JP4306226B2 - セラミックシート付き離型フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルフィルムを基材とするセラミックシート製造用離型フィルムに関し、詳しくはセラミックの剥離力が比較的大きく、セラミック加工工程中に予期せぬ剥離が発生せず、しかも剥離不良のない適度の力で剥離が可能な、セラミックシートの製造用に好適な離型フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムを基材とし、その上に離型層を積層した離型フィルムは、粘着ラベル、粘着テープ等の台紙として広く使用されている。
近年、セラミックコンデンサーなどの部品として使用されるセラミックシートの作成に離型フィルムが使用されることが一般化されるなか、セラミックコンデンサーの大容量化、小型化に伴って、セラミックシートが薄膜化(特にセラミックが薄くなると剥離力は大きくなる)し、それにより従来の離型フィルムより剥離力の小さい離型フィルムが求められるようになっている。一方、剥離力の小さすぎる離型フィルムを使用すると、セラミック処方の不揮発分量や粒子の分散やセラミックシート中の充填構造によっては、乾燥後の収縮率が大きくなり、剥離工程以前の工程で、セラミックと離型フィルムとが剥離してしまい、不具合が発生する場合がある。更には、従来のラベル用等の離型フィルムにおいて剥離力の大きいものが、セラミック剥離においても剥離力が大きいものであるとは限らず、離型フィルム上に塗工されるセラミックの種類に応じて最適な剥離性を有する離型層を選択することは非常に困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる問題点を解消し、特にセラミック剥離工程前のセラミック製造工程において剥離しない適度な密着力を有し、しかもセラミック剥離工程においては剥離時の剥離力が小さく、剥離不良のない適度の力で剥離が可能な離型層表面を有する、セラミックシート製造用離型フィルムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
我々は、鋭意検討の結果、特定範囲のダイナミック硬さを有するセラミック層を剥離する場合において、特定範囲のダイナミック硬さを有する硬化型離型フィルムが、セラミックシート製造時の剥離工程において好ましい適度な剥離除去性を示すことを見出し、本発明に到達したものである。
【0005】
即ち、本発明はポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に硬化型シリコーン樹脂より構成される離型層を設けてなる離型フィルムであって、該離型フィルムの離型層側表面上に積層されるセラミックシートの負荷時のダイナミック硬さ(A)と該離型層の負荷時のダイナミック硬さ(B)とが下記式(1)、(2)で示される範囲にあることを特徴とするセラミックシート製造用離型フィルムである。
A<15(gf/μm2)・・・・(1)
20<|A−B|<40(gf/μm2)・・・・(2)
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の基材として用いるポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、特に限定されず、離型フィルム基材として通常一般に使用されているポリエステルをフィルム成形したものを使用する事が出来るが、好ましくは、芳香族二塩基酸成分とジオール成分からなる結晶性の線状飽和ポリエステルであるのが良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ −1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0007】
上記ポリエステルには、フィルムの取り扱い性や滑り性を良くするために、本発明の作用を阻害しない範囲内で有機や無機の微粒子を配合しても良い。特に平均粒径が0.01〜10μmの微粒子を、ポリエステル全体の重量に対し0.005〜5重量%の割合で含有させることが好ましい。
【0008】
本発明に用いるポリエステルフィルムは、特に機械強度が優れる等から、二軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。
【0009】
本発明におけるポリエステルフィルムの製造法は、特に限定されず、従来一般に用いられている方法を用いることが出来る。例えば、前記ポリエステルを押出機にて溶融して、フィルム状に押出し、回転冷却ドラムにて冷却することにより未延伸フィルムを得、該未延伸フィルムを一軸または二軸延伸する事により得ることが出来る。一軸延伸フィルムは、未延伸フィルムを縦方向あるいは横方向に一軸延伸することにより得ることが出来る。また、二軸延伸フィルムは、縦方向あるいは横方向の一軸延伸フィルムを横方向または縦方向に逐次二軸延伸する方法、或いは未延伸フィルムを縦方向と横方向に同時二軸延伸する方法で得ることが出来る。
【0010】
本発明において、ポリエステルフィルム延伸時の延伸温度はポリエステルの二次転移点(Tg)以上とすることが好ましい。また、二軸延伸フィルムの場合は、おのおのの方向に1〜8倍、特に2〜6倍の延伸倍率とすることが好ましい。
【0011】
本発明に用いるポリエステルフィルムの厚さは、その使用目的に応じて設定すれば良く、特に限定されないが、好ましくは2〜300μmであるのが良く、特に好ましくは10〜125μmである。
【0012】
本発明の離型フィルムにおけるシリコーン離型層を構成するシリコーン樹脂としては、特に限定はなく、付加反応系、縮合反応系、紫外線硬化系もしくは電子線硬化系のシリコーン樹脂等の、硬化性シリコーン樹脂を使用することが出来る。
【0013】
付加反応系のシリコーン樹脂としては、例えば、末端にビニル基を導入したポリジメチルシロキサンとハイドロジエンシロキサンを白金触媒を用いて反応させ、3次元架橋構造を形成したものが挙げられる。
【0014】
縮合反応系のシリコーン樹脂としては、例えば、末端に−OH基をもつポリジメチルシロキサンとハイドロジエンシロキサンを白金触媒を用いて反応させ、3次元架橋構造を形成したもの等が挙げられる。
【0015】
紫外線硬化系のシリコーン樹脂としては、例えば、最も基本的なタイプとして通常のシリコーンゴム架橋と同じラジカル反応を利用するもの、不飽和基を導入して光硬化させるもの、ビニルシロキサンへのチオールの付加反応で架橋するもの、紫外線でオニウム塩を分解して強酸を発生させ、これでエポキシ基を開裂させて架橋するもの等が挙げられる。電子線は紫外線よりもエネルギーが強い為、電子線硬化系のシリコーン樹脂は、紫外線硬化系のように開始剤を用いなくてもラジカルによる架橋反応が起こる。
【0016】
本発明による離型層は、該離型フィルムの離型層側表面上に積層されるセラミックシートの負荷時のダイナミック硬さ(A)と該シリコーン離型層の負荷時のダイナミック硬さ(B)とが、下記式(1)、(2)で示される範囲にあることが必要である。
A<15(gf/μm2)・・・・(1)
20<|A−B|<40(gf/μm2)・・・・(2)
上記範囲外になるとセラミックシートの性状により後述の様に、セラミックシート製造時の剥離工程以前の工程で、セラミックと離型フィルムとが剥がれてしまい、導電層印刷が出来ない等の問題が発生する。
【0017】
セラミックシートの性状、特にセラミックシートの硬さが柔らかくなった場合、セラミックシートの負荷時のダイナミック硬さ(A)とシリコーン離型層の負荷時のダイナミック硬さ(B)との関係が上記範囲にあることにより、剥離工程以前の工程で、離型フィルムからセラミックシートが剥がれることなく、また離型フィルムからセラミックシートを剥離するときは、セラミックシートが破れることなく、剥がすことが出来るので、セラミックシートの破損を低減することができる。セラミックシートと離型フィルムとの剥離は、セラミックシートの硬さにより剥離形態が変わるため、それに伴い離型面の硬さを変える必要がある。特にセラミックシートが柔らかいとき、あるいは、セラミックシートの厚みがある程度厚いときは、セラミックシートを乾燥させた後、セラミック粒子の分散状態あるいはセラミックシート中の充填構造により、セラミックシートが収縮し、離型フィルムからセラミックシートが剥がれやすくなる。柔らかいセラミックシート層を剥離するときには、セラミックシート層の粘性の影響が出ると考えられ、それに伴う離型層がシリコーン樹脂の化学的な剥離能力の優れたもの(例えば−CH3含有量が多い等)であると、セラミックシートが剥離工程以前の工程で剥離しやすくなる。そういった離型層の固さは、一般に柔らかい。セラミックシートのダイナミック硬さAは、下限値が3gf/μm2であることが好ましい。セラミックシートのダイナミック硬さが3gf/μm2未満と柔らかくなると、セラミックシートを離型フィルムの離型層面から剥離する際にセラミックシートが伸びて変形しやすくなったり、セラミックシートがブロッキングしたりする場合がある。又、セラミックシートが硬くなると(一般的にはセラミックシートの厚みが薄くなると)、セラミックシートを乾燥させた後のセラミックシートの収縮力は弱くなり、離型フィルムからセラミックシートが剥がれにくくなる。その場合は、セラミックシート剥離工程以前の工程で離型フィルムからセラミックシートが剥がれることはなくなるので、離型フィルムの剥離力としては、軽いものが望まれる。硬いセラミックシートを剥離するときには、セラミックシート層の粘性の影響は、ほとんど出ないと考えられ、それに伴う離型層としては、硬いものが適している。その理由は、硬いセラミックシートと硬い離型フィルムとの剥離は、粘着シートと離型フィルムとの剥離のような界面剥離力ではなく、界面せん断力に影響されるからである。
【0018】
上記範囲のようなダイナミック硬さの差を確保するには、セラミックシートと硬化型シリコーン樹脂において、それぞれに対応するセラミックシート及びシリコーン樹脂の層構成にする必要がある。たとえば、セラミックシートの結着剤(ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂等)とセラミック原料(チタン酸バリウム、アルミナ等)の混合比(結着剤/セラミック原料)で、結着剤混合比が高い場合、あるいは、セラミックシートの層厚みが厚い場合等では、セラミックシートのダイナミック硬さは、小さくなる(柔らかくなる)。上記のようなセラミックシートは、セラミック原料の分散状態やセラミックシート中の充填構造の影響をうけて、セラミック自体の収縮力が強く、離型フィルムから剥離しやすくなる。上記のようなセラミックシートに使用する場合のシリコーン離型層は、該シリコーン樹脂中に導入する疎水基の含有量の調整は、必要であるが、該樹脂中に導入する架橋基の含有量を多くする、等の方法で、樹脂の架橋密度を大きくすること(コート膜の硬度を上げること)により、セラミックシートの剥離工程以前の工程での剥離が起こらず、剥離工程で剥離するときは適度な剥離力で剥離することの可能なフィルムを得ることが出来る。
硬化型シリコーン樹脂において、樹脂厚みが離型層の面内において均一であるならば、一定の硬化エネルギーでも厚みが小さい程架橋密度が大きくなるため、厚みを可能な限り小さくすることにより、上記範囲の様な値を得ることが出来る。また、フィルム自体の硬度も影響するため、調整してもよい。
【0019】
本発明において、離型層の厚みは、その使用目的に応じて設定すれば良く、特に限定されないが、好ましくは、硬化後の離型層重量が0.02〜0.2g/m2となる範囲がよい。離型層の厚みが上記範囲より小さいと剥離性能が低下しやすい。また、上記範囲より大きいと、ポリエステルの密着性に必要な硬化時間が長くなり、生産上不都合となりやすい。
【0020】
本発明において、離型層の形成方法は、特に限定されず、例えば硬化型シリコーン樹脂を分散させた塗液を、基材のポリエステルフィルムの表面に塗布等により展開し、溶媒等を乾燥により除去後、熱により樹脂を反応させ硬化させる方法が用いられる。
【0021】
上記塗液の塗布法としては、公知の任意の塗布法が適用出来、例えばグラビアコート法やリバースコート法などのロールコート法、ワイヤーバーなどのバーコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法等の従来から知られている方法が利用できる。
【0022】
本発明において、離型層のポリエステルフィルムへの密着性を上げるために、上記塗液の塗布に先立ち、ポリエステルフィルム表面に、アンカーコート等の前処理をしても良い。
【0023】
【実施例】
以下に、試験例及び実験例を用いて本発明の効果を更に詳細に説明する。
試験例
1.試験方法
【0024】
(1)負荷時のダイナミック硬さの測定
島津ダイナミック超微小硬度計(DUH−201−202)を用いて、荷重2gfの三角すいを試料(セラミックシート面あるいはシリコーン樹脂面)に押しつけ、2秒保持した後のダイナミック硬さを下記(2)式より求めた。
負荷時のダイナミック硬さ=α×P÷D2・・・・・(2)
P(gf): 荷重
D(μm): 圧子の試料への侵入量
α : 37.838 圧子形状による定数(115°三角すい)
【0025】
(2)セラミックシートの剥離性評価
セラミックシート付き離型フィルムを2.5cm巾にカットし、セラミックシート層面にポリエステル粘着テープ(日東電工社製、ニットー31B)を貼り、ピール法(剥離速度500mm/分でT型剥離する)によりセラミックシート層を離型フィルムから剥離して、下記基準により評価した。なお試験は5回行ない、Aを合格とした。
A・・セラミックシートが5回の試験ですべて破れることなく、剥離した場合
B・・5回の試験で1回でもセラミックシートの一部に破損があった場合
C・・5回の試験で1回でもセラミックシートが完全に破れ破損した場合
【0026】
(3)セラミックの浮き評価
セラミックシート付き離型フィルム(セラミックのコート巾10cm、長さ15cm)の上にセラミックシート面積より大きいA4版の重さ750gのガラス板を置き、1分間室温で放置後、ガラス板を垂直に持ち上げ、セラミックシートの剥離状態を下記基準により評価した。
A・・セラミックシートの剥離は見られない。
B・・セラミックシートの一部が剥離している。
C・・セラミックシートが完全に剥離している。
【0027】
2.実施例
(実施例1)
熱硬化型シリコーンレジン(信越化学株式会社製 KS834H)を溶剤(トルエン)に分散し(1重量%濃度)、シリコーンレジン100重量%に対し、1重量%の白金触媒を硬化触媒として添加し、シリコーン塗液を作成した。厚さ38μmの常法で得られたポリエステルフィルムに、ワイヤーバーにて上記シリコーン塗液を塗布し、140℃×30秒で乾燥し、長尺の離型フィルム(シリコーン離型層の乾燥後重量0.10g/m2)ロールを得た。
【0028】
また、溶剤(トルエン/エタノール=50/50:重量比)中にセラミック粒子(平均一次粒子径が0.6μmのチタン酸バリウム(BaTiO3)、富士チタン社製)100重量部を混合し、分散メディアである粒径1.5mmのジルコニアビーズ(充填量:スラリーに対し200重量%)とともにボールミルで24時間分散した。次いで、バインダー(ポリビニルブチラール、積水化学工業株式会社製)10重量部、及び可塑剤(ポリエチレングリコール)をセラミック粉末とバインダーの総量に対し2重量%混合し、ボールミルで24時間分散し、さらにフィルター(孔径3μm)で濾過処理を行ない、ペースト状のセラミックスラリーを得た。
【0029】
前記の離型フィルムロールを巻き出し、上記セラミックスラリーを乾燥後の厚みが30μmになるようにドクターブレードを用いて、離型フィルムの離型層面に塗布し、120℃で1分間乾燥してセラミックシート層(セラミック粒子/バインダーの重量比:100/10)を設け、得られたセラミックシート付き離型フィルムをロール状に巻き取った。
【0030】
(実施例2)
実施例1において、セラミックスラリー調製時にバインダーとしてアクリル樹脂を用い、セラミック粒子とバインダーの配合比を100/20(重量比)に変更する以外は実施例1と同様にして、長尺のセラミックシート付き離型フィルムロールを得た。
【0031】
(比較例1)
UV硬化型シリコーンレジン(東芝シリコーン株式会社製 UV9300)を溶剤(ノルマルヘキサン)に分散し、(2重量%濃度)、シリコーンレジン100重量部に対し、1重量部のビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートを硬化触媒として添加し、シリコーン塗液を作成した。上記シリコーン塗液を塗布し、140℃×30秒で乾燥し、長尺の離型フィルムロール(シリコーン離型層の乾燥後重量0.2g/m2)を得た。
上記で得られた離型フィルムロールの離型層面上に、実施例2と同様にしてセラミックシート(セラミック原料/アクリル樹脂=100/20)層(厚み30μm)を設けることにより、長尺のセラミックシート付き離型フィルムロールを得た。
【0032】
(比較例2)
熱硬化型シリコーンレジン(東芝シリコーン株式会社製 XS56−A5730)を溶剤(トルエン)に分散し(2重量%濃度)、シリコーンレジン100重量部に対し、1重量部の白金触媒を硬化触媒として添加し、シリコーン塗液を作成した。厚さ38μmの常法で得られたポリエステルフィルムに、ワイヤーバーにて上記シリコーン塗液を塗布し、140℃×30秒で乾燥し、長尺の離型フィルムロール(シリコーン離型層の乾燥後重量0.2g/m2)を得た。
上記で得られた離型フィルムロールの離型層面上に、セラミックシート(セラミック原料/PVB=100/20)層(厚み30μm)を設けることにより、長尺のセラミックシート付き離型フィルムロールを得た。
【0033】
(比較例3)
比較例2の熱硬化型シリコーンレジンを「東芝シリコーン株式会社製 TPR6712」に変更し、シリコーン離型層の乾燥後重量を0.1g/m2にした以外は、比較例2と同様にして長尺のセラミックシート付き離型フィルムロールを得た。
【0034】
(比較例4)
実施例2において、シリコーン離型層の乾燥後の重量を0.04g/m2とし、かつセラミックスラリー調製時にセラミック粒子とアクリル樹脂の配合比を100/50(重量比)に変更する以外は実施例2と同様にして、長尺のセラミックシート付き離型フィルムロールを得た。
【0035】
3.試験結果
実施例及び比較例の試験結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例1、2は、20<|A−B|<40(gf/μm2)の範囲内であり、セラミックシートの剥離不良は見られず、セラミックが収縮してカールしたセラミックシート付き離型フィルムを平面状に変形させても、セラミックシートの剥がれは見られなかった。従って、セラミック製造工程においても、不具合は発生しないと予想される。それに対し、比較例1、2、3は、|A−B|≦20(gf/μm2)であり、セラミックシート剥離時に剥離不良は見られなかったが、セラミックが収縮してカールしたセラミックシート付き離型フィルムを平面状に変形させると、セラミックシートに剥がれが発生しており、セラミック製造工程において、不具合が発生すると予想される。また、比較例4は、|A−B|が40以上であり、セラミックシートに剥がれは見られなかったが、セラミックシートを離型フィルムの離型層面から剥離する際に、剥離力が大きく、剥離が不良な部分が見られた。
【0038】
【発明の効果】
本発明の離型フィルムは、セラミックシートの剥離工程以前のセラミック製造工程において剥離することのない適度な密着力を有する一方、セラミック剥離工程においては、剥離不良のない適度の力でセラミックシートから離型フィルムの剥離除去が可能である。よってセラミックシートの製造に好適である。
Claims (3)
- ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に硬化型シリコーン樹脂より構成される離型層を設けてなる離型フィルムの該離型層表面にセラミックスラリーを塗布、乾燥してなるセラミックシート層を設けた、セラミックシート付き離型フィルムであって、
該離型層の硬化後の離型層重量が0.02〜0.2g/m 2 であり、
該離型フィルムの離型層側表面上に積層されるセラミックシートの負荷時のダイナミック硬さ(A)と該離型層の負荷時のダイナミック硬さ(B)とが下記式(1)、(2)で示される範囲にあることを特徴とし、
A<15(gf/μm2)・・・・(1)
20<|A−B|<40(gf/μm2)・・・・(2)
上記負荷時のダイナミック硬さが、
島津ダイナミック超微小硬度計(DUH−201−202)を用いて、荷重2gfの圧子(115°三角すい)を試料(セラミックシート面あるいは離型層表面)に押しつけ、2秒保持した後のダイナミック硬さとして、下記式:
負荷時のダイナミック硬さ=α×P÷D 2 、
(ここに,P(gf)は、荷重、
D(μm)は、圧子の試料への侵入量、
αは、37.838(圧子形状による定数))
より求められるものである、
セラミックシート付き離型フィルム。 - セラミックシートの負荷時のダイナミック硬さ(A)が3gf/μm 2 以上である、請求項1に記載のセラミックシート付き離型フィルム。
- 該セラミックシート層がセラミック原料と結着剤とを含み、セラミック原料と結着剤の混合比(結着剤/セラミック原料)が10/100〜20/100である、請求項1又は2に記載のセラミックシート付き離型フィルム。
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