JP4967194B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷を施して用いるフィルム状あるいはシート状の工業材料、農業材料および包装材料等に好適に利用できるリサイクル性に優れた積層フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より包装用フィルム等のように多機能性が求められる用途には、性能の異なる素材を組み合わせ、様々な機能を付与した積層フィルムが広く使われている。
【0003】
近年、環境問題を背景に資源の再利用、つまりリサイクルが強く望まれるようになってきた。しかしながら、異素材を複合したこれら積層フィルムは、従来の技術では、使用後に分離・回収しリサイクルすることが困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、すなわち容易に分離・回収しリサイクルが可能で、工業材料、農業材料および包装材料等の用途に好適に用いることのできる積層フィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の積層フィルムは、ルカリ水溶液処理により一部または全部が溶解可能な下記で定義されるアルカリ溶解度が50%以上である層(A層)と、当該ルカリ水溶液処理により該A層から分離回収可能なポリマー層(B層)、アルカリ水溶液処理により一部または全部が溶解可能な樹脂からなる被印刷層(C層)の少なくとも3層から構成される。
アルカリ溶解度
評価対象の積層フィルム各層から約3g削り取り重量G1を正確に測定する。温度25℃の1規定水酸化ナトリウム水溶液100ml中に5日間浸漬、攪拌を行なった後、濾紙で水溶液を濾過し、純水で十分洗浄して、濾紙上の残査を110℃×1時間乾燥後、23℃、湿度60%の雰囲気に1時間冷却、調湿後、残査の重量G2を測定する。次式によりアルカリ溶解度を求める。
アルカリ溶解度=(G1−G2)/G1×100
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる酸は、例えば塩酸、硫酸、酢酸等であり、水溶液としたときpH7未満となる物質である。また、アルカリは、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム等であり、水溶液としたときpH7を越える物質である。
【0007】
本発明の積層フィルムは、これを酸またはアルカリ水溶液処理することにより、溶解可能な層(A層)の一部または全部が溶解し、溶解しないで残された回収可能なポリマー層(B層)を分離回収することができる。好ましくは、0.01規定から4規定、特に好ましくは0.1〜3規定の濃度の酸水溶液またはアルカリ水溶液による処理によって、A層の一部または全部が溶解し、B層が溶解することなく分離回収されるような構成となっていることが好ましい。酸またはアルカリの濃度が、かかる範囲以下では、溶解可能である層の溶解に時間がかかるため分離の効率が悪く好ましくない。またかかる範囲以上では、B層を構成するポリマーの劣化や分子量低下等の影響を与えるため好ましくない。
【0008】
水溶液処理としては、浸漬、噴霧、洗い流し等の手段があるが、通常は積層フィルムを水溶液に浸漬することで処理される。また浸漬時には攪拌を行うことが、積層フィルムの分離性を向上する上で好ましい。
【0009】
さらに酸またはアルカリ水溶液の温度範囲は、本発明の効果を損ねない範囲であれば問題はないが、通常0〜200℃、特に好ましくは20〜100℃である。一般的に水溶液の温度がこれよりも低くなれば、溶解可能な層の溶解に時間がかかるため分離効率が悪化するため好ましくない。一方これよりも高くなれば分離効率が向上する反面、回収層の劣化も促進するため好ましくない。
【0010】
本発明の積層フィルムにおいては、酸の水溶液またはアルカリ水溶液等で積層フィルムを処理した際に、酸またはアルカリ水溶液処理により一部または全部が溶解可能な層(A層)を少なくとも一層有することが必要である。溶解可能な層であるとは、積層フィルムとの物理的乃至は化学的結合状態から解放され、該層の構成成分が前記水溶液に相溶乃至は分散(コロイド、懸濁、微粒子など)等が可能であることを意味する。また、一部溶解可能であるとは、一部が積層フィルムに残ることを含み、この場合、積層フィルムに残る成分はB層と同一か同じポリマー種であることが、回収処理上、好ましい。なお、前記一部が積層フィルムに残るとは、具体的比率については特に限定されないが、A層の70重量%以下、より好ましくは50重量%以下であることが好ましい。また、測定方法としては、重量減少率を測定する方法がよく、例えば、後述のアルカリ溶解性乃至はこれに準じた方法が挙げられる。このとき、回収可能な層(B層)の分離を良くするためには、A層の構成成分は、25℃の1規定水酸化ナトリウム水溶液に5日間浸漬した後の重量減少率が50%以上のものであることが好ましく、特に70%以上であるとより好ましい。
【0011】
A層を構成する素材としては、ポリ乳酸、酢酸セルロース、セルロース、でんぷん、ポリビニルアルコール、大豆成分等を主体とする樹脂が挙げられる。特に耐熱性、回収性および成形性を考慮すると、特にポリ乳酸を主体とする樹脂が好ましく、その樹脂中のポリ乳酸の含有量は5〜100重量%であることが好ましく、さらに好ましくは50〜100重量%である。
【0012】
ポリ乳酸を主体とする樹脂としては、例えば、D−乳酸ホモポリマー、L−乳酸ホモポリマー、D−乳酸/L−乳酸コポリマー、D−乳酸/ヒドロキシカルボン酸コポリマーおよびそれらの混合物を挙げることができるが、本発明ではこれらに限定されない。またポリ乳酸を主体とするポリマーは、L−乳酸を主体とし、D−乳酸の含有量が0〜30重量%であることが、耐熱性、熱収縮特性の点で好ましい。特に好ましくはD−乳酸の含有量が0〜20重量%である。
【0013】
上記のポリ乳酸を主体とする樹脂は、次のような方法で得ることができる。原料としては、D−乳酸および/またはL−乳酸を主体とし、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸等のヒドロキシカルボン酸類を併用することもできる。さらにジカルボン酸類やグリコール類も用いることができる。ポリ乳酸を主体とするポリマーは、上記原料を直接脱水重縮合する方法、または上記原料から形成された環状エステル中間体を開環重合する方法によって得ることができる。例えば、直接脱水重縮合して製造する場合、乳酸類または乳酸類とヒドロキシカルボン酸類を好ましくは有機溶媒、特にフェニルエーテル系溶媒の存在下で共沸脱水縮合し、特に好ましくは共沸により重合することにより本発明に適した高分子量のポリマーが得られる。ポリマーの分子量は、積層フィルムの成形性等の点から重量平均分子量が好ましくは1万〜100万、より好ましく2万〜50万の範囲である。
【0014】
ポリ乳酸を主体とする樹脂のメルトフローインデックス(230℃)は、積層性と成形性を良好とするためには、0.1〜30g/10分であることが好ましく、0.5〜15g/10分であると特に好ましい。
【0015】
A層を構成する素材としては、上記の樹脂のほかに、ヒドロキシカルボン酸を構成成分とするポリグリコール酸、ポリ酪酸ヒドロキシブチレート等や、ジカルボン酸とグリコールを構成成分とするポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート(PHT)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリブチレンサクシネート等のポリエステル、またはこれらのポリエステルを主体とする共重合体等やブレンド体などを用いることもできる。共重合体の場合は、ランダム共重合体でもブロック共重合体であってもよい。
【0016】
さらに、A層には、酸溶解性またはアルカリ溶解性を損なわない範囲内で、各種の添加剤が含まれていてもよい。例えば、難燃剤、酸化防止剤、耐侯剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、着色剤、末端封鎖剤、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤あるいはポリシロキサン等を配合することができる。
【0017】
本発明の積層フィルムには、A層、B層またはD層の少なくとも1層が0. 1〜40重量%の可塑剤を含むことが積層フィルムの柔軟性、透明性などを向上させる上で好ましい。なお、C層に、基本的には、可塑剤が含まれる必要はないが、印刷の妨げにならなければ、含まれていても差し支えない。
【0018】
本発明のフィルムにおける可塑剤には、芳香族ポリエステル系、脂肪族ポリエステル系などのポリエステル系可塑剤、ポリエチレングリコール系、ポリテトラメチレングリコール系などのポリエーテル系可塑剤、フタル酸系、トリメリット酸系などのモノマー系可塑剤、およびエポキシ系、リン酸系、アクリル系などの可塑剤が挙げられる。中でも、耐熱性、成型加工性の点からポリエーテル系可塑剤が好ましく用いられる。特に好ましいポリエーテル系可塑剤は、ポリエチレングリコール誘導体である。
【0019】
ポリエチレングリコール誘導体としては、ポリエチレングリコールと脂肪族ジカルボン酸あるいは芳香族ジカルボン酸から得られるものが好適である。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸などが挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、フェノキシエタンジカルボン酸、安息香酸などが挙げられる。低温での成形性、機械特性の点から芳香族ジカルボン酸が好ましい。
【0020】
耐熱性の点で可塑剤の水酸基価は0〜20mg/gであることが好ましく、さらに、0〜15mg/gであるものが好ましい。また、酸価は0〜5mg/gであることが好ましく、特に0〜3mg/gであることが好ましい。特に、成形加工性と美麗性を向上させる点で、可塑剤に末端封鎖剤を反応させることが好ましく、可塑剤1モルに対して0.01〜100モルの末端封鎖剤を反応させることが好ましい。特に、低温での成形加工性と機械特性を良好にする点では、凝固点が−150℃〜100℃であることが好ましく、さらに好ましくは−100℃〜60℃、特に好ましくは−50℃〜20℃である。また、特に低温での機械特性を良好にする点で可塑剤の分子量は100〜2500であることが好ましく、さらに好ましくは200〜2400である。
【0021】
中でも柔軟性付与などの点で特に好ましくは分子量3000以下のポリアルキレングリコールをもちいることができる。特にポリアルキレングリコールには安息香酸などで末端封鎖してなる化合物が耐熱性などの点で好ましい。ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが好適に用いられる。
【0022】
また耐候性の向上に好ましく用いることのできるアクリル系可塑剤としては、特公平2−33041、特公平5−58005、特公平5−61284などに挙げられたものを好ましく用いることができる。
【0023】
可塑剤の添加量は、前述の通り、0.1〜40重量%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜30重量%の範囲である。特に好ましくは5〜20重量%である。
【0024】
さらに、積層フィルムの特性を向上させるためにここに挙げた複数の種類の可塑剤を併用して用いてもよい。
【0025】
本発明のB層を構成するポリマーは、25℃の1規定水酸化ナトリウム水溶液に5日間浸漬後の分子量保持率が50%以上、さらに好ましくは70%以上であることがリサイクル、回収性の点から好ましい。分子量保持率については例えば以下に示す方法で測定できる。
【0026】
積層体各層のポリマーを削り取り分子量M1を測定する。温度25℃の1規定水酸化ナトリウム水溶液100ml中に5日間浸漬、攪拌を行ったあと、濾紙で水溶液を濾過し、純水で十分洗浄して、濾紙上の残査の分子量M2を測定する。
次式により分子量保持率を求める。
分子量保持率=100−(M1−M2)/M1×100
B層を構成する物質としては、例えば、熱可塑性樹脂などを用いることが可能である。具体的には、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。
【0027】
ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等を挙げることができる。このとき、ポリエステルには、特性を損ねない範囲で他の共重合成分を含有してもよい。ポリエステルを構成するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸以外に、例えば、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、エイコ酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマ−酸、ドデカンジオン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多官能酸等を挙げることができる。一方、ポリエステルを構成するグリコ−ル成分としては、エチレングリコール以外に、例えば、プロパンジオ−ル、ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール等を挙げることができる。さらにポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルを共重合してもよい。
【0028】
なお、これらのジカルボン酸成分、グリコ−ル成分は2種以上を併用してもよい。
【0029】
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等を挙げることができる。
【0030】
本発明においては、上記した2種以上のポリマーをブレンドして使用してもよい。さらに複数または同一のポリマーを2層以上に共押出し積層フィルムとしてもよい。
【0031】
ここで使用されるポリマーの極限粘度は、好ましくは0.4〜1.2dl/g、より好ましくは0.5〜0.85dl/g、さらに好ましくは0.55〜0.75dl/gの範囲にあるものが積層フィルムの加工性の点から本発明の内容に適したものである。
【0032】
本発明においてB層にポリエステル樹脂を用いる場合、耐熱性の点から、ポリエステルのカルボキシル末端基量は15〜45当量/トンが好ましく、さらには20〜40当量/トンであると特に好ましい。
【0033】
またポリエステル中のジエチレングリコール含有量は、同じく耐熱性の点から25重量%以下が好ましく、さらに5重量%以下であると特に好ましい。ポリエステル中に残存する触媒金属元素の濃度(M)〔ミリモル%〕と残存するリン元素の濃度(P)〔ミリモル%〕の比M/Pは、耐熱性、耐分解性の点から0.1〜2の範囲にあることが好ましく、0.5〜1.5の範囲にあると特に好ましい。
【0034】
また、B層中には、本発明の効果を阻害しない範囲で公知の添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、核剤などを配合してもよい。
【0035】
本発明のフィルムには少なくとも1層の被印刷層(C層)を積層することが必要である。
【0036】
被印刷層とは、印刷が可能な層であり、且つ、その印刷が安定に保持できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、被印刷層に適当なインク素材を、凸版、凹版、平版、乃至はインクジェット方式などの方法で付与することによって、印刷されるものであっても良いし、被印刷層に予め感熱性乃至は紫外線感受性色素を含有させておいて、熱乃至は紫外線などで、印刷を完成させるものであってもよい。また、印刷保持の安定性については、特に限定されるものではないが、必要に応じて印刷(インク)の乾燥・硬化などを行った後、セロハンテープによる剥離試験などで容易に剥がれないことが好ましい。
【0037】
本発明にかかるC層に用いることのできる樹脂は、印刷可能であれば特に限定されないが、層との密着性、印刷適性の点から、公知のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂およびそれらをポリエステル、アクリル、ウレタン、エポキシなどで変性したブロック共重合体、グラフト共重合体を用いることができる。
【0038】
また、本発明にかかるC層には、本発明の効果を損なわれない範囲内で、他の樹脂、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂などが配合されていてもよい。
【0039】
さらに、本発明の効果が損なわれない範囲内で、各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが配合されていてもよい。
【0040】
C層に粒子や架橋剤を添加することは任意であるが、これらの添加によって易滑性や耐ブロッキング性、および各種塗料やインキとの接着性が向上するので、好適である。架橋剤としては特に限定されないが、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、メラミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、オキサゾリン系化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを用いることができる。その添加量は、特に限定されないが、易接着層を形成する全樹脂に対し、0.5〜20重量部が好ましく、より好ましくは1〜15重量部、最も好ましくは2〜10重量部である。
【0041】
上記のC層を形成する樹脂は、有機溶媒あるいは水に溶解、分散させたものを使用し得るが、特に、経済性、均一性、基材との接着性などを考慮すると、フィルムの製造工程内で塗布するインラインコーティングによるのが好ましく、その点において水に溶解あるいは分散させた樹脂を用いるのが好ましい。
【0042】
C層の厚みは特に限定されないが、好ましくは0.02〜5μm、より好ましくは0.03〜2μm、最も好ましくは0.05〜0.5μmである。該層の厚みが薄すぎると、各種塗料やインキとの接着性が不良となる場合がある。
【0043】
特にC層を構成する素材についてもアルカリ可溶であり、さらにその印刷がアルカリ可溶なインクであると、回収樹脂の純度を向上させることができ、より好ましい。具体的には、C層を構成する素材としては、A層と同様のポリマーが用いられる。また、アルカリ可溶なインクとしては、例えば特開平11−209677号公報に掲載された「脱離性を有するインキ組成物」などが挙げられるが特にこれに限定されない。
【0044】
本発明の積層フィルムには、前記の溶解可能な層(A層)と溶解可能な層から分離回収可能な層(B層)、被印刷層(C層)以外にも、必要に応じその他の積層を行なってもよい。このような層としては、具体的には、帯電防止層、マット層、ハードコート層、易滑コート層、粘着層などが例示される。
【0045】
本発明においてはまた、酸またはアルカリ水溶液処理により一部または全部が溶解可能な層(A層)と溶解可能な層から分離回収可能な層(B層)の間には、両層の密着性を良好とするための、中間層(D層)を設けることができる。中間層としては、特にポリエステル樹脂またはポリオレフィン樹脂とポリ乳酸系樹脂の少なくとも2種類の樹脂のブレンド物が好ましく用いられる。
【0046】
本発明において、積層フィルムの構成としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば各層をどのように配置してもかまわず、またどの層も何層も設けてかまわない。たとえば酸またはアルカリ水溶液処理により一部または全部が溶解可能な層をA、分離回収可能な層をB、被印刷層をC、他の層(前述の中間層など)をDとし、中でも好ましい例を挙げるとC/A/B、A/B/C、B/A/B/C、B/A/D/C、があげられ、A層とB層の積層の間に前述の中間層を設けた形態は、特にA層B層が層間剥離をおこしにくいため好ましく、たとえばC/A/D/B、A/D/B/C、B/D/A/D/B/C、B/D/A/D/Cなどの積層形態が挙げられる。
【0047】
このとき被印刷層(C層)がアルカリ可溶でなければ分離回収性の点からA層側への積層が特に好ましいが、C層がアルカリ可溶であればA層、B層、D層のいずれの表面に積層してもかまわない。
【0048】
またさらに印刷後には被印刷層の表面には保護層を積層することが特に好ましい。
【0049】
このときの積層フィルム各層の厚みは本発明の特性を損ねない範囲であればよく、用途に応じて任意に選べばよいが、通常はB層が1〜1000μm、A層が0.01〜10μm、またC層が0.01〜10μm、D層が0.01〜10μm程度である。より好ましくは、B層が5〜100μm、A層が0.1〜3μm、またC層が0.1〜3μm、D層が0.1〜3μm程度である。
【0050】
積層の方法としては、共押し出し、コーティング、熱接着などが挙げられるが、本発明の目的を損なわない範囲であればその方法を問わない。
【0051】
コーティングは、特に限定するものではないが、製造面、環境面を考慮すると水系または水分散系塗剤をフィルム製膜中に塗布する方法が好ましい。
【0052】
本発明の積層フィルムは、発明の効果を損ねない範囲であれば未延伸、延伸のいずれでも構わないが、特に成形性の要求される用途に対しては実質上延伸を施さない未延伸フィルムを用いることが好ましい。実質上延伸を施さないとは、勿論全く延伸されていない場合も含まれるが、たとえ延伸されていたとしても、1.5倍以下程度ならば、これも延伸を施されていないと見なしても問題ない。
【0053】
一方、本発明の積層フィルムは、耐熱性、機械強度、寸法安定性の点からは、二軸配向フィルムとすることがより好ましい。二軸配向フィルムとは、無延伸状態のシートまたはフィルムを長手方向および幅方向に各々2〜6倍程度延伸されて作られるものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。二軸延伸の方法としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれであってもよい。
【0054】
本発明の積層フィルムは、耐熱性、寸法安定性の点から、150℃、30分の熱収縮率がフィルム長手方向で0.1〜5%、巾方向で−2〜1%であることが好ましく、更に好ましくはフィルム長手方向で1〜3%、巾方向に−1〜0%である。ここで熱収縮率のマイナス(−)の値は伸びを示すものである。なお、フィルム長手方向とは一般的にはプロセス上のマシン方向、巾方向とは前記マシン方向とは垂直の方向を指すが、切り取られたフィルム断片においては便宜上屈折率計、分子配向計などによって決定できる配向の主軸方向を長手方向と考える。
【0055】
本発明の積層フィルムにおいて、特に溶解可能な層から分離回収可能な層(B層)がポリエステルで構成されるフィルムである場合においては、寸法安定性の点からフィルムの融解サブピーク(Ts)は120〜245℃であることが好ましく、より好ましくは140〜235℃、更に好ましくは160〜225℃である。Tsが120℃未満であると熱寸法安定性、特に高温(120〜200℃)での熱寸法安定性が悪化するので好ましくない。またTsが245℃を越えるとフィルムが脆化するので好ましくない。
【0056】
本発明の積層フィルム中にはいずれの層にも粒子を含有させることができる。含有される粒子は、それぞれの層に不活性なものを添加すれば特に限定されないが、内部粒子や無機粒子および/または有機粒子などの外部粒子の中から任意に選定され、かかる粒子は好ましくは0.01〜50重量%、更に好ましくは0.02〜40重量%含有されていることが好ましい。含有される粒子の平均粒子径は、好ましくは0.001〜10μmであり、更に好ましくは0.01〜2μmである。平均粒子径が10μmを超える粒子を使用すると、積層フィルムに欠陥が生じ易くなるので好ましくない。無機粒子および/または有機粒子としては、例えば、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、カオリン、クレ−等の無機粒子、およびスチレン、シリコ−ン、アクリル酸類等を構成成分とする有機粒子等を挙げることができる。なかでも湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、アルミナ、炭酸カルシウム等の無機粒子が好ましい。これらの内部粒子、無機粒子および/または有機粒子は二種以上を併用してもよい。
【0057】
さらに本発明の積層フィルム中にはいずれの層にも公知の着色顔料、着色染料を含有させることにより使用用途に応じて美麗性を付与することができる。
【0058】
本発明の積層フィルムは、工業材料、農業材料として用いられるフィルム、シート等、各種用途に使用することができ、特に包装材料に好適に用いられる。
【0059】
【実施例】
本発明における物性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
【0060】
(1)アルカリ溶解性
評価対象の積層フィルム各層から約3g削り取り重量G1を正確に測定する。温度25℃の1規定水酸化ナトリウム水溶液100ml中に5日間浸漬、攪拌を行なった後、濾紙で水溶液を濾過し、純水で十分洗浄して、濾紙上の残査を110℃×1時間乾燥後、23℃、湿度60%の雰囲気に1時間冷却、調湿後、残査の重量G2を測定する。次式によりアルカリ溶解度を求める。
アルカリ溶解度=(G1−G2)/G1×100
アルカリ溶解度が70%以上のものを○、50%以上70%未満のものを△、50%未満のものを×としてアルカリに対する溶解性を評価する。
【0061】
(2)分離・回収性
積層方向に垂直な面が1cm×2cmである評価対象の積層フィルムを1規定水酸化ナトリウム水溶液100ml中に温度25℃で5日間攪拌する。少なくとも1層が溶解し、少なくとも1層を回収することができた場合、分離回収性を○と判定し、そうでない場合、×と判定する。
【0062】
(3)印刷適性
評価対象の積層フィルムの被印刷層側に紫外線硬化型インキFLASH DRY FD−OL墨(東洋インキ製造(株)製)を用い、ロールコート法で2μm厚みに塗布する。その後、紫外線ランプ(80W/cm、5秒間)を照射して紫外線硬化型インキを硬化させる。
【0063】
印刷適性評価は、インキ硬化膜に1mm2のクロスカットを100個入れ、セロハンテープをその上に張り付け、ゴムローラーを用いて押しつける(荷重19.6Nで3往復)後、90度方向に剥離し、インキ硬化膜の残存した個数により、80〜100個であれば○、0〜79であれば×とする。
【0064】
(4)成形加工性の評価
評価対象のフィルムの成形加工性について下記評価を行なう。
・エンボス成形性:
評価対象の製膜したフィルムロール2本について40℃で1ヶ月保管した後、そのうちの一方について、被印刷層表面に印刷(木目調)を施し、もう一方の印刷していないフィルムと被印刷層を向かい合わせにして重ねて、ロール加熱(60〜200℃の範囲内で各フィルムについて外観がもっとも良好となる温度をそれぞれ選択する。)により、エンボスロール(30μmの高さの凹凸、1μmの高さの凹凸)を通過させた後に、冷却ロール(40℃)で冷却する。条件は、フィルムの白化、変形がない範囲で適正な温度で実施する。得られたフィルムのエンボス性を下記の通り判定する。なお、美麗性は、色の変化がないこと、しわ、ぎらつきがないことにより印刷層の外観も含めて判定する。
○:エンボスロールの凹凸形状を大小ともにフィルム側へ良好に形成。美麗性も良好。
△:エンボスロールの汚れが認められ、フィルムの美麗性もやや劣る。あるいは、エンボスロールの凹凸形状をフィルム側へ形成しているが凹凸が浅い。
×:エンボスロールの汚れが大きく、フィルムの美麗性も劣る。あるいは、エンボスロールの凹凸形状をフィルム側へほとんど形成していない。
・インモールド成形性:
評価対象の製膜したフィルムロールを巻き出し、被印刷層の反対面で離型性二軸延伸ポリエステルフィルムと積層した後に、評価対象のフィルムの被印刷層表面に8色のグラビア印刷を施し、次に100℃で15秒乾燥を2回繰り返し、印刷フィルムを得る。その後、前記離型性二軸延伸ポリエステルフィルムを剥がし、インモールド成形用フィルムとした。円柱形凹部(直径10cm、深さ1.5cm)を有する金型に被印刷層の反対面が接するようにインモールド成形用フィルムをセットする。そして、被印刷層側からアクリル樹脂の射出成形(温度200〜250℃の範囲内で各フィルムについて外観がもっとも良好となる温度をそれぞれ選択する。)を行い、インモールド成形用フィルムが金型の円柱形凹部に密着するようにインモールド成形する。成形性について破れなどないか、美麗性については印刷の鮮明さを主に目視で評価を行い、下記の通り判定する。
○:成形性、美麗性ともに良好。
△:成形性には優れるものの、印刷の鮮明さにやや劣る。
×:成形時に破れが生じる、または印刷が鮮明でない。
【0065】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0066】
実施例1
ポリマーa(融点170℃、メルトインデックス10のポリ乳酸(以下、PLAと表記))、ポリマーb(平均粒径0.4μmのコロイダルシリカを0.015重量%および平均粒径1.5μmのコロイダルシリカを0.005重量%含有する、融点255℃、固有粘度0.64dl/gのポリエチレンテレフタレート(以下、PETと表記))と、さらにポリマーd(融点215℃、固有粘度0.67dl/gのイソフタル酸20モル共重合ポリエチレンテレフタレート(以下PET/I20と表記))を充分に真空乾燥した。押出機1にポリマーb、押出機2にポリマーa及びポリマーdを1:1の割合でブレンドした混合ポリマー、押出機3にポリマーaを供給し、それぞれ押出温度280℃、240℃で溶融し、これらのポリマーを濾過した後、矩形合流部にて3層積層構成で溶融押出した。これを静電印加キャスト法を用いて、表面温度25℃のキャスティングドラム上で冷却固化し、未延伸フィルムをつくった。この未延伸フィルムを95℃で、長手方向に3.5倍延伸して一軸延伸フィルムとした。この一軸延伸フィルムのポリマーa側層に空気中でコロナ放電処理を施し、その処理面に被印刷層形成塗液cを塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き110℃で乾燥後、引き続き連続的に加熱ゾーンで幅方向に3.8倍延伸し、さらに5%の弛緩を行いながら150℃で熱処理を施し、目的とする積層フィルムを得た。
【0067】
この時、基材PET層であるポリマーb層の厚みが20μm、ポリマーa、dの混合ポリマー層の厚みが1μm、ポリマーa層の厚みが3μm、被印刷層の厚みが0.15μmであった。
【0068】
評価結果は表1に示した通りであり、PLAがアルカリ溶液中に溶解しPETの回収が可能(回収率100%)であり、印刷適性にも優れていた。
【0069】
被印刷層形成塗液c:下記酸とグリコールからなるポリエステル樹脂(2種)と架橋剤で構成される水系塗液。
【0070】
Figure 0004967194
上記固形分比となるように混合し、水で固形分濃度5重量%となるように希釈した。
【0071】
実施例2
実施例1におけるポリマーb、ポリマーdの代わりにポリプロピレン(三井化学:J4H2187、以下PPと記載)を使用し、押出温度共に230℃、延伸温度115℃とした以外は同等の手法により製膜を行った。得られたフィルムはPPの回収が可能(回収率100%)であり、印刷適性にも優れたものであった。
【0072】
実施例3
実施例1におけるポリマーdの代わりに融点222℃、固有粘度0.95dl/gのポリトリメチレンテレフタレート(以下PTTと記載)を使用した以外は同等の手法により製膜を行った。得られたフィルムはPETの回収が可能(回収率100%)であり、印刷適性にも優れたものであった。
【0073】
実施例4
被印刷層形成塗液cを片面に塗布したPETフィルムを作成(塗液c層厚み0.1μm、PET層厚み12μm)し、このPET側層と実施例2で作成したフィルムの被印刷層側が重なるように接着した。得られた積層フィルムはPET及びPPの回収が可能(回収率100%)であり、印刷適性にも優れたものであった。
【0074】
実施例5
押出機1にPET、押出機2にPET/I20とPLAを混合比3:7の割合でブレンドした混合ポリマーを供給し、それぞれ押出温度240℃、240℃で溶融し、これらのポリマーを濾過した後、矩形合流部にて2層積層構成で溶融押出した。これ以外は実施例1と同様の製法により、被印刷層形成塗液c(層厚み0.1μm)をポリマーb側に塗布した積層フィルムを作成した。
【0075】
得られたフィルムの特性は溶解可能な層のアルカリ溶解性で67%と実施例1と比べやや劣るものの、実用上問題のない優れたものであった。
【0076】
実施例6
実施例1と同様の構成にて製膜を行い延伸前の未延伸フィルムを採取した。該未延伸フィルム表面のポリマーa層側に空気中でコロナ放電処理を施し、その処理面に被印刷層形成塗液cを塗布した。塗布後には80℃の熱風乾燥を1分間行い、目的とする積層フィルムを作成した。
【0077】
このとき積層厚みは基材PET層195μm、第2層(PET/I20およびPLAのブレンド層)は5μm、第3層(PLA)は3μm、被印刷層は0.1μmであった。
【0078】
評価結果は表1に示したとおりであり、いずれの特性も優れた特性を示した。
【0079】
実施例7
可塑剤として、分子量600のポリエチレングリコール(安息香酸で両末端を末端封鎖、水酸基価12.2、酸価0.2)を準備した。
【0080】
実施例1の第1層のPETに5重量%の可塑剤、また第2層のPET/I20およびPLAのブレンド層に10重量%の可塑剤、第3層のPLA層に20重量%の可塑剤を添加した以外は同等の製法で、本発明の積層フィルムを得た。
【0081】
得られたフィルムは、柔軟性に優れる上、表1に示す通りいずれの評価項目についても優れた特性を示した。
【0082】
比較例1
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東レ製:“トレファン”)と二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製:“ルミラー”)とを温度150℃で熱ラミネートし、積層フィルムを作成した。表1に示した通り分離回収及び印刷に適さない。
【0083】
【表1】
Figure 0004967194
【0084】
※1 単一の層を複数の物質で構成する場合、その重量比を( )内に示した。
※2 表中の略号は次のとおり。
【0085】
PET:ポリエチレンテレフタレート
PLA:ポリ乳酸
PP:ポリプロピレン
PET/I20:イソフタル酸20モル%共重合ポリエチレンテレフタレート
PTT:ポリトリメチレンテレフタレート
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、容易に分離・回収しリサイクルが可能な、工業材料、農業材料および包装材料等の用途に好適に用いることのできる積層フィルムを提供できる。

Claims (5)

  1. ルカリ水溶液処理により一部または全部が溶解可能な下記で定義されるアルカリ溶解度が50%以上である層(A層)と、当該ルカリ水溶液処理により該A層から分離回収可能なポリマー層(B層)、アルカリ水溶液処理により一部または全部が溶解可能な樹脂からなる被印刷層(C層)の少なくとも3層から構成されることを特徴とする積層フィルム。
    アルカリ溶解度
    評価対象の積層フィルム各層から約3g削り取り重量G1を正確に測定する。温度25℃の1規定水酸化ナトリウム水溶液100ml中に5日間浸漬、攪拌を行なった後、濾紙で水溶液を濾過し、純水で十分洗浄して、濾紙上の残査を110℃×1時間乾燥後、23℃、湿度60%の雰囲気に1時間冷却、調湿後、残査の重量G2を測定する。次式によりアルカリ溶解度を求める。
    アルカリ溶解度=(G1−G2)/G1×100
  2. 25℃の1規定水酸化ナトリウム水溶液に5日間浸漬した後の、A層およびC層を構成する成分の重量減少率が50%以上である請求項1に記載の積層フィルム。
  3. A層がポリ乳酸系樹脂を5〜100重量%含有してなる請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. A層とB層との間にさらにポリ乳酸系樹脂および他の樹脂の混合体からなる中間層(D層)を設けてなる請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. アルカリ水溶液処理により一部または全部が溶解可能な樹脂からなる被印刷層(C層)に、ルカリ水溶液処理により一部または全部が溶解可能な下記で定義されるアルカリ溶解度が50%以上である層(A層)と、当該ルカリ水溶液処理により該A層から分離回収可能なポリマー層(B層)を積層した少なくとも3層から構成され、被印刷層(C層)がフィルムの製造工程内で塗布するインラインコーティングによることを特徴とする積層フィルムの製造方法。
    アルカリ溶解度
    評価対象の積層フィルム各層から約3g削り取り重量G1を正確に測定する。温度25℃の1規定水酸化ナトリウム水溶液100ml中に5日間浸漬、攪拌を行なった後、濾紙で水溶液を濾過し、純水で十分洗浄して、濾紙上の残査を110℃×1時間乾燥後、23℃、湿度60%の雰囲気に1時間冷却、調湿後、残査の重量G2を測定する。次式によりアルカリ溶解度を求める。
    アルカリ溶解度=(G1−G2)/G1×100
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