JP2019064200A - 多層離型フィルム及び多層離型フィルムの製造方法、並びに該多層離型フィルムを用いたフレキシブルプリント基板の製造方法 - Google Patents

多層離型フィルム及び多層離型フィルムの製造方法、並びに該多層離型フィルムを用いたフレキシブルプリント基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】カバーフィルムの熱圧着後に剥離可能であり、その一部をリサイクルすることが可能な多層離型フィルム。【解決手段】支持層3、中間層2及び離型層1をこの順に積層した多層離型フィルムであって、該支持層3の厚みが75μm以上であり、剥離強度テスターにより、50mm幅の該多層離型フィルムを剥離角度170°、速度:2.5mm/secで測定した、該支持層3と該中間層2との密着力が、5〜25g/50mmであることを特徴とする多層離型フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、フレキシブルプリント基板とカバーフィルムとを熱プレス接着する際の離型フィルムとして用いられる多層離型フィルム及び多層離型フィルムの製造方法、並びに該多層離型フィルムを用いたフレキシブルプリント基板の製造方法に関する。
フレキシブルプリント基板の回路パターンの表面を保護するために、接着剤を介してこれをカバーフィルムで被覆する。カバーフィルムによる被覆はラミネートなどの熱圧着により行うことが一般的であり、その際のカバーフィルムの保護や、カバーフィルムの接着剤と基板との間のエア抜きなどのために離型フィルムが用いられる。離型フィルムとしては、TPXやPPフィルムなどが用いられている。
このようなカバーフィルムの熱圧着においては熱圧着時の段差を吸収するためにクッション層を有した複数層の離型フィルムが必要となる。例えば、特許文献1及び2には、共押出しにより成形された多層構成の離型フィルムが記載されている。
特許第5180826号公報 特許第5438367号公報
このような離型フィルムは、使用後、熱圧着による変形や、基板の表面形状による段差痕などのため、繰り返しの使用はできず、通常は廃棄する。しかしながら、クッション層を有することによる複層化及び離型性を確保するための高機能化のため、離型フィルムが高価になってきているといった問題がある。
本発明は、上記のような問題を解決することを目的とする。
すなわち、カバーフィルムの熱圧着後に剥離可能であり、その一部をリサイクルすることが可能な多層離型フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、このような多層離型フィルムを用いた、カバーフィルムに対する離型性が高く、カバーフィルムのシワの発生及びエア入りを抑制できるフレキシブルプリント基板の製造方法を提供する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下により上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
支持層、中間層及び離型層をこの順に積層した多層離型フィルムであって、
該支持層の厚みが75μm以上であり、
剥離強度テスターにより、50mm幅の該多層離型フィルムを剥離角度170°、速度:2.5mm/secで測定した、該支持層と該中間層との密着力が、5〜25g/50mmであることを特徴とする多層離型フィルム。
本発明によれば、カバーフィルムの熱圧着後に剥離可能であり、その一部をリサイクルすることが可能な多層離型フィルムを提供することができる。また、このような多層離型フィルムを用いた、カバーフィルムに対する離型性が高く、カバーフィルムのシワの発生
及びエア入りを抑制できるフレキシブルプリント基板の製造方法を提供できる。
多層離型フィルムの層構成を示す概略図 多層離型フィルムの層構成を示す概略図
本発明において、数値範囲を示す「○○以上▲▲以下」及び「○○〜▲▲」などの記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む範囲である。
本発明は、
支持層、中間層及び離型層をこの順に積層した多層離型フィルムであって、
該支持層の厚みが75μm以上であり、
剥離強度テスターにより、50mm幅の該多層離型フィルムを剥離角度170°、速度:2.5mm/secで測定した、該支持層と該中間層との密着力が、5〜25g/50mmであることを特徴とする。
本発明では、剥離強度テスターにより、50mm幅の該多層離型フィルムを剥離角度170°、速度:2.5mm/secで測定した、支持層と中間層との密着力が、5〜25g/50mmであることを特徴とする。該密着力は、好ましくは5〜14g/50mmである。
密着力が25g/50mm以下であると、カバーフィルムの熱圧着後に支持層と中間層との剥離が容易であり、これらのリサイクル、特に支持層の繰り返し使用に有利である。また、作業時の剥がれなどが起きにくく、作業性にも影響しない。剥離力が、5g/50mm未満であると、カバーフィルムの熱圧着の作業時に各層が剥がれてしまう恐れがある。
また、剥離強度テスターにより、50mm幅の該多層離型フィルムを剥離角度170°、速度:2.5mm/secで測定した、離型層と中間層との密着力が、5〜25g/50mmであることが好ましい。より好ましくは5〜14g/50mmである。
密着力が上記範囲であると、カバーフィルムの熱圧着後に離型層と中間層との剥離が容易であり、支持層のリサイクルに加え、離型層及び中間層のリサイクルにも有利である。また、カバーフィルムのしわの発生を抑制する観点から上記範囲が好ましい。当該密着力を得るための手段などは、上記と同様である。
従来、カバーフィルムの熱圧着時の作業性を考慮して各層が剥がれないように、多層離型フィルムの製造には共押出しなどによる成形が一般的であった。その場合、各層間が熱融着し密着力が非常に高くなり易く、上記のような密着力の積層体は得られにくかった。上記範囲の密着力を得る方法としては、支持層、中間層及び離型層を、積層し、熱ラミネートなどにより成形する方法が挙げられる。好適な多層離型フィルムの製造方法ついては後述する。また、該密着力は、熱ラミネートする際の温度や圧力などにより制御することができる。
支持層、中間層及び離型層が積層された多層離型フィルムの概念図を図1に示す。本発明では、支持層、中間層及び離型層が、接着剤を介さずに積層されていることが好ましい。当該構成により、カバーフィルムの熱圧着後に各層を剥離しやすくなる。
密着力の測定は、以下の方法で行うことができる。
剥離強度テスター(PFT−50S、PALMEC社製)を用い、幅50mm、長さ150mmに切り出した多層離型フィルムのサンプルを、室温(25℃)で、角度170°、2.5mm/secで剥離することで、密着力を測定する。サンプルは、50mmに切り出した、幅方向の辺から剥離が始まるようにセットする。支持層と中間層間の密着力の
測定では、中間層側を固定し、支持層を剥離する。離型層と中間層間の密着力の測定では、中間層側を固定し、離型層を剥離する。
なお、後述の比較例5では、剥離強度60g/50mmで剥離は可能であったが、剥離サンプルを作製する上で、明確な界面での剥離が容易でないことから、剥離強度60g/50mm以上を剥離不能な値と判断した。
また、多層離型フィルムを用いて、幅250mm、長さ300mm、回路パターンの段差0.035mmの基板にカバーフィルムをラミネートするラミネート試験において、支持層に対する基板の該段差に由来する形状転写の凹凸の深さが、基板の段差の10%未満であることが好ましい。一方、下限は特に制限されないが0%以上であることが好ましい。
また、該ラミネート試験前後の支持層の幅方向の寸法変化率が1%未満であることが好ましい。一方、下限は特に制限されないが0%以上であることが好ましい。
形状転写の割合及び寸法変化率が上記範囲であると、支持層のリサイクルの観点から好ましい。形状転写の割合及び寸法変化率は、支持層の厚みなどにより制御することができる。
形状転写の割合及び寸法変化率の測定方法は、具体的には以下の通りである。
幅250mm、長さ300mmで、段差0.035mmの回路パターン(銅箔)を有する基板(ポリイミド製)に、カバーフィルム(厚さ12.5μmのポリイミドにエポキシ系接着材が塗布されたもの)を積層し、さらにその上に測定対象の多層離型フィルムを積層して、積層体を得る。
得られた積層体を、ラミネート装置にて、圧力10MPaで予熱10秒、加熱加圧(離型層の融点及び支持層の融点のうち低い方の温度−10℃)・50秒の条件でラミネートする。なお、予熱の温度は加熱加圧の温度と同じにする。その後、積層体の支持層において、基板の段差形状に由来する形状転写の凹凸の深さをレーザー顕微鏡(オリンパス社製、LEXTOLS−4000)により測定する。得られた測定値の、基板の段差に対する割合を、形状転写の割合(%)とする。10点測定して、その相加平均値を採用する。
また、ラミネート後の積層体における支持層の幅方向の長さを定規で測定し、ラミネート前の支持層の幅方向の長さに対する変化量の割合(|ラミネート後の長さ−ラミネート前の長さ|/ラミネート前の長さ×100(%))を寸法変化率とする。10点測定して、その相加平均値を採用する。
なお、後述の実施例においては、形状転写の割合が10%未満であれば○、10%以上である場合は×と判定した。また、寸法変化率が1%未満であれば○と判定した。
また、支持層上に、中間層及び離型層が交互に複数層積層(例えば2〜6層ずつ、好ましくは2〜4層ずつ積層)されていることも好ましい態様である。図2は、中間層及び離型層が3層ずつ交互に積層された例である。このような態様により、カバーフィルムの熱圧着後に表面の離型層及び中間層を1枚ずつ剥離することで、繰り返しの使用が可能となる。その際、複数の離型層及び中間層は、それぞれが同一の材料であってもよいし、異なる材料を用いてもよい。
次に、各材料について説明する。
まず、離型層について説明する。多層離型フィルムにおいて、離型層はカバーフィルムと接する層であり、カバーフィルムの熱圧着後にカバーフィルムに対する離型性を発揮する層である。
離型層の厚みは、25〜50μmであることが好ましく、より好ましくは25〜40μmである。厚みが25μm以上であると、カバーフィルムの熱圧着時にカバーフィルムのシワの発生を抑えることができる。
離型層の材料は特に制限されず、以下のものを用いることができる。
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート、及びポリブチレンナフタレートなどの芳香族ポリエステル;ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及びポリフッ化ビニルなどのフッ素系樹脂;ポリメチルペンテン(TPX)、ポリプロピレン(PP)[二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無軸延伸ポリプロピレン(CPP)も含む]、及びポリエチレン(PE)[高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む]などのオレフィン樹脂;ポリスチレン(PS);ポリ塩化ビニル(PVC)などが挙げられる。
なかでも、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリプロピレン(PP)、及び高密度ポリエチレン(HDPE)から選択される材料が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
離型層は単層であることが好ましく、結晶性材料を有することが好ましい。結晶性を有するとは、示差走査熱量測定による明確な融点を有することを示す。
離型層の融点Tm1は、多層離型フィルム製造時の作業性や、カバーフィルムの熱圧着時の適切な離型性の観点から、ラミネート時に溶融しないことが好ましい。例えば、ラミネートで想定される温度以上であり、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは240℃以下、より好ましくは230℃以下、さらに好ましくは220℃以下である。
なお、融点Tmは、JIS K7121に準拠し、示差走査熱量測定(DSC)により、昇温速度10℃/min、測定温度範囲25〜250℃で測定することができる。融解ピーク頂点の温度を融点Tmとする。
中間層は、厚みが35〜90μmであることが好ましく、40〜80μmであることがより好ましい。中間層の厚みが上記範囲であると、基板とカバーフィルム間のエア抜きの観点から好ましい。
中間層の材料は特に制限されず、以下のものを用いることができる。
ポリプロピレン(PP)[二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無軸延伸ポリプロピレン(CPP)も含む]、ポリエチレン(PE)[高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む]、ポリ塩化ビニル(PVC)、アクリルエラストマーなどを用いることができる。
なかでも、ポリプロピレン(PP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び高密度ポリエチレン(HDPE)から選択される材料が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
中間層の融点Tm2は、例えばラミネートで想定される温度以下であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。下限は特に制限されないが100℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい。
また、適切な密着力の発揮及び良好な作業性の観点から、離型層の融点Tm1と中間層の融点Tm2との差(Tm1−Tm2(℃))が、20℃以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは120℃以下である。
支持層の厚みは、75μm以上であることが重要である。これにより、カバーフィルムの熱圧着による支持層の形状変化や、基板の段差に由来する凹凸の転写を抑制でき、支持層のリサイクルに有利である。支持層の厚みは、好ましくは80μm以上であり、より好ましくは90μm以上である。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは150μm以下、より好ましくは125μm以下である。
支持層の材料は特に制限されず、上記離型層と同様の材料を用いることができる。加えて、ポリイミドやガラスクロスなどを用いることもできる。好ましくは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)である。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
支持層の融点は、ラミネート時に溶融しないことが好ましい。例えばラミネートで想定される温度以上であり、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。一方、上限は特に制限されないが、好ましくは300℃以下、より好ましくは270℃以下、さらに好ましくは250℃以下である。
次に、多層離型フィルムの製造方法について説明する。
多層離型フィルムの製造方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。特定の密着力を達成する観点から、熱ラミネート法による製造が好ましい。熱ラミネート法により熱圧着積層構造が得られる。
すなわち、多層離型フィルムの製造方法が、
支持層、中間層及び離型層をこの順に積層し、積層体を得る工程、及び
得られた積層体を熱ラミネートする工程を含む製造方法が好ましい。
まず、支持層、中間層及び離型層を、この順に(好ましくは接着剤を介さずに)積層し、積層体を得る。接着剤を用いないことで、カバーフィルムの熱圧着後に各層を剥離しやすく、リサイクルが容易になるため好ましい。その際、上記のように、支持層上に、中間層及び離型層を交互に複数層、例えば2〜6層ずつ、好ましくは2〜4層ずつ積層してもよい。
次に、得られた積層体を熱ラミネートすることで、多層離型フィルムを得ることができる。熱ラミネートには公知のラミネート装置を用いることができる。熱ラミネートは、いわゆるロールトゥロール方式と呼ばれる連続搬送作業により行うことが好ましい。
熱ラミネートの際の温度は、使用する材料により適宜設定することができ、特に制限されないが、100〜180℃が好ましい。また、中間層の融点以上で、離型層及び支持層の融点のうち低い方の温度未満であることが好ましい。中間層の融点+10℃以上で、離型層及び支持層の融点のうち低い方の温度−10℃以下であることがより好ましい。このような温度であると、全ての層が融解して熱融着しない、すなわち、中間層のみを溶かして成形できるため、特定の密着力を得やすくなる。したがって、材料の選択においても、支持層、中間層及び離型層の融点のうち、中間層の融点が最も低いことが好ましい。
熱ラミネートの際の圧力は、好適な密着力を得る観点から、300〜600kpaが好ましい。搬送速度0.5m/min.以上のロール熱ラミネーターで積層することが望ましい。
このようにして得られた多層離型フィルムは、プリント基板のラミネート用など熱圧着に好適に用いることができる。例えば、フレキシブルプリント基板とカバーフィルムを熱圧着する際の離型フィルムとして用いることができる。片面フレキシブルプリント基板や両面フレキシブルプリント基板など、様々なプリント基板に用いることができる。
多層離型フィルムは、以下のようなフレキシブルプリント基板の製造方法に用いることが好ましい。
基板、カバーフィルム及び多層離型フィルムをこの順に積層し、基板とカバーフィルムを熱圧着する工程を有するフレキシブルプリント基板の製造方法であって、
該多層離型フィルムは、前述した支持層、中間層及び離型層をこの順に有する多層離型フィルムであり、
該熱圧着の温度が、該中間層の融点+5℃以上で、該離型層の融点−5℃以下である製造方法。
熱圧着の温度が、中間層の融点+5℃以上であると、中間層のクッション性が良好に働くため、基板とカバーフィルム間のエア入りを抑え、良好な埋め込みが可能なる。該温度は、好ましくは中間層の融点+10℃以上である。
また、熱圧着の温度が、離型層の融点−5℃以下であると、離型性が良好になる。該温度は好ましくは、離型層の融点−10℃以下である。なお、熱圧着の温度は、通常110〜190℃程度の範囲である。また、本発明において、ラミネートの温度や熱圧着の温度は、用いる装置の設定温度である。
基板としては、広く一般に用いられているものを使用でき、例えば、ポリイミドなどのベースフィルムに銅箔の回路パターンが接着されたものを用いることができる。
カバーフィルムについても、広く一般に用いられているものを使用でき、例えば、エポキシ系接着剤などの接着剤が塗布されたポリイミドなどを用いることができる。
カバーフィルムの熱圧着には、ラミネート装置など公知の装置を用いることができる。ラミネート装置を用いる場合、熱圧着の際の圧力は、好ましくは8〜12MPaである。また、予熱をラミネート温度と同じ温度で5〜30秒行った後に、上記特定の温度で40〜180秒加圧することが好ましい。
以下、実施例を参照して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例の態様に制限されない。
以下、実施例で用いる装置や、評価方法について説明する。なお、密着力、形状転写及び寸法変化率に関する評価方法は前述の通りであるが、実施例における形状転写及び寸法変化率の測定の際のラミネート温度は、表1に記載のカバーラミネート温度で行った。
<ラミネート装置>
ラミネート装置は、平板熱ラミネート装置を使用した。ラミネート装置により、カバーフィルム及び基板を積層し、加圧加熱して一体化した。加圧加熱時に、多層離型フィルムの離型層側を、カバーフィルム及び基板の積層体上のカバーフィルム側に積層し、使用した。
<離型性>
幅250mm×長さ300mmで、段差0.035mmの回路パターン(銅箔)を有する基板(ポリイミド製)に、厚さ12.5μmのポリイミドにエポキシ系接着材が塗布されたカバーフィルムを積層し、さらに試験対象の多層離型フィルムを積層しラミネートした。ラミネート装置の条件は、圧力10MPaで予熱10秒、加熱加圧50秒とした。その後、多層離型フィルムがカバーフィルムから容易に剥離可能かにより判定した。容易に剥離可能な場合は○、剥離が困難な場合は×とした。
なお、実施例の各評価において、カバーフィルムのラミネートの際の加熱加圧の温度は、表1に記載のカバーラミネート温度とした。予熱の温度は加熱加圧の温度と同じにした。
<カバーフィルムのシワ>
幅250mm×長さ300mmで、段差0.035mmの回路パターン(銅箔)を有する基板(ポリイミド製)に、厚さ12.5μmのポリイミドにエポキシ系接着材が塗布されたカバーフィルムを積層し、さらに試験対象の多層離型フィルムを積層しラミネートした。ラミネート装置の条件は、圧力10MPaで予熱10秒、加熱加圧50秒とした。その後、目視により外観を観察し、カバーフィルムのシワの有無を判断した。シワ無しであれば○、シワ有りであれば×と判定した。ラミネートの際の加熱加圧の温度は、表1に記載のカバーラミネート温度とした。予熱の温度は加熱加圧の温度と同じにした。
<埋め込み(エア入りの有無)>
幅250mm×長さ300mmで、段差0.035mmの回路パターン(銅箔)を有する基板(ポリイミド製)に、厚さ12.5μmのポリイミドにエポキシ系接着材が塗布されたカバーフィルムを積層し、さらに試験対象の多層離型フィルムを積層しラミネートした。ラミネート装置の条件は、圧力10MPaで予熱10秒、加熱加圧50秒とした。その後、顕微鏡(倍率8倍)により回路パターン上及び回路パターン間を観察し、エア入りの有無を確認した。ラミネートの際の加熱加圧の温度は、表1に記載のカバーラミネート温度とした。予熱の温度は加熱加圧の温度と同じにした。
エア入りがなければ○、シート内でエア入りが一か所であれば△、シート内でエア入りが2か所以上であれば×と判定した。
(実施例1)
各層には以下の材料を用いた。
支持層:厚さ100μmのポリブチレンテレフタレート(PBT)メルトマスフローレート(MFR)4.3 融点220℃、
中間層:厚さ40μmの低密度ポリエチレン(LDPE)MFR1.0 融点110℃
離型層:厚さ25μmのポリプロピレン(PP)MFR0.35 融点160℃
支持層、中間層及び離型層をこの順に積層し、ロール熱ラミネーターを使用してフィルム化した。ラミネート条件は、温度170℃、圧力500kpa、搬送速度1.0m/min.で行った。
得られた多層離型フィルムを用いて、前述の評価を行った。結果を表1に示す。実施例1では、支持層を融着などなく剥がすことができ、また寸法変化率も十分に小さいものであったため、支持層の再利用が可能であった。
なお、メルトマスフローレート(MFR)の測定は、JIS K 7210: 1999プラスチック‐熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレート(MFR)及びメルトボリュームフローレート(MVR)の試験方法に基づいて行う。MFRの単位は、g/1
0minである。
(実施例2〜12、比較例1〜5、参考例1〜4)
使用する各層、ラミネート時のフィルム化温度を表1のように変更する以外は同様にして、実施例2〜12、比較例1〜5、参考例1〜4の多層離型フィルムを得た。評価結果を表1に示す。実施例2〜12においても、支持層の再利用が可能であった。
なお、比較例1では、カバーラミネート作業時に多層離型フィルムが剥がれてしまい、プリント基板の評価はできなかった。
比較例2,3は、寸法変化率が大きく、支持層の再利用はできなかった。
また、比較例4,5では、表1に記載の市販の離型フィルムを用いた。これらは押し出し成形で製造されたものであり、密着力が高く、各層を剥がすことができなかった。
Figure 2019064200
表中、材料の項に記載の数値は融点Tm(℃)である。
表中、各層の材料は以下の通り。
(離型層)
ポリブチレンテレフタレート(PBT)MFR4.3、融点220℃
ポリメチルペンテン三井東セロ社製 オピュラン X−88B
高密度ポリエチレン(HDPE)MFR0.35、融点130℃
厚み20μmのポリプロピレン(PP)北越化成社製 ポリオレフィンフィルム
厚み40μmのポリプロピレン(PP)北越化成社製 ポリオレフィンフィルム
(中間層)
ポリプロピレン(PP)北越化成社製 ポリオレフィンフィルム
厚み40μmの高密度ポリエチレン(HDPE)MFR0.35、融点130℃
厚み60μmの高密度ポリエチレン(HDPE)MFR0.35、融点130℃
厚み80μmの低密度ポリエチレン(LDPE)MFR1.0、融点110℃
(支持層)
厚み40μmのPBT、MFR4.3、融点220℃
厚み65μmのPBT、MFR4.3、融点220℃
厚み80μmのPBT、MFR4.3、融点220℃
厚み120μmのPBT、MFR4.3、融点220℃
1:離型層、2:中間層、3:支持層

Claims (12)

  1. 支持層、中間層及び離型層をこの順に積層した多層離型フィルムであって、
    該支持層の厚みが75μm以上であり、
    剥離強度テスターにより、50mm幅の該多層離型フィルムを剥離角度170°、速度:2.5mm/secで測定した、該支持層と該中間層との密着力が、5〜25g/50mm
    であることを特徴とする多層離型フィルム。
  2. 剥離強度テスターにより、50mm幅の該多層離型フィルムを剥離角度170°、速度:2.5mm/secで測定した、前記離型層と前記中間層との密着力が、5〜25g/50mmである請求項1に記載の多層離型フィルム。
  3. 前記多層離型フィルムを用いて、幅250mm、長さ300mm、回路パターンの段差0.035mmの基板にカバーフィルムをラミネートするラミネート試験において、
    前記支持層に対する該基板の該段差に由来する形状転写の凹凸の深さが、該基板の該段差の10%未満であり、
    該ラミネート試験前後の前記支持層の幅方向の寸法変化率が1%未満である請求項1又は2に記載の多層離型フィルム。
  4. 前記離型層の厚みが25〜50μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層離型フィルム。
  5. 前記支持層、前記中間層及び前記離型層が、接着剤を介さずに積層されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層離型フィルム。
  6. 前記離型層は単層であり、結晶性材料を有し、
    前記離型層の融点が、130〜240℃である請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層離型フィルム。
  7. 前記中間層の融点が、100〜180℃である請求項1〜6のいずれか1項に記載の多層離型フィルム。
  8. 前記中間層の厚みが35〜90μmである請求項1〜7のいずれか一項に記載の多層離型フィルム。
  9. プリント基板のラミネート用である請求項1〜8のいずれか1項に記載の多層離型フィルム。
  10. 前記支持層上に、前記中間層及び前記離型層が交互に複数層積層されている請求項1〜9のいずれか一項に記載の多層離型フィルム。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の多層離型フィルムの製造方法であって、
    前記支持層、前記中間層及び前記離型層をこの順に積層し、積層体を得る工程、及び
    得られた積層体を熱ラミネートする工程を含む製造方法。
  12. 基板、カバーフィルム及び多層離型フィルムをこの順に積層し、基板とカバーフィルムを熱圧着する工程を有するフレキシブルプリント基板の製造方法であって、
    該多層離型フィルムは、請求項1〜10のいずれか一項に記載の多層離型フィルムであり、
    該熱圧着の温度が、前記中間層の融点+5℃以上で、前記離型層の融点−5℃以下である製造方法。
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