以下、本発明の好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
≪グリーンシート製造用剥離フィルム≫
本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムは、グリーンシートの製造に用いられるものである。そして、製造されたグリーンシートは、例えば、セラミックコンデンサー等の製造に用いられる。
図1は、本発明のグリーンシート製造用剥離フィルムの横断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」または「表」、下側を「下」または「裏」と言う。
図1に示すように、グリーンシート製造用剥離フィルム(以下、単に「剥離フィルム」ということもある。)10は、第1の面111と第2の面112とを有する基材11と、第1の中間層12と、第2の中間層13と、剥離剤層14とを有している。第1の中間層12は、基材11の第1の面111上に設けられている。第2の中間層13は、第1の中間層12の基材11とは反対の面121上に設けられている。剥離剤層14は、第2の中間層13の第1の中間層12とは反対の面131上に設けられている。
また、剥離フィルム10を用いてグリーンシートを製造する場合、グリーンシートは、例えば、剥離剤層14の外表面141上に、溶解したセラミックスラリーを塗工することで形成される。
本発明の剥離フィルムは、基材と、第1の中間層と、第2の中間層と、剥離剤層とがこの順に積層されている。そして、本発明の剥離フィルムは、第1の中間層が紫外線硬化性樹脂を含む材料により形成され、第2の中間層が熱硬化性樹脂を含む材料により形成され、剥離剤層がシリコーン系樹脂を含む材料により形成されている点に特徴を有している。かかる剥離フィルムは、剥離剤層の外表面の平滑性に優れている。すなわち、本発明の剥離フィルムは、剥離剤層の外表面の算術平均粗さRa0が5nm以下であり、かつ、剥離剤層の外表面の最大突起高さRp0が30nm以下である。
このような剥離フィルムによれば、剥離剤層の外表面の比較的大きい突起や凹凸等がグリーンシートの表面に転写されることで生じる、グリーンシート表面のピンホールや、グリーンシートの部分的な厚みのばらつき等の発生を防止することができる。
特に、剥離フィルムは、基材と剥離剤層との間に、第1の中間層および第2の中間層を有しているため、剥離剤層の外表面の平滑性に優れている。
第1の中間層を有していないと、基材表面の凹凸を十分に埋め込むことができず、基材表面の凹凸の影響により、剥離フィルムの外表面の平滑性が十分に得られない。
また、第2の中間層を介さずに、第1の中間層上に剥離剤層を直接形成した場合、第1の中間層の表面上に、第1の中間層を形成する材料の残存物等が凝集してしまうことがある。そして、この第1の中間層上に発生した凝集物の影響により、剥離剤層の外表面に粗大突起が生じてしまい、剥離剤層の外表面の平滑性が損なわれてしまう場合がある。このような凝集物の発生は、第1の中間層を形成する材料と、剥離剤層を形成する材料との親和性が優れないことによるものと考えられる。すなわち、剥離剤層を形成する材料を第1の中間層上に塗布して剥離剤層を形成しようとすると、前記残存物等が、剥離剤層を形成する材料と混じり合った状態を維持することができず、前記残存物同士が凝集してしまうためだと考えられる。
以下、剥離フィルム10を構成する各層について、さらに詳細に説明する。
<基材11>
基材11は、剥離フィルム10に、剛性、柔軟性等の物理的強度を付与する機能を有している。
基材11は、図1に示すように、第1の面111と第2の面112とを有する。
基材11としては、特に限定されず、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂やポリメチルペンテン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート等のプラスチック等で構成されたフィルム等が挙げられ、単層フィルムであってもよいし、同種または異種の2層以上の多層フィルムであってもよい。これらの中でも特に、ポリエステルフィルムであるのが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであるのがより好ましい。特に、ポリエステルフィルムは、その加工時や使用時等において、埃等が発生しにくいものである。そのため、例えば、ポリエステルフィルムを用いて製造した剥離フィルム10を使用して、グリーンシートを製造すると、埃等によるセラミックスラリー塗工不良等を効果的に防止することができる。その結果、ピンホール等がより少ないグリーンシートを製造することができる。また、特に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであると、前記のような効果がより顕著なものとなる。
また、基材11には、前記のような材料に加え、フィラー等を含有させてもよい。フィラーとしては、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、酸化アルミニウム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このようなフィラーを含むことにより、基材11に機械的強度を付与するとともに、基材11の表裏面の滑り性が向上し、ブロッキングを特に抑制することができる。
また、第1の面111の算術平均粗さRa1が1〜100nmであるのが好ましく、2〜50nmであるのがより好ましく、3〜30nmであるのがさらに好ましい。第1の面111の算術平均粗さRa1が前記範囲内であると、第1の中間層12の厚さが比較的薄いものであっても、基材11の第1の面111の凹凸を、より好適に埋め込むことができる。これにより、第1の中間層12の基材11と反対の面121をより平滑にすることができる。その結果、剥離剤層14の外表面141に、基材11の第1の面111の凹凸が影響するのをさらに好適に防ぐことができる。
また、第1の面111の算術平均粗さRa1が前記上限値を超えると、第1の中間層12を構成する材料等によっては、第1の面111の凹凸を十分に埋めるために、第1の中間層12の厚さを比較的厚くする必要が生じる場合がある。
また、第1の面111の最大突起高さRp1が10〜800nmであるのが好ましく、15〜500nmであるのがより好ましく、20〜300nmであるのがさらに好ましい。第1の面111の最大突起高さRp1が前記範囲内であると、第1の中間層12の厚さが比較的薄いものであっても、基材11の第1の面111の凹凸を、より好適に埋め込むことができる。これにより、第1の中間層12の基材11と反対の面121をより平滑にすることができる。その結果、剥離剤層14の外表面141に、基材11の第1の面111の凹凸が影響するのをさらに好適に防ぐことができる。
また、第1の面111の最大突起高さRp1が前記上限値を超えると、第1の中間層12を構成する材料等によっては、第1の面111の凹凸を十分に埋めるために、第1の中間層12の厚さを比較的厚くする必要が生じる場合がある。
第2の面112の算術平均粗さRa2が1〜100nmであるのが好ましく、2〜50nmであるのがより好ましく、3〜30nmであるのがさらに好ましい。
第2の面112の算術平均粗さRa2が前記範囲内であると、グリーンシートが形成された剥離フィルム10を巻き取って保管する際に、グリーンシートに接する基材11の第2の面112の表面形状がグリーンシートに転写されることで、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生することを防止することができる。その結果、信頼性の高いグリーンシートを形成することができる。また、剥離剤層14の外表面141が高平滑である剥離フィルム10を、紙製、プラスチック製または金属製等のコア材に、ロール状に巻き取る際、空気抜けが良好になり、巻きずれを効果的に抑制することができる。このため、巻き取り張力を高める必要が無く、巻き取り張力に起因する巻き芯部の変形も抑制することが可能となる。
これに対して、算術平均粗さRa2が前記下限値未満であると、グリーンシート形成前の剥離フィルム10の保管時において、グリーンシート形成前の剥離フィルム10を巻き取る際に、空気を巻き込みやすく、巻きずれが生じやすいため、取り扱いが困難となる。
一方、算術平均粗さRa2が前記上限値を超えると、グリーンシート形成後の剥離フィルム10を巻き取る際に、グリーンシートに接する基材11の第2の面112の凹凸形状がグリーンシートに転写されてしまい、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生するおそれがある。そのため、グリーンシートの平滑性を十分に保持することが困難となる。
また、第2の面112の最大突起高さRp2が10〜800nmであるのが好ましく、15〜500nmであるのがより好ましく、20〜300nmであるのがさらに好ましい。第2の面112の最大突起高さRp2が前記範囲内であると、グリーンシートが形成された剥離フィルム10を巻き取って保管する際に、グリーンシートに接する基材11の第2の面112の表面形状がグリーンシートに転写されることで、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生することを防止することができる。その結果、信頼性の高いグリーンシートを形成することができる。また、剥離剤層14の外表面141が高平滑である剥離フィルム10を、紙製、プラスチック製または金属製等のコア材に、ロール状に巻き取る際、空気抜けが良好になり、巻きずれを効果的に抑制することができる。このため、巻き取り張力を高める必要が無く、巻き取り張力に起因する巻き芯部の変形も抑制することが可能となる。
これに対して、最大突起高さRp2が前記下限値未満であると、グリーンシート形成前の剥離フィルム10の保管時において、グリーンシート形成前の剥離フィルム10を巻き取る際に、空気を巻き込みやすく、巻きずれが生じやすいため、取り扱いが困難となる。
一方、最大突起高さRp2が前記上限値を超えると、グリーンシート形成後の剥離フィルム10を巻き取る際に、グリーンシートに接する基材11の第2の面112の突起形状がグリーンシートに転写されてしまい、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生するおそれがある。そのため、グリーンシートの平滑性を十分に保持することが困難となる。
なお、本明細書では、第1の面111の算術平均粗さRa1および最大突起高さRp1、第2の面112の算術平均粗さRa2および最大突起高さRp2は、JIS B0601−1994に準拠してミツトヨ社製表面粗さ測定機SV3000S4(触針式)により測定して求められる値である。そして、本明細書では、特に断りのない限り、「算術平均粗さおよび最大突起高さ」とは、前記のようにして測定して得られる値のことを指す。
また、基材11の平均厚さは、特に限定されないが、10〜300μmであるのが好ましく、15〜200μmであるのがより好ましい。これにより、剥離フィルム10の、柔軟性を適度なものとしつつ、引裂きや破断等に対する耐性を特に優れたものとすることができる。
<第1の中間層12>
図1に示すように、第1の中間層12は、基材11の第1の面111上に設けられている。この第1の中間層12は、剥離フィルム10に平滑性を付与する機能を有している。
第1の中間層12は、紫外線硬化性樹脂を含む材料により形成されている。紫外線硬化性樹脂を含む材料は、基材11の第1の面111上に塗布する際の状態、すなわち、紫外線が照射されて硬化する前の状態では、適度な流動性を有している。紫外線硬化性樹脂を含む材料が適度な流動性を有することで、第1の面111の凹凸を埋め込むように、紫外線硬化性樹脂を含む材料を第1の面111上に塗布するとことができ、さらに、その埋め込んだ状態を保持することができる。そして、紫外線硬化性樹脂を含む材料を硬化することで、第1の面111の凹凸を埋め込み、第1の中間層12の面121に、基材11の凹凸が影響することを防ぐことができる。その結果、剥離フィルム10の外表面141の平滑性を向上させることができる。
紫外線硬化性樹脂としては、硬化性(硬化反応の進行速度や、形成された第1の中間層12の硬度等)や、耐溶媒性の観点から、(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択される反応性官能基を有していることが好ましい。また、(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択される反応性官能基が1分子中に含まれる数が3つ以上であることが好ましい。上記のような紫外線硬化性樹脂を含む材料を用いることにより、第1の面111の凹凸をより確実に埋め込むことができ、よって、外表面141の平滑性をさらに向上させることができる。
また、紫外線硬化性樹脂における(メタ)アクリロイル基およびアルケニル基から選択される反応性官能基の含有量は、紫外線硬化性樹脂1kg当たり10当量以上であることが好ましい。これにより、厚さの比較的薄い第1の中間層12であっても、基材11の凹凸をより確実に埋め込むことができる。その結果、剥離フィルム10の外表面141の平滑性をさらに向上させることができる。また、紫外線硬化性樹脂を含む材料は、特に優れた硬化性を得ることができる。
紫外線硬化性樹脂としては、具体的には、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種または2種以上の多官能アクリレートを用いることが好ましい。これにより、厚さの比較的薄い第1の中間層12であっても、基材11の凹凸をより確実に埋め込むことができる。その結果、剥離フィルム10の外表面141の平滑性をさらに向上させることができる。また、紫外線硬化性樹脂を含む材料は、特に優れた硬化性を得ることができる。
紫外線硬化性樹脂を含む材料中における紫外線硬化性樹脂の含有量は、固形分換算で65〜98.5質量%であることが好ましく、71〜94質量%であることがより好ましい。これにより、第1の面111の凹凸を、より確実に埋め込むことができ、よって、剥離フィルム10の外表面141の平滑性に優れた剥離フィルム10を、より確実に得ることができる。
また、紫外線硬化性樹脂を含む材料としては、紫外線硬化性樹脂に加え、さらに、光重合開始剤が含まれていることが好ましい。これにより、紫外線硬化性樹脂を含む材料を、より効率よく硬化させることができる。
光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、α−アミノアルキルフェノン系のものを用いることがより好ましい。α−アミノアルキルフェノン系の光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-1 [4-(メチルチオ)フェニル] −2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2 −ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチル アミノ) −2−[(4−メチルフェニル)メチル] −1−[4−(4−モルホリニル)フェ ニル] −1−ブタノン等が挙げられる。これにより、特に優れた硬化性や、耐溶剤性を得ることができる。
紫外線硬化性樹脂を含む材料中における光重合開始剤の含有量は、固形分換算で1〜20質量%であることが好ましく、3〜15質量%であることがより好ましい。これにより、第1の中間層12を特に効率良く硬化させることができる。
紫外線硬化性樹脂を含む材料には、前述したような紫外線硬化性樹脂に加え、さらに、導電性材料が含まれていることが好ましい。これにより、剥離フィルム10に、より適度な導電性を付与することができ、外表面141の表面抵抗率を下げることができる。これにより、剥離フィルム10の巻き取り時や巻き出しの帯電量をさらに低減することができる。このため、外表面141に埃等の異物が付着することをさらに低減することができる。その結果、剥離剤層14上に形成されたグリーンシートにピンホールが発生することを、より確実に防ぐことができる。
第1の中間層12に含まれる導電性材料としては、従来公知の導電性材料の中から、任意のものを適宜選択して用いることができるが、中でも、ポリチオフェン系の導電性高分子を有するものであることが好ましい。これにより、剥離フィルム10の帯電量をより一層低減することができる。その結果、外表面141に埃等の異物が付着することを、さらに抑制することができ、剥離剤層14上に形成されたグリーンシートにピンホール等が発生することを、さらに確実に防ぐことが可能となる。
ポリチオフェン系の導電性高分子としては、例えば、ポリ(3−チオフェン−β−エタンスルホン酸)、ポリアルキレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホネートとの混合物等が挙げられる。
ポリアルキレンジオキシチオフェンとしては、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリプロピレンジオキシチオフェン、ポリ(エチレン/プロピレン)ジオキシチオフェン等が挙げられる。
また、導電性材料としては、導電性高分子と、紫外線硬化性樹脂を含む材料に対して可溶な可溶性ポリマーとの共重合体であるのが好ましい。これにより、導電性材料は、紫外線硬化性樹脂を含む材料に対する親和性を、より優れたものとすることができる。このため、紫外線硬化性樹脂を含む材料中に、導電性材料を、より容易、かつ、より確実に分散・混合させることができる。すなわち、導電性高分子と可溶性ポリマーとの共重合体を形成することにより、導電性材料は、紫外線硬化性樹脂を含む材料中で、安定的に分散したコロイド状態となる。これにより、全体にわたって、より均一に導電性材料が存在した第1の中間層12を得ることができ、よって、全体にわたって帯電防止性能に優れた剥離フィルム10得ることができる。
前記共重合体としては、例えば、ドープされたポリアルキレンジオキシチオフェンと、ポリ(エチレングリコール)とのブロック共重合体が挙げられる。
紫外線硬化性樹脂を含む材料中における導電性材料の含有量は、固形分換算で0.1〜30質量%であることが好ましく、0.3〜20質量%であることがより好ましい。これにより、剥離フィルム10の巻き出し時の帯電量を、より効果的に抑制することができる。導電性材料の含有量が前記下限値未満では、剥離フィルム10は、十分な帯電防止性能が得ることができない場合がある。一方、導電性材料の含有量が前記上限値を超えると、第1の中間層12の面121の表面平滑性が悪化する場合があり、また、第1の中間層12の強度が低下して凝集破壊が生じ易くなり、第2の中間層13との密着性が損なわれる場合がある。
また、紫外線硬化性樹脂を含む材料は、必要に応じて、溶媒を含むものであってもよい。これにより、基材11の第1の面111に塗布する際の紫外線硬化性樹脂を含む材料の粘度を容易に調製することができる。なお、溶媒は、紫外線硬化性樹脂を含む材料を、第1の面111に塗布した後、乾燥することで除去される。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル、キシレン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、イソプロピルアルコール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶媒の含有量は、紫外線硬化性樹脂を含む材料の塗布(塗工)性を考慮して、適宜設定すればよい。
また、紫外線硬化性樹脂を含む材料としては、前述したような成分に加え、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、充填材、重合禁止剤、硬化助剤、増感剤、分散剤等が含まれていてもよい。また、その他の成分を含む場合には、紫外線硬化性樹脂を含む材料中におけるその他の成分の含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましい。
面121の算術平均粗さRa3が0.5〜10nmであるのが好ましく、1〜8nmであるのがより好ましい。面121の算術平均粗さRa3が前記範囲内であると、外表面141に対する、基材11の第1の面111の凹凸の影響をより確実に防ぐことができる。
一方、面121の算術平均粗さRa3が前記下限値未満であると、第1の中間層12の構成材料等によっては、第2の中間層13との密着性が低下する可能性がある。また、面121の算術平均粗さRa3が前記上限値を超えると、外表面141に対する第1の中間層12の面121の凹凸の影響を防ぐために、第2の中間層13の厚さが必要以上に厚くなるおそれがある。
また、面121の最大突起高さRp3が1.0〜100nmであるのが好ましく、5.0〜80nmであるのがより好ましい。面121の最大突起高さRp3が前記範囲内であると、外表面141に対する、基材11の第1の面111の凸部の影響をより確実に防ぐことができる。
一方、面121の最大突起高さRp3が前記下限値未満であると、第1の中間層12の構成材料等によっては、第2の中間層13との密着性が低下する可能性がある。また、面121の最大突起高さRp3が前記上限値を超えると、第1の中間層12の面121の比較的大きい凸部が外表面141の粗さに影響することを防ぐために、第2の中間層13の厚さが必要以上に厚くなるおそれがある。
第1の中間層12の平均厚さは、0.3〜2.0μmであることが好ましく、0.4〜1.7μmであることがより好ましい。第1の中間層12の平均厚さが前記下限値未満であると、基材11の第1の面111の凹凸を十分に埋め込むことができず、第1の中間層12の面131の平滑性が不十分となる場合がある。このため、第1の中間層12上に設ける第2の中間層13の面131、および剥離剤層14の外表面141の平滑性が低下するおそれがある。その結果、外表面141上に形成されるグリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生するおそれがある。一方、第1の中間層12の平均厚さが前記上限値を超えると、第1の中間層12の硬化収縮により剥離フィルム10にカールが発生し易くなるおそれがある。
<第2の中間層13>
図1に示すように、第2の中間層13は、第1の中間層12の面121上に設けられている。
第2の中間層13は、剥離フィルム10に平滑性を付与する機能を有している。
第2の中間層13は、熱硬化性樹脂を含む材料により形成されている。
ここで熱硬化性樹脂とは、ポリシロキサン骨格を有するシリコーン系樹脂以外の熱硬化性樹脂のことをいう。
このような熱硬化性樹脂を含む材料により形成された第2の中間層13を設けることにより、外表面141に比較的大きい突起や凹凸等が発生することを防ぐことができる。
これに対して、第2の中間層13を設けていないもの、すなわち、第1の中間層12上に剥離剤層14を形成したものであると、第1の中間層12の面121上に、第1の中間層12を形成する材料の分解物や残存物(例えば、光重合開始剤)等が凝集してしまう場合がある。そして、この凝集物の影響により、剥離剤層14の外表面141に粗大突起等が生じることで、剥離剤層14の外表面141の平滑性が損なわれてしまうことがある。このような凝集物の発生は、第1の中間層12を形成する材料と、剥離剤層14を形成する材料との親和性が優れないことによるものと考えられる。すなわち、剥離剤層14を形成する材料を、第1の中間層12上に塗布して剥離剤層14を形成しようとすると、前記残存物等が、剥離剤層14を形成する材料と混じり合った状態を維持することができず、前記残存物同士が凝集してしまうためだと考えられる。
一方、本願発明のように、第2の中間層13を有するものであると、第2の中間層13を形成する材料に、前記残存物等を分散・混合させることができる。これにより、前記残存物等が凝集することを抑制することができ、前記残存物等を、面121上の全面にわたって均一に存在させた状態とすることができる。このため、剥離剤層14の外表面141の平滑性を特に優れたものとすることができる。
前記熱硬化性樹脂としては、質量平均分子量が950以下の熱硬化性樹脂であることが好ましく、質量平均分子量が300〜700の熱硬化性樹脂であることがより好ましい。これにより、第1の中間層12の面121に塗布して加熱する前の、熱硬化性樹脂を含む材料の粘度を、より適度なものとすることができ、熱硬化性樹脂を含む材料は、より適度な流動性を有するものとなる。このような熱硬化性樹脂を含む材料を用いて第2の中間層13を形成することで、面121上に残存した第1の中間層12を構成する材料の残存物等が凝集することを、より効果的に防止することができる。その結果、剥離剤層14の外表面141の平滑性をさらに優れたものとすることができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、アルキル化メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂などのアミノ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。これらの化合物のうち、硬化被膜の耐薬品性をより向上できる点で特にメラミン樹脂であるのが好ましい。メラミン樹脂の具体例としては、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシブチルメラミンなどが挙げられる。また、粘度を調整するため、メラミン樹脂に加え、さらに、水酸基を有する1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール等のジオール化合物や、他の熱硬化性樹脂を含有させてもよい。
また、メラミン樹脂を含む場合、熱硬化性樹脂を含む材料中におけるメラミン樹脂の含有量は、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。これにより、前述した効果が特に顕著に発揮される。
第2の中間層13を形成する際には、硬化触媒として酸性触媒を含有させることが好ましい。特に、メラミン樹脂を用いる場合には、酸性触媒を含有させることが好ましい。
酸性触媒としては、特に制限はなく、熱硬化性樹脂との架橋反応触媒として機能するものであればよい。酸性触媒の具体例としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などの有機系の酸性触媒が好適である。この酸性触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化触媒の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して0.1〜15質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
また、熱硬化性樹脂を含む材料は、必要に応じて、溶媒を含むものであってもよい。これにより、第1の中間層12の面121に塗布する際の熱硬化性樹脂を含む材料の粘度を、より容易に調製することができる。なお、溶媒は、熱硬化性樹脂を含む材料を、面121に塗布した後、加熱・乾燥することで除去される。
溶媒としては、特に限定されず、例えば、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサンノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等や、これらの混合溶媒等が挙げられる。
また、溶媒の含有量は、熱硬化性樹脂を含む材料の塗布(塗工性)を考慮して、適宜設定すればよい。
また、熱硬化性樹脂を含む材料としては、前述したような成分に加え、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、充填材、重合開始剤、重合禁止剤、硬化助剤、分散剤等が含まれていてもよい。また、その他の成分を含む場合には、熱硬化性樹脂を含む材料中におけるその他の成分の含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましい。
また、面131の算術平均粗さRa4が0.1〜8.0nmであるのが好ましく、0.5〜5.0nmであるのがより好ましい。面131の最大突起高さRp4が前記範囲内であると、最終的に得られる剥離フィルム10の外表面141の平滑性がさらに向上する。また、第2の中間層13と、面131上に形成された剥離剤層14との密着性が特に優れたものとなる。
また、面131の最大突起高さRp4が1.0〜25.0nmであるのが好ましく、3.0〜20.0nmであるのがより好ましい。面131の最大突起高さRp4が前記範囲内であると、最終的に得られる剥離フィルム10の外表面141の平滑性がさらに向上する。また、第2の中間層13と、面131上に形成された剥離剤層14との密着性が特に優れたものとなる。
第2の中間層13の平均厚さは、0.1〜2.0μmであり、0.2〜1.0μmであることが好ましい。第2の中間層13の平均厚さが前記下限値未満であると、第2の中間層13を面121上に均一に形成することが困難となる。また、第2の中間層13を面121上に形成しようとすると、はじきに起因するピンホールが発生し易くなり、第2の中間層13の平滑性が低下する場合がある。また、第2の中間層13の平均厚さが前記上限値を超えると、熱硬化性樹脂を含む材料を加熱硬化させた時の硬化収縮が大きくなり、カールが発生し、面131の平面性が損なわれる場合がある。
<剥離剤層14>
図1に示すように、剥離剤層14は、第2の中間層13の面131上に設けられている。この剥離剤層14は、剥離フィルム10に剥離性を付与する機能を有している。
剥離剤層14は、シリコーン系樹脂を含む材料により形成されている。シリコーン系樹脂は、表面自由エネルギーが比較的低く、撥液性をする。このため、剥離剤層14のグリーンシートに対する剥離性を特に優れたものとすることができ。これにより、剥離性に優れた剥離フィルム10を得ることができる。
シリコーン系樹脂としては、具体例には、基本骨格としてジメチルポリシロキサンを有するシリコーン系樹脂等を用いることができる。シリコーン系樹脂としては、付加反応型、縮合反応型、紫外線硬化型、電子線硬化型等がある。付加反応型シリコーン系樹脂は、反応性が高く生産性に優れている。また、付加反応型シリコーン系樹脂は、縮合反応型のものと比較すると、製造後の剥離力の変化が小さい、硬化収縮が無い等のメリットがある。このため、付加反応型のシリコーン樹脂を、剥離剤層14を構成する剥離剤として使用することが好ましい。
前記付加反応型シリコーン系樹脂の具体例としては、分子の末端および/または側鎖に、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基を2個以上備えたオルガノポリシロキサンが挙げられる。
このような付加反応型シリコーン系樹脂を用いる際には、架橋剤および触媒を併用することが好ましい。
前記架橋剤としては、例えば1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。具体的には、ジメチルハイドロジェンシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖ジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、トリメチルシロキシ基末端封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリ(ハイドロジェンシルセスキオキサン)等が挙げられる。
また、前記触媒としては、微粒子状白金、炭素粉末担体上に吸着された微粒子状白金、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、パラジウム、ロジウム等の白金属系化合物等が挙げられる。このような触媒を用いることにより、シリコーン系樹脂を含む材料の硬化反応をより効率よく進行させることができる。
また、シリコーン系樹脂を含む材料は、必要に応じて、溶媒を含むものであってもよい。これにより、第1の中間層12の面131に塗布する際のシリコーン系樹脂を含む材料の粘度を容易に調製することができる。なお、溶媒は、シリコーン系樹脂を含む材料を、面131に塗布した後、加熱・乾燥することで除去される。
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類のほか、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、イソプロピルアルコール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶媒の含有量は、シリコーン系樹脂を含む材料の塗布(塗工性)を考慮して、適宜設定すればよい。
また、シリコーン系樹脂を含む材料としては、前述したような成分に加え、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、充填材、重合開始剤、重合禁止剤、硬化助剤、分散剤等が含まれていてもよい。また、その他の成分を含む場合には、シリコーン系樹脂を含む材料中におけるその他の成分の含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましい。
また、前述したように、剥離剤層14の外表面141、すなわち剥離フィルム10の外表面141の算術平均粗さRa0は5nm以下である。
外表面141の算術平均粗さRa0が前記範囲内であると、外表面141上に形成されたグリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生することを、より確実に防止することができる。その結果、グリーンシートの表面をより高平滑なものにすることができる。
特に、外表面141の算術平均粗さRa0が0.1〜4.5nmであるのが好ましく、0.2〜4.0nmであるのがより好ましい。これにより、前述の効果がより顕著なものとなる。
また、前述したように、剥離剤層14の外表面141の最大突起高さRp0は、30nm以下である。外表面141の算術平均粗さRa0が前記範囲内であると、外表面141上に形成されたグリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生することを、より確実に防止することができる。その結果、グリーンシートの表面をより高平滑なものにすることができる。
特に、外表面141の最大突起高さRp0が1.0〜25.0nmであるのが好ましく、3.0〜20.0nmであるのがより好ましい。これにより、前述の効果がより顕著なものとなる。
剥離剤層14の平均厚さは、0.01〜2.0μmであるのが好ましく、0.02〜1.0μmであるのがより好ましい。剥離剤層14の平均厚さが前記下限値未満であると、剥離剤層14を構成する材料等によっては、前述したような剥離剤層14としての機能が十分に発揮されない場合がある。一方、剥離剤層14の平均厚さが前記上限値を超えると、剥離フィルム10をロール状に巻き取った際に、ブロッキングが発生し易くなり、巻き取り不良が生じたり、巻き出し時の帯電性が高くなる等の問題が生じる場合がある。
また、外表面141の表面抵抗率は、1.0×1012Ω/□以下であるのが好ましく、1.0×1011Ω/□以下であるのがより好ましい。表面抵抗率が前記範囲内のものであると、外表面141に、静電気の発生に起因する埃等の異物が付着することを、より確実に低減させることができる。
なお、表面抵抗率とは、本明細書においては単位表面積あたりの抵抗を示す。また、表面抵抗率の単位は、本明細書においてはΩ/□を使用する。
また、表面抵抗率の測定は、JIS K6911(1995)に準拠して行うことができる。
また、剥離フィルム10に、剥離剤層14の外表面141側から10.0kVの電圧を60秒間印加したときの印加停止時の帯電圧が1kV以下であり、印加停止時の帯電圧から該帯電圧の半分の帯電圧に低下するまでの時間(半減期)が1.0秒以下であることが好ましい。これにより、剥離フィルム10を巻き出す際に、外表面141に異物が付着するのをさらに確実に低減することができる。その結果、剥離剤層14上に形成されたグリーンシートにピンホールが発生するのをさらに確実に防ぐことが可能となる。
特に、印加停止時の帯電圧から該帯電圧の半分の帯電圧に低下するまでの時間(半減期)が0.5秒以下であることがより好ましく、0.3秒以下であることがさらに好ましい。これにより、前述の効果がより顕著なものとなる。
また、帯電圧半減期の測定は「STATIC HONESTMER」[シシド静電気株式会社製]を用いて行うことができる。
≪グリーンシート製造用剥離フィルムの製造方法≫
次に、前述したような剥離フィルム10の製造方法の好適な実施形態について説明する。
本実施形態の剥離フィルム10の製造方法は、基材準備工程と、第1の中間層形成工程と、第2の中間層形成工程と、剥離剤層形成工程とを有している。
以下、各工程について詳細に説明する。
<基材準備工程>
まず、基材11を準備する。
基材11の第1の面111には、必要に応じて、酸化法などによる表面処理を施すことが可能である。これにより、基材11と、基材11の第1の面111側に設けられる第1の中間層12との密着性を特に優れたものとすることができる。
酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、これらの表面処理法は、基材11の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にコロナ放電処理法が効果および操作性の面から好ましく用いられる。
<第1の中間層形成工程>
次に、基材11の第1の面111に、第1の中間層12を形成する。
具体的には、まず、第1の中間層12を構成する紫外線硬化性樹脂を含む材料として、前述したような材料を混合したものを用意する。
次いで、基材11の第1の面111に、液状をなす紫外線硬化性樹脂を含む材料を塗布して第1の塗布層を得る。その後、紫外線硬化性樹脂を含む材料に溶媒が含まれる場合には、第1の塗布層を乾燥させ、紫外線を照射し、それを硬化させる。これにより、第1の中間層12を得る。なお、紫外線硬化性樹脂を含む材料が溶媒を含む場合には、乾燥の際に溶媒は除去される。
紫外線硬化性樹脂を含む材料は、塗布プロセスから乾燥プロセスの間に、基材11の第1の面111の凹凸の凹部の空間および凸部の斜面を埋め、それによって、平滑化された第1の塗布層を形成する。
紫外線硬化性樹脂を含む材料の塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法などが使用できる。
紫外線の照射量は、積算光量が50〜1000mJ/cm2であるのが好ましく、100〜500mJ/cm2であるのがより好ましい。照射量が前記範囲内の値であると、第1の塗布層をより均一にかつ確実に硬化させることができる。
<第2の中間層形成工程>
次に、第1の中間層12の基材11と反対の面121側に、第2の中間層13を形成する。
具体的には、まず、第2の中間層13を構成する熱硬化性樹脂を含む材料として、前述したような材料を混合したものを用意する。
次いで、第1の中間層12の基材11と反対の面121上に、液状をなす熱硬化性樹脂を含む材料を塗布して第2の塗布層を得る。その後、第2の塗布層を加熱することにより、第2の塗布層を硬化させる。なお、熱硬化性樹脂を含む材料が溶媒を含む場合には、加熱の際に溶媒は除去される。これにより、第2の中間層13を得る。
熱硬化性樹脂を含む材料の塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法などが使用できる。
加熱方法としては、特に限定されないが、例えば、熱風乾燥炉等を用いた加熱方法が挙げられる。
また、加熱条件としては、特に限定されないが、加熱温度は、80〜150℃であるのが好ましく、加熱時間は5秒間〜1分間であるのが好ましい。これにより、第2の中間層13の不本意な変質を防ぐことができるとともに、第2の中間層13を特に効率よく形成することができる。その結果、最終的に得られる剥離フィルム10の生産性を向上させることができる。
<剥離剤層形成工程>
次に、第2の中間層13の第1の中間層12と反対の面131側に、剥離剤層14を形成する。
具体的には、まず、剥離剤層14を構成するシリコーン系樹脂を含む材料として、前述したような材料を混合したものを用意する。
次いで、面131上に、液状をなすシリコーン系樹脂を含む材料を塗布して第3の塗布層を得る。その後、第3の塗布層を乾燥・加熱することにより、第3の塗布層を硬化させる。これにより、剥離剤層14を得る。なお、シリコーン系樹脂を含む材料が溶媒を含む場合には、乾燥・加熱の際に溶媒は除去される。
シリコーン系樹脂を含む材料を塗布する方法としては、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法などが使用できる。
また、乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、熱風乾燥炉等を用いた乾燥方法が挙げられる。
また、乾燥条件としては、特に限定されないが、乾燥温度は、50〜130℃であるのが好ましく、乾燥時間は5秒間〜1分間であるのが好ましい。これにより、剥離剤層14の不本意な変質を防ぐことができるとともに、剥離剤層14を特に効率よく形成することができる。その結果、最終的に得られる剥離フィルム10の生産性を向上させることができる。また、乾燥温度が前記範囲内の温度であると、シリコーン系樹脂を含む材料が溶媒等を含むものである場合に、乾燥時の溶媒等の蒸発を伴う、剥離剤層14の反りやひび等の発生を特に防ぐことができる。
また、剥離剤層14は、上記のように第3の塗布層を乾燥・加熱することにより形成したものであってもよいし、第3の塗布層を乾燥させ、活性エネルギー線を照射することにより形成したものであってもよい。
活性エネルギー線としては、例えば、赤外線、可視光線、紫外線、X線のような電磁波、電子線、イオンビーム、中性子線およびα線のような粒子線等が挙げられ、これらの中でも、紫外線または可視光線を用いるのが好ましく、紫外線であるのがより好ましい。これにより、剥離剤層14を、より容易かつ確実に形成することができる。
活性エネルギー線(紫外線または可視光線)の波長としては、特に限定されないが、例えば、200〜600nmであるのが好ましく、250〜450nmであるのがより好ましい。波長が前記範囲内のものであれば、第3の塗布層を硬化する硬化時間を十分に短くしつつ、第3の塗布層をより均一に硬化させることができる。
また、活性ネルギー線を照射する手段としては、特に限定されず、種々の一般的手段を利用することができる。例えば光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプなどの光源ランプを用いることができる。
また、活性エネルギー線(紫外線または可視光線)を照射する場合には、活性エネルギー線の照射量は、積算光量が50〜400mJ/cm2であるのが好ましく、100〜300mJ/cm2であるのがより好ましい。照射量が前記範囲内の値であると、第3の塗布層をより均一にかつ確実に硬化させることができる。
また、活性エネルギー線を照射する時間としては、特に限定されないが、5秒間〜1分間であるのが好ましい。これにより、剥離剤層14を特に効率よく形成することができる。その結果、最終的に得られる剥離フィルム10の生産性を向上させることができる。
以上のような工程によれば、平滑性に優れ、剥離性に優れた信頼性の高い剥離フィルム
10を、容易かつ確実に製造することができる。
また、このような剥離フィルム10を用いてグリーンシートを製造すれば、グリーンシートの表面にピンホール等が生じるのを防止することができる。
なお、剥離フィルム10を用いてセラミックコンデンサーを製造する方法としては、例えば、剥離フィルム10の剥離剤層14の外表面141に、セラミック粉末分散スラリーを塗布、乾燥してグリーンシートを形成した後、剥離フィルム10から剥離したグリーンシートを積層し、焼成して得られたセラミックシートに電極を形成する方法が挙げられる。このように、剥離フィルム10を用いて形成されたグリーンシートによりセラミックコンデンサーを形成すれば、短絡による不具合の発生が防止された信頼性の高いセラミックコンデンサーを得ることができる。
以上、本発明を好適実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の剥離フィルムの構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。また、本発明の剥離フィルムの製造方法は、任意の製造工程が付加されていてもよい。
例えば、前述した実施形態では、剥離フィルムは、基材と、第1の中間層と、第2の中間層と、剥離剤層とがこの順に積層された4層構造をなすものとして説明したが、これに限定されない。例えば、第2の中間層と、剥離剤層との間に、さらに第3の中間層を設けてもよい。このような第3の中間層としては、例えば、第2の中間層と、剥離剤層との密着性をさらに向上させるものであってもよく、また、例えば、グリーンシート形成前の剥離フィルムを巻き取る際の帯電の発生をより抑制させるものであってもよい。
例えば、前述した本実施形態では、基材は単層構造のものとして説明したが、これに限定されず、基材は、同種又は異種の2層以上の多層構造のものであってもよい。また、1の中間層、第2の中間層、および、剥離剤層についても同様に、単層構造のものとして説明したが、これに限定されず、剥離剤層についても、同種又は異種の2層以上の多層構造をなすものであってもよい。
また、例えば、前述した実施形態では、基材の第1の面上に、第1の中間層と、第2の中間層と、剥離剤層とがこの順に積層された剥離フィルムについて説明したが、これに限定されず、基材の第2の面側に、第1の中間層、第2の中間層、剥離剤層等が設けられていてもよい。
また、本発明の剥離フィルムの製造方法は、前述した方法に限定されるものではなく、必要に応じて任意の工程が追加されてもよい。
次に、本発明の剥離フィルムの具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[1]グリーンシート製造用剥離フィルムの作製
(実施例1)
まず、基材としての二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム[平均厚さ:31μm、第1の面の算術平均粗さRa1:30nm、第1の面の最大突起高さRp1:262nm、第2の面の算術平均粗さRa2:8nm、第2の面の最大突起高さRp2:46nm]を用意した。
次に、紫外線硬化性樹脂としてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(固形分100質量%)94.5質量部と、光重合開始剤としてのα-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤(BASF社製、商品名「IRGACURE907」、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、固形分100質量%)5質量部と、導電性材料としてのポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)テトラメタクリラート末端キャップ0.5質量部とを、イソプロピルアルコール/メチルエチルケトン混合溶媒(質量比3/1)で希釈して、固形分20質量%の、紫外線硬化性樹脂を含む材料を得た。
得られた紫外線硬化性樹脂を含む材料を、バーコーターで基材の第1の面上に塗布し、第1の塗布層を得た。その後、この第1の塗布層を、80℃で1分間乾燥させて、紫外線を照射(積算光量:250mJ/cm2)して第1の中間層(平均厚さ1.0μm)を形成した。
次いで、熱硬化性樹脂としてのメチル化メラミン樹脂(日立化成ポリマー社製、商品名「テスファイン200」、固形分80質量%)25質量部をイソプロピルアルコールにて希釈し、p−トルエンスルホン酸の50質量%メタノール溶液3質量部を混合し、固形分濃度6質量%の、熱硬化性樹脂を含む材料を調製した。
次いで、前記熱硬化性樹脂を含む材料を、バーコーターで前記第1の中間層の基材とは反対の面に均一に塗布し、第2の塗布層を得た。その後、この第2の塗布層を、130℃で1分間加熱硬化させ、第2の中間層(0.25μm)を形成した。
さらに、剥離剤としての付加反応型シリコーン系樹脂と架橋剤との混合物(信越化学工業株式会社製、商品名「シリコーンKS−847H」、固形分30質量%)100質量部をトルエンで希釈し、これに白金触媒(信越化学工業株式会社製、商品名「PL−50T」)2質量部を添加して混合することにより、固形分1.5質量%の、シリコーン系樹脂を含む材料を得た。
得られたシリコーン系樹脂を含む材料を、乾燥後の平均厚さが0.1μmとなるように、第2の中間層の第1の中間層とは反対の面に均一に塗布し、第3の塗布層を得た。その後、この第3の塗布層を、130℃で1分間加熱硬化させて剥離剤層を形成し、剥離フィルムを製造した。
(実施例2および実施例3)
第2の中間層の平均厚さを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法にて剥離フィルムを作製した。
(実施例4)
実施例1における第2の中間層に用いる熱硬化型樹脂をビスフェノールA型エポキシエステル化合物[日立化成ポリマー社製、商品名「TA31−059D」、固形分50質量%]に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて剥離フィルムを作製した。
(実施例5)
第1の中間層を構成する紫外線硬化性樹脂を含む材料に、導電性材料を加えなかったこと以外は、実施例1と同様の方法にて剥離フィルムを作製した。
(実施例6)
第2の中間層を形成するにあたり用いる熱硬化性樹脂を含む材料を変更した以外は、実施例1と同様の方法にて剥離フィルムを作製した。
具体的には、熱硬化性樹脂を含む材料としては、熱硬化型樹脂としてのポリエステル化合物[東洋紡績(株)社製、商品名「バイロン20SS」、固形分30質量%]80質量部と、架橋剤としてのメチル化メラミン化合物20質量部、触媒のp−トルエンスルホン酸の50質量%メタノール溶液3質量部とを、トルエンおよびメチルエチルケトンの混合物で希釈して、固形分6質量%の熱硬化性樹脂を含む材料を調製したものを用いた。
(比較例1)
第1の中間層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様の方法にて剥離フィルムを作製した。
(比較例2)
第2の中間層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様の方法にて剥離フィルムを作製した。
(比較例3)
剥離剤層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様の方法にて剥離フィルムを作製した。
各実施例および各比較例の剥離フィルムの構成等を表1にまとめて示した。
なお、表中、熱硬化性樹脂としてのメチル化メラミン樹脂(日立化成ポリマー社製、商品名「テスファイン200」、固形分80質量%)を「メラミン」、熱硬化性樹脂としてのビスフェノールA型エポキシエステル化合物(日立化成ポリマー社製、商品名「TA31−059D」、固形分50質量%)を「エポキシ」、ポリエステル化合物[東洋紡績(株)社製、商品名「バイロン20SS」、固形分30質量%]を「ポリエステル」と示した。
なお、各実施例、および各比較例の剥離フィルムについて、第1の中間層、第2の中間層および剥離剤層の平均厚さ(平均膜厚)を、反射式膜厚計「F20」[フィルメトリックス株式会社製]にて測定した。
また、各実施例、および各比較例の剥離フィルムについて、算術平均粗さ、および最大突起高さは、次のようにして測定した。まず、ガラス板に両面テープを貼付した。次に、各実施例、および各比較例で得られた剥離フィルムを、該両面テープ上に、測定する面とは反対側の面がガラス板側になるようにして固定した。こうして、算術平均粗さ、および最大突起高さを、JIS B0601−1994に準拠してミツトヨ社製表面粗さ測定機SV3000S4(触針式)にて測定した。
また、各実施例、および各比較例の剥離フィルムについて、剥離剤層側の表面の抵抗率を次のようにして測定した。実施例および比較例で得られた剥離フィルムを100mm×100mmに裁断し、これをサンプルとした。このサンプルを23℃、相対湿度50%の条件下で24時間調湿した後、アドバンテスト社製「R12704レジスティビティチャンバ」およびアドバンテスト社製「デジタルエレクトロメータR8252」を使用し、JIS K6911(1995)に準拠して、剥離剤層側の表面の抵抗率を測定した。
また、剥離フィルムの、剥離剤層側の表面の帯電圧半減期を次のようにして測定した。実施例、および比較例で得られた剥離フィルムを40mm×40mmに裁断し、これをサンプルとした。サンプルを23℃、相対湿度50%の環境下で24時間調湿した後、帯電圧測定装置「STATIC HONESTMER」[シシド静電気株式会社製]を使用し、JIS K6911(1995)に準拠して、剥離剤層側の表面の半減期を測定した。具体的には、まず、前記サンプルを、帯電圧測定装置のターンテーブル上に設置し、1300rpmで回転させながら10kVの電圧を、剥離剤層の外表面側から印加した。次いで、電圧の印加を開始してから60秒後の剥離フィルムの帯電圧を測定した。また、電圧の印加を開始してから60秒経過した後速やかに電圧の印加を停止し、帯電圧が電圧の印加を停止する直前の測定値の1/2になるまでの時間を測定した。
剥離剤層側の表面の抵抗率、および帯電圧半減期については、下記の評価ともに表2に示した。
[2]評価
以上のようにして得られたグリーンシート製造用剥離フィルムに関して、以下のような評価を行った。
[2.1]巻き出し帯電量
各実施例、および各比較例で得られた剥離フィルムを、幅400mm、長さ5000mのロール状に巻き上げた。この剥離フィルムロールを40℃、湿度50%以下の環境下に30日間保管した。その後、50m/minで剥離フィルムを巻き出す際の帯電量を、春日電機社製「KSD−0103」を用いて測定した。帯電量は、剥離フィルムを巻き出し、巻き出し長さが500mに達したところで測定した。測定箇所は、剥離フィルムの、巻き出し方向に沿った一対の外縁のうちの一方から、中央線方向へ100mm離れた箇所で測定した。
A:帯電量が±5kV未満。
B:帯電量が±5〜10kV。
C:帯電量が±10kV超。
[2.2]スラリー塗工性評価
チタン酸バリウム粉末(堺化学工業社製、商品名「BT−03」、BaTiO3)100質量部、バインダーとしてのポリビニルブチラール(積水化学工業社製,商品名「エスレックB・K BM−2」)8質量部、および可塑剤としてのフタル酸ジオクチル(関東化学社製、商品名「フタル酸ジオクチル 鹿1級」)4質量部に、トルエン/エタノール混合溶媒(質量比6/4)135質量部を加えた。これらの物質をボールミルにて混合分散させて、セラミックスラリーを調製した。各実施例、および各比較例で得られた剥離フィルムの剥離剤層の外表面に、前記セラミックスラリーを、ダイコーターにて、乾燥後の厚さが1μm、幅250mm、長さ10mになるように塗布して塗布層を得た。この塗布層を80℃で1分間乾燥させ、グリーンシートが形成された剥離フィルムを得た。その後、グリーンシートが形成された剥離フィルムについて、剥離フィルム側から蛍光灯にて光を照射して、グリーンシート面を目視で観察した。以下の判断基準でセラミックスラリーの塗工性を評価した。
A:グリーンシートにピンホールがなかった。
B:グリーンシートに1〜5個のピンホールが見つかった。
C:グリーンシートに6個以上のピンホールが見つかった。
[2.3]グリーンシート剥離性評価
前記[2.2]で形成したグリーンシートを、剥離フィルムから剥離した。このとき、グリーンシートが正常に剥離できるか評価した。
A:グリーンシートが破れることなく、スムーズに剥離できた。また、剥離剤層上にグリーンシートが残らなかった。
B:グリーンシートが破れることなく、ややスムーズさに欠けるものの剥離できた。また、剥離剤層上にグリーンシートが残らなかった。
C:グリーンシートを剥離するときに、グリーンシートが破れるか、または剥離できなかった。
[2.4]剥離剤層の欠陥評価(剥離剤層の凹部数評価)
ポリビニルブチラール樹脂をトルエン/エタノール混合溶媒(質量比6/4)にて溶解した塗工液を、各実施例および比較例で得られた剥離フィルムの剥離剤層の上に、乾燥後の厚さが3μmとなるように、塗布して塗布層を得た。塗布層を80℃で1分間乾燥させて、ポリビニルブチラール樹脂層を形成した。次いで、そのポリビニルブチラール樹脂層の表面にポリエステルテープを貼付した。次いで、剥離フィルムをポリビニルブチラール樹脂層から剥離し、ポリビニルブチラール樹脂層をポリエステルテープに転写した。次いで、剥離フィルムの剥離剤層に接触していたポリビニルブチラール樹脂層の面を、光干渉式表面形状観察装置「WYKO−1100」[株式会社Veeco社製]を用いて観察した。観察条件は、PSIモード、50倍率とした。ポリビニルブチラール樹脂層の面の91.2×119.8μmの範囲内で、ポリビニルブチラール樹脂層の面に確認される、剥離剤層の形状が転写された150nm以上の深さを有する凹部をカウントした。凹部の数を以下の判断基準で評価した。
A:凹部の数が0個である。
B:凹部の数が1〜5個である。
C:凹部の数が6個以上である。
なお、上記基準Cと評価されたポリビニルブチラール樹脂層(グリーンシート)を用いてコンデンサを作製した場合、耐電圧低下によるショートが発生し易い傾向があった。
これらの結果を表2に示す。
表2から明らかなように、本発明の剥離フィルムは、スラリーの塗工性、成膜されたグリーンシートの剥離性に優れていた。また、本発明の剥離フィルムは、グリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生することを抑制させる効果があった。また、本発明の剥離フィルムは、ロール状にしてから巻き出す際の帯電量を低減できるものであった。また、本発明の剥離フィルムは、剥離フィルム背面へのグリーンシートの転着を防止できるものであった。これに対して、比較例では満足な結果が得られなかった。