JPWO2013015260A1 - 積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

セラミックスグリーンシート成形用途等に用いることのできる特性を有し、離型層塗布工程を省略することを実現した剥離性積層ポリエステルフィルムを提供することを課題とし、少なくとも、ポリエステルA層とポリエステルB層を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、二軸配向積層ポリエステルフィルムの少なくとも片側の最外層がワックス成分を含有するポリエステルA層であり、ポリエステルA層に含有するワックス成分の濃度WA(重量%)、ポリエステルA層の厚みTA(μm)としたときにポリエステルA層は、下記式(1)(2)式を満足する、二軸配向積層ポリエステルフィルム。0.8 ≰ WA ・・・式(1)0.4 ≰ WA/TA ≰ 20 ・・・式(2)

Description

本発明は剥離性能を有する積層フィルムに関するものであり、詳しくは加工工程において剥離性が必要となる工程用フィルムとして好適な積層ポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性あるいは耐薬品性等を有するため、磁気テープ、写真フィルム、包装用フィルム、ジアゾ易接着フィルム、コンデンサ用メタライジングフィルム、電気絶縁フィルムあるいは書写フィルム等の素材として幅広く使用されている。その分野の一つとして、セラミックコンデンサ、セラミック基板、ドライフィルムレジスト、偏光板などの電子部品製造用工程フィルムの分野がある。
ポリエステルフィルム単体では、各種の離型材料に用いた場合、剥離効果が乏しく、樹脂と離型材とが付着する箇所が現れたり、離型材フィルムと樹脂との間に接着が生じる事もあり満足できるものではなく、全く使用できなかった。
そのため、ポリエステルフィルムの表面に硬化性シリコーン樹脂膜等の離型層を塗布することで剥離性を高めたフィルムは、電子部品製造用工程フィルム、とりわけセラミック積層コンデンサやセラミックシート成形用工程フィルム、偏光板離型フィルムとして大量に用いられている。
この離型層塗布工程では、塗布厚みムラ、加熱時のシワをはじめとする工程ロスが少なからず発生する。該工程での工程ロス低減化が進められているが、その効果には限界がある。
また、ポリエステルフィルムの表面に硬化性シリコーン樹脂膜等の離型層を塗布したフィルムは、セラミックシート成形用工程フィルムや偏光板離型フィルムとして用いると、ポリエステルフィルムの回収性に課題を有する。ポリエステルフィルムの表面に硬化性シリコーン樹脂膜等の離型層を塗布したフィルムをセラミックシート成形用工程フィルムとして用いると、セラミックシートからチップカットされた後の工程用フィルムには、残存するセラミックや硬化性シリコーン樹脂が付着しており、ポリエステルフィルムを容易に分離回収できない。また、ポリエステルフィルムの表面に硬化性シリコーン樹脂膜等の離型層を塗布したフィルムを偏光板離型フィルムとして用いるときも同様に、偏光板から剥離されたフィルムには、硬化性シリコーン樹脂が付着しており、回収性を妨げる要因となっている。
この課題を解決する手段として、表面にポリビニルアルコールから構成される層を設けた剥離性積層フィルム(特許文献1)が提案されている。また、硬化性シリコーン樹脂膜などの離型層にかわる剥離性を付与するものとしてワックス成分を添加したポリエステルフィルム(特許文献2,3,4,5)も提案されている。
特開2003−118058号公報 特開2002−187963号公報 特開2005−342911号公報 特開2006−326902号公報 特開2002−264258号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術を採用すると、剥離後の対象物にポリビニルアルコールから構成される層が付着している場合には除去する工程が増える。また、フィルムにポリビニルアルコールから構成される層が付着している場合には再利用に際して除去する工程が発生することから生産性が低下し、コスト高となる。
また、特許文献2のフィルムは食品などのフィルムへの付着量を低減する効果があるものの、セラミックグリーンシート成形用の工程フィルムや、偏光板離型用途フィルムとして適用するには剥離効果が不十分であり、不適であるという問題がある。
特許文献3は、ポリエステル樹脂層にワックス成分を所定の濃度範囲で含有させ、ワックス成分の含有したポリエステル樹脂層における樹脂層の面配向係数を一定範囲内に制御することによって剥離効果を発現させるというものであるが、その剥離効果は不十分である。また、特許文献4は、ポリエステル樹脂層にワックス成分を所定の濃度範囲で含有させるものであるが、フィルムを125〜135℃程度に加熱しなければ、十分な剥離性を発現させることができない。特許文献5では、ワックス成分を含有させたフィルムにおいてX線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズを6.0nm以下に制御させることで良好な成形性と耐衝撃性が得られることが示されているが、その剥離効果は十分ではない。
以上のように、特許文献1〜5の技術を適用するだけでは、セラミックグリーンシート成形用の工程フィルムや、偏光板離型用途フィルムとして使用するには剥離効果としては不十分であるという問題がある。
従って、本発明の目的は、セラミックスグリーンシート成形用途、偏光板離型用途等に用いることのできるポリエステルフィルムであって、離型層を塗布せずとも、十分な剥離性を有するポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明は、硬化性シリコーン樹脂を使用せずに容易にセラミックグリーンシートや、偏光板と剥離できる工程フィルムについて鋭意検討した結果、以下の特徴を有するフィルムまたはフィルムの製造方法とすることにより、かかる課題を一挙に解決できることを究明したものである。
(1)少なくとも、ポリエステルA層とポリエステルB層を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、二軸配向積層ポリエステルフィルムの少なくとも片側の最外層がワックス成分を含有するポリエステルA層であり、ポリエステルA層に含有するワックス成分の濃度をWA(重量%)、ポリエステルA層の厚みをTA(μm)としたとき、ポリエステルA層が、下記式(1)(2)を満足する、二軸配向積層ポリエステルフィルム
0.8 ≦ WA ・・・式(1)
0.4 ≦ WA/TA ≦ 20 ・・・式(2)。
(2)(1)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステルA層に含有するワックス成分の濃度をWA(重量%)、A層の厚みをTA(μm)、ポリエステルフィルムのX線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズをχc(nm)としたときにとしたときにポリエステルA層が下記式(3)(4)(5)式を満たすことを特徴とする二軸配向積層ポリエステルフィルム
0.8 ≦ WA ≦ 5.0 ・・・式(3)
0.3 ≦ TA ≦ 5.0 ・・・式(4)
χc > 6.0 ・・・式(5)。
(3)(1)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステルA層に含有するワックス成分の濃度をWA(重量%)、A層の厚みをTA(μm)、ポリエステルフィルムのX線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズをχc(nm)としたときにポリエステルA層は下記式(3)(4)(6)を満たすものであり、フィルムを製膜した後に30℃〜70℃の温度条件で24時間以上のエージング処理を経て得られたことを特徴とする二軸配向積層ポリエステルフィルム
0.8 ≦ WA ≦ 5.0 ・・・式(3)
0.3 ≦ TA ≦ 5.0 ・・・式(4)
4.0 ≦ χc ≦ 6.0 ・・・式(6)。
(4)前記ワックス成分が、カルナウバワックスおよび/またはステアリルステアレートである、(1)〜(3)に記載のポリエステルフィルム。
(5)前記ポリエステルB層におけるワックス成分の濃度WBが、ポリエステルB層に対して、下記式(7)を満たすことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム
0 ≦ WB < 0.6 ・・・式(7)。
(6)偏光板離型フィルムまたはセラミックシート成形用工程フィルムとして使用される、(1)〜(5)のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(7)ポリエステルフィルムを構成するポリマーが実質的に1種類のジカルボン酸と1種類のジオールからなることを特徴とする(1)〜(6)に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
(8)少なくとも、ポリエステルA層とポリエステルB層を有し、少なくとも片側の最外層がワックス成分を含有するポリエステルA層である二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法であって、ポリエステルA層が以下の(A)(B)(C)の工程をその順に有する方法によって形成される、二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法
(A)ポリエステルにワックス成分を添加せしめて、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル組成物を得る工程
(B)該ポリエステル組成物を用いて溶融したポリマーを共押出してA層、B層を形成し、下記式(2)(3)(4)を満足するようにポリエステルA層に含有するワックス成分の濃度WA(重量%)、A層の厚みTA(μm)を調整する工程
0.8 ≦ WA ≦ 5.0 ・・・式(2)
0.3 ≦ TA ≦ 5.0 ・・・式(3)
0.4 ≦ WA/TA ≦ 20 ・・・式(4)
(C)ポリエステルフィルムのX線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズをχc(nm)としたときに下記式(5)を満足するように結晶サイズχcを調整する工程
χc > 6.0 ・・・式(5)。
(9)少なくとも、ポリエステルA層とポリエステルB層を有し、少なくとも片側の最外層がワックス成分を含有するポリエステルA層である二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法であって、ポリエステルA層が以下の(A)(B)(D)(E)の工程をその順に有する方法によって形成される、二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法
(A)ポリエステルにワックス成分を添加せしめて、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル組成物を得る工程。
(B)該ポリエステル組成物を用いて溶融したポリマーを共押出してA層、B層を形成し、下記式(2)(3)(4)を満足するようにポリエステルA層に含有するワックス成分の濃度WA(重量%)、A層の厚みTA(μm)を調整する工程
0.8 ≦ WA ≦ 5.0 ・・・式(2)
0.3 ≦ TA ≦ 5.0 ・・・式(3)
0.4 ≦ WA/TA ≦ 20 ・・・式(4)
(D)ポリエステルフィルムのX線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズをχc(nm)としたときに下記式(6)を満足するように結晶サイズχcを調整する工程
4.0 ≦ χc ≦ 6.0 ・・・式(6)
(E)フィルムを製膜した後に30℃〜70℃の温度条件で24時間以上のエージング処理を行う工程。
本発明によれば、ポリエステルフィルムの表面からセラミックグリーンシートや偏光板を容易に剥離できるので、従来必須とされる硬化性シリコーン樹脂層などの離型層形成工程を省略し、大幅なコストダウン、および中間工程での工程ロス削減を実現することができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、少なくともポリエステルA層とポリエステルB層を有する。
ポリエステルA層とポリエステルB層を構成するポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートとの共重合体、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ブチレンテレフタレートとエチレンテレフタレートとの共重合体、ブチレンテレフタレートとヘキサメチレンテレフタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフタレートと1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレートとの共重合体、エチレンテレフタレートとエチレン-2,6-ナフタレートとの共重合体およびこれらのブレンド物等を用いることができる。
また、本発明の効果を阻害しない範囲で、フィルムの成形性、取り扱い性の向上を目的として、上記ポリエステルにトリメリット酸、トリメシン酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の多官能化合物やp-オキシ安息香酸等のオキシジカルボン酸等を共重合してもよい。
また、ポリエステルA層とポリエステルB層を構成するポリエステルは、ジエチレングリコール成分量が0.01〜4重量%、さらに好ましくは0.01〜3重量%、特に好ましくは0.01〜2重量%であることが、良好な構造制御を保持し、経時後や加工で熱履歴を受けた後にも良好な構造制御を維持する上で望ましい。さらに、酸化防止剤を0.0001〜1重量%添加してもよい。また、特性を損ねない範囲でジエチレングリコールをポリマー製造時に添加してもよい。
一方で、好ましい形態として本発明の積層ポリエステルフィルムを構成するポリマーは、実質的に1種類のジカルボン酸と1種類のジオールからなることが好ましい。その理由としては、複数種類のジオール、ジカルボン酸から構成されると、ポリマー中の繰り返し単位がまちまちとなるため、その長さの違いによって結晶化が妨げられ、結晶サイズを所望の範囲に制御しにくくなることが挙げられる。また、本発明の積層ポリエステルフィルムをセラミックスグリーンシート成形用途に用いる場合は、グリーンシートや粘着材を塗布した後に塗布層の乾燥工程で熱履歴を受けることになるが、ポリエステルの非晶部が多すぎるとこの熱履歴による影響を受け、寸法変化や変形を起こすおそれがあるためである。
なお、本発明において、実質的に1種類のジカルボン酸と1種類のジオールからなるポリエステルとは、ポリエステルを合成する原料として1種類のジカルボン酸と1種類のジオールを用いて得られるポリエステルのことを表す。
また、ポリエステルA層とポリエステルB層を構成するポリエステルには、フィルム層表面の突起高さや表面粗さを適正化させるために、不活性粒子を含有させることができる。
前述の不活性粒子については平均粒子径0.5〜2.5μm、好ましく0.8〜1.3μmの不活性粒子を0.2〜1.0重量%、さらに好ましくは、0.3〜0.8重量%含有させることが好適である。
不活性粒子の種類としては、球状シリカ、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機粒子、またその他有機系高分子粒子としては、架橋ポリスチレン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋スチレン−アクリル樹脂粒子、架橋ポリエステル粒子、ポリイミド粒子、メラミン樹脂粒子等が好ましい。これらの1種もしくは2種以上を選択して用いることもできる。
これらの不活性粒子は、ポリエステル重合工程の段階で添加することにより、不活性粒子含有ポリマーを準備することができる。例えば、ポリエステルのグリコール成分であるエチレングリコールのスラリーとし、重縮合前のエステル交換後、あるいはエステル化後のオリゴマーの段階で不活性粒子含有スラリーを添加し、引き続き、重縮合反応を行うことで、不活性粒子含有ポリマーを得ることができる。また、重合後のポリエステルチップと不活性粒子を2軸混練押出機に投入し、混練することで不活性粒子を含有するポリマーを得ることも可能である。
また、ポリエステルA層とポリエステルB層を構成するポリエステルにおいては、後述するワックス成分(特に、カルナウバワックス)との相溶性を向上させる点から、ポリエステルの末端カルボキシル基量が25〜55当量/トンであることが好ましい。より好ましくは30〜50当量/トン、特に好ましくは35〜45当量/トンである。末端カルボキシル基量が55当量/トンより大きいポリエステルではフィルムの耐加水分解性が低下し、熱劣化を起こしやすくなる。また、末端カルボキシル基量が25当量/トン未満のポリエステルを得るためには、重合後に固相重合をはじめとする別のプロセスを経る必要があり、コスト的に実用的ではないという問題がある。
本発明においては、ポリエステルA層がワックス成分を含有することが必要であり、当該ポリエステルA層が二軸配向積層ポリエステルフィルムの少なくとも片側の最外層であることが必要である。
ワックス成分を含有するポリエステルA層を最外層とすることで、A層表面の剥離性能を向上させ、セラミックスグリーンシート成形用途や偏光板離型フィルム等に用いることが可能となる。
ワックス成分としては、ステアリルステアレートやカルナウバワックスがポリエステルとの相溶性の点から好ましく用いられる。つまり、本発明では、ポリエステルA層が、ワックス成分として、ステアリルステアレートおよび/またはカルナウバワックスを含有することが好ましい。特に、セラミックグリーンシートの剥離性の点から、カルナウバワックスを含有することが好ましく、中でも精製カルナウバワックスを用いることが好ましい。
本発明では、ポリエステルA層におけるワックス成分の濃度WA(重量%)は下記式(1)を満たすことが必要である
0.8 ≦ WA ・・・式(1)。
ワックス成分の濃度WAが0.8重量%未満であると、ワックス成分による剥離性が十分に発現せず、ポリエステルA層の上に塗工されるセラミックグリーンシートや、粘着剤を介し貼合される偏光板を容易に剥離することができなくなる。一方で、WAが5.0重量%より大きくなると、剥離性を向上させる効果は飽和するためコスト高の原因となるだけでなく、樹脂の製造工程においてワックス成分の混練が不均一となるため、生産性悪化の原因ともなる。前述の理由から好ましいWAの範囲としては、下記式(3)で示される範囲となる
0.8 ≦ WA ≦ 5.0 ・・・式(3)。
また、WAが2.0重量%を越えると、フィルム表面に表面欠陥が発生する傾向があり、表面欠陥が起点となって剥離性が不均一になるおそれがある。従って、さらに好ましいWAの範囲としては、下記式(3’)で示される範囲となる
0.8 ≦ WA ≦ 2.0 ・・・式(3’)。
また、本発明の積層ポリエステルフィルムは、下記式(2)を満足することが必要である
0.4 ≦ WA/TA ≦ 20 ・・・式(2)。
ここで、TAはポリエステルA層の厚み(μm)であり、WAはポリエステルA層のワックス成分の濃度(重量%)である。
WA/TA<0.4 においてはワックス成分による剥離性は十分に発現しない。WA/TA>20においてはワックス成分による剥離性は均一に発現しない。そのため、ポリエステルA層の上に塗工するセラミックグリーンシートあるいは粘着剤を介し貼合される偏光板を容易に剥離することができなくなるためである。
ポリエステルA層表面の剥離性能が、前述の式(2)を満足することによって向上する理由は、ポリエステルA層に含有するワックス成分が延伸・熱処理を伴うフィルム製造工程を経た際にフィルム表面まで拡散することによるものと推測される。つまり、ワックス成分の拡散には、ワックス成分の表面までの移動距離とワックス成分の濃度が寄与するために、前述の式(2)のような関係が必要であると推測される。
また、本発明の積層ポリエステルフィルムはTAはポリエステルA層の厚み(μm)としたときに、下記式(4)を満足することが好ましい
0.3 ≦ TA ≦ 5.0 ・・・式(4)。
TAが0.3μm未満では、フィルム製膜中にポリエステルA層の積層状態に厚み方向のムラが発生したときに剥離性にムラが発生しやすくなり、TAが5μmより大きいとフィルム単位面積あたりに使用するワックス成分を含有するポリマーの使用量が多くコスト的に望ましくない。
また、本発明の積層フィルムでは、X線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズχc(nm)について、下記式(5)を満足することが好ましい。
χc > 6.0 ・・・式(5)。
式(5)を満足することでポリエステル内のワックス成分がより効果的に剥離性に寄与する。結晶サイズχcが大きくなると剥離性が良好になる理由は、ワックス成分はポリエステル内の結晶部分には存在できないため、結晶サイズχcが大きくなるとワックス成分が非晶部分に移動するためと推測される。
但し、χcが9.0nm以上であるとフィルム内における結晶サイズが大きいことにより、フィルムの強度が低下する傾向があり、加工時にフィルムがへき開するなどの不具合が出るおそれがある。従って、より好ましいχcの範囲としては6.0nmより大きく、9.0nm未満である。
次に、本発明の積層ポリエステルフィルムのX線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズχc(nm)について、下記式(6)となる場合について述べる
4.0 ≦ χc ≦ 6.0 ・・・式(6)。
χcが6.0nm以下ではフィルムの中における結晶サイズが小さく、前述したような効果が不十分である。しかしながら、結晶サイズχcが式(6)の範囲内のフィルムでは、フィルムを製膜した後に30℃〜70℃の温度条件で24時間以上のエージング処理を行うことでワックス成分が表面に拡散することを促すことができ、その結果剥離性が良好となる。一方でχcが4.0nm未満では、エージング処理を行っても剥離性を向上させる効果は十分に得られない。本発明でいうエージング処理とは、製膜した後のフィルムを設定した温度条件の環境下に静置することをいう。
エージング処理を行う温度が30℃未満ではワックス成分を拡散させる効果は少なく、70℃以上となるとフィルムが変形するため好ましくない。より好ましいエージング温度としては40℃以上であり、さらに好ましくは50℃以上である。
エージング処理を行う時間は24時間以上であるとワックス成分が表面に拡散することを促す効果が得られる。150時間以上エージングしてもワックス成分が表面に拡散する効果は飽和してしまい、生産性を悪化させるだけとなる。
なお、χcが6.0nmより大きいフィルムにおいてエージング処理を行ってももちろん良いが、剥離性を向上させる効果は飽和するため、コスト高の原因となる。
ポリエステルB層は、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲で、ワックス成分を含有しても良い。ただし、ポリエステルB層におけるワックス成分の濃度WBは、下記式(7)を満たすことが好ましい。
0 ≦ WB < 0.6 ・・・式(7)。
すなわち、ポリエステルB層におけるワックス成分の濃度は0重量%以上0.6重量%未満であることが好ましく、特に0.4重量%以下であることが好ましい。特に本発明の積層ポリエステルフィルムが、A層/B層の2層構成の場合、ポリエステルB層におけるワックス成分の濃度WBが0.6重量%以上となると、積層ポリエステルフィルムの両面を構成する層にワックス成分が含まれるため、フィルムのどちらの面の摩擦も少なくなることから、フィルム製膜や後加工における搬送ロールにおいてシワ、蛇行など原因となる問題がある。また、前述の通り、ポリエステルA層表面の剥離性能はポリエステルA層に含有するワックス成分がフィルム表面まで拡散することによって発現すると推測されるところ、B層のワックス成分の濃度が低い状態ではA層からB層へのワックスの拡散速度は速いため、A−B層境界付近に局所的にワックス成分の濃度が高い場所ができるが、A層からB層へのワックス成分の拡散量が低くなる。しかしながら、B層のワックス成分の濃度が高くなり、ポリエステルB層におけるワックス成分の濃度が0.6重量%以上なるとA層からB層へのワックス成分の拡散速度が遅くなるもののゆっくりと拡散が進行し、ワックス成分の拡散量が多くなるために、ポリエステルA層表面の剥離性能を発現させるだけの表面までのワックス成分の拡散が起こらなくなると推測される。
本発明では、ポリエステルA層の表面の最大突起高さ(Rmax)を1.5μm以下にすることが好ましく、さらに好ましくは1.0μm以下である。突起高さ1.5μmより高いと形成した剥離対象であるセラミックグリーンシート等に欠陥が入りやすくなり、また、粘着層の凹みを発生させるため好ましくない。
最大突起高さを上記範囲とするために、ポリエステルA層に含有させる不活性粒子の平均粒子径を制御することが好ましい。ポリエステルA層含有させる不活性粒子の平均粒子径は1.5μm以下であることが好ましい。
本発明の積層ポリエステルフィルムの厚さは15μm以上であることが好ましく、より好ましくは25μm以上、更に好ましくは40μm以上である。厚さが15μm未満であると、剛性が無くグリーンシート剥離時や、偏光板からの剥離時にシワ、破断などの不具合が発生するおそれがある。一方、フィルム自体を剥離するという特性から、厚さ250μm以上のフィルムでは回収にコストがかかり、好ましくないことがある。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、少なくてもポリエステルA層とポリエステルB層の2層を有することが必要であるが、ポリエステルA層/ポリエステルB層/ポリエステルA層やポリエステルA層/ポリエステルB層/ポリエステルC層のような3層構成であったり、さらには3層より多層の積層構成であってもよい。好ましくはポリエステルA層/ポリエステルB層からなる2層構成か、ポリエステルA層/ポリエステルB層/ポリエステルC層からなる3層構成である。なお、ポリエステルC層とは、ポリエステルA層にもポリエステルB層にも該当しない層を指す。
以下に本発明の積層ポリエステルフィルムの製造方法について記述するが、本発明は以下の製造方法により得られたものに限定して解釈されるものではない。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、(A)(B)(C)の工程又は(A)(B)(D)(E)をその順に有する方法によって形成されることが好ましい。
(A)ポリエステルにワックス成分を添加せしめて、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル組成物を得る工程。
(B)該ポリエステル組成物を用いて溶融したポリマーを共押出してA層、B層を形成し、下記式(2)(3)(4)(7)を満足するようにポリエステルA層に含有するワックス成分の濃度WA(重量%)、A層の厚みTA(μm)、ポリエステルB層に含有するワックス成分の濃度WB(重量%)を調整する工程
0.8 ≦ WA ≦ 5.0 ・・・式(2)
0.3 ≦ TA ≦ 5.0 ・・・式(3)
0.4 ≦ WA/TA ≦ 20 ・・・式(4)
0 ≦ WB < 0.6 ・・・式(7)。
(C)ポリエステルフィルムのX線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズχc(nm)としたときに下記式(5)を満足するように結晶サイズχcを調整する工程
χc > 6.0 ・・・式(5)。
(D)ポリエステルフィルムのX線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズχc(nm)としたときに下記式(6)を満足するように結晶サイズχcを調整する工程
4.0 ≦ χc ≦ 6.0 ・・・式(6)。
(E)フィルムを製膜した後に30℃〜70℃の温度条件で24時間以上のエージング処理を行う工程。
始めに、(A)の工程について下記に説明する。
(A)ポリエステルにワックス成分を添加せしめて、ポリエステル組成物を得る工程。
工程(A)において、ポリエステルにワックス成分を含有せしめる方法は特に限定されないが、ワックス成分の分散性を向上させ安定した性能を発現させる点やフィルムを製膜する工程での汚れを抑制する点から下記のような重合工程で添加する方法が好ましい。(1)ポリエステル重合の工程でワックス成分を添加する方法。(2)ワックス成分を多量に添加したポリエステル組成物(「マスターポリマー」や「ワックスマスターポリエステル」と称することもある)を製造し、ワックス成分を含有しないもしくは、少量含有するポリエステル組成物(希釈ポリエステル)とを所定量混合し、混練する方法。
なお、本発明において、ワックス成分としてカルナウバワックスを用いる場合、(1)の方法でポリエステルにカルナウバワックスを含有せしめる場合は、特にゲルマニウム触媒を使用して重合することが分散性の向上の点から特に好ましい。ポリエステル組成物中に、ゲルマニウム元素を1〜200ppm含有していることが好ましく、より好ましくは10〜100ppm、特に好ましくは20〜80ppmである。また(2)の方法でカルナウバワックスを含有したポリエステル組成物を得る場合、カルナウバワックスマスターポリマーは上述の通りゲルマニウム触媒に限定されるものではない。
次に(B)の工程について下記に説明する。
該ポリエステル組成物を用いて溶融したポリマーを共押出してA層、B層を形成し、下記式(2)(3)(4)を満足するようにポリエステルA層に含有するワックス成分の濃度WA(重量%)、A層の厚みTA(μm)、ポリエステルB層に含有するワックス成分の濃度WB(重量%)を調整する工程
0.8 ≦ WA ≦ 5.0 ・・・式(2)
0.3 ≦ TA ≦ 5.0 ・・・式(3)
0.4 ≦ WA/TA ≦ 20 ・・・式(4)。
本発明の積層ポリエステルフィルムでは、例えば、各ポリエステル原料を乾燥した後に、公知の2台以上の押出機に供給し、2層以上のマニホールド、合流ブロックを用いて、ポリエステルA層が最表層(最外層)になるように積層し、スリット状口金からシート状に溶融押出(溶融共押出)した後、後述の二軸延伸法により、製造することができる。
押出機に乾燥した原料を供給する方法としては、(I)ポリエステル重合の工程でワックス成分を添加したポリエステル組成物を押出機に供給する方法、(II)(A)の工程で製造したワックス成分を多量に添加したポリエステル組成物を製造し、ワックス成分を含有しないもしくは、少量含有するポリエステル組成物(希釈ポリエステル)とを所定量混合して供給する方法、(III)ポリエステルやワックス成分などを必要に応じて乾燥した後、直接、押出機に供給する方法がある。(III)の方法ではポリエステルにワックス成分を添加し、押出機内にてポリエステル組成物とし、工程(A)を経たポリエステル組成物をそのままシート状に溶融押出する方法となる。これら、(I)(II)(III)によって式(2)(3)(4)を満たすように調整することができる。なかでもワックス成分の濃度の調整が簡便なことから、(II)の方法が好ましい。
また、準備した原料を押出する際にはごく小さな異物もフィルム欠陥となるため、フィルターには例えば25μm以上の異物を95%以上捕集する高精度のものを用いて、押出機より吐出させたポリマーをフィルターにより濾過することが有効である。
二軸配向フィルムの製造方法としては、スリット状のダイからシート状に押出した後に、静電印加などの方式によりキャスティングドラムに密着させ、冷却固化して未延伸シートを得る。得られた未延伸シートを延伸する。
次に延伸工程以降において実施する(C)、(D)の工程について下記に説明する。
(C)、(D)の工程では、ポリエステルフィルムのX線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズχc(nm)としたときの結晶サイズχcを調整する。
(C)の工程では式(5)を共に満足するように結晶サイズχcを調整し、(D)の工程では式(6)を共に満足するように結晶サイズχcを調整する。
χc > 6.0 ・・・式(5)
4.0 ≦ χc ≦ 6.0 ・・・式(6)
上記の結晶サイズχcを達成するためには、延伸条件(延伸する面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率))、熱処理条件(熱処理温度、熱処理時間)を組み合わせる必要がある。延伸する面積倍率は低いほうが結晶サイズは小さくなり、熱処理温度が高いほうが結晶サイズは大きくなり、熱処理時間は長いほうが結晶サイズは大きくなる。
ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレートを用いたとき、結晶サイズχcが6.0nm程度となる組合せの一例としては、面積倍率15.2倍、熱処理温度225℃、熱処理時間6秒の組み合わせがあり、結晶サイズχcが4.0nm程度となる組合せの一例としては、面積倍率11.6倍、熱処理温度200℃、熱処理時間5秒の組み合わせを挙げることができる。
前述した延伸条件とする延伸方式としては、同時二軸または逐次二軸延伸のいずれでもよいが、該未延伸シートをフィルムの長手方向および幅方向に延伸、熱処理して、目的とする結晶サイズのフィルムを得る。好ましくはフィルムの品質の点でテンター方式によるものが好ましく、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する逐次二軸延伸方式、長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方式が望ましい。延伸倍率としては、それぞれの方向に1.5〜5.0倍、好ましくは3.0〜4.5倍である。長手方向、幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよく、同一としてもよい。
また、延伸速度は1000%/分〜200000%/分であることが望ましく、延伸温度は、用いたポリエステルのガラス転移温度以上ガラス転移温度+80℃以下であれば任意の温度とすることができるが、通常80〜155℃が好ましい。
更に、前述した二軸延伸の後に行うフィルムの熱処理について述べる。この熱処理はオーブン中、加熱されたロール上等、従来公知の任意の方法で行なうことができる。熱処理温度は通常120℃以上245℃以下の任意の温度とすることができるが、通常1〜60秒間行なうことが好ましい。
熱処理は、フィルムをその長手方向および/または幅方向に弛緩させつつ行なってもよい。さらに、再延伸各方向に対して1回以上行なってもよく、その後熱処理を行なってもよい。
更に、工程(D)を経たものについては、工程(E)を経ることが好ましい。
(E)フィルムを製膜した後に30℃〜70℃の温度条件で24時間以上のエージング処理を行う工程。エージングは取り扱い性の観点からロール形態で行うことが好ましいが、枚葉に切り出したシート状で行っても良い。
本発明の積層ポリエステルフィルムは、少なくとも片面にワックス成分を含有してなるポリエステルA層表面を有しているので、A層表面に形成したセラミックグリーンシート層あるいは偏光板との界面で容易に剥離することができる。そのため、基材フィルム部分のみを簡単に分離回収することが可能となる。また、このようにして回収された基材フィルムには、従来剥離性を発現させるために塗布するシリコーン樹脂膜を含まないため、再生原料としてリサイクルしやすくなる。そのため、本発明の積層ポリエステルフィルムは、セラミックグリーンシート剥離用途や、偏光板離型用途として好適に用いることができる。
特に、本発明の剥離性積層ポリエステルフィルムを積層セラミックコンデンサなどのグリーンシート製造用工程フィルムとして用いる場合には、直接セラミックグリーンシートが形成されるポリエステルA層のワックス成分の濃度が少なく、剥離後のセラミックグリーンシートにワックス成分が転写されることによる影響は少ないため、従来の積層セラミック部品の製造工程に全くの付加工程を加えることなく、基材フィルムのみを分離回収することができ、更に従来必須とされていた基材フィルム上へのシリコーン硬化膜の形成を不要とすることができる。
次に実施例に基づき、本発明の実施態様をより具体的に説明する。
本発明で規定する特性値の測定方法と評価方法を以下に述べる。
(1)セラミックグリーンシートの剥離性
積層ポリエステルフィルムのポリエステルA層の表面に、スクリーン印刷機を用いて、下記のセラミックスラリーを塗布して乾燥し、10cm×10cm、厚さ10μm(スラリーの乾燥後の厚み)のセラミックグリーンシートを形成した。
次いで、セラミックグリーンシート上にポリエステル粘着テープ(日東電工(株)製No.31B、幅19mm)を貼り付けて、幅19mm、長さ100mmの短冊状サンプルを切り出し、セラミックグリーンシートを基材フィルムから剥離した。剥離状態を目視観察し、以下のように判定した。
すなわち、シワやクラックを生じることなく、セラミックグリーンシートが容易に剥離できたものを◎とした。剥離できたが、剥離後のシートにシワやクラックが発生したものを○とした。途中まで(テープの根元から5mm以降まで)は容易に剥離できるのだが、何かしらを起点に裂けるように破断したものを△とした。テープの根元から5mm以内の場所で破断したものを×とした。
≪セラミックスラリー組成≫
・チタン酸バリウム粉体(平均粒径1.1um、焼結密度5.84):90重量部
・結合材(ポリビニルブチラール樹脂:重合度200〜700、粘度10〜30cps):10重量部
・可塑剤(フタル酸ジオクチル):1重量部
・トルエン/メチルエチルケトン混合溶媒(1:1の配合比率):50重量部。
(2)偏光板との剥離性
アクリル樹脂を有する粘着剤を用いて、積層ポリエステルフィルムのA層側の表面に粘着層を設け、ポリエステルA層の表面に偏光板を貼り合わせた後、積層ポリエステルフィルムの片端から偏光板を剥離させた際の剥離状態や、積層ポリエステルフィルム上への粘着剤の移行を目視観察し、以下のように判定した。
すなわち、積層ポリエステルフィルムが剥離途中で破断したり、シワを生じること無く容易に剥離でき、かつ粘着剤が積層ポリエステルフィルムのA層表面に残留しなかったものを○とし、積層ポリエステルフィルムが剥離途中で破断したり、剥離後の積層ポリエステルフィルムにシワや粘着剤の残留物が発生したものを×とした。剥離できたが、粘着剤や粘着テープの残留が認められたものを△とした。
(3)最大突起高さ(Rmax)
三次元微細表面形状測定器(小坂製作所製ET−350K)を用いて下記測定条件に基づいて測定し、得られたる表面のプロファイル曲線より算出した。なお、測定はポリエステルA層が構成する表面にて実施した。
[測定条件]
X方向測定長さ:0.5mm、X方向送り速度:0.1mm/秒。
Y方向送りピッチ:5μm、Y方向ライン数:40本。
カットオフ:0.25mm。
触針圧:0.02mN。
高さ(Z方向)拡大倍率:5万倍。
(4)(100)面の結晶サイズχc
フィルムを30mm(フィルム長手方向)×20mm(フィルム幅方向)になるようにカットし、該フィルムをX線回折用試料とし、日本フィリップス製のX線回折装置TYPE PW1840を用い、フィルムの長手方向に垂直な面内でX線の照射角を変え反射法で回折強度を測定する。測定条件は下記の通りである。
[測定条件]
時定数:2秒
測定角度範囲:18度〜32度
走行速度:1度/分
Divergency Slit : 1.5mmφ
Scattering Slit : 1度
Recelving Slit : 0.3mm
X線:Cu対陰極によるCu−Kα(35Kv、15mA、Ni−フィルタ)
フィルムがポリエチレンテレフタレートフィルムであるときは、ポリエチレンテレフタレート結晶の(100),(110)面の回折角に相当する25.8°、22.5°での回折強度をH1、H2とすると、(100)面の結晶サイズχcは下記式により求めることができる。
χc=K・λ/β・cosθ
ここでK(半値幅使用時の定数)=0.90
λ(X線の波長)=1.5418(Å)
θ([100]面の回折角)=25.8(°)
β(回折線幅 rad)=回折強度H1の高さの半分の回折強度1/2H1で測定した回折線幅(半価幅)×0.01744(rad)
(2π(rad)=360°であるので、1°=0.01744radである)。
(5)粘着テープの剥離性
粘着テープ(住友スリーエム(株)製 “SCOTCH”(登録商標) 313)を、幅20mm長さ50mmに切り出し、長さ方向の先端10mmの位置で折り曲げて10mmのタブを作成し、貼り付け基材を作成(幅20mm、タブ部分10mm、貼り付け部分30mm)した。
次に、測定対象のフィルムを幅20mm×長さ40mmに切り出した。
前記貼り付け基材を、測定対象のフィルムのポリエステルA層の表面に重なるよう(接着されている部分30mm、非貼り合わせ部分10mm)に貼り付け、2kgのゴムローラーで貼り合わせ部分を1往復させて圧着し、測定サンプルを作成した。貼り合わせたサンプルを25℃、相対湿度50%の条件で24時間エージングした。
貼付け基材のテープ側タブ部分及びフィルムの非貼り合わせ部分を保持し、剥離角度180°、剥離速度30mm/秒で剥離を行った。10サンプルについて同様に実施し、剥離後のフィルムの状態を目視観察し、以下のように判定した。
すなわち、粘着剤が剥離後のフィルムの表面に残留したサンプル数が0または1サンプルのものを◎とし、2または3サンプルのものを○とし、4または5サンプルのものを△とし、6サンプル以上のものを×とした。
実施例1:
(剥離性積層ポリエステルフィルム用の作製)
・ポリエステルチップA
ジメチルテレフタレート(DMT)100重量部に59重量部(DMT1モルに対して1.85モル)のエチレングリコールおよび酢酸マグネシウム・4水塩を0.05重量部、リン酸を0.015重量部加え加熱エステル交換反応を行った。平均粒径2.5μm凝集シリカ粒子を0.08重量%含有するエチレングリコールスラリーを190℃で2時間熱処理した後、エステル交換反応終了後にスラリーを添加し、引き続き二酸化ゲルマニウム0.0045重量部を加え、加熱昇温し真空下で重縮合反応を行い、120分経過した後に常圧に戻し、常圧下にてカルナウバワックスを0.8重量%添加して5分攪拌し、その後再び真空下に戻し、所定の重合度に到達するまで攪拌した。得られたポリエチレンテレフタレート組成物のチップをチップAとした。
・ポリエステルチップB
ジメチルテレフタレート(DMT)100重量部に59重量部(DMT1モルに対して1.85モル)のエチレングリコールおよび酢酸マグネシウム・4水塩を0.05重量部、リン酸を0.015重量部加え加熱エステル交換反応を行い、平均粒径2.5μm凝集シリカ粒子を0.08重量%含有するエチレングリコールスラリーを190℃で2時間熱処理した後、エステル交換反応終了後にスラリーを添加し、引き続き二酸化ゲルマニウム0.0045重量部を加え、加熱昇温し真空下で重縮合反応を行い、120分経過した後に常圧に戻し、常圧下にてカルナウバワックスを0.4重量%添加して5分攪拌し、その後再び真空下に戻し、所定の重合度に到達するまで攪拌した。得られたポリエチレンテレフタレート組成物のチップをチップBとした。
チップAおよびチップBをそれぞれ所定量計量後、180℃で3時間真空乾燥してチップAを押出機I(A)に、チップBを押出機II(B)に供給し、Tダイ口金から吐出後、静電印加しながら25℃の鏡面冷却ドラムにて冷却固化してA層/B層の2層構成の未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムをロール式延伸機に導き、85℃の予熱ロールで加熱した後、温度95℃の周速差のあるロール間で長手方向に3.3倍延伸し、一旦室温まで冷却した後、テンター式横延伸機に送り込み、温度95℃で幅方向に3.5倍延伸した。さらにテンターの熱処理ゾーンで200℃の雰囲気下で、横延伸後のフィルム幅を5%弛緩させつつ、5秒間の熱処理を施して、厚さ15μm(A層2μm/B層13μm)の積層ポリエステルフィルムを作製した。
作製したフィルムについての特性を評価した結果を表1に示した。
実施例2〜5:
表1に記した通りに、ポリエステルA層における含有量WA(重量%)、ポリエステルA層の厚みTA(μm)、ポリエステルB層における含有量WB(重量%)を調整し、実施例1と同様に合計厚さ15μmとなるポリエステルフィルムを作製し、実施例1と同様に特性を評価した結果を表1に示した。
実施例6:
ポリエステルチップAの製造に際し、添加する粒子を平均粒径0.2μm球状シリカ粒子0.25重量%に変更した以外は実施例1と同様にポリエステルフィルムを作製し、実施例1と同様に特性を評価した結果を表1に示した。
実施例7:
熱処理ゾーンでの熱処理温度を185℃に変更した以外は実施例1と同様にして積層ポリエステルフィルムを作製した。
作製したフィルムについての特性を評価した結果を表2に示した。
実施例8:
実施例1と同じポリエステルチップA、チップBを用い、それぞれ所定量計量後、180℃で3時間真空乾燥してチップAを押出機I(A)に、チップBを押出機II(B)に供給し、Tダイ口金から吐出後、静電印加しながら25℃の鏡面冷却ドラムにて冷却固化してA層/B層の2層構成の未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムをロール式延伸機に導き、103℃の予熱ロールで加熱した後、温度104℃の周速差のあるロール間で長手方向に3.5倍延伸し、一旦室温まで冷却した後、テンター式横延伸機に送り込み、温度100℃で幅方向に3.5倍延伸した。さらにテンターの熱処理ゾーンで235℃の雰囲気下で、横延伸後のフィルム幅を6%弛緩させつつ、6秒間の熱処理を施して、厚さ25μm(A層2μm/B層23μm)の積層ポリエステルフィルムを作製した。
作製したフィルムについての特性を評価した結果を表2に示した。
実施例9:
・ポリエステルチップC
ジメチルテレフタレート(DMT)100重量部に61重量部(DMT1モルに対して1.9モル)のエチレングリコールおよび酢酸マグネシウム・4水塩を0.05重量部、リン酸を0.015重量部加え加熱エステル交換反応を行い、引き続き三酸化アンチモン0.025重量部を加え、加熱昇温し真空下で重縮合反応を行い、粒子を実質的に含有しない、得られたポリエチレンテレフタレート組成物のチップをチップCとした。
・ポリエステルチップD
真比重2.71g/cm、平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウムを準備し、10重量%のエチレングリコールスラリーとした。このスラリーをジェットアジテイターで1時間分散処理を行い、5μm以上の捕集効率95%のフィルターで高精度濾過した。次に、ジメチルテレフタレート(DMT)100重量部に61重量部(DMT1モルに対して1.9モル)のエチレングリコールおよび酢酸マグネシウム・4水塩を0.05重量部、リン酸を0.015重量部加え加熱エステル交換反応を行い、三酸化アンチモン0.025重量部と上記にて調製したスラリーをエステル交換後に添加し、加熱昇温し真空下で重縮合反応を行い、平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウムを1重量%含む、得られたポリエチレンテレフタレート組成物のチップをチップDとした。
・ポリエステルチップE
ジメチルテレフタレート(DMT)100重量部に61重量部(DMT1モルに対して1.9モル)のエチレングリコールおよび酢酸マグネシウム・4水塩を0.05重量部、リン酸を0.015重量部加え加熱エステル交換反応を行い、引き続き二酸化ゲルマニウム0.0045重量部を加え、加熱昇温し真空下で重縮合反応を行い、120分経過した後に常圧に戻し、常圧下にてカルナウバワックスを2.0重量%添加して5分攪拌し、その後再び真空下に戻し、所定の重合度に到達するまで攪拌した。得られたポリエチレンテレフタレート組成物のチップをチップEとした。
・ポリエステルチップF
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、チップC98重量部と平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子の10重量%水スラリーを20重量部(球状架橋ポリスチレンとして2重量部)供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、平均粒径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子を2重量部含有するポリエチレンテレフタレート組成物のチップをチップFとした。
また、上述の球状架橋ポリスチレン粒子はソープフリー乳化重合によりシード粒子を合成し、膨潤助剤を用いて膨潤させ、重合性モノマーを吸収して重合させる方法で製造した。重合性モノマーを吸収させる方法としては、シード粒子を合成した水溶性分散体に対してこれらを一括添加する方法を採用した。
次にチップをそれぞれ所定量計量後して各押出機に供給した。180℃で3時間真空乾燥して押出機I(A)には、押出機I(A)に供給するチップの合計量を100重量%としたとき、チップCを55重量%、チップEを40重量%、チップFを5重量%を、押出機II(B)には、押出機II(B)に供給するチップの合計量を100重量%としたとき、チップCを80重量%、チップEを20重量%、押出機III(C)には、押出機III(C)に供給するチップの合計量を100重量%としたとき、チップCを45重量%、チップDを50重量%、チップFを5重量%を供給して、Tダイ口金から吐出後、静電印加しながら25℃の鏡面冷却ドラムにて冷却固化してA層/B層/C層の3層構成の未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムをロール式延伸機に導き、103℃の予熱ロールで加熱した後、温度120℃の周速差のあるロール間で長手方向に3.8倍延伸し、一旦室温まで冷却した後、テンター式横延伸機に送り込み、温度110℃で幅方向に3.9倍延伸した。さらにテンターの熱処理ゾーンで230℃の雰囲気下で、横延伸後のフィルム幅を3%弛緩させつつ、4秒間の熱処理を施して、厚さ25μm(A層1.5μm/B層22μm/C層1.5μm)の積層ポリエステルフィルムを作製した。
作製したフィルムについての特性を評価した結果を表2に示した。
実施例10:
積層ポリエステルフィルムの厚みを、厚さ31μm(A層1.5μm/B層28μm/C層1.5μm)とした以外は実施例9と同様にして積層ポリエステルフィルムを作製した。作製したフィルムについての特性を評価した結果を表2に示した。
実施例11:
熱処理時間を5秒間とし、積層ポリエステルフィルムの厚みを、厚さ38μm(A層1.5μm/B層35μm/C層1.5μm)とした以外は実施例9と同様にして積層ポリエステルフィルムを作製した。
作製したフィルムについての特性を評価した結果を表2に示した。
実施例12:
実施例9と同様にして未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムをロール式延伸機に導き、103℃の予熱ロールで加熱した後、温度104℃の周速差のあるロール間で長手方向に3.4倍延伸し、一旦室温まで冷却した後、テンター式横延伸機に送り込み、温度100℃で幅方向に4.5倍延伸した。さらにテンターの熱処理ゾーンで220℃の雰囲気下で、横延伸後のフィルム幅を3%弛緩させつつ、6秒間の熱処理を施して、厚さ38μm(A層1.5μm/B層35μm/C層1.5μm)の積層ポリエステルフィルムを作製した。作製したフィルムを30℃の条件で100時間エージング処理を実施した。
エージング処理後のフィルムについての特性を評価した結果を表2に示した。
実施例13:
熱処理温度を190℃とし、エージング処理の条件を60℃、100時間とした以外は実施例12と同様にして積層ポリエステルフィルムを作製した。
エージング処理後のフィルムについての特性を評価した結果を表2に示した。
比較例1〜5:
表1に記した通りに、ポリエステルA層における含有量WA(重量%)、ポリエステルA層の厚みTA(μm)、ポリエステルB層における含有量WB(重量%)を調整し、実施例1と同様に合計厚さ15μmとなるポリエステルフィルムを作製し、実施例1と同様に特性を評価した結果を表3に示した。
Figure 2013015260
Figure 2013015260
Figure 2013015260
本発明の積層ポリエステルフィルムは、優れた剥離性能を有するので、セラミックスグリーンシート成形用や偏光板離型用途として好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 少なくとも、ポリエステルA層とポリエステルB層を有する二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、
    二軸配向積層ポリエステルフィルムの少なくとも片側の最外層がワックス成分を含有するポリエステルA層であり、
    ポリエステルA層に含有するワックス成分の濃度をWA(重量%)、ポリエステルA層の厚みをTA(μm)としたとき、ポリエステルA層が、下記式(1)(2)を満足する、二軸配向積層ポリエステルフィルム。
    0.8 ≦ WA ・・・式(1)
    0.4 ≦ WA/TA ≦ 20 ・・・式(2)
  2. 請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステルA層に含有するワックス成分の濃度をWA(重量%)、A層の厚みをTA(μm)、ポリエステルフィルムのX線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズをχc(nm)としたときにとしたときにポリエステルA層は下記式(3)(4)(5)を満たすことを特徴とする二軸配向積層ポリエステルフィルム。
    0.8 ≦ WA ≦ 5.0 ・・・式(3)
    0.3 ≦ TA ≦ 5.0 ・・・式(4)
    χc > 6.0 ・・・式(5)
  3. 請求項1に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルムであって、ポリエステルA層に含有するワックス成分の濃度をWA(重量%)、A層の厚みをTA(μm)、ポリエステルフィルムのX線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズをχc(nm)としたときにポリエステルA層は下記式(3)(4)(6)を満たすものであり、フィルムを製膜した後に30℃〜70℃の温度条件で24時間以上のエージング処理を経て得られたことを特徴とする二軸配向積層ポリエステルフィルム。
    0.8 ≦ WA ≦ 5.0 ・・・式(3)
    0.3 ≦ TA ≦ 5.0 ・・・式(4)
    4.0 ≦ χc ≦ 6.0 ・・・式(6)
  4. 前記ワックス成分が、カルナウバワックスおよび/またはステアリルステアレートである、請求項1〜3に記載のポリエステルフィルム。
  5. 前記ポリエステルB層におけるワックス成分の濃度WBが、ポリエステルB層に対して、下記式(7)を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
    0 ≦ WB < 0.6 ・・・式(7)
  6. 偏光板離型フィルムまたはセラミックシート成形用工程フィルムとして使用される、請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  7. ポリエステルフィルムを構成するポリマーが実質的に1種類のジカルボン酸と1種類のジオールからなることを特徴とする請求項1〜6に記載の二軸配向積層ポリエステルフィルム。
  8. 少なくとも、ポリエステルA層とポリエステルB層を有し、少なくとも片側の最外層がポリエステルA層である二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法であって、A層が以下の(A)(B)(C)の工程をその順に有する方法によって形成される、二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法。
    (A)ポリエステルにワックス成分を添加せしめて、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル組成物を得る工程。
    (B)該ポリエステル組成物を用いて溶融したポリマーを共押出してA層、B層を形成し、下記式(2)(3)(4)を満足するようにポリエステルA層に含有するワックス成分の濃度WA(重量%)、A層の厚みTA(μm)を調整する工程。
    0.4 ≦ WA/TA ≦ 20 ・・・式(2)
    0.8 ≦ WA ≦ 5.0 ・・・式(3)
    0.3 ≦ TA ≦ 5.0 ・・・式(4)
    (C)ポリエステルフィルムのX線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズχc(nm)としたときに下記式(5)を満足するように結晶サイズχcを調整する工程。
    χc > 6.0 ・・・式(5)
  9. 少なくとも、ポリエステルA層とポリエステルB層を有し、少なくとも片側の最外層がポリエステルA層である二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法であって、A層が以下の(A)(B)(D)(E)の工程をその順に有する方法によって形成される、二軸配向積層ポリエステルフィルムの製造方法。
    (A)ポリエステルにワックス成分を添加せしめて、ポリエステルフィルムを構成するポリエステル組成物を得る工程。
    (B)該ポリエステル組成物を用いて溶融したポリマーを共押出してA層、B層を形成し、下記式(2)(3)(4)を満足するようにポリエステルA層に含有するワックス成分の濃度WA(重量%)、A層の厚みTA(μm)を調整する工程
    0.4 ≦ WA/TA ≦ 20 ・・・式(2)
    0.8 ≦ WA ≦ 5.0 ・・・式(3)
    0.3 ≦ TA ≦ 5.0 ・・・式(4)
    (D)ポリエステルフィルムのX線回折測定により得られる(100)面の結晶サイズをχc(nm)としたときに下記式(6)を満足するように結晶サイズχcを調整する工程。
    4.0 ≦ χc ≦ 6.0 ・・・式(6)
    (E)フィルムを製膜した後に30℃〜70℃の温度条件で24時間以上のエージング処理を行う工程。
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