JP3962975B2 - 自動車用シートのスライドレールの構造 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用シートのスライドレールの構造に関するものであり、更に詳しくは、スライドレールとシートクッションとの取付構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
一対のスライドレールを平行に車両フロアに取付けて、このスライドレールに自動車用シートを取付ける場合に、自動車用シートのシートクッションに対するスライドレールの取付は、クッションフレームの側面に取付ける方法や、クッションフレームの下面に取付ける方法等がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
シートベルト用のバックルが取付けられるインナー側のスライドレールには、シートに作用する荷重のほかに、シートベルトを通じてバックルに加わる荷重をも受けるため、アウター側のスライドレールよりも強度が必要とされている。本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、強度の向上を実現できる自動車用シートのスライドレールの構造を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自動車用シートのスライドレールの構造は、かかる課題を解決するためになされたものであり、自動車シートのシートクッションを車両フロアに対して摺動可能に保持するスライドレールであって、車両側壁側に配置されるアウターレールと、車両中央側に配置されるインナーレールとを備え、前記アウターレールおよび前記インナーレールは、それぞれ、前記シートクッション側に取付けられるアッパーレールと、車両フロアに取付けられるロアレールとで構成され、前記ロアレールは、その上面に長手方向に延在する溝（１６ａ）を備え、前記アッパーレールは、前記ロアレールの内部に摺動可能に係合する基部（１０ｂ）と該基部の中央から前記溝を通じて上方に立設された縦壁部（１０ａ）とを備えている、自動車用シートのスライドレールの構造において、
前記インナーレールのアッパーレール（１０）は、車両前後方向の後端部における前記縦壁部から上方に立設された第１ブラケット（７ａ）と、前記縦壁部から内側側方に向けて略水平に延設された第２ブラケット（７ｂ）とを備え、前記第１ブラケットが、前記シートクッションのクッションフレーム（３ａ）の側面に固定されるとともに、前記第２ブラケットが、前記クッションフレームの底面に固定されることにより、前記クッションフレームが前記アッパーレールに取付けられ、かつ、前記第１ブラケットの車両前後方向前方に隣接した前記アッパーレールの前記縦壁部（１０ａ）にシートベルト用のバックル（１２）が取付けられていることを特徴とする。
【０００５】
前記第２ブラケットは、前記縦壁部の内側面に重合する基部と、該基部の上端縁から内側側方に延出した前記クッションフレーム底面への取付部とで、車幅方向の断面が倒Ｌ字状に形成される一方、前記第１ブラケットは、前記縦壁部の外側面に重合する基部を備えており、前記第１ブラケットの基部と前記第２ブラケットの基部とが、前記縦壁部を間に挟んだ状態で、該縦壁部に共通の固定具（１１）で固定されている。
【０００６】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る自動車用シートのスライドレールの構造の実施の形態について図面に基づいて説明する。本発明の第１の実施形態に係る自動車用シートのスライドレールの構造について図１乃至図６を用いて説明する。
【０００７】
図１に示すように、自動車用シート１は、主に乗員の上体を支えるシートバック２と、乗員の下肢を支えるシートクッション３とを備えている。シートクッション３と車両フロアとの間にはスライドレール４を配設してあり、このスライドレール４により車両フロアに対してシートクッション３が摺動可能となっている。このスライドレール４は、車両側壁側に配置されるアウターレール５と車両中心側に配置されるインナーレール７とからなり、車幅方向に延びるレバー６により連動可能に連結されている。アウターレール５とインナーレール７はそれぞれ、シートクッション３側に取付けるアッパーレール１０と車両フロアに取付けるロアレール１６とを備えている。ロアレール１６は、後側フロア取付部１４と前側フロア取付部１５で車両フロアに取付けられている。
【０００８】
図２に示すように、インナーレール７の後部（同図における奥側）において、シートクッション３の構造部材であるクッションフレーム３ａの側面には側部取付用ナット３ｂが１個所設けられ、クッションフレーム３ａの下面には下部取付用ナット３ｃが２個所設けられている。また、インナーレール７の後部には、側部取付ブラケット７ａが上方に延在するように立設され、この側部取付ブラケット７ａの内側側面から略水平方向に延在するように下部取付ブラケット７ｂが立設されている。したがって、インナーレール７の側部取付ブラケット７ａと下部取付ブラケット７ｂとにより形成される略Ｌ字形状の取付部に、クッションフレーム３ａを合せた後に、ボルト８、９により側部取付ブラケット７ａと側部取付用ナット３ｂを螺合し、かつ下部取付ブラケット７ｂと下部取付用ナット３ｃを螺合することにより、インナーレール７をシートクッション３に固定する。インナーレール７の側部取付ブラケット７ａ付近の前方（同図における手前側）には、バックル取付用ナット７ｃが設けられている。
【０００９】
図３又は図４に示すように、側部取付ブラケット７ａと下部取付ブラケット７ｂは、その間にアッパーレール１０を挟持した状態でカシメピン１１を挿通してカシメることにより固定されている。また、図３に示すように、側部取付ブラケット７ａの前方に設けられたバックル取付用ナット７ｃには、バックル１２がボルト１３により固定される。このように、インナーレール７は、図４に示すようにクッションフレーム３ａに固定される。
【００１０】
図５に示すように、バックル１２の取付部の後方に異なる２方向の取付部として、側部取付ブラケット７ａと下部取付ブラケット７ｂが配置される。
【００１１】
本実施形態は、以上のような構造を採用するため、次に示すような作用を有する。乗員に前方への荷重がかかった場合にはシートベルトが前方に引張られ、図６に示すように、矢印Ｆの方向への荷重がバックル１２に加わり、従来ではその荷重が、主にインナーレールの後側フロア取付部１４を通して車両フロアに分散されていたが、本実施形態の構造によれば、２方向のクッションフレーム３ａへの取付により、インナーレール７に取付けたバックル１２からの荷重をクッションフレーム３ａへ確実に分散させることができるため、さらにクッションフレーム３ａからアウターレール５へと荷重を伝達させ、スライドレール４の全体、すなわちアウターレール５とインナーレール７の両方でバックル１２に加わる荷重を受けることができる。
【００１２】
また、後部取付ブラケット７ａ及び下部取付ブラケット７ｂがバックル１２よりも後方に設けられていることから、バックル１２に作用する前方斜め上方（矢印Ｆの方向）の荷重に対して、効果的に強度を高めることができる。
【００１３】
また、図４に示すように、側部取付ブラケット７ａと下部取付ブラケット７ｂを共通のカシメにより２枚重ねのアッパーレール１０に固定したため、取付部が４枚重ねとなり、各ブラケットの取付強度をより向上させることができる。また、側部取付ブラケット７ａと下部取付ブラケット７ｂのそれぞれにおいて、アッパーレール１０への取付具を設けた場合に比べて、部品点数及び加工工数を削減することが可能となる。
【００１４】
さらに側部取付ブラケット７ａと下部取付ブラケット７ｂとが互いに略直角な面により角部を形成することから、この角部にクッションフレーム３ａを載置すれば、クッションフレーム３ａの車幅方向の取付位置を規制することができ、組付け性を向上させることができる。
【００１５】
以上のように、本実施形態の構成によれば、インナー側のスライドレール４のバックル１２が取付けられる付近のクッションフレーム３ａへの取付を、異なる２方向の取付けにすることにより、バックル１２に入力される荷重をクッションフレーム３ａに効果的に分散させ、スライドレール４の強度を向上させることができる。また、部品点数や加工工数を増やすことなく、強度が高く、組付け性が良いスライドレール４のクッションフレーム３ａへの取付けを得ることが可能となる。
【００１６】
なお、本実施形態では、側部取付ブラケット７ａの固定を１個所、下部取付ブラケット７ｂの固定を２個所としたが、各個所の固定の数は必要な強度に応じて変更可能である。
【００１７】
【発明の効果】
本発明に係る自動車用シートのスライドレールの構造は、自動車シートのシートクッションを車両フロアに対して摺動可能に保持するスライドレールであって、車両側壁側に配置されるアウターレールと、車両中央側に配置されるインナーレールとを備え、前記アウターレールおよび前記インナーレールは、それぞれ、前記シートクッション側に取付けられるアッパーレールと、車両フロアに取付けられるロアレールとで構成され、前記ロアレールは、その上面に長手方向に延在する溝（１６ａ）を備え、前記アッパーレールは、前記ロアレールの内部に摺動可能に係合する基部（１０ｂ）と該基部の中央から前記溝を通じて上方に立設された縦壁部（１０ａ）とを備えている、自動車用シートのスライドレールの構造において、前記インナーレールのアッパーレール（１０）は、車両前後方向の後端部における前記縦壁部から上方に立設された第１ブラケット（７ａ）と、前記縦壁部から内側側方に向けて略水平に延設された第２ブラケット（７ｂ）とを備え、前記第１ブラケットが前記シートクッションのクッションフレーム（３ａ）の側面に固定されるとともに、前記第２ブラケットが前記クッションフレームの底面に固定されることにより、前記クッションフレームが前記アッパーレールに取付けられ、かつ、前記第１ブラケットの車両前後方向前方に隣接した前記アッパーレールの前記縦壁部にシートベルト用のバックル（１２）が取付けられているので、クッションフレームに作用する荷重を、相互に異なる２方向に延在する第１及び第２のブラケットから確実にスライドレール本体に分散させることができる。したがって、一方のスライドレール本体からクッションフレームへ、またクッションフレームから他方のスライドレール本体へと荷重を伝達させることができ、両方のスライドレール本体の全体でシートクッションに作用する荷重を受けることができる。
【００１８】
さらに、第１及び第２のブラケットによりクッションフレームを確実に固定することができるので、スライドレール本体とシートクッションとの取付け強度を高めることができ、また、第１及び第２のブラケットにより、クッションフレームの車幅方向の取付位置が規制され、組付け性を向上させることができる。また、前記第１ブラケットの車両前後方向前方に隣接して、前記アッパーレールの前記縦壁部（１０ａ）にシートベルト用のバックル（１２）が取付けられているので、前記バックルに作用する斜め前上方の荷重に対して効果的に強度を高めることができる。
【００１９】
前記第２ブラケットは、前記縦壁部の内側面に重合する基部と、該基部の上端縁から内側側方に延出した前記クッションフレーム底面への取付部とで、車幅方向の断面が倒Ｌ字状に形成される一方、前記第１ブラケットは、前記縦壁部の外側面に重合する基部を備え ており、前記第１ブラケットの基部と前記第２ブラケットの基部とが、前記縦壁部を間に挟んだ状態で、該縦壁部に共通の固定具（１１）で固定されている態様では、固定具として別部材を用いる場合に比し部品点数及び加工工数を削減することができるとともに、第１及び第２のブラケットのそれぞれの取付強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係る自動車用シートのスライドレールの構造を適用したシートの斜視図である。
【図２】図１に示した自動車用シートのスライドレールの構造を部分的に表す斜視図である。
【図３】図２の矢印IIIによる矢視図である。
【図４】図２の矢印IVによる矢視図である。
【図５】図２の矢印Vによる矢視図である。
【図６】図１に示したシートの側面図である。
【符号の説明】
１ 自動車用シート
２ シートバック
３ シートクッション
３ａ クッションフレーム
３ｂ 側部取付用ナット
３ｃ 下部取付用ナット
４ スライドレール
５ アウターレール
６ レバー
７ インナーレール
７ａ 側部取付ブラケット
７ｂ 下部取付ブラケット
７ｃ バックル取付用ナット
８、９ ボルト
１０ アッパーレール
１１ カシメピン
１２ バックル
１３ ボルト
１４ 後側フロア取付部
１５ 前側フロア取付部
１６ ロアレール
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用シートのスライドレールの構造に関するものであり、更に詳しくは、スライドレールとシートクッションとの取付構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
一対のスライドレールを平行に車両フロアに取付けて、このスライドレールに自動車用シートを取付ける場合に、自動車用シートのシートクッションに対するスライドレールの取付は、クッションフレームの側面に取付ける方法や、クッションフレームの下面に取付ける方法等がある。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
シートベルト用のバックルが取付けられるインナー側のスライドレールには、シートに作用する荷重のほかに、シートベルトを通じてバックルに加わる荷重をも受けるため、アウター側のスライドレールよりも強度が必要とされている。本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、強度の向上を実現できる自動車用シートのスライドレールの構造を提供することを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る自動車用シートのスライドレールの構造は、かかる課題を解決するためになされたものであり、自動車シートのシートクッションを車両フロアに対して摺動可能に保持するスライドレールであって、車両側壁側に配置されるアウターレールと、車両中央側に配置されるインナーレールとを備え、前記アウターレールおよび前記インナーレールは、それぞれ、前記シートクッション側に取付けられるアッパーレールと、車両フロアに取付けられるロアレールとで構成され、前記ロアレールは、その上面に長手方向に延在する溝（１６ａ）を備え、前記アッパーレールは、前記ロアレールの内部に摺動可能に係合する基部（１０ｂ）と該基部の中央から前記溝を通じて上方に立設された縦壁部（１０ａ）とを備えている、自動車用シートのスライドレールの構造において、
前記インナーレールのアッパーレール（１０）は、車両前後方向の後端部における前記縦壁部から上方に立設された第１ブラケット（７ａ）と、前記縦壁部から内側側方に向けて略水平に延設された第２ブラケット（７ｂ）とを備え、前記第１ブラケットが、前記シートクッションのクッションフレーム（３ａ）の側面に固定されるとともに、前記第２ブラケットが、前記クッションフレームの底面に固定されることにより、前記クッションフレームが前記アッパーレールに取付けられ、かつ、前記第１ブラケットの車両前後方向前方に隣接した前記アッパーレールの前記縦壁部（１０ａ）にシートベルト用のバックル（１２）が取付けられていることを特徴とする。
【０００５】
前記第２ブラケットは、前記縦壁部の内側面に重合する基部と、該基部の上端縁から内側側方に延出した前記クッションフレーム底面への取付部とで、車幅方向の断面が倒Ｌ字状に形成される一方、前記第１ブラケットは、前記縦壁部の外側面に重合する基部を備えており、前記第１ブラケットの基部と前記第２ブラケットの基部とが、前記縦壁部を間に挟んだ状態で、該縦壁部に共通の固定具（１１）で固定されている。
【０００６】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る自動車用シートのスライドレールの構造の実施の形態について図面に基づいて説明する。本発明の第１の実施形態に係る自動車用シートのスライドレールの構造について図１乃至図６を用いて説明する。
【０００７】
図１に示すように、自動車用シート１は、主に乗員の上体を支えるシートバック２と、乗員の下肢を支えるシートクッション３とを備えている。シートクッション３と車両フロアとの間にはスライドレール４を配設してあり、このスライドレール４により車両フロアに対してシートクッション３が摺動可能となっている。このスライドレール４は、車両側壁側に配置されるアウターレール５と車両中心側に配置されるインナーレール７とからなり、車幅方向に延びるレバー６により連動可能に連結されている。アウターレール５とインナーレール７はそれぞれ、シートクッション３側に取付けるアッパーレール１０と車両フロアに取付けるロアレール１６とを備えている。ロアレール１６は、後側フロア取付部１４と前側フロア取付部１５で車両フロアに取付けられている。
【０００８】
図２に示すように、インナーレール７の後部（同図における奥側）において、シートクッション３の構造部材であるクッションフレーム３ａの側面には側部取付用ナット３ｂが１個所設けられ、クッションフレーム３ａの下面には下部取付用ナット３ｃが２個所設けられている。また、インナーレール７の後部には、側部取付ブラケット７ａが上方に延在するように立設され、この側部取付ブラケット７ａの内側側面から略水平方向に延在するように下部取付ブラケット７ｂが立設されている。したがって、インナーレール７の側部取付ブラケット７ａと下部取付ブラケット７ｂとにより形成される略Ｌ字形状の取付部に、クッションフレーム３ａを合せた後に、ボルト８、９により側部取付ブラケット７ａと側部取付用ナット３ｂを螺合し、かつ下部取付ブラケット７ｂと下部取付用ナット３ｃを螺合することにより、インナーレール７をシートクッション３に固定する。インナーレール７の側部取付ブラケット７ａ付近の前方（同図における手前側）には、バックル取付用ナット７ｃが設けられている。
【０００９】
図３又は図４に示すように、側部取付ブラケット７ａと下部取付ブラケット７ｂは、その間にアッパーレール１０を挟持した状態でカシメピン１１を挿通してカシメることにより固定されている。また、図３に示すように、側部取付ブラケット７ａの前方に設けられたバックル取付用ナット７ｃには、バックル１２がボルト１３により固定される。このように、インナーレール７は、図４に示すようにクッションフレーム３ａに固定される。
【００１０】
図５に示すように、バックル１２の取付部の後方に異なる２方向の取付部として、側部取付ブラケット７ａと下部取付ブラケット７ｂが配置される。
【００１１】
本実施形態は、以上のような構造を採用するため、次に示すような作用を有する。乗員に前方への荷重がかかった場合にはシートベルトが前方に引張られ、図６に示すように、矢印Ｆの方向への荷重がバックル１２に加わり、従来ではその荷重が、主にインナーレールの後側フロア取付部１４を通して車両フロアに分散されていたが、本実施形態の構造によれば、２方向のクッションフレーム３ａへの取付により、インナーレール７に取付けたバックル１２からの荷重をクッションフレーム３ａへ確実に分散させることができるため、さらにクッションフレーム３ａからアウターレール５へと荷重を伝達させ、スライドレール４の全体、すなわちアウターレール５とインナーレール７の両方でバックル１２に加わる荷重を受けることができる。
【００１２】
また、後部取付ブラケット７ａ及び下部取付ブラケット７ｂがバックル１２よりも後方に設けられていることから、バックル１２に作用する前方斜め上方（矢印Ｆの方向）の荷重に対して、効果的に強度を高めることができる。
【００１３】
また、図４に示すように、側部取付ブラケット７ａと下部取付ブラケット７ｂを共通のカシメにより２枚重ねのアッパーレール１０に固定したため、取付部が４枚重ねとなり、各ブラケットの取付強度をより向上させることができる。また、側部取付ブラケット７ａと下部取付ブラケット７ｂのそれぞれにおいて、アッパーレール１０への取付具を設けた場合に比べて、部品点数及び加工工数を削減することが可能となる。
【００１４】
さらに側部取付ブラケット７ａと下部取付ブラケット７ｂとが互いに略直角な面により角部を形成することから、この角部にクッションフレーム３ａを載置すれば、クッションフレーム３ａの車幅方向の取付位置を規制することができ、組付け性を向上させることができる。
【００１５】
以上のように、本実施形態の構成によれば、インナー側のスライドレール４のバックル１２が取付けられる付近のクッションフレーム３ａへの取付を、異なる２方向の取付けにすることにより、バックル１２に入力される荷重をクッションフレーム３ａに効果的に分散させ、スライドレール４の強度を向上させることができる。また、部品点数や加工工数を増やすことなく、強度が高く、組付け性が良いスライドレール４のクッションフレーム３ａへの取付けを得ることが可能となる。
【００１６】
なお、本実施形態では、側部取付ブラケット７ａの固定を１個所、下部取付ブラケット７ｂの固定を２個所としたが、各個所の固定の数は必要な強度に応じて変更可能である。
【００１７】
【発明の効果】
本発明に係る自動車用シートのスライドレールの構造は、自動車シートのシートクッションを車両フロアに対して摺動可能に保持するスライドレールであって、車両側壁側に配置されるアウターレールと、車両中央側に配置されるインナーレールとを備え、前記アウターレールおよび前記インナーレールは、それぞれ、前記シートクッション側に取付けられるアッパーレールと、車両フロアに取付けられるロアレールとで構成され、前記ロアレールは、その上面に長手方向に延在する溝（１６ａ）を備え、前記アッパーレールは、前記ロアレールの内部に摺動可能に係合する基部（１０ｂ）と該基部の中央から前記溝を通じて上方に立設された縦壁部（１０ａ）とを備えている、自動車用シートのスライドレールの構造において、前記インナーレールのアッパーレール（１０）は、車両前後方向の後端部における前記縦壁部から上方に立設された第１ブラケット（７ａ）と、前記縦壁部から内側側方に向けて略水平に延設された第２ブラケット（７ｂ）とを備え、前記第１ブラケットが前記シートクッションのクッションフレーム（３ａ）の側面に固定されるとともに、前記第２ブラケットが前記クッションフレームの底面に固定されることにより、前記クッションフレームが前記アッパーレールに取付けられ、かつ、前記第１ブラケットの車両前後方向前方に隣接した前記アッパーレールの前記縦壁部にシートベルト用のバックル（１２）が取付けられているので、クッションフレームに作用する荷重を、相互に異なる２方向に延在する第１及び第２のブラケットから確実にスライドレール本体に分散させることができる。したがって、一方のスライドレール本体からクッションフレームへ、またクッションフレームから他方のスライドレール本体へと荷重を伝達させることができ、両方のスライドレール本体の全体でシートクッションに作用する荷重を受けることができる。
【００１８】
さらに、第１及び第２のブラケットによりクッションフレームを確実に固定することができるので、スライドレール本体とシートクッションとの取付け強度を高めることができ、また、第１及び第２のブラケットにより、クッションフレームの車幅方向の取付位置が規制され、組付け性を向上させることができる。また、前記第１ブラケットの車両前後方向前方に隣接して、前記アッパーレールの前記縦壁部（１０ａ）にシートベルト用のバックル（１２）が取付けられているので、前記バックルに作用する斜め前上方の荷重に対して効果的に強度を高めることができる。
【００１９】
前記第２ブラケットは、前記縦壁部の内側面に重合する基部と、該基部の上端縁から内側側方に延出した前記クッションフレーム底面への取付部とで、車幅方向の断面が倒Ｌ字状に形成される一方、前記第１ブラケットは、前記縦壁部の外側面に重合する基部を備え ており、前記第１ブラケットの基部と前記第２ブラケットの基部とが、前記縦壁部を間に挟んだ状態で、該縦壁部に共通の固定具（１１）で固定されている態様では、固定具として別部材を用いる場合に比し部品点数及び加工工数を削減することができるとともに、第１及び第２のブラケットのそれぞれの取付強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係る自動車用シートのスライドレールの構造を適用したシートの斜視図である。
【図２】図１に示した自動車用シートのスライドレールの構造を部分的に表す斜視図である。
【図３】図２の矢印IIIによる矢視図である。
【図４】図２の矢印IVによる矢視図である。
【図５】図２の矢印Vによる矢視図である。
【図６】図１に示したシートの側面図である。
【符号の説明】
１ 自動車用シート
２ シートバック
３ シートクッション
３ａ クッションフレーム
３ｂ 側部取付用ナット
３ｃ 下部取付用ナット
４ スライドレール
５ アウターレール
６ レバー
７ インナーレール
７ａ 側部取付ブラケット
７ｂ 下部取付ブラケット
７ｃ バックル取付用ナット
８、９ ボルト
１０ アッパーレール
１１ カシメピン
１２ バックル
１３ ボルト
１４ 後側フロア取付部
１５ 前側フロア取付部
１６ ロアレール
Claims (2)
- 自動車シートのシートクッションを車両フロアに対して摺動可能に保持するスライドレールであって、車両側壁側に配置されるアウターレールと、車両中央側に配置されるインナーレールとを備え、前記アウターレールおよび前記インナーレールは、それぞれ、前記シートクッション側に取付けられるアッパーレールと、車両フロアに取付けられるロアレールとで構成され、前記ロアレールは、その上面に長手方向に延在する溝を備え、前記アッパーレールは、前記ロアレールの内部に摺動可能に係合する基部と該基部の中央から前記溝を通じて上方に立設された縦壁部とを備えている、自動車用シートのスライドレールの構造において、
前記インナーレールのアッパーレールは、車両前後方向の後端部における前記縦壁部から上方に立設された第１ブラケットと、前記縦壁部から内側側方に向けて略水平に延設された第２ブラケットとを備え、前記第１ブラケットが前記シートクッションのクッションフレームの側面に固定されるとともに、前記第２ブラケットが前記クッションフレームの底面に固定されることにより、前記クッションフレームが前記アッパーレールに取付けられ、かつ、前記第１ブラケットの車両前後方向前方に隣接した前記アッパーレールの前記縦壁部にシートベルト用のバックルが取付けられていることを特徴とする自動車用シートのスライドレールの構造。 - 前記第２ブラケットは、前記縦壁部の内側面に重合する基部と、該基部の上端縁から内側側方に延出した前記クッションフレーム底面への取付部とで、車幅方向の断面が倒Ｌ字状に形成される一方、前記第１ブラケットは、前記縦壁部の外側面に重合する基部を備えており、前記第１ブラケットの基部と前記第２ブラケットの基部とが、前記縦壁部を間に挟んだ状態で、該縦壁部に共通の固定具で固定されていることを特徴とする請求項１に記載の自動車用シートのスライドレールの構造。
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