JP2003001777A - 離型用積層フィルム - Google Patents

離型用積層フィルム

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JP2003001777A
JP2003001777A JP2001194160A JP2001194160A JP2003001777A JP 2003001777 A JP2003001777 A JP 2003001777A JP 2001194160 A JP2001194160 A JP 2001194160A JP 2001194160 A JP2001194160 A JP 2001194160A JP 2003001777 A JP2003001777 A JP 2003001777A
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Hideyuki Yamauchi
英幸 山内
Yukio Kawazu
幸雄 河津
Motoyuki Suzuki
基之 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、離型フィルムとして使用後には、容
易にフィルムに再生することができる積層フィルム、お
よびそれを用いた離型フィルムを提供することにある。 【解決手段】本発明のポリエステル基材フィルムの少な
くとも片面に、剥離可能な被覆層が形成されており、か
つポリエステル基材フィルム及び/または被覆層に変性
シリコーン、ワックスを添加していることを特徴とする
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、離型用積層フィル
ム、とりわけセラミックグリーンシート用離型フィルム
として好適な離型用積層フィルムに関するものであり、
詳しくは使用済みの離型フィルムから高純度のポリエス
テルを容易に分離回収できる離型用積層フィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリエステルフィルムの表面に
硬化性シリコーン樹脂膜などの離型層を設けた離型フィ
ルムは、セラミックコンデンサー、セラミック基板、ド
ライフィルムレジストなどの電子部品製造工程用フィル
ムとして、あるいは偏光板セパレータ、ラベル離型紙な
どの粘着離型紙として非常に多く用いられている。
【0003】とりわけポリエチレンテレフタレートフィ
ルムを基材とした離型フィルムは耐熱性、寸法安定性、
平滑性、透明性、離型性に優れることから、精密電子部
品用として非常に多くの量が用いられている。
【0004】例えば、セラミック積層コンデンサー製造
工程用にグリーンシート成形用キャリアーフィルムとし
てポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムが使
用されている。
【0005】この離型フィルムは、該離型フィルム上に
形成されたグリーンシートを剥離し、多層積層法により
セラミック積層体を作成した後は、離型フィルム上に残
存したセラミックと共に廃棄されるのが通常である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一方、昨今の環境問題
の高まりから、使用後の離型フィルムの再利用方法を構
築することが求められている。
【0007】ところが、セラミックが残存する離型フィ
ルムをそのまま回収して使用しようとした場合、例え
ば、使用後の離型フィルムを再溶融しフィルムを製膜し
ようとした場合は、溶融押出して異物等を取り除く濾過
工程でセラミックによってフィルターが目詰まりを起こ
し、結果として高精度な濾過ができなくなる。
【0008】また、仮に濾過工程の問題が解決されて
も、硬化性シリコーン樹脂膜成分がポリエチレンテレフ
タレートに混入するため、溶融粘度の低下による機械物
性の低下や製膜安定性の低下、表面粗大突起や粗大欠点
の発生、着色、押出時の異臭の発生を抑制することが困
難であり実用的なフィルムとして再生することができな
い。
【0009】そこで、使用後の離型フィルムから、残存
するセラミック成分や硬化性シリコーン樹脂膜を何らか
の方法で除去し、フィルムとして再生することが考えら
れるが、現在考えられているいずれの方法によっても非
常に多くの労力、コストが避けられないため実用的でな
い。
【0010】また、他の用途、例えば杭やプランタなど
の射出成形品、ブロー成型品などの比較的原料となる樹
脂の純度が低くても適用可能な成形品として再生しよう
とした場合もフィルムの場合と同様に着色や強度の低下
等の問題が発生するし、どうしても別の用途で再利用す
る場合には、廃棄される離型フィルムの量と再利用可能
な用途での使用量にアンバランスが生じ、廃棄物問題の
解消には至らないのが現状である。
【0011】したがって本発明の目的は、離型フィルム
として使用後には、容易にフィルムに再生することがで
きる積層フィルムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の離型用積層フィルム及びそれも
用いた離型フィルムは、ポリエステル基材フィルムの少
なくとも片面に、該ポリエステル基材フィルムと剥離可
能な被覆層が形成されている積層フィルムにおいて、該
被覆層あるいは該ポリエステル基材フィルムの少なくと
もいずれか一方に変性シリコーン及び/またはワックス
を含有していることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、使用後には
容易にフィルムにも再生することができる離型フィルム
を得るためには、ポリエステル基材フィルムの少なくと
も片面に剥離可能な特定のポリマーからなる層を介在さ
せておけば、かかる課題を一挙に解決することを究明し
たものである。
【0014】本発明で用いられるポリエステル基材フィ
ルムを構成するポリエステルとして好ましくは、ジカル
ボン酸成分とグリコール成分を主たる構成成分とするポ
リエステルが好ましく使用される。
【0015】かかるジカルボン酸成分としては、芳香族
ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン
酸を用いることができ、芳香族ジカルボン酸成分として
は、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレン
ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニル
エーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホン
ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フ
ェニルエンダンジカルボン酸等を用いることができる。
脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えばコハク酸、ア
ジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン
酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸等を用いることが
できる。また、脂環族ジカルボン酸成分としては、例え
ば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を用いること
ができる。
【0016】これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、
2種以上併用してもよく、さらにはヒドロキシ安息香酸
等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。
【0017】また、グリコール成分としては、例えばエ
チレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3
−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3
−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−
ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2
−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサ
ンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、スピログリコール、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,
2′ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プ
ロパン等を用いることができる。中でもエチレングリコ
ール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログ
リコールが好ましく用いられる。これらのグリコール成
分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0018】また、本発明の効果を阻害しない範囲で、
フィルムの成形性、取扱い性の向上を目的として、上記
ポリエステルに、トリメリット酸、トリメシン酸、ペン
タエリストール、トリメチロールプロパン、グリセリン
等の多官能化合物やp−オキシ安息香酸等のオキシジカ
ルボン酸等を共重合してもよい。
【0019】本発明のポリエステルとしては、好ましく
はポリエチレンテレフタレート、エチレンテレフタレー
トとエチレンイソフタレートとの共重合体、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ブチレンテレフタレートとエチレンテレフタレート
との共重合体、ブチレンテレフタレートとヘキサメチレ
ンテレフタレートとの共重合体、ヘキサメチレンテレフ
タレートと1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタ
レートとの共重合体、エチレンテレフタレートとエチレ
ン−2,6−ナフタレートとの共重合体およびこれらの
ブレンド物等を用いることができる。
【0020】本発明の剥離可能な被覆層を構成する樹脂
としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンサル
ファイド樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリヒドロキシカル
ボン酸を主体とする樹脂等を用いることができる。
【0021】本発明のポリオレフィン系樹脂とは、ポリ
オレフィン及びポリオレフィン系共重合樹脂である。ポ
リオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン
などが挙げられる。また、ポリオレフィン系共重合樹脂
としては、ポリプロピレンを主成分とする重合体である
ことが接着性から好ましい。その中でも、プロピレンを
主成分とした他のα−オレフィンとのランダム共重合体
が透明性の点で好ましく使用できる。共重合するα−オ
レフィンモノマーとしては、エチレン、ブテン−1、ペ
ンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、
オクテン−1等が挙げられ、エチレン、ブテン−1が特
に好ましい。α−オレフィンモノマーの共重合量として
は3〜15重量%の範囲が接着性の面から好ましく、エ
チレンモノマーの場合は2〜6重量%、ブテン−1モノ
マーの場合は3〜15重量%の範囲が好ましい。
【0022】具体的な実施態様としては、エチレン−プ
ロピレン共重合体(EPC)、エチレン−プロピレン−
ブテン−1共重合体(EPBC)、プロピレン−ブテン
−1共重合体(BPC)などが挙げられる。
【0023】また、上記ポリオレフィン系樹脂には、必
要に応じて少量の造核剤、熱安定剤、酸化防止剤などを
添加せしめてもよい。例えば造核剤としては、ソルビト
ール系造核剤、有機リン酸エステル金属塩系造核剤など
を0.5重量%以下、熱安定剤としては2,6−ジ−第
3−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)などを
0.5重量%以下、酸化防止剤としてはテトラキス−
(メチレン−(3,5−ジ−第3−ブチル−4−ハイド
ロオキシ−ハイドロシンナメート))ブタン(Irganox
1010)などを0.5重量%以下で添加してもよい。
【0024】本発明のポリアミド系樹脂とは、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナ
イロン12、ポリエチレンイソフタラミド、ポリメタキ
シレンアジパミド、ポリ(ヘキサメチレンイソフタラミ
ド/テレフタラミド)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタ
ラミド/モノメチルテレフタラミド)、ヘキサメチレン
イソフタラミド/テレフタラミドとε−カプロラクタム
との共重合体、ヘキサメチレンテレフタラミドとヘキサ
メチレンアジパミドとの共重合体などが挙げられる。も
ちろん、これらは単独で用いてもよいし、また、2成分
以上を混合したものであってもよい。
【0025】本発明のポリヒドロキシカルボン酸を主体
とする樹脂とは、L−乳酸、D−乳酸、グリコール酸、
3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロ
キシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカ
プロン酸等の重合体、およびこれらの共重合体を挙げる
ことができる。
【0026】これらのうち、特に乳酸ホモポリマー(ポ
リ乳酸)または乳酸と他のヒドロキシカルボン酸等との
共重合体、もしくはこれらの混合物であることがポリエ
ステル基材フィルムとの剥離性や共押出・共延伸性の点
で好ましい。
【0027】さらには、発明の効果を阻害しない範囲に
おいて、ジカルボン酸類やグリコールも使用することが
できる。乳酸成分とその他の成分との混合物は、ポリマ
ー中の乳酸成分の含有率が50mol%以上となるよう
に、種々の組合せで使用することが好ましい。
【0028】本発明におけるポリエステルやポリオレフ
ィン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリア
ミド系樹脂、ポリヒドロキシカルボン酸を主体とする樹
脂等には、必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶核剤、顔料、可塑
剤、末端封鎖剤、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑
剤あるいはポリシロキサン等の消泡剤等を配合すること
ができる。さらには、目的に応じて易滑性を付与するこ
ともできる。
【0029】また、易滑性を付与する方法としては、特
に制限はされないが、例えば、クレー、マイカ、酸化チ
タン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン、
タルク、アルミナ、ジルコニア、スピネル、湿式あるい
は乾式シリカなどの無機粒子、アクリル酸系ポリマ類、
ポリスチレン等を構成成分とする有機粒子等を配合する
方法、界面活性剤を塗布する方法等を採用することがで
きる。かかる粒子の配合量としては、ポリマー100重
量部に対して0.05〜10重量部が好ましく、より好
ましくは0.1〜3重量部である。また、配合する粒子
の平均径としては、0.01〜3μmが好ましく、より
好ましくは0.1〜2μmである。このような粒子は、
種類、平均径の異なる複数の併用であってもよい。
【0030】ここでポリエステル基材フィルムに含まれ
る粒子量を被覆層に含まれる粒子量より多くすることが
剥離性と積層フィルムのハンドリング性を両立しやすい
点で好ましい。
【0031】本発明の剥離可能な被覆層にコロナ表面処
理を施し、樹脂層表面の濡れ張力を35mN/m以上に
上げることは、接着性、帯電防止性及び滑剤のブリード
アウト性を向上させるため好ましく採用することができ
る。この時のコロナ放電処理時の雰囲気ガスとしては、
酸素、空気、炭酸ガス、あるいは窒素/炭酸ガスの混合
系などが好ましい。
【0032】本発明の積層フィルムは、ポリエステル基
材フィルムの少なくとも片面に、剥離可能な被覆層が形
成されていることが肝要である。
【0033】剥離可能とは、該被覆層を該ポリエステル
基材フィルムから物理的に脱離できることをいう。ポリ
エステル基材フィルムと被覆層が剥離可能となるために
は、両者間の剥離力が50g/cm以下であることが望まし
い。好ましくは0.5〜50g/cm、より好ましくは0.5〜30g/
cm、更に好ましくは0.5〜10g/cmであることが望まし
い。この範囲であれば、剥離の際、被覆層フィルムの損
傷を最小限にとどめることができる。剥離力が0.5g/cm
未満だと、積層状態でセラミックスラリーを塗布するな
どの加工工程で剥離してしまうトラブルが発生すること
があるので、0.5g/cm以上であることがより好ましい。
【0034】本発明の積層フィルムの剥離力を本発明の
範囲内にするには、ポリエステル基材フィルム層及び/
または被覆層に下記組成の変性シリコーンやワックスを
添加することにより達成できる。添加する変性シリコー
ン及びワックスは、どちらか1種のみ用いてもよく、2
種を併用してもよい。この時の変性シリコーンの添加量
は、0.01〜1重量%の範囲が好ましく、より好ましくは
0.05〜0.5重量%の範囲である。この範囲内であると本
発明の剥離力を達成しやすい。また、ワックスの添加量
は、0.1〜2重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜0.9
重量%、特に好ましくは0.3〜0.8重量%である。
【0035】本発明におけるポリエステル基材フィルム
及び/または被覆層に変性シリコーンやワックスを添加
含有する方法としては、鋭意検討の結果、変性シリコー
ンやワックスの分散性を向上させ安定した性能を発現さ
せる点から、下記(1)〜(3)の様な重合工程で添加
する方法が好ましい。(1)ポリエステル重合時または
被覆層原料重合時に変性シリコーンまたはワックスを添
加する方法。(2)変性シリコーンまたはワックスを多
量に添加したマスターペレットを重合によって製造し、
変性シリコンまたはワックスを含有しないポリエステル
や被覆層原料とを所定量混合し、混練する方法。(3)ポ
リエステルや被覆層原料に変性シリコーン及びワックス
を多量にドライブレンドして溶融押出によりチップ化し
てマスター原料とし、変性シリコーンまたはワックスを
含有しないポリエステルや被覆層原料とを所定量混合
し、混練する方法。
【0036】本発明において変性シリコーンとは、アミ
ノ基、カルボキシル基、ポリオキシアルキレン基のう
ち、少なくとも1つの基を導入した変性シリコーンオイ
ルである。アミノ基、カルボキシル基あるいはポリオキ
シアルキレン基は、いかなる形でオルガノシロキサン連
鎖の中に結合されていてもよいが、具体例を挙げれば、
次のような化学構造のものがある。 但しMe:メチル基 R1:炭素数0〜20の炭化水素基 R2:水素または炭素数1〜20の炭化水素基 x :1〜50の整数 y :2〜50の整数 n :1〜5の整数 もちろん、オルガノシロキサン連鎖の中のすべてのモノ
マ単位がこのような変性を受けている必要はなく、変性
を受けているモノマ単位と、変性を受けていない通常の
シロキサン単位(ジメチルシロキサン単位など)との共
重合体でもよい。変性を受けているモノマ単位の比率を
一般に変性率と称するが、本発明で用いる変性シリコー
ンオイルの変性率は、0.3〜99%の範囲にあるものが好
ましく、45〜99%の範囲のものがより好ましい。また、
上記した各種変性シリコーンオイルの中で、本発明に最
も適しているものは、ポリオキシアルキレン変性シリコ
ーンオイルであり、特にポリオキシプロピレン変性のも
のが望ましい。なお、本発明に適した変性シリコーンオ
イルの粘度は、25℃で測定される値で40〜40000センチスト
ークスの範囲が好ましく、100〜10000センチストークスの範囲のも
のがより好ましい。このような変性シリコーンオイルを
通常のジメチルシロキサンあるいはジフェニルポリシロ
キサンなどと混合して用いてもよいが、その場合には、
全量に占める変性シリコーンオイルの量比を50%以上に
しておくことが望ましい。
【0037】ポリエステル基材フィルムと被覆層を剥離
可能に積層する方法は特に問われるものではないが、粘
着剤や接着剤などは用いず、該ポリエステル基材フィル
ムと該被覆層が直接隣接して剥離界面を形成しているこ
とが好ましい。
【0038】剥離可能な被覆層をポリエステル基材フィ
ルム上に形成しておくことにより、該積層フィルム表面
上に、セラミックグリーンシートの成形や硬化型シリコ
ーン被膜形成などの、いかなる表面処理、表面加工がな
された後においても、機械的な操作で容易にポリエステ
ル基材フィルムと剥離可能な被覆層の界面で剥離するこ
とができるために、高純度のポリエステルのみを含むポ
リエステル基材フィルム部分のみを容易に分離回収する
ことが可能となり、このようにして回収されたポリエス
テルは、ポリエステル基材フィルム自身にも再生可能な
程度に純度を高めることができる。
【0039】特に、積層セラミックコンデンサーなどの
積層セラミック部品を製造する工程で用いられるキャリ
アーフィルムとして用いる場合には、被覆層上に直接セ
ラミックグリーンシートを形成しておき、該ポリエステ
ル基材フィルムと該被覆層の界面で剥離して、被覆層付
きセラミックグリーンシートを得ることが出来る。
【0040】この、被覆層付きセラミックグリーンシー
トは被覆層付きのままでもセラミック焼成処理工程で、
被覆層は有機物であるため分解気化させることができる
ので、従来の積層セラミック部品の製造工程に全く付加
工程を付け加えることなくポリエステル基材フィルム部
分のみを分離回収できるようになるばかりでなく、従来
必須とされたポリエステル基材フィルム上へのシリコー
ン硬化膜の形成すら不要とすることができる。
【0041】また、セラミックの焼成処理など500℃
以上の高温処理が行われない用途、あるいは焼成処理が
行われる場合でもシリコーン硬化膜の特性が必要な場合
においては、従来の離型フィルムと同様に剥離可能な被
覆層面に硬化性シリコーン樹脂膜を形成することもでき
る。
【0042】この場合は、使用済の離型フィルムからポ
リエステルのみを分離しようとする際にポリエステルの
不純物となっていた種々の表面残差、たとえばセラミッ
ク成分や硬化性シリコーン樹脂膜、表面加工残差等は、
剥離可能な被覆層ごと剥離除去することによって容易
に、かつ完全にポリエステル基材フィルムから除去出来
るようになる。
【0043】本発明のポリエステル基材フィルムの厚さ
は、該被覆層との剥離のし易さから、該被覆層の厚みの
好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上であ
る。
【0044】本発明のポリエステル基材フィルムの厚さ
は特に限定されないが、後の加工工程時のハンドリング
性から5〜100μmが好ましい。
【0045】本発明の剥離可能な被覆層からなる層の厚
さは、セラミック焼成処理工程時の分解気化のし易さか
ら好ましくは0.01〜5μmであり、より好ましくは
0.01〜3μm、更に好ましくは0.01〜1μmで
ある。
【0046】以下、本発明の積層フィルム及び離型フィ
ルムの製造方法の一例について説明する。
【0047】ポリエステル基材フィルムの少なくとも片
面に剥離可能な被覆層を積層する方法は特に限定されな
いが、例えばポリエステル原料と被覆層原料を2台の
押出機に投入し、溶融して口金から共押出して、そのま
ま巻き取ったり、または延伸する方法、単膜で作製し
たポリエステル基材フィルムに被覆層原料を押出機に投
入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートす
る方法、ポリエステル基材フィルムと被覆層をそれぞ
れ別々に単膜作製し、加熱されたロール群などにより熱
圧着する方法等が挙げられる。
【0048】本発明の効果を得る特に好ましい製造方法
は、の方法である。の方法について詳しく説明す
る。
【0049】例えば、上記の剥離可能な被覆層を構成す
る樹脂(ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンサルフ
ァイド樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリヒドロキシカルボ
ン酸を主体とする樹脂等)を十分乾燥したもの(ポリオ
レフィン系樹脂は乾燥しない)と十分に乾燥した上記ポ
リエステル原料を2台以上の押出機、2層以上のマニホ
ールド、合流ブロックを用いて樹脂の融点以上の温度
で、剥離可能な被覆層が最表層になるように積層し、ス
リット状口金からシート状に溶融押出し、静電印加など
の方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化
せしめて未延伸フィルムを得る。変性シリコーン及びワ
ックス(カルナウバワックス)の添加は、ポリエステル
原料、及び/または、被覆層原料に変性シリコーン及び
ワックス(カルナウバワックス)を前記重合法やドライ
ブレンド法による方法により、これらを予め多量に添加
したマスター原料を作成して、これらマスター原料を上
記押出機に変性シリコーン及びワックス(カルナウバワ
ックス)を添加していないポリエステル原料及び被覆層
原料と共に押出機に投入する。
【0050】この未延伸の積層フィルムをそのまま離型
フィルムとして用いてもよいがフィルムの平面性や易滑
性などの特性面や生産性から、二軸延伸を行うのが好ま
しい。二軸延伸する方法は如何なる方法であってもよ
く、インフレーション同時二軸延伸法、ステンター式同
時二軸延伸法、ステンター式逐次二軸延伸法等の方法を
挙げることができる。ここで同時二軸延伸法とは、リニ
アモーター式、パンタグラフ式、スクリュウ式等の同時
二軸延伸機により、フィルムの両端をクリップで把持し
ながら長手方向、横方向の延伸を同時に延伸することで
あり、逐次二軸延伸法とは、周速差のある複数の加熱ロ
ール群からなる通常のロール延伸機で長手方向に延伸
し、続いてテンターでフィルムの両端を把持しながら横
方向に延伸する方式である。逐次二軸延伸法では、長手
方向の延伸と横方向の延伸を前記と逆に行ってもよく、
また、長手方向の延伸、幅方向の延伸を複数回数組み合
わせてもよい。ここでポリオレフィン系樹脂を被覆層に
使用してロール法あるいはテンター法で延伸する場合
に、被覆層のポリオレフィン系樹脂層がロールやテンタ
ークリップに粘着する場合には、予め該ポリオレフィン
系樹脂層をポリエステル等で被覆しておく方法がある。
【0051】上記延伸法の中で特に好ましい延伸方式
は、逐次二軸延伸方式であり、上記未延伸積層フィルム
を逐次二軸延伸する場合、長手方向の延伸は、通常用い
られるロールを用いて行われるが、予熱、延伸ロール
は、セラミック、フッ素樹脂、シリコンなどの非粘着性
の材質のロールを用いることが、フィルム表面の平滑性
が良好となるので好ましい。
【0052】延伸温度は、ポリエステル基材フィルムを
構成する樹脂の熱特性を基本にして適宜選択される。
【0053】たとえば、ポリエステル基材フィルムを構
成する樹脂がポリエチレンテレフタレートである場合に
は、60℃〜160℃の範囲で延伸が可能であり、この
範囲の中から被覆層を構成する樹脂の熱特性を鑑みて選
択できる。
【0054】たとえば被覆層がポリオレフィン系樹脂の
場合は60〜160℃、好ましくは70〜140℃、被
覆層がポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹
脂の場合」は70〜140℃、好ましくは70〜120
℃、被覆層がポリヒドロキシカルボン酸を主体とした樹
脂の場合は50〜120℃、好ましくは60〜100℃
で1〜7倍延伸する方法を用いる。なお、延伸は1段で
も、2段以上の段階延伸でもかまわない。延伸倍率がこ
の範囲を外れると、延伸むらや破れ等が発生し良好な特
性のフィルムが得られない。
【0055】幅方向の延伸は、公知のテンターを用い
て、長手方向と同様の温度範囲から選ばれ、その倍率は
2〜8倍延伸することが好ましい。延伸温度、延伸倍率
がこの範囲より外れると延伸むらや破れ等が発生し良好
な特性のフィルムが得られない。
【0056】また、一旦、二軸延伸したフィルムを少な
くとも一方向に延伸しても良い。
【0057】次に、この延伸フィルムを熱処理する。熱
処理条件としては、定長下で延伸温度〜ポリエステル樹
脂の融点−20℃の範囲で0.5〜30秒間行う。
【0058】本発明の積層フィルムには必要に応じて剥
離可能な被覆層に硬化性シリコーンを塗布することがで
きる。
【0059】本発明に用いるシリコーン硬化性樹脂の具
体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、
KS−775、KS−778、KS−779H、KS−
856、X−62−2422、X−62−2461、K
NS−305、KNS−3000、X−62−125
6、ダウ・コーニング・アジア(株)製DKQ3−20
2、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−
205、DKQ3−210、東芝シリコーン(株)製Y
SR−3022、TPR−6700、TPR−672
0、TPR−6721等が挙げられる。
【0060】本発明において、積層フィルムに硬化性シ
リコーン樹脂を形成する方法として、バーコート、リバ
ースロールコート、グラビアコート、ロッドコート、エ
アドクターコート、ドクターブレードコート等、従来よ
り公知の塗工方式を用いることができる。硬化性シリコ
ーン樹脂が形成される厚みは、0.01〜5μmが好ま
しい。0.01μm未満になると、安全性に欠け、均一
な塗膜を得難くなる傾向があり、一方、5μmを超える
と、実用面で問題が生じる。
【0061】[特性の評価方法] 1.積層フィルムの剥離力 まず厚さ0.5mmの表面の平滑なアルミ板を用意し、
積層フィルムの被覆層面をこのアルミ板に両面粘着テー
プを用いて貼り合わせる。
【0062】これからポリエステル基材フィルムを被覆
層との界面で剥離して180度方向に連続的に200mm
/minの速度で剥離する時のポリエステル基材フィルムに
かかる張力を張力計で測定する。このとき積層フィルム
の幅をW(cm)、張力をT(g)とした時 剥離力(g/cm)=T/W の式で求めた。 2.被覆層付きセラミックグリーンシートとポリエステ
ル基材フィルムの剥離性2層積層フィルムの被覆層に下
記組成のセラミックスラリーを塗布し、乾燥して厚さ1
0μmのセラミックグリーンシートを形成した。
【0063】次に、ポリエステル基材フィルムと被覆層
付きセラミックグリーンシートの界面で剥離して、その
時の状態を目視により、次の2段階に評価した。 被覆層付きセラミックグリーンシートが容易に剥離でき
た・・・○ ポリエステル基材フィルムと被覆層の密着力が強く、セ
ラミックグリーンシートが変形またはヒビが入った。・
・・× 《セラミックスラリー組成》 セラミック粉体(チタン酸バリウム) 100部 結合剤(ポリビニルブチラール樹脂) 5部 可塑剤(フタル酸ジオクチル) 1部 トルエン/MEK混合溶媒(1:1の配合比率) 10部
【0064】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明する。なお、実施例で使用した硬化性シリコーン樹
脂組成及びセラミックスラリー組成は、以下の通りであ
る。
【0065】 《硬化性シリコーン樹脂組成》 硬化性シリコーン樹脂(信越化学製:KS−779H) 100部 硬化剤(信越化学製:CAT−PL−8) 1部 MEK・トルエン系 2000部 《セラミックスラリー組成》 セラミック粉体(チタン酸バリウム) 100部 結合剤(ポリビニルブチラール樹脂) 5部 可塑剤(フタル酸ジオクチル) 1部 トルエン/MEK混合溶媒(1:1の配合比率) 10部 実施例1 (変性シリコーンの添加)EPC原料に変性シリコーン
をドライブレンド法により添加した。添加量は、0.15重
量%(変性率80%、25℃での粘度1800センチストークス)とし
た。 (積層フィルムの製造)固有粘度0.61のポリエチレ
ンテレフタレートバージン原料(以下、v−PET)の
ペレットを180℃で3時間真空乾燥し押出機1に、ま
た未乾燥のエチレン(5.5重量%)−プロピレン(9
4.5重量%)共重合体(以下、EPC)を押出機2に
それぞれ供給して加熱溶融し、平均濾過精度10μmの
不織布型焼結フィルターで濾過しつつ3層のマニホール
ドを通過させた後にT型口金から押し出し、直径600
mmの冷却ドラム上にキャストして厚さ約900μmの
PET/EPC/PETの3層の未延伸フィルムを作製
した。得られた未延伸フィルムを加熱ロール群に供給し
て予熱し、温度90℃の周速の異なるロール間で長さ方
向に3.3倍延伸した後、一旦室温まで冷却した。続い
て、該延伸フィルムをテンター式延伸機に導き、熱風温
度95℃で加熱しつつ幅方向に3.5倍延伸し、さらに
テンター内で220℃で熱処理して、厚さ77μm(v
−PET38μm/EPC1μm/v−PET38μ
m)の2軸延伸3層積層フィルムを作製した。
【0066】続いてこの3層の積層フィルムの一方のP
ET層を剥離して、v−PET38μm/EPC1μm
の2層からなる本発明の積層フィルム1を得た。
【0067】こうして得られた2層積層フィルムのポリ
エステル基材フィルム(v−PET層)と被覆層(EP
C層)との剥離力は0.5g/cmであった。 (離型フィルムとしての使用)得られた積層フィルム1
の、被覆層(EPC層)面に上記組成からなるセラミッ
クスラリーを塗布し、乾燥して厚さ10μmのセラミッ
クグリーンシートを形成した。
【0068】次に、PET層とEPC層ともその界面で
剥離して、被覆層付きセラミックグリーンシートとポリ
エステル基材フィルムに分離した。被覆層付きセラミッ
クグリーンシートとポリエステル基材フィルムの剥離性
は良好であった。 (回収性の評価)剥離したポリエステルフィルムを細か
く粉砕したのち、180℃で3時間真空乾燥しペレタイ
ザによって回収ポリエチレンテレフタレート(以下、r
−PET)のペレットを作成した。
【0069】v−PETペレットに代えて、r−PET
を用いたこと以外、上述した積層フィルム1と同様の方
法で、積層フィルムを製膜したところ、v−PETペレ
ットを用いたときと同様にして、積層フィルムを得るこ
とができた。
【0070】実施例2 (変性シリコーンの添加)PPS原料に変性シリコーン
をドライブレンド法により添加した。添加量は、0.15重
量%(変性率80%、25℃での粘度1800センチストークス)とし
た。 (積層フィルムの製造)固有粘度0.61のポリエチレ
ンテレフタレートバージン原料(以下、v−PET)の
ペレットを180℃で3時間真空乾燥し押出機1に、ま
た180℃で3時間真空乾燥したポリフェニレンサルフ
ァイドペレット(以下、PPS)を押出機2にそれぞれ
供給して加熱溶融し、平均濾過精度10μmの不織布型
焼結フィルターで濾過しつつ2層のマニホールドを通過
させた後にT型口金から押し出し、直径600mmの冷
却ドラム上にキャストして厚さ約460μmのPET/
PPSの2層の未延伸フィルムを作製した。得られた未
延伸フィルムを加熱ロール群に供給して予熱し、温度9
5℃の周速の異なるロール間で長さ方向に3.3倍延伸
した後、一旦室温まで冷却した。続いて、該延伸フィル
ムをテンター式延伸機に導き、熱風温度95℃で加熱し
つつ幅方向に3.5倍延伸し、さらにテンター内で23
0℃で熱処理して、厚さ38.7μm(v−PET38
μm/PPS0.7μm)の2軸延伸2層積層フィルム
を作製した。
【0071】こうして得られた2層積層フィルムのポリ
エステル基材フィルム(v−PET層)と被覆層(PP
S層)との剥離力は0.7g/cmであった。 (離型フィルムとしての使用)得られた積層フィルム1
の、被覆層(PPS層)面に上記組成からなる硬化性シ
リコーン樹脂膜を形成した。
【0072】その樹脂膜面に上記組成のセラミックスラ
リーを塗布し、乾燥して厚さ10μmのセラミックグリ
ーンシートを形成した。
【0073】この時、セラミックグリーンシート面にセ
ロハンテープを貼り付けて、セラミックグリーンシート
の接着力を確認したところ、セラミックグリーンシート
はセロハンテープによる剥離により硬化性シリコーン樹
脂膜から容易に剥離することができた。 (回収性の評価)セラミックグリーンシートを除去した
硬化性シリコーン樹脂層/PPS層/PET層の積層フ
ィルムを巻出機にセットし、PET層とPPS層の界面
で剥離してきっかけをつくり、続いて2軸の巻取機でP
ET層と硬化性シリコーン層/PPS層を別々に巻き取
った。
【0074】剥離したPET層を細かく粉砕したのち、
180℃で3時間真空乾燥しペレタイザによって回収ポ
リエチレンテレフタレート(以下、r−PET)のペレ
ットを作成した。
【0075】v−PETペレットに代えて、r−PET
を用いたこと以外、上述した積層フィルム1と同様の方
法で、積層フィルムを製膜したところ、v−PETペレ
ットを用いたときと同様にして、積層フィルムを得るこ
とができた。
【0076】実施例3 (変性シリコーンの添加)ナイロン6原料に変性シリコ
ーンをドライブレンド法により添加した。添加量は、0.
15重量%(変性率80%、25℃での粘度1800センチストークス)と
した。 (積層フィルムの製造)固有粘度0.61のポリエチレ
ンテレフタレートバージン原料(以下、v−PET)の
ペレットを180℃で3時間真空乾燥し押出機1に、ま
た150℃で3時間真空乾燥したナイロン6(以下、N
6)を押出機2にそれぞれ供給して加熱溶融し、平均濾
過精度10μmの不織布型焼結フィルターで濾過しつつ
2層のマニホールドを通過させた後にT型口金から押し
出し、直径600mmの冷却ドラム上にキャストして厚
さ約460μmのPET/N6の2層の未延伸フィルム
を作製した。得られた未延伸フィルムを加熱ロール群に
供給して予熱し、温度90℃の周速の異なるロール間で
長さ方向に3.3倍延伸した後、一旦室温まで冷却し
た。続いて、該延伸フィルムをテンター式延伸機に導
き、熱風温度95℃で加熱しつつ幅方向に3.5倍延伸
し、さらにテンター内で230℃で熱処理して、厚さ4
0μm(v−PET層38μm/N6層2μm)の2軸
延伸2層積層フィルムを作製した。
【0077】こうして得られた2層積層フィルムのポリ
エステル基材フィルム(v−PET層)と被覆層(N6
層)との剥離力は0.3g/cmであった。 (離型フィルムとしての使用)得られた積層フィルム1
の、被覆層(N6層)面に硬化性シリコーン樹脂膜を形
成した。
【0078】その樹脂膜面に上記組成のセラミックスラ
リーを塗布し、乾燥して厚さ10μmのセラミックグリ
ーンシートを形成した。
【0079】この時、セラミックグリーンシート面にセ
ロハンテープを貼り付けて、セラミックグリーンシート
の接着力を確認したところ、セラミックグリーンシート
はセロハンテープによる剥離により硬化性シリコーン樹
脂層から容易に剥離することができた。 (回収性の評価)セラミックグリーンシートを除去した
硬化性シリコーン樹脂層/N6層/PET層の積層フィ
ルムを巻出機にセットし、PET層とN6層の界面で剥
離してきっかけをつくり、続いて2軸の巻出機でPET
層と硬化性シリコーン層/N6層を別々に巻き取った。
【0080】剥離したPET層を細かく粉砕したのち、
180℃で3時間真空乾燥しペレタイザによって回収ポ
リエチレンテレフタレート(以下、r−PET)のペレ
ットを作成した。
【0081】v−PETペレットに代えて、r−PET
を用いたこと以外、上述した積層フィルム1と同様の方
法で、積層フィルムを製膜したところ、v−PETペレ
ットを用いたときと同様にして、積層フィルムを得るこ
とができた。
【0082】硬化性シリコーン層/N6層は、回収でき
ないので廃棄したが、廃棄物量は、離型フィルム100
0mあたり約2.4kgで済んだ。 実施例4 (変性シリコーンの添加)PLA原料に変性シリコーン
をドライブレンド法により添加した。添加量は、0.15重
量%(変性率80%、25℃での粘度1800センチストークス)とし
た。 (積層フィルムの製造)固有粘度0.61のポリエチレ
ンテレフタレートバージン原料(以下、v−PET)の
ペレットを180℃で3時間真空乾燥し押出機1に、ま
た120℃で3時間真空乾燥したポリヒドロキシカルボ
ン酸を主成分とする樹脂ペレット(以下、PLA)を押
出機2にそれぞれ供給して加熱溶融し、平均濾過精度1
0μmの不織布型焼結フィルターで濾過しつつ2層のマ
ニホールドを通過させた後にT型口金から押し出し、直
径600mmの冷却ドラム上にキャストして厚さ約44
0μmのPET/PLAの2層の未延伸フィルムを作製
した。得られた未延伸フィルムを加熱ロール群に供給し
て予熱し、温度87℃の周速の異なるロール間で長さ方
向に3.3倍延伸した後、一旦室温まで冷却した。続い
て、該延伸フィルムをテンター式延伸機に導き、熱風温
度90℃で加熱しつつ幅方向に3.3倍延伸し、さらに
テンター内で230℃で熱処理して、厚さ40μm(v
−PET38μm/PLA2μm)の2軸延伸2層積層
フィルムを作製した。
【0083】こうして得られた2層積層フィルムのポリ
エステルフィルム(v−PET層)と被覆層(PLA
層)との剥離力は0.5g/cmであった。 (離型フィルムとしての使用)得られた積層フィルム1
の、被覆層(PLA層)面に上記組成からなるセラミッ
クスラリーを塗布し、乾燥して厚さ10μmのセラミッ
クグリーンシートを形成した。
【0084】次に、PET層とPLA層とその界面で剥
離して、被覆層付きセラミックグリーンシートとポリエ
ステルフィルムに分離した。被覆層付きセラミックグリ
ーンシートとポリエステル基材フィルムの剥離性はいず
れの場合も良好であった。 (回収性の評価)剥離したポリエステルフィルムを細か
く粉砕したのち、180℃で3時間真空乾燥しペレタイ
ザによって回収ポリエチレンテレフタレート(以下、r
−PET)のペレットを作成した。
【0085】v−PETペレットに代えて、r−PET
を用いたこと以外、上述した積層フィルム1と同様の方
法で、積層フィルムを製膜したところ、v−PETペレ
ットを用いたときと同様にして、積層フィルムを得るこ
とができた。
【0086】実施例5 (カルナウバワックスの添加)PLA原料にカルナウバ
ワックスをドライブレンド法により添加した。添加量
は、0.5重量%とした。 (積層フィルムの製造)固有粘度0.61のポリエチレ
ンテレフタレートバージン原料(以下、v−PET)の
ペレットを180℃で3時間真空乾燥し押出機1に、ま
た120℃で3時間真空乾燥したポリヒドロキシカルボ
ン酸を主成分とする樹脂ペレット(以下、PLA)を押
出機2にそれぞれ供給して加熱溶融し、平均濾過精度1
0μmの不織布型焼結フィルターで濾過しつつ2層のマ
ニホールドを通過させた後にT型口金から押し出し、直
径600mmの冷却ドラム上にキャストして厚さ約44
0μmのPET/PLAの2層の未延伸フィルムを作製
した。得られた未延伸フィルムを加熱ロール群に供給し
て予熱し、温度87℃の周速の異なるロール間で長さ方
向に3.3倍延伸した後、一旦室温まで冷却した。続い
て、該延伸フィルムをテンター式延伸機に導き、熱風温
度90℃で加熱しつつ幅方向に3.3倍延伸し、さらに
テンター内で230℃で熱処理して、厚さ40μm(v
−PET38μm/PLA2μm)の2軸延伸2層積層
フィルムを作製した。
【0087】こうして得られた2層積層フィルムのポリ
エステルフィルム(v−PET層)と被覆層(PLA
層)との剥離力は0.4g/cmであった。 (離型フィルムとしての使用)得られた積層フィルム1
の、被覆層(PLA層)面に上記組成からなるセラミッ
クスラリーを塗布し、乾燥して厚さ10μmのセラミッ
クグリーンシートを形成した。
【0088】次に、PET層とPLA層とその界面で剥
離して、被覆層付きセラミックグリーンシートとポリエ
ステルフィルムに分離した。被覆層付きセラミックグリ
ーンシートとポリエステル基材フィルムの剥離性はいず
れの場合も良好であった。 (回収性の評価)剥離したポリエステルフィルムを細か
く粉砕したのち、180℃で3時間真空乾燥しペレタイ
ザによって回収ポリエチレンテレフタレート(以下、r
−PET)のペレットを作成した。
【0089】v−PETペレットに代えて、r−PET
を用いたこと以外、上述した積層フィルム1と同様の方
法で、積層フィルムを製膜したところ、v−PETペレ
ットを用いたときと同様にして、積層フィルムを得るこ
とができた。
【0090】実施例6 (変性シリコーン+カルナウバワックスの添加)PLA
原料に変性シリコーン及びカルナウバワックスをドライ
ブレンド法により添加した。添加量は、変性シリコーン
が0.15重量%(変性率80%、25℃での粘度1800センチストーク
ス)、カルナウバワックスが、0.5重量%とした。 (積層フィルムの製造)固有粘度0.61のポリエチレ
ンテレフタレートバージン原料(以下、v−PET)の
ペレットを180℃で3時間真空乾燥し押出機1に、ま
た120℃で3時間真空乾燥したポリヒドロキシカルボ
ン酸を主成分とする樹脂ペレット(以下、PLA)を押
出機2にそれぞれ供給して加熱溶融し、平均濾過精度1
0μmの不織布型焼結フィルターで濾過しつつ2層のマ
ニホールドを通過させた後にT型口金から押し出し、直
径600mmの冷却ドラム上にキャストして厚さ約44
0μmのPET/PLAの2層の未延伸フィルムを作製
した。得られた未延伸フィルムを加熱ロール群に供給し
て予熱し、温度87℃の周速の異なるロール間で長さ方
向に3.3倍延伸した後、一旦室温まで冷却した。続い
て、該延伸フィルムをテンター式延伸機に導き、熱風温
度90℃で加熱しつつ幅方向に3.3倍延伸し、さらに
テンター内で230℃で熱処理して、厚さ40μm(v
−PET38μm/PLA2μm)の2軸延伸2層積層
フィルムを作製した。
【0091】こうして得られた2層積層フィルムのポリ
エステルフィルム(v−PET層)と被覆層(PLA
層)との剥離力は0.3g/cmであった。 (離型フィルムとしての使用)得られた積層フィルム1
の、被覆層(PLA層)面に上記組成からなるセラミッ
クスラリーを塗布し、乾燥して厚さ10μmのセラミッ
クグリーンシートを形成した。
【0092】次に、PET層とPLA層とその界面で剥
離して、被覆層付きセラミックグリーンシートとポリエ
ステルフィルムに分離した。被覆層付きセラミックグリ
ーンシートとポリエステル基材フィルムの剥離性はいず
れの場合も良好であった。 (回収性の評価)剥離したポリエステルフィルムを細か
く粉砕したのち、180℃で3時間真空乾燥しペレタイ
ザによって回収ポリエチレンテレフタレート(以下、r
−PET)のペレットを作成した。
【0093】v−PETペレットに代えて、r−PET
を用いたこと以外、上述した積層フィルム1と同様の方
法で、積層フィルムを製膜したところ、v−PETペレ
ットを用いたときと同様にして、積層フィルムを得るこ
とができた。
【0094】比較例1 (フィルムの製造)固有粘度0.61のポリエチレンテ
レフタレートバージン原料(以下、PET)のペレット
を180℃で3時間真空乾燥し1台の押出機に供給し、
平均濾過精度10μmの不織布型焼結フィルターで濾過
しつつマニホールドを通過させた後にT型口金から押し
出し、直径600mmの冷却ドラム上にキャストして厚
さ約440μmのPETの未延伸フィルムを作製した。
得られた未延伸フィルムを加熱ロール群に供給して予熱
し、温度95℃の周速の異なるロール間で長さ方向に
3.3倍延伸した後、一旦室温まで冷却した。続いて、
該延伸フィルムをテンター式延伸機に導き、熱風温度9
5℃で加熱しつつ幅方向に3.3倍延伸し、さらにテン
ター内で230℃で熱処理して、厚さ40μmの2軸延
伸フィルムを作製した。 (離型フィルムとしての使用)得られたPETフィルム
の片面に上記組成からなる硬化性シリコーン樹脂膜を形
成した。
【0095】その樹脂膜面に上記組成のセラミックスラ
リーを塗布し、乾燥して厚さ10μmのセラミックグリ
ーンシートを形成した。
【0096】この時、セラミックグリーンシート面にセ
ロハンテープを貼り付けて、セラミックグリーンシート
の接着力を確認したところ、セラミックグリーンシート
はセロハンテープによる剥離によりPET層から容易に
剥離することができた。 (回収性の評価)硬化性シリコーン樹脂膜が形成された
ままのPETフィルムを細かく粉砕したのち、180℃
で3時間真空乾燥しペレタイザによって回収PETのペ
レットを作成した。
【0097】PETペレットに代えて、回収PETを用
いたこと以外、上述したPETフィルムと同様の方法
で、製膜したところ、溶融状態で濾過装置で目詰まりが
発生し、未延伸フィルムの作製もできなかった。更にT
型口金より吐出した少量の溶融ポリマーは黄色く着色し
ていた。その結果、廃棄物量は離型フィルム1000m
あたり約60kgとなった。
【0098】比較例2 (フィルムの製造)固有粘度0.61のポリエチレンテ
レフタレートバージン原料(以下、PET)のペレット
を180℃で3時間真空乾燥し1台の押出機に供給し、
平均濾過精度10μmの不織布型焼結フィルターで濾過
しつつマニホールドを通過させた後にT型口金から押し
出し、直径600mmの冷却ドラム上にキャストして厚
さ約440μmのPETの未延伸フィルムを作製した。
得られた未延伸フィルムを加熱ロール群に供給して予熱
し、温度95℃の周速の異なるロール間で長さ方向に
3.3倍延伸した後、一旦室温まで冷却した。続いて、
該延伸フィルムをテンター式延伸機に導き、熱風温度9
5℃で加熱しつつ幅方向に3.3倍延伸し、さらにテン
ター内で230℃で熱処理して、厚さ40μmの2軸延
伸フィルムを作製した。 (離型フィルムとしての使用)得られたPETフィルム
の片面に上記組成のセラミックスラリーを塗布し、乾燥
して厚さ10μmのセラミックグリーンシートを形成し
た。
【0099】この時、セラミックグリーンシート面にセ
ロハンテープを貼り付けて、セラミックグリーンシート
の接着力を確認したところ、セラミックグリーンシート
が部分的に破断してPET層から剥離できなかった。 (回収性の評価)セラミックグリーンシートが剥離でき
なかったので回収性の評価を断念した。
【0100】比較例3 実施例4において、被覆層に変性シリコーンやカルナウ
バワックスを添加せずに同様にして、厚さ38.5μm
(v−PET38μm/PLA0.5μm)の2軸延伸
2層積層フィルムを作製した。
【0101】こうして得られた2層積層フィルムのポリ
エステル基材フィルム(v−PET層)と被覆層(PL
A層)との剥離力は70g/cmであった。 (離型フィルムとしての使用)得られた積層フィルム1
の、被覆層(PLA層)面に上記組成からなるセラミッ
クスラリーを塗布し、乾燥して厚さ10μmのセラミッ
クグリーンシートを形成した。
【0102】次に、被覆層付きセラミックグリーンシー
トとポリエステル基材フィルムの剥離したところ、部分
的に剥離は出来たもののセラミックグリーンシートに多
数の亀裂が入っていた。
【0103】
【表1】
【0104】
【発明の効果】ポリエステル基材フィルムの少なくとも
片面に剥離可能な被覆層を形成された積層フィルムにお
いて、該ポリエステル基材フィルム及び/または被覆層
に変性シリコーン、ワックスを添加することにより、該
積層フィルム表面上に、セラミックグリーンシートの成
形や硬化性シリコーン被膜形成などの、いかなる表面処
理、表面加工がなされた後においても、機械的な操作で
容易にポリエステル基材フィルムと被覆層の界面で剥離
することが出来るために、高純度のポリエステルのみを
含むポリエステル基材フィルム部分のみを容易に分離回
収することが可能となる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AJ11A AJ11B AJ11H AK03B AK41A AK41B AK42 AK46B AK52B AK52H AK57B AL06A AL06B AL06H AT00A BA02 CA19A CA19B CC00B EH17 EH46 EJ37 JL14 JL16

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステル基材フィルムの少なくとも片
    面に、該ポリエステル基材フィルムと剥離可能な被覆層
    が形成されている積層フィルムにおいて、該被覆層ある
    いは該ポリエステル基材フィルムの少なくとも一方に変
    性シリコーン及び/またはワックスを含有していること
    を特徴とする離型用積層フィルム。
  2. 【請求項2】該ポリエステル基材フィルムと被覆層の剥
    離力が0.5〜50g/cmであることを特徴とする請
    求項1に記載の離型用積層フィルム
  3. 【請求項3】該被覆層がポリオレフィン系樹脂を含む層
    である請求項1に記載の離型用積層フィルム。
  4. 【請求項4】該被覆層がポリフェニレンサルファイド樹
    脂を含む層である請求項1に記載の離型用積層フィル
    ム。
  5. 【請求項5】該被覆層がポリアミド系樹脂を含む層であ
    る請求項1に記載の離型用積層フィルム。
  6. 【請求項6】該被覆層がポリヒドロキシカルボン酸を主
    体とする樹脂を含む層である請求項1に記載の離型用積
    層フィルム。
  7. 【請求項7】該ポリエステル基材フィルムの厚さは、該
    被覆層の厚みの5倍以上である請求項1〜7に記載の離
    型用積層フィルム。
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