燥後の塗布量が0.10g/m2 の離型層を積層し、片面に離型層を、他面に帯電防止層を有する離型フィルムを製造し、ロール状に巻き取った。
【0105】
また、溶剤(トルエン/エタノール=50/50:重量比)中にセラミック粒子(平均一次粒子径が0.6μmのチタン酸バリウム(BaTiO3)、富士チタン社製)100重量部を混合し、メディアである粒径1.5mmのジルコニアビーズ(充填量:スラリーに対し200重量%)とともにボールミルで24時間分散した。次いで、バインダー(ポリビニルブチラール、積水化学工業株式会社製)10重量部及び可塑剤(ポリエチレングリコール)をセラミック粉末とバインダーの総量に対し2重量%混合し、ボールミルで24時間分散し、さらにフィルター(孔径3μm)で濾過処理を行ない、ペースト状のセラミックスラリーを得た。
【0106】
前記の離型フィルムロールを巻き出し、上記セラミックスラリーを乾燥後の厚みが5μmになるようにドクターブレードを用いて、離型フィルムの離型層面に塗布し、120℃で1分間乾燥してセラミックシート層(セラミック粒子/バインダーの重量比:100/10)を設け、セラミックシート製造用フィルム積層体を得た。評価結果を表1に示す。
【0107】
実施例2
実施例1と同様の方法で、帯電防止層を有する厚み38μmの二軸延伸PETフィルムを製造し、ロール状に巻き取った。次に、熱硬化型シリコーン樹脂(信越化学株式会社製、KS830)を溶剤(トルエン)中に固形分濃度が3重量%となるように混合・分散し、シリコーン樹脂100重量部に対し、1重量部の白金触媒を添加し、次いで600メッシュのフィルターで濾過して、離型層用塗布液B2を作成した。前記ロールフィルムを巻き出し、フィルムの帯電防止層面とは反対面に、実施例1で使用した離型層用塗布液B1の代わりに前記離型層用塗布液B2を用い、ワイヤーバーにて塗布し、140℃で30秒間乾燥し、乾燥後の塗布量が0.05g/m2 の離型層を積層し、片面に離型層を、他面に帯電防止層を有する離型フィルムを製造し、ロール状に巻き取った。さらに、前記離型フィルムロールを巻き出し、実施例1と同様の方法で厚みが5μmのセラミックシート層(セラミック粒子/バインダーの重量比:100/10)を設け、セラミックシート製造用フィルム積層体を得た。評価結果を表1に示す。
【0108】
実施例3
紫外線照射量を500mJ/cm2 とした以外は実施例1と同様にして、片面に離型層を、他面に帯電防止層を有する離型フィルムを製造し、ロール状に巻き取った。さらに、前記離型フィルムロールを巻き出し、実施例1と同様の方法で厚みが5μmのセラミックシート層(セラミック粒子/バインダーの重量比:100/10)を設け、セラミックシート製造用フィルム積層体を得た。評価結果を表1に示す。
【0109】
参考例4
重量平均分子量20万のポリ−L−乳酸100重量部に対し、平均粒子径1.0μmの凝集体シリカ粒子を0.05重量部含有したポリマー組成物を、Tダイ付き口径30mmφの押出機を使用して、樹脂温度215℃で溶融押出しした。この溶融押出し工程で、高精度濾過を行ない、濾材として濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μmのステンレス製焼結体を用いた。シート状の溶融樹脂を表面温度25℃の回転冷却ロールで冷却・固化し、厚さ564μmの未延伸フィルムを得た。複数本のセラミックロールによりフィルム温度を95℃に予熱し、ロール間で25000%/分の延伸速度で縦方向に1.5倍延伸し、更に100℃で2.6倍縦方向に2段階に分け延伸した。次いで、テンター式延伸機で横方向に80℃で3.9倍延伸した後、160℃で熱固定した後、130℃で幅方向に2.5%弛緩処理を行ない、厚さ38μmの二軸延伸ポリ−L−乳酸フィルムを得た。
【0110】
この二軸延伸ポリ−L−乳酸フィルムを使用する以外は実施例1と同様にして、片面に離型層を、他面に帯電防止層を有する離型フィルムを製造し、ロール状に巻き取った。さらに、実施例1と同様の方法で厚みが5μmのセラミックシート層(セラミック粒子/バインダーの重量比:100/10)を設け、セラミックシート製造用フィルム積層体を得た。評価結果を表1に示す。
【0111】
比較例1
付加重合反応型シリコーン樹脂(信越化学株式会社製、KS830)を溶剤(トルエン)中に樹脂固形分濃度が3重量%となるように混合・分散し、シリコーン樹脂100重量部に対し、1重量部の白金触媒を添加し、次いで600メッシュのフィルターで濾過処理を行ない、離型層用塗布液B3を作成した。次に、実施例1で得た厚さ38μmの二軸延伸PETフィルムロールを巻き出し、該フィルムの片面にワイヤーバーにて、上記塗布液B3を塗布し、140℃で30秒間乾燥及び硬化反応を行ない、乾燥後の塗布量が0.05g/m2 の離型層を設けた離型フィルムを製造し、ロール状に巻き取った。この離型フィルムロールを巻き出し、該フィルムの離型層面に実施例1と同様の方法で厚みが5μmのセラミックシート層(セラミック粒子/バインダーの重量比:100/10)を設け、セラミックシート製造用フィルム積層体を得た。評価結果を表1に示す。
本比較例1は離型フィルムに帯電防止層を設けなかった場合の例である。
【0112】
比較例2
紫外線照射量を100mJ/cm2 とした以外は実施例1と同様にして、片面に離型層を、他面に帯電防止層を有する離型フィルムを製造し、ロール状に巻き取った。さらに、実施例1と同様の方法で厚みが5μmのセラミックシート層(セラミック粒子/バインダーの重量比:100/10)を設け、セラミックシート製造用フィルム積層体を得た。評価結果を表1に示す。
本比較例2は紫外線照射量を小さいため、離型層の架橋密度が小さくなり、その結果離型層の硬度が小さくなった例である。
【0113】
比較例3
離型層の乾燥後の塗布量を0.50g/m2 とした以外は実施例2と同様にして、片面に離型層を、他面に帯電防止層を有する離型フィルムを製造し、ロール状に巻き取った。さらに、実施例1と同様の方法で厚みが5μmのセラミックシート層(セラミック粒子/バインダーの重量比:100/10)を設け、セラミックシート製造用フィルム積層体を得た。評価結果を表1に示す。
本比較例3は、離型層の厚みを厚くしたにもかかわらず硬化時間が十分ではないため、離型層の硬化が不十分となり、その結果離型層の硬度が小さくなった例である。
【0114】
比較例4
異物除去用濾材として濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が25μmのステンレス製焼結濾材を用いた以外は実施例1と同様の方法で、片面に離型層を、他面に帯電防止層を有する離型フィルムを製造し、ロール状に巻き取った。さらに、実施例1と同様の方法で厚みが5μmのセラミックシート層(セラミック粒子/バインダーの重量比:100/10)を設け、セラミックシート製造用フィルム積層体を得た。評価結果を表1に示す。
本比較例4は、離型フィルムの支持体となるポリエステルフィルムを製造する際にメルトラインでのフィルターの濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が大きいものを使用したため、異物や凝集物の除去が不十分であった例である。
【0115】
【表1】
Figure 0004482780
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のセラミック製造用フィルム積層体は、セラミックシート層と離型層とのダイナミック硬度差の絶対値を小さくしているため、セラミックシートを剥離する際の剥離力が小さく、剥離不良が起こりにくい。その結果、セラミックシートの剥離時にセラミックシートの破れや剥離不良がなく、生産性の良好なセラミックシートを得ることができる。また、本発明は、顧客の要望でセラミックシートの組成や厚みを変更する場合にも、セラミック層面と離型層面との硬度差の絶対値という尺度でそれに適応した離型フィルムを過度な実験を行なうことなく短期間に設計することができるので極めて有用である。
【0117】
また、本発明のフィルム積層体の基材である離型フィルムは離型層面の突起高さ2μm以上の突起数がヶ/m 以下と非常に少ないため、離型フィルムの離型層面に厚みが1〜5μmの非常に薄いセラミック層を設けたフィルム積層体を剥離してセラミックシートを製造しても、ピンホールなどの欠点によるショート不良や絶縁抵抗不良が発生しにくいという利点がある。
【0118】
さらに、セラミックシート形成面の離型層とは反対面に、剥離帯電が小さい、あるいは帯電減衰の早い帯電防止層を設けているため、離型フィルムとセラミックシートとの剥離帯電が小さく、剥離したセラミックシートが離型フィルムに再付着することを防止できる。

Claims (6)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面に硬化型シリコーンを主たる構成成分とする離型層を、他面に帯電防止層を設けた基材フィルムの離型層面にセラミックシート層を積層してなるフィルム積層体であって、
    前記ポリエステルがSb O を重合触媒として製造されたポリエチレンテレフタレートであり、
    前記ポリエチレンテレフタレート中のSb O の含有量がSb元素として50〜200ppmであり、
    前記基材フィルムは離型層面の突起高さ2.0μm以上の突起数がヶ/m 以下であり、
    かつ前記セラミックシート層面のダイナミック硬度Aと前記離型層面のダイナミック硬度Bとの差の絶対値|A−B|がgf/μm 以下であることを特徴とするセラミックシート製造用フィルム積層体。
  2. 前記基材フィルムは離型層面の突起高さ1.4μm以上の突起数が25ヶ/m 以下であることを特徴とする請求項1記載のセラミックシート製造用フィルム積層体。
  3. 前記基材フィルムは離型層面のラブオフ値が10以下であることを特徴とする請求項1または2記載のセラミックシート製造用フィルム積層体。(ここで、ラブオフ値とは、離型層面に粘着剤層を設けた際の離型層と粘着剤層との剥離力を、離型フィルムの離型層面を摩擦材で10往復摩擦させた後と摩擦前で測定し、摩擦後の剥離力(P10)と摩擦前の剥離力(P0)との比(P10/P0)で示されるパラメータである。)
  4. 前記基材フィルムの離型層面に厚みが1〜5μmのセラミックシート層を積層してなることを特徴とする請求項1、2、または3記載のセラミックシート製造用フィルム積層体。
  5. ポリエステルフィルム中に平均粒径1〜3μmの粒子が100〜600ppm含有することを特徴とする請求項1、2、3または4記載のセラミックシート製造用フィルム積層体。
  6. 前記基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレートを押出し機で溶融し、溶融押出し後の未延伸シートを二軸延伸するものであり、
    前記押出し機において濾過粒子サイズが20μm以下の濾材で高精度濾過することを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のセラミックシート製造用フィルム積層体。
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