JP2003118058A - 剥離性積層フィルムおよびそれを用いたセラミックグリーンシート用工程フィルム - Google Patents

剥離性積層フィルムおよびそれを用いたセラミックグリーンシート用工程フィルム

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JP2003118058A JP2001313767A JP2001313767A JP2003118058A JP 2003118058 A JP2003118058 A JP 2003118058A JP 2001313767 A JP2001313767 A JP 2001313767A JP 2001313767 A JP2001313767 A JP 2001313767A JP 2003118058 A JP2003118058 A JP 2003118058A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、ポリエステル基材フィルムの表面に
形成されたポリビニルアルコール層を容易に剥離除去し
て、ポリエステル基材フィルムのみを純度よく回収する
ことができる積層フィルムを提供するものである。 【解決手段】ポリエステル基材フィルムの少なくとも片
面にワックス化合物を含有してなるポリエステル層
(A)が形成され、該ポリエステル層(A)の上にポリ
ビニルアルコール層が形成されてなる積層フィルムであ
って、該ポリビニルアルコール層とポリエステル基材フ
ィルムとの剥離強度が0.5mN/cm以上30mN/
cm以下であることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は剥離性積層フィルム
に関するものであり、詳しくは加工工程において剥離性
が必要となる工程用フィルムとして好適な剥離性積層フ
ィルムに関するものである。さらに詳しくはセラミック
グリーンシート用に好適に使用でき、使用済みの工程フ
ィルムからポリエステルフィルムを容易に分離回収でき
る剥離性積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリエステルフィルムの表面に
硬化性シリコーン樹脂膜などの離型層を設けた離型フィ
ルムが、セラミックコンデンサー、セラミック基板、ド
ライフィルムレジストなどの電子部品製造用工程フィル
ムとして用いられている。
【0003】とりわけポリエチレンテレフタレートフィ
ルムを基材とした離型フィルムは耐熱性、寸法安定性、
平滑性、透明性、機械強度等に優れることから、例え
ば、セラミック積層コンデンサーやセラミック多層基板
製造工程において、セラミックグリーンシート成形用工
程フィルムとして大量に使用されている。
【0004】このような工程フィルムは、該工程フィル
ム上に形成されたグリーンシートを剥離してセラミック
積層体を作成した後は、工程フィルム上に残存したセラ
ミック残渣とともに廃棄されるのが通常である。
【0005】しかしながら、昨今の環境問題の高まりか
ら、使用後の工程フィルムの再利用方法を構築すること
が求められている。
【0006】ところが、セラミックが残存する工程フィ
ルムをそのまま回収して使用しようとした場合、例え
ば、使用後の工程フィルムを再溶融してフィルムを製膜
しようとした場合は、異物等を取り除く濾過工程でフィ
ルターがセラミックによって目詰まりを起こし、結果と
して炉圧が上昇し、高精度な濾過ができなくなる。
【0007】また、仮に濾過工程の問題が解決されたと
しても、工程フィルム表面の硬化性シリコーン樹脂成分
がポリエチレンテレフタレートに混入するため、溶融粘
度の低下による機械物性の低下や製膜安定性の低下を招
き、表面粗大突起や粗大欠点の発生、着色、押出時の異
臭の発生等を抑制することが困難であり、実用的なフィ
ルムとして再生することができない。
【0008】また、他の用途、例えば杭やプランターな
どの射出成形品、ブロー成型品などの比較的原料樹脂の
純度が低くても適用可能な成形品として再生しようとし
た場合も、フィルムの場合と同様に着色や発泡、強度低
下等の発生が避けられず、容易に再利用できないのが現
状である。
【0009】そこで、使用後の工程フィルムから、残存
するセラミックや硬化性シリコーン樹脂膜を何らかの方
法で除去し、フィルムとして再生することが考えられる
が、現在考えられているいずれの方法によっても非常に
多くの労力、コストが避けられず、またこれらの不純物
を完全には除去できないため、実用化されていないのが
現状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、上記の問題点を解決し、工程フィルムとして使用
した後には、不要部分を容易に剥離して、純度の高いポ
リエステルフィルムのみを効率よく回収して、再生原料
とすることができる剥離性積層フィルムを提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の剥離性積層フィルムは、ポリエ
ステル基材フィルムの少なくとも片面にワックス化合物
を含有してなるポリエステル層(A)が形成され、該ポ
リエステル層(A)の上にポリビニルアルコール層が形
成されてなる積層フィルムであって、該ポリビニルアル
コール層とポリエステル基材フィルムとの剥離強度が
0.5mN/cm以上30mN/cm以下であることを
特徴とする剥離性積層フィルムおよびそれを用いたセラ
ミックグリーンシート用工程フィルムである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり工程
フィルムとして使用した後に、容易にポリエステル基材
フィルムのみを分離回収することができる工程フィルム
について鋭意検討した結果、ポリエステル基材フィルム
の少なくとも片面にワックス化合物を含有してなるポリ
エステル層(A)が形成され、該ポリエステル層(A)
の上にポリビニルアルコール層が形成されてなる積層フ
ィルムであって、該ポリビニルアルコール層とポリエス
テル基材フィルムとの剥離強度が0.5mN/cm以上
30mN/cm以下である剥離性積層フィルムとするこ
とにより、かかる課題を一挙に解決できることを究明し
たものである。
【0013】本発明の剥離性積層フィルムは、ポリエス
テル基材フィルムの少なくとも片面にワックス化合物を
含有してなるポリエステル層(A)が形成され、該ポリ
エステル層(A)の上にポリビニルアルコール層が形成
されてなる積層フィルムであって、該ポリビニルアルコ
ール層とポリエステル基材フィルムとの剥離強度が0.
5mN/cm以上30mN/cm以下であることが肝要
である。該剥離強度は好ましくは0.5mN/cm以上
20mN/cm、より好ましくは0.5mN/cm以上
10mN/cm以下である。剥離強度が0.5mN/c
m未満であると、積層フィルムを巻き取る工程でポリビ
ニルアルコール層が部分的に剥離したり、また、セラミ
ックスラリーを塗布する工程でポリビニルアルコール層
が部分的に剥離して、塗布むらが発生したりする恐れが
あるので好ましくない。また、剥離強度が30mN/c
mを越えると、ポリビニルアルコール層を剥離する工程
で破れが発生したり、セラミックグリーンシートと一体
で剥離する場合にしわが発生したり破れたりするので好
ましくない。剥離強度を本発明の範囲とすることによっ
てのみ、ポリビニルアルコール層がスムースに剥離で
き、セラミックグリーンシートとの一体での剥離も可能
となり、工程フィルムとして使用した後に、ポリビニル
アルコール層およびその上のセラミック残渣を容易に分
離することができ、クリーンなポリエステル基材フィル
ムのみを回収することができるものである。
【0014】本発明におけるポリエステル基材フィルム
を構成するポリエステルとしては、ジカルボン酸成分と
グリコール成分を主たる構成成分とするポリエステルが
好ましく使用される。
【0015】かかるジカルボン酸成分としては、芳香族
ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン
酸を用いることができ、芳香族ジカルボン酸成分として
は、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレン
ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニル
エーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホン
ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フ
ェニルエンダンジカルボン酸等を用いることができる。
脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えばコハク酸、ア
ジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン
酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸等を用いることが
できる。また、脂環族ジカルボン酸成分としては、例え
ば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を用いること
ができる。
【0016】これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、
2種以上併用してもよく、さらにはヒドロキシ安息香酸
等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。
【0017】また、グリコール成分としては、例えばエ
チレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3
−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3
−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2
−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサ
ンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、スピログリコール、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,
2′ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プ
ロパン等を用いることができる。中でもエチレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログ
リコールが好ましく用いられる。これらのグリコール成
分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0018】また、本発明の効果を阻害しない範囲で、
フィルムの成形性、取扱い性の向上を目的として、上記
ポリエステルに、トリメリット酸、トリメシン酸、ペン
タエリストール、トリメチロールプロパン、グリセリン
等の多官能化合物やp−オキシ安息香酸等のオキシジカ
ルボン酸等を共重合してもよい。
【0019】本発明のポリエステルとして好ましくは、
ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレート
とエチレンイソフタレートとの共重合体、ポリエチレン
−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ブチレンテレフタレートとエチレンテレフタレート
との共重合体、ブチレンテレフタレートとヘキサメチレ
ンテレフタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフ
タレートと1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタ
レートとの共重合体、エチレンテレフタレートとエチレ
ン−2,6−ナフタレートとの共重合体およびこれらの
ブレンド物等を用いることができる。
【0020】本発明におけるポリエステル基材フィルム
の厚さは特に限定されるものではないが、強度、剛性の
点から10〜200μmが好ましく用いられる。
【0021】本発明において、ポリビニルアルコール層
の剥離強度を本発明の範囲内にするには、ポリエステル
基材フィルムの少なくとも片面に上記のワックス化合物
を含有してなるポリエステル層(A)を形成し、該ポリ
エステル層(A)のワックス化合物の含有量を調整する
ことによって達成することができる。ポリエステル層
(A)にワックス化合物を含有していないかまたはその
含有量が少な過ぎると、ポリビニルアルコール層との剥
離力が強くなり過ぎる。また逆に、ワックス化合物の含
有量が多すぎるとポリビニルアルコール層の剥離力が弱
くなり過ぎる。
【0022】本発明において、ワックス化合物として
は、例えば、脂肪族カルボン酸化合物と脂肪族アルコー
ル化合物とのエステル化合物や、脂肪族カルボン酸化合
物と脂肪族アミン化合物とのアミド化合物などが使用で
き、好ましくはワックスを構成する総炭素数が30〜1
20の化合物が好ましく、より好ましくは40〜100
である。この様な化合物としては、例えば、ステアリル
ステアレート、カルナウバワックス、キャンデリラワッ
クス、ライスワックス、ペンタエリスリトールフルエス
テル、ベヘニルベヘネート、パルチルミリステート、ス
テアリルトリグリセリドといった脂肪族エステル等から
なる合成あるいは天然ワックス等がポリエステルとの相
溶性の点から好ましく用いられる。特に、ポリビニルア
ルコール層の剥離性の点から、カルナウバワックスを添
加することが好ましく、中でも精製カルナウバワックス
を使用することが好ましい。フィルム中におけるワック
ス化合物の添加量は、0.1〜2重量%が好ましく、よ
り好ましくは0.2〜1重量%、特に好ましくは0.3
〜0.8重量%である。
【0023】本発明におけるポリエステルにワックス化
合物を添加含有する方法は特に限定されないが、ワック
ス化合物の分散性を向上させ安定した性能を発現させる
点やフィルムを製膜する工程での汚れを抑制する点から
下記の様な重合工程で添加する方法が好ましい。 (1)ポリエステル重合時にワックス化合物を添加する
方法。 (2)ワックス化合物を多量に添加したマスターポリマ
ー(ワックスマスターポリエステル)を重合によって製
造し、ワックス化合物を含有しないもしくは、少量含有
するポリエステル(希釈ポリエステル)とを所定量混合
し、混練する方法。
【0024】なお、本発明において、ワックス化合物と
してカルナウバワックスを添加したポリエステルを存在
させる場合には、特にゲルマニウム触媒を使用して重合
することが分散性の向上の点から特に好ましく、ゲルマ
ニウム元素を1〜200ppm含有していることが好ま
しく、より好ましくは10〜100ppm、特に好まし
くは20〜80ppmである。また(2)の方法でフィ
ルムを得る場合、カルナウバワックスマスターポリマー
は上述の通りゲルマニウム触媒を使用することが好まし
いが、希釈ポリエステルはゲルマニウム触媒に限定され
るものではない。従って、ワックスをポリマー中に添加
する調整方法やマスターポリマーを使用する方法や複合
等のフィルム構成に依存するが、ゲルマニウム元素はフ
ィルム中に0.1〜200ppm含有することが好まし
く、より好ましくは1〜200ppm、一層好ましくは
10〜100ppm、特に好ましくは20〜80ppm
である。
【0025】本発明のポリエステル基材フィルムの構成
としては、もちろん単層(A層のみ)であってもよい
が、A/Bの2層、A/B/AあるいはA/B/Cの3
層、さらには3層より多層の積層構成であってもよく、
積層厚み比も任意に設定することができるが、好ましく
はA/Bの2層である。
【0026】A/Bの2層構成の場合、少なくともA層
には、上記のワックスが含有されてなることが肝要であ
る。A層にワックスを特定量含有したものとすることに
より、その上に形成したポリビニルアルコール層の剥離
強度を本発明の範囲とすることができるのである。
【0027】本発明におけるポリエステル基材フィルム
を2層以上で構成する場合、ワックス化合物を含有して
なるポリエステル層(A)の厚さは任意に設定できる
が、複合製膜での積層均一性の点から、ポリエステル層
(A)/ポリエステル基材フィルムの厚さ比として、
0.5/100〜99.5/100の範囲とするのが好
ましく、より好ましくは1/100〜99/100、特
に好ましくは2/100〜98/100である。
【0028】本発明におけるポリエステル基材フィルム
は、強度、剛性、寸法安定性、表面平滑性等の点から二
軸延伸フィルムであるのが好ましい。
【0029】二軸延伸フィルムの製造方法としては、例
えば、各ポリエステル原料を乾燥した後、公知の溶融押
出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出
し、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに
密着させ、冷却固化して未延伸シートを得る。延伸方式
としては、同時二軸または逐次二軸延伸のいずれでもよ
いが、該未延伸シートをフイルムの長手方向および幅方
向に延伸、熱処理して、目的とする厚さのフィルムを得
る。好ましくはフィルムの品質の点でテンター方式によ
るものが好ましく、長手方向に延伸した後、幅方向に延
伸する逐次二軸延伸方式、長手方向、幅方向をほぼ同時
に延伸していく同時二軸延伸方式が望ましい。延伸倍率
としては、それぞれの方向に1.5〜4.0倍、好まし
くは1.8〜4.0倍である。長手方向、幅方向の延伸
倍率はどちらを大きくしてもよく、同一としてもよい。
【0030】また、延伸速度は1000%/分〜200
000%/分であることが望ましく、延伸温度は、ポリ
エステルのガラス転移温度以上ガラス転移温度+80℃
以下であれば任意の温度とすることができるが、通常は
80〜150℃が好ましい。
【0031】更に、二軸延伸の後にフイルムの熱処理を
行なうが、この熱処理はオ−ブン中、加熱されたロ−ル
上等、従来公知の任意の方法で行なうことができる。熱
処理温度は通常120℃以上245℃以下の任意の温度
とすることができるが、好ましくは120〜240℃で
ある。また、熱処理時間は任意とすることができるが、
通常1〜60秒間行なうことが好ましい。熱処理は、フ
イルムをその長手方向および/または幅方向に弛緩させ
つつ行ってもよい。さらに、再延伸を各方向に対して1
回以上行ってもよく、その後熱処理を行っても良い。
【0032】ポリエステル基材フィルムを2層以上で構
成する場合には、上記ポリエステル原料を2台以上の押
出機に供給し、2層以上のマニホールド、合流ブロック
を用いて、ポリエステル層(A)が最表層になるように
積層し、スリット状口金からシート状に溶融押出しした
後、上記の二軸延伸法により、製造することができる。
【0033】本発明におけるポリビニルアルコール層を
形成するポリビニルアルコールの鹸化度は特に限定され
ないが、塗工性の点から好ましくは70モル%以上であ
り、より好ましくは75〜99.9モル%、特に好まし
くは80〜95モル%である。また、ポリビニルアルコ
ールの重合度は特に限定されないが、膜強度の点から好
ましくは100以上、より好ましくは300〜4000
0、特に好ましくは500〜5000である。
【0034】また、本発明では、ポリビニルアルコール
層の厚さを変更したり、ポリビニルアルコール層に界面
活性剤やワックスを添加することによっても剥離力を調
整することができる。
【0035】本発明におけるポリビニルアルコール層の
厚さは、剥離性および強度の点から好ましくは0.1〜
20μmであり、より好ましくは0.1〜10μm、特
に好ましくは0.1〜5μmである。
【0036】本発明において、ポリビニルアルコール層
を形成する方法としては特に限定されないが、ポリビニ
ルアルコール水溶液をバーコート、グラビアコート、リ
バースロールコート、ドクターブレードコート等従来公
知の方法で塗布した後、乾燥することによって形成でき
る。塗布は、オフコートであってもよいし、ポリエステ
ル基材フィルムの製造工程で、例えば二軸延伸ポリエス
テルフィルムの製造工程で、延伸前、または延伸後にイ
ンラインコートしてもよい。この場合、ポリビニルアル
コールを塗布する直前に、ポリエステル層(A)の表面
に空気、その他のガス雰囲気中でコロナ放電処理を施す
のが好ましい。
【0037】ポリビニルアルコールを塗布する場合、ポ
リビニルアルコール水溶液の濃度は任意に設定できる
が、塗布の均一性の点から、1〜20重量%であるのが
好ましく、より好ましくは1〜15重量%であり、特に
好ましくは1〜10重量%である。
【0038】本発明のポリビニルアルコール層には、本
発明の効果を損なわない範囲で、他のポリマーを併用し
てもよい。併用するポリマーは、水溶性または水分散性
であるのが好ましく、中でも水溶性または水分散性のポ
リエステル系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アク
リル系樹脂、エチレンアイオノマー系樹脂、エチレン−
ビニルアルコール系樹脂の少なくとも1種からなるもの
が好ましい。併用するポリマーの混合割合は50重量%
未満であるのが好ましい。
【0039】本発明のポリビニルアルコール層には耐水
性、耐有機溶剤性を高めるために架橋剤を添加してもよ
い。架橋剤としては、メチロール化またはアルキロール
化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルア
ミド系、ポリアミド系化合物、エポキシ化合物、アリジ
リン化合物等を用いることができる。架橋剤の添加量は
ポリビニルアルコール固形分に対して1〜30重量%で
あるのが好ましい。
【0040】本発明におけるポリビニルアルコール層に
は、必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、帯電防止剤、結晶核剤、顔料、可塑剤、末
端封鎖剤、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤ある
いはポリシロキサン等の消泡剤、界面活性剤等を配合す
ることができる。中でも、基材フィルムのポリエステル
層(A)とポリビニルアルコール層との濡れ性を向上す
るために、界面活性剤を添加するのが好ましい。
【0041】界面活性剤としては特に制限はなく、カル
ボン酸塩などのアニオン系界面活性剤、アンモニウム塩
などのカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコール
型、多価アルコール型等の非イオン系界面活性剤等を用
いることができ、中でも非イオン系界面活性剤を好まし
く用いることができる。
【0042】また、本発明のポリビニルアルコール層に
は濡れ性と剥離性を向上する目的で、ワックスを添加し
てもよい。ワックスとしては、水に溶解、乳化または懸
濁する石油系ワックスまたは植物性ワックス、およびそ
の混合物が好ましく用いられる。石油系ワックスとして
は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワック
ス、酸化ワックス等を用いることができる。また、植物
性ワックスとしてはカルナウバワックス、キャンデラワ
ックス、木ロウ、オリキューリーワックス、さとうきび
ロウ等を用いることができる。
【0043】上記の界面活性剤やワックスは、どちらか
1種のみ用いてもよく、2種を併用してもよい。この場
合、ワックスの添加量はポリビニルアルコール固形分1
00重量部に対して1〜30重量部の範囲が好ましく、
より好ましくは5〜20重量部の範囲である。また、界
面活性剤の添加量はポリビニルアルコール水溶液100
重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、より好
ましくは0.05〜2重量部の範囲である。
【0044】本発明のポリビニルアルコール層は、目的
に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性を付与
する方法としては、特に制限はされないが、例えば、ク
レー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カ
ルシウム、カオリン、タルク、アルミナ、ジルコニア、
スピネル、湿式あるいは乾式シリカなどの無機粒子、ア
クリル酸系ポリマー類、ポリスチレン等を構成成分とす
る有機粒子等を配合する方法、界面活性剤を塗布する方
法等を採用することができる。かかる粒子の配合量とし
ては、ポリマー100重量部に対して0.05〜10重
量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部であ
る。また、配合する粒子の平均径としては、0.01〜
3μmが好ましく、より好ましくは0.1〜2μmであ
る。このような粒子は、種類、平均径の異なる複数の併
用であってもよい。
【0045】本発明の剥離性積層フィルムには必要に応
じてポリビニルアルコール層表面に硬化型シリコーン樹
脂を塗布してもよい。シリコーン硬化型樹脂としては、
付加型、縮合型、紫外線硬化型、電子線硬化型等いずれ
の硬化反応タイプでも用いることができる。具体例とし
て、信越化学工業(株)製KS−774、KS−77
5、KS−778、KS−779H、KS−856、X
−62−2422、X−62−2461、KNS−30
5、KNS−3000、X−62−1256、ダウ・コ
ーニング・アジア(株)製DKQ3−202、DKQ3
−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DK
Q3−210、東芝シリコーン(株)製YSR−302
2、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6
721、東レ・ダウ・コーニング(株)製SD722
0、SD7226、SD7229等を用いることができ
る。
【0046】硬化型シリコーン樹脂を塗布する方法とし
ては、バーコート、リバースロールコート、グラビアコ
ート、ロッドコート、エアドクターコート、ドクターブ
レードコート等、従来公知の塗工方式を用いることがで
きる。硬化型シリコーン樹脂の厚みは、塗工性、離型性
の点から0.01〜2μmの範囲であるが好ましい。
【0047】本発明は、上述したように、ポリエステル
基材フィルムの少なくとも片面にワックス化合物を含有
してなるポリエステル層(A)を形成し、該ポリエステ
ル層(A)の上にポリビニルアルコール層を形成し、該
ポリビニルアルコール層の剥離強度を特定した剥離性積
層フィルムとしたので、該積層フィルムのポリビニルア
ルコール層表面に、セラミックグリーンシートの成形や
硬化型シリコーン被膜形成などの、いかなる表面処理、
表面加工がなされた後においても、基材フィルムとポリ
ビニルアルコール層との界面で容易に剥離することがで
き、基材フィルム部分のみを簡単に分離回収することが
可能となる。また、このようにして回収された基材フィ
ルムは、セラミック残渣やシリコーン樹脂膜などの不純
物を含まないので、純度の高い再生原料としてリサイク
ルできる。
【0048】特に、本発明の剥離性積層フィルムを積層
セラミックコンデンサーなどのグリーンシート製造用工
程フィルムとして用いる場合には、ポリビニルアルコー
ル層上に直接セラミックグリーンシートを形成し、基材
フィルムと該ポリビニルアルコール層の間で剥離して、
ポリビニルアルコール層付きセラミックグリーンシート
を得ることが出来る。このポリビニルアルコール層付き
セラミックグリーンシートは、有機物であるポリビニル
アルコール層がセラミック焼成工程で分解気化するの
で、従来の積層セラミック部品の製造工程に全く付加工
程を加えることなく、基材フィルム部分のみを分離回収
でき、さらに、従来必須とされていた基材フィルム上へ
のシリコーン硬化膜の形成を不要とすることができる。
さらに、ポリビニルアルコール層付きセラミックグリー
ンシートを用いれば、ポリビニルアルコール層がセラミ
ックグリーンシートの補強材の役目を果たすため、極薄
グリーンシートの搬送や積層などのハンドリング性が著
しく向上するという利点がある。
【0049】また、セラミックの焼成処理など500℃
以上の高温処理が行われない用途、あるいは焼成処理が
行われる場合でもシリコーン硬化膜の特性が必要な場合
においては、従来の離型フィルムと同様に、ポリビニル
アルコール層の上面に硬化性シリコーン樹脂膜を形成し
て離型フィルムとすることもできる。この場合にも、使
用済の離型フィルムから基材フィルムのみを分離しよう
とする際に、不純物となっていた種々の表面残渣、たと
えばセラミック成分や硬化性シリコーン樹脂膜、表面加
工残渣等は、ポリビニルアルコール層ごと剥離除去する
ことによって、容易にかつ完全に基材フィルムから除去
することができる。
【0050】[特性の評価方法] (1)積層フィルムの剥離強度 厚さ2mmの表面平滑なアクリル板に、積層フィルムの
基材フィルム面を両面テープで貼り付け、ポリビニルア
ルコール層表面にポリエステル粘着テープ(日東電工
(株)製No.31B、幅19mm)を貼り付けて、粘
着テープの一端をテンシロン引張試験機(東洋測器
(株)UTMIII)で、速度100mm/minで180度方
向に引張り、基材フィルムとポリビニルアルコール層間
の剥離力を測定した。剥離強度(mN/cm)は、S−
Sカーブの立ち上がり部分を除いた剥離長さ50mm以
上の平均剥離力(T)から、次式により算出し、サンプ
ル数5個の平均値を採用した。
【0051】 剥離強度=T/W (mN/cm) T:平均剥離力 (mN) W:サンプル幅 (1.9cm) (2)セラミックグリーンシートの塗布性および剥離性 積層フィルムのポリビニルアルコール層の上面に、スク
リーン印刷機でセラミックスラリーを塗布して乾燥し、
10cm×10cm、厚さ10μmのセラミックグリー
ンシートを形成した。該グリーンシート上に、ポリエス
テル粘着テープ(日東電工(株)製No.31B、幅1
9mm)を貼り付けて、幅19mm、長さ100mmの
短冊状サンプルを切り出し、セラミックグリーンシート
をポリビニルアルコール層と一体で、基材フィルムから
剥離した。塗布状態および剥離状態を目視観察し、以下
のように判定した。 <塗布性>セラミックスラリーがむらなく、均一に塗布
できたものを○、塗布むらが発生したものを×とした。 <剥離性>セラミックグリーンシートがポリビニルアル
コール層と一体で、しわやクラックを生じることなく容
易に剥離できたものを○、セラミックグリーンシートに
しわやクラックが発生したものを×とした。 (3)ポリエステル基材フィルムの回収性 上記のサンプルを用いて、セラミックグリーンシートと
ポリビニルアルコール層とを一体で基材フィルムから剥
離した後、基材フィルムの表面を目視観察して、以下の
ように判定した。
【0052】基材フィルムの表面にセラミック残渣が全
くなく、クリーンな基材フィルムが回収できたものを
○、基材フィルムの表面にセラミック残渣が少しでも残
存したものを×とした。
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。
【0053】実施例1 (ポリエステル基材フィルムの作製)ポリエステルとし
て、凝集シリカ粒子を含有するエチレングリコールスラ
リーを190℃で2時間熱処理した後、エステル化反応
終了後にスラリーを添加し、重縮合反応を行ない、カル
ナウバワックスを0.5重量%添加したポリエチレンテ
レフタレートのチップAを製造した。本チップを所定量
計量後、180℃3時間真空乾燥して単軸押出機に供給
し、Tダイ口金から吐出後、静電印加しながら25℃の
鏡面冷却ドラムにて冷却固化してカルナウバワックスス
0.5重量%含有する未延伸フィルムを得た。この未延
伸フィルムをロール式延伸機に導き、85℃の予熱ロー
ルで予熱した後、温度95℃の周速差のあるロール間で
長手方向に3.3倍に延伸し、一旦室温まで冷却した
後、テンター式横延伸機に送り込み、温度95℃で幅方
向に3.5倍に延伸した。さらにテンターの熱処理ゾー
ンで200℃の雰囲気下で、リラックス5%、5秒間の
熱処理を施して、厚さ40μmのポリエステルフィルム
を作製した。 (ポリビニルアルコール層の形成)上記フィルムの片面
にコロナ放電処理を施した後、ポリビニルアルコール1
0重量%水溶液(日本合成化学工業(株)“ゴーセノー
ル”GH−17、鹸化度:86.5〜89%)に界面活性剤
(エアープロダクツジャパン(株)“サーフィノール”
504)を0.5重量部添加して、バーコーター(番手
6)で塗布し、熱風オーブン中で120℃×5分間加熱
して、厚さ1μmのポリビニルアルコール層を形成し
た。 (剥離強度)上記積層フィルムのポリビニルアルコール
層の剥離強度を測定したところ、強度は2mN/cmで
あった。 (セラミックグリーンシートの塗布性と剥離性)上記積
層フィルムのポリビニルアルコール層上面に、下記組成
のセラミックスラリーをスクリーン印刷機で塗布し、熱
風オーブン中で85℃×10分乾燥して厚さ10μmの
グリーンシートを形成した。セラミックスラリーはむら
なく、均一に塗布できた。 《セラミックスラリー組成》 チタン酸バリウム粉体(平均粒径1.1μm,焼結密度5.84) 90重量部 結合剤(ホ゜リヒ゛ニルフ゛チラール樹脂:重合度200〜700,粘度:10〜30cps) 10重量部 可塑剤(フタル酸ジオクチル) 1重量部 トルエン/MEK混合溶媒(1:1の配合比率) 50重量部 次いで、上記セラミックグリーンシートをポリビニルア
ルコール層と一体で基材フィルムから剥離したところ、
セラミックグリーンシートがポリビニルアルコール層と
一体で容易に剥離できた。 (基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表
面を観察した結果、セラミック残渣は全く残存しておら
ず、クリーンな基材フィルムが回収できた。
【0054】評価結果は表1に示すとおり、剥離性積層
フィルムは、ポリビニルアルコール層が容易に剥離で
き、セラミックグリーンシート用工程フィルムとして使
用しても塗布性と剥離性に優れ、使用後もクリーンな基
材フィルムを容易に回収できた。
【表1】
【0055】実施例2 (ポリエステル基材フィルムの作製)実施例1におい
て、カルナウバワックスを添加しないで、ポリエチレン
テレフタレートのチップBを製造した。
【0056】実施例1で作製したチップA、および上記
のチップBをそれぞれ所定量計量後、180℃3時間真
空乾燥して、チップAを押出機I(A層)に、チップB
を押出機II(B層)に供給し、2層のマニホールドを通
過させた後にT型口金から吐出し、静電印加しながら2
5℃の鏡面冷却ドラムにて冷却固化してA層/B層の2
層構成の未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを
ロール式延伸機に導き、85℃の予熱ロールで予熱した
後、温度95℃の周速差のあるロール間で長手方向に
3.3倍に延伸し、一旦室温まで冷却した後、テンター
式横延伸機に送り込み、温度95℃で幅方向に3.5倍
に延伸した。さらにテンターの熱処理ゾーンで200℃
の雰囲気下で、リラックス5%、5秒間の熱処理を施し
て、厚さ40μm(A層2μm/B層38μm)のポリ
エステルフィルムを作製した。 (ポリビニルアルコール層の形成)上記フィルムのA層
面に、実施例1と同様にして、ポリビニルアルコール層
を形成した。 (剥離強度)上記積層フィルムのポリビニルアルコール
層の剥離強度を測定したところ、強度は3mN/cmで
あった。 (セラミックグリーンシートの塗布性と剥離性)実施例
1と同様にして、厚さ10μmのセラミックグリーンシ
ートを形成した。セラミックスラリーはむらなく、均一
に塗布できた。
【0057】次いで、該セラミックグリーンシートをポ
リビニルアルコール層と一体で基材フィルムから剥離し
たところ、セラミックグリーンシートがポリビニルアル
コール層と一体で容易に剥離できた。 (基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表
面を観察した結果、セラミック残渣は全く残存しておら
ず、クリーンな基材フィルムが回収できた。評価結果は
表1に併せて示すとおり、剥離性積層フィルムは、ポリ
ビニルアルコール層が容易に剥離でき、セラミックグリ
ーンシート用工程フィルムとして使用しても塗布性と剥
離性に優れ、使用後もクリーンな基材フィルムを容易に
回収できた。
【0058】実施例3 (積層フィルムの作製)実施例2において、チップAの
カルナウバワックスの添加量を1.0重量%としたこと
以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを作製し
た。 (剥離強度)上記積層フィルムのポリビニルアルコール
層の剥離強度を測定したところ、強度は0.8mN/c
mであった。 (セラミックグリーンシートの塗布性と剥離性)実施例
1と同様にして、厚さ10μmのセラミックグリーンシ
ートを形成した。セラミックスラリーはむらなく、均一
に塗布できた。
【0059】次いで、該セラミックグリーンシートをポ
リビニルアルコール層と一体で基材フィルムから剥離し
たところ、セラミックグリーンシートがポリビニルアル
コール層と一体で容易に剥離できた。 (基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表
面を観察した結果、セラミック残渣は全く残存しておら
ず、クリーンな基材フィルムが回収できた。評価結果は
表1に併せて示すとおり、剥離性積層フィルムは、ポリ
ビニルアルコール層が容易に剥離でき、セラミックグリ
ーンシート用工程フィルムとして使用しても塗布性と剥
離性に優れ、使用後もクリーンな基材フィルムを容易に
回収できた。
【0060】実施例4 (積層フィルムの作製)実施例2において、チップAの
カルナウバワックスの添加量を0.1重量%としたこと
以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを作製し
た。 (剥離強度)上記積層フィルムのポリビニルアルコール
層の剥離強度を測定したところ、強度は10mN/cm
であった。 (セラミックグリーンシートの塗布性と剥離性)実施例
1と同様にして、厚さ10μmのセラミックグリーンシ
ートを形成した。セラミックスラリーはむらなく、均一
に塗布できた。
【0061】次いで、該セラミックグリーンシートをポ
リビニルアルコール層と一体で基材フィルムから剥離し
たところ、セラミックグリーンシートがポリビニルアル
コール層と一体で容易に剥離できた。 (基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表
面を観察した結果、セラミック残渣は全く残存しておら
ず、クリーンな基材フィルムが回収できた。評価結果は
表1に併せて示すとおり、剥離性積層フィルムは、ポリ
ビニルアルコール層が容易に剥離でき、セラミックグリ
ーンシート用工程フィルムとして使用しても塗布性と剥
離性に優れ、使用後もクリーンな基材フィルムを容易に
回収できた。
【0062】実施例5 (積層フィルムの作製)実施例2において、ポリビニル
アルコール10重量%に代えて、下記組成の10重量%
水溶液を塗布したこと以外は、実施例2と同様にして積
層フィルムを作製した。
【0063】 ポリビニルアルコール(GH−17) 80重量部 ワックス(広栄化学(株) “KEK−T”) 20重量部 (剥離強度)上記積層フィルムのポリビニルアルコール
層の剥離強度を測定したところ、強度は8mN/cmで
あった。 (セラミックグリーンシートの塗布性と剥離性)実施例
1と同様にして、厚さ10μmのセラミックグリーンシ
ートを形成した。セラミックスラリーはむらなく、均一
に塗布できた。
【0064】次いで、該セラミックグリーンシートをポ
リビニルアルコール層と一体で基材フィルムから剥離し
たところ、セラミックグリーンシートがポリビニルアル
コール層と一体で容易に剥離できた。 (基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表
面を観察した結果、セラミック残渣は全く残存しておら
ず、クリーンな基材フィルムが回収できた。評価結果は
表1に併せて示すとおり、剥離性積層フィルムは、ポリ
ビニルアルコール層が容易に剥離でき、セラミックグリ
ーンシート用工程フィルムとして使用しても塗布性と剥
離性に優れ、使用後もクリーンな基材フィルムを容易に
回収できた。
【0065】実施例6 (硬化型シリコーン樹脂膜の形成)実施例2で作製した
積層フィルムの、ポリビニルアルコール層の表面にバー
コーター(番手6)で下記組成の硬化型シリコーン樹脂
を塗布し、熱風オーブン中で90℃×1分加熱硬化し
た。 《硬化型シリコーン樹脂組成》 シリコーン樹脂(東レ・タ゛ウコーニンク゛・シリコーン(株)製LTC300B) 100重量 部 硬化剤(東レ・タ゛ウコーニンク゛・シリコーン(株)製SRX−212) 0.8重量 部 溶剤(トルエン) 499.2重量部 (セラミックグリーンシートの塗布性と剥離性)上記硬
化型シリコーン樹脂膜の上面に実施例1と同様にして、
厚さ10μmのセラミックグリーンシートを形成した。
セラミックスラリーはむらなく、均一に塗布できた。
【0066】該セラミックグリーンシートを剥離したと
ころ、硬化型シリコーン樹脂膜との界面で該セラミック
グリーンシートを容易に剥離することができた。 (基材フィルムの回収性)上記のセラミックグリーンシ
ート剥離後の積層フィルムから、硬化型シリコーン樹脂
膜と一体になったポリビニルアルコール層を剥離し、基
材フィルムの表面を観察したところ、セラミック残渣は
全く残存しておらず、クリーンな基材フィルムが回収で
きた。評価結果は表1に併せて示すとおり、剥離性積層
フィルムは、ポリビニルアルコール層が容易に剥離で
き、セラミックグリーンシート用工程フィルムとして使
用しても塗布性と剥離性に優れ、使用後もクリーンな基
材フィルムを容易に回収できた。
【0067】比較例1 (積層フィルムの作製)実施例1において、カルナウバ
ワックスを添加しないで、ポリエチレンテレフタレート
のチップBを製造し、該チップBを用いたこと以外は実
施例1と同様にして積層フィルムを作製した。 (剥離強度)上記積層フィルムのポリビニルアルコール
層の剥離強度を測定したところ、強度は47mN/cm
であった。 (セラミックグリーンシートの塗布性と剥離性)実施例
1と同様にして、厚さ10μmのセラミックグリーンシ
ートを形成した。セラミックスラリーがむらなく、均一
に塗布できた。次いで、該セラミックグリーンシートを
ポリビニルアルコール層と一体で基材フィルムから剥離
したところ、ポリビニルアルコール層の剥離性が不十分
で、セラミックグリーンシートにクラックが発生した。 (基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表
面を観察したところ、セラミック残渣が斑点状に付着、
残存していた。評価結果は表1に併せて示すとおり、こ
の比較例の積層フィルムはポリビニルアルコール層が剥
離しにくいため、セラミックグリーンシート用工程フィ
ルムとして使用後の基材フィルム表面にセラミック残渣
が残存し、回収性に劣っていた。
【0068】比較例2 (積層フィルム)実施例2において、カルナウバワック
スの添加量を0.05重量%としたこと以外は、実施例
2と同様にして積層フィルムを作製した。 (剥離強度)上記積層フィルムのポリビニルアルコール
層の剥離強度を測定したところ、強度は33mN/cm
であった。 (セラミックグリーンシートの塗布性と剥離性)実施例
1と同様にして、厚さ10μmのセラミックグリーンシ
ートを形成した。セラミックスラリーがむらなく、均一
に塗布できた。次いで、該セラミックグリーンシートを
ポリビニルアルコール層と一体で基材フィルムから剥離
したところ、ポリビニルアルコール層の剥離性が不十分
で、セラミックグリーンシートにクラックが発生した。 (基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表
面を観察したところ、セラミック残渣が斑点状に付着、
残存していた。評価結果は表1に併せて示すとおり、こ
の比較例の積層フィルムはポリビニルアルコール層が剥
離しにくいため、セラミックグリーンシート用工程フィ
ルムとして使用後の基材フィルム表面にセラミック残渣
が残存し、回収性に劣っていた。
【0069】比較例3 (積層フィルムの作製)実施例2において、カルナウバ
ワックスの添加量を2.5重量%としたこと以外は、実
施例2と同様にして積層フィルムを作製した。 (剥離強度)上記積層フィルムのポリビニルアルコール
層の剥離強度を測定したところ、強度は0.3mN/c
mであった。 (セラミックグリーンシートの塗布性と剥離性)実施例
1と同様にして、スクリーン印刷機でセラミックスラリ
ーを塗布して乾燥したところ、ポリビニルアルコール層
が部分的に基材フィルムから浮き上がって塗布むらが発
生した。該セラミックグリーンシートをポリビニルアル
コール層と一体で基材フィルムから剥離したが、グリー
ンシートにしわが発生した。 (基材フィルムの回収性)上記剥離後の基材フィルム表
面を観察したところ、セラミック残渣は残存しておら
ず、クリーンな基材フィルムが回収できた。
【0070】評価結果を表1に併せて示す。この比較例
は、セラミックグリーンシートの塗布性に劣るものであ
った。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、ポリエステル基材フィ
ルム面に形成されたポリビニルアルコール層が容易に剥
離できるので、例えばセラミックコンデンサーなどのグ
リーンシート製造用工程フィルムとして使用した後、該
フィルムを廃棄することなく、基材フィルムのみを容易
に回収できる。また、回収された基材フィルムは、セラ
ミック残渣などの不純物を含まないので、純度の高い再
生原料としてリサイクルできる。
【0072】また、本発明の剥離性積層フィルムを積層
セラミックコンデンサーなどのグリーンシート製造用工
程フィルムとして用いる場合には、ポリビニルアルコー
ル層上に直接セラミックグリーンシートを形成した後、
ポリビニルアルコールとグリーンシートを一体で剥離す
ることが出来る。このポリビニルアルコール層付きセラ
ミックグリーンシートは、有機物であるポリビニルアル
コール層がセラミック焼成工程で分解気化するので、従
来の積層セラミック部品の製造工程に全く付加工程を加
えることなく、基材フィルム部分のみを分離回収でき、
さらに、従来必須とされていた基材フィルム上へのシリ
コーン硬化膜の形成を不要とすることができる。
【0073】また、ポリビニルアルコール層の上面に硬
化性シリコーン樹脂膜を形成したフィルムを、従来と同
様、シリコーン樹脂膜を形成した工程フィルムとして使
用することも可能であり、その場合にも、使用後のフィ
ルムから、シリコーン樹脂膜とポリビニルアルコール層
とを一体で剥離することにより、クリーンな基材フィル
ムのみを回収することができる。
【0074】さらに、ポリビニルアルコール層付きセラ
ミックグリーンシートを用いれば、ポリビニルアルコー
ル層がセラミックグリーンシートの補強材の役目を果た
すため、極薄グリーンシートの搬送や積層などの取扱い
性が著しく向上するという利点もある。
【0075】本発明の剥離性積層フィルムは、上記の効
果を奏するので、セラミックグリーンシート用工程フィ
ルムとしてだけでなく、貼付薬保護シート、粘着ラベル
や粘着テープ等の台紙、あるいは成形樹脂表面保護シー
ト、液晶ディスプレイに用いられる偏光板や位相差板等
の液晶表示板保護シート、包装用フィルム等、多くの用
途に応用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AJ11B AJ11C AK21C AK41A AK41B BA03 BA07 BA10A BA10C BA16 CA18C JK06 JL14 YY00 4G052 DA02 DB01 DB10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステル基材フィルムの少なくとも
    片面にワックス化合物を含有してなるポリエステル層
    (A)が形成され、該ポリエステル層(A)の上にポリ
    ビニルアルコール層が形成されてなる積層フィルムであ
    って、該ポリビニルアルコール層とポリエステル基材フ
    ィルムとの剥離強度が0.5mN/cm以上30mN/
    cm以下であることを特徴とする剥離性積層フィルム。
  2. 【請求項2】 前記ポリビニルアルコール層とポリエス
    テル基材フィルムとの剥離強度が0.5mN/cm以上
    10mN/cm以下である請求項1に記載の剥離性積層
    フィルム。
  3. 【請求項3】 前記ワックス化合物が、カルナウバワッ
    クスであることを特徴とする請求項1または2のいずれ
    かに記載の剥離性積層フィルム。
  4. 【請求項4】 前記ポリビニルアルコール層の厚さが
    0.1〜20μmである請求項1〜3のいずれかに記載
    の剥離性積層フィルム。
  5. 【請求項5】 前記ポリビニルアルコール層に界面活性
    剤が含有されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の剥
    離性積層フィルム。
  6. 【請求項6】 前記ポリビニルアルコール層にワックス
    が含有されてなる請求項1〜5のいずれかに記載の剥離
    性積層フィルム。
  7. 【請求項7】 前記ポリエステルフィルムのポリエステ
    ルがポリエチレンテレフタレートである請求項1〜6の
    いずれかに記載の剥離性積層フィルム。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の剥離性
    積層フィルムを用いたセラミックグリーンシート用工程
    フィルム。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれかに記載の剥離性
    積層フィルムのポリビニルアルコール層表面に、硬化型
    シリコーン樹脂膜が形成されていることを特徴とするセ
    ラミックグリーンシート用工程フィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013015260A1 (ja) * 2011-07-28 2013-01-31 東レ株式会社 積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP2015066908A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 リンテック株式会社 グリーンシート製造用剥離フィルムおよびグリーンシート製造用剥離フィルムの製造方法
JP2019064200A (ja) * 2017-10-03 2019-04-25 日本メクトロン株式会社 多層離型フィルム及び多層離型フィルムの製造方法、並びに該多層離型フィルムを用いたフレキシブルプリント基板の製造方法

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