JP5482482B2 - フロントウインド支持構造 - Google Patents
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Description
すなわち、図8に示すように、エンジンルーム71と車室72とを前後方向に仕切るダッシュロアパネル73を設け、このダッシュロアパネル73の上端部には、カウルパネル74とダッシュアッパパネル75とを配設し、これら両者74,75間には車幅方向に延びるカウル閉断面76を形成すると共に、このカウル閉断面76を構成するカウルパネル74の上部に、接着剤77を用いてフロントウインドガラス78を取付けたものである。
つまり、フロントウインドガラス78は剛性が高いカウル閉断面76で支持されているので、上方からの衝撃荷重の入力に対して充分な衝撃吸収性能が得られない問題点があった。
このような問題点を解決し、車両と歩行者との接触時における歩行者保護を図るためには、図9に示すような、オープンカウル構造が考えられる。
しかしながら、図9に示す従来構造においては、フロントウインドガラス89の下端部がオープンカウル構造で支持されているので、車両走行時にフロントウインドガラス89の先端の振動に起因してフロントウインドガラス全体が太鼓膜のように振動し、車室内騒音が発生する問題点があった。
特許文献1に開示された構造は、カウルアウタパネルの前端部とカウルインナパネルの下部壁とを、複数のブレースによって車両上下方向に連結し、この連結構造によりブレースの配設部位ではNV性能確保のための閉断面を形成し、さらに、上記カウルインナパネルの下部側に第1折れ部を設定すると共に、ブレースの中間部に第2折れ部を設定し、かつ上記閉断面の寸法関係および角度の関係を特異に設定して、衝突時に該閉断面が前後に開きながら車両上下方向に重なるように潰れていく構造と成したものである。
上述の支持部材は、車幅方向の必要最小限の幅を有すると共に、複数の支持部材が車幅方向に所定の間隔を隔てて配設されることが望ましい。
要するに、簡単な構成で、厳密な寸法設定や角度設定が不要であるうえ、レインフォースメントを屈曲させる別手段も必要とすることなく、NV性能の確保と歩行者保護性能の確保との両立を図ることができる。
上述の所定荷重入力により解除される構成は、フロントウインド部材の上面と支持部材の上端部とを接着剤で取付ける構造を採用する場合には、接着剤が所定荷重入力で剥がれるように構成するとよい。
上記構成によれば、ダッシュアッパパネルに(前低後高状に傾斜する)上述の傾斜面部を設けて、この傾斜面部に支持部材の下端部を取付けるように成したので、該支持部材の取付けは、車両前方から斜め後方下方へ向けて取付けを行なうことになり、組付け性の向上を図ることができる。
また、上記支持部材の取付け姿勢が前高後低状の前傾状態であるから、フロントウインド部材に上方から荷重が入力された際、該フロントウインド部材の下動により上記支持部材を前方へ倒す作用を助長することができ、より一層良好な歩行者保護性能の確保を図ることができる。
上述の変形促進部は、支持部材の折れ曲がりの起点または座屈起点となる角部であってもよく、支持部材の変形を促進する脆弱部であってもよい。
上記構成によれば、上方からの荷重入力時に上記変形促進部により支持部材の変形が促進されて容易となるので、衝撃吸収性能のさらなる向上を図ることができる。
上記構成によれば、支持部材の下方への付勢により、該支持部材を介してフロントウインド部材の下端部上面に付勢力が作用するので、車両走行時における該フロントウインド部材の振動をより一層良好に抑制して、NV性能のさらなる向上を図ることができる。
図面はフロントウインド支持構造を示し、図1は該フロントウインド支持構造を備えた車両前部の斜視図、図2はフロントウインド支持構造を示す概略斜視図、図3は図2のA−A線矢視断面図である。
さらに、図3に示すうように、エンジンルーム5と車室6とを前後方向に仕切るダッシュパネル7を設けている。このダッシュパネル7は上側に位置するダッシュアッパパネル8と、下側に位置するダッシュロアパネル9とを備えている。
また、上述のダッシュアッパパネル8は、図3に示すように、その前後方向の中間部に上記取付け片9cに溶接固定される取付け片8aと、この取付け片8aの後端から上方に立上がる立上り片8bと、この立上り片8bの後端から後方に延びる取付け片8cと、上述の取付け片8aの前端から車両前方に延びる延出片8dとを有し、この延出片8dの基部には、前方斜め下方へ傾斜、つまり前低後高状に傾斜する傾斜面部8eが一体形成されている。ここで、該傾斜面部8eの傾斜角度は、後述する支持部材16の組付け性を考慮して鋭角に設定される。
このカウルパネル11も車幅方向の略全幅にわたって延びるパネル部材であって、該カウルパネル11はその前側上部に位置するウインド支持部11aと、後側下部に位置する取付け片11bとを備えており、この取付け片11bをダッシュアッパパネル8の取付け片8cに溶接固定することで、カウルパネル11をダッシュアッパパネル8に取付けたものである。
しかも、上述のカウルパネル11と、ダッシュアッパパネル8とで、車両前方に開口を有する開断面13を形成している。
この支持部材16は、図2に示すように、車幅方向に所定の間隔を隔てて複数設けられている。この実施例では、図2に示すように、車幅方向の中央に位置する支持部材16と、車幅方向の左側中間部に位置する支持部材16と、車幅方向の右側中間部に位置する支持部材16とを用いているが、該支持部材16の配置数量はこの実施例のものに限定されるものではない。
そして、この支持部材16の上端部16bは、フロントウインドガラス10の傾斜下端部の上面と当接状態で設けられており、この当接状態が上方からの所定荷重入力により、解除されるように構成されている。
この支持部材16は、フロントウインドガラス10とカウルパネル11との組付け後において、ダッシュパネル7に取付けられるものであって、この支持部材16の組付けに際しては、まず、図4に示すように、該支持部材16の上端部16bをフロントウインドガラス10の傾斜下端部の上面に引掛け、次に、図4に矢印aで示す下向きのテンションをもたせた状態で、ボルト19を用いて、支持部材16の下端部16cをダッシュアッパパネル8の傾斜面部8eにボルト止め固定するものである。
なお、図2において、20はボンネット用のヒンジブラケットであり、また、図中、矢印Fは車両前方を示す。
図3に示すように、支持部材16でフロントウインドガラス10の下端部をその上面から支持しており、また、該フロントウインドガラス10は支持部材16の上端部16bとカウルパネル11のウインド支持部11aとの間で挟持されているので、車両走行時において該フロントウインドガラス10先端の揺れを防止し、この振動抑制によりNV性能を確保することができる。
要するに、複数の支持部材16はフロントウインドガラス10をその下方から突っ張ることがないので、上方からの荷重入力に際して、該歩行者の保護を有効に行なうことができるものである。
要するに、簡単な構成でありながら、厳密な寸法設定や角度設定が不要であるうえ、レインフォースメントを屈曲させる別手段も必要とすることなく、NV性能の確保と歩行者保護性能の確保との両立を図ることができる。
この構成によれば、上方からの所定荷重入力により、フロントウインドガラス10の下端部の上面と、支持部材16の上端部との当接状態が図5に示すように解除されるので、上方からの荷重受け時に上記支持部材16が歩行者保護性能を阻害しないので、歩行者保護を有効に行なうことができる。
この構成によれば、ダッシュパネル7に上述の傾斜面部8eを設けて、この傾斜面部8eに支持部材16の下端部16cを取付けるように成したので、該支持部材16の取付けは、車両前方から斜め後方下方へ向けて取付けを行なうことになり、組付け性の向上を図ることができる。
この構成によれば、上記支持部材16は前高後低状の前傾状態で取付けられることになり、空調用の空気を取込む際に重要となる断面積を可及的広く確保することができる。特に、車幅方向の長さが長い支持部材16を用いる場合には有効となる。
この構成によれば、上方からの荷重入力時に上記変形促進部(角部16d参照)により支持部材16の変形が促進されて容易となるので、衝撃吸収性能のさらなる向上を図ることができる。
この構成によれば、支持部材16の下方への付勢(図4の矢印a方向のテンション参照)により、該支持部材16を介してフロントウインドガラス10の下端部上面に付勢力が作用するので、車両走行時における該フロントウインドガラス10の振動をより一層良好に抑制して、NV性能のさらなる向上を図ることができる。
また、上述のカウルパネル11とダッシュパネル7を形成するダッシュアッパパネル8とで、車両前方に開口を有する開断面13を形成し、この開断面13の開口前方において上下方向に延設されてフロントウインドガラス10の下端上面に延びて該フロントウインドガラス10の下端部をその上面から支持することによりフロントウインドガラス10の振動を抑制する支持部材16を設けている。
このように構成した実施例2のフロントウインド支持構造の作用を、以下に説明する。
この構成によれば、支持部材16でフロントウインドガラス10の下端部をその上面から支持しているので、車両走行時におけるフロントウインドガラス10先端の揺れを防止し、この振動抑制によりNV性能を確保することができる。
要するに、簡単な構成でありながら、厳密な寸法設定や角度設定が不要であるうえ、レインフォースメントを屈曲させる別手段も必要とすることなく、NV性能の確保と歩行者保護性能の確保との両立を図ることができる。
この発明のフロントウインド部材は、実施例のフロントウインドガラス10に対応し、
以下同様に、
変形促進部は、角部16dまたはビード16fに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
6…車室
7…ダッシュパネル
8…ダッシュアッパパネル
8e…傾斜面部
9…ダッシュロアパネル
10…フロントウインドガラス(フロントウインド部材)
11…カウルパネル
13…開断面
16…支持部材
16b…上端部
16c…下端部
16d…角部(変形促進部)
16f…ビード(変形促進部)
Claims (6)
- フロントウインド部材を車室内側から支持するカウルパネルと、
エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネルと、を備えたフロントウインド支持構造であって、
上記カウルパネルと上記ダッシュパネルとで、車両前方に開口を有する開断面を形成し、
該開断面の開口前方にて上下方向に延設されフロントウインド部材の下端上面に延びて該フロントウインド部材の下端部をその上面から支持することによりフロントウインド部材の振動を抑制する支持部材を設けたことを特徴とする
フロントウインド支持構造。 - 上記支持部材の上端部がフロントウインド部材下端部の上面と当接状態で設けられ、
該当接状態が上方からの所定荷重入力により解除されるように構成された
請求項1記載のフロントウインド支持構造。 - 上記ダッシュパネルは、ダッシュアッパパネルとダッシュロアパネルとから構成され、
上記支持部材はダッシュアッパパネルから上方に延出されており、
上記ダッシュアッパパネルに前方斜め下方へ傾斜する傾斜面部を設け、
該傾斜面部に上記支持部材の下端部を取付ける
請求項1または2記載のフロントウインド支持構造。 - 上記支持部材は略直線状に形成され、
該支持部材上端部のフロントウインド部材への取付け位置が、該支持部材下端部のダッシュパネルへの取付け位置よりも車両前方に位置する
請求項1〜3の何れか1に記載のフロントウインド支持構造。 - 上記略直線状の支持部材には変形促進部が形成された
請求項4記載のフロントウインド支持構造。 - 上記支持部材の上端部は下方へ付勢された状態で取付けられている
請求項1〜5の何れか1に記載のフロントウインド支持構造。
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