JP3965973B2 - 車両後部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両後部構造にかかわり、さらに詳しくは、改良されたバンパーと車体との結合構造をもつ車両後部構造に関している。
【0002】
【従来の技術】
通常、自動車には車室内の空気を排出するドラフターが車両後部に設置されている。
【0003】
従来、このドラフターは、リヤタイヤ後方のフェンダーに設置し、車外からの騒音、粉塵などの侵入を防止している。しかしながら、このような構造では、リヤタイヤの後方にドラフターを設置するオーバーハングが必要となり、造形自由度を減少させる。このような問題を解決するために、ドラフターを車体後面のリヤパネルに設置し、リヤバンパーフェイシャーをリヤフロアの下面まで延長したり、リヤバンパーフェイシャー内部にリブを設けたりすることで、バンパー内部への騒音、粉塵などの侵入を防いでいる。
【0004】
図6はリヤバンパーフェイシャーをリヤフロア下面まで延長している車両後部構造を示している。この図6では、リヤパネル61の下部はリヤフロア62に溶接されていると共に、リヤパネル61を補強するレインフォースリヤパネル63がリヤパネル61の前面に配置されている。また、ラッゲジトリム64がリヤフロア62の内面およびリヤパネル61の前面に配置されている。ラッゲジトリム64のリヤフロア61と平行な部分は、ラッゲジトリム64とリヤフロア62との間にスペアタイヤ65の収納室66を形成している。さらに、リヤパネル61の後側に配設されたバンパーフェイシャー67は、図示を省略された上部がリテーナーによってリヤパネル61に支持されていると共に、図に示す下部がリヤフロア61にボルトおよびナットからなる締結部品68によって結合されている。バンパーフェイシャー67にはリヤバンパーレインフォース69が組み込まれている。
【0005】
また図7はリヤバンパーフェイシャーの内部にリブを設けた車両後部構造を示している。この図7において、車体のリヤパネル71の上部にはレインフォースパネル72が溶接されている。ラゲッジトリム73がレインフォースパネル72の内側に配置され、後部荷物室を形成している。リヤバンパーフェイシャー74はリヤパネル71に固定されたリテーナーバンパー75によってリヤパネル71に取り付けられている。リヤバンパーフェイシャー74は内部にリブ76を一体成形されている。ドラフター78は、入り口をリヤパネル71とレインフォースパネル72との間の空間に向け、出口をリヤバンパーフェイシャー74の上部とリヤパネル71とリブ76とによって形成される空間に向けてリヤパネル71に装着されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図6に示すような、リヤバンパーフェイシャーをリヤフロア下面まで延長した車両後部構造は、リヤバンパーフェイシャー67がリヤフロア62の下面にボルトおよびナットからなる締結部品68によって結合されているため、バンパー下面に加わった衝撃が直接車体に伝わり、車体を損傷させやすい。さらに、リヤバンパーフェイシャー67はリヤフロア62の下面まで延びた形態となっているため、リヤバンパーフェイシャー67の下部デザインが制約されたり、リヤバンパーフェイシャー67を成形するときに、型抜き方向が制約されたりする。また、リヤバンパーフェイシャー67とリヤフロア62との締結部分68は車室内に通じているため、水密構造とするためには水密性能を満足するボルトおよびナットを使用する必要があり、コストが高くなる。しかも、バンパーが衝撃を受けるため、水密状態を確実に維持することが困難である。さらに、リヤバンパーフェイシャー67は直接リヤフロア62と結合されているので、リヤバンパーフェイシャー67下端の高さをリヤフロア62と一致させる必要があり、車体床面の地上高が制限され、二輪駆動車と四輪駆動車との床面高さの違いを吸収することができない。
【0007】
また、図7に示すような、リヤバンパーフェイシャーの内部にリブを設けた車両後部構造では、リヤバンパーフェイシャー74が衝撃が受け、変形すると、リブ76が衝撃をリテーナーバンパー75およびリヤパネル71を経由して車体に直接伝達するため、軽い衝突であっても車体を損傷させる。さらに、リヤバンパーフェイシャーを成形するときのひけ77をキャラクタラインによって隠しているため、リヤバンパーフェイシャー74の下部デザインが制約される。
【0008】
本発明の目的は、リヤバンパーフェイシャーのデザインを損なうことなく、成形を容易におこなえ、フロアの地上高が制限されず、しかも、バンパーに加わった衝撃によって車体を損傷させない、車両後部構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された本発明の車両後部構造は、車両後部に位置するリヤフロアと、前記リヤフロアの後縁部に一体に設けられ且つ上方に延びるリヤパネルと、前記リヤパネルを覆い且つリヤパネルに支持されたリヤバンパーフェイシャーと、前記リヤパネルと前記リヤバンパーフェイシャーとの間に位置して前記リヤパネルに装着され且つ車室内の空気を外部空間に排気するドラフターとを備え、前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部と前記車両後部との間に開口が形成されている車両後部構造であって、前記リヤパネルの下縁部と前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部との間に前記開口を閉塞するプロテクターが介装され、該プロテクターは前記リヤバンパーフェイシャーからの入力荷重によって変形可能な湾曲部を有し、該湾曲部には衝撃吸収用の複数の折曲部が形成されている。
【0010】
また、請求項2に記載された本発明の車両後部構造は、請求項1に記載の車両後部構造において、前記プロテクターは、前記リヤパネルから後方に向けて延設されて前記湾曲部につながる上プロテクター部と、前記湾曲部から前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部まで延びる下プロテクター部と、該下プロテクター部の前縁部に設けられ且つ前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部を保持する保持部とを備えている。
【0012】
また、請求項3に記載された本発明の車両後部構造は、請求項1または請求項2に記載の車両後部構造において、前記リヤパネルには前記リヤフロアよりも下方に延びる延長部が設けられ、該延長部には係止孔が設けられていると共に、該係止孔に係合する突起が前記プロテクターの上縁部に設けられ、前記リヤパネルの延長部に係合し且つ前記突起の前記係止孔からの抜け外れを阻止する係止爪が前記プロテクターの上縁部に設けられている。
【0013】
また、請求項4に記載された本発明の車両後部構造は、請求項2または請求項3に記載の車両後部構造において、前記プロテクターの前記湾曲部から前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部まで延びる下プロテクター部は、該下プロテクター部の前縁部に設けられ且つ前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部を保持する保持部により前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部に固定されている。
【0014】
また、請求項5に記載された本発明の車両後部構造は、請求項1に記載の車両後部構造において、前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部から前記リヤパネル側に向けて延びるブラケットが設けられ、前記ブラケットの下縁部と前記バンパーフェイシャーの下縁部との間に前記プロテクターの下縁部が介装されていると共に、前記ブラケットの下縁部、前記バンパーフェイシャーの下縁部および前記プロテクターの下縁部が固定手段により一体に固定され、前記ブラケットの下縁部を係止する係止爪が前記プロテクターの下縁部に設けられている。
【0015】
【作用】
請求項1に記載の車両後部構造において、リヤバンパーフェイシャーは車両後部との間の下部開口がプロテクターによって遮蔽されているため、外部騒音や車外騒音は、プロテクターによって邪魔され、リヤバンパーフェイシャーとリヤパネルとの間の空間にはいり込まず、ドラフターを通じて車室内に侵入せず、後輪が巻き上げた石などもプロテクターによってそらされ、リヤバンパーフェイシャーの内面に当たらず、石などによってリヤバンパーフェイシャーを傷つけたり、リヤバンパーフェイシャーの塗装膜が剥れるなどのおそれがない。しかも、リヤバンパーフェイシャー内にリブを設定する必要がないので、ひけ防止用のキャラクターラインが不要となり、造形自由度が向上する。車両が走行したときの走行風も、プロテクターによってそらされ、リヤパネルとリヤバンパーフェイシャーとの間に巻き込まれず、ドラフターが走行風によって機能を喪失しない。さらに、リヤバンパーフェイシャーの下縁部がリヤパネルまで延びていなくてもよいため、リヤバンパーフェイシャーのデザインが制約されず、成形性を配慮した設計をおこなえ、フロアの地上高も制限しない。
そして、プロテクターが変形可能なため、リヤバンパーフェイシャーを車体に組み付けた後、リヤバンパーフェイシャーの下部に衝撃が入力されても、プロテクターの湾曲部が撓んで衝撃を吸収し、衝撃を車体に入力しない。
更に、リヤバンパーフェイシャーが衝撃を受けると、プロテクターの湾曲部が撓むだけでなく、折曲部も撓んで、衝撃をよく吸収する。また、車体、リヤバンパーフェイシャー、プロテクターなどに製造上のばらつきがあっても、これらの誤差を湾曲部または折曲部もしくはこれら双方で吸収することができる。
【0016】
また、請求項2の車両後部構造において、リヤバンパーフェイシャーの組み付けは、プロテクターをリヤパネルに装着した後、リヤバンパーフェイシャの内面をプロテクターの下プロテクター部に沿わせてプロテクターに向かって押し込むと共に、リヤバンパーフェイシャーの下縁部をプロテクターの保持部に保持させることによってなされる。このときに、プロテクターを案内としてリヤバンパーフェイシャーに組み付けることができるため、プロテクターに対するリヤバンパーフェイシャーの組み付け作業が簡単である。
【0018】
また、請求項3の車両後部構造において、リヤパネルへのプロテクターの組み付けは、プロテクターの突起をリヤパネル延長部の係止孔に嵌め、プロテクターの係止爪をリヤパネルの延長部端縁に突き当てることによってなされる。このときに、プロテクターの突起がリヤパネル延長部の係止孔に嵌まり、しかもプロテクターの係止爪がリヤパネルの延長部端縁に係合しているため、プロテクターがリヤパネルから落下しないばかりか、プロテクターが車体後方へ引く力を受けても、プロテクターの係止爪とリヤパネルの延長部端縁との係合によって、プロテクターがリヤパネルから離脱しない。しかもプロテクターの車体側結合部位は、車室内につながっていないため、コストが高い、水密性能を満足させる結合方法を用いる必要がない。
【0019】
また、請求項4の車両後部構造において、リヤバンパーフェイシャーの下部がプロテクターによってリヤパネルと一体化され、リヤバンパーフェイシャーの下部剛性が増大する。
【0020】
また、請求項5の車両後部構造において、リヤバンパーフェイシャーの組み付けは、プロテクターおよびバンパーブラケットをリヤバンパーフェイシャーに組み込んだ後、このアッセンブリーをリヤパネルに取り付ける。このときに、プロテクターはパンパーブラケットによって初期形状を維持させられている。このため、リヤパネルに対するプロテクターの装着位置が変わらず、リヤパネルに対するリヤバンパーフェイシャーの取り付けを簡単におこなえる。
【0021】
【発明の実施の形態1】
この明細書において、全体を通して使用されている前方という語は車両の前方を、前縁は車両の前方を向いた縁部を意味し、同様に、後方という語は車両の前方を、後縁は車両の後方を向いた縁部を意味している。
【0022】
図1ないし図4は本発明の実施の態様1の車両後部構造を示している。
【0023】
この車両後部構造は図1に示すハッチバックタイプの自動車に対するものである。
【0024】
バックドアー11は、車体12の後端にあるドア開口に配置され、上縁部がルーフ13にヒンジ(図示せず)によって取り付けられている。
【0025】
リヤバンパー14はバックドアー11の下部に位置して車両後部に配設されている。このリヤバンパー14は車体12のデザインに合わせて造形されたリヤバンパーフェイシャー15を備えている。なお、参照符号16は、この自動車のリヤクォターパネルを示している。
【0026】
リヤバンパー14の前方には、図2に示すように、リヤパネル21およびリヤフロア22が配置されている。このリヤフロア22の後縁部には上方に起立するフランジ部22Aが形成されている。
【0027】
リヤパネル21は、上下方向および車幅方向に延設され、下縁部がリヤフロア22のフランジ部22Aにスポット溶接によって接合されている。このリヤパネル21は、図3に示すように、下縁部がリヤフロア22の下面よりも下方に延びている。この延長部34には孔35が設けられている。延長部34の下端にはこれを車体前方に向かってL曲げすることによって形成された係止部36を備えている。また、リヤパネル21の前方には、レインフォースリヤパネル23が配置されている。レインフォースリヤパネル23の上縁部はリヤパネル21の上縁部に接合され、下縁部はリヤパネル21の前面に接合されている。リヤパネル21とレインフォースリヤパネル23との間には空間33が形成されている。リヤパネル21とレインフォースリヤパネル23との接合部分にはバックドアー11のシール材24が装着されている。なお、参照符号17はリヤパネル21およびレインフォースリヤパネル23の前方に形成された車室、25は車室17に配設されたフロアカーペット、26はリヤフロア22とフロアカーペット25との間の空間26Aに収容されたスペアタイヤをそれぞれ示している。
【0028】
リヤバンパーフェイシャー15は、合成樹脂成形物からなり、上部が図2に示すようにリテーナー27によってリヤパネル21に保持されている。リヤパネル21とリヤバンパーフェイシャー15との間には空間33が形成され、リヤバンパーフェイシャー15の下部とリヤパネル21との間には開口28が形成されている。
【0029】
リヤバンパーフェイシャー15とリヤパネル21との間には、車幅方向の略中央に配設したエナージアブソーバー29が配置されている。このエナージアブソーバー29は、発泡ウレタン樹脂成形物などからなるもので、車両前方側の端部をリヤパネル21に固定されている。
【0030】
また、リヤパネル21には、ドラフター31が取り付けられている。ドラフター31は、車室17の空気を車体12の外部に排気するためのもので、空間33,37を連通させている。レインフォースリヤパネル23には空間37と車室17とを連通する開口23Aが設けられている。
【0031】
さらに、この車両後部構造では、リヤバンパーフェイシャー15の下部にプロテクター32が配置されている。プロテクター32は、車体12の車幅方向に延設され、リヤバンパーフェイシャー15の下縁部とリヤパネル21の下縁部との間に配置されて、前記空間28を閉塞している。
【0032】
プロテクター32は合成樹脂成形物などからなっている。プロテクター自体は、図3に示すように、上プロテクター部41と、下プロテクター部42と、これらの間に位置する湾曲部43とからなっている。上プロテクター部41はリヤパネル21から車体後方に向かって延びている。湾曲部43は上プロテクター部41から下方に向かって湾曲している。湾曲部43には複数の折曲部が設けられている。この折曲部は湾曲部43の壁を略W字状に曲げることによって形成されている。すなわち、折曲部は、上プロテクター部41の後端から前方に向かって曲げられた第一の曲げ部44Aと、曲げ部44の端部から後方に向かって曲げられた第二の曲げ部44Bと、第二の曲げ部44Bから下方に向かって湾曲して下プロテクター部42に接続する第三の曲げ部44Cとからなっている。下プロテクター部42は、湾曲部43からリヤバンパーフェイシャー15の内面に沿い、且つリヤバンパーフェイシャー15の下縁部に向かって延びた形状となっている。
【0033】
上プロテクター部41の前縁部には水平片45と垂直片46とが一体に設けられている。水平片45は係止部36の下方に配設されていると共に、リヤパネル21の延長部34に対して略直角になっている。垂直片46はリヤパネル21の延長部34と平行に配置されている。垂直片46には先端に向かって先細り形状となるテーパー状の突起47が設けられている。水平片45の前端には係止爪48が設けられている。また、下プロテクター部42の前縁部には保持部49が設けられている。保持部49はプロテクター32の下プロテクター部42の前縁部を車両後方に向かって曲ることで略U字状に形成されている。保持部49を形成する下壁49Aは下方に開いている。
【0034】
このプロテクター32は、突起47をリアパネル延長部34の孔35に係合(嵌合)することによって、上下方向および車幅方向に移動しないようにリヤパネル21に支持されている。しかも、係止爪48は、係止部36の先端に係止されて、突起47が孔35から抜け外れるのを阻止している。なお、上プロテクター部41の垂直片46の上縁部がリヤパネル21に接触している。
【0035】
リヤバンパーフェイシャー15は、上部がリテナー27によってリヤパネル21に支持されていると共に、下縁部がこのようなプロテクター32の保持部49に挟持されている。
【0036】
つぎに、この発明の実施の形態1の作用を説明する。
【0037】
プロテクター32に対するリヤバンパーフェイシャー15の取り付けは、リヤバンパーフェイシャー15の上部をリテーナー27を介してリヤパネル21に支持させると共に、リヤバンパーフェイシャー15の下部をプロテクター32に押し込むことによってなされる。押し込むと、リヤバンパーフェイシャー15の下縁部は下プロテクター部42によって案内されつつ、保持部49に向かって移動し、保持部49を押し拡げ、保持部49に嵌まり込む。嵌まると、リヤバンパーフェイシャー15の下縁部はスプリングバックによって保持部49に挟持される。このときに、プロテクター32は、突起47と孔35との係合によってリヤパネル21からの落下を阻止され、車両後方から力を受けても動かないため、リヤバンパーフェイシャー15の取り付け作業を容易におこなえる。しかも、保持部49を形成する下壁49Aが下方に開いているため、リヤバンパーフェイシャー15の下縁部が多少上下にずれていても保持部49のなかにスムーズにはめ込まれる。そして、リヤバンパーフェイシャー15の下縁部が保持部49に挟持されると、プロテクター32の湾曲部43あるいは折曲部44もしくはこれらの双方が撓んで、リヤバンパーフェイシャー15などの構成部品に製造上のばらつきがあっても、吸収できる。
【0038】
このようにして車体12に組み付けられたリヤバンパーフェイシャー15は、下縁部がプロテクター32によって車体12に結合されているため、下部剛性が高い。さらに、リヤバンパーフェイシャー15の下縁部がリヤフロア22の下面まで延長させずに、騒音や粉塵の侵入を防いでいるため、リヤバンパーフェイシャー15の造形が制約されず、成形性を配慮したリヤバンパーフェイシャー15の設計をおこなえ、車体12のフロア地上高も低下しない。そして、リヤバンパーフェイシャー15はリヤフロア22に孔を開けずに車体12に取り付けられているため、雨水などが車室に浸入しない。
【0039】
車室17の換気は、車室内の空気を、リヤパネル21とレインフォースリヤパネル23との間の空間37、開口23aおよびドラフタ−31を通って、リヤパネル21とリヤバンパー14との間の空間33に排気することによってなされる。空間33に排気された空気はプロテクター32のリヤバンパーフェイシャー15との間の隙間などから外部空間に排気される。このときに、リヤバンパーフェイシャー15の下縁部と車両後部との間の開口28はプロテクター32によって閉塞され、ドラフター31は出口がプロテクター32によって下部を閉塞された空間33に配置されているため、外部騒音や粉塵などが直接ドラフター31を通って車室17の内部に侵入しない。
【0040】
また、自動車が走行すると、後輪が石や砂利を跳ね上げる。しかし、この車両後部構造では、プロテクター32がこれら石や砂利をそらし、リヤパネル21とリヤバンパーフェイシャー15との間の空間33に侵入させないため、リヤバンパーフェイシャー15の傷つきや塗装膜剥がれを生じない。自動車が走行したときに発生する走行風も、プロテクター32によってそらされ、リヤパネル21とリヤバンパーフェイシャー15との間の空間33に巻き込れないため、ドラフター31が走行風によって機能を喪失しない。そして、リヤバンパーフェイシャー15が軽い衝撃を受けても、たとえば物などにぶつかっても、プロテクター32の湾曲部43あるいは折曲部44もしくはこれらの双方が変形して、衝撃を吸収するため、衝撃を車体12に伝達しない。
【0041】
【発明の実施の形態2】
図5は本発明の実施の形態2の車両後部構造を示している。
【0042】
この車両後部構造もハッチバックタイプの自動車に対するものである。
【0043】
リヤパネル121は下縁部がスポット溶接によってリヤフロア122に接合されている。そして、発明の実施の形態1と同様に、リヤパネル121の前面には図示を省略されたレインフォースリヤパネルが接合されている。リヤバンパーフェイシャー115は、発明の実施の形態1と同様に、バンパーステーおよびリテーナーによって、図示を省略された上部をリヤパネル121に支持されている。車室内の空気を排気するドラフターも、図示されていないが、リヤパネル121の図示を省略された上部に配置されている。このドラフターは、入口をリヤパネル121とレインフォースリヤパネルとの間の空間に、出口をリヤバンパーフェイシャー115とリヤパネル121との間の空間133にそれぞれ臨ませて、リヤパネル121に配置されている。
【0044】
この車両後部構造においても、リヤバンパーフェイシャー115は下部がプロテクター132によってリヤパネル121に結合されており、孔115Aが設けられている。しかし、リヤバンパーフェイシャー115にはバンパーブラケット134が組み込まれている。
【0045】
プロテクター132は上プロテクター部141と下プロテクター部142とこれらの間に位置する湾曲部141とからなっている。上プロテクター部141は、後斜め方向に延びる後傾斜部141Aと、後傾斜部141Aの前端から上方に延びるプロテクタ支持部141Bと、プロテクター支持部141Bの上端から前方に傾斜して延設された前傾斜部141Cとを有している。湾曲部143は折曲部を有している。この折曲部は湾曲部143を上プロテクター部142の下部から車体後方に向かって略W字形に曲げることによって形成されている。すなわち、折曲部は、上プロテクター部141の下端から後方に向かって曲げられた第一の曲げ部144Aと、第一の曲げ部144Aの端部から前方に向かって曲げられた第二の曲げ部144Bと、第二の曲げ部144Bから後方に向かって曲げられた第三の曲げ部144Cとからなっている。下プロテクター部142は湾曲部143の第三の曲げ部144Cからリヤバンパーフェイシャー115の内面形状に沿って配設されていると共に、車体前方に向かって曲がっている。下プロテクター部142の前縁部には孔142Aおよび係止爪148が設けられている。このプロテクター132は、上プロテクター部141にある前傾斜部141Cがリヤパネル121の後面に接触し、下プロテクター部142がリヤバンパーフェイシャー142の下縁部に接触している。
【0046】
バンパーブラケット134は、断面が略J形をなす部材からなり、下縁部付近に孔135が設けられている。このバンパーブラケット134は、上端がプロテクター132の上プロテクター部141にあるプロテクター支持部141Bの内面に接触し、下端がプロテクター132の下プロテクター部142にある係止爪148に当接している。
【0047】
クリップ147は孔115A,142A,135に挿入され、プロテクター132の下プロテクター部142、リヤバンパーフェイシャー115およびバンパーブラケット134を一体に締結している。
【0048】
つぎに、この実施の形態2の作用を説明する。
【0049】
バンパーブラケット134に対するプロテクター132およびバンパーブラケット134の組み込みは、たとえば、プロテクター132の下プロテクター部142をリヤバンパーフェイシャー115の下部内面に載せ、バンパーブラケット134の上部をプロテクター132の上プロテクター部141の前面に当て、リヤバンパーフェイシャー115の孔115A、プロテクター132の孔142Aおよびバンパーブラケット134の孔135にクリップ147を差し込みむことによってなされる。組み込まれると、バンパーブラケット134は、下端がプロテクター132の係止爪148に当たり、上端がプロテクター132の上プロテクター部141の前面に圧着される。プロテクター132は湾曲部143および折曲部144A〜114Cをもつにもかかわらず、バンパーブラケット134によって、保形された状態にてリヤバンパーフェイシャー115の所定位置に配置される。
【0050】
車体に対するこのアッセンブリーの装着は、図1ないし図4に関連して記載した車両後部機構と同様にして、リヤバンパーフェイシャー115の上部をリテーナーによってリヤパネル121に取り付けると共に、リヤバンパーフェイシャー115の下部をリヤパネル121に押し込むことによってなされる。押し込むと、プロテクター132の上縁部はリヤパネル121に圧接される。プロテクター132の下縁部はリヤバンパーフェイシャー115に締結されているため、車両後部との間にある開口128はプロテクター132およびバンパーブラケット134によって閉塞される。このときに、プロテクター132はバンパーブラケット134によって保形され、リヤパネル121に対する取り付け位置が変わないため、プロテクター132の位置や形状などを修正することなしに、リヤバンパーフェイシャー115の装着をおこなえる。
【0051】
リヤバンパーフェイシャー115が車体に取り付けられると、リヤバンパーフェイシャー115の下部はプロテクター132によって閉塞されているため、外部騒音や粉塵がドラフターを通じて車室内部に侵入しない。さらに、自動車が走行し、後輪が石などを跳ね上げても、プロテクター132およびバンパーブラケット134がこれらをそらし、リヤバンパーフェイシャー115の傷付き、塗装膜の剥がれを生じない。走行風もプロテクター132およびバンパーブラケット134がそらすため、ドラフターの機能を喪失させない。さらに、リヤバンパーフェイシャー115が外部から衝撃を受けても、プロテクター132の湾曲部143が撓んで衝撃を吸収し、これを車体に伝達せず、たとえ伝達してもこれを最小にすることができる。
【0052】
そして、この車両後部構造も、図1ないし図4に関連して記載した車両後部機構と同様に、リヤバンパーフェイシャー115は孔を空けることなしにリヤフロア122に取り付けられているため、雨水などが車室に浸入しない。リヤバンパーフェイシャー115の下縁部はリヤフロア122の下まで延びていないため、リヤバンパーフェイシャー115のデザインが制約されず、成形性を配慮したリヤバンパーフェイシャー115の設計をおこなえ、車体フロアの地上高も制限しない。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、外部騒音や車外騒音が車室内に侵入しないばかりか、リヤバンパーフェイシャーのデザインおよび成形を容易におこなえ、リヤバンパーフェイシャーを後輪の巻き上げた石などによって損傷せず、ドラフターの機能がつねに維持される車両後部構造が得られる。
また、リヤバンパーフェイシャーに入る衝撃入力を吸収し、車体への入力を抑えた車両後部構造が得られる。
しかも、リヤバンパーフェイシャーやプロテクターなどの製造上のばらつきを吸収することができる車両後部構造が得られる。
【0054】
請求項2の発明によれば、プロテクターがリヤパネルから外れず、リヤバンパーフェイシャーの組み付け作業を容易におこなえる。
【0056】
請求項3の発明によれば、プロテクターが車体の上方および後方へ引く力を入力されても、プロテクターがリヤパネル延長部から外れず、プロテクターをリヤパネルに装着するための部品を特別用意しなくてもよいため、リヤパネルに対するプロテクターの組み付けを容易におこなうことができ、組み立て作業性が向上し、組み立てコストも低減する車両後部構造が得られる。
【0057】
請求項4の発明によれば、リヤバンパーフェイシャー下部の剛性が高いため、バンパーブラケットのようなリヤバンパーフェイシャーの下部剛性を確保する部材を必要とせず、シンプル且つ安価に製造することができる車両後部構造が得られる。
【0058】
請求項5の発明によれば、リヤバンパーフェイシャーの組み付け作業を簡単におこなうことができる車両後部構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両後部構造の一実施例を備える車両の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿う縦断面図である。
【図3】図2に示す車両後部構造におけるプロテクター付近の拡大断面図である。
【図4】図2に示す車両後部構造の分解斜視図である。
【図5】本発明の車両後部構造の他の実施例を示すプロテクター付近の拡大断面図である。
【図6】従来の車両後部構造の構成を示す説明図である。
【図7】従来の車両後部構造の他の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
15,115…リヤバンパーフェイシャー
17…車室
21,121…リヤパネル
22,122…リヤフロア
31…ドラフター
32,132…プロテクター
41,141…上プロテクター部
42,142…下プロテクター部
43,143…湾曲部
44A〜44C,144A〜144C…折曲部
34…リヤパネルの延長部
35…係止孔
47…突起
48,148…係止爪
49…保持部
134…バンパーブラケット
147…固定手段
Claims (5)
- 車両後部に位置するリヤフロアと、前記リヤフロアの後縁部に一体に設けられ且つ上方に延びるリヤパネルと、前記リヤパネルを覆い且つリヤパネルに支持されたリヤバンパーフェイシャーと、前記リヤパネルと前記リヤバンパーフェイシャーとの間に位置して前記リヤパネルに装着され且つ車室内の空気を外部空間に排気するドラフターとを備え、前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部と前記車両後部との間に開口が形成されている車両後部構造であって、前記リヤパネルの下縁部と前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部との間に前記開口を閉塞するプロテクターが介装され、該プロテクターは前記リヤバンパーフェイシャーからの入力荷重によって変形可能な湾曲部を有し、該湾曲部には衝撃吸収用の複数の折曲部が形成されていることを特徴とする車両後部構造。
- 前記プロテクターは、前記リヤパネルから後方に向けて延設されて前記湾曲部につながる上プロテクター部と、前記湾曲部から前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部まで延びる下プロテクター部と、該下プロテクター部の前縁部に設けられ且つ前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部を保持する保持部とを備える請求項1に記載の車両後部構造。
- 前記リヤパネルには前記リヤフロアよりも下方に延びる延長部が設けられ、該延長部には係止孔が設けられていると共に、該係止孔に係合する突起が前記プロテクターの上縁部に設けられ、前記リヤパネルの延長部に係合し且つ前記突起の前記係止孔からの抜け外れを阻止する係止爪が前記プロテクターの上縁部に設けられている請求項1または請求項2に記載の車両後部構造。
- 前記プロテクターの前記湾曲部から前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部まで延びる下プロテクター部は、該下プロテクター部の前縁部に設けられ且つ前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部を保持する保持部により前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部に固定されている請求項2または請求項3に記載の車両後部構造。
- 前記リヤバンパーフェイシャーの下縁部から前記リヤパネル側に向けて延びるブラケットが設けられ、前記ブラケットの下縁部と前記バンパーフェイシャーの下縁部との間に前記プロテクターの下縁部が介装されていると共に、前記ブラケットの下縁部、前記バンパーフェイシャーの下縁部および前記プロテクターの下縁部が固定手段により一体に固定され、前記ブラケットの下縁部を係止する係止爪が前記プロテクターの下縁部に設けられている請求項1に記載の車両後部構造。
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