JP2002067019A - セラミックシート製造用離型フィルム - Google Patents

セラミックシート製造用離型フィルム

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JP2002067019A
JP2002067019A JP2000261181A JP2000261181A JP2002067019A JP 2002067019 A JP2002067019 A JP 2002067019A JP 2000261181 A JP2000261181 A JP 2000261181A JP 2000261181 A JP2000261181 A JP 2000261181A JP 2002067019 A JP2002067019 A JP 2002067019A
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Atsushi Hoshio
淳 星尾
Yoshimasa Kubo
義正 久保
Harunobu Kuroiwa
晴信 黒岩
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に薄層のセラミックシートの製造におい
て、セラミックシートの剥離性及び離型層と基材フィル
ムとの密着耐久性に優れ、さらに剥離帯電が小さいセラ
ミックシート製造用離型フィルムを提供する。 【解決手段】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
に硬化型シリコーン樹脂を主成分とする離型層を設け、
他面に帯電防止層を設けてなる離型フィルムであって、
前記離型層表面にセラミックシート層を積層した際の、
セラミックシート層表面と前記離型層表面のダイナミッ
ク硬度差の絶対値が20gf/μm2以下であり、かつ
前記離型層のラブオフ値が10以下であるセラミックシ
ート製造用離型フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルフィ
ルムを基材とする離型フィルムに関し、詳しくは特に薄
層のセラミックシートの製造用支持体として好適な離型
フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートやポリエチ
レンナフタレート等のポリエステルフィルムを基材と
し、その上に離型層を積層した離型フィルムは、粘着ラ
ベル、粘着テープ等の台紙として一般的に広く使用され
ている。
【0003】近年、携帯電話の急激な普及にともない、
積層セラミックコンデンサーの需要が拡大してきてい
る。積層セラミックコンデンサーは、一時的に電気を蓄
える特性を有し、電流を安定させる目的で電子回路に不
可欠な部材であり、携帯電話には約250個の積層セラ
ミックコンデンサーが使用されている。
【0004】積層セラミックコンデンサー用セラミック
シートを製造する際に、工程用キャリアフィルムとし
て、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、価格等に優れ
た、二軸延伸ポリエステルフィルムの少なくとも片面
に、シリコーン系皮膜を設けた離型フィルムが一般的に
使用されている。このような、シリコーン系皮膜を有す
る離型フィルムとしては、特開昭60−141553号
公報、特開平3−231812号公報、特公平4−59
207号公報、特公平6−2393号公報が知られてい
る。
【0005】前記セラミックシートは、チタン酸バリウ
ム、アルミナ等のセラミック粉末を分散させた水系ない
し有機系溶媒に、ポリメチルメタクリレート、ポリビニ
ルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアル
コール等の高分子バインダーと可塑剤、分散剤とを加え
たものを高速ミキサーやボールミルにより混合分散し、
次いでセラミックスラリーを離型フィルムの離型層面に
ドクターブレード法により数百μm〜数十μmの厚さに
塗布・乾燥させた後、離型フィルムから剥離して巻き取
ることにより一般に製造されている。
【0006】近年、積層セラミックコンデンサーの小型
・高容量化のために、セラミックシートの厚さをより薄
膜化し、かつ多層に積層することが要望されている。セ
ラミックシートは、現在の7〜10μm程度の厚みのも
のから、3〜5μm程度の厚みのものが開発されてきて
おり、さらに1〜2μm程度の厚みのものも検討されつ
つある。また、数年後には1μm未満の厚みにまで、セ
ラミックシートの薄膜化が進むと予想されている。
【0007】ところが、セラミックシートの厚みが薄く
なるにつれ、セラミックシートを離型フィルムの離型層
から剥離する際の剥離力が大きくなり、剥離不良が多発
するという新しい問題が生じてきた。そのため、従来の
離型フィルムよりも剥離力の小さい離型フィルムが必要
となってきた。従来のラベル用などに使用されてきた汎
用の離型フィルムは、その用途では剥離力が小さいもの
であっても、薄層セラミックシートの製造には剥離性の
点で不十分であり、より剥離力の小さい離型フィルムが
求められている。
【0008】ところが、ある特定組成のセラミックシー
トとの剥離力が小さい離型フィルムを設計しても、セラ
ミックシートの構成成分(セラミックの種類や平均粒
径、バインダーの種類、それらの含有量比率など)やセ
ラミックシートの厚みが変わると、セラミックシートと
離型フィルムの離型層との間の剥離力が変化するため、
再びその特定組成のセラミックシートに最適な離型フィ
ルムの離型層組成を設計する必要があった。
【0009】さらに、剥離力の小さい離型フィルムであ
ればあるほど、離型層とポリエステル基材フィルムとの
密着耐久性が悪化する傾向にある。離型層と基材フィル
ムとの密着耐久性が悪いと、セラミックシート製造工
程、特にセラミックスラリーを離型フィルムに塗工する
前の駆動ロールや粘着ロールなどの剪断力や粘着力が付
与される工程で、離型フィルムの離型層が脱落しやすく
なる。その結果、セラミックシートの剥離性や平滑性が
不十分となり、セラミックシートを剥離する際にセラミ
ックシートが破れるという問題が発生する。そのため、
離型層と基材フィルムとの密着耐久性に優れた離型フィ
ルムも求められている。
【0010】また、硬化型シリコーン樹脂を主たる構成
成分とする離型層は、非常に帯電しやすく、またセラミ
ックシートを剥離する際の剥離帯電も大きい。そのた
め、浮遊ゴミが離型フィルムに付着しセラミックシート
を形成させた際にピンホールが発生したり、いったん剥
離したセラミックシートが離型フィルムに再付着して生
産性が低下する、などの問題が発生し、従来の離型フィ
ルムより剥離帯電が小さい、あるいは帯電減衰の早い離
型フィルムも求められている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来の問題点を解消し、特に薄層のセラミックシート
の製造において、セラミックシートの剥離性及び離型層
と基材フィルムとの密着耐久性に優れ、さらに剥離帯電
が小さいセラミックシート製造用離型フィルムを提供す
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記3つの課
題を次のような技術思想で解決したものである。第1の
技術思想は、セラミックシートを製造する際の剥離工程
において、剥離界面のセラミックシートと離型フィルム
の離型層とのダイナミック硬度差を特定範囲とすること
により、セラミックシートの構成成分(セラミックの種
類や平均粒径、バインダーの種類、それらの含有量比率
など)やセラミックシートの厚みに依存せず、剥離性に
優れた離型フィルムを得るというものである。このよう
なセラミックシートと離型フィルムの離型層の物理的特
性を関連づけた技術思想は、従来技術からは予測できな
い新規なものである。
【0013】第2の技術思想は、離型フィルムにおける
離型層と基材フィルム間の密着耐久性のパラメータであ
るラブオフ値を特定の範囲内とすることにより、セラミ
ックシート製造時に離型層が脱落しにくく、セラミック
シートを剥離する際のセラミックシートの破損を低減で
きる離型フィルムを得るというものである。
【0014】第3の技術思想は、離型フィルムのセラミ
ックシート形成面の離型層とは反対面に、剥離帯電が小
さい、あるいは帯電減衰の早い帯電防止層を設けること
により、離型フィルムとセラミックシートとの剥離帯電
が小さく、剥離したセラミックシートが離型フィルムに
再付着することを防止することができる離型フィルムを
得るというものである。
【0015】すなわち、本発明は、ポリエステルフィル
ムの少なくとも片面に硬化型シリコーン樹脂を主たる構
成成分とする離型層を設け、他方の面に帯電防止層を設
けた離型フィルムであって、前記離型層表面にセラミッ
クシート層を積層した際のセラミックシート層表面のダ
イナミック硬度Aと前記離型層表面のダイナミック硬度
Bとの差の絶対値が下記式(1)を満足し、かつ前記離
型層のラブオフ値が10以下であることを特徴とするセ
ラミックシート製造用離型フィルム。 |A−B|≦20(gf/μm2 ) …(1) (ここで、ラブオフ値とは、離型層表面に粘着剤層を設
けた際の離型層と粘着剤層との剥離力を、離型フィルム
の離型層表面を摩擦材で10往復摩擦させた後と摩擦前
で測定し、摩擦後の剥離力(P10)と摩擦前の剥離力
(P0)との比(P10/P0)で示すものである。)
【0016】
【発明の実施形態】以下、本発明を詳細に説明する。本
発明の離型フィルムの基材には、ポリエステルフィルム
を使用する。ポリエステルフィルムを構成するポリエス
テル樹脂は特に限定されず、離型フィルムの基材として
一般的に使用されているポリエステル樹脂を使用するこ
とができる。なかでも、芳香族ジカルボン酸成分とジオ
ール成分からなる結晶性の線状飽和ポリエステル樹脂が
好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレン−2,6−ナフタレート、ポリテトラメチレン
テレフタレート等が挙げられる。
【0017】また、本発明のセラミックシート製造用離
型フィルムは、離型層からセラミック層を剥離しセラミ
ックシートを製造した後はキャリアフィルムとしての機
能を終え廃棄される。すなわち、セラミックシート製造
後には離型フィルムは不要なものとなる。しかしなが
ら、従来から離型フィルムの支持体として使用されてき
た前記ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチ
レン−2,6−ナフタレートフィルムなどは生分解性の
機能が無く、焼却処分せざるを得ない。
【0018】したがって、自然界で分解する生分解性を
有し、燃焼時にも熱量が少なく焼却炉を痛めないなど環
境負荷が少なく、かつ透明性、機械的強度に優れた、生
分解性プラスチックフィルムを離型フィルムの支持体と
して使用することもできる。前記生分解性プラスチック
フィルムとしては、例えば主たる繰り返し単位が、一般
式、−O−CHR−CO−(Rは水素または炭素数1〜
3のアルキル基)で示される単位からなる脂肪族ポリエ
ステルフィルムなどが挙げられる。前記繰り返し単位を
有する脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリ乳
酸、ポリグリコール酸、ポリ(2−オキシ酪酸)などを
挙げることができるが、これらの一種または二種以上が
選択して用いられる。二種以上を用いる場合は、混合
物、共重合体でもよい。また、ポリマー中に不斉炭素を
有するものでは、L−体、DL−体、D−体といった光
学異性体が存在するが、これらのいずれでもよく、ま
た、二種以上の異性体が混在したものであってもよい。
前記脂肪族ポリエステルは、対応するα−オキシ酸の脱
水環状エステル化合物を用い、開環重合などの公知の方
法で製造することができる。これらの脂肪族ポリエステ
ルの中でも、特にポリ乳酸が最も好適である。
【0019】一方、離型フィルムの基材であるポリエス
テルフィルムには、フィルムの滑り性、巻き性、ブロッ
キング性などのハンドリング性を良くするために、本発
明の効果を阻害しない範囲内で、無機粒子や耐熱性高分
子粒子を含有させても良い。しかしながら、セラミック
シート製造時のピンホールなどの欠点検査のために、フ
ィルムの透明性を大きく阻害するような粒子は好ましく
ない。前記粒子としては、例えばシリカ粒子、炭酸カル
シウム粒子、アルミナ−シリカ複合酸化物粒子、ヒドロ
キシアパタイト粒子等が挙げられる。特に、ポリエステ
ルと屈折率差の小さい粒子が好ましく、例えば凝集体シ
リカ、ガラスフィラーなどが好適である。また、前記粒
子は平均粒径が0.01〜3μmであることが好まし
く、ポリエステルフィルムに対し0.005〜0.5重
量%の割合で含有させることが好ましい。
【0020】透明性を維持しながらハンドリング性に優
れたポリエステルフィルムを得るためには、例えば平均
粒径1〜3μmの凝集体シリカ粒子を使用する場合に
は、ポリエステルフィルム中に100〜600ppm、
特に200〜300ppm含有させることが好適であ
る。また、中間層に不活性粒子を含有させずに、表面層
にのみ不活性粒子を含有するフィルム積層体としてもよ
い。この場合、ポリエステルフィルムには不活性粒子を
含有させずに、離型層とは反対面に粒子含有層を共押出
し法または塗布法により設ける方法などが挙げられる。
【0021】ポリエステル樹脂に微粒子を含有させる方
法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法
を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の
段階において添加することができる。好ましくはエステ
ル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合
反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させた
スラリーとして添加し重縮合反応を進めてもよい。ま
た、ベント付き混練押出機を用いエチレングリコールま
たは水などに分散させた粒子のスラリーと粒子を含有し
ていない溶融ポリエステル樹脂にブレンドしてもよい。
【0022】また、前記ポリエステル樹脂には、各種の
添加剤を含有させても良い。添加剤としては、例えば、
アルカリ土類金属塩及び/またはアルカリ金属塩などの
静電密着性付与剤、リン酸やリン酸エステルなどのリン
酸系化合物などの熱安定剤、帯電防止剤、UV吸収剤等
が挙げられる。
【0023】本発明の離型フィルムに用いるポリエステ
ルフィルムは、キャリアフィルムとして要求される機械
的強度、耐熱性、透明性などの点から、二軸延伸ポリエ
ステルフィルムが好ましい。
【0024】次に、本発明のセラミックシート製造用離
型フィルムの製造方法について、離型フィルムの支持体
としてポリエチレンテレフタレート(PETと記す)フ
ィルムを使用した例を説明するが、当然これに限定され
るものではない。
【0025】粒子を含有するPET樹脂ペレットを十分
に真空乾燥した後、押出し機に供給し、約280℃の溶
融PET樹脂をTダイよりシート状に溶融押出しし、冷
却回転ロール上で静電気を印加させながら冷却固化密着
せしめて、未延伸PETシートを得る。溶融押出しの
際、溶融PET樹脂が約280℃に保たれたメルトライ
ン中で、樹脂中に含まれる異物を除去するために高精度
濾過を行うことが好ましい。
【0026】溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は
特に限定はされないが、ステンレス焼結体の濾材の場
合、触媒や添加粒子起因の凝集物や高融点有機物の除去
性能に優れ好適である。
【0027】さらに、濾材として濾過粒子サイズ(初期
濾過効率95%)が15μm以下のものを使用すること
により、20μm以上の大きさの異物を効率良く除去す
ることができ好ましい。
【0028】得られた未延伸シートを80〜120℃に
加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍に一段ま
たは多段に分け延伸して一軸配向ポリエステルフィルム
を得る。さらに、フィルムの端部をクリップで把持して
80〜180℃に加熱された熱風ゾーンに導き、幅方向
に2.5〜5.0倍に延伸する。引き続き160〜24
0℃の熱処理ゾーンに導き、1〜60秒間の熱固定処理
を行い、結晶配向を完了させる。この熱固定処理工程中
で、幅方向に1〜12%の弛緩処理を施してもよい。さ
らに、熱固定処理後フィルム両端のクリップ把持部分を
トリミングし、次いで長手方向に1〜12%の弛緩処理
を施してもよい。
【0029】また、二軸延伸フイルムの製造方法は、前
記のような逐次二軸延伸法以外に、未延伸フィルムを縦
方向と横方向に同時二軸延伸する方法によっても得るこ
とができる。同時二軸延伸はリニアモーター駆動式のテ
ンターを用いても良い。
【0030】ポリエステルフィルムの厚みは、好ましく
は12〜100μm、より好ましくは25〜50μmで
ある。 厚みが12μm未満では、セラミックシート製
造の際のキャリヤーフィルムとして要求される腰(ステ
ィッフネス)が不十分となる。一方、厚みが100μm
を超えるとコスト高となり好ましくない。
【0031】本発明で使用する離型フィルムの離型層を
構成する硬化型シリコーン樹脂としては、特に限定はな
く、付加反応型、縮合反応型、紫外線または電子線硬化
型のシリコーン樹脂などを使用することができる。
【0032】付加反応型シリコーン樹脂としては、例え
ば、末端にビニル基を導入したポリジメチルシロキサン
とハイドロジエンシロキサンとを白金触媒を用いて反応
させ、3次元架橋構造を形成したものが挙げられる。
【0033】縮合反応型シリコーン樹脂としては、例え
ば、末端に−OH基をもつポリジメチルシロキサンとハ
イドロジエンシロキサンとを白金触媒を用いて反応さ
せ、3次元架橋構造を形成したもの等が挙げられる。
【0034】紫外線硬化型シリコーン樹脂としては、例
えば最も基本的なタイプとしては、1)アルケニル基と
メルカプト基を含有するシロキサンに、光重合開始剤を
加え架橋反応させるラジカル付加型、2)メタクリル基
やアクリル基を含有するシロキサンに光重合開始剤を加
えラジカル重合により硬化させるラジカル重合型、3)
白金系触媒の存在化でビニルシロキサンをヒドロシリル
化反応させる付加反応型、4)紫外線でオニウム塩光開
始剤を分解してブレンステッド酸を生成させ、これでエ
ポキシ基を開裂させて架橋させるカチオン重合型、など
が挙げられる。なかでも、紫外線カチオン硬化型シリコ
ーン樹脂は、官能基にエポキシ基を有しており、コロナ
処理したフィルムへの密着性に優れることから特に好適
である。
【0035】電子線硬化型シリコーン樹脂の場合、電子
線は紫外線よりもエネルギーが強いため、紫外線硬化型
のように開始剤を用いなくてもラジカルによる架橋反応
が起こる。
【0036】本発明では、離型フィルムの離型層表面に
セラミックシート層を積層した際に、セラミックシート
層表面のダイナミック硬度Aと前記離型層表面のダイナ
ミック硬度Bとの差の絶対値が下記式(1)を満足する
ことが必要である。 |A−B|≦20(gf/μm2 ) …(1)
【0037】前記ダイナミック硬度の差の絶対値(|A
−B|)が20gf/μm2 を越えると、セラミックシ
ート層を離型フィルムから剥離してセラミックシートを
製造する際に剥離性が低下し、特に薄層のセラミックシ
ートの場合、剥離時にセラミックシートの破れや剥離不
良が多発し、歩留まりが低下する等の問題が発生する。
【0038】前記ダイナミック硬度の差の絶対値(|A
−B|)を上記範囲内とすることにより、セラミックシ
ート層を離型フィルムから剥離してセラミックシートを
製造する際の剥離力が小さく、容易に剥離することがで
きるため、セラミックシートの破損を低減することがで
きる。
【0039】セラミック層を離型フィルムから剥離して
セラミックシートを製造する際、セラミックシートの硬
さにより剥離形態が変わるため、離型フィルムの離型層
面の硬さを変える必要がある。すなわち、セラミックシ
ートが柔らかい場合、セラミックシート層を剥離する際
に、セラミックシート層の粘性の影響がでてくるため、
それに対応して離型フィルムの離型層の構成成分である
硬化型シリコーン樹脂を柔らかくすることが好ましい。
【0040】また、セラミックシートが硬い場合、また
はセラミックシートの厚みが薄い場合には、セラミック
シート層を剥離する際に、セラミックシート層の粘性の
影響はほとんど見られないため、離型フィルムの離型層
の構成成分である硬化型シリコーン樹脂を硬くすること
が好ましい。
【0041】セラミックシートと離型フィルムとの界面
の剥離挙動は、通常の粘着シートと離型フィルムとの界
面の剥離挙動とは異なる。すなわち、粘着シートの粘着
剤層と離型フィルムの離型層との界面の剥離の場合に
は、界面の凝集エネルギーが支配的となる。一方、硬い
セラミックシートと離型フィルムとの界面の剥離の場合
には、離型層が硬い場合には剥離時の離型層の変形が小
さく、結果として剥離力が小さくなる。また、離型層が
柔らかい場合には剥離時の離型層の変形が大きく、結果
として剥離力が大きくなる。
【0042】したがって、硬いセラミックシートと硬い
離型フィルムとの剥離挙動は、粘着シートと離型フィル
ムとの剥離のような、界面剥離力ではなく、界面せん断
力に支配されているものと考えられる。
【0043】前記ダイナミック硬度差の絶対値(|A−
B|)を20gf/μm2 以下とするためには、セラミ
ックシート層の硬さに応じて離型フィルムの離型層の硬
さを設計することが必要である。
【0044】例えば、セラミックシートはセラミック原
料(チタン酸バリウム、アルミナ等)と結着剤(ポリビ
ニルブチラール、ポリビニルアルコール等)から構成さ
れるが、セラミックシートに対して結着剤の含有量が多
い場合、またはセラミックシート層の厚みが厚い場合に
は、離型フィルムにセラミックシート層を積層した際の
セラミックシートの硬度は小さくなる。また、セラミッ
クスラリー中でのセラミック粉末の分散性もセラミック
シートの硬度に影響し、セラミック粉末の分散性が不十
分であるとセラミックシートの硬度は小さくなる。
【0045】上記のような硬度の小さいセラミックシー
トを剥離する場合には、硬化型シリコーン樹脂を主成分
とする離型層の硬度を小さくすることが必要であり、例
えば1)樹脂中の疎水基の含有量を可能な限り多くす
る、2)樹脂中に導入する架橋基の含有量を少なくす
る、3)リニアーな分子構造を有する樹脂を使用する、
ことなどによって達成することができる。また、離型層
の厚みを厚くすることも有効である。
【0046】また、セラミックシートに対する結着剤の
含有量が少ない場合、またはセラミックシート層の厚み
が薄い場合には、離型フィルムにセラミックシート層を
積層した際のセラミックシートの硬度は大きくなる。
【0047】上記のような硬度の大きいセラミックシー
トを剥離する場合には、硬化型シリコーン樹脂を主成分
とする離型層の硬度を大きくすることが必要であり、例
えばシリコーン樹脂中に導入する疎水基の含有量の調整
は必要であるが、シリコーン樹脂中に導入する架橋基の
含有量を多くするなどの方法で、シリコーン樹脂の架橋
密度を大きくすることにより達成することができる。
【0048】また、硬化型シリコーン樹脂を主たる構成
成分とする離型層の厚みが面内において均一であれば、
厚みが小さいほど一定の硬化エネルギーでも架橋密度が
大きくなるため、厚みを可能なかぎり小さくすることに
より、離型層の硬度を大きくすることもできる。さら
に、基材フィルムの機械的強度を制御することで硬度を
調整してもよい。
【0049】さらに、離型層の硬化条件によっても硬度
を制御することができ、例えば紫外線硬化型あるいは電
子線硬化型などの活性エネルギー線硬化型シリコーン樹
脂を離型層の構成成分として用いる場合には、活性エネ
ルギー線照射時の温度及び照射量が高いほど、離型層樹
脂の架橋密度が大きくなり、離型層の硬度を高くするこ
とができる。
【0050】離型層の塗布量は特に限定されないが、硬
化後の離型層の塗布量が0.02〜0.2g/m2 とな
る範囲が好ましくい。離型層の塗布量が0.02g/m
2 未満では、剥離性能が低下しやすい。一方、0.2g
/m2 を超えると、ポリエステルとの密着性に影響する
硬化時間が長くなり、生産性が低下しやすくなる。
【0051】前記離型層をポリエステルフィルムに形成
する方法は、特に限定されない。例えば、1)無溶剤型
の硬化型シリコーン樹脂を基材のポリエステルフィルム
の少なくとも片面に塗布し、次いで活性エネルギー線を
照射して硬化させる、あるいは熱硬化する方法、2)硬
化型シリコーン樹脂を溶媒に溶解あるいは分散したもの
を、基材のポリエステルフィルムに塗布し、溶媒を乾燥
除去した後、活性エネルギー線を照射して硬化させる、
あるいは熱硬化させる方法、などが挙げられる。
【0052】硬化型シリコーン樹脂の硬化条件および溶
媒の乾燥条件は、使用するシリコーン樹脂の種類、離型
層の厚み、離型フィルムのサイズ等により、適時選択す
れば良い。
【0053】例えば、紫外線硬化型シリコーン樹脂の場
合、紫外線照射量は100mJ/cm2 以上とし、溶媒
の乾燥温度は100℃以下とすることが好ましい。紫外
線照射量が、100mJ/cm2 未満であると、シリコ
ーン樹脂の硬化反応が不十分となりやすく、重剥離化
(剥離力が重くなる)や、ラブオフ値の増大(フィルム
との密着性が悪くなる)や、シリコーン離型層の背面転
写(裏移り)の原因となりやすい。一方、溶媒の乾燥温
度が100℃を超えると、フィルムの平面性が悪化する
傾向がある。
【0054】上記塗布液の塗布法としては、公知の塗布
法を適用することができ、例えばグラビアコート法やリ
バースコート法などのロールコート法、マイヤーバーな
どのバーコート法、スプレーコート法、エアーナイフコ
ート法等の従来から知られている方法を使用することが
できる。
【0055】また、本発明の離型フィルムの離型層面
は、離型層のラブオフ値が10以下であることが好まし
く、より好ましくは8以下、特に好ましくは6以下であ
る。ラブオフ値が10を超えると、セラミックシート製
造工程において、セラミックスラリーを離型フィルムの
離型層に塗布する前に離型層の脱落が発生しやすくな
る。そのため、離型層が脱落した箇所にセラミックスラ
リーを塗布すると、セラミックシートの厚みの不均一化
や、離型層が脱落した箇所でセラミックシートの剥離不
良が多発しやすくなり、歩留まりが低下するなどの問題
が発生する。
【0056】なお、ラブオフ値とは、離型層と基材のポ
リエステルフィルム間の密着耐久性に関連するパラメー
タであり、ラブオフ値が低いほど密着耐久性が良いと判
断する。具体的には、離型層表面に粘着剤層を設けた際
の離型層と粘着剤層との剥離力を、離型フィルムの離型
層表面を2N/cm2 の荷重下で摩擦材により10往復
摩擦させた後と摩擦前で測定し、摩擦後の剥離力(P1
0)と摩擦前の剥離力(P0)との比(P10/P0)
で示したものである。摩擦試験機としては学振式摩擦ケ
ンロウ度試験機を用い、摩擦材としては白色ポリプロピ
レンフィルムを用いた。また、剥離力は離型層表面に粘
着テープを貼り、300mm/分の速度で剥離した際の
測定値である。
【0057】離型層のラブオフ値が10以下、すなわち
離型層とポリエステルフィルムとの密着耐久性が良好で
ある場合、離型層がポリエステルフィルムから脱落する
ことがない。そのため、セラミックスラリーが均一に塗
布され、セラミックシート層を離型フィルムから剥離す
ることが容易となり、セラミックシートの破損を低減す
ることができる。
【0058】上記範囲のようなラブオフ値を得るには、
例えば硬化型シリコーン樹脂の硬化反応、あるいは架橋
反応をできるだけ短時間に完結させることが必要であ
る。シリコーン樹脂の硬化に必要なエネルギーや付加反
応時の触媒の添加量などを、弊害が起こらない程度に大
きくすれば良い。
【0059】また、活性エネルギー線硬化型シリコーン
樹脂の場合、架橋密度を大きくすることが密着耐久性の
点で好ましい。特に、紫外線カチオン硬化型シリコーン
樹脂は、架橋基にエポキシ基を用いているため、ポリエ
ステルフィルムへの密着耐久性は、架橋反応を促進すれ
ばするほど向上する。
【0060】また、離型層と基材のポリエステルフィル
ムとの密着耐久性を向上させるために、上記離型層用塗
布液をフィルムへ塗布するに先立ち、ポリエステルフィ
ルム表面に、アンカーコートあるいはコロナ処理、火炎
処理等の前処理を行なっても良い。
【0061】さらに、本発明の離型フィルムは、セラミ
ックシート剥離時の剥離帯電を小さくするために、セラ
ミックシート形成面の離型層とは反対面に帯電防止層を
設けることが必要である。セラミックシート剥離時の剥
離帯電を小さくすることにより、剥離したセラミックシ
ートが、離型フィルムに再付着し生産性が低下するとい
う問題を解消することができる。
【0062】帯電防止層を構成する帯電防止剤として
は、例えば、官能基がアルキルサルフェート型、アルキ
ルホスフェート型のようなアニオン系帯電防止剤、第4
級アンモニウム塩型、第4級アンモニウム樹脂型、イミ
ダゾリン型のようなカチオン系帯電防止剤、ソルビタン
型、エーテル型のようなノニオン系帯電防止剤、ベタイ
ン型のような両性帯電防止剤が挙げられる。また、ポリ
アニリンなどのような導電性の帯電防止剤でも良い。
【0063】上記のアニオン系、カチオン系、ノニオン
系などの界面活性剤タイプの帯電防止剤は、数平均分子
量が5,000以上の高分子タイプのものが好ましく、
特に好ましいのは数平均分子量が50,000以上の高
分子タイプである。
【0064】数平均分子量が5,000未満の帯電防止
剤を使用する場合、基材フィルムへの離型層の密着耐久
性が劣る傾向にある。そのため、この離型フィルムをロ
ール状に巻き取ったり、シート状に表面及び裏面を重ね
合わせた際に、帯電防止層中の成分が基材フィルムの反
対面の硬化型シリコーン樹脂を主成分とする離型層面に
移行する傾向がある。その結果、離型層面にセラミック
層を形成する際に、はじきによりピンホールが発生した
り、剥離不良が発生しやすくなる。また、セラミックシ
ート製造工程で帯電防止層自体が剥がれ、工程を汚染す
る場合があり好ましくない。さらに、帯電防止層が剥が
れることによって、帯電防止性能が不安定になり好まし
くない。これらの問題を防ぐために、帯電防止層中にワ
ックスやシリコーン成分などを混合することが好まし
い。
【0065】帯電防止層は表面固有抵抗値が低いだけで
なく、帯電減衰効果にも優れていることが好ましい。特
に限定はされないが、帯電防止剤の中でもカチオン系の
帯電防止剤及びπ電子共役系高分子からなる導電性ポリ
マーなどがより好ましい。π電子共役系高分子として
は、ポリアニリン及び/又はその誘導体、ポリピロール
及び/又はその誘導体、ポリアセチレン及び/又はその
誘導体、ポリチオフェン及び/又はその誘導体などが挙
げられる。特に好ましい帯電防止剤は、4級化された窒
素を有する帯電防止剤である。
【0066】帯電減衰性に優れる帯電防止剤を用いる
と、驚くことに、帯電防止層が剥離面とは反対側の表面
にあっても、セラミックシートを剥離する際の剥離帯電
を小さくすることができるという効果がある。
【0067】帯電防止層の厚みは、その使用目的に応じ
て設定すれば良く、特に限定されないが、帯電防止層の
単位面積当たりの重量が0.005〜0.5g/m2
なる範囲が好ましい。帯電防止層の厚みが0.005g
/m2 未満であると、帯電防止性能が低下しやすい。ま
た、0.5g/m2 を超えると、帯電防止層にタック性
が発現し、帯電防止成分が転写、脱落等しやすくなる。
【0068】本発明の帯電防止層の形成方法は、特に限
定されず、例えば帯電防止剤を溶解させた塗布液を、離
型フィルムのセラミックシート形成面の離型層とは反対
面に塗布などの方法により積層し、溶媒乾燥後除去する
方法などが用いられる。
【0069】本発明の離型フィルムにおいて、前記離型
層及び帯電防止層は、どちらを先に形成してもかまわな
い。
【実施例】以下に実施例を用いてさらに詳細に本発明の
説明をするが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。なお、本発明で使用する特性及
び物性評価は、下記の方法により測定した。
【0070】(1)ダイナミック硬度 ダイナミック超微小硬度計(島津製作所製、DUH−2
01−202)を用いて、加重2gfの三角すいを試料
(セラミックシート面あるいは離型層面)に押しつけ、
2秒間保持した後のダイナミック硬度を下記式より求め
た。なお、測定は10回行ない平均値を使用した。ま
た、離型フィルムの離型層面におけるダイナミック硬度
の測定は、セラミックシート層を設ける前の離型フィル
ムに対して行なってもよいし、セラミックシート層を設
けた後セラミックシート層を剥離した離型フィルムに対
して行なってもよい。 ダイナミック硬度=α×P/D2 ここで、Pは試験加重(gf)、Dは圧子の試料への侵
入量(μm)、αは圧子形状による定数(115°三角
すい)であり、37.838である。
【0071】(2)ラブオフ値 まず、サンプルとして縦23cm×横4cm程度の寸法
にカットした離型フィルム、摩擦材として2cm×8c
m程度の寸法にカットした白色ポリプロピレンフィルム
(東洋紡績社製、パールSS、厚み35μm)、2.5
cm×7cm程度の寸法にカットした2枚の綿ガーゼ、
及びポリエステル粘着テープ(日東電工社製、ニットー
31B)を準備する。
【0072】学振式摩擦ケンロウ度試験機(山口科学産
業社製)のヘッド部分にガーゼと白色ポリプロピレンフ
ィルムをはめ込み、ヘッドと相対する部分にサンプルを
置き固定する。ガーゼと白色ポリプロピレンフィルムを
はめ込んだヘッド部分をサンプルの上に倒し、セットす
る。白色ポリプロピレンフィルムとサンプルの離型層表
面を重ね合わせ、2N/cm2 の荷重下で10往復摩擦
させた後の離型層表面に粘着剤層を設けた際の離型層と
粘着剤層との剥離力(P10)と、走行前の離型層表面
に粘着剤層を設けた際の離型層と粘着剤層との剥離力
(P0)との比(P10/P0)を求め、下記の3つの
基準で評価した。なお、○を合格とした。 ○:≦5.0 △:5.0を超え、10.0以下 ×:>10.0
【0073】(3)セラミックシートの剥離性 離型フィルムの離型層面にセラミックシートを形成させ
たフィルム積層体を5cm巾にカットし、ピール法(剥
離速度:500mm/分、T型剥離)によりセラミック
シート層を離型フィルムから剥離して、下記基準により
評価した。なお、試験は5回行ない、○を合格とした。 ○:5回の試験で、いずれの剥離時にもセラミックシー
トが破れなかった場合 △:5回の試験で、1回でも剥離時にセラミックシート
が一部でも破れた場合 ×:5回の試験で、1回でも剥離時にセラミックシート
が完全に破れ破損した場合
【0074】剥離力は、離型層表面に粘着テープを貼
り、気泡およびゴミなどの混入に注意しながら5kgf
の圧着ゴムローラで一往復させた後、テンシロンにより
ロードセル・エアーチャック5kgf、引張速度300
mm/分、チャートスピード200mm/分の条件で剥
離した際の測定値である。なお、ガーゼと白色ポリプロ
ピレンフィルムは、摩擦が1往復終了する毎に取り替え
た。
【0075】4)セラミックシートの剥離帯電性評価 上記と同様にして得られたセラミックシートを5cm巾
にカットする。春日電機社製デジタル静電電位測定器
(KSD−0103)を用い、20℃で50%RHの雰囲気下
で、セラミックシートをピール法(剥離速度500mm/
分、T型剥離)により剥離して、剥離したセラミック側
の帯電圧を測定し、耐電圧の絶対値を下記の3つの基準
で評価した。なお、○を合格とした。 ○:≦1kV以下 △:1kVを超え、5kV以下 ×:>5kV
【0076】実施例1 カチオン型高分子帯電防止剤(三洋化成工業社製、ケミ
スタット6300H)0.2重量部、ポリエチレンワッ
クス(東邦化学工業社製、ハイテックE6000)0.
1重量部、メタノール50重量部、水49.7重量部を
混合して帯電防止層用塗布液A1を調整した。この塗布
液A1を厚み38μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタ
レートフィルム(東洋紡績社製、E5151)の片面に
ワイヤーバーで、乾燥後の厚さが0.03g/m2 とな
るように塗布し、90℃で30秒間熱風乾燥機中で乾燥
し、帯電防止層を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタ
レートフィルムを得た。
【0077】次に、紫外線カチオン硬化型シリコーン樹
脂(東芝シリコン社製、UV9315)を溶剤(ノルマルヘキ
サン)中に樹脂固形分濃度が2重量%となるように混合
・分散し、シリコーン樹脂100重量部に対し、1重量
部のビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフル
オロアンチモネートを硬化触媒として添加し、離型層用
塗布液B1を作成した。前記帯電防止層を有する厚さ3
8μmの二軸延伸PETフィルムの帯電防止層面とは反
対面にワイヤーバーにて、上記塗布液B1を塗布し、1
00℃で30秒間乾燥後、紫外線照射装置で300mJ
/cm2 の紫外線を照射し、乾燥後の塗布量が0.10
g/m2 の離型層を積層し、片面に離型層を、他面に帯
電防止層を有する離型フィルムを得た。
【0078】また、溶剤(トルエン/エタノール=50
/50:重量比)中にセラミック粉末(平均粒径が0.
6μmのチタン酸バリウム(BaTiO3)、富士チタン社
製)100重量部を混合し、ボールミルで24時間分散
した後、結着剤(ポリビニルブチラール、積水化学工業
株式会社製)10重量部及び可塑剤(ポリエチレングリ
コール)をセラミック粉末と結着材の総量に対し2重量
%混合し、さらにボールミルで24時間分散し、ペース
ト状のセラミックスラリーを得た。
【0079】前記の離型フィルムの離型層表面に、上記
セラミックスラリーを乾燥後の厚みが10μmになるよ
うにドクターブレードを用いてコートし、120℃で1
分間乾燥してセラミックシート層(セラミック原料/結
着剤の重量比:100/10)を設けた。評価結果を表
1に示す。
【0080】実施例2 実施例1と同様の方法で、帯電防止層を有する厚み38
μmの二軸延伸PETフィルム(東洋紡績株式会社製、
E5151)を得た。次に、熱硬化型シリコーン樹脂
(信越化学株式会社製、KS830)を溶剤(トルエ
ン)中に固形分濃度が3重量%となるように混合・分散
し、シリコーン樹脂100重量部に対し、1重量部の白
金触媒を添加して離型層用塗布液B2を作成した。前記
フィルムの帯電防止層面とは反対面に、実施例1で使用
した離型層用塗布液B1の代わりに前記離型層用塗布液
B2を用い、ワイヤーバーにて塗布し、160℃で30
秒間乾燥し、乾燥後の塗布量が0.10g/m2 の離型
層を積層し、片面に離型層を、他面に帯電防止層を有す
る離型フィルムを得た。さらに、実施例1と同様の方法
でセラミックシート層(セラミック原料/結着剤の重量
比:100/10)を設けた。評価結果を表1に示す。
【0081】実施例3 紫外線照射量を500mJ/cm2 とした以外は実施例
1と同様にして、片面に離型層を、他面に帯電防止層を
有する離型フィルムを得た。さらに、実施例1と同様の
方法でセラミックシート層(セラミック原料/結着剤の
重量比:100/10)を設けた。評価結果を表1に示
す。
【0082】実施例4 実施例2で使用した熱硬化型シリコーン樹脂(信越化学
株式会社社製、KS830)の代わりに、熱硬化型シリ
コーン樹脂(信越化学株式会社製、KS847H)を使
用する以外は実施例2と同様にして、片面に離型層を、
他面に帯電防止層を有する離型フィルムを得た。さら
に、実施例1において、セラミックシートの組成をセラ
ミック原料/結着剤=100/50(重量比)に変更し
た以外は実施例1と同様の方法で、離型フィルムの離型
層面にセラミックシート層を設けた。評価結果を表1に
示す。
【0083】比較例1 付加重合反応型シリコーン樹脂(信越化学株式会社製、
KS830)を溶剤(トルエン)中に樹脂固形分濃度が3重
量%となるように混合・分散し、シリコーン樹脂100
重量部に対し、1重量部の白金触媒を添加して離型層用
塗布液B3を作成した。次に、厚さ38μmの二軸延伸
PETフィルム(東洋紡績株式会社製、E5151)の
片面にワイヤーバーにて、上記塗布液B3を塗布し、1
40℃で30秒間乾燥及び硬化反応を行ない、乾燥後の
塗布量が0.05g/m2 の離型層を設けた離型フィル
ムを得た。この離型フィルムの離型層面に実施例1と同
様のセラミックシート層(セラミック原料/結着剤の重
量比:100/10)を設けた。評価結果を表1に示
す。
【0084】比較例2 紫外線照射量を100mJ/cm2 とした以外は実施例
1と同様にして、片面に離型層を、他面に帯電防止層を
有する離型フィルムを得た。さらに、実施例1と同様の
方法でセラミックシート層(セラミック原料/結着剤の
重量比:100/10)を設けた。評価結果を表1に示
す。
【0085】比較例3 離型層の乾燥後の塗布量を0.50g/m2 とした以外
は実施例4と同様にして、片面に離型層を、他面に帯電
防止層を有する離型フィルムを得た。さらに、実施例1
と同様の方法でセラミックシート層(セラミック原料/
結着剤の重量比:100/10)を設けた。評価結果を
表1に示す
【0086】比較例4 実施例1において、セラミックスラリーの調合方法を、
溶剤(トルエン/エタノール=50/50:重量比)中
にセラミック粉末(平均粒径が0.6μmのチタン酸バ
リウム(BaTiO3)、富士チタン社製)100重量部、結
着剤(ポリビニルブチラール、積水化学工業製)10重
量部、及び可塑剤(ポリエチレングリコール)をセラミ
ック粉末と結着材の総量に対し2重量%混合し、ボール
ミルで1時間分散してセラミックスラリーを調合する方
法に変更した以外は、実施例1と同様にして得た離型フ
ィルムにセラミックシート層(セラミック原料/結着剤
の重量比:100/10)を設けた。評価結果を表1に
示す。
【0087】
【表1】
【0088】本願発明の構成要件をすべて満足する実施
例1、2,3、4の離型フィルムは、セラミックの剥離
性及び離型フィルムの離型層と基材フィルムとの密着耐
久性に優れていた。さらに、セラミックシートの剥離帯
電は1kV以下であり、セラミックシートと離型フィル
ムは再付着することなく簡単に剥がれた。
【0089】それに対し、比較例1の離型フィルムは、
セラミックの剥離性及び離型フィルムの離型層と基材フ
ィルムとの密着耐久性に優れていた。しかしながら、帯
電防止層を設けていないため、セラミックシートの剥離
帯電は5kVを超えており、セラミックシートを剥離時
に離型フィルムに再付着した。
【0090】また、比較例2、3の離型フィルムは、セ
ラミックシート面と離型フィルムの離型層面のダイナミ
ック硬度差|A−B|が20を超え、かつラブオフ値も1
0.0を超えていたため、セラミックシートと離型フィ
ルムの離型層との剥離力が大きくなり、また離型層と基
材のポリエステルフィルムとの密着耐久性が劣ってい
た。その結果、セラミックスラリーを離型フィルムにコ
ートする前に、離型層がコート設備の1部でこすられ脱
落し、剥離時にセラミックシートが破れた。
【0091】比較例4の離型フィルムに積層したセラミ
ックシートは、セラミックスラリーの分散性が不十分な
ため、セラミックシート面のダイナミック硬度が小さく
なった。そのため、ダイナミック硬度差が本願発明の範
囲外となり、セラミックシート剥離時にセラミックシー
トの一部が破れた。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のセラミッ
ク製造用離型フィルムは、セラミックシート層と離型層
とのダイナミック硬度差の絶対値を小さくしているた
め、セラミックシートを剥離する際の剥離力が小さく、
剥離不良が起こりにくい。その結果、セラミックシート
の剥離時にセラミックシートの破れや剥離不良がなく、
生産性の良好なセラミックシートを得ることができる。
また、本発明は、顧客の要望でセラミックシートの組成
や厚みを変更する場合にも、セラミック層表面と離型層
表面との硬度差の絶対値という尺度でそれに適応した離
型フィルムを過度な実験を行なうことなく短期間に設計
することができるので極めて有用である。
【0093】また、離型層と基材フィルム間の密着耐久
性に優れているため、セラミックシート製造工程、特に
セラミックスラリーを離型フィルムに塗工する前の駆動
ロールや粘着ロールなどの剪断力や粘着力が付与される
工程を通過しても、離型フィルムの離型層が脱落しにく
い。そのため、セラミックシートの剥離不良や平滑性不
良が発生しにくくなり、セラミックシートを剥離する際
のセラミックシートの破損を低減できるという利点があ
る。
【0094】さらに、離型フィルムのセラミックシート
形成面の離型層とは反対面に、剥離帯電が小さい、ある
いは帯電減衰の早い帯電防止層を設けているため、離型
フィルムとセラミックシートとの剥離帯電が小さく、剥
離したセラミックシートが離型フィルムに再付着するこ
とを防止することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK04 AK41A AK42 AK52B AT00A BA03 BA07 CA02 CA22C CA22H CC01B CC01C EJ38 GB41 JB12B JB14B JG03C JL02 JL05 JL14 JL14B 4G052 DA02 DB01 DC05 DC06

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に硬化型シリコーン樹脂を主たる構成成分とする離型層
    を設け、他方の面に帯電防止層を設けた離型フィルムで
    あって、前記離型層表面にセラミックシート層を積層し
    た際のセラミックシート層表面のダイナミック硬度Aと
    前記離型層表面のダイナミック硬度Bとの差の絶対値が
    下記式(1)を満足し、かつ前記離型層のラブオフ値が
    10以下であることを特徴とするセラミックシート製造
    用離型フィルム。 |A−B|≦20(gf/μm2 ) …(1) (ここで、ラブオフ値とは、離型層表面に粘着剤層を設
    けた際の離型層と粘着剤層との剥離力を、離型フィルム
    の離型層表面を摩擦材で10往復摩擦させた後と摩擦前
    で測定し、摩擦後の剥離力(P10)と摩擦前の剥離力
    (P0)との比(P10/P0)で示すものである。)
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